複雑・ファジー小説
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- Heros☆ コスモス
- 日時: 2013/11/25 20:04
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
彼女は、自分たちのリーダーだった。
静かで、強くて、大好きなリーダーだった。
自分たちの、正義の味方としての、一年間。
☆キャスト☆
☆旭 愛 あさひ あい
☆宮地 裕侍 みやち ゆうじ
☆木嶋 竜介 きじま りゅうすけ
☆金子 すみれ かねこ すみれ
☆火影 巧 ほかげ たく
☆井水 幸汰 いみず こうた
☆天童 晋弥 てんどう しんや
☆土井 直輝 どい なおき
☆海津 亮人 かいづ あきと
☆冥賀 眞那 みょうが まな
☆石雨 美音 いしさめ みね
☆宍戸 颯天 ししど はやて
☆山田 健人 やまだ けんと
★サタン
★プルートー
- Re: Heros☆ コスモス ( No.73 )
- 日時: 2014/02/04 05:10
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
こちらに向けられた銃口と、擦れた服。
これだけでも嫌な想像ができるのに、晋哉は見つけてしまった。
「これって、銃弾?」
銃口を向けている少年は、「サタン」と名のっていた。
「サタン、悪魔………。」
晋哉の言葉にサタンは顔をしかめる様子もなく、むしろイタズラがバレた子どものように笑った。
「そう、私は悪魔。君たちを消すためのね。」
銃を払いおとさなけれぱ。
木島は一歩前に右足を出して、そのまま引いた。
サタンがつけているのはハンドガンだった。
「ここでもまた、何もできない………。」
木島は歯がゆい思いを押さえながら、ただ少年を見つめていた。
どこかから渇いたものが弾ける音がした。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.74 )
- 日時: 2014/02/04 19:38
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
何かが弾ける音。
クラッカーを鳴らした音に近いが、そんな呑気なものでないことをここにいる八人の少年少女は知っている。
「宮地くんっ……。」
「動いたら、撃つ。」
宮地の一言に急に緊張が走る。
ほとんどのメンバーは変身済みだが、旭一人は呆然としている。
「ほう、ずいぶんと真剣ですねえ。」
「当たり前だ。七対一で勝てるとでも思ったのか?」
晋哉は急に痺れるような感覚を覚えた。
「上から!?」
落ちてくる、巨大な刃物。
「うわっ!」
「いやあああああっ!」
それは真っ直ぐに、晋哉の上に落ちた。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.75 )
- 日時: 2014/02/09 15:23
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
晋哉めがけて落ちてきた刃物は、彼に触れると粉々になった。
「え?」
ただ皆が呆気にとられているなか、一人の少年が不敵に笑う。
「相当便利な能力だね、これは。」
宮地が目を凝らすと、晋哉の周りに何かが見えた。
彼を覆う透明な膜、
「結界か、厄介なヤツもいるもんだ。」
「サタン、お前の勝率は大幅に減った。退散するんだな。」
木嶋がいうと、仮面をつけた口元から笑みがこぼれる。
「じゃあ、そのわずかな勝率に賭けてみようかな。」
地響きと共に黒い影のようなものが地から現れる。
ゆっくりと人の形になったそれは、すぐさまヒーローズに襲いかかった。
「七対八。文句はないだろう、なあ?」
サタンはずいぶんとご機嫌だ。
逆転できた安心感だろうか。
後ろに影がせまる。
宮地はサッとうしろを向いて引き金を引いた。
勝った。
そう思った。
しかし、相手の体は穴が開いただけだった。
「銃が、きかない—!」
次のの瞬間、影は崩れた。「」「」「」「」
- Re: Heros☆ コスモス ( No.76 )
- 日時: 2014/02/09 16:19
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: JJibcEj3)
崩れた影の後ろに立っていたのは、火影だった。
そして彼の手には大きな爪のついた手袋がはめられていた。
「俺の能力!」
火影は満面の笑みでいうと、次々と影を倒していった。
銃では一点を貫くことしかできないが、火影の爪なら本体を丸ごと崩すことができる。
そして彼は背が低い分誰よりもすばしっこい。
駆けるように敵を倒すと、彼はガッツポーズをした。
「俺の能力!」
サタンは悔しそうに唇を噛み、気づかれないうちに校庭を去った。
ヒーローズのアジトと、同等の空間に存在する屋敷。
暗く、闇というカーテンで覆われた部屋に、仮面の少年は入る。
未だに慣れない寒気を振り払いながら、少年は進む。
紫色の階段のところで、ひざまづく 。
「申し訳ございません。私では、力及ばず……。」
「そんな報告はいい。それだけなら早く帰りなさい。」
冷たい機械のような声が響く。
耳の奥に不快感を覚えながらも、仮面の少年は続ける。
「いえ、ヒーローズのメンバーの一人の能力が出たようです。」
「ああ、そう。もう用はない。帰っていい。」
「はい……。」
少年は部屋を出ると胸の奥に冷たいものがくっついてしまったように感じた。
それがだんだんと大きくなって、息苦しくなると少年は思っていた。
少年は、人を愛せなかった。愛したと思えなかった。
常に心の奥底は渇いていた。
生きるために「人気者」という仮面を被って、どこか冷たい眼で世界を見つめていた。
少年は正体を隠すためにつけた白い仮面とシルクハットをとると、またいつもの小学生に戻って、日常の世界へ消えた。
- Re: Heros☆ コスモス ( No.77 )
- 日時: 2014/02/17 22:03
- 名前: 雅 ◆zeLg4BMHgs (ID: rjNBQ1VC)
ヒーローズのアジトに僕らはいる。
この呼び方も完全に定着した。
「もう、火影ヤバすぎ!マジすばい!」
「すばいって何語だ?」
「うっさい井水!『素早い』と『すごい』の合体だし!」
相も変わらず賑やかな三人組。
それと対照的に隅の椅子に腰かける旭。
目が虚ろで顔もかなり青い。
見かねた木嶋が声をかけた。
「おい、大丈夫か。体調悪いなら、早く家に……。」
「大丈夫、大丈夫だから。」
「大丈夫じゃないよ、何かあるなら聞くから。」
晋哉がいうと旭は一度迷ったような顔をし、それから真っ直ぐ彼の目を見た。
「今までは、敵がどこにいるか何となくわかったの。
でも、今回は、わからなくて。最近ドンドン薄れてる気がしたから。
このままじゃ、私のせいで、皆が……。」
「リーダー、会議なら俺らも呼んでよー!」
能天気な井水の一言に木嶋はムスッとした。
「リーダー…………。」
しかし、旭は別の単語に惹かれていた。
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