複雑・ファジー小説
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- 終わりのない物語
- 日時: 2012/10/28 17:28
- 名前: きあら (ID: beURmUxU)
どうも初めまして、きあらと申します。
更新速度は週に一回か二回という
超亀更新になると思いますが、できるだけ頑張ります!
初小説です。 楽しんでくださるとうれしいです。
感想、アドバイスなどお願いします!
___〆 終わりのない物語.
未来へ続くのは剣か? 変わらない意志か?
歴史をつくるのは、あなた……?
___〆 登場人物.
( 激動幕末編 )
南雲 琴/なぐも こと
十六歳、なぜか刀を持ち歩く少女。
長い黒髪を後ろで一つに結っている。
前田 忠臣/まえだ ただおみ
十八歳、立派な武士になることを望む。
( 文明開化編 )
( 大正浪漫編 )
( 昭和モダン編 )
( 海を渡る意志編 )
- Re: 終わりのない物語 ( No.1 )
- 日時: 2012/11/02 00:09
- 名前: きあら (ID: FenECEop)
「まさか未来まで残るとは、驚きですね」
仲間殺しの鬼は血まみれで、
「これ、きっと大事にしますよ」
新しい時代に生きる少女は微笑んだ。
「これは人殺しの道具でしょう?」
時に少女は正義に満ち溢れ、
「絶対に生き延びてみせます!」
未来へと進む希望をあきらめなかった。
「これは、いつから始まった物語?」
未来へ辿りついたのは、刀か? 意志か?
歴史をつくるのは、あなた?
- Re: 終わりのない物語 ( No.2 )
- 日時: 2012/11/04 18:41
- 名前: きあら (ID: /bvDAsaP)
激動幕末編 第一話 見え隠れする殺意
時は一八六〇年、場所は江戸。
月が夜の闇に隠されているせいで不気味な夜となっている。
「どこへ行くんだい」
こんな時間に出かけようとしたせいで、やはり姉に声をかけられた。
姉は眠そうに、だが心配そうな表情をして俺を見ている。
「ちょっと眠れないから、散歩にでも……」
「こんな、月のない夜に? 鬼に喰われるわ」
半笑いして、まあ気をつけてくださいねと姉は言い残した。
『鬼に喰われるわ』と、姉は言った。
なんでだろう、なぜかその言葉が頭から離れなかった。
外に出ると涼しいような、冷たいような秋の風が吹いていた。
もともと眠くはなかったが、そのせいでさらに眠れないような気がした。
空のどこを見ても、黄金に輝く月は見えない。
最近は物騒で、よく武士の死体を見る。
こんな真っ暗な夜なのだ、誰かに間違えられて斬られても困る、と思い腰の刀にさりげなく手をおいた。
屋敷のまわりを一回りしたら、寝よう。
そう思って一歩、足を踏み出した瞬間だった。
───ザァアアアアア!
真上から音がした。
「!」
驚いて見上げると、銀に輝く細長い何かが───刀だ!
状況を確認する前に、刀が俺に向かって振り下ろされている、ということだけが分かり、
ガキインッ!
俺も鞘から刀を抜く、刀と刀がぶつかりあう金属の音が響く。
「何者だッ」
叫ぶと、相手はひょいと後ろに一歩下がり、互いに剣をかまえる。
月がないせいで、相手の顔がまったく見えない。
わかるのは相手が小柄で、髪を後ろで一つに結っている、ということだけ。
「もう一度だけ聞く、何者だ!」
さっきより少しだけ大きな声で叫んだ。
「……お前が名乗れば、わたしも名乗る」
女の声のような……?
「俺は前田忠臣!」
名乗った瞬間、突然月が闇の間から出てきた。
闇につつまれていた江戸が、月明かりに照らされる。
そして、相手の姿も照らされた。
- Re: 終わりのない物語 ( No.3 )
- 日時: 2012/11/10 16:55
- 名前: きあら (ID: QAfyeruT)
驚いた。
いまの感情をあらわす、たった一言。
俺に向かって真上から斬りつけてきたのは、俺と同い年くらいの女子だった。
しかも、ただの女子ではなかった。 あきらかに、普通の女子とは違う。
「お前……」
ようやくでた俺の一言。
「前田、忠臣………?」
女子は名前を聞き返し、ちっと舌打ちをした。
女子は刀を鞘に戻し、何事もなかったかのように、
「すまない、人違いをした」
「は……?」
「私の斬るべき相手ではなかった、すまない。 とても姿が似ていたので……」
目の前にいる女子は深々と頭を下げる。
女子の異様な姿、いま起こった出来事が誤りであること。
この二つの出来事への感情が俺のなかで爆発した。
「お、お前こそ名乗れ! 何なんだよ、お前! 何者なんだ! 俺は名乗ったじゃないか! 何なんだよ……お前……!」
月の光に照らされた女子は、────人間ではなかった。
長くのびた金髪を後ろで一つに結い、満月のような黄金の瞳は困惑していた。
額には二つの鬼のような角が生えている。
小柄な身体に不似合いな立派な刀。
「私は、コト」
彼女は名乗ったが、それが名前だと理解するのに少し時間がかかった。
「本当にすまなかった、まさかこんな時間に出歩いてる人間がいるなんて……」
コトと名乗る異様な女子は謝罪の言葉をのべているが、
俺は何も理解できずに意識を手放した。
これ……、夢だろ………?
- Re: 終わりのない物語 ( No.4 )
- 日時: 2012/11/10 17:04
- 名前: きあら (ID: QAfyeruT)
「馬鹿ですか!」
目覚めた瞬間に姉の怒鳴り声が響いた。
びっくりして起き上がると、俺は部屋にいることが分かった。
あれ……? 俺はたしか外で……?
「最近は物騒だというのに! 散歩すると言って朝まで帰ってこないと思ったら、屋敷の前で寝ているなんて!」
姉の怒鳴り声は止まらず、俺は頭のなかで何が起きたのか理解できずにいた。
「……鬼………」
そうだ、俺は昨日、鬼に斬りつけられたんだ……!
「前田忠臣! しばらくそこで寝ていなさい! 馬鹿者!」
姉に対して鬼と言ったわけではなく、ただ昨日のことを思い出して鬼と言ったつもりが……。
姉はぶつぶつと文句を言いながら部屋を出て行った。
よし、整理をしようじゃないか。
俺は昨日、散歩をするといって外に出た。
これは姉が証明してくれている。
そして何者かに突然斬りつけられ、その正体は金髪金目の女子の鬼。
……これは証明できない。 夢であった可能性が十分にある。
だが夢にしては現実味がありすぎるような気がする……。
今朝、俺が屋敷の前で寝ている(倒れている)ところを発見。
姉が部屋まで運び、俺は自室で寝かされ怒られる。
「何だったんだ……、あの夢…」
- Re: 終わりのない物語 ( No.5 )
- 日時: 2012/11/10 17:21
- 名前: きあら (ID: QAfyeruT)
激動幕末編 第二話 いま、笑っているけど、本当は、
起き上がり、姉に謝罪すると「もうあんな馬鹿しないでください」と怒られた。
たぶん今日一日はあんなかんじだろう。
俺は屋敷の外へ出た。
「あの、すみません」
出た瞬間、見知らぬ女子に声をかけられた。
その女子は、───夢でみた金髪金目の鬼女子にそっくりだった。
「────!」
思わず息をのんだ。
そっくりなのは顔だけ。
だが……、長くのびた黒髪を後ろで一つに結い、大きな黒目に小柄な身体。 そして……不似合いな立派な刀。
まさかまさか! そんなことってあるわけないだろう!
「私、南雲 琴と申します。 前田 忠臣さまですね?」
どういうことだ…、名前も一緒ではないか……?
「もう気づいていますよね」
「な、何を……」
「昨晩、あなたを斬りつけた鬼は、私でございます」
近くの草原に座り、南雲 琴という女子はまわりを見渡して人影が少ないことを確かめた。
「本当に昨晩はすみませんでした……。 本当に容姿がそっくりで」
「いや、それはいいんだ。 それより、ちゃんと説明してほしい」
冷静に言ってるが、内心はいろんな気持ちが入り混じり複雑だった。
この女子が昨晩の鬼だなんて誰が信じるか……?
「私は南雲 琴でございます、父は西国の鬼で母は東国の武家の娘でした。 その間に生まれたのが私です」
どこまで信じればいいのだろうか……。
「昼間は人間でいられるのですが、夜になると半分だけ鬼に変わってしまいます。 見たでしょう? 黄金の髪と目を! それは半身鬼の私です」
「人違いをした、とはどういう意味だったんだ?」
「……その意味の通りです」
「誰を殺すつもりで?」
「…………」
「あの殺気、あれは殺すつもりで斬りつけてきたんだろう?」
「仇討ちです」
琴は冷静に答えた。
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