複雑・ファジー小説
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- 【お知らせあり】夢現の境界線【小説は更新します!】
- 日時: 2013/09/17 11:44
- 名前: 月葵(元フレイア ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2/index.cgi?mode=view&no=6422
初めましての方は初めまして!!
お久しぶりの方はお久しぶりです!!
改名しました元フレイアです!
***夢現の境界線(ゆめうつつのきょうかいせん)にようこそ。***
参照→カキコ民の皆様参加募集スレッドです。
この物語は夢と現実の世界で繰り広げられるお話です。
気に入って頂けたら嬉しいですね!
**お知らせ**
*おしらせあり!! 詳しくは→>>62
*只今だんだん更新中。亀なのはお許しを。
*SS企画実施開始! リク依頼・相談掲示板にてコメして下さい!
**注意事項**
・コメ頂けるととても嬉しいです。飛び跳ね……いえそこまでしませんが。
・現在キャラ募集は停止しております。ご注意ください!
・えと、更新は亀並で、作者語彙力がないです☆ それでも良ければ読んでください。嫌なら帰r……お帰りになることを推奨します。
・……荒らしとか、禁止に決まってます。
以上のことを了解していただけたら、どうぞこの物語をお楽しみください!!
<目次>
*世界観 >>2
*ギルドについて >>3
*その他の用語 >>4
*武器(ガイスト等) >>5
*登場人物(現実世界) >>6
*登場人物(夢世界) >>13
*プロローグ >>1
*第1話(現実世界)「転入生と持ち物検査」>>7-8 >>11-12
*第2話(夢世界)「帰郷と祭り」 >>14-16
*第3話(現実世界)「侵入、撃退、歓迎会!」>>25-27 >>29 >>35 >>37-38 >>43-44
*第4話(夢世界)「猫と依頼とギルド同盟」>>45-46 >>48 >>51-52 >>55-56
<夢喫茶‐とある人の夢話‐>
*「私と鹿とサイクリングと。」>>17
*「私と猫と……こ、恋バナ!?」>>34
<キャラを頂いた皆様>
*長月様
*グレイ様
*刹那様
*世移様
*更紗蓮華様
*すぴりたす様
*山下愁様
*城宮 壱様
*磁石様
*檜原武甲様
*烈司様
*ジェヴ様
*神無月飛鳥様
*晴樹様
*White様
*白月様
***Thank you!!***
<コメいただいた皆様>
*山下愁様
*秋桜様(鑑定もしていただきました。)
*更紗蓮華様
*晴樹様
*烈司様
*スタン反戦様
*檜原武甲様
***Thanks!***
- Re: 【1000突破!】夢現の境界線【アンケート募集!】 ( No.58 )
- 日時: 2013/06/03 00:19
- 名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: KZXdVVzS)
皆さん、お久しぶりです。ファルです。更新が遅れてしまって申し訳ない。作者もいろいろあってようやく今日更新できたんだ。
現在の状況を言うと、ギルド『ブルーバード』とレンゲット率いるギルド『ヴァイスクロー』との間でギルド同盟を結ばないか、とギルドメンバーのクオが持ちかけてきたのだ。
カロンについて知らなかった私は、クオにいろいろと教えてもらった……その直後。
なんと、レンゲット本人があいさつ代わりにと私を狙撃したうえでブルーバードに直接やってきたんだ。
以上、解説終了だ。
——ブルーバード 広間
「……で、結局ギルドマスター全員集まったって訳だな」
セキマイが視線の先にいる人物——レンゲットを一瞥した後、確認するかのように周りを見渡す。
レンゲットはというと、慌てふためいた私が余程面白かったのか、こちらを見ては必死に笑いをこらえている…………こっちはいい迷惑なんだが?
「……ふぅ。俺のガイストの霓が、ここに行きたいと言っていたし……何より白のガイストと導きの魂に興味があった。刺激を得るついでに、こうして来たわけだ」
「そーかそーか、それは別にいいけど、後で割れた窓の修理費頼むぜぃ。……よし、全員、パーティーの準備すっぞ!」
今の会話から何故そうなる!? と思った私だが、どうやら昨日、私がブルーバードで活動をさせてもらうことに決まった時点で、メンバー全員が賛成していたらしい。
それが今日の騒動から、他のギルドメンバーやギルドマスターを巻き込むことになるとは思っていなかったそうだが。
「あ……そうだ、セキマイちゃん。結局、通報があったナイトメアの討伐……どうだった?」
アオはケットシーの兄妹の依頼を私に持ちかけてくる前、ギルドに、ナイトメアが未開地エリアで暴れて男女二人が危険になっている、という内容の通報を受けたそうだ。
セキマイは意気揚々と部屋の飾り付けをしていたが急に手を止め、沈黙する。表情を見れば良い知らせではないのは明らかだった。
静寂……と、そこで答えたのはレイブンだ。
「はぁ、いつまで黙りするつもりだ……男女二人は夫婦だったそうだ。俺らが駆けつけたときは既に女性は『死んで』いた。男性は生き残るところだったが、そいつは『喰われ』たってところだな」
「要約すると、助けに間に合わなかった、ってこった。そのナイトメアは倒したが、失った人達は戻ってこない……なんども経験してんのに、こればっかりは慣れねぇな」
苦笑するセキマイに、私はどう声をかけたら良いのか分からず無言でいてしまう。
「それはどこのギルドでも同じさね。セキマイ……とファルだっけ?」
話しかけてきたのは、少々奇抜な格好の……いや、失礼、いかにもフォレスタントらしい格好のした女性。
「あたしはツカサ。こう見えても緑の『導きの魂』でフォレスタントのギルマスだぜ!」
挨拶と共にピースしたツカサは、かけていたゴーグルを外して首にかける……そこにも幾つかあるのは気のせいだろうか?
ん? ……ギルドマスター?
「つーかお前もギルマスだったとはな。聞いたときは驚いたぜぃ」
セキマイと知り合いなのか。
「あれぇ〜? 聞いてなかった? 先代がぎっくり腰になってさ、長——い養生が必要だとかで抜擢されちゃったんだよな〜。頑張って一週間前に試練場クリアしたんだぞ?」
『ギルドの仕事はほったらかしで、“ナイトメアを討伐する”って嘘までついてメーアエリアに入り浸っとるのはどうかと思うぜー?』
「余計なこと言うなクラッシュ! つーか、仕事手伝う気ゼロの奴に言われたくないんだけど」
会話に介入してきた緑色にうっすら発光する男の子ことクラッシュは、見るからに俺様気質というかなんというか……
既に飾りつけは終わり、辺りは静けさを保つなか、このギルドの中では陽気に包まれていた。
「さぁさぁせっかくのパーティーなんだ。派手にいくぞ!!」
「ちょっとセキマイ! 私のところに酒入れんな! 自分で飲め!!」
「俺は飲まねぇんだよ。この世界じゃ、現実と違って……確か、酒は年齢制限なしで幾らでも飲めるんだったろ。良いじゃねぇか別に?」
因みにちゃんとアルコール入っています。飲むとちゃんと酔うんだよ? 体質関係ないねだって夢だし。
そしてあら不思議、未成年でも平気なんですだからどれだけ飲んでも体には『酔っぱらい』というバッドステータスが付くだけで、成長には関係ないんです。便利だね夢世界。憧れるね。ふふふ……忙しいとかレポートとかテストって何さ、リアルが何さ。
…………と、暫くここに来れなかった為にテンションがおかしくなっている作者の補足が入ったが、事実だ……まぁ、うん、最後は聞き流してくれ。
パーティーはいっそう盛り上がっていく。
セキマイとユーリカによる酒合戦(?)やら、
(案の定、)日本酒一杯で酔っぱらったネオンが『う〜』と言いながら約数分間トイレに籠ったり、
アオが簡単な料理を作ってツカサとレンゲットにつまみ食いされたり、
旋鯉とエメトと霓とクラッシュのガイスト達がトランプをして罰ゲームしたり(旋鯉はエメト達により強制的に参加させられたそうだが)…………
私はというと、セキマイに勧められて初のお酒に挑戦……したがコップ半分で頭が回ってきそうな気がしたのでそこで止めた。ユーリカやクオが、そんな私を面白がって、より一層お酒を勧めてきたのだが流石にそれは断った。
……しかし、酔いが回るのが早く、なんだか頭がぐるぐるしてきたので、気分転換に外へ散歩することにした。
外は既に星空に染まり、陽が落ちて気温が下がったので、少し肌寒い。時折吹き抜ける風は、朝と比べて冷たさを増しているが、お酒とパーティーの楽しさで火照った顔にはちょうど良い心地よさを感じさせた。
「…………ん?」
ふと視界の端に誰かの姿を捉える。大きさからしてナイトメアではなく人だと思うが、念のため確認しにいく。
ギルドの周囲にはヴァルムエリアほどではないが、小さな森がある。
「確かこの辺りのはず……いた」
人だ。黒髪長髪で黒ずくめの服装。小柄な体格で細剣を所持している。歳は私と同じくらいだろう。辺りが薄暗いせいでそこまでしか分からなかったが……どこかのギルドのメンバーなのだろうか?
「あの……君?」
「……、何か?」
いや、何かって……それはこちらの台詞だろう! もしや、ギルドに用があったのか?
「君の視線を感じたから来たんだ。もしかしてブルーバードに入りたいのか?」
「……否。私は別目的でここへ来た」
あっさりと否定した。酷いぞ……と、そうじゃなくて。
「別の目的? それは何だ?」
「……答えるわけにはいかない。ただ、貴女に渡すものがある。貴女以外に接触する必要がないから待ってた」
目的を教えてくれないとはな……ん? 私に渡すもの? どこかで会ったことあるのだろうか……しかし、私は記憶にない。
「君は私のことを知っているのか?」
「……大体は。そして、貴女の母親の居場所も」
「な……にっ!!」
突然のことで焦りを覚える私。
なぜ、君が母さんのことを知っているんだ……!!
わけがわからぬまま、呆然と立ち尽くしていた。
- Re: 【1000突破!】夢現の境界線【アンケート募集!】 ( No.59 )
- 日時: 2013/06/18 08:38
- 名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: やっと終わった……! 次回も夢世界でお送りします。
黒髪の少女は私の反応をよそに、光の粒子の中から一冊の本を差し出した。
表紙は古びて色褪せているが、中身は何故か古いようには見えない。
「居場所は教えるわけにはいかない。なぜなら、知ってしまえばきっと……遠からず貴女が貴女でなくなってしまうから。だけど、貴女の母親は生きている。私はその事を伝えるためにこの本と……これを預かった」
自分が自分でなくなる……?
はっきり浮かんだ疑問のはずが、なぜか頭の中でぐるぐる回るだけで口に出そうと思えなかった。
「これは……母さんの指輪?」
銀色のリングの裏側に母の名前が刻まれてあり、トップには花の蕾のような飾りがついている。
母はそれをいつも身に付けていた。今は亡き父が母に贈った、最初で最後のプレゼント。父が手作りで作ったものなので世界に1つしかない。つまり、本物と思って構わないだろう。
「だが、なぜ君が私の母のことを……? 君は一体何者なんだ?」
「…………今はまだ何も言えない。ただ、私は通りすがりの放浪人。名前はルミ」
「ルミ……」
『おーい、ファルー? どこー?』
後ろから、酔いから回復したネオンの呼ぶ声が聞こえた。
「あ、ネオン、少し待ってくれ……ルミ?」
ネオンの方に振り返った一瞬の間に、ルミはこの場を去ったらしい。私はまだ聞きたいことがあったのだが……仕方ないな。
『ん? ファル、どうかしたの?』
「いや……」
ネオンはまじまじと私の顔を見つめてくる。
私はしばらく……ルミのいた場所を見続けていた。
——ブルーバード
「ぉ、遅かったなファル……どうかしたのか? ……それは?」
扉を開けると、芋チップスを食べているセキマイや、他の導きの魂達の視線を浴びた。どうやら、他のメンバーは寝ているらしい。そんな遅くまで外に出ていたのか。
「実は……」
私は、さっきのルミとの会話のことを話した。勿論、私の母が生きていたことも。
「…………そのルミってやつ、妙に怪しいな? ファルとの面識があるのかないのか知らねぇが、堂々とギルドの中に入ってきたらいいのによ?」
セキマイは何だか腑に落ちない様子だ。まぁ言われると確かにそうなんだが……
『でもさ、わざわざ古文書も届けてくれたよ』
『だからって信用すんのか? 他人にいちいち耳を貸していると、いざって時に裏切られんのが…』
「旋鯉、落ち着け。信じる信じないはファルの自由だ。俺らが口出しできねぇよ」
旋鯉は口をつぐむ。そこにエメトがネオンの持つ古文書に触れた。
『わぁ、なんかこれ光る〜!』
「エメト……あんたね」
『ほら旋鯉もクラッシュも触ってみなよ! チカッて光るよほら!』
『うるせー触んな!』
『俺様に指図すんな……おい!』
『え? 何々? 古文書触るの? 私もやるー!』
次々にガイスト達が触れた、瞬間。
『『『『『!!?』』』』』
突然、古文書から虹色の光が溢れ、ネオン達は硬直していることだけ分かるが……いったい何が起こってるんだ!
「旋鯉!? 返事しやがれ!」
「ま、眩しすぎる……! エメト!」
「見えねぇ…」
「くっ……霓……」
「ネオン! どうしたんだ! おい!!」
光はエリア全体を覆うかと思うほど広がったが、やがて目を開けられるくらいになった————
「や! ガイストのみんな元気にしてた〜? おねーさんはあなた達のあまりに早い登場でびっくりだね!」
————のだが…………誰?
「あんた、一体誰だ? どこから来たんだよ?」
ユーリカが警戒心を露にし、ナイフの柄に手をかけつつ誰何を投げる。ユーリカのみならず、私やガイスト以外の導きの魂は皆、警戒している。
その様子に怯えることもなく、短髪ブロンドヘアーで赤い目の女性はふぅ、とため息をつき、答えた。
「私はタタネ。敵でも味方でもない中立者かつ、ガイスト達を管理する者……かな?」
ガイストを管理……だと?
「そ。時期が来たらこうして私が召喚されて、ガイストのことを導きの魂やその関係者に教えるんだけど、早すぎる召喚でビックリね」
「おい、何で俺達の考えることが分かったんだ?」
レンゲットは警戒しつつ、少し興味があるのか、問いただす。
「魂を読めるんだよねぇ、私は。古文書の主としての力だと思ってもらえばいいよ」
「すまないが、タタネ。君はガイストの罪を……知っているのか」
「ん? 知ってるけど……ふぁ〜、まだ早いみたいだし、もうちょっと寝かせてもらうよ〜?」
以前にネオンの言ったことを聞きたかったのだが、話を逸らされた。しかも、寝るって……
「元々、私を叩き起こして力が欲しいだなんてことを言わなければ、封印はずっとずっと未来……それこそ、現実世界の人間たちが夢を見なくなるまでの間なら持つはずだったんだから」
「え……?」
疑問を投げ掛けるよりも速く、タタネは虹色の光球に包まれて消えた。
「……次から次へと起こりすぎだろ」
警戒心を解いたユーリカは、ため息をつきながら倒れているエメトを引きずりながら部屋に運んでいく。
「とにかく、今日のことはまだ他のやつらに話さずにいようぜぃ。まだ分からないことだらけでしかたねぇからな?」
「あぁ、分かったよセキマイ」
私達も、ぐったりしているネオン達を部屋で寝かせる。ネオンは気絶しているだけで、今のところは心配なさそうだ。
今日来た他のギルドの人たちは、ここに泊ることになっている。明日の朝早くに帰っていくそうだ。
そろそろ私も寝よう……そう思った矢先、二階の方からユーリカが来る。
「あ、ファル、ちょっといいか?」
「構わないが、どうした?」
「いや、ちょっくら確認したいことがあってさ。あんたの剣、大丈夫か?」
「ん? 剣ならここだが…」
「実はさ、あんたに攻撃した技の『風嵐双撃波』、あれ武器破壊するくらいの威力なんだ。……壊れてねぇか?」
そう言われれば確認しないわけにはいかない。吊るしていた革の肩掛けを外し、鞘から剣を引き抜いた。
正面と裏側を確認してみたが、ヒビらしいものは見当たらない。問題はなさそうだな。
「大丈夫そうだ…………え?」
————ピキッ……カランカラン……
…………嘘だろ。
今、折れたぞ……。鍔と刃の丁度境目で、パックリと綺麗に。
唖然とする私とやっぱりかという表情のユーリカを見つめるのは、すでに中天に達した月だけだった。
**To be continued…**
Next story(夢世界):未知なる洞窟、現れる兆し
- Re: 【1000突破!】夢現の境界線【アンケート募集!】 ( No.60 )
- 日時: 2013/07/15 17:45
- 名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: 作者、テスト前により更新停滞中……orz
<第5話:未知なる洞窟、現れる兆し>
——ギルド同盟結束の翌日
「……はぁ」
昨日、ユーリカが戦闘時に放った技が原因で、長剣が折れてしまった。
まあ、それは仕方がない。何故ならこの剣は元々あまり耐久性はなかったから。
だが、問題は別なんだよ……
『おっはよーファル! ……ってどうしたの!? 珍しく落ち込んだりして?』
どうやら昨日のことは忘れているらしいネオンが、寝室からいつもと変わらない様子で起きてきた。
大丈夫? と慰めてくれているのだろう、肩をポンポンと叩いてくれるのは嬉しいのだが、どうしたものか。
「ネオン……それが——剣が折れたんだ」
『剣? …あっちゃ〜、見事に真っ二つだね。こりゃ大変だ』
何でこんなに落ち込むのか、それは…
「未開地エリアのフィリップに借りた物だったのに……」
ため息しかでない。
なぜ借り物なのかといったら、……当時、ろくに準備できないまま未開地エリアに来てしまったんだよ。
途方に暮れていたところでフィリップに出会い、剣を貸してもらったわけだ。
無事に(とはいっても傷だらけだったのだが)ガイストを手に入れることが出来たから返そうと思い、家を訪ねると「自分の剣が見つかるまで持っとけ!」と言われた。
フィリップは——普通の人は考えもしないだろうが、未開地エリアに住んでいるんだよ。また、未開地エリアに住み着く『魔物』を調教し、『魔獣の主』となったのだとか。……本人談だ。
とにかく、このところ資金枯渇に苛まれ、新しい剣が調達出来ないまま折ってしまったとなったら……面目ない。
「ぉ、いたいた。ファル、ちょっと来い」
何やら電話していたユーリカが、手招きする。
「ファル、最近ベルクに新しい坑道が見つかったって話、知ってるか?」
「いや……それが何だ?」
「良い話だ。最近、新しい坑道がそこかしこに発見されてきたんだ。エリア内の連中は躍起になってんだが、どうやら中にはナイトメアがごまんといるらしい。けど、話によっちゃ、未知の武器や金属が豊富だろうって」
「つまり……そこにいけば良質の剣も見つかるかも、と言うことか」
「しかも、運よく二本手に入ったら借りた奴……フィリップだっけ? そいつに返せるかもしれねぇぞ? 逆に感謝されちまうかも?」
さ…流石にそれはないだろう、と苦笑した私だが、確かに行かない手はないな。
「よし、決まり! その坑道には私も行く。ついでで依頼が入っちまった」
ユーリカはそう言って武器を鞘に納める。私も銃とネオンを銃形態にしてホルダーに入れる。
セキマイやアオ達は今、他の依頼で留守にしている。
他ギルドの人達は一先ずエリアに帰っていったから、この場には私とユーリカしかいない。
「んじゃ、門でベルクに行くぞ。言っとくが、あんたがピンチでも助けねぇからそのつもりでいろよ?」
「あぁ。分かっているさ。ユーリカに迷惑をかけないように注意しておく」
「…………ちっ、いじめがいがないな(ボソッ」
「?」
「なんでもない」
何か言われたような気がしたが……まぁなんでもないなら詮索する必要もないか。
——広場 転移門前
はっきり言うぞ。…………なぜ私はここにいる? いや、記憶を失ったとかではなく。
ここは確か、一昨日、ナイトメアが襲撃したときに壊れた門だったはずだが?(第2話参照。)
「……な、なぁユーリカ」
2日経って修理されたらしい門は、まだ少し不安定なのか、そこかしこにスパークが見える気がする。
ちなみに、転移門は自動で修復される。ただ、この場合……転移したら異空間とか未開地エリアに飛ばされそうだぞ。異空間は実際にあるわけではないのだが、そのくらいこの門が異様な雰囲気を漂わせているということだ。
ま、まさか、ここからベルクエリアに行こうと?
「何だ? ……あのな、時間が無いんだ。こうしているうちにも、金属お目当ての連中がわんさか来るんだぞ?」
いちいち端っこの方の門に行けるかっ、とユーリカに突っ込まれ、強制的に門の前に立たされる。
あー、嫌な予感しかしないんだけども?
「転移! ベルクエリア!!」
ユーリカが叫ぶと、門は一層スパークし、虹色の光が私達を包み込む。そこから北に位置するベルクエリアへ————
「うわっ!?」「っあ!」
————……案の定、行けるはずがない。
「「わぁぁぁあああぁあぁっ!」」
急速落下、及び今まで感じたことのない感覚に襲われる。
上下左右に振り回されると思いきや、身体全体が弓なりになるくらい引っ張られるとか、その体制のまま前転後転……
五体満足でいられたのは、まさに不幸中の幸いだった。自分が生きていると確信できたのは、無事にシュロスエリアに着いてからだった。
……うむ、修復中の転移門で転移しようとするとこっぴどい目に会うのだな、反省。
- Re: 【1000突破!】夢現の境界線【アンケート募集!】 ( No.61 )
- 日時: 2013/07/31 17:11
- 名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: 少し更新……中途半端でスミマセンorz
——ファル達が出発する1時間前。
——シュロスエリア ギルド『ヴァイスクロー』
シュロスエリア……どこか殺風景な気もするこのエリアだが、人々には活気が満ち、転移門前にある市場も早くから開いている。
転移門でシュロスエリアに着いたレンゲットは、市場を縦断し北に向かう。歩いて程なく『闇城』が見えてきた、と同時に砂嵐が襲う。
「……っ」
砂漠地帯を思わせる砂嵐だが、このエリアでは……特に闇城周辺では日常茶飯事。それに、自分は黒のフードつきコートを着ているから問題ない。
そして、闇城に近い形で構えている白い建物——これがギルド『ヴァイスクロー』だ。
「あーやっと帰ってこれました」
後ろからついてきていたクオは疲れたのか、背伸びをしながら中に入る。
カランカラン……とドアに付けた鈴の音は、来客があった時に分かりやすいよう取り付けたものだ。
「……はぁ」
取り敢えず怠くなった。することがない。刺激が欲しいが今は怠い。それに眠い。
「お帰りなさいレンゲットさん。同盟はどうでしたか?」
階段からメンバーの一人、ホープが降りてきた。銀の短髪にシルクハット、さらには紳士服を着ているので男と間違われても不思議ではないが、性別は女だ。
ホープはヴァイスクローの中でもかなり強い。特に剣に関してシュロスエリア内で右に出る者がいないほど。なので、ギルドマスター不在時には彼女がギルドを仕切るようになっている。
「……カロンの情報を惜しみ無く提供するのを条件に、同盟を締結した」
「それはよかったです、昨日帰って来なかったので、もしや一晩中説得しているのかと」
「……ブルーバードに白の導きの魂が入った。その大宴会に付き合っていただけだ」
「白の……というと『鍵』ですね? 現実世界とこの夢世界を繋げる『扉』を開くという……」
「『鍵が扉を開くとき、正しく開かれれば正しき世界を、そうでなければどちらの世界も滅びを迎え、万物は無へと導かれる』……歴代のヴァイスクローのギルドマスターから今の代まで伝えられたことだ。今まではガイストで『封印』をする妥協案を取ることで扉は開かれなかったが……」
「20年しか持たなかった……。カロンの力が強まった以上、もう封印はできないでしょうね」
説明を忘れていたが、封印とは、ガイストの力を結集してカロンにぶつけ、カロンの力を最大限まで抑えること。封印は唯一、祭壇が存在する闇城の最上階でしか行えない。ゆえに、幾度となく戦った場所はあの『闇城』……その最上階だ。といっても、闇城は10層構成なので、そんなに高い建物ではないのだが。
つまり、封印の力が弱まる……これはガイストが弱いからではなく、敵であるカロンの力が強くなったことを意味する。こうなった以上、意地でもカロンを倒すということしか選択肢は残されていないだろう。
「だが疑問が残る。何故、カロンは急に強くなった? 歴代のマスター達はそんなこと一言も話していなかった……」
「そう、ですね……ナイトメアが人を喰らっているから……でしょうか?」
「……人を喰らうのはずいぶん昔から変わっていないが…」
ナイトメアは『悪夢』。夢世界の人を喰らい、現実世界のもう一人の自分に影響を及ぼす存在。
夢世界の人々を喰らうのは今も昔も変わらない出来事で、もしそのためにカロンが強くなるのなら、それこそ100年前とかで強くなっているはずだろう。
- Re: 【1000突破!】夢現の境界線【アンケート募集!】 ( No.62 )
- 日時: 2013/09/17 11:41
- 名前: 月葵 ◆7a0DWnSAWk (ID: LqhJqVk8)
- 参照: お詫びとお知らせ……意見もちょっと聞きたいです。
お久しぶりです、月葵です。
まず始めに……
遅くなって申し訳ありませんでしたぁぁぁああ(土下座orz
殴られても蹴られても仕方がないです、ハイ。
最終更新日から2ヶ月弱ですね……面目ないです。
何せテストでしたから……現実が容赦ないのですよ。そんな言い訳はともかく申し訳ありませんでした!!!
もちろんこれから更新再開していきます。
その前に、ちょっとお知らせがあります。
元フレイアの名前でご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、その名前で執筆していた小説「神より生まれし花」を『小説家になろう』というサイトでリメイクしたいと……
…………ごめんなさい殴ってもいいです頑張りますから!!
作者名は月葵で、「Dieu Fleur Conte-神花物語-」という題名です。
優先順位は勿論、夢現の境界線ですが、一度乗り掛かった船なので同時並行していきたいと思います。
そして恒例(?)、オリキャラ募集をしたい、とか思うのですが、以前にオリキャラを投稿して下さった方もいらっしゃると思います。
ですが、申し訳ありません!! 心機一転という意味でオリキャラを募集しなおします!
募集はリク依頼掲示板で行いたいと思うのですが、いかがでしょう……。
……正直迷ってるのです。こちらで投稿して頂いたキャラクターを別のサイトで使っていいのかどうか……。
一応掲示板にはスレを上げます。反対の方とかいらっしゃれば、考えてみます。
よろしくお願いします!!!
それでは!
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