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複雑・ファジー小説
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- 闇と光のシュトレムルーヴェ
- 日時: 2014/05/30 21:04
- 名前: LED ◆1FidCEpQDM (ID: gOBbXtG8)
—プロローグ—
とある深淵に、古代の遺跡が一つ。
数々の装置と連動するいくつもの歯車には、長蛇の鎖が幾重と絡まって回転を止めている。
唯一の光源は、永久に灯りを灯す僅かな走馬灯のみ。それだけではとても、周囲を見渡すことなど出来やしない。
人の手も長らく入っていない。しかし汚れはなく、壊れた箇所さえ見つからない。
当然である。深淵の遺跡に入り込める生物など、この世には存在しないのだから。
そんな遺跡の中心部には、鎖に繋がれた人影があった。
- Re: 闇と光のシュトレムルーヴェ ( No.1 )
- 日時: 2014/05/31 09:06
- 名前: LED ◆1FidCEpQDM (ID: gOBbXtG8)
年の頃20代の男〈シュトレムルーヴェ〉がいる。
鎖につながれて身動きが取れない。それでも、鎖は確実に脆くなっている。
この深淵の遺跡で彼は、金属類の強度を下げる魔法を体中から発し続けてきた。
何千年もの時を、養分を摂取することもなく。水分を補給するわけでもなく。
何故なら、彼は不老不死なのだから。
「——っ!」
やがて頃合になり、シュトレムルーヴェは全身に力をこめた。
見開いた瞳は深紅に染まり、このほぼ何も見えない暗い遺跡で一際輝いている。
やがて全身から発する無属性の魔法と共に、力づくで身体にまとわり付く鎖を破壊。
鎖は連鎖するように次々と壊れてゆき、長らく機能を失っていた遺跡の歯車も回りだした。
からからと鈍く軋んだ音を立て、遺跡中に音が響き渡る。
鎖が落ちる音と共に、彼はゆっくりと歩き出す。
目的は当然、この遺跡からの脱出。何かに誘われるように彼は、その場を後にした。
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