複雑・ファジー小説

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流浪のガンナー
日時: 2014/10/12 19:17
名前: ミュウ (ID: nWEjYf1F)

〜ご挨拶〜

こんにちは、ミュウです。
本来この小説を書いていたはずの僕のお兄ちゃん"インフェルノ"が、病気で来れないとの事で僕が代筆人となりました。
それに当たって、お兄ちゃんと僕とでは執筆法が違うので、一応スレッドの建て直しをしました。
では何卒、これからよろしくお願いします。


〜ルール〜

・まず、荒らしは厳禁です。常識ですね。見かけてもスルーを心がけてください。
・中傷的なコメントや悪意のある批判などはご遠慮下さい。場合によっては管理人様に通報します。
・僕は家の事情で、更新できる日が限られています。基本的に休日だけですのでご了承を。
 お知らせコーナーやコメント返信ページも、その都合上、更新が臨時的になります。
 本編を更新せずにそれらだけ更新する可能性もあるので、ちょくちょく目を通しておいてください。


〜お知らせコーナー〜

・お知らせはありません


〜コメント返信ページ〜
お客様への僕の対応は、全てこちらで名指しで行います。

※準備中


〜流浪のガンナー〜

目次

一話〜悪事を働く男〜>>1
二話〜行き倒れ少年〜>>2
三話〜酒を飲むにも一苦労〜>>3

Re: 流浪のガンナー【代筆、建て直し】 ( No.1 )
日時: 2014/07/19 17:45
名前: ミュウ (ID: gOBbXtG8)

 ここは砂漠と荒野の国"クライン"

 そしてクラインの南の国境にほど近い町"デザート"
 風来草が転がっている中、この町の入り口でちょっとした騒ぎが起きていた。
 少し太った貴族風の男と、若手のガンナーがもめているのである。

「何故わしを入れてくれぬのじゃ!?」
「あのなぁ、何度も言うけどよ? お前はこのクライン国のあちこちで悪行の限りを尽くしてきた男だろ? そんな大罪人を、のうのうとこの町に入れて只で済むはずがない。この町にとってもお前にとってもな」

 その男はどうやら、門番らしきガンナーが町に入れてくれないことに怒っているらしい。
 ただでさえ暑い砂漠だというのに、よりにもよってその男は、禿げかけた頭と顔を真っ赤にして怒っている。
 一方で青年も、えらい剣幕で捲くし立てている男に腰が引けているわけでもないようだ。
 お互いに、一歩も退く気配が無い状況である。

「悪行だと? このワシがかぁ?」
「あぁ」
「ふん! そこまで言うのなら、証拠くらいあるのだろうな?」
「あぁ、当然さ。お前の悪事は、このデザート街でも有名なんだぜ?」

 青年は、ここから遥か西にある関所"第一ジャンク"で映された写真が載っている新聞を見せた。
 その写真には、今彼の目の前で堪忍袋の緒を切らせている男が、幼い少女に銃口を向けている光景が映っていた。
 それを見せられた男。声にならない声を上げて退き始める。

「確かこの写真の子、人質だったらしいな?」

 青年は溜息をつく。
 その様子を見た男は、この場を乗り切る手段を失って怒り狂い、慣れない手つきでに銃を向けた。
 脅し程度にセーフティをはずしたが、これはガンナーの間では攻撃の合図とされている。
 青年は目つきを変えた。

「き、貴様……名を名乗れぇい! 今すぐその名を貴様の墓石に刻んでやろう!」

 まだドライアドの銃口が震えているときである。
 青年は素早く銃を取り出し、それを見て男があたふたしている間に、彼は男の拳銃を撃ち落した。
 時間にして、瞬き一回程度。素人が対応できるはずがない。

 撃ち落された男の銃は地面に落ち、銃身が大きく歪んで機能を失った。

「俺の名はニック・シャドウ。ま、俺が死んだらその時はその時だが……お前はどうなんだ? お前が死んだら、誰がお前の名を墓石に刻むんだよ? ぼっちのお前のために、俺が刻んでやろうか? えぇ?」

 余裕綽々、といった風の青年"ニック・シャドウ"を見て、その男はどこかへと逃げ出した。

「お、お、覚えてろよ貴様ぁ!」

 そんな捨て台詞だけを言い残して。
 一段落したニックは溜息をついて、銃にセーフティをかけてホルダーにしまった。
 門番の仕事も楽じゃない。彼はつくづく、門番の大変さを思い知るのであった。

『全く、いちいち覚えてろって言われても覚えてらんねぇっての』

 ニックは手袋をつけ、落ちている件の男の銃を拾う。
 色々な角度から眺め、銃の性能や価値を鑑定しているのだ。

『なるほど、性能だけはいいらしいな』

 その銃は特注品なのか、ニックが見たこと無い形をしていた。
 銃身はやたらと長く、拳銃の癖してセミオート式の機構をしている。
 それに、装飾もかなり派手だ。よく見ると、小さな宝石が鏤められている。
 一般的に貴族が使用する銃は高性能のものが多いが、それ故に大半は市販されていない特注の銃が多い。
 金の力は侮れない。金は天下の回り物、とは、よく言ったものだ。
 結果、この銃は性能はよくても、価値は皆無と言って良い結果にたどり着いた。
 鏤められた宝石だけなら売り値はあるだろうが、仮に壊れていなかったとしても、この銃そのものに売り値はないだろう。

 ニックはその銃を興味本位で鞄にしまい、仕事に復帰することにした。
 途端、砂嵐で見え難い状況だが、彼は遥か先から少年が歩いてくるのを目撃した。

Re: 流浪のガンナー【代筆、建て直し】 ( No.2 )
日時: 2014/07/20 09:39
名前: ミュウ (ID: gOBbXtG8)

『人影……?』

 ニックは砂漠の遥か向こうから、銃を手に持ってフラフラと歩いてくる少年を見つけた。
 さらにその少年は彼から見て、年の頃約12歳という幼い子供に見えた。加えて、遠目でも衰弱しているのが見て取れる。
 彼は焦った。この荒野の環境は、例え旅に慣れているからといえど、幼い子供にとっては非常に厳しい。
 即ち、連れも無しに子供が1人で行動するのは危険であり、場合によっては命をも落としかねないのだ。

「おい、ちょっとここを頼む」
「やれやれ、また行き倒れかよ?」
「どうやらそうみたいだな」

 いつ倒れてもおかしくない。そんな結論に至った彼は、もう1人の門番にこの場を任せて走り去った。

   ◇ ◇ ◇

 思った以上に距離があったらしく、ニックは少年の下へたどり着くまで少々時間を要した。

「おーい、大丈夫かー?」
「あ……やっと、人に……あ、え……」

 少年は彼の呼びかけに反応すると、どこか安心したかのような表情を浮かべ、そのまま地面に倒れ伏した。
 既に活力は切れていて、少したりとも残されていなかったらしい。

「しっかりしろ」

 少年の歩いてきた方角からして、国境からデザート街まで町は1つもない。
 その上かなりの距離があり、熟練の冒険者でも国境からデザートまで歩いて来るのは厳しい。
 よくもここまでやって来れたものだ。ニックは感心すると、倒れた少年を抱え上げた。
 デザート街には先のような地理的な問題で、行き倒れがよくやってくる。
 彼も数年門番を務めているので、このくらい慣れたものだ。

『さて、とりあえず俺の家に運ぶとするか』

 彼はは来た道を、また戻り始めた。


   ◇ ◇ ◇


 自宅のベッドに少年を寝かせたニック。
 すぐさま同僚に連絡を入れ、代理の門番を任せた。
 今はこの少年の看病をする必要がある。

「ふぁあ……あれ? ここは?」

 机の明かりが灯っただけの仄暗い部屋で、少年は目を覚ました。
 彼が寝ている客人用のベッドはふかふかとしていて、少年は比較的気持ちの良い目覚めを迎えれたようだ。
 腕には、脱水症状を治療するための点滴が施されている。

「よう、起きたか?」
「え、えっと……貴方は?」

 少年は状況把握が出来ずに混乱しているらしい。
 ニックは銃のメンテナンスを中断し、彼に歩み寄る。

「俺はニック。ニック・シャドウだ。ここはまあ、俺の家ってわけだ」
「は、はぁ……」
「さてと、俺はお前にいくつか聞きたいことがある。ちょっと質問に答えてもらえるか?」
「あ、うん」

 ニックはメモ用紙とペンを持ってきた。

「まず、お前の名前は?」
「えっと、ロイ・アクターレ」
「ロイ、か」

 その少年"ロイ"の名を、彼はメモ用紙に書きつける。

「じゃあ次に。お前は今までやっていたことを覚えてるか?」
「えっと、確か砂漠を歩いていたような……?」
「おっと、覚えているみたいだな」

 続いて、記憶に障害は見られない、と書き足す。
 そして次の質問に移ろうかニックが思ったとき、ロイが素っ頓狂な声を上げた。

「って! そうだ! 何で僕ここにいるんですか?」
「あー……」

 そういえばそうだ。
 このロイという少年は恐らく、自分が何故知らない人の家にいるのか、理解が出来ていない。
 単純な話が、まだ状況把握が出来ていなくて混乱しているのだろう。
 そうなればこのまま一方的に質問を続けるより、ある程度の経緯を話したほうが事の展開は早い。
 ニックはメモの手を止める。

「お前、砂漠でぶっ倒れとったぞ」
「僕が砂漠で?」
「あぁ。そこで俺がたまたま、お前を拾ったわけだ」
「あ、ありがとうございます。こんな行き倒れを……」
「いや、気にするな」

 ニックは笑ってロイの頭を撫で、満更でもなさそうな彼の顔を見てから質問を続けた。

Re: 流浪のガンナー ( No.3 )
日時: 2014/10/12 19:11
名前: ミュウ (ID: nWEjYf1F)

 一通りの質問を終えた後、ニックは適当な料理を作り、ロイに「腹が減ったらこれでも食え」と言い残してから家を出た。
 そうして1人で、砂漠独特の直射日光をテンガロンハットで遮りながらふらふらと町を歩くこと数分。
 風に、僅かにテンガロンハットから零れた金の短髪を遊ばせながら、彼は街の中心にある噴水広場の一角に聳え立つ、荒くれ共が集っていそうな質素極まりないバーに立ち寄った。
 一応彼はこのバー"ジャシー"の常連ではあるが、中でビールを呷る連中にはどうしても好感を持てずにいる。つまりはゴロツキ、それか野郎共だ。静かに1人で、或いは2人位で飲みたい酒でさえ、ここではとても叶わない。
 だが、バーと言ってここ以外に近い場所はなく、仕方なくここに来るしかないのである。

「やれやれ」

 ニックは暫く、薄い空色の瞳で"JACY"と書かれている錆びた鉄の看板を眺め、その後にそう呟くと、なるべく静かに中に入ろうと務めた。中にいる男達と関わると、毎度碌なことがないからである。
 そうして彼がゆっくりと押した扉は、密閉されるようなものではない。客人の足元と顔が店内から、店内の様子が外から見えるような、鍵さえついていない、ついていたとしても意味を成さない扉だ。
 現在中はかなり騒がしく、貸切で宴会でも開いているんじゃないかと思えるほどの喧騒振りだ。これなら気付かれずにカウンターまで足を運べるだろう。彼はそう思った。
 しかし、それは間違いであった。ギィ、と錆びた蝶番がかなり大きな音を立てて開かれ、なるべく静かに入ったにも拘らず、不本意ながら彼は、中にいる男達の目線を一気に集めた。

「あぁ?」

 一番手前にある右側のテーブルに座っていた男が、突然の訪問者——もといニックの顔を見てそう零す。
 鬚のみならず、顔面の毛全てが無造作に伸ばされていて、服装も"荒くれ"という言葉がピッタリなそれで、おまけに額には脂汗。そして右手にはビールのジョッキ大と、左手には潰されたような煙草。誰が見ても、同類でない限り思わず一歩退いてしまうような形相である。
 しかし、ニックは退かなかった。同類というわけではない。決してありえない。ただ慣れているだけだ。

「何だぁ? ニック」

 続いて、問うた。
 しかし問われたニックは、只平然と「酒を飲みにきた。馴れ合うつもりは無い」と言い放つのみである。

「ンだよ、ンなこと言わずに、お前も一緒にやらねぇか? 1杯といわず10杯くらい、おめぇならいけるだろぉ?」

 否定はしない。ニックは言った。
 彼は酒豪というわけではないが、酒にはかなり強い方であり、蒸留酒でない限りは恰も飲料水かのように酒を呷ることができる。酔うまでの時間もかなりかかるほうであり、また、酔ったとしてもそれなりに理性は働く。
 そんな彼は、不貞腐れたように酒の同席を勧めてくるその男と一緒に酒を飲むことに特に吝かではなかったが、今日の彼には、もっと大事な用事があった。ロイの今後について、相談してくれる相手がここにいるのだ。

「ランディ」
「よっ、お勤めゴクローさん。調子はどうよ?」
「まーぼちぼちってトコ」

 ニックは男の誘いをあくまで丁重に断り、真っ直ぐにカウンターへと進む。
 目的の席の隣には既に先客がいた。彼が"ランディ"と呼んだ、赤髪と緑の瞳が印象的な青年である。
 ニックはそんなランディと軽い挨拶を交わした後に彼の隣へ座り、カウンターの店員に「ジンジャーカクテル1つ」とだけ言って本題を切り出すことに。

「ちょっと相談したいことがあるんだ」
「はぁ? 何だ? お前から相談を持ちかけられるとは、明日は雨でも降るのかよ」

 ケラケラと馬鹿にしたように笑っているランディだが、ニックは特に険悪感を抱くことはしなかった。
 これはこれで、彼なりの意思表示をしているのだから。素直に「相談に乗ってやるよ」と言えない、彼なりの意思表示を。

「んで、何だよ? 仕事絡みか?」
「……まあ、半分正解だな」
「?」

 そう言いながらニックがテンガロンハットを取ったのと、それを聞いたランディが訝しげに眉根を寄せたのと、仕事が速いらしい店員さんがニックの前に、彼が頼んだジンジャーカクテルを差し出したのは全てほぼ同時。

「子供を拾ったんだよ。それも、まだ年端もいかない幼い男の子をよ」
「子供?」
「あぁ、そうだ」

 見た目12歳くらいか。ニックはそう言うのと同時に、差し出されたカクテルのグラスを手にとって、周囲の荒くれ共とは違って上品な仕草でグラスに口をつけ、ほんの少量だけ口へと流し込んだ。
 生姜独特の香りと炭酸ならではの爽やかさが相俟って、ジンジャーカクテルならではの風味が広がる。ニックはそれを感じて、これだよこれと言った風に満足気な表情を浮かべた。
 ランディもそれを見て、負けじと自分の分のカクテルを口へと運んだ。
 オペレーターという名のついた彼のカクテルは、独創的で何ともいえない風味と見た目が特徴。あらゆる果実から集められた香りと風味が見事なユニゾンを奏でていて、飲んだ瞬間にその名の通り、自分の中の何かが動き出しそうな感覚に見舞われる。
 しかし、ランディの飲み方はニックとは違い、カクテルらしくない飲み方で喉を潤している。何と言うか、乱暴だ。
 ニックはそんな彼を、周囲でまだ騒いでいる荒くれ共と姿を横目で重ねつつ、続きを話し始めた。
 ランディも、彼の話を真剣に聞き始めた。


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