複雑・ファジー小説
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- 蝶と狼
- 日時: 2016/01/24 15:07
- 名前: 氷紀 (ID: r32h3ZGv)
はじめまして〜
これから頑張って楽しく投稿します。
こういう話はあまり書いたことないので緊張します(*_*)
感想はどんどん受けるのでよろしくお願いします
- Re: 蝶と狼 ( No.1 )
- 日時: 2016/01/21 21:12
- 名前: 氷紀 (ID: r32h3ZGv)
2100年、一部の一族で魔術を使う者が現れた。魔術は医療や科学を大きく進歩させた。
しかし地球はボロボロだった。海は濁り、空は曇り、ある地域ではガスマスク無しでは生きていけなくなっていた。
するとある大陸の東を統一する神谷家は結界を大陸の東に張った。だが、その結界は外側の環境を悪化させた。
一方、大陸の西を統一する翠流家は食料と政治の発言権利を平等に与えた。だが、大陸の東よりも貧しく暮らしていた。
ー大陸の東ー
結界の中枢に存在する楽園の広場に彼女は居た。
上を見上げれば青い空と白い雲が広がっていて周りには色とりどりの花が咲いていた。
現実とは全く違う世界に子供や大人は喜ぶ。一時でも外の事を忘れられるからだ。例えこの空や花が幻術で作られていたとしても。
そんな楽園の広場のベンチに彼女は腰を下ろしていた。
肩まである髪を右耳にかけ、動きやすそうな服から見える綺麗な足を組んでいた。
「はぁ…」
彼女、ナナミはそれを見て思わずため息をついた。
見ていたのは今日から自分の班に入る少年の資料だった。育成訓練学校を首席で卒業しているのに性格が軟弱で、虐めにもあっていたらしい。
しかしナナミがため息をついたのはそれが理由ではない。
新しく背負わなければならない命が一つ増え、責任に押しつぶされそうなのだ。
「あ、あの」
「!」
いきなり声をかけられ、顔を上げた。
そこには自分と同じ、戦闘部隊『狼』の服を着ていた。そして腰には、見た目とは合わない短剣が二つぶら下がっていた。
そして、体が震えていた。
「戦闘部隊『狼』特別班班長、ナナミ班長でしょうか!?」
「そ、そうだけど…」
「自分は今日からあなたの班に配属された、夕日也です!」
ナナミは後々、後悔した。
この時点で彼のことに気づいていれば…。
そう思うのは少し先のことになる。
- Re: 蝶と狼 ( No.2 )
- 日時: 2016/01/23 16:10
- 名前: 氷紀 (ID: r32h3ZGv)
「まず、仲間とのまちあわせ場所である大門へ行く間、私のチームについて説明します」
「は、はい!」
ナナミは立ち上がり、夕日也と大門へ歩き始めた。
大門は結界の外へ出る際に必ず通らないといけない場所で、よくそこに待ち合わせをしているのだ。
緊張している様子の夕日也を横目で見ながら、説明を始める。
「戦闘部隊『狼』特別班は一班〜五班の者とやることは異なります。主に結界の外、つまりは大陸の西付近の調査です。なぜ世界がこんなことになったかの詳しい理由と打開策を練るためです。つまり、大陸の西戦闘部隊『蝶』特別班と会う確率が高い」
「え、それって…、」
「はい、戦闘になる確率がよくあります」
神谷家と翠流家は今後の対策意見が分かれ、お互いが西と東の大陸を治め始めてから仲が悪くなった。
それまでは仲が良かったとは聞いているが、それは二代前の当主の時。
「夕日也は怖いのですか?」
「…え?」
夕日也は震える右手を左手で抑えていた。
自分は死ぬかもしれない。そう思えば、誰もがこうなる。これが当たり前で普通だ。ならば、ナナミは普通じゃないのだろう。
「ナナミ先輩は大丈夫なんですね。すいません。こんな奴が新メンバーで。不安ですよね?」
そう言って夕日也は涙を浮かべた。
「…安心しろ、夕日也。お前が今から会うやつらは皆、他の班へ行けば班長を任せられるような奴らだ。私はそいつらを信用してるし、誇りに思う」
「……!」
「私はお前がそんな奴らになれると信じている。ほら、大門に着いたぞ」
大門はとても大きく、いつも閉められているドアが開いていた。その下に3人の人影。
「おーい、みんなー!」
ナナミは三人の所に走って行った。「ナ、ナナミ先輩!?」と驚きながらも夕日也も後を追った。
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