複雑・ファジー小説

僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 番外編更新
日時: 2015/08/14 12:42
名前: 電波 (ID: oYpakyoC)

初めまして、電波と申します。
普段はシリアス・ダークの方で小説を書かせてもらっていますが今回浮かんだストーリーがどうしても書いてみたくここで投稿しました。

ただし他の小説も掛け持ちしてることもあり、あまり長くならないよう短編にしてあります。

ざっと数話投稿して終わりにする予定です。


読んでくれる人がいたら嬉しいですw

それと気軽にコメントしてくれると作者的にテンションが上がりますので良かったらくれると嬉しいですw

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Re: 僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 ( No.12 )
日時: 2015/08/10 15:26
名前: 左右りと (ID: XaDmnmb4)



完結、おめでとうございます!
悲しい結末でしたが、とても楽しませて頂きました
ありがとうございました(*^_^*)

Re: 僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 ( No.13 )
日時: 2015/08/11 22:28
名前: 電波 (ID: oYpakyoC)


左右りとさんへ
こちらこそ読んで頂きありがとうございました!
完結できるか若干不安があったのですがその必要もなく無事に終わることができました!
それと結末は最初からこういう形にしようと決めていました。
ハッピーエンドも少し考えたのですがそれだと時間もかかるし手間もかかるし、何より個人的に面白くないと思ったからです。

一応、番外編の方をいくつか投稿していこうかな?と思っているので暇があれば読んで頂けると幸いです。←露骨な宣伝ですw


左右りとさん以外の皆様にも暇があれば読んで頂けると幸いです!
では、自分はこれにて。

Re: 僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 ( No.14 )
日時: 2015/08/14 12:40
名前: 電波 (ID: oYpakyoC)


番外編 夢見る少女 前篇


 病室のベッドの上で私は無気力に窓越しから外を眺めていた。色彩絵具で塗ったような幻想的な空を見ながら、私はこの世の中に絶望する。

 つい先日、私を担当していた先生にこんなことを言われた。


 『もって…一か月です』


 あまりにも唐突で私はまともに口を開くことができなかった。いや、もう少し付け加えるなら先生の言っていることが理解できなかった。傍にいたお母さんも私と似たような反応で、何度も何度も先生に聞き間違いじゃないかと問いかけた。


 しかし、先生は首を黙って横に振って答える。


 するとお母さんはその場にへなへなと座り込んで、両手で顔を覆った。私はどうすれば良いか分からず、とりあえずお母さんに大丈夫、と伝えようとしたけど呻くように泣くお母さんの姿を見たらなぜか出かけていた言葉が詰まった。



 私の耳からお母さんの泣き声が離れなくなり、ずっと心の中で違和感を感じ続けていた。親があんな風に泣くところを見て、少し引いたのもあったけどやっぱり衝撃的なのが大半だった。



 今になって思えば私のことを心配しての行動なのに酷いことを思ってしまったと反省する。


 すでに外は夕焼けに染まり、部屋の中が暗くなり始めていた。それに比例するかのように私の心はどんどん恐怖に変わっていく。先行きが死でしかないと分かってから心に空いた穴はどんどん広がっていった。



 


 (恐い…恐いよぉ……)



 死への恐怖に耐えきれなくなり、私は布団に潜り、頭を抱えて目をぎゅっと瞑った。



 そして気が付くと。



 「どこ……ここ」


 私がいた病室は見たことのない光景へと変わっていた。私より大きな草が永遠と続き、まるでミニチュワ版のジャングルみたいな印象を受けた。そんなジャングルにも一本の道があり、その道は奥までずっと伸びていた。


 どこかも分からない場所だけど、不思議と恐いとかそんな感情は沸いてこない。むしろ、心が安らいでいくのを感じた。


 私はとりあえず辺りを散策することにした。草村の中に入ったりとか道をまっすぐに向ってみたりとか色々周ってみたけ景色はさほど変わらなかった。


 強いて言うなら、道をずっと行った先にある水車小屋があるぐらいだった。大して何かあるってわけでもないし、面白みもないように思えるが私は結構この場所を気に入った。


 静かだし、草の匂いが良くてとても心が落ち着く。いっそのことずっとここにいたいと思った。



 そう思ったとき、気づけば看護婦さんに起こされていた。視界がぼやけていて、意識も完璧に覚醒しておらず現実と夢の感覚が掴めていなかった。どうやら看護婦さんが晩御飯を持ってきたようで、その時寝ていた私を起こしたという感じなのだろう。



 ようやくちゃんと意識が戻ると外はもう真っ暗で、晩御飯の時間になっていたことに気が付く。今のは夢だったのか…と少しがっかりしながらも、看護婦さんが用意してくれたご飯を食べる。




 結局さっきの夢はよく分からなかったが個人的には結構好きな空気だった。またあの夢を見れたら、と思うけどそんな都合よく同じ夢を連続で見ることなんてことなんてない。


 (ちょっと残念だなぁ……)


 心の中で呟く。



 すると、その日の夜以降同じ夢を連続で見た。


 同じ場所で同じ空気。全てあの時と一緒。


 
 最初は少し怖かったが段々夢を見ていくうちに、神様が私にせめてものの幸せをくれたのかなっと解釈し、夢のあの場所はいつしか私の居場所になった。


 それから私は夢の中で色々なことをした。辺りを駆け回ったり、花を摘みに行ったり、前の水車小屋を見たりと現実の私ではできないことをたくさんした。

 
 そして、回数も重ねていくうちに夢の記憶は現実で反映されるけど夢の中では受け継がれないということも分かった。


 けれど私は構わなかった。


 夢の中で全ての記憶が消えるなら尚都合が良い。だって辛い現実でのことを忘れて幸せな時を過ごしていたいのだから。


 私はこうして幸せな日々を続けた。


 そんなある日。


 いつも通り草の壁で覆われた道を駆け抜けていると、道の奥から影が見えた。最初は草か何かかと思ったけど近づけば近づくだけ人の形をしていく。


 距離が二メートルぐらいまで近づくと服装が把握できた。その人は真っ黒の学生服を着ていて、身長は、やっぱり男子だな〜って思えるほどに私より大きく、黒髪のストレートヘアーであることが分かった。

 体格は少しなよっとしてそうだけど、それを除けばどこにでもいるような男子高校生だ。


 よ〜し、ここはひとつ挨拶といきましょう!



 私はこっそりこっそりと足を進め、徐々に速めていった。だけど男の子は私に気が付かないのか全然こっちを見ない。


 なるほど、鈍感な人なんだ!

 そう解釈した私は占めたと言わんばかりに内心ほくそ笑んだ。距離も充分!スピードも充分!


 今だ!


 「やっほぉぉ!!」



 「ッ!?」


 私は男の子に猛烈にアタック。そのまま男の子は倒れて、その上に私が乗るという状況になった。

 
「いって……」


 男の子は不愉快そうに私を見つめる。だけど、その表情はとても可愛らしく向うの方では恐い表情しているつもりかもしれないけど全然恐くなかった。


 男の子は仏頂面で私にこう言ってきた。


「………誰?」


 この時私は気が付かなかった。何で記憶を失った方が良いと思ったのか…。


 そして、ここから始まったのだ。喜劇でも悲劇でもあるただの情けない短いお話しが。




「分かんない!!」


 


 そして、私は彼と出会った。
 

 
 


 
 
 

 
 

僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 番外編更新 ( No.15 )
日時: 2015/08/15 17:36
名前: 電波 (ID: oYpakyoC)


番外編 夢見る少女 中編

 その日、私は見知らぬ男の子と出会った。今までの夢では人が一人もいなかったのになぜ今日現れたのか…。そんな疑問は夢の中の私には浮かばなかった。


 ただ、そこに人がいてくれて嬉しいという純粋な感情しかなかった。


 それから私は男の子と色々と話をした。


 男の子は自分の通う学校で女子生徒から執拗にイジメられていることなどを聞いたり、それの解決策を提案したりと話をするというより相談に乗ってる感じのが印象が強かった。



 男の子もといテンパ君は心配そうな表情をしながらも私の案を受け入れ、実行すると約束してくれた。

 そろそろ別れの時間。


 私は今日を頑張ろうとするテンパ君にパンッ!と背中を叩いた。もちろん悪意なんかあるわけなく、ただこれからがあるテンパ君に喝を入れるための意思表示なわけだ。


 まぁ、だけど本人は痛そうにしてたけどね…。

 
 私は精一杯の笑顔を作ってテンパ君を送り出す。そして、彼に何か伝えようと咄嗟に一言こういった。


 「頑張れ!」


 さよなら、なんて言うわけないじゃない。そんなのずっと会えないみたいで寂しいし、今ここで頑張ろうとするテンパ君に言ってあげなくちゃ。


 それに…。



 私に対する言葉でもあるから…。


 そんなことを思いながら私は、彼が消えるまで見送った。夢の中というのは不思議なもので夢から覚める時本人はパッと現実に戻るのだが夢の中のその人はゆっくりと体が消えていく。


 そこにいたテンパ君が完全に見えなくなると、私は少し俯いた。そして胸に残る確かな温もりに手を当てながら、私はさっきとはまた違う笑みを浮かべた。

 この時、私は少し嬉しかった。本当の名前ではないけど、私を呼んでくれた。短い時間ではあったけど年の近い子と話せた。



「ああ…良かった…」


 心からそう思えた。



 そして、それから数分後。私も夢から現実へと戻ってきた。いつも通りベッドの上に寝転がり、目の前には真っ白な天井。顔を動かせば無駄な物がない殺風景な病室。


 あまりに退屈で寂しい部屋で私はベッドから上半身を起こし、少しポーっとする。さっきの夢は一体何だろうか?初めて私の夢に知らない人が現れた。しかも今までと同じ夢にだ。こんなことは初めてだ。


 さっきのことを色々と思い出す。色々と不思議ではあったけど楽しかったのは否定できない。相手の男の子はちょっとなよっとしてたけど悪い子ではなかった。


 ふとテンパ君が一生懸命な表情をしているところを思い出す。その姿がどうも可愛らしくつい頬が緩んだ。


 (また会えると良いなぁ…)


 穏やかな気分でそう考えていると、なぜか出会った時のことが頭によぎった。出会いが男の子にいきなりタックルしてしかも馬乗りでの挨拶……。


 ボンッと私の中の何かが爆発し、顔に熱が急速にこもってくのを感じた。私は両手で顔を覆いながら布団の中に潜り込み、羞恥心に悶える。


 (恥ずかしい恥ずかしい!!)


 こうして、私とテンパ君の出会いはここから始まり何日も連続で同じ夢を見続けては出会っていた。夢を見るごとに私は彼のことを忘れ、現実に戻れば思い出す。私も辛かったけど一番辛かったのはテンパ君だったと思う。泣きながら私に、『忘れないで』といった言葉は今でも心の中に残っている。



 そんな日々を繰り返していたある日。



 私の病気が悪化した。


 私の周りには常に家族の姿があった。自分の病状を知ったお母さんが隣で暗い表情を浮かべて私を見ていて、お父さんも似たような表情だった。

 私も両親の反応で大体察しがついていた。というより私の体の状態で最初からなんとなく分かっていた。体は鉛のように重いし、呼吸も酸素マスクがないとまともに呼吸ができない。


 たぶん今日がヤマなんだろう…。



 なんとかお父さんやお母さんに何か伝えなくちゃ…。



 「お父さん……お母さん……」



 声が掠れ掠れだけどなんとか絞り出した。それにお母さんとお父さんは慌てて私に駆け寄り、声を返す。私は最後の力を振り絞ってお母さんやお父さんは手を握って必死に笑顔を見せる。


 「……あり…が……とう……」
 
 
 言い終えると、私の意識はそこで途絶えた。



 気づいた時には私はあの場所へと来ていた。夢の中で何度も遊んだ場所。そして、テンパ君と出会った場所。いろんな思い出がたくさん詰まってるこの場所とはもうお別れだ。




 「ここともお別れか…」



 私は名残惜しくも最後の夢を楽しもうとした。と思ったとき、私はある一つの疑問が浮かんだ。なんで夢の中なのに現実でのことを覚えてるの?


 その疑問についてはいくら考えても浮かんでこなかった。ただひとつ言えるのがたぶんこれが自分の最期になる、ということ。今までの人生楽しいこともあったし辛かったこともあったけど、やっぱり大人になりたかったな……。



 ちょっとした未練もありながらも、私はこの人生に後悔はなかった。



 「よし、テンパ君を探そう!」



 私は両頬をパチッと叩くと、テンパ君を探しにいった。といっても彼が見つかるのにそう時間はかからなかった。そのまままっすぐ道を走ってると奥の方から人影が見えてきた。


 間違いない、テンパ君だ!



 私はそのまま走っていき、その人影にアタック。



「やっほぉぉ!!」

「ぐふっ!?」

 テンパ君はそのまま倒れ、私もそのまま乗っかる形となった。

「お前は人と会う時毎回そんな挨拶をしてるのか?」

 
 相変わらずの表情でテンパ君は答える。


「まっさかぁ、私はいつも礼儀正しく会った人には元気よく挨拶してるよ〜」


「相変わらずだよなお前のその性格………」



「………?」


 ここから私とテンパ君の最後の話が始まり、そして、最後の自己紹介をする。



「初めまして、私は………ってまだ名前がないから適当に呼んでくれて良いよ」


「初めまして、ユメ。俺も名前覚えてないから好きに呼んでくれて良いよ」


「ユメ……ユメェ……!とってもいい響きだね!うん、気に入った!」


「あなたは名無しさんでどうかな!?」


 テンパ君は微妙そうな表情をしたがしぶしぶ許してくれた。記憶については後々伝えよう。まだ時間が許される限り、テンパ君とは初めましてでいたい。



僕は夢の中の君に恋をした【短編】 『完結』 番外編更新 ( No.16 )
日時: 2015/08/30 22:39
名前: 電波 (ID: ZFblzpHM)

 番外編 夢見る少女 後編


 私は最後の時間を過ごす。精一杯後悔をしないように…。いつも走り回っていた道を私は後ろで両手を組みながら思い返すように歩いていた。後ろにはテンパ君がなんか落着きのない様子で後を歩く。

 しきりに私の方をチラチラと見てはどこか遠いところを見ていたり、いつもと様子が変だった。どうしたの?と聞いてみても何でもないと言って何も言おうとはしない。


 この時だけ、ちょっとムッとした。テンパ君は知らないけど、たぶんこの夢をみるのは最後なのだから…。だから、悔いのないように過ごしたい。


 そんな思いで私は歩いていた。不思議なことに夢の中だということは自覚出来ていて記憶もある。今まで私の記憶を戻そうと必死に頑張ってくれたことや遊びに付き合ってくれたりとか優しさを覚えている。


 だからこそ今日は正直でいてほしい。



 その時、


 「なぁ…ユメ」


 今まで口を開こうとしなかったテンパ君がようやく話し始めた。


 「どうしたの?」


 「ちょっと遊びを思いついたんだが良いかな?」


 そう言うテンパ君の表情がなぜかとても恥ずかしそうに見えた。どうしたんだろう?と思いつつも、私はそれにこたえる。


 「良いよ。何して遊ぶの?」



 「花を…探そう…」


 「……」


 ちょっとびっくりした。男の子が花を探そうと言うなんて思ってもいなかった。けど、テンパ君らしくてちょっと微笑ましい。


 「べ、別に嫌なら良いんだぞ!つまらないなら無理してやる必要はないし!」



 私が何も返さないのを心配したのかテンパ君は慌てて言う。その姿がおかしくてつい吹きだして笑ってしまった。


 「な、なんかおかしなこと言ったか!?」

 
 「ううん、何でもない!」


 こうして私とテンパ君で花を先にどれだけ集めれるかの勝負が始まった。この世界に花はあまり咲いてないけど今までの記憶がある私なら大体どの辺に咲いているか分かる。



 そうと決まれば行動だ。



 あれから何分が経過しただろう。

 私の両手にはいっぱいの花束があった。紫色を特徴とした綺麗な花で細かい花びらがとても可愛かった。私は足を進めながらテンパ君がいると思う場所に向かっていた。


 そして何よりもその量。これだけあればテンパ君に勝てる。なんて言ったって今回の遊びは罰ゲーム付きだからここはなんとしても勝たなくちゃ。


 それにしても、罰ゲームは好きな人を発表か…。

 
 少し考え事しながらテンパ君が出てくると思われる場所にスタンバイする。両手の花は後ろで隠して、いつでも出てきても大丈夫なように心の準備をする。



 (このゲーム……負けても良かったかな……)


 そう思った瞬間、テンパ君は意外そうな顔をして出てきた。


 
 「あれ、よくここが分かったな」


 「ふっふん、私はこの場所を熟知しているのだ!だから名無しさんの居場所は手に取るように分かるよ!」


 なるほど、と納得しながらテンパ君は頷いた。慌てるようじゃないけどそろそろ勝負の方を決めたかった。テンパ君が勝っても負けても私は最後の最後に自分の気持ちを伝えようと思った。もちろんテンパ君に…。


 たとえテンパ君の答えがそうでなくても最後にやっておきたい。私はそんなことを考えながら彼に言う。


 「では、勝負の結果と行きましょうかね!」


 
 「お…おう!」


 そして私の掛け声とともに花を出す。

 
 「いっせーのーで!!」

 お互いに出された花。

 「……」


 「……」

 私が出した花の数とテンパ君が出した花の数は圧倒的な差だった。私の花はテンパ君の花の数を簡単に超えていた。その差一目瞭然。誰が見ても分かるような状態だった。


 ちょっと可哀想な気もしたけど、勝てたのは純粋に嬉しかった。

 「やったぁぁぁ!!」

 私はすぐに手拍子をつけながらテンパ君に罰ゲームの催促をする。それに対して、テンパ君はちょっとホッとしたような表情をしているように見えたような気がする。


 「ばっつゲーム!ばっつゲーム!」


 私はなるべく言いやすいように軽い雰囲気でテンパ君に言ってみる。


 「ほらほら罰ゲームだよ名無しさん!」


 「う、うん…」

 
 その後、テンパ君は頑張ってその人の名前を言うが声が小さくて聞こえづらくて何度もやり直していた。私も頑張って応援し、テンパ君がしゃべりやすいように笑顔は崩さなかった。


 そしてついに…。

 「お前が好きだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 
 

 「え……?」


 「……」


 さすがに驚いた。今までそんな素振りもなかったのに急に言われては動揺を隠せない…。テンパ君の表情は真剣そのものでウソを言ってるようには見えない。


 ということは…本当?

 
 目の前のことを全て理解した私の目からは涙が零れた。もちろん嬉しくて泣いている。次には自分の泣き顔がテンパ君に見られると思うと恥ずかしくて恥ずかしくて…。頬が熱くなるのを感じた。



 「お前……」


 「や、やだなぁ!汗だよ…汗!涙じゃないよ!」


 必死に笑って涙をふき取る。テンパ君のポカンとした表情が私の頬をまたさらに赤くした。私は精一杯の笑顔を見せて、

 

 「ありがとう!」

 といった。


 「それって…どういう……」


 わけが分からなそうな表情をしてるテンパ君。


 「だ・か・ら」


 私はそういいながらテンパ君に近づいて、



 「私も……ってこと」


 
 彼を抱きしめた。これが最初で最後という意味も込めて、優しく。さすが男の子、体が大きいしごつごつしてるな…。けど、すごく安心する。

 その時、唖然としていたテンパ君が口を開いた。


 「なんで…俺のこと…知らないでしょ?」


 その疑問について、私はすべてを話した。記憶を取り戻したことや、今までの自分の過去。テンパ君を好きになったわけ。全てを…。話し終えるとテンパ君は私を抱きしめ返してくれた。




 とても名残惜しくもあるけどそろそろ夢が終わるのを感じた。


 「もう時間だから……」


 本当は離れたくない…もっと一緒にいたいし…消えたくない…。そんな思いがこみ上げてくるのを必死に抑えながら、私はテンパ君の元から離れていく。


 自分の視界が白い光で包まれていく中、テンパ君は私にこう言った。


 「また会えるよな!?」


 彼の表情は今にも潰れてしまいそうに辛そうだった。だから私はその問いかけに躊躇なく笑顔で答えた。彼を安心させるために…。


 「また会えるよ!諦めなければ!」





 そして、視界から完全にテンパ君は消えると私の意識も次第に消えていく。朦朧とする意識の中、ある記憶だけが鮮明に流れ続けていた。










 「おい、そんなところで一人はつまんねぇぞ。他の奴と遊ばねぇのかよ」


 「いいよ。私、すぐに入院しちゃうし……ずっと寝てたから他の子との関わり方忘れちゃったし…」


 「そんなこと言ってたら仕方ねぇぞ!俺が協力してやるから!」


 「で、でも…!」


 「大丈夫だって、もしもうまくいかない時は俺が助けてやる。病気が酷くなってもしも寝たきりな時になったら俺が遊びに行ってやる。だから今を楽しめよ!」



〜fin〜


 
 

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