複雑・ファジー小説
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- 悠久のILIZA
- 日時: 2015/05/20 21:23
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?mode=view&no=10315
初めまして ! ご存じの方はこんにちは !
駄作者みすずが複ファに降り立ってしまった ! ?
今回は人工知能VS人類のお話です
attention
・ちょっと都市伝説を元にしている
・兎で頑張るけどたまにしばらく放置あり
・どちらかというとシリアス(コメライ4 : シリアス6)
・アンチ、チェンメ、パクリは通報致しますので悪しからず
・永久放置ダッシュ逃げあり(主にネタ切れが原因で)
・駄作者は厨二病
"コメントをクレたオ客サマ"
黒陽 様
- Re: 悠久のILIZA ( No.30 )
- 日時: 2015/06/06 22:03
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
続き
少女はジェシカの手を振り払ってから怯えるようにブルリと震えた後大木の後ろに隠れてしまった
一方のジェシカは一瞬呆然とし振り払われた手を見つめた
その時、後ろからミレイアがゆったりとしながらも堂々とした足取りで少女に近づいていく
ミレイアを見ながら少女の目尻には涙が浮かんだ時、ミレイアは少女の頭をくしゃりと撫でた
「怖がらなくても大丈夫だよ。私たちは<レイド>のお姉ちゃん達だからね」
「うう……ひっく……うわぁああぁん」
少女は安心したのかそれとも疲れていたのかその後に眠ってしまった
ジェシカはガイアに彼の右足首についた<レイド>の紋章を見せてもらっていた
デザインは地球をモチーフにした円の中に、分かりやすく言えばオリンピックの五輪の模様のようなものが入っている
興味津々に紋章を見るジェシカの横でライトは見下した目で説明してくれる、何だかんだ言って世話焼きなのかもしれない
「大体、<ストライク>の人間は紋章、<テクナロディ>の人間はパスを持っている。因みに、紋章を付けないで戦闘に参加した奴は罰せられるぞ」
「嘘 ! ? 」
「嘘だ」
目で見ても分かるように盛大にずっこけたジェシカは、ドヤ顔のライトを睨み付ける
睨み付けたままアンタはSかと呟くと、お前はMだなとそのまま軽いにらみ合いに発展しガイアがまあまあと割って入っていると建物から内部調査を終えたカルドが戻ってきた
どうやら中には何もなかったらしい、と大声で叫ぶカルドを少女を寝かせていたミレイアが叱る
「しーーーーーーーっ ! カルドっち、五月蝿い」
「ごめん、ごめん。でライト、あの仏君どうする ? 」
「あのままにしてもおけないだろ。連れて帰って供養する」
「と、言うと思ったよ」
じゃあ連れてくるねーと、左手を振りながらカルドは建物の中に戻っていった
その後ろ姿を見送りながらジェシカはそういえばと手を叩く
「何で、私の事怖がったんだろ。ロボットとの区別ならつくと思うんだけど」
「いや、そういうわけでもない」
どうやら、AIの中には容姿が人間に酷似したフォルス型と呼ばれるAIがいるらしい
「まったく、人類同士でさえも疑い合う最悪な世の中だよ」
そう言うガイアはどこか遠い目をしていた
続く
- Re: 悠久のILIZA ( No.31 )
- 日時: 2015/06/09 21:59
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
続き
*
偵察を終えた一行は一旦<レイド>に戻り、休息をとるという判断に至った
<レイド>に取り付けられた、個別のシャワールームの一室でジェシカは駄々流しのシャワーに打たれながら自分の右肩についた黄色い紋章を見つめていた
帰還後、彼女は<レイド>の紋章をもらいに、<ストライク>の所長室を訪れていた。しかし、何故か出てきたのは話で聞いていた男の人ではなくロングヘアの女性だった
『あの、所長さん……ですか ? 』
『いえ、私は秘書です。話は聞いています、所長の許可は取っておりますのでどうぞ、こちらへ』
秘書を名乗る女性には、所長室の中へ通されると何処からかスタンプの箱を持ってきた
紋章は肌に付けるタイプのスタンプで、色と場所は自分で決めるようだ
色は髪の色に馴染んでオレンジか黄色がいいとは決めていた。まさか、場所まで決めることになろうとは
待たせるわけにいかない。直感で決めることにする
彼女は水が溜まり始めた排水溝に眼を向けると、シャワーを止め、タオルを掴み浴槽に向かっていった
お昼頃では流石に入っている者は少ない、一緒に入りに来たミレイア以外は浴槽に浸かっているものはいない
ミレイアは軽く熱った顔をしていたが、ジェシカを見つけると笑顔を向けてきた
「やっほー、ハーちゃん」
「やっほー、隣いいかな ? 」
「いいとも、いいとも」
何時もの軽いノリに妙な安心感を覚え、浴槽に足を入れる。説明に書いていたが、疲労回復の効果があるらしい。少しぬめっとする湯を掻き分けミレイアの横に腰かけた
意外とミレイアはお喋りなのかと思っていたが、空気を察っしてくれたのか口を開かない
心地よい沈黙が流れる
ジェシカは湯を掬ったり流したりしながら、別に話すこともないのに、ぽつぽつと話し出した
「紋章、つけてもらっちゃった」
「……よかったね」
「うん。でも、なんでかな。半分苦しいんだ」
それに、一瞬ミレイアはこっちを見た気がした。ジェシカは言葉が溢れて止まらない何とも言えない感覚に襲われた
「なんか、その……『絶対やらなきゃ』みたいな責任感に押し潰されそうで」
「ハーちゃん……」
ジェシカは恥ずかしそうに顔を背ける、しかし、次の瞬間背中に痛みが走る。ミレイアが彼女の背中を結構強めに叩いていた
ミレイアはこっちを見て、さっきのが嘘のようににかっと笑った
「ハーちゃんらしくないよ。そんなの最終目標でしょ、焦る必要ないよ、ゆっくりでいい」
「うん、そう……だね」
続く
- Re: 悠久のILIZA ( No.32 )
- 日時: 2015/06/16 21:57
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
続き
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「あっー、さっぱりしたー」
風呂から上がった女子二人は、洗面所を出たら直ぐにあるベンチで男集団と合流していた
保護した少女はベンチで苺牛乳を飲んでいたが、ジェシカを見つけると飲む手を止め小走りでこちらに走ってくる
「あの、その……さっきはその……すみませんでしたっ ! 私、私……」
「全然、大丈夫だよ。えーと、勘違いしても仕方ないロボット、いるみたいだし。気にしなくてもいいよ」
ジェシカは少女に目線を合わせると頭をくしゃっと撫でてやる。少女は安心したのか嬉しそうに笑った
その横で、ライトは口を開く
「さてと……あの老人ホームに残ってたのはそこの少女と仏だったわけだが……」
その発言に、少女は思い出してしまったのか途端に怯えた顔をした
少女を見たミレイアは珍しく刺のある言葉を吐いた
「ちょ、ライくん ! 怖がってるじゃーん。サイテー」
「別に……だ、大丈夫です」
「嫌だったら別に話さなくてもこっちで調査するけど ? 」
ガイアの言葉に少女は助けてもらった御礼がしたいのでと首を振る
少女の証言は次のようなことだった
元々、あの老人ホームの廃墟は少女を含め十数人の人間が隠れ住んでいたらしい
しかし、ある日のこと
「黒髪の女の人たちが来て……そして、イキナリ襲ってきたんです」
子供である少女と仏以外は労働源として連行されていったのだそうだ
子供は常にお目付け役がついていた。というよりかは、労働者が逃げないための人質の監視と呼んでよかった
「お兄ちゃんは、ロボットに反抗したため殺されました」
「酷いね」
今の心境を代表してなのかカルドがボソッと呟く
ライトは労働者が連行されたの場所を聞いた。少女は多分と、口ごもる
「あっちの方向に行ったような気がします」
少女が指差した先は窓から見える真上の太陽。つまり、南を指差した
- Re: 悠久のILIZA ( No.33 )
- 日時: 2015/06/21 21:58
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
続き
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お昼ご飯も済ませ、二時を廻った頃。カルドは目の前に聳える城壁とも形容しても問題ない木製の門を見上げていた
今ここにはカルドとジェシカ以外の人間はいない。他の三人は裏に回ってしまっている
彼の横で感慨深い表情で門を見るジェシカに声を掛ける
「なんか、スゴい。昔っぽいね」
「そうね」
「……物音とかあんまりしないけどさぁ。本当に中に人いるのかな ? 」
「分からない」
カルドは会話の受け答えの心ここに在らずな感じの言い方にはぁーっと溜め息をついた
ここは人質収容施設第十区画の付属工場。労働源として確保された人間が働かされる場所の一つだ
ジェシカ本人の話では第十区画には彼女の兄が収容されているらしい。恐らく、今も兄と会えるかもしれない僅かな可能性に期待を胸に膨らませていることだろう
彼女から眼を離し再び木門に眼を向ける。何故か、見張り番はいない。中からは時折作業の音が聞こえてくる
カルドは尚も心ここに在らずなジェシカに口を開く
「まあ、とにかく。ライト達とは中で落ち合う手筈だし。行こうか」
「うん……」
「ジェシカ ? 」
「何よ」
こっちを向くジェシカの眼は死んでいるとまではいかないが、やはりどこかさっきと違って元気がない
眼をじっと見つめる彼にジェシカは訝しげな眼で聞いてくる
「だから、何 ? 」
「えーと、失礼かもしれないけど。あんまり心ここに在らずは良くないんじゃないんかな ? お兄さんと会いたいのは分かるけど」
「…………ごめん。無理 ! 」
「おいっ ! ! 」
次に彼を見るジェシカの眼は何時もの元気があった。何処か、吹っ切れた感じがする
彼女はにぃーと意地悪っぽい笑みを浮かべると門の目の前へ先に走っていった
「ほらー。速く速く ! 行くんでしょ ? ライトが待ってたら後が怖そうだし」
「あはは。じゃあ行こうか」
カルドは振りかぶって門に<メイル・ブレイカー>をぶつけた
- Re: 悠久のILIZA ( No.34 )
- 日時: 2015/07/09 22:04
- 名前: みすず ◆5k4Bd86fvo (ID: 5PvEL/lW)
続き
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中は灰色の壁に煙突の建った正しく工場な建物があった
しかし、工場の前の舗装されていない砂利道はありとあらゆる種類の雑草がぼうぼうに生えている
侵入者に気づくためなのか玉砂利が敷かれているが工場から聞こえてくる作業の音が予想以上に大きすぎて全くといっていいほど聞こえないだろう、恐らく
ジェシカは玉砂利を掴みじゃらじゃらと地面に落とす。中からこちらに来る足音はなかった
カルドは思った
「馬鹿だな」
「馬鹿だね」
私も同じこと考えてた、とジェスチャーしてくる。ここの工場長は何処か抜けているようだ。それに突っ込まない他の職員もどうかと思うが
気を取り直して二人は工場のドアの前に向かって歩いた
ライト達、命名Bチームはこことは別にある裏口から工場に突入。それに合わせてカルド達、命名Aチームも突入、挟み撃ちにして一網打尽にする作戦だ
丁度今ごろ、働かされている労働者は遅めのお昼を食べている時間ということが調べて判明している。人質を取られることもない、いい頃合いだった
カルドは〈ストライク〉全員(イヤホン型マイクを所持してない者に限る)に配布されているイヤホン型マイクに指を当てながら言った
「ライト達も裏口に着いたってさ」
「あれ、そのイヤホン型マイク私無いや」
「ジェシカちゃんはそのヘッドフォン型マイクがあるからね」
それ、と言って彼はジェシカが装着しているヘッドフォン型マイクを指差す
「帰ったら改造してもらえばいいよ……あと五秒で突入するよ」
「りょーかい」
カルドは頷いてカウントダウンを始める。カウントする毎に緊張感が高まっていく
「三秒前……二……一……突入……っ ! ? 」
二人は飛び出した瞬間ずざざーとブレーキを掛けて制止する。奇怪な音が響いた。ごごごと地面が揺れるような感覚
AIがこちらに向かって攻めてきたのだ。どっさーと雪崩のように来るわ来るわその数は計り知れない
気がつけば周りはAIだらけ何層にも重なり囲まれてしまっていた
二人は背中をくっつけて臨戦対戦に入る
カルドは独り言で呟いた
「くそ……気づかれてたなんてね……」
「我々を甘く見てもらっては困ります」
聞こえてしまったのかAIの中でも極めて人間に近い形をしたフォルス型のAIが答える
黒いスーツをビシッと着こなした黒髪の出きる人みたいな雰囲気の女性の形をしたAI
「情報は筒抜けでしたよ……やれっ ! 」
フォルス型AIは妖艶に微笑むと手を前にかざした。それを皮切りにAIの軍勢が押し寄せてくる
「う...やるしかないようね...行くわよ ! 」
「言われなくとも ! ! 」
今、激戦の火蓋が切って落とされた