複雑・ファジー小説

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異世界は死神とともに
日時: 2016/04/10 22:14
名前: 冶歌(イルカ) (ID: Zq2QG6kE)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=18757

はじめまして、冶歌(いるか)といいますー。
転生ものです。主人公チートを含みますので、苦手な方はご注意ください。




同じ板で『魔法使いと芸術家と紫のコランバイン』という転生関係なしの純ファンタジー書き始めました。
よろしければご覧ください。

Re: 異世界は死神とともに ( No.8 )
日時: 2016/05/03 21:53
名前: 治歌(イルカ) (ID: aWtSrojt)

メルマーク様、はじめまして。
題名を気になってくださったということは、さてはファンタジーがお好きですか? 私は・・・大好物です・・・!
『おもしろい』という言葉をいただけて光栄です!
『キャラや文がまとまっている』。まさか自分が言われる日がこようとは夢にも思いませんでした。それは私自身の目標でもあったので、すごく嬉しくて、PCの前でにやにやしたのは内緒です。

転生モノは題材は好きですが、パターンが決まっていたり、転生しなくてもよかったりする物が沢山ありますからね。
そうならないよう頑張りたいと思います。

新参のふつつかな作品ですか、どうぞよろしくお願いします!



PS わあああメルメーク様でなくメルマーク様です!
   給食に出てくる某粉末飲料みたいになってしまった・・・!
   申し訳ありませんでした! 即修正いたしました。

Re: 異世界は死神とともに ( No.9 )
日時: 2016/05/04 20:55
名前: 治歌(イルカ) (ID: aWtSrojt)

3−3 秘密


血を綺麗だと思ったのは、前世あわせ生まれてはじめてかもしれない。
まあ、そんなにホラーが得意でない僕は数える程しか見たことはないが。
すくなくとも、その紅は灰色の道路にしみこむ赤よりずっと美しかった。

お腹が熱い。
焼かれるように熱い。
僕を抱くように刺す魔物の鎌には、僕の血に紛れない暖かさがあった。

僕はもう一度死ぬのだろうか。

死にたくないな、と反射的に思う。
死にたくない。
まだ死にたくない。


—————生きたい。


「もっと、生きたい・・・!」


あまりの痛みに目を閉じかけた時だった。


「【我慕ウ紅キ胎動ヨ、集ヘ、カノ敵ノ心中ヘ】」


体がふっと軽くなる。
ぼやけた視界の中、魔物が僕を離すのが見える。


「生気2個目だな、カスが。————あいにくまだ死なせねーよ」


魔物とは別の、柔らかい暖かさが僕を包む。
まだ血は止まらないな、とぼんやり思ったところで、僕の意識は遠のいていった。



* * *



目の前で魔物がもがいている。
魔法の対価にはカルモの血を使った。集合の命令をかけた紅い血は、紐状となって魔物を縛り上げる。

「【縛】」

俺はそうって真新しい杖を振る。
今日の買い物の成果である。何故カルモを連れて行かなかったか、それは学園の準備だったからだ。

特に、この杖。
エルフォ族には古来より、旅立つ者に杖を送る習慣があるのだ。
・・・魔法の使えない『人科』に属する種族であるというのに。
カルモに言っていない、ひとつの事実。
————エルフォはもともと『魔族』であるのだ。

「【個ハ爆ゼ】」

杖を振る。

どおおおおお!!

地面を揺らすような大きな音と光。弾けた魔物の黒い血が、カルモと俺の頬に飛び散った。

あとに残ったのは黒い灰と肉塊、それらをじりじり燃やす、下火。
・・・そして光。

俺は気絶するカルモを見下ろした。
前髪の一部、一房。それが————虹色に光っていた。
赤から橙、黄色、黄色から緑、緑から青、青から藍、藍から紫。
それは淡く、銀色の髪に上手く合い、まるで美しい鳥の羽根飾りをつけているようである。

エルフォ族が魔法を使える事を隠した理由の1つ。

「・・・こいつはつくづく、報われない人生だな」

ぐらり、と視界が揺れる。魔力切れである。子供の魔力は安定せず、枯渇がはやいことを、俺はたった今思い出した。

————つきあわされる俺も、報われないのかもしれないな。

遅れて到着した父ロベルドの声が聞こえる。
こんな息子二人を持つことも報われない。

ふ、と何も見えなくなった。






* * *







「なあ、シュクル」
「なあにロベルド」

あれから数日後。
庭で遊ぶカルドとカルモを見ながら、ロベルドは向かいに座るシュクルに声をかけた。
正しくは遊んでいるのではなくカルドがカルモを一方的に追いかけているだけなのだが、二人はそれにみじんも気がついていない。

「うちの子達、可愛すぎじゃないかな」
「何言ってるの当たり前じゃない」

さらりと返すシュクル。

「しかも天才じゃないかな」
「当たり前じゃないの」

こちらもさらりと返される。

「・・・」
「・・・」

沈黙が訪れる。二人の視線は二人の子供に向けられていた。

カルモがつまずいて転ぶ。
ガタン、と二人同時に椅子を引く。
が、カルドが笑いながらその上に被さり、カルモに抱きついたのを見て静かに座る。

ちなみにそれは唐突にはじまったプロレスごっこであり、カルモは死にそうに苦しかったのだが、二人は知るよしもない。

「学園をやめて家庭教師にするべきだろうか・・・。二人がかりとはいえ、学園入りする前で魔物を倒しちゃったんだからなぁ」

その光景をじっと見つめていたロベルドが呟いた。
そうね、とシュクルも賛同する。



「それに二人とも無傷だったんだもの」


+++++

○登場人物

+カルモ・ヴァレット
銀髪緑眼の三歳児。
事件後、カルドに問い詰めます。次回にて。

+カルド・ヴァレット
黒髪緑眼の四歳児。
弟いじめ楽しい(再。

+シュクル・ヴァレット
銀髪碧眼。
子供達が可愛すぎて心配すぎる。

+ロベルド・ヴァレット
黒髪緑眼。
子供達が愛しすぎて生活に支障が出るレベル。

Re: 異世界は死神とともに ( No.10 )
日時: 2016/05/08 18:00
名前: 治歌(イルカ) (ID: aWtSrojt)

前回おまけ「事件後、カルドに問い詰めます。次回にて。」

あれは予定です!!(暴
やはり無計画に書くのは楽しいですが、予告とか出来なくて寂しいです。




4−1 魔族の法



「ふあああああああ」

僕の腕がきりきりと締められる。
その痛みは、紐状となった血———僕の指先の血である。

「すっごい! すごい! 魔法ってやつだね!」

頬が上気するのがわかる。だって魔法! 科学を超えた人知の至らない世界!

「縛られて喜ぶなんて・・・珍しい趣味をお持ちだな」
「・・・あっ、うん、ごめん、一気に冷めた」

眉間にしわを寄せるカルド。
違う、マゾ違う。興奮の対象が違う。



今日、僕たちヴァレット兄弟は、ヴァレット家屋敷の馬屋に訪れていた。
騒いでも母様に叱られないようにするためである。
馬。
馬ですぜ。
ヴァレット家、馬を二頭所有してるんですぜ。
なんだかこういうのを見ると、やっぱり貴族なんだなあ、と感慨を覚えざるえない。
いまだ限られた部屋しか見回れていない広大な屋敷も、のちのち探索してみようかと思う。

しかし今は魔法に集中しよう。
魔物に受けた傷が治っているのも、魔物を倒した攻撃も、どっちも魔法なのだと思う。カルドさん本当にすごい死神でした。感激です。

・・・あ、でも———。

「エルフォって魔法使えるの?」
「ああ、うん、まあ、その・・・。ご先祖様の偉大なる功績だ」

そして何故か、カルドは語り出す。
エルフォ族から勇者が立ち上がり、魔王に捕らわれたジャガイモを助け出したという。
途中、夢いっぱいのジャガイモ帝国が築き出されたあたりからストップをかけた。

「・・・よっぽど言えないことがあるか、カルドも知らないんだね。うん、理解した」
「なぜわかった」

そりゃまあ僕もともと18歳ですので。
それはそうと、と話を戻す。

「そもそもこの世界の魔法ってなに?」
「・・・思想の具現化だ。ヒトは物を頭に浮かべるとき、ある一定の周波数を出す。それが森羅万象に宿る魂に共鳴すると、共鳴した魂は周波数の通りに姿を変えたり動いたりする」
「ワオ、僕、魔法の世界の不思議パワーだと思ってた」

ある意味そうだぞ。カルドは血を動かした時の杖を出し、そう言う。

「事実、その周波数はこの世界にしかないからな。・・・で、それを制御するのが、杖。いわゆるオーケストラの指揮棒」

つまり———、人は、というか魔族とエルフォ族の生き物は、頭に思い浮かべる事を本当の事にできる、と。
それを行きすぎないように制御するのが杖だと。

「それは僕にも使える?」
「無理だ」
「わお」

カルドが言うには、僕の体には『まだ』魔力がないらしい。
どうやら魔力が生まれるのはある程度からだが育ってかららしく、それは人様々だという。

・・・まあ、そうですね。特別扱いなんて期待しちゃだめだよね。がんばれ僕。負けるな僕。


キリキリキリキリ。


でもとりあえず血の縄は解いてほしい。
そう言うと、カルドはとっても、それはそれは良い笑顔を浮かべ、

「がんばるんじゃなかったのか?」

と言った。

———うん、とりあえず悪魔な兄のもとを離れて生活できるくらいにはがんばろう。



* * *



「死神のやつがまたやらかしている」

とある場所————とある時。
とあるイキモノが呟いた。

「まったく、他の"私"が作った世界で暴れないでほしいものだ。死神も"私"の一部のくせに、なァ」

あいつは世話焼きというか。
彼はそう言って、やれやれとため息をつく。


「一度私も向かうべきかな。器はなんていったか。シル、シルなんとか————・・・なんだっけ?」


+++++

○登場人物

+カルモ
銀髪緑眼(?)の転生三歳児。
傷は勲章だがご褒美ではない。

+カルド
黒髪緑眼の四歳児。
嘘が下手。

Re: 異世界は死神とともに ( No.11 )
日時: 2016/05/16 10:29
名前: naoru (ID: aWtSrojt)

4−2


今生の僕の家は、いっぱしの貴族としてかなり大きい。僕専用のへやもあるし、メイドや使用人の個室もある。

大きな扉をくぐると、また大きなロビーに出る。
二階まで吹き抜けになって、天井にはきらめくステンドグラスがちりばめられている。
家族で食事したり、集まったりする部屋が、ロビーから壁に沿って伸びる階段を上った中二階の扉の奥。ちなみに食事のあと談笑したりはしたけど、集まったことは一度もない。ビッグニュースのない平和な家庭である、うん。

一階の他の部屋は厨房とか物置とか使用人の部屋。使用人にいくらか仲良い人がいるけど、また今度。あと、開かずの間とかたくさんあるけど・・・今はそれも後回し。
僕は集合する部屋を通り過ぎ、長い廊下を行く。僕の部屋があるが、目的はそこじゃない。さらに奥にある—————カルドの部屋だ。
僕たち兄弟の部屋に鍵はない。僕の今の体には高すぎるドアノブに手をかけると、ドアはすうっと滑るように開いた。

「わお・・・足の踏み場無い・・・」

散乱した本。紙。僕には読めない文字が並んでいる。
部屋の隅に本を積み重ねてあり、片付けようとした痕跡はあるが、一言で言えば汚い。あの日のエンカウントから懲りずに毎日森に繰り出している僕とは大違いである。僕は使わないから汚くならないのだ。
壁には何故か焦げ目がついている。その横に血らしき赤い物が飛んでいるような気がするけど、見ない振りをする。

さて、僕の目的は、もはや紙に埋もれた机にある。机に立てかけている物。

杖。


いや、勝手に使おうとか思ってないし。
ちょっと、魔法とかそんなの使えるようになる時、逃したくないだけだし。

僕は杖をそっと手にとって、紙の一枚に意識を向ける。

「【彼ノ物ノ足ハ地ヲ離レ】」





はいっ、わかってた。うん、わかってたよ!
なんも起きないって事くらいねっっ。

ひーん。



なんて、思っている内に信じられない事が起こった。
僕の体が浮いたのだ。

それは魔法でもなんでもなく、ただ————知らないおっさんが窓から僕を抱き上げたのだ。



***



「いやぁぁぁおじさん誰です!?」
「おじさんはおじさんじゃないぞ! お兄さんだよ!」
「うわぁぁぁぁなんか矛盾したこといってるゥゥゥ!!」


金髪碧眼のおじさんです。たぶん。顔は格好良いけど!
頬に「おじさん」と書いてあるんです。ペンで。黒いペンで。

「変人!!」
「あっ、これはカイラがっ・・・変人じゃないよ!?」
「不法侵入者は十分な変人です、そもそも窓から幼児を抱き上げること自体、変態」
「えええなにこのこ怖い・・・変人から変態にパワーアップしてるし・・・」

おっと、そうだ、今僕は三歳児だった。
なんだかこの人、悪い人ではないみたい。

いや、まあ宙ぶらりんなのは変わらないけど。

「・・・・本気でだれです? 返答によっては貴方に手錠がかけます」
「ちょっと不自由な言葉そうなのになんだろう、風格を感じる。・・・そうだねえ、私には名前がいっぱいあるのだけど・・・。いっぱいありすぎて覚えてないのだけど・・・」

そうだなあ、と男はつぶやき、そして言う。

「シルヴァート。シルって呼んでよ」



+++++

登場人物


+カルモ・ヴァレット
たまに三歳児ってことを忘れる。
文字はまだ読めず、発音も慣れない、この世界の言葉には結構不自由してる。

+シルヴァート
なんてことはない、ただの謎のおじさんである。

Re: 異世界は死神とともに ( No.12 )
日時: 2016/05/16 10:32
名前: 治歌(イルカ) (ID: aWtSrojt)

治歌って一発変換できないので、「治る歌(イルカ)」と打って「る」を消すのですが、今回途中でエンター押しちゃったのです・・・
名前違いますが、かすってはいるのでお許し下さい


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