複雑・ファジー小説
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- 学校内戦争—戦慄の組曲
- 日時: 2013/10/05 11:44
- 名前: 古都 (ID: g7gck1Ss)
アルマンド—中庸な速度の4拍子か2拍子の始まりの曲
『私達は学校から抜けられない。この戦争が終わるまで』
「千春ー!この箒、折れてるぞー!」遠くから声がきこえる。
「えー?別に箒なんて戦力にならないからいいでしょー?」言い返す。
「いや、非常用だから、壊れてたら大変なんだよ」声が近づいてくる。
「非常用ってどんな時なの」ちっと舌打ちする。
「うっせー修理しろぉー」声が耳元のすぐそこまで届く。
「ったくめんどくさいなぁ。武器修理も楽じゃないよぉ」また舌打ちする。
「俺みたいに危険が伴ってる係よりいいだろ」河崎が睨む。
「あんたのはさぁ、待遇すごいじゃん。うちらはまるでゴミ」睨み返す。
「そりゃ、俺らいつ死ぬかわかんないしな。いつ死んでもいいように、いつでも待遇よくしてるんじゃね、ほら、あるじゃん、死刑囚の最期って、すっげぇいいもん食わせるって。」急に真剣な顔になる。
「…」黙る。
「なんだよ」
「河崎ってさ、たまに怖いこと言うよね。」ため息混じりにそう言う。
「そうかなぁ」ぼけっとした顔に戻る。
「あと最近河崎さぁ、やけにいい思いさせてもらってんじゃん。なんで」毒づく。
「えー?ああ、こないだなぁ、俺のおかげでB組に勝ったんだよ」
「はぁ?あのメチャ強いB組にぃ?なんでどうしてよ」
「えへへ、企業秘密。」
「…もうすぐ死ぬってわけじゃなかったんだ」そっと毒づく。
「あ、それヒドイ。」河崎がむかっとする。でもすぐに笑う。私もつられる。
二人で、あははと大口開けて笑った。
河崎が戦死したのは、この翌日だった。
偶然だったのか。
それとも河崎は、死ぬと決められていたのか。
河崎は、死ぬ直前に何を思ったのか。
「頭おかしいよね、この戦争」
「でも、戦わなきゃいけないんだよね」
「本当に皆、戦死なのかなぁ」
「それ以外でどうやって殺すのよぉ」
「あ、そりゃそだね。」
「あはは、千春ときどきわけわかんないこと言うよね。」
そういえばね、と桃華の世間話が始まった。
いつもどおり、きゃははと笑いあった。
この時の私たちは、完全にどこか異常だった。