複雑・ファジー小説

〜闇の系譜〜(外伝)
日時: 2018/08/27 20:38
名前: 狐
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=16085

 皆さん、こんにちは!銀竹と申します。

 ここでは、『〜闇の系譜〜』の小話をちょこちょこ書いていきたいと思います。
完全に狐の遊び場と化していますが。ご容赦下さい(笑)

 もし物語に関するご要望等あれば、ぜひ仰って頂けると嬉しいです(*´▽`*)

〜闇の系譜〜シリーズの順番としては
ミストリア編(上記URLの最後の番号五桁が16085)
サーフェリア編・上(17224)
サーフェリア編・下(19508)
アルファノル編(18825)
ツインテルグ編
となっております。
外伝はどのタイミングでも大丈夫です(16159)。
よろしくお願いいたします!

…………………………

ぜーんぶ一気に読みたい方→ >>1-300

†登場人物紹介・用語解説† >>1←随時更新中……。
割とどうでもいい登場人物詳細 >>122-123

『三つ編みの』 >>2-3 >>5-11
──トワリスの三つ編みの秘密に迫る……!

『おまじない』 >>12-13 >>15 >>17-21
──なんとかは風邪を引かないと言いますが、ユーリッドは引きましたね。意外です。

『忘却と想起の狭間で』 >>22-27 >>30-31 
──外伝ですが、結構暗い内容です。しょんぼりアドラさん。

『悪魔の愛し子』 >>34-38 >>40-41 >>44-45 >>48-52
──なんとかは風邪を引かないと言いますが、ルーフェンは(略)。

『ずるい人/卑怯な人』 >>54-71>>72-88 >>91-92
──ファフリもトワリスも、物好きだなとよく思いますw

『赤ずきん』 >>94-95
──ずっとやりたかったパロディーもの。とにかく下らないです。ただの狐の自己満足です。

『酩酊』 >>100-101 >>104-105 >>107-113
──真面目な人ほど、酔うと面倒くさいよねっていうお話です。

『とある魔女の独白』 >>116-118
──サーフェリア編を最後まで書いて、そのあとにこれを読んだら、また見方が変わるんじゃないかな……という願望(笑)

『桃太郎』 >>126-128 >>130-132 >>135-137
──これまたすごくどうでもいいパロディーもの。ちょっと汚らしいので注意ですw

『シンデレラ』 >>138-140 >>142-156
――リリアナさん初出演のパロディーもの。本編とは全くの別物です!(笑)

『光』 >>157
――オーラントとその妻、ティアの出会いから別れまでを描いた物語。

『〜闇の系譜〜座談会』
──ひっどい内容です(笑)世界観をぶち壊す発言、登場人物のキャラ崩壊が満載ですので、閲覧注意。
【第一回】オーラント×トワリス
「アドラ生存ルートの可能性について」 >>119
【第二回】ルーフェン×ハインツ
「ミス・闇の系譜は誰だ」 >>121
【第三回】ジークハルト×リリアナ
「応援歌を作ろう」 >>129
【第四回】ユーリッド×半本とどろき(ゲスト)
「世界線を越えて」 >>141
【第五回】カイル×ロクアンズ・エポール(ゲスト)
「世界線を越えてU」 >>158



……………………

【完結作品】
・〜闇の系譜〜(ミストリア編)《複ファ》
ミストリアの次期召喚師、ファフリの物語。
国を追われ、ミストリアの在り方を目の当たりにした彼女は、何を思い、決断するのか。

・〜闇の系譜〜(サーフェリア編)上《複ファ》
サーフェリアの次期召喚師、ルーフェンを巡る物語。
運命に翻弄されながらも、召喚師としての生に抗い続けた彼の存在は、やがて、サーフェリアの歴史を大きく変えることとなる――。

【現在の執筆もの】
・〜闇の系譜〜(サーフェリア編)下《複ファ》
三街による統治体制を敷き、サーフェリアを背負うこととなったサミルとルーフェン。
新たな時代の流れの陰で、揺れ動くものとは――。

・〜闇の系譜〜(外伝)《複ファ》
完全に狐の遊び場。〜闇の系譜〜の小話を載せております。

・人語を知らぬきみたちへ《複ファ》
さあ、人語を知らぬきみたちよ。
ただどうか、共に在ることを許してください。

【執筆予定のもの】
・〜闇の系譜〜(アルファノル編)《複ファ》
ミストリア編後の物語。
闇精霊の王、エイリーンと共に、突如姿を消したルーフェン。
召喚師への不信感が募っていく中、トワリスは、ルーフェンの後を追うことを決意するが……。
アルファノル興国に隠された真実、そして、召喚師エイリーンの思惑とは――?

・〜闇の系譜〜(ツインテルグ編)《複ファ》
アルファノル編後の物語。
世界の流転を見守るツインテルグの召喚師、グレアフォール。
彼の娘である精霊族のビビは、ある日、サーフェリアから来たという不思議な青年、アーヴィスに出会うが……。

……ギャラリー……

ルーフェン&トワリス  >>14
ルーフェン&シルヴィア >>98
登場人物紹介      >>122-123
ユーリッド&アドラ   >>99
エイリーン       >>119
ロゴ          >>120


※いくつかリンクが切れていて、過去絵が発掘できなかったので、掲載イラストを多少変更しました><
ここに載せているのはごく一部で、基本的にイラストはTwitterにあげておりますので、もし見たい!って方がいらっしゃいましたらこちらにお願いします。→@icicles_fantasy

【頂き物】 >>16 >>53 >>98 >>99

……お客様……

夕陽さん
ヨモツカミさん
蓮佳さん
まきゅうさん
亜咲りんさん
ゴマ猫さん

【お知らせ】
・ミストリア編が、2014年の冬の大会で次点頂きました!
・サーフェリア編・上が、2016年の夏の大会で銅賞を頂きました!
・2017年8月18日、一作目のミストリア編が無事完結しました!
執筆開始してから約三年半、応援して下さった方々、本当にありがとうございました!
・ミストリア編が2017年夏の大会で金賞を頂きました!
・サーフェリア編・上が、2017年冬の大会で次点頂きました!
・2018年2月18日、二作目のサーフェリア編・上が完結しました!
いつも応援して下さってる方、ありがとうございます(*^▽^*)

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Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.154 )
日時: 2018/05/17 20:40
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE




 盥(たらい)に水を貯めたまま、ぼーっとして手を止めていたリリアナは、ハインツの姿を見ると、目を丸くしました。
そして、持っていた洗濯籠を落とすと、そのまま車椅子を操って、ハインツの元に走り寄りました。

「ハ、ハインツくん! どうしているの!?」

 迫ってきたリリアナに、思わずびくりとして、ハインツが後退します。
ハインツは、リリアナと、家の扉の奥から、こちらを凝視しているアドラ義母さんたちを見て、戸惑ったように視線をさまよわせました。
しかし、やがてリリアナのほうに向き直ると、持っていたガラスの靴を差し出して、言いました。

「……これ、返したくて、ずっと、探してた。あと、ルーフェンが、王宮、きてほしいって……」

 リリアナが瞠目して、ハインツの顔を見つめます。
同時に、様子を見守っていたアドラ義母さんとキリス姉さんも、はっと目を見開きました。

「おっ、王宮に来てほしいですって!? もしやこれは、私の読み通り、ルーフェン王子とシンデレラは相思相愛で、王子が去り際に彼女が落としていったガラスの靴を手掛かりにシンデレラを探し出し、最終的に妻として迎える……というやつでは!?」

 早口で言って、キリス姉さんがわたわたと慌て出します。
アドラ義母さんも、目付きを鋭くすると、厳しい声で言いました。

「ああ、どうやらそのようだな。我々とて着飾って舞踏会に参加したというのに、シンデレラだけが王子に選ばれるなど、納得がいかん! 阻止するぞ、キリス!」

「にゃー!」

 言うや否や、アドラ義母さんとキリス姉さんが、勢いよく家から飛び出しました。

「ちょっ、何する気だよ!」

 咄嗟にカイルが止めようとするも、二人の素早さには追い付けず、アドラ義母さんとキリス姉さんは、ハインツ目掛けて地を蹴ります。
キリス姉さんは途中で転びましたが、アドラ義母さんは、まるで稲妻のような速さで、ハインツの腹部に突進しました。

「──ふんっ!」

「……っ!?」

 どすっ、と鳩尾を殴られたような衝撃が来て、ハインツが吹っ飛ばされます。
咄嗟に受け身は取りましたが、直前までリリアナに気をとられていた上、獣人であるアドラ義母さんに力一杯飛び付かれては、流石に踏ん張りが利きません。

 ハインツを押し倒した後、すぐさま跳ね起きると、アドラ義母さんは鼻で笑いました。

「王族付きの護衛といえど、まだまだだな。これに懲りて、シンデレラには近づくなと、王子に伝えてくれ」

 次いでアドラは、ぽかんとした表情のリリアナを見て、続けました。

「お前は早く、洗濯物を片付けろ。ここ二日ほど、雨続きで洗濯物が溜まっているのだ。今日のような晴れの日を、逃すわけには行かない。分かったな?」

 それだけ言うと、アドラ義母さんは、倒れ込むキリス姉さんを引きずって、家の中へ入っていってしまいました。

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.155 )
日時: 2018/05/24 19:59
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE




 しばらく、呆然と事態を眺めていたリリアナは、やがて、家の扉が閉まると、慌ててハインツの元に向かいました。

「ハインツくん、大丈夫!? ごめんね、うちのお義母さん、昔、とある国の兵団長やってたらしくて、めちゃくちゃ強いのよ……」

「……大丈夫」

 心配そうなリリアナに対し、低い声で返事をしてから、ハインツが立ち上がります。
ですが、ふと動きを止めると、ハインツは、はっと息を飲みました。

「……どうしたの?」

 突然動かなくなったハインツの顔を覗き込んで、リリアナが問いかけます。
つかの間、一言も発さずに固まっていたハインツは、ややあって、わなわなと震えだすと、呟きました。

「く、くつが……」

「靴?」

 聞き返してから、リリアナが、ハインツの視線を辿ります。
そうして、ハインツの見つめる先で、あのガラスの靴が粉々に割れてしまっているところを発見すると、リリアナも、思わずあっと声をあげてしまいました。

「ガラスの靴が……割れ、ちゃった……」

 恐らく、アドラ義母さんに突進された拍子に、割れてしまったのでしょう。
ハインツは、先程まで靴を握っていたはずの自分の手を見て、それからもう一度ガラスの靴の破片を見やると、ゆっくりとその場にしゃがみこみました。

 涙がにじんできて、喉の奥に、熱い塊が込み上げてきます。
このガラスの靴は、ルーフェンから預かった、大切なものです。
城下の平民街を三日もかけて巡り、ようやく探しだしたリリアナに、返しに来たものです。
それを割ってしまったと思うと、とてつもない罪悪感が、ハインツの胸の中に湧いてきました。

 しゃくりあげ、唸るように泣き出したハインツに、リリアナは、ぶんぶんと首を振りました。

「そ、そんな、泣かないでハインツくん! ハインツくんのせいじゃないわ! 確かにこの靴は、ファフリちゃんからもらった大事な靴だけど、でも、今のはしょうがないもの! ね、だから気にしないで!」

 明るい声で元気付けようとするも、ハインツの嗚咽は激しくなるばかり。
やがて、声をあげて泣き出したハインツに、リリアナも、悲しげに眉を下げました。

「……お願い、泣き止んで? 私まで悲しくなっちゃうわ。私、舞踏会の時は、魔法の力で歩けるようになってたのだけど、本当は、見ての通り足が不自由なの。だから、普段はガラスの靴なんて履けないし、本当に気にしないでちょうだい」

「でも……っ、これ、大事な……。ごめん……」

「……ハインツくん……」

 仮面を伝ってあふれでてくる涙を拭いながら、ハインツが、何度も何度も謝ります。
リリアナは、長い間、困ったようにその様子を見つめていましたが、やがて、何か決心したように車椅子から下りると、ハインツの前にぺたんと座り込みました。

「……分かったわ、ハインツくん。そんなに気になるなら、私のお願いを、一つ聞いて? それで、この靴のことは水に流しましょう」

「……?」

 顔をあげて、ハインツが、微かに首をかしげます。
リリアナは、ハインツの大きくてごつごつした手を、ぎゅっと両手で握ると、大声で言いました。

「ハインツくん! 私と、結婚してください!」

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.156 )
日時: 2018/05/29 19:28
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE



 ひゅっと涙が引っ込んで、ハインツが凍りつきます。
今、一体何を言われたのか。
一拍置いてから、混乱し始めたハインツをよそに、リリアナは続けました。

「あっ、いきなり結婚は早いかしら! まずはお付き合いしてください、って言うべきよね。ううん、私はもちろん、段階すっ飛ばして結婚でも良いんだけど……!」

 リリアナは、満面の笑みをハインツに向けました。

「私ね、王宮で助けてもらったときから、ハインツくんのことが好きになっちゃったの! ああ、これが恋、運命の出会いってやつねって思ったわ! 力持ちなところも、優しいところも、泣いちゃうところも、控えめなところも、全部全部、大好きなの!」

 仮面をしていても分かるくらい、動揺して顔を強張らせると、ハインツは、リリアナの手を振りほどこうとしました。
しかし、その手を逃がすまいと握り直して、リリアナが言い募ります。

「私、お料理なら得意よ! まだ知り合って間もないし、急に恋人同士になるのは抵抗があるっていうなら、まずはお友達からでも良いわ! 今度、一緒にご飯食べましょう? ハインツくんは、何が好き? 私、ハインツくんが、私のことお嫁さんにしたいって思うくらい、とびっきり美味しいご飯を作って見せるから、ね? お願い!」

 ぐいぐいと距離を近づけてくるリリアナに、ハインツがたじろぎます。
困惑した表情で後ずさりながら、青くなって、赤くなって、最終的に小動物のように震えだすと、ハインツは、蚊の鳴くような小さな声で、答えました。

「……る、から……」

「え!?」

「……と、友達……なる、から……手、離して……」

「ほんとに!? やったぁ! ありがとうハインツくんっ!」

 両手をあげ、歓喜の声を出すと、リリアナは、今度はハインツの首にしがみつきました。
仰天したハインツが、怯えたように縮こまりますが、彼にはもう、逃げ出すほどの気力がありません。

 まさか、ぶん殴って引き剥がすわけにもいかず、ハインツは、リリアナが満足するまで、抱き締められる羽目になったのでした。



 その後、晴れてお友達同士になったハインツとリリアナは、ほぼ毎日のように顔を合わせるようになりました。
リリアナが、毎日お弁当を作って、王宮で働くハインツに、届けるようになったからです。

 アドラ義母さんたちも、相手が王子ではないのならと、もうリリアナの恋路を邪魔してくることはありません。
カイルに呆れられても、トワリスに諌(いさ)められても、リリアナの猛攻は、止まりませんでしたとさ。
 
 めでたしめでたし。



…………………


 シンデレラパロディ、いかがでしたでしょうか。
今回は、桃太郎よりも真面目に、ちゃんと恋愛ものっぽく書こうと思ってたんですが、結局アドラさんを義母役にしちゃったり、ルーフェンをチャラい王子にしちゃったりしたので、中途半端なギャグものになっちゃいました(笑)
まあ外伝なんで、適当で良いでしょうw

 本編ではまだあまり触れていない、ハインツ×リリアナ、あとはほんのりルーフェン×トワリスって感じのお話でした。
ハインツくんはね……個人的にすごい気に入ってて、とにかく可愛い奴だと思ってます( ´∀`)
リリアナに押されまくってちょっと不憫な感じになってますが、そういうところも面白いなと思って、どぎまぎしてもらいました!

 相変わらず外伝はふざけて書いてます、はい(笑)
本編がシリアスな時とか、息抜きに外伝に遊びに来ていただけたら嬉しいです(*^^*)

 それでは、ここまで読んでくださった方、ありがとうございましたー!

 

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.157 )
日時: 2018/06/03 21:39
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE

『光』



「……もう二度と、あのような悲劇を繰り返さぬように。我らルンベルト隊は、引き続き、ノーラデュースにてリオット族牽制の任を全う致します」

 国王エルディオに頭を垂れ、イグナーツ・ルンベルトが、誓いの言葉を述べる。
彼の横顔が、一層暗く面変わりしているのを見て、オーラントの胸が、ずきりと痛んだ。

 四年前、奴隷身分からの解放を求めたリオット族たちが、王都シュベルテで起こした大規模な騒擾(そうじょう)──。
甚大な被害を出したあの事件以来、リオット族たちは、ノーラデュースと呼ばれる南方の荒地に追いやられ、地下に閉じ込められている。
イグナーツは、そんなリオット族たちの監視を命じられた、魔導師たちの筆頭であった。

 自身も、リオット族に妻子を殺されたイグナーツは、ノーラデュースでの任務が決まった時から、ひどく冷たい目をするようになった。
彼だけではない。
同じように、リオット族に恨みを持つノーラデュース常駐の魔導師たち全員が、日に日に、瞳に狂気じみた色を宿していっているように感じる。

 こうして、年に一度の叙任式(じょにんしき)で見かける度、暗い表情になっていく彼らを目の当たりにすると、オーラントも、思わずぞっとするのだった。

(……もし、家族がいたら)

 国王の御前から下がるイグナーツを見ながら、オーラントは、ふと思う。
もし、大切な家族がいて、それらを亡くしたら、自分もあんな目になるのだろうか、と。

 正義を掲げる魔導師団に入ってから、皮肉にも、人より多くの死に触れてきた。
殺す恐怖も、殺されそうになる恐怖も、嫌というくらい経験している。
だが、それ以上の恐怖は、まだ知らない。
イグナーツのように、最愛の者を失う絶望というものは、想像したところで、曖昧な不安として胸の奥に沈殿するだけであった。

 例えば、生まれ故郷に残って、田畑を耕す生活をしていたら、殺す恐怖なんてものは、味わうことなく生きていたのだろうか。
例えば、召喚師一族のように圧倒的な力を持っていれば、死の恐怖に晒されることも、なかったのだろうか。
魔導師になっていなければ、今頃、自分にも──。

 そんな仮定をしてみたところで、己が今歩んでいるのは、魔導師としてのオーラント・バーンズの道である。
今更、選ぶことのない可能性を考えても、仕方がないことのように思えた。

「次、オーラント・バーンズ!」

「はい」

 名前を読み上げられて、一歩、前に出る。
自分と入れ代わりで、魔導師たちの並びに戻ってきたイグナーツと、一瞬、視線が交差した。

「…………」

 まるで、どこかに魂を置いてきてしまったかのような──。
光のないイグナーツの瞳から目をそらして、オーラントは、国王の前にひざまずいた。

「──オーラント・バーンズ。本日を以て、正式に、そなたを宮廷魔導師に任命する」

 頭上から、国王エルディオの、重々しい声が降ってくる。
同時に、ごくりと息を飲む魔導師たちの息づかいが、背後から聞こえてきた。

 宮廷魔導師とは、魔導師の中でも特に優れた武勇を持ち、かつ国王と召喚師に選出された者のみが与えられる、最高位の称号だ。
この称号を授けられること、それはすなわち、身も心も、生涯サーフェリアに捧げることを誓うということ──。

 誇らしげな、けれど一方で、もう自分は、魔導師としての道から引き返せなくなるのだということを自覚しながら、オーラントは、国王から宮廷魔導師のローブを受け取ったのだった。

Re: 〜闇の系譜〜(外伝) ( No.158 )
日時: 2018/07/31 23:31
名前: 銀竹 ◆4K2rIREHbE
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1a/index.cgi?mode=view&no=11117



カイル「……どうも。カイル・マルシェです。座談会やるっつーことで、呼ばれました」

リリアナ「きゃー! カイル頑張ってー!」

カイル「姉さんうるさい。……っていうか、俺のことなんて、読者さん覚えてるわけ? まだそんなに本編に出てないし、正直、こういう場が向いてる性格でもないんだけど」

リリアナ「そんなことないわよ。カイルはミストリア編にも外伝にも出演してるし、今後サーフェリア編にだって出る予定なんだもの。主役勢とも沢山関わりがあるし、十分重要な登場人物と言えるんじゃないかしら。だから自信もって!」

カイル「……いや、別に自信ないとか、そういう話じゃなくてさ。性格的に、こういう賑やかな場に出るのは向かないと思うんだよ。特に今回は、コメディ・ライト小説板で連載中の『最強次元師!!』から、ゲストが来るんだろ? 俺、無愛想だし、初対面の相手に気遣ったりとか出来ないよ」

リリアナ「うーん、その点は問題ないんじゃないかしら? そもそも、この座談会って銀竹の思い付きで作ったすっごい適当なコーナーだしね! それに、今回ゲストで来てくれる子は、とても元気な子だって聞いてるから、きっとうまく場を盛り上げてくれるわよ」

カイル「ふーん……まあ盛り上げてくれるんなら、任せたいくらいだけど。俺、そういうの苦手だし」

リリアナ「とにかく、早くゲストの子を呼びましょ! 私は物陰から応援してるから、二人とも、頑張ってね!」


〜闇の系譜〜座談会D
『世界線を越えてU』


カイル「じゃあ、とりあえず今日のゲストを呼ぶよ。どうぞー」

ロク「はいはあい! おっじゃましまーす! コメディ・ライトの『最強次元師!!』から来ましたっ、ロクアンズ・エポールだよ! よろしくねー!」

カイル「うわ、なんか本当にテンション高いのが来たな……。えーっと、改めてカイルです。よろしく。じゃあ、エポールさん? とりあえず、簡単に自己紹介してくれる?」

ロク「ちょっとー! なんだかテンション低くない? あ、気軽にロクって呼んでいいからねっ! ええっとーなんだっけ? 自己紹介? 名前はロクアンズ・エポールで、年齢は十二! 食べることと動くことと、人とおしゃべりするのも大好きだよ!」

カイル「十二? なんだ、じゃあ年下か。それなら、ロクって呼ばせてもらうよ」

ロク「えっ、カイル年上なんだ!」

カイル「うん、俺は十三だからね。ま、一つしか変わんないけど」

ロク「なーんだ一つだけか! って、十三歳!? すごーい! あたしのお義兄ちゃんも十三歳なんだよ! ぐーぜんっ!」

カイル「へえ、お義兄さんがいるんだ。あんたに似た義兄だったら、二人そろうと騒がしそうだな……」

ロク「ううん、義兄はね、レトヴェールって名前なんだけど、すんごい静かで落ち着いてて、物知りなんだよー。自慢のお義兄ちゃん! ねっ、君は兄弟とかいる?」

カイル「俺? 俺には、姉さんが一人いるよ。ただ、ロクんとこと同じで、性格は全然違うな。うちの姉さんは、すっごい騒がしい感じ」

ロク「お姉ちゃんいるんだー! いいなー! しかもおしゃべり好きなんでしょ!? ねえねえ、お姉ちゃんはどんな感じの人? 名前は? もっと教えて!」

カイル「名前はリリアナだよ。リリアナ・マルシェ。やたら明るいところとか、結構あんたと似てるかも。おっちょこちょいだけど、料理はうまいよ。喫茶店やってるから。会ってみたら、案外仲良くなれるかもね」

ロク「すごい楽しそうな人だね! しゃべってみたいなー! 喫茶店でお料理してるの!? あたし食べるの大好きだから、いつか行きたいな! ねっカイル、今度連れてってよ!」

カイル「喫茶店つっても、すごいこじんまりしたところだけどね。まあ、連れていくくらい構わないよ、姉さんも喜ぶだろうし」

ロク「やった! 約束だよ、絶対連れてってねっ!」

カイル「はいはい。ところで、食べるのが好きって言ってたけど、ロクは料理したりはしないの?」

ロク「料理はねえ……実はこの前、よその国で焼き菓子にチャレンジしてみたんだけど、真っ黒コゲになってね。『これは食べ物じゃない』って言われちゃった……」

カイル「ま、真っ黒コゲって……一体どんな火加減で焼いたのさ。焼き菓子なんて、大抵材料混ぜて焼けばいいだけなんだから、そんな難しいものでもないだろ?」

ロク「えっ、だってだって、火を強くしたらすぐに出来上がるのかなーって思って……そしたら黒コゲになっちゃった。タイミングが大事だったのかなあー……料理は難しいよ!」

カイル「タイミングの問題じゃなくて、火加減の問題だって。一気に火力強くしたら、そりゃあ焦げるだろ」

ロク「ええー火加減かあ。やっぱりあたしには向いてないかも……」

カイル「まあ、料理が簡単じゃないってのは、否定しないけどな。だけど、練習すればある程度はできるようになるんじゃない? 今度会えたら、うちの姉さんに教えてもらいなよ」

ロク「えっ、いいの! ありがとー! ね、あたしお義兄ちゃんしかいないからわかんないんだけど、お姉ちゃんっていたらどんな感じなの? 弟には優しい?」

カイル「優しいっていうか、お節介だよ」

ロク「へえ! お節介しちゃうくらいカイルのこと大切にしてるんだね! いいなーお姉ちゃん!」

カイル「まあ、二歳の時に両親死んでから、なんだかんだ姉さんが俺を育ててくれたしね。感謝はしてるよ……ちょっとうるさいけど」

ロク「そっかそっか。私も拾い子だから両親のことはよくわからないし、代わりに育ててくれたおばさんも亡くなっちゃったから、なんかわかる気がするな」

カイル「なるほどね。俺たち、案外似たような境遇なのかもな。俺も両親のことなんて覚えてないし、まあ、姉さんがいたから、特別自分が不幸だとは思ったことないけど」

ロク「へへっ。そう考えるとなんだか嬉しいな! あたしも、お義兄ちゃんがいてくれるから寂しくないんだ。いっしょだね!」

カイル「ロクのところも、義兄とは仲良さそうだな」

ロク「もちろん仲良しだよー! よくバカかお前はって言われるけど! あっお兄ちゃんって言っても血が繋がってないから義理の兄なんだけどね!」

カイル「血が繋がってなくても、一緒に育てば兄妹みたいなもんだろ。拾われたってことは、育ててくれたそのおばさんとやらの息子が、レトだったの?」

ロク「そうそう! 二人とも顔がそっくりでねー、髪型もいっしょなんだよ! 金髪の一つ結び!」

カイル「親子なんだから顔は似てるの分かるけど、髪型まで一緒なんて、仲良いな……。ロクもかなり髪の毛長いけど、結んだりしないの?」

ロク「仲良しだったねえ、そういえば! あたし? あたしはね、むしろ長すぎて結ぶの大変になっちゃった……」

カイル「結ぶのが大変になるくらい長いって……髪洗ったりするのも、面倒にならないわけ? 俺の姉さんも、二つ結びをほどくと肩甲骨につくくらいの髪の長さなんだけど、なんで女子ってあんな髪伸ばしたがるのかすごい疑問。そう言ったら、だから女心が分からないんだって叱られたけど」

ロク「ちっちゃいころからずっとこれだしねーっ。あ、でもいっつも髪の毛が乾かないうちに寝ちゃうかな! そりゃ、伸ばしたほうがかわいいからじゃない!? 二つ結びなんてかわいいじゃんかー! まったく、あたしより年上なのに女心がわかってないなあカイルは! これだから十三歳男子は!」

カイル「えー、髪なんて、別に長くても短くてもどっちでも良いだろ。いちいち結び方にこだわるのもめんどくさそうだし、女ってよくわかんないや。レトも女の髪型なんて気にしないんじゃないか? 男はそんなもんだと思うけど」

ロク「……こ、これだから男子はー……。ま、まあたしかにレトは気にしてないと思うけど……洋服とかも適当だし。もしかして男子ってみんなそうなの!?」

カイル「どうだろ。男でも自分の髪型や服装にこだわる奴はいると思うけど、女の髪型をいちいち気にしてる奴はいるのかなぁ? ……あ、でも、俺の知り合いでルーフェンって奴がいるけど、そいつは細かく気づきそう」

ロク「女の子の髪型に気づく人が身近にいるの!? じゃあ参考にするといいよー! その人は、男のカガミだね! ……レトにも教えてあげてほしいよ」

カイル「そんなもんなのかね? けどさぁ、女の格好とか髪型を気にするのって、恥ずかしいっつーか……男はどんと構えてる方がかっこよくない?」

ロク「どんと構えるって……まあそれもそうだけどさ、さらっと、ねっ! さりげなーく言ってあげたらさ、すごくかっこいいと思わない?」

カイル「さらっと、『可愛いね?』とか言うの? うへぇ、俺には無理だな……。ああ、でもロクほど髪長い人は見たことないから、ロクが髪型変えたら、見てみたい気はするよ」

ロク「ほんと!? それならあたしも髪型変えてみよっかな!」

カイル「じゃあ、折角ならレトと同じ一つ結びにしなよ。そしたら、俺たちの喫茶店があるサーフェリアのヘンリ村集合な」

ロク「それいいねー! レトめっちゃ嫌がりそうだけど! 楽しみだなー!」

カイル「ああ、レトってあんまりそういうの好きじゃないんだっけ? まあ、記念だしいいんじゃないか。折角こうやってクロスオーバーしたしな」

ロク「そうなんだよぅ、ノリ悪いからなーレト。でも記念だからって駄々こねてみたらいけるかも……」

カイル「ノリが悪い、か……どっちかっていうと、俺はレトの方と気が合いそうだな」

ロク「ええー!? さびしいこと言わないでよー! ぜったい、あたしの方が気が合うって言わせてやる、覚悟しててね!」

カイル「いや、俺とロクは全然性格違うだろ……。まあでも、他作品の奴と話したのなんて初めてだったから、それなりに面白かったよ。今日はわざわざ来てくれてありがとな」

ロク「むぅ……まあ、そうだけど、対局にいるからね、むしろいいバランスだよそうだよ! あたしは諦めないからあっ! って、こんなに仲良くしたいって思えるくらい、あたしも楽しかったよ! こちらこそ、呼んでくれてどうもありがとう!」

カイル「そろそろ時間だから終わりにするけど、後日、なんとか義兄さん連れてきてよね。ヘンリ村で待ってるから」

ロク「うんっ、ぜったいレトも連れてくね! 楽しみにしてるっ!」

カイル「ああ。俺も、楽しみにしてるよ」


……………


 今回は、コメライ板で連載中の『最強次元師!!』から、ロクアンズちゃんに来て頂きました(^^)
この作品、なんと七年以上もかけて完結した、ハイファンタジー超大作!
作者である瑚雲さんは、他にも色んな作品を書いてらっしゃいますが、やはり最強次元師!!が代表作なんだろうなと個人的には思っています。
作風が違うとはいえ、同じハイファンタジーを書いている身ですので、本格的な異世界ものをしっかり筋を通して書き続ける大変さはよーく分かります(笑)
だからこそ、瑚雲さんの作品は是非おすすめさせて頂きたいですねb

 最強次元師!!はとにかくアツい、それでいてしっかり内容も練られた作品です。
少年漫画とか好きな方なら、絶対面白いと思うんじゃないかな(*^^*)
ちなみに私の推しは、キールアちゃんというキャラです……!
現在リメイク版が連載されていますので、読んでみてくださいね!(上記URL)

 それでは、読んでくださった皆さん、瑚雲さん、ありがとうございました!

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