複雑・ファジー小説
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- むかしむかしあるところに
- 日時: 2015/11/15 16:41
- 名前: かりんとう (ID: 5kDSbOyc)
良い魔法使いと悪い魔法使いがおりました。
+ + +
こんにちはかりんとうです。コメントを与えるととっても喜びます。
学生であるため、時間の関係上投稿は不定期になります。
ではでは、これからよろしくお願いします!
- Re: むかしむかしあるところに ( No.1 )
- 日時: 2015/11/17 21:47
- 名前: ・ス・ス・ス・ス・スニゑソス (ID: 5kDSbOyc)
前章
むかしむかしあるところに
悪逆非道の魔道師と、
清く優しい天使がおったそうな。
天使は魔道師の邪悪さを忌み、
魔道師もまた、天使の清さを嫌った。
魔道師は幾度か人の血を流した。
たくさん、たくさんの人を殺めた。
天使はそれを悲しんだ。
そして、魔道師の一部を聖なる杖に封じ込めた。
怒った魔道師は悲しむ天使と三日三晩、戦った。
結果、
天使は魔道師の力を封印したが、
魔道師は天使を道連れに死んだ。
最期は二人とも海の底————暗く、暗く沈んでいった。
そんな、おとぎ話のような、本当のお話。
- Re: むかしむかしあるところに ( No.2 )
- 日時: 2015/11/17 21:48
- 名前: かりんとう (ID: 5kDSbOyc)
—1—
子供が路地を歩いていた。
この地方では珍しい黒髪黒眼で、恐ろしいほど顔が整った少年である。かぶっている帽子もローブも髪と同じ地味な黒色だが、遠めに見ても上等なものだと分かる。
「やあ坊っちゃん、こんなところに何か用かなぁ?」
そんな少年が声をかけられるのはそう時間がかからなかった。
声をかけたのは見るからに職についていない、汚らしい服をまとった男たちである。
服が良くて、珍しい人種で、おまけに顔が良い。少年は違法方面のゴロツキにとっていいカモだったのである。
少年は男たちを見るとぱっと表情を明るくした。
「ああ、こんにちはおじさん。僕、道に迷ってしまっ———」
「そうかい、じゃあおじさんが案内してやるよ!」
男は少年の細い腕をつかんだ。少年はそれだけでふらめく。男は手慣れたように腕をまわし、少年の後ろに立つ。
少年は地面に膝をつき、あっと言う間に男に両手をつかまれてしまう。
「———おじさん」
「へへ、案内するのは坊っちゃんの目的じゃなくって、奴隷商だがなぁ」
男たちは少年を拘束したまま、下品な笑い声を上げる。
その間、少年はずっとうなだれていた。つばの大きい帽子が顔を隠す。
「・・・おじさん、ねえ。手を、外しておくれ」
男が異常に気が付いたのは、さて少年を運ぼうとした時だった。
乱暴に手を引いたせいで、黒い帽子が少年から落ちる。
「おじさん。いや・・・・低俗のゴミムシが」
少年は————笑っていた。
男は背筋をぞっと凍らせる。
なにか気味の悪い物を直視したときのような、いや、それ以上の————。
「ひっ・・・!?」
男は思わず手を取り落とす。
それがいけなかった。少年は解放された手をすかさず男の腹に添える。
「大人しく従えばと黙っていたが・・・汚い目で私を見たうえ、体に触るなど、これは躾をせねばならんようだな」
少年はそう言って、添える左手に力を込めた。
それは一瞬の事であった。
轟音。爆音。
頬を焦がすような熱と突風。
吹き飛んだ瓦礫が崩れて落ちる。
驚いて振り返った仲間の男達は、煙の奥で血を流す男と———愉しそうに笑う少年の姿をとらえた。
「ぎゃっ・・・・・ぎゃああああ!!」
「バケモンだっ、バケモンだぁ!」
少年は溜息をついて怪鳥のように喚き逃げ出す男たちを見送った。
そして漆黒に染まる瞳を、さながら雑草を見るかのように、倒れた男に下ろす。
「仲間をおいて尻尾を巻くとは、本当にゴミムシだな。それとも仲間ではなかったか?」
「・・・」
「おい、手加減はしたはずだ。答えろ、さもなくば殺す」
男の胸が大きく波打った。同時に、ごぽ、と血が吐き出される。
しばらくそれを繰り返していたが、しだいに血の量が少なくなり、そして濁った目が開かれる。
くぐもった返事が血の流れる口から紡がれる。
少年はそれを満足そうに見やり、そして口を開く。
「おい、お前。私の手ごまになれ。チェスのポーンぐらいには使えるだろう?」
少年は笑う。
そう、さながら伝説の悪い魔道師のように。
・・・
かりんとうです。
前章、書き直しました。
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