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複雑・ファジー小説
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- 光の彼方
- 日時: 2015/06/27 08:53
- 名前: シナモン (ID: 7HladORa)
ここは、不思議な場所だった。
空は蒼と紅の間で、ゆっくり絶え間なく色を変化させている。
そんな空には、雲の軌跡が1つ。
まるで誘うように、彼方にある真っ白な光へと進んでいる。
あの世でもこの世でもない、出来すぎた空間。
しかし所詮、それは作り物に過ぎなかった。
ChapterⅠ-邂逅する2つの存在-
Episodeⅰ-孤独な存在->>1
Episodeⅱ
- Re: 光の彼方 ( No.1 )
- 日時: 2015/06/27 08:24
- 名前: シナモン (ID: 7HladORa)
夢か現実か。あの世かこの世か。
曖昧すぎるこの空間にひっそりと佇むのは、とても孤独な存在。
"彼"以外に生命の気配はなく、ただひとつ巨大な樹が風に吹かれ、寂しくその幹を揺らしているだけなのだ。
「——」
白い仮面に、白いローブを羽織る彼。
完全に表情を隠す仮面から、彼が見上げているのは樹の上。
地平線の向こう——どこか彼方から描かれてきた、雲の軌跡がたった1つばかり。
それの執終着地点がこの樹の上空であり、まるで空を切り取ったように、そこだけ白い光で溢れている。
「——?」
ここへ来て目覚め、どれほどの時が経ったのか。
それさえ定かでないくらい、曖昧なときを過ごしていたある時のこと。
雲の軌跡が消えていく地平線の彼方を見据え、"彼"はそちらへと歩き始めた。
"彼"が初めて、生命の気配を感じ取った瞬間であった。
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