複雑・ファジー小説

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スレイヤーズ:00 ー 空の剣 ー
日時: 2015/06/19 00:57
名前: 梓咲 (ID: Yp5G3QR0)

久々に小説を書きます。

週に二回くらいの更新を目指します。

Re: スレイヤーズ:00 ー 空の剣 ー ( No.1 )
日時: 2015/06/20 23:22
名前: 梓咲 ◆kav22sxTtA (ID: BvdJtULv)

キャラクター

シャドー・ミカシマ
キョースケ・キルシュワイナ

アハト・ドバタスキ
アージ・キャタピラー



第壱世代
…最古の世代。古より引き継がれし特異能力を持ち、寺の住職や神社の神主などの神職につくことが多い。総人口の20%を占める。

第弐世代
…最も多い世代。特異性はなく、繁殖能力がある。総人口の79.9%以上を占める。

第参世代
…最も新しい世代。存在が確認されたのもまだ最近で、謎に包まれている。繁殖能力がない。精神的に不安定で狂暴な者が多い。様々な面で他の世代を一逸している。総人口の0.1%にも満たない。

Re: スレイヤーズ:00 ー 空の剣 ー ( No.2 )
日時: 2015/06/21 07:27
名前: 梓咲 (ID: /GGwJ7ib)

 ——第参世代、死すべし。




 保守局、エリア・テヤンディトーキョー支部。そこにその男はいた。
 シャドー・ミカシマ。彼はエリア・テヤンディトーキョー支部のエースと呼ばれる男だ。彼は、その長身を窮屈そうな黒のスーツに押し込んで、支部長の前に立っている。
 その眼光は猛禽類のように鋭い。まだ29と若い男が身につけるには少しばかり凄みがある。

「ミカシマよ。苦言を呈するが、お前には協調性というものがないのか」
 支部長は、ボールペンのノック部分でこめかみを押し揉みながらぼやくように言った。
「お前に付いた渾名は知っているか? 『人命軽視の相棒潰し』だ。私も、このネーミングは的確だと思うぞ」
「私にしましても、パートナーを殺したくて死なせているわけではありません。全く心外です」
 真面目くさって返したミカシマに、支部長は煙草臭いため息を、風船を膨らませそうなほど吐き出した。
「当然だろう。そのような非人格者は採用試験で振るい落とされるに決まっている。しかしミカシマよ。お前は突っ込み過ぎなんだよ。お前は戦闘能力が高いから構わんだろうが、それに付き合わされるパートナーのことも考えろと言っているのだ」
「はぁ・・・・・・」
 
 正直なところ、ミカシマは支部長の言っていることの意味が分からなかった。別に四六時中付いてこいなんて命令もしていないのに、命の危険を顧みず自分に付いてくるバカが悪いのだ。
 そんな考えをグッと飲み込んで、ミカシマは気の抜けた相槌を打つ。それを見た支部長はまたため息をついて、うるさい犬を追い払うかのように手を振った。
 なんなんだ、と内心憤慨しながらも退室しようとドアノブに手を、

「ミカシマよ。その力はお前の私欲の為に与えられた物ではないのだ。失念するなよ」

 ミカシマは舌打ちをして宿舎への道を急いだ。
 
「み、ミカシマさん! 待ってくださいよぉ!」
 五月蠅い。チワワのように五月蠅い。
 背後をちらりと見やれば、小柄な少女が息を切らして走りよってきた。その背丈はミカシマの胸あたりまでしかない。小さな顔のなかで大きな目が輝いている。
 子供がどうしてこんな所にいるんだ、と顔をしかめる。ミカシマは大の子供嫌いなのだ。その視線に気がついたのか、少女はビクリと立ち止まる。

「ミカシマさん! 本日よりパートナーとして働かせていただきます、キョースケ・キルシュワイナでありますッ!」

 ミカシマの思考が停止する。キョースケ・キルシュワイナだと?
 先日手元に来た書類に書いてあった名前だ。確かエリア・ナンデヤネンオーサカ本部からの回し者で階級はミカシマの一つ上だったはずーー。

「あんた、性別と歳は?」

「女、32歳。ちなみに階級はミカシマさんの一つ上、中等保守官であります!」
 

【第1話・完】

Re: スレイヤーズ:00 ー 空の剣 ー ( No.3 )
日時: 2015/06/20 23:59
名前: 梓咲 (ID: oXddV8rJ)

 ミカシマはまるで支部長のように深いため息を吐いた。いや、吐かざるを得なかった。
 このガキが、上司だと——?
 手と口元がわなわなと震えた。どう見ても年下にしか見えないのに3つも年上だなんて信じられない。
「よろしくお願いするであります、シャドー・ミカシマ下等保守官」
「嫌味ですか、キョースケ・キルシュワイナ中等保守官サン」
 そう返した瞬間、キョースケは慌てて訂正を入れた。
「あっ、そういうわけではないのであります。私が敬語なのはもはや癖なのであります。ですから、ミカシマさんも敬語など使わなくていいのでありますよ」           
「了解であります」
「あうう・・・・・・ミカシマさん意地悪であります・・・・・・」


 正直言って、上手くやっていける気がしない。
 こんなにも小さくてしかも細っこい女が、保守局でしかもエリア・ナンデヤネンオーサカで保守官幹部を務めているのが不思議でならなかった。それにサイバー担当ならともかく、思いっ切り現場担当ならしい。
 それに、なんだか気に入らない。第一印象からして嫌いだ。へにゃへにゃしたその表情と、砂糖を煮詰めて溶かした中に生クリームをぶち込んだような甘ったるい声。身の毛がよだつ。
 ミカシマはまた、キョースケがついてこれないように大股に早足で宿舎へと向かった。

         ◆        ◆

 ———生きねばならぬ。

 男は、新しい犠牲者の亡骸に手を合わせた。
「また死んだのか。弱っちぃな・・・・・・」
 その隣で、銀髪の青年が呟いた。男は伏せていた瞼を開けると、青年の顔を見つめた。
「アージ、心にもないことを言うべきじゃない」
 アージと呼ばれたその青年は、一瞬だけ苦々しそうな表情をして男から目を逸らした。そしてそのまま、死の詰まった箱を覗きこむ。
「何人目だ、死んだの」
「数えていない。最初は数えていたんだがな」
「あっそ・・・・・・アハトらしくねぇな、数えてないなんて」
 ——63人目だ。
 アハトは心の中で呟いた。
 でも言わなかった。言えなかった。 

 だってお前、悲しむだろう?          


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