複雑・ファジー小説
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- 【長編】英雄にサヨウナラ【ミステリー】
- 日時: 2016/05/03 22:40
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: mpfOgk14)
初めまして
長編から短編まで、色んなお話を書いていきたいと思います
更新は不定期かもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです
* 誤字脱字には気をつけておりますが、万が一発見した場合、指摘してくださると嬉しいです。m(__)m
3/12/16
---
英雄にサヨウナラ 【長編】
ミステリー?/学園モノ
プロローグ >>1
1話「伝説の二人」>>2-3
2話「調査開始」>>4 >>7
3話「瀬戸先生」>>10-11
4話「心強い味方?」>>12-13
*** (追記)3/18
タイトルは「花が咲く」ですが、実は今ひとつ気に入っておらず…もしかしたら予告なしに変えるかもです。
5/3
タイトルを「英雄にサヨウナラ」に変えました
- Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.9 )
- 日時: 2016/03/16 00:10
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: l9lUJySW)
>>囚人Dさま
きゃあああありがとうございます!!!
ミステリーと明記している筈なのに、ミステリー色はまだまだ薄いですが…ワクワクしてもらえると、書いた者としては飛び上がるほど嬉しいです!
コメありがとうございました
- Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.10 )
- 日時: 2016/03/16 19:14
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: e4Kmar5i)
3話「瀬戸先生」
長かった授業もようやく終わり、放課後になった
調査を始める筈だったけど、瀬戸先生にまさかのお呼ばれというプレゼントを頂いてしまった。なんと間の悪い奴だろう
「てか好都合じゃない?瀬戸先生に伝説の二人について聞いてきなよ。当初の予定では、卒アル見せてもらうんでしょ?」
唯はそう言うけど…
「そうだけど。見せてもらえるかなぁ」
どっちかというと、そういったことには興味がなさそうというか、そもそも授業を中断させてしまった原因について話すのも。
また火花を見る事なりそうだ。今度は、特大の花火くらいの
「ダメだったら別の先生に聞くよ」
「康!!瀬戸センのとこ行くんだろ?俺も用あるから一緒に行こうぜ」
肩をポンと叩かれた
睦月だ
心なしか顔色が悪い。目の下にも真っ黒な隈ができている
もしかしたら、昨日は徹夜で勉強をしていたのかもしれない
来週は期末だからな、やっぱりトップをキープするのは難しいんだろうな
「そうだね、じゃあな、唯。行こう睦月」
「おう」
俺は、これから睦月の前で、伝説の二人について話すのはよそうと決めた
隈ができるほど疲れている時に、能天気に伝説の二人のことについて話をすのは、流石に…
「そういえば康、調査の方はどんな感じだ?」
「へっ…?」
まさかの反応
実は気になっていたとか…?まぁ俺と唯だけじゃなんともまぁ頼りない事コンビだろうね
「まだ全然。とりあえず、瀬戸のとこ行くついでに卒業生の卒アルでも借りようかなって」
「そんなに簡単に何か手がかりが見つかるとは思わないけどな。瀬戸セン厳しいし」
まぁ、そうだけど。でも他に方法がないから仕方ない
卒アル見せてもらえなかったら聞き込みでもするか。朝は失敗に終わったけど
■
「瀬戸——!言われた通り来ましたよー」
「先生をつけろ、バ神崎。」
うっ、俺の苗字が、かからはじまるからって、安直なあだ名をつけやがって、バカなのは否定しませんけど
「はい、先生。反省文ですか?」
「それもだけど、お前に聞きたいことがあってな。あ、お前も一緒なのか」
そう言って先生は俺の隣の睦月の方に顔を向ける
「えぇ、ちょっとテストの範囲で聞きたいことがありまして」
こいつマジですげぇ
俺なんて赤点とらなきゃいいや、って思ってるのに。そもそもテスト勉強なんて週末にやればいいやって思ってるくらい
そういえば前回のテスト、何位だっけ?確かトップスリーには入ってたような…
「そっか、悪いけどこのバカに説教が先だから。なんだって、伝説の二人について調べてるんだって?」
そっちの方に食いつかれるとはなんともまぁ予想外だ。今日は予想外の連発だね、これは良い事なのか?
「えぇ…。ゆい…福田さんに聞いて。割と興味が湧いたので、二人について調べようと思いました。あっ、ちょうどいいですね先生、過去10年分くらいの卒アル貸してくれません?」
「突っ込みたいことが山ほどある。まず、来週期末テストだというのに、そんなくだらん噂に振り回されるな。時間の無駄だろう。そして二つ目、素性もわからない二人の事をどうやって調べる気だ?卒アル?名前すらわからない癖に、そんな考え無しのやつに、気軽に生徒の個人情報が載ったアルバムは貸せない」
言われて気づいたけど、確かに俺はどうやって調べるつもりだったんだろう。うーん、この考えなしなところ、もうすこし直すべきだろうか
苦笑ものだ。いや、でも何も手がかりがないとどうして言い切れる?
「何がわかるかわからないかだなんて、そんなの調べてみなければわかりません。この学校、昔から不穏な噂が多いですよね。それに関係してるのかもしれないし」
「言いがかりもいいところだ、神崎。伝説の二人というのは、所詮は噂なんだ。俺は、この学校に来て9年目だが、伝説の二人なんて根も葉もない噂が出回っているだけで、まともな情報なんて無い」
「でも、知ってる人はいるかもっ…」
「神崎。頼むよ、お前、テストの順位はいつも最後から数えた方が早いだろ?そんなくだらない事やってる暇があったら、勉強しなさい。先生のためだと思って!」
そう俺に懇願する教師
俺のテストの結果について思案している様子など、微塵も感じられなかった
ただ、伝説の二人、このキーワードを聞いて
それのために、俺に調査をやめるよう嘆願している
…昔、先生がいる頃、何か起きたのか
勘は鋭い方ではないけど、俺はそう感じた
もしかしたら睦月も何か感づいたのかもしれない。怒っているような、涙を我慢しているような顔になっている
「先生、落ち着いてくださいよ」
睦月の声で、先生はハッとしたような顔をして俺をもう一度見た
「すまん、ちょっとだけ焦った。実はな、昔もいたんだよ、お前みたいにその事件に突っ込んだやつが」
「どうなったんですか?」
「時期が時期、ってこともあったんだけど、高3だったんだよ。勉強もしないで、ありもしない噂を追いかけて。大学受験に失敗さ。お前はまだ高2だけど、だからといって勉強をおろそかにしてもいい理由にもならない。」
そうまくしたてる先生に、俺は何も言い返せない
確かに、そうだけども。
でも、何も思わないのか。俺は、ただなんとなく調べようとしただけなのに。伝説という言葉に惹かれて、調査を始めただけなのに。それとも、そんな簡単な動機で詮索をしてはいけない、重要な理由があるのだろうか
黙ってしまった俺を見て、先生はこう付け足した
「昨日学校に遅くまで残ってたせいで疲れてるんだ…あまり悩みの種を増やすなよ。とりあえず、反省文は5枚書いてこればいい」
「はい、わかりました」
***
後で修正します
- Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.11 )
- 日時: 2016/03/22 10:59
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: du25tn4c)
- 参照: 3話続き
その日の夜、今日起こった事を頭の中で整理してみた────
のだが途中で頭がこんがらがったので、ノートに書き出し始める
登場人物は俺、唯、睦月、瀬戸先生、そして伝説の二人だ。あと一応聞き込みしたし、牧野さんも入れておこう
といっても、はっきり言って収穫はゼロに近い…というかゼロだ。瀬戸先生が二人のことを知っている可能性がでたけど、あの様子じゃ教えてはくれないだろう
他の先生に聞くのはどうだろう、それは明日でいいか
俺の予想では、先生がいた9年程前…から今までの間に何かが起きた可能性が高い。
割と最近だよな、9年前なんて
どうして隠そうとするのだろう?
二人は、きっと先生の教え子だ。でも、その教え子が伝説にまで残る事をしでかしたのだから、普通は自慢するのではないか?
そもそも、伝説とまで言われているのに、情報が不確かなのが引っかかる。噂として残っているのなら、もう少しマシな情報が残っていてもいいはずなのに。それとも、これはやっぱり誰かが作り出した嘘の塊なのか?
うーん、ダメだ。さらにこんがらがってきた
解そうとすればするほど、複雑に絡み合っていく糸のようだ
いっそのことハサミでちょん切ることができたらどんなに楽だろう
でも、自分から好奇心で突っ込んだ場所なのだ
そんな無責任なことはいえない
まぁ…責任なんて感じる必要なんて露一つないんだけどね
なんだかカッコイイじゃないか
■
時計を見ると、短針が12を回っている。
そろそろ寝なければ、授業中に寝てしまうのだけは避けたい
でも、目は冴えている。瞑っても、学校での、瀬戸先生との会話が頭から離れてくれない
それほどまでに…先生が隠していること
いうならば────社会問題という
規模の大きい────
────────────犯罪?
- Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.12 )
- 日時: 2016/03/21 20:48
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: tH3mbyH6)
4話 「心強い味方?」
「バ神崎ぃいいいい!!!」
始業の鐘の音よりも先に、1日は始まったようだ
「お前っ反省文書いてこいって言ったろ、なんだこの文章は!お前まったく反省してないじゃん!」
いや、その原因の9割ほぼあんただよ…先生
昨日はほとんど寝ていない
どうして「伝説の二人」と、学校で流れている「不穏な噂」をまったく別物として考えていたのだろう。
この二つがまったく同じ人物によるものである、そんな可能性だってあるんじゃないか
正直、こっちの方も詳しい情報がある訳ではないし、真実かどうかわかっていないけども。
数年前、全国的に学校が荒れている頃、周りに便乗するよう、ヤバイ事をしでかす奴が増えた
一番有名なのは、情報窃盗野郎だ。数年前、中学部の生徒がデータを盗み出す、という前代未聞な事件が起きた。やった本人は、多分いたずら目的だったのだろうけど、手口が卑劣な為か未だに噂として受け継がれている。
その頃の中学校はセキュリティがガバガバで、しかも教師たちまでもが不良の悪行を見て見ぬ振りという最悪な環境だった。
もちろん、この事件とは限らない
けど、もし伝説の二人が、こういった犯罪に関わっていたとしたら?実は教師側も知っていたのなら?伝説として上書きしてしまったのならば?
────────考えすぎだろうか
「神崎…お前聞いてんのか」
あ、そうだ。今お説教中だった
目の前でガミガミくどくどと同じことを繰り返している瀬戸先生を見返す。でもな、この人は何も教えてくれなさそうだ
事件のことを聞くのはどうだろう
いや、万が一俺の予想が当たっていたとして、今後の調査に影響が出るのも嫌だ
ここは、ひとまず唯と睦月くらいに話しておくか
それから、聞き込み調査を始めよう。
「…昨日も言ったが、余計なことをするんじゃないぞ。学生は学業に専念してだな」
「あ、はい、分かりました。反省文は明日絶対に書いてきますので。あの、先生そろそろ授業始まっちゃいますよ」
「ほんとだ。まったく何が悲しくて朝から不良生徒の世話してなきゃいけないんだ」
ここまでくると鬱陶しいけど、顔に出さず、なんとかやり過ごした
- Re: 【長編】花が咲く【ミステリー】 ( No.13 )
- 日時: 2016/05/03 22:29
- 名前: ゆり ◆Qd6XA/vkyQ (ID: mpfOgk14)
- 参照: 4話続き
12月に入ってから、睦月がひどく疲れた顔をすることが多くなった。
テスト前はいつも目に大きな隈を抱えていたが、今は大きな闇を間違えて背負ってしまったような顔をしている
生徒会でトラブルでもあったのだろうか
そもそも、1年生で生徒会長をやっている睦月の精神はどうなのか
立候補するのに、年齢制限はいらないが、大抵は2年生という暗黙のルールが存在する。
中学の頃は、部活に力を入れていたと唯が言っていた。だから、彼が会長に立候補したのには、誰もが驚いたらしい
まぁ、それでも先生からの信頼度、中学の時から成績は上位、加えてあの美貌。当選したのは当然の定めだったのかもしれない
以下、副会長、書記、会計。
全てが2年生の中、小さな組織の王者として君臨する1年生
睦月の選んだ道だから、俺が脇道からああだこうだ言えるわけないけどね
そんな睦月に、能天気な俺が(真面目なつもりだけどね)こんな事を話すのはいかがなものか
そう思い、睦月に話すのは止め、唯だけに話したつもりだったが…
「唯から話は聞いた」
まさかの放課後、睦月から直々お言葉をいただく事になるとは
ほんの少し唯を睨むが、知らん顔をされた
「いや、ほんと、伝説の二人と犯罪が絡んでるってただの俺の妄想だからさ…!まだ全然実証もないし、適当に思いついただけだから……」
「お、俺にも手助けさせてくれないか?」
え?
手助けって…調査の?
「康の着眼点は面白いと思う。俺もその噂は散々聞いてきたけど、今まで気にもとめたことはなかった。ただのバカな生徒が起こした犯罪だと思っていたから。
予想外だった
最近疲れているみたいだから、負担をかけないようにしたが…やっぱり根はこういうバカみたいな事が好きなのかな。
「でも…一つ疑問が。どうして分離したんだろうな?」
「というと?」
「伝説の二人、って名称だけが一人歩きしてる。こんなに噂として残るくらいなら、その二人が具体的に何をしてしまったのか、それらの犯罪をしでかして、話がオーバーに伝わって今に至る。とかそういうのがあってもいいだろ?なのに、そんな話は聞いたことない。これはどういう意味なのかと思って」
それは、確かに俺も考えたが…明確な答えは出せなかった
「…だからさ、俺、調べてみるよ。最初はくだらないって思ってたけど、康頑張ってるし。少し気になってきたし」
睦月はいっつもクールで冷静だ。
でも、本当はノリが良くて、たまに見せる奴の優しさにやられてしまう。
こういうとき、やっぱこいつが女子にモテるのは仕方ないのかなぁと思ってしまう。
いつもの冷酷オーラを醸し出してるときは、将来本当に好きになった子に振られてしまえ、って思ってるけどね
「睦月がいれば安心だ、ね、康?」
「あぁ。正直俺と唯だけじゃ絶対に無理だと思ってた」
「気にするなよ。大したことなんてわからないと思うけど。瀬戸センは無理だと思うから、別の先生に聞いてみる」
今朝は普通に接してたけど、やっぱり先生だって俺がなんども昔の事件を掘り返そうとしているのは苦痛だろう。ましてや教え子の失態…いや、これはまだ決まったことじゃない。決めつけるのはよくないな
「あ、でも悪い。俺今日は生徒会に行かなきゃいけないんだ。唯と睦月だけで聞き込みは…無理だろ」
失礼な
「いやいや、舐めんなよ?確かに唯は半人力だし俺もこういうの苦手だけど!」
「ちょとまてコラ」
「そうじゃなくて。瀬戸センに見つかったらまた怒られるだろって意味 」
睦月が慌てたように付け足す
見つからないようにするよ、と思ったけど。確かに色々面倒そうだ。ここは睦月の言う通りにしよう
「んじゃあ俺と唯は帰るわ」
「わかった。そういえば生徒会室には古い資料もあるから。今度そこ見てもいいよ。役に立つかはわからないけど」
「いやいや、十分だよ。ありがとう」
生徒会へ向かう睦月の背中は、いつもに増してカッコイイ
その背中を、俺は追えているのだろうか
…そんなことは、どうでもいっか