複雑・ファジー小説
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- 哀しみに濡れてしまった愛を
- 日時: 2014/12/22 17:49
- 名前: 菫 (ID: cXmcbA9E)
はじめまして、菫です。
初心者故に至らない点もあると思いますが、どうぞ温かい目で見てやって下さい。
*注意*
・誹謗中傷は禁止です
・小説に関係の無い雑談はお控えください
・更新はゆっくりめになると思います
アドバイスは大歓迎です。
楽しんでいただけたら幸いです。
〈追記〉
2014/12/22 参照100突破致しました。ありがとうございます。
- Re: 哀しみに濡れてしまった愛を ( No.7 )
- 日時: 2014/11/26 22:25
- 名前: 菫 (ID: CGuaQ/h8)
*秘密*
それから午後の授業を終え、家に帰る。部活には入っていない。
電車に揺られながら、ぼうっとしていると、女の人とぶつかった。
「あ、すいません」
「いや、ええんよ。こちらこそ」
少しなまった喋り方をした、その女の人はそそくさと去っていった。次の駅でおりるのだろう。
「ん、俺はその次か」
そして、駅につくと急いで家へ向かった。そろそろ11月も後半になる。息が白くなって消えた。
徒歩15分、ようやく家についた。
「父さん、ただいま」
「ああ祐也。おかえり」
父は銃の手入れをしていた。それを机の上に置くと、立ち上がり、こちらへゆっくりと歩み寄ってきた。
「なぁ祐也、話があるんだ」
「どうせ『俺のあとを継げ』、なんて言うんだろ?
何度も言ったじゃないか。俺にその気は無い」
「……」
「俺以外にも継げるやつはいるだろ、何で俺が……」
俺の家は、マフィアだ。
小さい頃からずっとその為の教育を受けてきた。だが、周囲にバレてはいけないということで、普通の学校にも通っているのだ。
マフィアということがバレないようにつとめた。人付き合いが下手なのはそのせいだと思う。
俺の父はそのマフィアの首領だ。つまり、次の首領は俺になる確率が高いのだ。ただ、俺はそんなものにはなりたくない。
「……わかった、この話はまた」
「……」
俺は一体、どうすればいいのだろうか。
- Re: 哀しみに濡れてしまった愛を ( No.8 )
- 日時: 2014/12/06 17:58
- 名前: しじみん (ID: jo2UR50i)
更新まってます
- Re: 哀しみに濡れてしまった愛を ( No.9 )
- 日時: 2014/12/22 14:51
- 名前: 菫 (ID: VhEnEiwQ)
>>8
しじみんさん、読んでくださりありがとうございます!
更新は時間がある時しかできませんが、気長に待っていてくださいね。
- Re: 哀しみに濡れてしまった愛を ( No.10 )
- 日時: 2014/12/22 15:30
- 名前: 菫 (ID: VhEnEiwQ)
*日常*
そしてあっという間に12月に入ると、泉も完全に馴染んできていた。
「えーっと、じゃあここの問題解ける人いるか?」
数学の時間、先生が生徒たちを見つめるが手はあがらない。
ため息をついた先生は壁に貼ってあるカレンダーをじろりと見た。
「今日は3日だから…出席番号3番、泉。答えは?」
「ええええっ!?」
あはは、と教室から笑い声が起こる。指名されたからではない。なんと泉は指を使って計算しだしたのだ。
「先生!ルートって指じゃできませんよ!?」
「当たり前だろう!」
もう完全にムードメーカーだ。クラスの奴らも完全に受け入れている。勿論、俺も例外ではない。普通に、いいやつだ。
「んもー……分かるわけないし」
「泉、もういい。座ってくれ」
先生は呆れた様子で泉を見た。
「お前どうやって高校にはいれたんだ?」
その質問は俺も気になる。ちらりと泉を見ると、慌てた様子で手を振って言った。
「やだなぁ、ジョーダンやから!解けますよ私にだって!」
「じゃ、解くか?」
「うっ」
皆は笑っていたが、俺は何故か違和感を感じていた。だけどあまり気になる事もなく、普通に時間は過ぎていった。
俺はこっそりと本を読みながら数学が終わるのを待った。
そして体育の時間になる。体育は得意だが、勿論それは小さい頃から鍛え上げられていたからである。
今日の種目は1000m走だ。長距離は苦手な奴が多いのだろうか、あちこちから嘆き声がする。
「出席番号1番から15番の人!ペアの人にラップタイムをメモしてもらってくださいね!」
声のデカい先生がプリントを配っている。
俺は26番だから、後半か…。
そんなことを思っていると、理恵が此方に走ってきた。
「祐也!あたし今からだから、メモしといて!ペアでしょ!」
「ん?おぉ」
「よっろしくー!」
まったく、コイツも先生に負けず劣らずうるさい奴だ。
「なぁ祐也!泉さんが走るぜ、なにしろ前の学校じゃ陸上部だったらしいから速いだろうなぁ」
「総は女子に抜かされるくらい遅いけどな」
「うちのクラスの女子が論外なだけだろ!?ひっでぇなぁ
ま、お前は速いからいいよなぁ」
「そうか?」
なんだかんだ話しているうちに、もう始まるらしい。
記録をとっていないと理恵がキレる。そうなったら面倒だ。
「よーい、」
一拍おいて、パァンと音がする。
そして一瞬でざわめいた。
「は、はっや……」
これには俺も何も言えない。
クラスの女子の中で一番速い理恵を、泉が抜いたのだ。
そしてそのまま、ゴール。
「くっやしぃぃぃぃ!」
「あはは、元陸上部だもん。走りじゃまけないよ!」
「泉ちゃん凄いよ!」
そんな会話を聞きながら俺はスタートラインに立った。
何故か、珍しくやる気が起きる。
「ゆ、祐也……?」
「なんだ?」
「いや、珍しく目がぎらついてたから……」
「誰も追いつかせねぇよ?」
「ゆ、祐也ー!?」
泉の走りを見たからだろうか。
いつもは軽く流す程度なのに、柄にもなく本気で走りたくなる。
「よーい、」
声が聞こえた。
俺は構える。そして────
- Re: 哀しみに濡れてしまった愛を ( No.11 )
- 日時: 2014/12/23 18:46
- 名前: 菫 (ID: IS3fXoEU)
「は、はえぇよ……」
「久々に本気で走ったしな」
「部活もやってないくせに、もう才能だわ」
「まぁ、総も今回は速かっただろ」
結果は、勿論トップだ。だてに鍛えられちゃあいない。
ふぅ、と溜め息をつくと理恵が此方へ走ってきた。
「祐也ー!アンタ本当に速すぎ!信じらんないよ」
「お前だって女子のクセに普通の男子より速いだろ。信じらんないのはこっちだ」
「あだっ!ちょ、チョップは無しだよ馬鹿!」
まったくコイツは、単純すぎるだろ。
まぁ、そんなところがとっつきやすいんだけどな。
むくれる理恵を置いて、俺はお茶を飲みに日陰にいく。寒い時期だが、あまり日にあたって肌をやきたくない。女子じゃああるまいし、とたまに言われるが。
「ふぅー……」
思い切り走ったからか喉が乾く。ゴクゴクと一気に飲む。
「速いねぇ森川くん」
「ん、泉か」
「ぶっちぎりだったねー……えげつない」
「まぁな」
「否定しないのね、あははっ」
何故だろう、泉は何かと話しかけてくる。俺はあまり人付き合いがうまくないし、友達といえるのも総と理恵くらいだ。
転校生だし、色んな人とかかわりたいのか?と勝手に自己完結する。
その後の授業もいつも通りに終わり、放課後になる。
下駄箱に向かうと、何やら笑い声がした。
「きゃははっ、傑作ぅ」
「泉調子にのってるし、こうすりゃ大人しくなるでしょ」
「祐也くんにベタベタして、信じらんないしぃ」
会話の中には、泉の名前と、俺の名前が出てきた。
何故かはよくわからないが、取りあえず悪いことをしてんのは確かだ。
「で、お前らなにやってんだ」
「わっ、……ゆ、祐也くん……」
どうやらクラスの女子みたいだ。あまり付き合いがないからよく知らないが。
そいつらの手には画鋲があった。
「ふーん、泉の靴に画鋲を入れて、怪我させようとしたのか。お前ら古典的なやり方するなぁ。
それに多分、履く前に気づかれて大事にされるオチだぞ、やめとけ。
俺、証人だしな」
女子の横を素通りして自分の靴を取ろうとする。
「ゆ、祐也は泉のことどう思ってんの?」
「泉?どうって……クラスメイトだろ」
「あっそう……」
そのまま何も言わず帰って行く女子たち。訳が分からない。
それに、何で俺が会話にでてくるんだろうか。
「ま、いいか」
俺は帰路についた。