複雑・ファジー小説
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- 神童は幸福を想 引き篭もり少女の行く末
- 日時: 2015/08/07 13:38
- 名前: 廃人君 (ID: SsOklNqw)
神童は幸福を想 を見に来ていただきありがとうございます!
この物語は神童と呼ばれた少女がとある小さなことがきっかけで引き篭もってしまった子の成長物語となっています。
読者様の中にも、心に傷を抱えた方々がいるのではないでしょうか。学校や会社などの、集団行動の必要となる環境の中でのトラブルやコミュニケーション。
家族環境や友人関係—…
この作品には、そのような分野が含まれており心に傷を負った読者様の助けやまだ未体験の方に人の心の脆さを知っていただきたいという思いが込められています。
国語力には自信があるのですがまだまだ未熟なので温かい目でお願いします
ちなみに作者はオナベ(心底どうでもいい←)
登場人物紹介
西之谷 愛理耶
にしのや まりや …マリアから
17歳 高2
普段からネットざんまいである。*アニオタ
ネットやパソコン技術はそこらへんのサラリーマンとは比べ物にならないほどの逸材である。
約2年ほどの引きこもりであるが一般世間からしたらなかなかの美人。
だがやはり体力や体の弱さは引きこもる以前よりかなり落ちている。
好きな食べ物は刺身。
嫌いなものは蛙。
西之谷 羅馬
にしのや ろま…ローマから
愛理耶の海外留学していた双子の兄として家に居座る契約したオロバスという悪魔。普段は悪魔と思えないほど優しく執事のように仕える。
頭良すぎる
だが、怒るとすごく怖い。本当の兄のようにしてくるため愛理耶が悪魔ということを忘れがちになる程。
学校に行かせようとする。
魔界では城に一人であり誰にも見向きされない。召喚者と親睦を深めたいがためであり、実際魂などあまり欲しがらない。
高柳 陽葵
たかやなぎ ひな
愛理耶の入学当時からの親友。
文武両道で運動派の努力家
テニス部所属
社交性が良く周りが良く見える
嫉妬と背徳感から愛理耶を裏切り、ひきこもりとなった原因の人物。
話を進めていくごとにキャラなどを更新していきます
目次
第1話 それ、神プリ(某乙ゲーキャラ)の信司じゃん!>>02
第2話 何故…学校に行きたがらないのですか 前半>>03
後半 回想1>>04
回想2>>05
*シリアス・ダークから今後の更新を察し移動してきました
- Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なう 】 ( No.1 )
- 日時: 2015/07/27 04:30
- 名前: 廃人君 (ID: JIRis42C)
キャラのリクエストやアドバイスがあったら遠慮なくコメントくださいbb
キャラシート
名前
容姿 身長・体重、特徴など
趣味
好きな食べ物とか
その他設定
メリットがありすぎる子は控えてください。必ずデメリットもつけてお願いします(勿論デメリット過ぎるのも)
学校の友人・先輩・親族・教師。悪魔・天使
いずれのどれかでお願いします!
- Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なう 】 ( No.2 )
- 日時: 2015/07/27 04:32
- 名前: 廃人君 (ID: JIRis42C)
彼女は幸せだったはずだ。才能に恵まれ、環境も理想のように輝かしかった。
たが、彼女はある日を境にして全てを断ち切った。
周囲との関係、そして心もーー…
1話  それ、神プリ(某乙ゲーキャラ)の信司じゃん!
ここ、埼玉県さいたま市大宮区は日本国内でも都市と言える。人口も多く東京程ではないがビルも多く建ち並んでいる。
その都会の中…いや、世界中で最近流行りの「引き篭もり」という名の人間が生み出されている。
引き篭もりと言うのは、部屋や家から一歩も外に出ずにいることであり、主に学生から成人が大半を占めているため大体の人間は、パソコンや携帯でネットにふけっているのが大体な例である。
そんな典型的な例よろしく、私ーー西之谷愛理耶17歳。今年に入り見事祝い引き篭もり2年目を迎えた。
毎日パソコンの画面に向かい、某動画サイトやアニメをしらみつぶしに漁り最近では〇天やAm〇zonのネット販売を利用をするようにもなり、太ることはないが(体質)筋力は既に落ちまくり1階にある冷蔵庫の行き来まで苦になってしまった始末だ。
その経験から学び部屋には小型の冷蔵庫を備えられた。名前はキンキン。
そして今、僕は興味本位から取り寄せた悪魔教本と呼ばれるなんとも胡散臭い真っ黒な厚みのある本を手にしている。
オカルト類いに少し興味が湧き、愛用Am〇zonの手を借りありとあらゆる道具を集め悪魔召喚というものを実行しようと試みている。
「これでいい、のか…?」
ペンタクルという悪魔の陣を書き終え、準備完了。
「我は汝を呼び起こさん穢れし魂よ我の願いを聞き給え…」
正に厨二病とも言える呪文だが、悪魔が召喚されなくとも別にいい。元々出てくるとは思えないし…
「——っ!?」
突然の光に咄嗟に目を腕で覆う。1分経つか経たないかの数秒。その光は嘘のように静まった。
腕をおろし、目をそっと開ける…。
「…うわぁ!?」
馬…?いや、馬頭?頭部にあるのはまさに馬そのもの。胴体はイギリス式と思われる軍服。下半身は馬の尻尾があり上着同様イギリス式のものとブーツ。
僕はパニック状態で腰を抜かし震え上がっていた。
「あ、悪魔?何かのジョーク…?」
そう聞くと、真顔で
「いえ、正真正銘の悪魔ですが」
とか返してくる。喋ったし、中に誰かいるんじゃ?とか思う。
「え、いや、マジで僕召喚…しちゃった…?あああ…」
本当に出来るなんて思ってもみなかった。目の前の悪魔は、表情一つ変えずこちらをじっと見つめてくるし、何を言えばいいのかサッパリだ。
「…願いとは」
自ら告げてきた馬頭の悪魔。
「私の名はオロバス。あなたの願いをすべて聞き入れよう、そして魂は食らわない。そばに仕えさせていただきたい…」
そう、言い放った悪魔—オロバス—は僕の前に跪く(ヒザマヅク)と、そっと手を取り手の甲にキスを落とした。すると、一人の青年の姿になり僕を見上げる。
「……それ、神プリ(某乙ゲーキャラ)の信司じゃん!なに変身してんだよ!!!」
「えっ!?」
手を跳ね除け立ち上がると、オロバスをひょろひょろの蹴りを飛ばす。
「僕の愛してやまない信司が…ああ…」
「す、すみません…。」
頭を抱えベッドに顔をうずめる愛理耶に訳の分からないオロバスは、必死に頭を下げる。
「すみませんじゃねーし!あ、契約ってどうすんの?仕えるとか魂いらないとかなんか言ってたけど…」
さっきとは打って変わって冷静になった愛理耶は、なんとも言えない雰囲気を醸し出している。
「私は、契約者…人間と親睦を深めたいのです。魂は喰らわずとも悪魔は生きていけるのでございます。四年に一度喰らえば大体は生きていけるので」
「……そっか。契約書とかいるの?」
「はい。」
オロバスは半皮紙を取り出すと、そこに自らのサインをした。
…悪魔の字だろうか。エノク語にも見えるが違う気がする。
「貴方様のサインをここに書いていただければ契約完了となります」
「…契約内容は?」
「命の保証と貴方様の願いを全て聞き入れること。勿論不可能な事は含まれません。そして主従関係の成立となります」
「主従…?僕があなたの主人になるの?」
「ええ。その通りです」
オロバスの向けてきた笑顔は、儚くも裏のない笑顔だった。
僕はしばらく考えて、「わかった」と頷くと契約書にサインをした。
「…!」
サインし終えたと同時に、半皮紙は二つのネックレスに姿を変えた。ネックレスについているのは、床に書いたあのペンタクルがぶら下がっている。
「契約完了となります。このネックレスは貴方様と私の契約の証となります…なくすことのないよう…よろしくお願いたします…ご主人様」
僕は思った…この悪魔の語る一言がどうして嘘のないように聞こえるのだろうと、悪魔ならイヴに禁断の果実を食べさせる時のように…悪に満ち足りていてもおかしくないのだ…。だがこの悪魔は違う。
「…こちらこそ。僕の名前は西之谷愛理耶。今日からよろしくおねがいします」
まるで助けを求めているような…そんな気がしてならなかった
無事1話を書き終えました!オロバスが馬というより犬に見えたのはここだけの話()
- Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なう 】 ( No.3 )
- 日時: 2015/07/27 05:52
- 名前: 廃人君 (ID: JIRis42C)
2話 何故…学校に行きたがらないのですか?
あれから数日。僕の生活は180度変化した。
高校生の身である僕は全く学校に通っておらず、学校からの電話や訪問も全て無視している。この前までは毎日パソコンに向かい、幸せを満喫していたのだ。だが—…
「愛理耶様、本日も学校には行かないのですか?」
「…」
「学校は将来の為に役立つ勉学を身につける場所だと聞いています。行かないと損なのでは」
「…オロバス、うるさい」
パソコンに向かう僕の傍らに立つオロバスは、あの後自分は引き篭もりだと言った僕をひどく心配し解決しようと動き始め、やはりまずは生活リズムだ、学校登校だなどと聞きたくない言葉を連投し始めてきた。
まるで子供を心配する親を思い出させる…。
「申し訳ありません。ですが…」
「僕のためって言いたいの?」
「…えぇ。やはりまだ将来のある身ですから…」
僕ははぁ、とため息をつくとサイト更新の為打ち込んでいたキーボードから手を離しオロバスに振り向く。
相変わらずの信司の姿に目を奪われるが、そんなことはどうでもいい。
「僕は絶対に学校には通わない。誰にどう言われようが、僕は一歩もここから出ないから」
そう言い放つと、僕はパソコンに目を戻しサイト更新へ再度精を出し始める。
すると、オロバスは「わかりました。ではまず健康的になるために生活リズムは整えましょう」と静かに背後から告げる。
「へ?いや、何言っt」
「学校のことは後回しです。いいですね?」
そう言ってくるオロバスの声は、今までのトーンとは全く違い殺気を放っていた。
恐る恐る振り返ると満面の笑顔で、僕を見つめていた。
「いいですね?」
「ウィッス」
———数時間後
僕は昼夜とか関係なく眠くなったら寝る、お腹がすいたらご飯を食べるの生活であり、お風呂も必ず一日に一回入っているし別に不衛生なわけでもない。睡眠不足でもないので不健康ではないのだ。
「12時過ぎましたね。今ご飯を作ります」
そう笑顔を向けてくるオロバスは、正に天使信司。乙ゲーよりも現実味溢れる…!
だが、その天使につい先程まで一日の生活プランから、室内での運動を体を鍛えるためだとかでみっちり仕込まれた。
地獄だ、ついていける気がしない。
でも、いくら仕えるからってこんなにするものだろうか?
「…このレモンティー美味しい…」
「ああ…ありがとうございます。それはこの家にあったレモンをお借りしてハチミツと砂糖を混ぜて作っただけですよ」
心の底から嬉しそうに微笑むオロバスに、僕はとっさに呟いた。
「……主婦か」
「え?」
聞こえなかったのだろう、聞き返してくるオロバスに「なんでもない」と言い放ちでかい大窓から外を見つめる。
リビングであるここは、母がとある大企業のお偉いさんであるおかげであまり帰ってこないということで、僕が満足出来る家具しか備えられていない。
今ゆるモデルハウスのようなものだ。
「…雨、か」
降り出してきた雨に呟くと、キッチンから香しい匂いがしてくる。
「明日は、台風が日本列島を通過するようで大雨になるそうですよ」
そう言いながら料理を手にリビングに運んでくる。
「…ハンバーグ」
「ええ。お好きですか?」
「…嫌いではないな」
好きだと言うと、なんだか恥ずかしい気がして遠まわしに答える。
しかも和風に大根おろしとネギが乗っているあたり、かなりマメだ。僕がカロリー高いのを嫌うことを、部屋のゴミ箱やキンキン(冷蔵庫)の中身から察したのだろうか。
「…ありがとう。」
顔を伏せながら椅子に座ると、オロバスは驚いたかのように目を見開くとまた満面の笑みを浮かべ「はいっ」と返事をした。
手を合わせ食べ始めると、中々美味しかった。手料理はかなり久しぶりだが母より美味しい気がする。
味のバランスも絶妙だし、なにしろ食感が凄い。
「…美味しい。オロバス料理得意なんだ」
「ありがとうございます。無駄に年重ねてませんからね」
「…ああ、なるほど」
出会った日のつぎの日、オロバスは自分が20の軍団を率いる悪魔であり、知識が豊富。そして1500年生来ていることを告げた。
つまり現代でいえば『体は高校生。中身はクソジジイ』と言ったところか。
「…一つ、立ち入ったことを聞いてもよろしいですか?」
「…どうぞ」
オロバスは箸の手を止め、こちらを見つめる、
「愛理耶様は何故…学校に行きたがらないのですか?」
「っ…」
ハンバーグを切っていた手がずれ、カチっと皿にぶつかる音がした。
2話め前半完了。愛理耶のツンデレさは自分で書いてても萌えた
- Re: 神童は幸福を想 【1話完成!オリキャラ募集なうコメかもん 】 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/07 01:41
- 名前: 廃人君 (ID: SsOklNqw)
二話後半 回想1
———二年前———
僕は当時、まだ高校に上がったばかりの頃まで、俗に言う「マニュアル型人間」というものだった。
というのは、親や学校の先生に教わったことを守り、世のため人のために行動する。正に教科書どおりの毎日を、小さい頃から送っていた。
生まれた時から、恵まれた環境に育った。
母は大手ファッション企業の働き手。父は、TVで何度か紹介されるような凄腕の料理人でフランスへ行っていた。
母しかいないような環境でもしっかり愛情は注がれ、小さい頃から家庭教師を雇われたかいもあり、生まれながらの才能から小学校、中学とで常に人の上の更に上をいき「神童」と呼ばれていた。
人付き合いも良かった。母親も父親もそこそこの美形だったため、愛理耶は童顔よろしく子供ならではの美貌を放っていた。
愛くるしい程の笑顔と透き通るような美声。母には「周りの人たちとはちょっとだけ仲良くなっちゃいけないこともあるの」と教えられ、程よい距離を周囲と保っていた。
そのおかげもあってか、周りより目立ちすぎても常に中立の存在にいた。
だが、いくら愛理耶が秀才でも、学校というのはいろんな人間が集まるもので、ろくな環境に育たなかったひねくれ者が一人や二人…いや、沢山いるものだ。
そのため、中学生のある日__魔が射した。
「愛理耶ちゃん、明日私と一緒に遊びに行こうよ?」
同級生の子と遠出をするのは良くあることだった。
だが来週はテストであり、母にはテストの二週間は遊びに行くのは禁止と言われており、すぐに断った。
だがその時__
「真面目すぎだよ〜、親のことなんか気にしないでさっ。ね?」
いつもはすぐに頷いてくれる友人が、今回は何故か強引になった。
そして、自分のことを真面目だと言う。
(真面目…?私が?)
ほんの少しの揺らぎに、自分は負けてしまった。
約束したその日は、母は仕事で家におらず自分は罪悪感とともに、少し浮かれていた。
_だが、友人とたっぷり遊び帰ってくると、家のドアが開かなかった
これまでになかった焦りと緊張で、咄嗟に母に連絡を入れた。
すると___
「こんな簡単な約束1つ守れない子はうちの子供じゃないわ」
———頭を強く殴られたような衝撃が脳裏に走った
約束を守らなければ、自分は居場所などない。家族に家族だと認めてもらえないのだ。
遊びに行ったことを酷く後悔した自分は、これまで以上に真面目になり周囲から畏怖される存在となった。
そして日は経ち高校へ——————
- Re: 神童は幸福を想 引き篭もり少女の行く末 ( No.5 )
- 日時: 2015/08/07 03:13
- 名前: 廃人君 (ID: SsOklNqw)
二話後半 回想2
中学で推薦を受けるのは、運動部くらい。
無難に入った吹奏楽では、団体であまり成果を挙げられなかった。集団で愛理耶の力が発揮できるはずもなく、上に行くことはできずにいた。
だが、個人なら別の話になる。
「天才ピアニスト」「ホルン神童吹奏者」 と数々の名を広め、無名学校の看板となっていた彼女はありとあらゆる進学校の的となっていた。
それは当然のことだろう。彼女一人いれば、偏差値が低かろうが名は売れるのだ。
_当の本人はと言うと、既に進学先は決めているようだった。
彼女の得意なものは多彩だったが、個人的に好むものはコンピューターのプログラムについて。
もっと最先端な技術が作れるはずだと思いたち、情報技術が深く学べる部のある「私立百蘭学園」への入学を希望していた。
私立百蘭学園は、カリスマ溢れる高校であり勉学への意識が非常に高い。もちろん、運動面でも部は全国レベルである。
故に偏差値は馬鹿にならないくらい高いが、愛理耶の場合は視界に入れる必要なはないだろう。
__そして晴れて入学した愛理耶
入学当時、彼女の周りは男女問わず人で溢れた。
同級生なら知らないはずもない彼女はどこでも贔屓され、異性だけでなく同性からも告白される程だった。
だが事あるごとに断る愛理耶。それは日常茶飯事。
興味が無いわけでは無かった。ただ、自分の心を射る人間が現れない。
「愛理耶勿体ないよ?イケメンなのに〜」
「そんな事言われても…顔が良ければいいって問題じゃないから…」
そんな中、性格の良い親友も出来た。名前は「高柳 陽葵」
彼女も男子に人気があり、既に彼氏もいる。
自分とは違い、テニスが好きな運動派の彼女ははきはきとして裏表のなさそうな子だった。
はたから見れば、そっくりな2人だが内面は驚くほどに違っていた。
マニュアル型の愛理耶は必要なこと以外は、左から右へ受け流しなかったことにする。
だが、陽葵は違う。人一倍努力し、人一倍周りが見えるタイプだ。
そのため今までは学校で一番だった自分が、愛理耶と何かしら対比され裏で聞く自分への侮辱と罵りが嫌でも耳に入ってくる。
人の良い人間でも、悪心を持てば周りと何ら変わらない。
陽葵は、愛理耶のいないところでありもしない噂話を流し始める。
「簡単に股を開く淫売女」「教師との交際」など、愛理耶の才は穢さずに裏の自分を広めようとしたのだ。
特定の人間以外は、均等に距離を置く愛理耶の人脈は見事に崩れ去った。
日に日に周りから人がいなくなる愛理耶は異変を感じ、親友であり本人は知る由もないが、皮肉なことに首謀者である陽葵に相談する。
「きっと、愛理耶に憧れすぎて怖くなったんじゃない?」
と、しらを切る陽葵。
最初はもちろん、信頼と少しの願望でそうであってほしいと信じた。
だが二週間後、陽葵は絶対に犯してはいけないことに踏み切る。
いつまで経っても大きく弱る気配がないことに腹を立たせ、愛理耶の持ち歩いているノートパソコンのデータを抹殺しようと考えたのだ。
専門的な知識がなくとも、その程度のことは出来るだろう。
手洗いに行った瞬間を狙い、愛理耶のバックの中を漁ったその時__
「陽葵…?何やって…」
ハンカチを忘れたと戻ってきた愛理耶にとっさに振り返る。
愛理耶の顔は信じられないという表情をしていた。
「あっはは、陽葵あんた馬鹿じゃないの。作戦失敗〜」
「だっせぇスパイ様」
知っていた周りの見ていた人間は、陽葵を嘲笑い始めた。
「ひ、陽葵…?どういうこと?」
周囲の反応に、状況の分かり始めた愛理耶は笑っているのか悲しんでいるのか分からない顔をし始める。
(嘘だ。そんなはずない…だって陽葵は…)
「陽葵って呼ぶなッ!!」
叫び散らした陽葵の声に、周囲に沈黙が流れ始めた。それと同時に愛理耶の表情の体は硬直した。
「私は…私はあんたが大っ嫌いだったんだよ!!あんたのそのいらない才能のせいで私の人生はめちゃくちゃになった!全部!!全部!」
__そう言った陽葵の言葉は悲しみに満ちていたはずなのに、何故か顔が笑って見えたのはきっと“僕"だけじゃない
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