複雑・ファジー小説
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- 獅舞
- 日時: 2015/01/04 02:29
- 名前: 天下のゆまさま ◆qZFKl2dobU (ID: 1z7c.Tqt)
はじめまして。
このお話は、「しろねこ」という不器用な女の子のお話です。
※シュール注意
※なんか場違い小説注意
.+*:゜+。.☆story.☆.。.:.+*:゜
#1 >>1
スレ立て 1月3日
- Re: 獅舞 ( No.1 )
- 日時: 2015/01/04 00:28
- 名前: 天下のゆまさま ◆qZFKl2dobU (ID: 1z7c.Tqt)
#1
わたしの名前は、「しろねこ」。
よく、間違えられます。「しろくま」とか、「らいおん」とか。ひどいよねぇ、わたしは「ねこ」だよ。にゃー。
わたしは、今日からこの町に住むことになりました。よろしくね。
さぁて、そろそろ部屋を片付けようかなぁ。......めんどくさいなぁ。
よし、部屋の片付けはやっぱ後回しにしよう。
まずは近所の人たちに、ご挨拶だ!!
『ピンポーン』
しろねこは、インターホンを押したふりをして、自分でピンポーンと言った。
「どうぞ~」
しろねこは玄関の扉を開けた。
中には、ふとっちょがいた。
『はじめまして。隣の家に引っ越してきた、しろねこです。』
「これはこれは、どうもはじめまして、しろねこさん。わたしの名前はぶたいぬです。せっかくだし、お茶でもどうですか?」
『いーよ。(肯定)』
「……あ??」
しろねこは、お邪魔した。
『すごいですねぇ。めっちゃ広いじゃないですか。』
「いやいや、子どもがいると全然狭いですよ。」
『ぶたいぬさんも、結構な体積ありますもんね。』
「あぁ??」
『お子さんは何人いらっしゃるんですか??』
「5人います。これが、毎日毎日うるさくてしょうがないんですよ~。」
『あ、ごめん。聞いてなかった。』
「…なんでそこで聞いてなくいられるんですか。」
『このお茶おいしいですね。』
「でしょう。実家で茶葉を作っているんですよ。」
『へぇぇ。その図体で。』
「いや、わたしは作ってないんですけど。」
『へぇ。そりゃすごい。』
「すごい?? すごい要素、ありました??」
『いや、すごいのはぶたいぬさんの顔ですよ。あははは。』
しろねこは、爆笑する。
ぶたいぬは、そこまで温厚ではない。
しろねこは、ぶたいぬに追い出された。
『あ、待ってください。ぶたいぬさん。』
「なんだよ!!」
ぶたいぬは若干キレ気味だ。
『これ……。』
しろねこが差し出したものは、そば。
『そばです。わたし、そばの作り方がわからないんで、あげます。』
「おまえ………。馬鹿なんだな……。」
ぶたいぬは、哀れみの目でしろねこの顔を見る。
『わたしの馬鹿さに今まで気づけなかった、ぶたいぬさんもぶたいぬさんですよ。』
ぶたいぬは舌打ちをした。
「お前、いつ引っ越すの??」
『引っ越すつもりは今のところはないですよ。』
「うわ~、やだ。早く引っ越しちまえ。」
『……。ひっく。ひっく。(泣)』
「あ゛~~~!! 悪かったよ、言い過ぎた。引っ越さなくてもいいよ。」
『嘘泣きですよ。』
「!! あぁ、そうですか!! 」
『なぜ、引っ越さないかというと。』
『ぶたいぬさんみたいな人が、近所の人だからです。』
「!! ……褒めたって、なんも出ねぇぞ。」
『褒めてませんよ。もし私が貧乏になって、ご飯が食べれなくても、ぶたいぬさんを食べれば済む話だからです。』
「……死ねばいいのに。」
『……。ひっく。』
「泣ーくーなーよー!! 悪かった、悪かった。俺が悪かったよ。死ねは言い過ぎたよ、死ななくていいや。死ぬ価値もないや。」
ぶたいぬがそういうと、しろねこはにこっと笑った。
『そばって、フライパンで焼いて食べるんですよね??』
「……もう、なんて言っていいかわかんねぇよ。もう、それで生きていきなよ。」
『ありがとうございます。そうします。あ、あと。』
「なんだよ、まだあんのかよ!!」
『そばって、どのくらいのご近所さんにくばればいいんですかね??』
「ん~。それは、お前がご近所だって思う範囲に住む人に配ればいいんじゃないか??」
『なるほど~。今日はありがとうございました。また来ます。』
「一生来なくていいよ。」
ぶたいぬは、ため息をついた。
しろねこは、嬉しそうに帰って行く。隣の家に。
- Re: 獅舞 ( No.2 )
- 日時: 2015/01/05 01:24
- 名前: 天下のゆまさま ◆qZFKl2dobU (ID: 1z7c.Tqt)
#2
しろねこが引っ越してきてから、1週間後。ぶたいぬは、夕飯の材料を買いに行こうと、外に出た。すると、遠くからしろねこが、リヤカーを引っ張ってとことこと歩いてくるのが見えた。
Q、この時のぶたいぬの心情を10字程度で説明しなさい。
チッチッチッチッチッチッチッチ
時間切れです。模範解答は「嫌な奴に会っちまったぜ。」です。
ぶたいぬは、話すと面倒なことになるんだろうなと思い、買い物に行くのをやめようと、家の中に引き返そうとした。
そのとき。ガッと、後ろから肩をつかまれる。ゆっくりと、後ろを向く。予想した通り、というか、それ以外ありえないのだが。しろねこがいた。
『こんにちは。』
「……こんにちは。」
『私がいなくて、寂しかったでしょう。』
「馬鹿言うんじゃねぇよ。俺は今から寝るんだ。さっさと帰ってくれ。」
『あれぇ?? おやぁ?? その手に持ってるのは何です?? 財布でしょう!! あなたこれからどうせ今晩の食事の材料でも買いに行こうとしてたんではないですか!? 行けばいいじゃな~い!!』
イエス。その通りである。しかし、しろねこの言い方(あと、馬鹿にしたような顔)に腹が立ったのでぶたいぬは軽くビンタした。
『いたい!! 女の子ですよ!! わたし!!』
「リヤカー引いてる女の子なんてそうそう見かけねぇよ。」
リヤカーの荷台には、「そば」と大きく印刷されたダンボールが積まれていた。しろねこは照れくさそうに頭をかく。
『実は…』
『そばをご近所さんに配って来たんです。』
「……リヤカーで??」
ぶたいぬは不審な目で、しろねこを見る。……なんとなく、展開が読めた。
『はい!! ご近所さんがどのくらいの範囲なのかわからなかったので、私の家から半径1000メートル以内に住む人、全員にそばを配ってきたんです!!』
「うっわ~~~!! 大迷惑だな!! 規模がでかいよ。程度ってもんがあるだろ!!」
『ご近所さんの範囲を教えてくれなかったぶたいぬが悪い!』
「タメ口かよ。」
『細かいことは気にすんなよ。』
「うるせぇよ、そばキチガイ。」
『このリヤカーは、うさぎ川の橋の下に住んでいる天龍寺さんにもらったんですよ!!』
「……うん。まぁ、いろいろ聞きたいことがあるんだけど。面倒だからいいや。」
『あっ、そうだ。ぶたいぬさん、夕御飯の材料買いに行くんでしたよね??』
「……まぁ、そうだな。そういうことになる。」
『……そば食べますか。』
「いりません。」
『食べないんですか。』
「いらないです。」
『食べてください!!』
ぶたいぬは機敏な動きで、玄関に入り、扉を閉めた。それを無理矢理こじ開けようとするしろねこ。
『1分だけ!! 1分だけでもいいので、話を聞いてください!!』
「うるさいよ!! うちはセールスお断りです!!」
『あっ!! そうだ!! 天龍寺さんにサイン貰っちゃいました!!』
「……そりゃよかったな。」
『欲しくたって、あげませんよ~~~。』
「いらねぇよ。」
『ちぇっ。』
しろねこは、つまらなそうにして、リヤカーを引きながら隣の家に帰っていった。
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