複雑・ファジー小説
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- FUGITIVE
- 日時: 2015/12/22 17:35
- 名前: おから (ID: JD5DDSYn)
どうも、おからです。学園絡みの異能モノ、ゆっくりと書いていきます。
題名の"FUGITIVE"には、無法者、人外、逃亡者などの意味があります。余談ですので、あまり御気になさらぬよう。
前置きは此処まで。複雑ファジーでしか書けない内容が盛り沢山ですので、各々方、描写には御注意を。
- Re: FUGITIVE ( No.1 )
- 日時: 2015/12/22 19:55
- 名前: おから (ID: JD5DDSYn)
ビルの裏。そこに広がる惨状は、見たことのない光景である。少なくとも尻餅をついて震えている老婆にとっては、長年人生で培ってきた経験を全て否定されそうな程に"常識を覆す"ものだ。
紅蓮に燃える青年。金色に光る少女の手。彼らの足元に転がる無数の屍——は、かつて人間だった者達の肉塊。腸や血潮を撒き散らし、全て五体満足とは言えない有様で死を遂げている。
「この"逃亡者"共、いい加減に懲りてほしいものだわ」
「人間を人間足らしめる理性が成ってねぇ怪物なんだ、少しは我慢してろ」
「分かっているわ」
この青年と少女の会話さえ、老婆にとっては本の世界。
「——っと、生存者か?」
青年が気付いたときは既に遅く、老婆は屍の山に混じり、怪我ひとつない状態で健全な肉塊と化していた。
重ねて少女が老婆の首筋に手を当て、完全に脈が止まっていることを確認する。
「いいえ、死んでるわ。傷も無いのに、どうして……」
「ショック死ってか?」
「まさか。時間差で逃亡者の攻撃が発現したんじゃないの?」
「さぁ、俺に聞かれてもなぁ? まあどっちにしろ、死んでる以上やる事は変わんねぇだろ」
「そうね。悲しいことだけど」
少女は目を閉じて黙祷し、老婆の冥福を祈った。
方や青年は欠伸をしてから、面倒そうに右手に炎を宿す。目的は、ここら一帯の屍を纏めて焼くためだ。
「消火は任せたぜ。あと清掃部隊に連絡を入れとけ」
「本っ当に貴方は他人任せね。まあ慣れたけど」
屍に火が回らないうちにビル群の表に出た少女は、懐から携帯端末を取り出して送話器を口元に引き寄せた。
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