複雑・ファジー小説
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- 劣愛ラヴァーズ:
- 日時: 2013/08/12 23:26
- 名前: ふうり ◆frQIpcqigM (ID: LcDNzAC/)
「——————腑抜けた男はキライなの」
生意気な子羊君と、
「これ以上我慢できない」
…ちょっとxxxな学校生活。
***
◎Attention!
・この作品には所々に微裏表現が含まれています。
15歳以下の方の閲覧は推奨しません。
・更新は不定期です。
・誤字、脱字等はコメントでコソッとお教えくださいませ(笑)
・中傷はご勘弁。筆者は生粋のガラスのハートの持ち主です。
>>01 登場人物紹介
- Re: 劣愛ラヴァーズ ( No.2 )
- 日時: 2013/08/11 00:12
- 名前: ふうり ◆frQIpcqigM (ID: LcDNzAC/)
“恋愛”なんて、所詮遊びの範疇。
やる事やって、飽きたら終わり。
ずっと、そう思ってた。
***
朝。
「…おはよ」
クラスメイト達に適当に挨拶し、向かうは一番窓辺側の一番後ろの席。
無造作にカバンを机に下ろし、自身も倒れこむように椅子に着いた。
日当たり抜群。
この席は、密かな私のお気に入りだ。
(眠い…)
ふあ、と大きな欠伸を漏らし、頬杖をついて目を瞑る。
(いつから、こんな事になっちゃったんだろう)
***
「—————ねえねえ緋南、聞いた聞いた聞いた!?」
耳をつんざくような高い声を発しながら、どたどたと駆け寄ってくる足音。
派手なネイルで飾られた左手に握られているのは、新発売のお菓子。
…そういえば、この間「食べてみたい」とか言ってたっけ。
「今日転校生が来るんだって!!なんでもイケメンらしいよ!!!」
リオは物凄い剣幕で言い切ると、次の瞬間にはうっとりとした表情を浮かべた。
「…アンタ彼氏いるんじゃなかったっけ」
いつの間にか私の隣に座っていた美麗が、鮮やかに吐き捨てる。
「それとこれとは別…ってかリオのお菓子取らないでよっ!」
「いいじゃん一個くらい。ケチだね〜」
「…」
(転校生…ね)
ギャーギャーと騒ぐ二人を尻目に、私は再び目を閉じた。
- Re: 【R-15】劣愛ラヴァーズ ( No.3 )
- 日時: 2013/08/12 14:22
- 名前: ふうり ◆frQIpcqigM (ID: LcDNzAC/)
「—————…まーだ女子はギャーギャー言ってんのかよ」
不意に耳に入ってきた、聞きなれたその声。
金髪混じりのブロンズの髪を風に揺らし、ダルそうにドアの梁にもたれかかっている。
「カズマ!!」
リオが叫んだ。
「イケメンの転校生とかマジ萎えるわー…」
カズマが近づいてきた途端、
ふと鼻を掠める、女物の香水とタバコの匂い。
(こりゃー昨日も相当盛り上がったな…)
カズマと私は、いわゆる"幼馴染"って奴だ。
クラスも同じで、こうして私達に会いに来る事も日常茶飯事。
「あはは、十分あんたもモテてるでしょうが」
美麗が呆れたようにからかう。
はっきり言って、カズマはモテる。
来るもの拒まずな性分だから、私が気付かないうちに彼女が変わっていることもしばしば。
本人は気付いていないけど、今もこうしてクラス中の女子の視線を集めている。
酒の味も、煙草の味も、女の味も知り合えてる。それがカズマだった。
「…ま、いいや。今日の帰り4人でどっか食ってこーぜ」
「え、あたし今お金無いよ」
「緋南の分くらい奢るって!この間バイト代はいったし」
「えっちょっとリオは!?緋南だけ特別扱いずるいー!!」
リオがブーブーといじけはじめる。
そんなやりとりを見てか、美麗は面白そうに茶化して言った。
「…実はなんやかんやでカズマは緋南の事が好きなんだったりしてー♪」
「はあ!?」
ナイナイ、と私が顔の前で手を激しく振る。
私とカズマは幼い頃からずっと一緒だったから、兄弟みたいな感覚だし。
いくらいい奴とはいえ…遊び人の彼女なんてゴメンだ。
「そんなの、幼馴染だから良くしてくれてるだけで…ね、カズマ」
同意を求めるように、カズマの顔を覗き込む。
「…」
何も言わないカズマ。
目の焦点が合っていない。
「カズマ…?」
「———ッ!」
心配になって声をかけると、
ハッとしたようにカズマの目が開いた。
「…わり、考え事してたわ」
珍しく、バツの悪そうな笑顔を浮かべるカズマ。
右耳のシンプルなピアスが、一瞬太陽に乱反射した。
「カズマが考え事とか…どーせまたエロい事でしょっ」
さっきの事もあってか、リオが毒づくように吐き捨てる。
(…あのカズマが考え事なんて珍しい)
なんだか違和感を覚えたけれど、
それ以上考えるのもアホらしい気がして、私は思考回路を停止させた。
- Re: 劣愛ラヴァーズ: ( No.4 )
- 日時: 2013/08/31 10:33
- 名前: ふうり ◆frQIpcqigM (ID: CFE7lDA5)
「今日は皆に転校生を紹介するぞ!」
直後のホームルーム。
いかにも体育会系で、現在婚活真っ最中の担任・牧野が、満面の笑みを浮かべて言った。
教室内は未だ落ち着きを取り戻していない。
「さあ、入ってきなさい」
牧野が、ドアの向こうにいるであろう人物に合図する。
ごくり。その場にいる全員が固唾を呑んだ。
「—————…わ、」
斜め後ろに座っているリオが、誰よりも早く声を上げた。
「…北澄、伊織です。よろしくお願いします」
癖のある黒髪を、サラサラと風にたなびかせながら。
色白の肌に、左目尻に添えられた涙黒子。
たれ目気味の目は、褐色の瞳を隠すかのように長いまつげが覆っている。
まだ慣れない制服に制服に身を包んだ、彼の第一印象は。
(…女の子みたい)
「お前ら仲良くするんだぞー!」
ワハハハと笑いながら、牧野が彼の背中をポンと叩く。
案の定、彼は線の細い身体をぴくりとさせて、小さく前によろけた。
「せんせぇー!!初日から転校生になにしてんだよ!」
男子生徒の一人が、嘲笑を交えて声を上げる。
確か、前の学力テストで学年4位だった秀才君だ。
「ハハハ…悪いな。とりあえず北澄は…丘岸の隣でいいか!」
一瞬「え、」と戸惑ったけれど、
牧野になんだか『余りもの』扱いされた気がして抗議する気も失せた私は、小さく目を伏せた。
「…よ、よろしく」
彼が横に座ると同時に、躊躇しながらも一応声を掛けてみる。
周りの女子からの熱視線が痛くてしょうがない。
おそらくこの後、私は女子軍にさり気無い妬みの言葉を浴びせられ、
抵抗しない私を見て満足した後、彼に質問の嵐を浴びせるのだろう。
面倒な事に巻き込まれてしまった。と心底うんざりする。
理不尽だと知っていても、『君のせいで余計な事に巻き込まれたのだよ、転校生君』
という気持ちが湧き上がって仕方が無かった。
「…」
そんな私の感情を悟っていたのか、彼は凛と黒板を向いたまま、返事をしない。
なんとも美しい無視の仕方だな。と少し感心してしまった。
(きれーな横顔…)
正直"転校生"に興味の欠片も無かった私だけれど、これは女子がキャアキャア騒いでも仕方が無いと思った。
私の視線に気づいたのかどうなのか、ふと彼がこちらを向く。
当然、目が合う。
彼の瞳に、吸い寄せられる。
「こちらこそよろしくね」
なんて、突然目元を綻ばせて笑顔で言うものだから、
それは反則でしょ、とか思ってしまった。
- Re: 劣愛ラヴァーズ: ( No.5 )
- 日時: 2013/08/30 12:16
- 名前: アサギ (ID: tBS4CIHc)
高校生で良かったなと思いました。…なんたってこの小説が読めるから!!
…初対面なのにすみません。失礼しました(笑)
すごい惹き寄せられる文ですね!!面白い話です
転校生くんのキャラが気になりますねー(*´∀`)
続き、楽しみにしてます♪(≧∇≦)
ではでは!!
- Re: 劣愛ラヴァーズ: ( No.6 )
- 日時: 2013/08/30 21:52
- 名前: ふうり ◆frQIpcqigM (ID: CFE7lDA5)
わわわ、初コメありがとうございます…!(´`*)
いいなぁ。高校生に戻りたい(笑)
伊織はいろんな意味で不思議くんなので、精一杯キャラの魅力を引き出せるようになれたらなあと。
はい、更新頑張ります!\(^^)/
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