複雑・ファジー小説
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- 戦仙六歌 【オリキャラ募集なう!】
- 日時: 2015/07/04 20:45
- 名前: 愁杏 (ID: DWz/vbtf)
- 参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=127
はじめましてしゅーあんです!
今回、とある文豪漫画にインスピレーションを受けまして、六歌仙および三十六歌仙をモチーフにしたバトルものを描いていこうと考えています。
URL先にて、オリキャラ募集もしてるんです。ぜひ、興味のある方はご投稿お願いいたします。
注意
歌の解釈は作者の感覚ですので、多少の語弊はつきものです
しゅーあんは学生で生徒会で忙しいため、更新はまばらです
- Re: 戦仙六歌 【オリキャラ募集なう!】 ( No.1 )
- 日時: 2015/07/05 00:51
- 名前: 愁杏 (ID: DWz/vbtf)
「赤嶺、俺は六歌仙同盟を破棄する」
六歌仙がひとり、在原業富は本を読みながらさらりとそんなことを言った。たいそうどうでもよさそうに。
「………は?」
赤嶺と呼ばれた青年は、すっとんきょうな声を上げた。右腕に止まらせて遊んでいた鳩が慌てて逃げ去っていくのを茫然と見守る。
「お前、大丈夫か? 主に頭」
「心配するな、正気だ」
「正気だったらむしろ不味い気がするんだが」
六歌仙同盟ーー。それは、特異能力をもつ六歌仙が定めた規則である。
六歌仙は互いを攻撃しあってはならない。
その特異能力は世界に歪みを与える。本来であれば死ぬはずの無い人間が死ぬこともあるかもしれない。それに、意味もなく戦うことほど馬鹿らしいことはない。だから十数年前に六歌仙全員で定めたのだ。
それを破棄するとは。しかも、言い出しっぺの業富が。
赤嶺は相変わらず意味不明な師の顔を見上げた。ーー本気、のように見える。
これから争いがはじまるのかもしれない。そう思うと赤嶺はひどく不安になった。業富に拾われてから十二年。二人でぼろぼろの草庵で過ごした日々が突然遠い過去のように思えてきて目眩がする。
「そんな不安そうな顔をするな。お前にも選択の余地はある」
業富がやさしく笑った。あまり見ない笑顔である。
「今までお前を弟子として共に過ごしてきた。しかし、これからもそうであれとは言わない。命は何よりも大切なものだ。だから、お前には自分の道を選んでほしい」
突然な話であった。赤嶺の頭の中でも血が巡る音がする。ざぁざぁと波のようにうるさくて苦しくなるような、そんな音が。
ここで弟子をやめると言ったら、業富は残念がるだろうか。いや、それはないだろう。業富は合理的な男だ。すぐに他に優秀な弟子を見つけるのだろう。それもそれで複雑ではあるが。
ならば俺はどうする。赤嶺は波音のなかに沈んだ自分に問いかけた。母も父もいない。それどころか帰る場所すらない。ずっと業富と暮らしてきた。今となっては業富こそが母であり父であり、そして居場所でもある。依存している。自分でもわかる。
「業富……知らないのかお前……。野良犬や野良猫を拾ったら、最後まで責任持って世話しないとなんだぜ」
しばらく考えて導きだされた言葉はあまりに臍の曲がった言葉だった。
「なかなかに図々しい野良だな……長生きしそうだ」
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