複雑・ファジー小説

〜闇の系譜〜(外伝)
日時: 2018/03/09 21:42
名前: 狐
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16085

 皆さん、こんにちは!銀竹と申します。

 ここでは、『〜闇の系譜〜』の小話をちょこちょこ書いていきたいと思います。
完全に狐の遊び場と化していますが。ご容赦下さい(笑)

 もし物語に関するご要望等あれば、ぜひ仰って頂けると嬉しいです(*´▽`*)

〜闇の系譜〜シリーズの順番としては
ミストリア編(上記URLの最後の番号五桁が16085)
サーフェリア編・上(17224)
サーフェリア編・下(19508)
アルファノル編(18825)
ツインテルグ編
となっております。
外伝はどのタイミングでも大丈夫です(16159)。
よろしくお願いいたします!

…………………………

ぜーんぶ一気に読みたい方→ >>1-300

†登場人物紹介・用語解説† >>1←随時更新中……。
割とどうでもいい登場人物詳細 >>122-123

『三つ編みの』 >>2-3 >>5-11
──トワリスの三つ編みの秘密に迫る……!

『おまじない』 >>12-13 >>15 >>17-21
──なんとかは風邪を引かないと言いますが、ユーリッドは引きましたね。意外です。

『忘却と想起の狭間で』 >>22-27 >>30-31 
──外伝ですが、結構暗い内容です。しょんぼりアドラさん。

『悪魔の愛し子』 >>34-38 >>40-41 >>44-45 >>48-52
──なんとかは風邪を引かないと言いますが、ルーフェンは(略)。

『ずるい人/卑怯な人』 >>54-71>>72-88 >>91-92
──ファフリもトワリスも、物好きだなとよく思いますw

『赤ずきん』 >>94-95
──ずっとやりたかったパロディーもの。とにかく下らないです。ただの狐の自己満足です。

『酩酊』 >>100-101 >>104-105 >>107-113
──真面目な人ほど、酔うと面倒くさいよねっていうお話です。

『とある魔女の独白』 >>116-118
──サーフェリア編を最後まで書いて、そのあとにこれを読んだら、また見方が変わるんじゃないかな……という願望(笑)

『桃太郎』 >>126-128 >>130-132 >>135-137
──これまたすごくどうでもいいパロディーもの。ちょっと汚らしいので注意ですw

『シンデレラ』 >>138-140 >>142-160
――リリアナさん初出演のパロディーもの。本編とは全くの別物です!(笑)

『〜闇の系譜〜座談会』
──ひっどい内容です(笑)世界観をぶち壊す発言、登場人物のキャラ崩壊が満載ですので、閲覧注意。
【第一回】オーラント×トワリス
「アドラ生存ルートの可能性について」 >>119
【第二回】ルーフェン×ハインツ
「ミス・闇の系譜は誰だ」 >>121
【第三回】ジークハルト×リリアナ
「応援歌を作ろう」 >>129
【第四回】ユーリッド×半本とどろき(ゲスト)
「世界線を越えて」 >>141

……………………

【完結作品】
・〜闇の系譜〜(ミストリア編)《複ファ》
ミストリアの次期召喚師、ファフリの物語。
国を追われ、ミストリアの在り方を目の当たりにした彼女は、何を思い、決断するのか。

・〜闇の系譜〜(サーフェリア編)上《複ファ》
サーフェリアの次期召喚師、ルーフェンを巡る物語。
運命に翻弄されながらも、召喚師としての生に抗い続けた彼の存在は、やがて、サーフェリアの歴史を大きく変えることとなる――。

【現在の執筆もの】
・〜闇の系譜〜(サーフェリア編)下《複ファ》
三街による統治体制を敷き、サーフェリアを背負うこととなったサミルとルーフェン。
新たな時代の流れの陰で、揺れ動くものとは――。

・〜闇の系譜〜(外伝)《複ファ》
完全に狐の遊び場。〜闇の系譜〜の小話を載せております。

・人語を知らぬきみたちへ《複ファ》
さあ、人語を知らぬきみたちよ。
ただどうか、共に在ることを許してください。

【執筆予定のもの】
・〜闇の系譜〜(アルファノル編)《複ファ》
ミストリア編後の物語。
闇精霊の王、エイリーンと共に、突如姿を消したルーフェン。
召喚師への不信感が募っていく中、トワリスは、ルーフェンの後を追うことを決意するが……。
アルファノル興国に隠された真実、そして、召喚師エイリーンの思惑とは――?

・〜闇の系譜〜(ツインテルグ編)《複ファ》
アルファノル編後の物語。
世界の流転を見守るツインテルグの召喚師、グレアフォール。
彼の娘である精霊族のビビは、ある日、サーフェリアから来たという不思議な青年、アーヴィスに出会うが……。

……ギャラリー……

ルーフェン&トワリス  >>14 >>93 >>114
ルーフェン&シルヴィア >>98
ルーフェン       >>122
ミストリア組      >>97
ユーリッド&アドラ   >>99
ファフリ        >>39
ファフリ&トワリス   >>121
エイリーン       >>119
ロゴ          >>120
サーフェリア      >>123

※いくつかリンクが切れていて、過去絵が発掘できなかったので、掲載イラストを多少変更しました><
ここに載せているのはごく一部で、基本的にイラストはTwitterにあげておりますので、もし見たい!って方がいらっしゃいましたらこちらにお願いします。→@icicles_fantasy

【頂き物】 >>16 >>53 >>98 >>99

……お客様……

夕陽さん
ヨモツカミさん
蓮佳さん
まきゅうさん
亜咲りんさん
ゴマ猫さん

【お知らせ】
・ミストリア編が、2014年の冬の大会で次点頂きました!
・サーフェリア編・上が、2016年の夏の大会で銅賞を頂きました!
・2017年8月18日、一作目のミストリア編が無事完結しました!
執筆開始してから約三年半、応援して下さった方々、本当にありがとうございました!
・ミストリア編が2017年夏の大会で金賞を頂きました!
・サーフェリア編・上が、2017年冬の大会で次点頂きました!
・2018年2月18日、二作目のサーフェリア編・上が完結しました!
いつも応援して下さってる方、ありがとうございます(*^▽^*)

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.145 )
日時: 2018/04/03 20:47
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE



 正門に並んでいた門衛に事情を説明し、なんとか王宮内に入れてもらうと、大広間では、既に舞踏会が始まっていました。
豪華な食事に手をつける者や、楽しげに談笑する者、楽団の演奏に合わせ優雅に踊る者など、沢山の人々が、皆思い思いに過ごしています。

 リリアナは、同じく舞踏会に参加しているはずのアドラ義母さんと、二人の姉であるアレクシア、キリスに見つからないよう、こそこそと人々の間に入っていくと、ひとまず、料理が並ぶテーブルの近くに着きました。

 どうやら、リリアナのような平民階級の人々は、食事に夢中になっている者がほとんどのようです。
折角来たのだから、流れる音楽に合わせてダンスをしてみたい気持ちもありましたが、大広間の中心で踊る、きらびやかな貴族たちの輪に入っていくのは、少し躊躇われました。

(まあ、よく考えたら、ダンスなんて踊ったことないし、仕方ないわよね)

 近くの大皿に盛り付けてあった肉団子を口に放り込み、リリアナは、華やかな貴族たちのダンスを、ぼんやりと見つめていました。

 王宮に来るまでは、夢に見るくらい、舞踏会で王子様と踊ることに憧れていたのに、何故でしょう。
今は、美味しい食事も、優雅に踊る貴族の男女も、リリアナの目には、それほど魅力的なものには映りませんでした。

 ふと、視線を落とすと、裂かれた布切れに包まれた自分の足が、目に入ります。
先程、正門への行き方を示してくれた、大男が巻いてくれたものです。
彼の温かい手の感触を思い出して、リリアナは微かに嘆息しました。

(結局、名前を聞きそびれちゃったな……)

 舞踏会を抜けて、今からでも彼を追いかけようか。
そう考え付いた、その時でした。
不意に、音楽が止んだかと思うと、辺りにざわめきが走り、その場にいた者達の目が、広間の大階段へと向かいました。
本日の主役──王子ルーフェンが、ようやく姿を現したのです。

 人々が見守る中、護衛のトワリスを連れ立って、ルーフェンが、ゆっくりと階段を下り始めます。
一歩、また一歩と踏み出す度に、透き通るような銀髪が揺れ、左耳に下がる緋色の耳飾りが、きらりと光りました。
余計な装飾のない、深蒼を基調としたシンプルな正装は、王子の優美さを一層際立たせています。

 伏せられた睫毛を上げ、どこか神秘的な雰囲気を孕んだ銀の瞳を大広間に向ければ、人々が感嘆の声を漏らします。
一心にこちらを見上げる者達を見渡しながら、ルーフェンは、美麗な笑みを浮かべたのでした。

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.146 )
日時: 2018/04/04 06:45
名前: 爆走総長ナオキ ◆UuU8VWSBGw



この小説

おもしろいと 思うよ?

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.147 )
日時: 2018/04/10 19:28
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE



 周囲を警戒し、気配を探っていたトワリスは、ルーフェンを見つめる人々の中に、懐かしい赤髪を発見すると、思わず呟きました。

「あれ、リリアナ……?」

 その声に反応して、ルーフェンが、小声で答えます。

「知り合いでもいた?」

「あ、はい。あの、赤髪を二つに結ってる子が……」

 同じく小声で答えて、トワリスがリリアナを見つめます。
ルーフェンは、沢山いる人々の中から、該当するであろう赤髪を見つけると、トワリスの方に振り返りました。

「テーブルの近くにいる子?」

「はい。ちょっと遠くて見えづらいけど、多分そうです。リリアナは、私の幼馴染みで……。まさかこんなところで会うと思わなかったので、ちょっと驚きました」

 僅かに頬を緩ませて、トワリスが言います。
ルーフェンは、ふーん、と返事をしてから、少し面白そうに笑いました。
そして、トワリスを置いて、階段を下りると、真っ直ぐリリアナの元に歩き始めました。

 驚いた人々が、ルーフェンの通り道を空け、その行方を見守ります。
そうして、リリアナの前にたどり着くと、ルーフェンは尋ねました。

「君が、リリアナちゃん?」

「えっ、はい……えっ!?」

 動揺したリリアナが、思わず持っていた串から肉団子を落としかけて、慌てて口に投げ入れます。
まさかルーフェンが、自分の前で止まるとは思わず、リリアナは、急いで口の中のものを飲み込みました。
 
「はいっ、えっと、私がリリアナですが……!」

 早口で答えてから、手櫛で髪を整えます。
ルーフェンは、にこりと笑うと、リリアナの前に手を差し出しました。

「私と踊って頂けますか?」

 再び、大広間にざわめきが起こります。
リリアナは、しばらくぽかんと口を開けて、ルーフェンの手を見つめていましたが、やがて、はっと瞠目すると、辺りをきょろきょろも見回してから、言いました。

「わっ、わ、私ですか!?」

「うん、そう」

 慌てふためくリリアナに対し、ルーフェンが笑顔のまま頷きます。

 弟のカイルには、「可能性はゼロじゃない」と言い放ったもの、いざ本当に王子からダンスを申し込まれると、頭が真っ白になりました。
夢の中でなら何度も経験しましたが、実際にダンスに誘われたり、人前で踊ったことなどありません。

 リリアナは、大きく目を見開いたまま、ひとまずルーフェンの手をがしっと握りました。

「あのっ、とっても嬉しいお誘いなんですけれど、私、ダンスしたことないんです! それでも問題ありませんか!」

 顔を近づけてきたリリアナに、ルーフェンが、少し驚いたように瞬きます。
それから、楽しそうに笑むと、力強く握ってくるリリアナの手を外して、自分の手に添えるように取り直しました。

「大丈夫、こんなの、音楽に合わせて揺れていればいいんだから」

 これまでの神聖な雰囲気とは打って変わった、軽い口調で告げてから、ルーフェンはリリアナの手を引きます。
大勢の注目を浴びる中、二人が大広間の中心に歩み出すと、止まっていた音楽が、また流れ始めました。

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.148 )
日時: 2018/04/16 22:46
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE




 戸惑いながらも、ルーフェンに導かれて、リリアナはステップを踏みます。
優雅な音楽に合わせ、周囲の動きも真似ながら必死に踊っていると、ルーフェンが、周りには聞こえないように、小さな声で尋ねました。

「君は……城下のどの辺りの出なの?」

 リリアナが、はっと顔をあげます。

「あっ……城下って言っても、かなり南の方の、平民街に住んでます!」

 言ってから、話を途切れさせてはいけないと思ったのか、リリアナは続けました。

「でも、いつかは城下の中央区で、自分の小料理屋を出すのが夢なので、もしそれが叶ったら、王子様も遊びに来てくださいね!」

 ルーフェンは、ささくれたリリアナの手先を一瞥してから、微かに破顔しました。

「それは行ってみたいな。料理、得意なんだ?」

「はい! 王宮で出るようなお料理に比べれば、安っぽい味かもしれませんけど、それでも、腕前だけで言えば負けませんよ」

 好きな料理の話題になって、いくらか緊張が解れてきたのか、リリアナは、くるくると表情を変えながら話し始めました。

「いつか、王子様も唸らせるような絶品料理を作って見せるので、絶対来てください! あ、でも、踊りに誘って頂いた上に、今後お店にまで招待したら、周りの女の子達に妬まれたりしちゃうのかな。あんた王子様に馴れ馴れしいのよ! とか、路地裏に呼びつけられて修羅場に発展! とか……。すごいわ……! そんな作り話のような展開、やっぱり王宮では日常的にあるのかしら。女同士の血で血を洗う争い、みたいな。今も、周りの貴族の方々が、私のこと睨んでますもんね!」

 自分に向けられた羨望と嫉妬の眼差しに、怯えるどころか、何やら興奮した様子で、リリアナが捲し立てます。
ルーフェンは、くすくす笑うと、リリアナを見つめました。

「さあ、どうだろうね。仮にそんな展開になったとしても、君なら大丈夫そうな気もするけど。でも、もし本当に血で血を洗う争いになったら、責任とるから、俺に相談してよ」

 冗談めかして言うと、リリアナも、おかしそうに笑いました。

「駄目ですよ! こういう女同士の争いは、男の人が入ってくると、余計ややこしくなるんですから」

「なるほど? じゃあ、うちの身軽な護衛を派遣しようかな。どうも、君とは仲が良いみたいだから」

 そう言って、広間の奥にある大階段に立つトワリスを目線で示すと、リリアナの目が、途端に丸くなりました。

「トワリス……!」

 思わず大きな声が出て、慌てて口をつぐみます。
しばらくトワリスを見つめた後、再びルーフェンに視線を戻すと、リリアナは問いかけました。

「……トワリスって、もしかして、王子様の護衛役をやってるんですか?」

「うん、そうだよ」

 ルーフェンが頷くと、突然、リリアナの唇が震え始めました。
踊ることも止め、ひゅっと息を吸うと、彼女の目から、大粒の涙が溢れ出します。

「そ、そうだったんだ……よかった、よかった……」

 ずびずびと鼻をすすって、リリアナは言いました。

「トワリスは、私の、小さい頃からの親友なんです……! 連絡、とれてなかったけど……小さい頃からずっーっと、王族付きの、魔導師になりだいって言ってだから……よかった……! なれたんですね……。ほんと、よかった……」

 リリアナは、ドレスの袖で、濡れた顔をごしごしと拭いました。
思いがけない親友との再会に、涙が止まりません。

 まだリリアナが十三歳で、父親が再婚する前のこと。
トワリスは、リリアナの家に一時的に住んでいたことがありました。
魔導師団に入団するからと言って、すぐに出ていってしまったので、それ以来、トワリスとリリアナは一度も会えていませんでしたが、その頃からトワリスは、王族専属の護衛になることを目標にしていたのでした。

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.149 )
日時: 2018/04/20 20:34
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE




 その時ふと、“護衛”という言葉に、先程出会った、あの大男のことを思い出しました。
歪な鉄仮面をつけた、一見恐ろしい風体をしたあの大男。
確か彼も、ルーフェンの護衛だと言っていました。

 リリアナは、さっと顔をあげると、ルーフェンに詰め寄りました。

「あの! この舞踏会が終わった後で、トワリスともう一人……王子様の護衛をしてるって言う、おっきい男の人に会わせてもらえませんか!」

「おっきい男の人……?」

 トワリス以外の名前も出されて、ルーフェンは、首をかしげました。
リリアナは、こくこくと何度も頷きます。

「そうです! おっきくて、見た目は怖そうなんですけど、でもすっごく優しい声で話す男の人!」

 両手を広げ、大男の体格を表現しながら説明すると、ルーフェンが、ああ、と頷きました。

「もしかして、ハインツくんのこと? 顔に、鉄仮面つけてる……」

「そう! その人です!」

 リリアナは、ぱっと目を輝かせました。

「実は、ここに来る前、迷っているところを、そのハインツくんに助けてもらったんです……! あの時は急いでいたから、名前も聞けなくて……。だから、もう一度会いたいんです!」

「…………」

 トワリスの話題が出たときとは、また違う。
生き生きとした瞳で、リリアナはルーフェンを見つめました。
ルーフェンは、そんなリリアナの顔を、少し意外そうに眺めていましたが、やがて、ふっと微笑みました。

「へえ。リリアナちゃん、ハインツくんのこと気になるの?」

「……え……?」

 一瞬、きょとんとした顔つきになって、リリアナが瞬きます。
ルーフェンは、笑いを噛み殺してから、なんでもないよ、という風に首を振りました。

「……まあとにかく、事情は分かったよ。元々、トワのところに連れていこうと思って、君に声をかけたんだ。トワもさっき、リリアナちゃんのこと、懐かしそうに見てたしね。ご希望通り、場を用意してあげる」

「本当ですか……! ありがとうございます、王子様!」

 表情を明るくしたリリアナが、勢いよく頭を下げます。
ルーフェンは、面白そうに目を細めると、ぽつりと呟きました。

「……でも、ちょっと妬けちゃうな」

 頭をあげたリリアナの手を取り、その身体を引き寄せます。
突然距離を詰められて、硬直したリリアナの耳元に顔を寄せると、ルーフェンは囁きました。

「誘ったのは俺なのに、リリアナちゃん、さっきからずっと、別の人のことばっかり考えてるから」

 それだけ言うと、ぱっと手を離して、ルーフェンはリリアナの身体を解放しました。
会話の内容こそ漏れ聞こえてはいないものの、このルーフェンの急な行動には、周囲の者達も思わず目を見張ります。

 ルーフェンが離れても、リリアナは、しばらく動けませんでした。
舞踏会に参加できただけでなく、憧れていた王子本人に、ダンスに誘われて、その上、こんな甘い台詞まで囁かれて──。
今日は本当に、なんて幸せな日なのでしょう。

 けれど、気持ちが舞い上がる一方で、ルーフェンの姿を見ても、リリアナの胸は高鳴りませんでした。
透き通った銀の瞳で見つめられて、艶のあるテノールで話しかけられても、それは、リリアナの求めているものとは違います。

 彼女がもう一度触れたいと思うのはやはり、自分を抱き上げてくれた、あの力強い温かい腕だったのです。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。