複雑・ファジー小説

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

浮子
日時: 2015/02/15 22:22
名前: ゆういち (ID: 9nquTbLL)

こんにちは。
ゆういちと申します。

ジャンルはあってるかどうか分かりかねますが、どうか目を瞑っていただけると幸いです。

Re: 浮子 ( No.1 )
日時: 2015/02/15 22:25
名前: ゆういち (ID: 9nquTbLL)

「浮子」

ーーうずくまっている女の子に話しかける僕。

君、名前はなんていうの?

……吉野。吉野しょーへー。

…えっ?しょー、へー…?

そう。オランダで生まれて、海王星で育ったの。ここは暖かくていいわね。

か、海王星…

あなたは?

いや…僕は普通に東京で生まれて育ったよ。
っていうか、冗談はよしてくれよ。

どうして?

海王星からどうやってここまでやってきたの。

ミートスパゲッティ。に、乗ってきたわ。
あれ、長いでしょう。

と言っても、地球を一周する長さもないよ。

地球は一周したことないわ。きっと大きいのかしら。

少なくとも、君が通ってきたであろう木星よりは小さいかな。

そうなの?

話を戻そうか。ええっと、何の話をしていたんだっけ。

猫って色で例えるとどんな色かしらっていう話でしょ。

それは違うと思う。だって猫はいろいろな色があるでしょ。

イメージよ、イメージ。

君と話すと疲れるね。

そうなの?

よく言われない?変な人だって。

さあ。話すのは今が初めてだから、よく分からない。

あぁ、君友達いなさそうだよ。

じゃあ私の友達はあなた。

スパゲッティに乗ってきた海王星人なんて、お断りしたいところだね。

海王星人じゃない。オランダ人。

ご両親は?

良心の塊よ。

言ってる意味が分からないな。お母さんは?

私がお母さん。

海王星にでも置いてきたのかい。

正直に答えると、知らない。

お父さんは。

あなた。

僕はまだ結婚したことも誰かさんと子供を作ったりした覚えもないなぁ。

記憶がないだけじゃないの?

君には言われたくないなぁ。

私はしっかりしてるわ。だってオランダで生まれて海王星で育ったんだもの。

そのオランダ人は、何故こんなところまで来たんだい。

ーー女の子は初めて、質問に答えず黙りこくった。
ーー明確な意図があるわけでも、目的があるわけでもないようで、じっと僕を見据えている。
ーー僕は戸惑った。見つめられている。と思った。
ーー事実見つめられていた。

あなたの名前は、知らない。

そ…りゃあ、教えてないからね。

あなたのこと、何も知らない。

そりゃあ、初対面だからね。

違う。

え?

私は一つ知っている。

…。

あなたはちゃんとここにいる。立ち止まっている。

…。

進んじゃいない。

そりゃあ、君と話しているからね。

私は吉野しょーへー。しょーへーって呼ばないと怒る。

あぁそう。いいんじゃないかな。
僕には関わり合いのないこと。

どこ行くの。

君には何も言いたくないね。

何を言おうとしていたの。

だから、何も…。

ないわ。

…。

ここには。何もない。
どこへも行けない。

真っ白だ。

そうよ。だから行くあても、考えていることもない。

考える必要もない。

ーー少女は黙って頷いた。
ーー静かに。
ーー考えることがないから、喋るのをやめた。

じっとここで膝を抱えていれば。

いつかは外へ連れ出してくれる?

そう。でしょ。

誰が。

海王星人。

オランダ人。

じゃあ君。

無理。

ずっとここで膝を抱えていれば。

誰も傷つけない?

そう。でしょ。

出たがりの恐がり。

何の話。

嘘つき。

どこ行くの。

ペペロンチーノに乗るの。

帰るの。

あなたが。

僕が。

帰るの。

どこに。

あっち。

ペペロンチーノってあれ。辛いでしょ。
辛いのは嫌だ。

辛いのも辛いのも嫌。

嫌だよ。

いつまでできるかしら。

僕は。

見ないふり。
もうできないよ。

ーー僕は答えない。

顔を背ける。

ーー答えない。

行かなきゃ。

ーー答え。

分かってるでしょ。

もう。

行こう。

ここではないどこかへ。

違う。

そう。

現実に。

さよなら。

あぁ。そして。

おかえり昭平。
ただいましょーへー。

ーー僕の目の前にいた少女。
ーーは。
ーー僕「吉野昭平」の中に消えた。

Re: 浮子 ( No.2 )
日時: 2015/02/15 23:05
名前: ゆういち (ID: 9nquTbLL)

以上です。おっそろしく短い。

たぶんイメージできないでしょう。
このしょーへーちゃんは、昭平のイマジナリーフレンド、という感じですね。
昭平の「現実を見たくない。でももう目をそらしているのは嫌だ」という気持ちを後押ししてくれている。

この話どこそこで見かけたよ!という方はそっと目を閉じてくださるとありがたい。

そのうちイラストとか募集するかもしれません。


Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。