複雑・ファジー小説

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Tales of Chronicle
日時: 2014/08/30 22:22
名前: スコール ◆ELA/6pDy4Q (ID: lY3yMPJo)

殺戮衝動。それは留まるところを知らず。
何時しか、隣にいる存在(ひと)が異形に見えそうで。
この手で命を奪ってしまいそうで、怖くて。
それでも、隣にいる存在はとても強くて。

————自由になりたくて。

だから、最初で最後の我侭を聞いてほしい。


   ◇  ◇  ◇


〜ごあいさつ〜

どうも、新参のスコールです。
"Tales of 〜"の綴りを見て某アクションRPGを思い出した方もいらっしゃるかと思いますが、当小説とそれとは一切の関係がありませんのでご了承を。何か不満があるようなら、言ってくだされば二次創作へ移行します。


〜ルール〜

1、荒らしは厳禁です。私のほうで管理人に通報しますので、見かけてもスルーを心がけてください。
2、更新速度は時と場合によってまちまちです。たまに保留が入りますが、保留中のコメントはお控え下さい。
3、伽羅の死亡表現やR-18要素を含む描写があるので、苦手な方はご注意を。


〜お知らせなど〜
※お知らせはありません


〜目次〜

プロローグ〜アンタは何がしたいんだ〜>>1

Re: Tales of Chronicle ( No.1 )
日時: 2014/08/31 00:05
名前: スコール ◆ELA/6pDy4Q (ID: lY3yMPJo)

 ここは多分、夢の中。最後に覚えている記憶は、見慣れた自室の天井だったから。

「あんた、一体何がしたいのよ」

 そうして、あたし"朝比奈寿々華"の口から最初に発された言葉はそれだった。それからはずっと目の前の存在に、そのあたしの質問に答えるようにを促してきた。
 宇宙の果てとでも言うべき、真っ暗で何もないこの空間。どこかから光がさしているわけでもないのに、あたしは何かに照らされて姿を露にしている。勿論、あたしの目の前で浮かぶ女性も。
 浮いてるっていう、えもいわれぬ無重力感に身体が慣れてきた頃だ。先ほどから、もう何度問いかけたか分からない同じ質問に対する答えが、やっとその女性から返ってきたのは。
 あたしと体型が同じで、身長も同じで、挙句の果てには声も同じなその女性。違う点は精々口調と、紫のローブを身にまとって、フードを深く被って顔を隠してることくらいだ。想像したくもないけど、あのフードの奥に隠された顔も、多分あたしと全く一緒なのだろう。
 まるであたしの分身みたいなその女性の、フードから唯一覗いている、小さくも艶美な口が動く。

「私がしたいことは、貴方のしたいこと」

 声が小さい。あたしとはまるで違う、とても儚いソプラノ調のメロディーみたいな声だ。声の出し方ひとつで、ここまで変わるものなのか。
 というか小さすぎて、聞き取るのがやっとだ。何の物音もしないこの静寂を、切り裂いているのは私だけで、その女性は切り裂こうともしないほどに。
 そして、答えの意味も分からない。

「はぁ?」

 思わず聞き返した。

 この目の前にいる女性。実はこのところ、あたしが夜眠りにつくと、必ずと言っていいほど目の前に現れる。
 何時からだろう。この女性が、あたしの前に現れるようになったのは。考えてみるけど覚えていない、気付いたら、目の前に現れるようになった。たったそれだけなのだから。
 そもそも、これが夢と言い切れるかどうかも怪しい。最後の記憶が、布団の中で自室の天井を見ていた、ということを考えると夢なのだろうけど、実際はどうなのかサッパリだ。
 それで、あたしはこうして問いただすようになったわけ。最近まで無視していたけど、何か鬱陶しくて。

「どういうことよ。あたしのしたいことって」
「そのままの意味」

 今度は、打てば響くように返事が返ってきた。

 あたしのしたいこと。一体なんだろう。折角女子高生やってるのに、あんまり気にしたことないな。

「何アンタ、セックスしたいの? そのために態々ここにいるの?」

 だから、ちょっと冗談を交えて言ってみる。

「それは、貴方が本当にしたいことじゃないでしょう」
「あ、あはは。バレた?」

 冗談が通じてるのか通じてないのか。それすらも分からない。
 まあ会話を進めていく中で分かることはあるだろうから、深く考えないことにする。

「それで、アンタ誰だよ? えらいあたしと体つきが似てるけど」
「————」
「だんまりか?」
「来る」
「は?」

 来る。その女性がそう言ったとき、ふと頭上が真っ白な光で満たされ始めた。
 まるで水中から空を見上げているような、神秘的というか、とりあえず綺麗な光景であって殺風景ではない。
 気付けば、その女性は踵を返して歩き出していた。

「まて!」

 そういって追いかけるけど、なぜか距離は縮まらない。
 まあ浮いてるんだろうから、走ってもしょうがないだろうけど。

「貴方は直に、眠りから目を覚ます。覚ましたら、覚悟すること」
「覚悟? 何を?」

 何の覚悟だと問い詰める中、女性の姿はボンヤリと陽炎のようになっていく。

「貴方は知る。知ってしまうの」
「知るって、何を……うっ……」

 すると突然、あたしの意識が酷く朦朧としてきた。女性が徐々に姿を晦ますのと比例するように。
 やがて、意識は途切れた。

「この世界の真実を」

 その言葉を最後に。

Re: Tales of Chronicle ( No.2 )
日時: 2014/08/31 08:18
名前: スコール ◆ELA/6pDy4Q (ID: lY3yMPJo)

「う〜ん……」

 朝日が眩しくて、あたしは目を覚ました。
 目を覚ませばそこには、見慣れた光景が広がっている。服とかゲームとか色んなものが散乱してて、足の踏み場もないピンクが基調のこの部屋。ここはあたしの自室だ。
 とりあえず身体を起こして、まだちょっとだけ眠い目を擦って、日時と時刻を確かめるためにスマホの電源を入れる。指していた時刻は朝の7時で、そして今日はどうも金曜日らしい。

『あー、学校行きたくねぇなぁ……』

 1週間が7日あるうち、どうして休日がたったの2日しかないのだろう。いつも金曜日のこの時間帯になると、どうしてもそう考えてしまう。怠け癖はあたしの悪い癖だと、分かっちゃいるがやめられない。
 でも学校というものは——特に高校や大学は行かないわけにはいかず。渋々あたしは出かける準備をすることに。
 宿題も時間割合わせも昨日終わらせたし、余裕はある。


   ◇  ◇  ◇


「いってきまーす」
「はい、いってらっしゃい」

 ママの声を適当に聞き流して、準備を終えたあたしは学校へと歩みを進めた。
 あたしが通っている"県立椚丘高等学校"は、家から歩いて大体10分くらいのところにある。そんなもんだから寝坊して遅刻しそうになっても大体間に合うし、もし忘れ物したとしてもダッシュで取りにいける。
 丁度あたしの偏差値とその高校が見事にマッチしていたのでそこに入学したわけだけど、今になって考えてみれば、凄い偶然じゃないかって思う。こんな奇跡、滅多にないぞ。

『今日も余裕余裕っ』

 のんびりと学校へ向かった。


   ◇  ◇  ◇


 あたしはいつも通り、余裕綽々で教室に入った。だけど余裕だったのはどうやらあたしだけのようで、他のみんなは何かと忙しなく、忙しそうにあちこちでバタバタとしている。
 一体何をしてるのだろう。気になってクラスメイトに聞いてみたら、文化祭の準備をしているのだという。
 何でこのタイミングで文化祭の準備をしてるんだ。あたしの胸に疑問だけが残る。
 今は7月の中旬で、もう今日の授業を終えれば、来週の月曜日には終業式で夏休みになる。でも文化祭が催されるのは10月で、夏休みを終えて学校が始まってもまだ1ヶ月の猶予がある。

「文化祭なんて、まだまだ先じゃん」
「チッチッチ、甘いね寿々華ちゃん!」

 親友の"松澤朱里"が人差し指を振って、何か知ってそうな素振りであたしにその赤い瞳を向ける。
 負けじとあたしも、焦茶の目で見返した。

「今年から文化祭の規模が大きくなるらしくて。そんで、早め早めの準備が要るって先生が言ってたの」
「へー」

 特に文化祭には興味ないあたしだから、適当な返事をしておいた。でもあたしは興味がないだけで、実際は面倒ながらも、当日に文化祭で出し物をする必要がある。
 今そそくさと、飾りつけに使う折り紙を整えてる朱里。あろうことかこいつが、あたしがピアノ弾けるからっていうだけの理由で文化祭に借り出したのだ。
 まあ演奏する曲はもう決まってるし、その曲はすでにマスターしてるし、当日は朱里得意のバイオリンでちゃんとリードしてくれるらしいけど。それでも面倒なのは面倒なもので。
 あぁ、思い出すだけで億劫になってきた。
 とりあえず始業のチャイムがなりそうだったので、あたしは席について、自分の金髪ショートボブの調子を手鏡で確認することに。確認する意味は特にないけど、何か癖で。

 そんなこんなで、今日も1日が始まった。

 ————いつもとは違う非日常が待ち構えてるとも知らず。


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