複雑・ファジー小説

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もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』
日時: 2014/01/03 18:25
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)

   作者の今叫びたい一言  『ツイッター、始めました。>>205』 (By 作者)


   序章、あとがき+読者様へ一言!! >>114

   土下座で頼む、簡単アンケート!! >>115
   ↑アンケート円滑化のために、登場人物のリストを作りました!! >>123

   オリキャラ大募集中!!!(こちらをお読みください。) >>140



 【第一回 アンケート回答者リスト!! スペシャルサンクス!!】

・月葵様 →>>117
・るるこ様 →>>125
・檜原武甲様 →>>133
・李々様 →>>134
・八重様 →>>138
・エストレア様 →>>145


 【オリキャラリスト!! スペシャルサンクス!!】

・李々様 →>>141 『明蓮寺 美夜』 >>151 『古屋 朱李衣』
・95様 →>>142 『葉隠 空冴』 >>146 『鳳凰院 龍雅』
・エストレア様 →>>145 『キル・フロート』
・檜原武甲様 →>>147 『知名崎 宇検』
・月葵様 →>>148 『結風 遥』 >>156 『矛燕』 『ゼヘト』
・グレイ様 →>>152 『周邊 蓮華』
・八重様 →>>155 『雛姫 容子』
・るるこ様 →>>166 『王 莉紅』 『鳳広炎』









   クリックどうもありがとうございます。


  おはようございます、こんにちは、そしてこんばんわ。

  どうも初めまして。ご存知の方はお久しぶりです。

  私の名前はヒトデナシと申します。



 “自己紹介が終わったところで、この小説の注意点です。”


  1、荒らしの方々は回れ右して去ってください。

  2、読んでいただけるとすごくありがたいです。

  3、コメントをもらうと、作者は歓喜に満ち溢れます。




 “では次に、この小説はどんなものなのかを紹介いたします。”
    

  1、この小説の中心の視点は基本、主人公である俺(作者ではありません。)が中心です。

  2、この小説は、主人公が『もしもの世界』を体験したとき、どのように思うのか、またはどのように動くのかを描いたものです。

  3、基本、自由である。



  ————と言った感じでございます。



  では早速書いていきたいと思います。

  楽しんでいただけると幸いです。



  ・登場人物・・・主要人物 >>119
          黒川陣営 >>120
          リバース陣営 >>121
          DDD教団陣営 >>122


  ・イラスト広場(心優しい絵師様、常時募集中)・・・>>62

  ・用語説明・・・>>63




   コメントを下さった優しい読者様


 ・月葵様 
 ・八重様
 ・秘密箱様
 ・エストレア様
 ・小枝様
 ・るるこ様
 ・春野花様
 ・陽様
 ・修道士。様
 ・檜原武甲様
 ・李々様
 ・ちぇりお様
 ・95様
 ・グレイ様
 ・H様
 ・007様



    ———— 『もしも俺が・・・・。』目次 ————


【序章、日常編】 

  表紙→>>12 (八重様)
  挿絵→ 第1幕 >>20 (るるこ様)
      第6幕 >>89 (るるこ様)
      第15幕 >>125 (るるこ様)


   第1幕 『もしも俺が自己紹介をしたのなら……。』 >>1 >>7 >>8
   第2幕 『もしも俺が自分の世界を紹介するなら……。』 >>14 >>16 >>19
   第3幕 『もしも俺が風紀委員会を紹介したなら……。』 >>23 >>24 >>25
   第4幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……。』 >>31 >>32 >>35
   第5幕 『もしも俺がドラえもんの世界に行ったなら……続編。』 >>36 >>37 >>43
   第6幕 『もしも俺(様)が華麗に参上したなら……。』 >>46 >>50 >>51
   第7幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……。』 >>56 >>60 >>61
   第8幕 『もしも俺がアンドロイドの世界に行ったのなら……続編。』 >>64 >>65 >>66
   第9幕 『もしも俺(様)が異次元を渡るなら……。』 >>69 >>70 >>71
   第10幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……。』 >>76 >>77 >>82
   第11幕 『もしも俺(様)がゾンビの世界に飛び込んだなら……続編。』 >>83 >>84 >>85
   第12幕 『もしも俺が休日を過ごすのならば……。』 >>88 >>93 >>96
   第13幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……前編。』 >>101 >>102 >>103
   第14幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……後編。』 >>106 >>107 >>108
   第15幕 『もしも俺がジョジョの世界に行ったのならば……終編。』 >>111 >>112 >>113

   あとがき、そしてコメントを下さった方々に感謝の言葉を!! >>114


【第2章、闇人(やみびと)と天使編】

  プロローグ >>124


   第16幕 『もしも俺が日常を過ごしたのなら……。』 >>128 >>131 >>132

   第17幕 『もしも俺がこれまでの事をまとめたなら……。』 >>136 >>159 >>160

   第18幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……。』 >>163 >>164 >>165

   第19幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……2。』 >>170 >>171 >>176

   第20幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……3。』 >>181 >>185 >>186

   第21幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……4。』 >>189 >>190 >>194

   第22幕 『もしも俺が魔法が使われている世界に行ったのなら……5。』 >>198 >>201 >>204

   第23幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……。』 >>206 >>209 >>210

   第24幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……2。』 >>211 >>215 >>216

   第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』 >>217




    ------------ サブストーリー -------------


  『交差する二人』・・・>>29 >>30 
  (300参照突破記念。黒川と水島の知られざる出会いの物語。)

  『彼ら彼女らのクリスマス』・・・>>54 >>55
  (600参照突破記念。元地山中学生の奇妙なクリスマスの物語。)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ。』・・・>>72 >>73
  (1000参照突破記念。あまりにもカオスすぎた。お祭り過ぎた。黒歴史とか言わないで。)

  『たった一つのバレンタインチョコ。』・・・>>86 >>87
  (1300参照突破記念。遅くなりましたがバレンタインネタ。元地山中学に甘い展開!?ww)

  『風紀委員会の日常日記。』・・・>>104 >>105
  (1500参照突破記念。風紀委員会で極秘に行われる秘密の日記が明らかに!?)

  『The Time Start Of ティアナ。』・・・>>109 >>110
  (1800参照突破記念。霧島とティアナ、そしてあのゼロの復活の物語……?)

  『物語崩壊、カオスなお祭り騒ぎ2。』・・・>>127
  (2000参照突破、日常編完結記念。もし俺メンバーのカオスな物語。
  注意、この物語は18歳未満には刺激の強いちょっとした深夜族成分が含まれています。
  お読みの際はにやけるお顔に気を付けて、一文一文丁寧にお読みください。By ヒトデナシ。)

  『黒水SS By 火矢 八重様』・・・>>158
  (トップレベルの作者様、火矢 八重様の執筆した黒水SS。
  よく読んでくださる彼女でこそ書くことが出来る、レベルの高いSSですw 
  黒水SSは全ての読者様のモノ。皆様適当に妄想しちゃってくださいw
  なお、もしも黒水SSを考えちゃった♪という神様がいるなら、
  ぜひともこちらに投稿してくださればなと思いますw 私も読みたいですしねwww)

  『花狩椿と銀色のいばら道』・・・>>168 >>169
  (2500参照突破記念。花狩先生の少年時代の過去。
  劣等感を胸に秘めた彼の前に現れた、ある人との出会いとは……?)




------------名誉、歴史--------------


・11月25日、『もしも俺が・・・・。』投稿。
・11月29日、100参照突破!! (ありがとうございます!!)
・12月02日、200参照突破!! (皆様の応援に感謝しております!!)
・12月06日、300参照突破!! (3は私の好きな数字です。とにかく感謝です!!)
・12月13日、400参照突破!! (嬉しい限りでございます。執筆ファイト!!)
・12月21日、500参照突破!! (500ですか!! 1000まで半分を切りました!!)
・12月24日、600参照突破!! (メリークリスマス!!)
・12月31日、700参照突破!! (2012年最後の日!!)
・01月05日、800参照突破!! (2013年、始まりました!!)
・02月12日、900参照突破!! (復活しました!! 皆様のためにも頑張ります!!)
・02月13日、1000参照突破!! (明日はバレンタインですか。皆様の応援に感謝!!)
・02月15日、1100参照突破!! (1000という大台を突破できてうれしいです!!)
・02月17日、1200参照突破!! (本編も10幕を突破。これからもバンバン書いていきますw)
・02月18日、1300参照突破!! (スリラーナーイト!! ……申し訳ない、深夜の悪乗りですw)
・02月21日、1400参照突破!! (もうすぐ1500!! 大感謝です!!)
・02月25日、1500参照突破!! (きたあああ!!! 1500参照ついに突破!!)
・02月27日、1600参照突破!! (おおぉぉ!! 応援に大変感謝です!!)
・03月01日、1700参照突破!! (ついに3月ですね!!)
・03月03日、1800参照突破!! (ありがとうございます!! ありがとうございます!!)
・03月06日、1900参照突破!! (もうすぐ2000ですね!! 頑張ります!!)
・03月09日、2000参照突破!! (2000参照突破しました!! 歓喜です!! 最高です!!)
・03月11日、2100参照突破!! (3000目指して頑張ります!!)
・03月11日、序章完結!! (始めの物語、無事に書き終えることが出来ました!! サンクス!!)

・03月18日、第2章、始まり!! (実はというと、サブタイトルに結構悩みましたwww)
・03月18日、2200参照突破!! (第2章も頑張ります!!)
・03月20日、2300参照突破!! (第2章、本格的にスタートです!!)
・03月26日、2400参照突破!! (もうすぐ2500ですね!! 頑張りますね!!)
・03月28日、2500参照突破!! (2500参照突破しました!! 3000目指して頑張ります!!)
・03月30日、2600参照突破!! (たくさんのオリキャラをありがとうございます!!)
・03月31日、2700参照突破!! (なんという快挙!! ありがとうございます!!)
・04月02日、2800参照突破!! (4月になりましたね!!)
・04月06日、2900参照突破!! (もうすぐ3000かぁ……。行けるといいなぁ。)
・04月14日、3000参照突破!! (うわぁぁああ!! 3000です!! 3000なんです!!!)
・05月01日、3100参照突破!! (長期休暇を頂きました!! 本日からまた執筆頑張ります!!)
・09月02日、4600参照突破!! (久々の執筆なので腕が鈍りまくりですねw)
・09月04日、4700参照突破!! (5000までもうすぐですね。頑張ります。)
・09月06日、4800参照突破!! (9月と言えば作者はもうすぐ誕生日とやらを迎えるわけですか。)
・09月09日、4900参照突破!! (もうすぐ5000ですね。頑張りますね。)
・09月12日、5000参照突破!! (5000です!! ありがとうございます。)
・09月14日、5100参照突破!! (私の誕生日です。ありがとうございます。)
・09月23日、5200参照突破!! (最近私の家族にPCを占拠される事が多くなりました。)
・11月18日、5300、5400参照突破!! (ここを建設して約一年になります。)

Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.213 )
日時: 2013/11/19 22:58
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: MuUNITQw)

    復   活     し      て      ら     し    て      る



那拓とフィーダのとうじょぉぉぉぉ!!
あれ? 那拓って旧版でも心読めたっけ? うわあ久しぶりてすっかり前回の内容も忘れていたよ(てへpr☆


おっと忘れてました。お久ぶりです。覚えてますか? 火矢八重ですよー。
受験生になりましたが、生憎と何故かここに居ます。これでも頑張ってるんで安心してくださいわたしは安心できないけど。

フィーダ好きだったんで登場してウハウハです。話の内容よりもフィーダです。冗談です。でも源次よりもフィーダです((((

風邪とInfluenzaにはお気を付けを。勉強頑張りながら応援してます!

Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.214 )
日時: 2013/12/11 23:12
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


やっぱり更新は亀のように遅くなってしまいますね。
ですが少しでも完結に向けて一歩ずつ進んでいきます。
大変遅くなりますが、ご愛読よろしくお願いします。


"月葵様"

お久しぶりです。忘れるわけがありませんよ!
なにせ頭の上がらないほどお世話になっている月葵様ですからw
少し遅くなってしまいましたが迷コンビ登場です。
彼らにはいっぱい暴れていただこうと思いますw

コメントありがとうございました。またのご来場をお待ちしております。


"八重様"

なんとか復活できました。中々時間が取れずに苦労していますがねw
那拓は旧作でも変わらずですね。覚えてないのも無理ないですw
もちろん覚えていますよ。むしろ忘れるわけがありません。
なるほど、もうそのような時期なのですね。
大変でいらっしゃるかと思いますが、お身体には十分に気をつけてくださいませ。
フィーダはこれからも出番が多いのでこうご期待です。

ありがとうございます。八重様もお身体にお気をつけて勉強の方頑張ってください。応援しております。

Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.215 )
日時: 2013/12/12 00:19
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)




       「パート2。」




  「————さて両人。さっき聞いた会話を拾わせてもらうと、おたくさんらも『魔女』を倒すのが目的でいいんだな?」


 落ち着きを取り戻した那拓とフィーダは源次の話を聞くと、満足げに頷いた。

  「その通りだ。そんでさっき言いそびれたが、私達はあんたらと協力したいと思っている。」

  「俺が君たちの心を読ませてもらった時に『魔女』を倒すと聞こえてきたもんでね。だからこうして近づいた」

  「おたくさんらも『魔女』を倒すことに賛同しているととって異論はないねぇ?」


 源次の言葉に反論を抱くものはいなかった。それを満足げに確認した後、源次はどうしても聞きたいことがあった。


  「おたくらは何故、『魔女』を狙う?」


 これが一番源次にとっては大事で聞きたかったことだ。

 源次達は『魔女』がDDD教団であるという可能性、世界が危機になる可能性を見越しての事だ。
 異次元のゆがみを空けたのがその『魔女』だとすれば、確実に何かしてくるはずだ。
 だが那拓とフィーダは源次達が思う斜め上の事を言い出した。


  「奴は世界をかならず歪ませる。だからそれを止めるためだ。」


 てっきり私情でもあるかと思ったら、思わぬ理由であった。
 世界を歪ませる? 確かに源次達もそう思っている。しかし、


  「なぜそう思うんだよ?」

  「深い理由はねぇよ。勇者のカンだ。」

  「勇者—? カンー?」


 柿原の質問にフィーダの口から漏れ出た勇者の言葉を紫苑が復唱すると、
 那拓はそこで口を割り込ませた。そこで告げたのは驚く一言だった。


  「こいつはこう見えてもこの世界での勇者そのものなんだよ。」


 勇者そのもの。それはつまり、この世界での『主人公』というわけか。
 確かに姿はそんな気がしないでもない。子供っぽい言動はさておき。


  「そんでもって、こいつの悪に対するカンは驚くほど鋭くてな。『魔女』はその権化なんだと。」


 確かにスラリンの証言となんとなく一致はする。
 この世界で実験を繰り返し、魔物を改造する『魔女』。確かに悪の権化と言える。
 ということは、簡単に言うと物凄いシンプルな答えじゃないのか。


  「それじゃああれか、世界を平和にするために悪を滅ぼすのが目的、という事なのね」

  「それが勇者の務めだ。」

  「……お堅いこって、勇者様。」


 フィーダに向けて呆れ顔を向ける源次。まさかただの悪役退治の気分だったとは。
 とはいっても協力してくれるというのであれば、こちらから拒否する理由はない。
 柿原も紫苑も特に反論の声はないみたいだし、ここは手を組んでおくのが得策か。


  「そんで詳しい事は分からんが、どうやら源次達もほとんど同じ理由みたいだな。」


 心を読んだ那拓は微笑して言った。確かにその通りであった。
 状況は違えどほぼ同じような事だ。源次達も根本にあるのは世界平和なのだから……。


  「……了解した。時間もねぇので、そんじゃあ共闘と行きますか。頼みますぜ、姉さん、青年!!」

  「那拓って呼べよ……。自己紹介した意味ねぇー。」

  「おい源次!! その姉さんっていう不良の頭みたいな呼び方なんとかなんねぇのか!?」

  「わーい、賑やかになったよスラリーん」

  「『魔女』はこっちズラ。案内するズラ。」

  「……今度こそ人外のバケモノとご対面かー。ダリい。」



 こうして変則勇者ご一行は『魔女』との対面を果たす為に足を進めるのだった……————。










 ————同時刻。木々に囲まれた森林地帯にて、爆風が辺りを散らした……。



 森にいる魔物達は爆音に驚愕し、辺りに散っていく。
 煙は辺りを充満し、その場にいた者達の視界を奪う。
 太陽も入らないこの森林では、煙は霧の様な働きをする。とはいっても、これでは前も見えない。

 派手な爆音できっと周りの魔物達はいなくなっただろう。好都合だと一人の青年は思った。

 その青年は騎士が被る様な白い兜を着け、白いマントを背中に羽織っていた。
 そのマントには、丸の中に星形が赤く書かれた紋章が大きく描かれている。
 これは我が組織、リバースの正装であるが今は煙で兜を脱ぎたくなった。
 衝動に任せて兜を脱いだ。正直暑い。こんなものを一年中着てられるかと言いたい。



  「————レオン、サラ、無事なら返事をしろ。」



 兜を脱いだ青年の声は以前よりも格段に透き通って聞きやすい。
 とはいっても自分の撒いた手りゅう弾のせいでこうなったのは自覚しているが。
 兜を脱いだのは自分だけではないはずだ。自分の仲間である二人も脱いでいるはず。


  「こちらサラ。問題ないわ。」

  「こちらレオンだ。……てか、無事か聞くならいきなり手りゅう弾投げるなよッ!!

   ……本当、てめぇは前置き無しで容赦ねぇな。————『徳宮』。」



 『徳宮』と呼ばれた青年は微笑して後ろにいた二人に微笑みかけた。


 ————フルネームは、『徳宮 征一 (とくみや せいいち)』。

 身長は170cm。兜を取った顔立ちは整っており、くせ毛の黒髪を短く切って清潔感がある。
 そしてどこから出したのか、霧が晴れるといつの間にかグレーのキャスケットの帽子を被っている。
 この三人の中で一応指揮を執ってるのは自分だ。多少の唐突さは許される範囲内だ。

 とはいえ、自分が振り回す側に立つのは珍しいなぁとつい感慨深く思ってしまう。
 いつも自分は振り回されてばかりだった。そう、幼馴染に……。



  「————キャハハ、びっくりしたじゃないのー。いきなり爆破なんてさぁー。」


 煙の中に高らかな声と共にうっすらと宙に浮かぶ影が一つ見える。
 その影は人影と呼ぶには不気味すぎる。霧が晴れるとその姿はさらに不気味さを増した。
 身長は約160㎝の女性だろうか。髪は金色で地面につくほど長いストレート。瞳はピンク。
 背中に翼が生えていて、全身赤く染まっていて、白い布きれを全身にまとっている。
 手りゅう弾をまともに食らったはずだったが、その姿に傷は一つも見えない。
 人外と呼んでちょうど良い程の不気味さと人間離れした姿だった。


  「さっきからそこの君、必死ねぇー。何? 守りたい人でもいるの? キャハハ!!」


 その人外は明らかに徳宮に向けて質問していた。人外にしては鋭いなと思った。
 そう、僕には守りたい人と世界がある。だからこうして人外とも戦う。


 たとえ自分の手が血で染まろうとも————



  「————僕の幼馴染と親友を守るためだ……!!」



 握りしめたハンドガンを人外の脳天に狙いを定め、引き絞って3回トリガーを引いた……————!!


Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.216 )
日時: 2013/12/19 17:40
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


         「パート3。」



 ————スラリンの案内で5分程歩いた後、景色は草原から森林に変わっていた。

 太陽の直射日光を木々達が防いでくれるため暑さは軽減されて涼しい。
 木々はまるで生きているかのように広範囲に繁殖しており、道らしい道などない。
 手でかき分けながら進んでいく御一行にはコンパスみたいな指針を示すものは持っていない。

 なので入る前から思っていた事だが、迷ったら一瞬で終わりだろうなと思う。
 とても軽装では入るべきではない場所だが、御一行はかなり軽装だ。
 森林などの遭難の可能性がある場所に準備もしないで飛び込むのは自殺行為だ。
 非常食の一つも持っていないが、源次達にはその心配は無縁と言ってもいい。
 どうせ30分というタイムリミットと共に自分達は元の世界に戻る。


  「ねぇースラリーん。こっちであってるのぉー?」


 紫苑はスラリンを両手で抱えて北か南かも分からない道を歩いて言った。
 その後ろには源次、フィーダ、那拓、柿原と続いていく。


  「大丈夫スラ。このまま真っ直ぐスラ。」


 スラリンは身体をフルフルと震わせながら相変わらず変わらない表情で言う。
 いつもニッコリ笑顔で変わらないスラリンの表情は時たまに不気味さを感じる。
 怒ってる時や真剣な時ぐらい表情が変わってもいいのにスライムとは無愛想な生き物だ。

 パキパキと地面に落ちた木を踏むたびに森林という静かな空間に音が響く。
 そういえば、源次達がここにきてからというもの、一度も魔物には襲われていない。
 さっきの草原も多くの魔物がいたが、普通なら襲ってくるものではないのか。
 あんな肉食で攻撃的なのはゲームの内部だけなのだろうか?


  「まぁそれなら無駄な戦闘が無くて楽だから俺ちんとしては大歓迎だけどねぇ。」

  「ははは、んなわけねぇじゃん」


 源次の安堵の呟きに反応したのは那拓だった。那拓は片手をあげてさも当然かの様に、



  「草原の魔物は比較的攻撃的じゃねぇのさ。まぁここの魔物もそうだけど。

  ————まぁ『魔女』がいじくった魔物が現れた場合はどうなるかはわかんねぇがな」



 ……その那拓の言葉に答える様に、ドシンという地響きが辺りを揺らす。

 今まで静かだった小鳥たちは飛び立っていき、何やら他の魔物が逃亡していく様も見える。
 その地響きはどんどん近くなる。揺れも比例して大きくなる。
 そしてバキバキと木々がなぎ倒される音が聞こえる。そして木々の間からその凶悪な姿を覗かせた。

 那拓のフラグ回収率は半端ないなと源次は嫌な汗をかいた……。



  「…………えーっと、森林の中にこんなどでかい魔物がお住みなんですかい?」

  「あー……普通はこの辺にはいない魔物だなぁー……」


 その魔物は一言でいうと、大きい機械人形だった。
 色の基調は水色。全長は10m程。4本の腕と足が特徴的だ。
 前方の腕2本には大剣、後方の腕2本にはボウガンが装備されている。
 こちらを凝視する一つ目の赤い目はこちらを敵と判断したようだ。

 源次の引きつった笑顔につられて那拓も同じような顔をして後ずさりする。
 唯一その魔物に向かって嬉しそうに一歩踏み出したのは、フィーダだった。


  「『スーパーキラーマシン』か、こりゃあ骨のある相手だ!!」


 腰の細身の剣を抜き、剣筋を目の前の敵に向ける。
 那拓は呆れ顔でフィーダに近づき、肩を掴んで引き戻す。


  「あほかッ!! こんなのとやってる場合かッ!!」

  「離せ那拓ッ!! 私はこいつと殺り合うんだ!!」

  「バカか、目的変わってんじゃねぇか!! おい、全員逃げ————」


 と、言いながら辺りを見渡すと、あら不思議。明らかに人数が足りない。
 森に入った時は確かに5人いたはずだったが、今は3人しか見えない。
 那拓とフィーダ、そして欠伸しながら敵を気だるそうに見ている柿原。


  「柿原、お前の連れはどうした!?」

  「あー、あいつらは全力で逃げてった」

  「とめろやッ!!」


 那拓の渾身のツッコミに呼応して周りからガチャガチャという音が聞こえてくる。
 見るとスーパーキラーマシンの回りから小型の機械人形がいくつもなだれ込んでくる。
 親分の呼びかけに応えてか、キラーマシンの大群がこちらに向けて武器を向けてくる。

 気付けば逃げるための退路も失い、囲まれている状況になってしまった。


  「ギギッ……ギギギッ……!!」


 小型のキラーマシンは唸るような機械音を鳴らし、滑る様に突進してくる。
 片手に持つ片手剣をキラリと光らせ、もう片方に持つボウガンで矢をばら撒かせる。

 すでに剣を抜いていたフィーダは矢を避けつつ、すり抜ける様にキラーマシンの隣を走り抜ける……。
 その数秒にはキラーマシンのボウガンを持つ左手は空中を舞い、気付けば解体され、爆破した……!!



  「けっ、雑魚どもは、引っ込んでなッ!! ————灰になりやがれッ!!」


 フィーダは咆哮して細身の剣に業火を纏わせる。
 目に見えるほど業火を纏った剣を身体を回転させ、衝撃波をまき散らす。
 業火を纏った衝撃波はキラーマシンの機体に触れると爆散した。
 暴れまくるフィーダの後ろ姿を那拓は苦笑して見ていた。


  「……楽しそうだ、あいつ……。」


 頭を抱える暇もなくキラー—マシンがなだれ込んでくる。
 さすがにフィーダ一人では荷が重いと思ったのか、那拓も仕方なく剣を抜いた。

 その瞬間、那拓の雰囲気が柿原にも分かるほど変わった……。
 さっきまでそれなりに静かだったのに、剣を抜いた途端に顔が変わった。
 まるで無邪気な戦闘大好きと言わんばかりの笑顔で、那拓は自身の剣を握りしめ、



  「HAHAHA、死ねええええええええ!!!!」


 吠える様に暴風が剣の周りに纏わりつき、その剣を横切りに一閃する。
 切れ味の良い風の真空波が前方に弾き出され、群がっていたキラーマシンの装甲を切り裂くッ……!!

 一振りでは留まらず、次々と剣を振り回して衝撃波を周囲に向けて飛ばしていく。
 衝撃波を受けて真っ二つになったキラーマシンは次々と大破していく。
 そんな光景に先ほどまでそれなりに冷静だった那拓は今では人が変わったように楽しんでいる。
 あれがもしかしたら那拓の本性なのかもしれない、と柿原は苦笑した。


 ……だがその光景を親玉であるスーパーキラーマシンが黙っているわけがなかった。



  「ggggggッ……ggg!!!」



 機械音と咆哮が混じった言葉にもならない唸り声を上げる。
 スーパーキラーマシンは4本の足で地面を蹴り上げ、その場から大きく跳躍する。
 フィーダや那拓達のいる真上へと移動し、大きな巨体が影を作り出す。


  「————……!!」


 フィーダと那拓は同時にスーパーキラーマシンの接近に気付いたが、少し逃げ遅れた。
 その場を離れようと試みるには時間が足りな過ぎた。このままでは、攻撃をまともに食らう。
 すでに前方の2本の大剣が振り上げられている。あんな巨体の大剣を受けきれるだろうか。

 だがやるしかない。なんとか奴の攻撃を致命傷にならない程度に流せれば……————



  「————……させねぇよ。」



 スーパーキラーマシンの2本の大剣が振り下ろされた瞬間、チラリと見えた人影。

 フィーダ達とスーパーキラーマシンに割り込む様に間に入り、
 人影は片手に持つ巨大の棍棒を振り回し、その攻撃を真っ向から防いだ……!!

 その振り下ろされた2本の大剣と棍棒の間に風圧が巻き起こる。
 その風圧に屈することなく、真正面からその攻撃を受け止めた人影は、



  「……柿原ぁ!?」


 確かに、見間違う事もない。柿原の姿がそこにあった……————!!




      ————————第24幕 完————————

Re: もしも俺が・・・・。『フィーダと那拓。』 ( No.217 )
日時: 2014/01/03 18:19
名前: ヒトデナシ ◆QonowfcQtQ (ID: j553wc0m)


    ————第25幕 『もしも俺(様)がドラクエの世界に行ったのなら……3。』————


           「パート1」



 ————柿原召という男は、めんどくさい事が嫌いな少年だった。


 いつだって遊びが大好きで、冒険が大好きな無垢な少年。
 だがそんな普通に、現代にいる少年でも、たった一つの『個性』で世界は変わる。
 柿原の持っていた個性は、『鬼を召喚することが出来る』という能力だった。
 目覚めたのは比較的早く、小学校の時にはすでに発現していた。

 ……そして同時に、周りに恐れられたのもちょうどその時からだった。

 強大な力は振るう振るわないに関わらず、周りに恐怖を振りまく。
 柿原が能力者と言う事実だけで、恐怖を振る撒くには十分な材料だった。
 今まで一緒に遊んでいた友達も、いつの間にか自分を化物だと罵った。

 そして気づけば、自分は一人になっていた。孤独という、小学生には残酷な現実だった。
 その頃から、柿原は感情をコントロールできるようになっていた。
 どちらかと言えば何事にも熱血な彼が、冷静沈着になった瞬間でもあった。
 たった一人で生きることに、柿原は辛いとは感じなかった。
 けれど、つまらないとは思った。寂しいとも思った。
 だが、望んでも手に入らないと言うのに、それを求めたって仕方なかった。

 ……だから彼は諦めていた。諦めようとしていた。

 彼が……現れるまでは、



  『————なぁ、喧嘩しようぜ。』



 そんな奇妙な出会いが、柿原の人生を大きく変えていったのだった……————。




  「————…………ggggggッ!!」



 スーパーキラーマシンは自身の振り下ろした大剣が防がれた事に腹を立てている様に見えた。
 その二本の大剣を防いだのはその大剣と同じくらいの大きさをした棍棒だった。

 棍棒を持っていたのは、先ほどめんどくさそうに傍観していた柿原だった。
 ギリギリと剣と棍棒がぶつかり合う音に、柿原はまるで奇怪音を聞かされたかのような不快な顔をしていた。
 力は互角。どちらも一歩も譲らない。空中で力比べをしているかの様であった。


  「……あー、めんどくせぇ。さっさとやられろー化物」


 柿原は片手で持っていた棍棒を両手に持ち直す。そしてグッと両手に力を入れ、


  「————よっと。」


 スーパーキラーマシンの2本の大剣を力一杯に押し返した。
 スーパーキラーマシンは自身ごと大剣と共にさらに空中へと打ち上げられる。

 ————今現在、柿原は本当の『バケモノ』と呼ばれても差支えがない状態であった。

 柿原には元々こんな大きな棍棒を振り回せるほどの腕力などない。あくまで柿原自身は普通の人間なのだ。
 しかし彼の元々の能力に、『鬼を召喚できる』という能力があり、
 その召喚した鬼と同化する事により、『所有者』の基礎能力を数十倍に上げることは可能だった。

 ……彼はこれを、『鬼神化』と呼んでいる。

 つまり柿原の身体には現在、一体の鬼が同化している状態なのだ。
 それが自分よりもはるかに大きい棍棒を振り回すことを可能にしている。
 とはいえ、柿原自身はあまりこの力を好まない。
 やはり彼の心の根本には『めんどくさい』という感情があるせいか、自分が戦闘する事を好まない。
 鬼にさせている方がずっと気楽なのだから、自分が戦う必要もないのだ。

 だが、さすがに仲間がやられそうになっているのを見て傍観と言うわけにもいかない。
 しかもスーパーキラーマシンは早い。自分の鬼達は力はあるが、機動力は皆無だ。
 飛ぶことも跳ねることも出来ない奴らには、スーパーキラーマシンの俊敏かつ豪快な攻撃に対応できない。
 こうなれば自分がやるしかない。非常にめんどくさい事だが……。

 柿原はスーパーキラーマシンを空中へと飛ばした後、自身も大きく跳躍した。
 スーパーキラーマシンよりもさらに跳躍し、手に持つ棍棒を大きく真上に振り上げる。
 スーパーキラーマシンは真上にいる柿原の攻撃を危険と判断してか、両手の二本の剣を防御に集中させる。

 だが柿原そんな防御など気にしない。ただ力一杯に————


  「おおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」


 ただ力一杯、スーパーキラーマシンに向かって棍棒を振り下ろしたッ!!

 突風と共に棍棒は風を切り、スーパーキラーマシンの二本の剣の上から容赦なく叩き込む。
 力一杯振り下ろした棍棒は見事二本の剣を叩き折り、スーパーキラーマシンも外部に損傷をうけながら、
 キラーマシンの密集する地面へと大きな音を立てて受け身することなく叩きつけられた。
 地面では叩きつけられた時の衝撃によって生まれた砂埃が舞っている。
 下にいるフィーダと那拓も思わず顔を塞ぎ、砂埃と衝撃をやり過ごしていた。

 そんな中、柿原は持っていた棍棒と共にドシンと重い音を立てて地面へと降り立った。
 首をコキコキと鳴らし、気だるそうに空を見上げた。ああ、今日も良い天気だ、と思った。


  「『今日も良い天気だ。』じゃねぇ!! 危うく俺らまで巻き添え食らうとこだったわ!!」


 心を読み取って言う那拓の表情はまるで冷や汗をかいたように焦った表情をしていた。
 そう言えばちょうどスーパーキラーマシンを叩き落とした地点に、二人も見えたような気がする。


  「いやー、まぁいいだろー。生きてたんだしー。」

  「おい柿原、あんた意外と強かったんだな。てっきりただのニートかと思っていたが。」

  「……俺、まだ中学生なんだけど。」


 フィーダにニートと言われたのは多分柿原がメンドイとばかり口にしているからだろう。
 柿原は一度ため息をついてから、片手をヒラヒラと上げた。


  「お二人、後はよろしくー。俺疲れたから鬼出して座っとくわ。」

  「……一度でもやるじゃねぇかと思った私が馬鹿だった。あんたはただのニートだ。」

  「疫病神よりはマシな職業だなー。」

  「おまっ……なぜそれを知ってやがる!? …………なたぁぁぁくッ!!!!!」


 フィーダの事を疫病神と呼ぶのはこの世に一人しかいない。那拓だ。
 那拓の方に向き直ると、那拓は分かりやすい表情をしていた。何の事だ? ともいわんばかりに。
 明らかに嘘をついているような顔であった。


  「……ほらフィーダ。ボスはもう瀕死状態だし、残りは雑魚だ。片付けに行くぞー。」

  「てめッ……無視してんじゃねぇぞこらぁぁ!!


 チンピラの様なフィーダと口笛を吹いたままキラーマシンと戦う那拓。
 そして柿原はまるで自分の仕事は終わったと言わんばかりに一本の手ごろな木へもたれて座った。
 『鬼神化』はすでに解いている。後はさっき召喚した3匹の鬼達がフィーダと那拓を手伝う事だろう。

 柿原は大きな欠伸を一度すると、口喧嘩をしつつ戦うフィーダ達を見て、微笑した……————。



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