複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

さよならトリップ
日時: 2014/03/29 10:53
名前: パンジー (ID: gOBbXtG8)

 少年と少女による卒業記念の旅路は、誰もが気付けなかった壮大な旅路だった————


  ◇ ◇ ◇


—ごあいさつ—


初めまして、パンジーという者です。
この度は当小説のクリック、まことにありがとうございます!
小説を書くのは初めてなので至らぬところが多いかと思いますが、頑張っていきます。

あ、それと。
この小説を書くと決めた後で知ったことなのですが、さよならトリップという曲があるそうです。
ですが、当小説は某曲と一切の関係がありません。ご了承を。


注意事項

・グロ描写、エロ描写、その他諸々ヤバい描写が出てきます。
・更新速度は極端に遅いです。


目次


零話〜始めの一歩〜
>>1

Re: さよならトリップ ( No.1 )
日時: 2014/03/28 18:25
名前: パンジー (ID: gOBbXtG8)

 桜並木が立ち並ぶ。咲き乱れる満開な桜が春の訪れを告げながら、温かなそよ風に自らの花弁を散らす。
 近くでは冬眠していた生物たちが、そんな春の訪れを告げられ、ゆっくりと、ゆっくりと目を覚ましていく。

 ここには、そんな桜並木で挟まれた、汚れ無き白い道がある。
 その道を辿っていった奥にある学校では現在、卒業式を終えた生徒達で賑わっている。
 それも、卒業証書を入れた高級な丸い筒を片手に、友人と共に涙を流す生徒ばかりだ。
 荘厳な学校の大きな鐘が鳴り、卒業生の卒業を祝福している。

 そんな中で、桜の花弁と共に長い水色の髪を遊ばせる一人の少女は、涙も流さず穏やかな表情を浮かべていた。
 髪と同じ色をした目は澄み切った青空を見上げており、その清々しい笑みからは、卒業による悲しみなど全く感じられない。
 だが、理由は至って単純なことだ。少女だけ、考え方が違う。それだけである。
 卒業式は、終わりではない。始まりなんだ。そう思っているからだ。

 そんな少女が空を見上げていると、彼女の名を呼ぶ少年の声が遠くから響いた。

「ユレイシアー」

 名を呼ばれたその少女『ユレイシア・アルヴァンス』は、白いワンピースの裾と髪を翻し、声のした方向を振り返った。

「あ、ラルフィー」

 ユレイシアは走ってくる少年『ラルフィー・ツウィルナージェ』に向けて小さな白い手を振った。
 ラルフィーは鮮やかで美しい金髪をふわふわと揺らしながら、白いワイシャツに黒のボトムという動きにくそうな礼服でありつつも、数十メートル先で手を振る彼女の元へと走っていった。

 数秒でユレイシアの元に着いた彼は、少し乱れた呼吸を整えてから髪と同じ色の目を彼女に向けた。

「ごめん。自分で呼び出しておいて、遅れちゃった」
「ううん、いいの」

 後頭部を掻くラルファーに、ユレイシアは微笑みで返す。
 思わず返された彼も、穏やかな笑みが浮かんだ。

 ラルファーは、そんな彼女の笑顔が好きだった。
 もっとユレイシアに幸せでいてほしい。これまでずっと、その事ばかりを考えていた。
 だが、結局は考えあぐねる、或いは三日三晩考え抜いても実行に移せないような日々が続いていた。
 なのでせめて、最後だけでも彼女に幸せを噛み締めさせてあげよう。そう思い、ラルファーはとある計画を遂行していた。

 正確には、計画の計画を遂行している。そしてメインとなる計画は、今日が潮時だ。
 今日彼がユレイシアを、此処『カルタシス魔法学園正門前』に呼び出したのもそれが関係している。
 しかしその計画は、ユレイシアも知っている。彼女はその計画について話を聞き、とても喜んだ。

「じゃあ、一緒に旅に出よう。君に……その、幸せでいてほしいから……」
「……うん」

 照れくさくラルファーが頬を桜色に染め、丁度視界の目の前を、桜の花弁を横切る。
 それを見たユレイシアは、過ぎった桜の花弁とラルファーの頬の色とを重ねて見て、またにっこりと微笑むと、彼の未だ小さな手を柔らかく握った。

 すると丁度、身長が同じという都合もあってか、不意に目が合った。
 直りかけた白い頬を、ラルファーはまた桜色に染める。
 だが、今回の彼には照れも何もない。真っ直ぐな目でユレイシアの瞳を見据えている。
 そして、ラルファーは計画の計画を終了し、計画を始めた。


「卒業記念のワールドトラベル、始めよう」

Re: さよならトリップ ( No.2 )
日時: 2014/03/29 15:08
名前: パンジー (ID: gOBbXtG8)

 翌朝——


「どこへいくの?」
「ヴァリス。雪景色と夜景が綺麗なところだよ」

 ユレイシアとラルファーは旅支度を済ませて待ち合わせ、飛空挺に乗り込んでいた。
 全ての舵取りは本人の希望によりラルファーが全てを受け持つこととなっており、ユレイシアは行きたい場所があれば言うだけの同行人となっている。
 それでは流石に申し訳ない、と主張するユレイシアがやるべきことの半分だけでも手伝おうかと申し出たが、ラルファーは「手に負えなくなってきたときだけお願い」と言って譲らなかった。

 記念すべき一番最初の目的地は、北の国のヴァリスになった。
 年中雪が積もっている寒帯地域であり、その雪景色は観光名所にさえなっている。
 モンスターも少ないため、ヴァリスは比較的安全な地域としても有名。
 二の次だが町並みも綺麗で、夜景が世界でも指折りの美しさを誇っている。

「ロマンチックね。最初の旅で美しい夜景と雪景色、だなんて」

 そんなことを聞かされたユレイシアは、ふんわりした声色でそう言ってラルファーに微笑んだ。
 同じく微笑み返すラルファー。ユレイシアはそんな彼を見て、表情をちょっぴり意地悪な笑みに変えた。
 同時に隣にいるラルファーに近付き、下から小首を傾けて彼を見上げる。

「それも、宿の部屋は二人きり?」
「え、えぇ!? えっと〜……」

 その彼女の態度と言動に、ラルファーは視線を彷徨わせた。
 確かにその通りなのだが、今まで彼はそのようなことを少しも考えてない。
 それ故か、彼は面と向かってユレイシアにそう言われた今、これまでに経験したことが無いくらい返答に困った。

 そんな彼を見て、ユレイシアは再び表情を元に戻した。
 先ほどまでの悪戯っぽい笑みではなく、通常の微笑んだ表情へと。

「ふふっ、考えてなかったんだ?」
「うん、お恥ずかしながら」
「かーわいっ」

 仕方がないので素直になってしまおうと開き直ったラルファー。
 が、そんな彼は甘い囁きと共に、いきなりユレイシアに頬を突かれた。思いもよらない不意打ちに、さらに彼は困惑する。
 折角開き直ったのに、これでは羞恥心が上回って逆に素直になれない。

「もう、冗談だってば」

 ここに至りようやく、ユレイシアはラルファーから離れた。彼はホッと溜息をつく。

 いつもの調子ではないが、あくまで相手がユレイシアの場合はこれくらいは彼にとって慣れたもの。
 ただ、この調子でこの先どうなることやら。彼はどうしてもそう思ってしまう。
 自分で彼女を旅へつれていこうと決めた決意は曲げなかったが、少しだけ不安になるのだった。

 だが彼は、ユレイシアを幸せにするという想いだけは変えずにいた。

(幸せでいてほしいのは、譲れないわけだからね……この身を呈してでも……)

 それは一種の恋心ではないか。第三者がいれば誰もがそう思うだろう。

(鈍感、だね。二人とも)

 現に、ユレイシアとラルファーの座席より一つ後ろの人物が、よく知る二人に対してそう思っていた。
 だがそう思われている二人は、どちらもその気持ちに気付けていないこととなる。
 ユレイシアはともかく、ラルファーも、だ。
 あくまでも表面上のことではあるが。

Re: さよならトリップ ( No.3 )
日時: 2014/08/24 19:08
名前: パンジー (ID: gOBbXtG8)

 ヴァリスに到着した2人は、思った以上の寒さに身震いしていた。
 どこかで防寒具を調達しないことには、冗談抜きに凍えて死んでしまう。
 特にユレイシアはワンピース1枚だけの恰好だ。元々寒さには強い彼女ではあるが、それでも限度というものがある。
 2人はとりあえず服を売っている場所を探すことにした。

「レイ、あそこ!」
「ふぇ? ど、どこ?」
「ついてきて。多分洋服屋さんだ!」

 そうして空港から少し歩いた先で、ようやく洋服売り場を見つけることが出来た。




   (これは一時的な投稿です。また今度加筆をします)


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。