複雑・ファジー小説

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百鬼夜行抄
日時: 2015/04/03 23:23
名前: 韋駄天 ◆yy6Pd8RHXs (ID: nWEjYf1F)

 とある町では、百鬼夜行の伝説が云い伝わっている。
 始まりは凡そ2000年前の昔。牛鬼と呼ばれる陰陽師の男が、魂の集う冥界への扉を開いたとされている。
 何を意図して冥界への扉を開いたか、真偽は未だ闇の中であり、牛鬼の血を継ぐ柳生一族でさえ彼の真意は知らず。
 抉じ開けられた扉からは、怨念を糧に彷徨う魂が洪水の如く溢れ出し、のうのうと辺りを彷徨ったという。
 それに纏わる百八の話が百鬼夜行の伝説となり、これを柳生一族は、百鬼夜行談として語り継いでいった。

 これは、百鬼夜行談誕生の2000年後。即ち現在における、百鬼夜行談の続きを語る物語——百鬼夜行抄。

Re: 百鬼夜行抄 ( No.3 )
日時: 2015/04/05 14:42
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: g8eYpaXV)

初めまして韋駄天様、風死と申します。

丁寧な描写と作りこまれた設定が良いですね♪
今のところ出ているキャラも2人だけですが、2人ともちゃんと書けていて興味をそそられます。

陰陽師とか百鬼夜行とか大好きです。実際その手の作品書いていたこともありますし(苦笑
無茶しない程度に更新がんばってくださいね!

Re: 百鬼夜行抄 ( No.4 )
日時: 2015/04/05 18:12
名前: 韋駄天 ◆yy6Pd8RHXs (ID: nWEjYf1F)

コメントありがとうございます……ん? 風死さん!?w
プロ作家のあなたにコメントを頂けるとは嬉しい限りです。

改めて、初めまして。駄作者こと韋駄天です。
褒め言葉をありがとうございます。
特に設定にはかなり力を入れたつもりですから、そう言っていただけると嬉しいです。
キャラはそのうち募集しようかと思っております。自分ひとりで考えるには限界がありますからw

僕も和風の物語が大好きで、毎日色んなものを読んでいた結果、自分で書くに至りましたw
初心者かつ初投稿ですので至らぬ部分も多いかと思いますが、今後とも宜しくお願いいたします。

Re: 百鬼夜行抄 ( No.5 )
日時: 2015/04/05 23:07
名前: 韋駄天 ◆yy6Pd8RHXs (ID: nWEjYf1F)

 命辛々、正也はどうにか麓まで辿り着くことができた。
 後ろを振り返っても追っ手の気配はなく、一先ず逃走は成功したこととなる。
 ホッと胸を撫で下ろす彼。だが、肝心の暁美は衰弱したままである。
 彼女をどこか安全な場所に寝かせ、安静にさせねばならない。

『さて、どこへ行ったものやら……』

 焦る気持ちを抑えつつ当ても無く彷徨っていると、ふと1軒の屋敷が目に留まる。
 何かと思えば、その寝殿造を模した屋敷は、知る人ぞ知る彼の柳生一族が住まう屋敷だった。
 これは是非ともお邪魔するしかない。正也は迷うことなく屋敷に近付いた。

「おや?」

 すると丁度、門から人が出てきた。
 正也と暁美の契約に付き添った青年"柳生竜輝"である。

「あ、竜輝さん!」
「久し振りだね……って、背中の暁美ちゃんは一体どうしたんだい?」
「力の使い過ぎで衰弱しています。どうか彼女を寝かせてくれないでしょうか?」
「あぁ、なるほどね。なら早く休ませよう。こっちへおいで」

 快く引き受けた竜輝は、正也を連れて再び門の中へと入っていった。


    ◇  ◇  ◇


「うーん、熱が酷いね。これは熱中症を伴ってるかもしれない」

 眠る暁美を寝かせたのは、客室として使用される和室だった。
 見た目は完全に寝殿造そのものだが、エアコンとコンセントの2つだけ、最近の技術を取り入れているらしい。

 暁美を寝かせた後、念のためにと熱を測ったところ、体温は実に40度を越えていた。
 汗を掻いている様子も全く見られないため、仮に熱中症でも十分頷ける。
 最も、暁美は殆ど汗を掻かない——もとい掻けない体質なので、仮というよりは確証に近いのだが。

「そういえば、どうして熱中症が絡んでるんですかね?」
「こういったケースで衰弱した陰陽師はね、体力が著しく低下するんだよ」
「……すると?」
「そう。多分だけど、熱中症に耐えれるだけの体力も、全部持っていかれたんだろう」

 陰陽師の間ではよくある話だ。
 力を使いすぎて衰弱した彼らは、病原菌に対する免疫力や、基礎的な体調が著しく悪化する。
 故に、暁美のように熱中症になったり、軽度の病気に罹ったりする者も少なくない。

「暁美ちゃんの家に電話してくるよ。君はここで看病してて」
「分かりました」

 立ち上がり、部屋を出て行く竜輝。
 しかし、分かりましたと返事をしたはいいものの、看病の仕方について今ひとつ理解していない正也である。

『えーっと……冷やしタオルを時々、氷水に濡らすくらいでいいか……?』

 そう思いながら何気なく、暁美の額に乗っているタオルに触れる正也。

『あれ? もうめっちゃ熱いじゃん』

 乗せて数分も経たないうちに、タオルは既に高熱を帯びていた。
 早速それを氷水に浸す正也。瞬く間に冷えたタオルを絞り、再び彼女の額に乗せる。

 すると、暁美が目を覚ました。

「お、目覚めたか?」
「……」

 意識が朦朧としているのか、彼女の反応は薄い。
 僅かに頭を動かし、視線を正也のほうへと向けただけである。

「……ごめんなさい。足、引っ張ってしまったわね」

 喋り方もゆっくりで、非常に弱々しい。
 虫の息とは、この事を言うのだろう。

「いいんだよ。それにあの状況は仕方ないって。俺らまだ初心者も同然だし」
「……優しいのね、貴方。知り合って間もないのに」

 微笑む暁美の表情に、正也は心を打たれた。
 元より事実に変わりはないが、素で美しいと思ってしまったのだ。

「きっとただのお人好しなんだよ」

 だからだろうか。
 彼は照れ隠し半分に、きっと赤くなったであろう頬を隠すように俯いた。
 これは絶対に暑さの所為ではない。そう確信した正也だが、暁美はただ、俯いた彼に対して首を傾げるだけであった。

 竜輝が戻ってきたのは、それと同時刻のことである。

Re: 百鬼夜行抄 ( No.6 )
日時: 2015/04/06 18:30
名前: 韋駄天 ◆yy6Pd8RHXs (ID: nWEjYf1F)

皆様こんにちは。駄作者の韋駄天です。
この度は百鬼夜行抄をご参照いただき、誠にありがとうございます。
さて、粗方物語が進んだところでオリキャラを募集するため、今回はテンプレートを作成しました。
皆様どうぞ、奮ってご応募下さい。


※不採用の可能性あり。主にチートキャラなど。
※応募制限は1人につき2回までとします。
※キャラの名前は実在するものに限ります。凝り過ぎた名前のキャラは不採用とします。


名前/読み:(和名のみ。"柳生"の苗字は不可)
年齢/性別:(10歳以下、70歳以上は不可)
容姿:
性格:
武器:(1種類のみ。無形不可)
能力:(1つのみ。内容は自由)
奥義:(1つのみ。ここだけある程度のチートを認める。内容は自由)
職業:
キャラ関係:(後鳥羽正也、五十嵐暁美との血縁関係は不可)
陰陽師暦:(陰陽師になってどれくらいの年月が経過しているか)
備考:
SV:(一人称などが分かるように)

Re: 百鬼夜行抄 ( No.7 )
日時: 2015/04/25 20:09
名前: 韋駄天 ◆yy6Pd8RHXs (ID: nWEjYf1F)

「さて、連絡は終わった……あ、暁美ちゃん。目覚ましたんだね」
「……お邪魔してます」
「いいよ、ゆっくり休みなよ。それより……」

 やってきた竜輝は、正也のほうへと向き直った。
 飄々としてやまない彼にしては珍しく、いつにもましてやたらと真剣な面持ちでいる。

「えっと、何でしょうか?」
「暁美ちゃんが力を使い果たしたと言っていたね。一体どこで襲われたんだい?」
「あー」

 即ち、先ほどまで死闘を繰り広げていた原因である。

「俺達さっき、直ぐそこの山道で般若面の妖魔に襲われたんです」
「扉の気配は?」
「いえ、なかったです。でも数が尋常じゃなかったので、俺が奥義を使って逃げてきました」
「なるほどね」

 話を聞いた竜輝は顎に手を当て、何やら神妙そうな表情を浮かべ始める。
 何か思い当たる節があるらしい。

「ここ数日のことなんだけどね。君達と同じような被害に遭ったっていう報告が沢山来てるんだ」
「そうなんですか?」
「うん。扉もないのに、まるで妖魔は無限湧き。それで止むを得ず退散した——ほんと最近だけどね」


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