複雑・ファジー小説

忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編
日時: 2020/03/27 18:43
名前: ヨモツカミ
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode=view&no=19542

 幸せなんて言葉は程遠く。存在を許されない僕らはどう生きればいいの。
 生きたいとか、殺したくないとか、愛されたい。そんな願いが、全て叶わないお話。

「どうか安らかに、死んでくれ」

 ──愛することが、罪だとするならば。

 それは、彼が自分自身で与えた罰。存在しない終わりを目指して生きる、彼らの償い。

………………………………

こんにちは、ヨモツカミです。何も完結させたことが無い打ち切り芸人なので、今回もどうなるかわかりませんが、きっと終わりまで書き続けますので、どうぞお付き合いください。
趣味で好きな時に書くので遅いですが毎月6のつく日を更新日にする予定でしたが、面倒になったのでやめました。1ヶ月に1〜3回更新の予定? でーす。
良い意味で読み手を裏切るような、そんなものが書きたいですね。

〈本編を読む前に〉
・死ネタ、流血表現を多く含みます。
・たまに書き直したり加筆します。
・コメント頂けると更新速度が上がります。超欲しいです。
それでも大丈夫な方は、どうぞお付き合いください!

〈軽い説明〉
群青バーコード
青色の、通常のバーコード。モノによっては人の役に立つかもと考えられている。バーコード駆除の為の兵“カイヤナイト”は群青バーコードで構成されている。
翡翠バーコード
緑色の、失敗作を意味するバーコード。暴走しやすかったり、力が使えなかったり、ヒトとして機能しなかったりする。大体はすぐに処分される。
紅蓮バーコード
血のような赤色の、殺人衝動をもつ、特に危険なバーコード。うまく使えば兵器として使えるため、重宝されたりもしたが、基本的に危険視されており積極的に駆除される。
漆黒バーコード
全てを吸い込む様な黒色。殆ど謎に包まれている。本当の化物だと恐れられている。
ハイアリンク
バーコード殲滅特殊部隊。基本的に人間で構成されているが、その中にバーコードで構成された特殊部隊“カイヤナイト”がある。

〈目次〉


一気
>>0-
登場人物紹介
>>52 >>68
忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード
>>91 >>92 >>93 >>94 >>95

No.00 懺悔と黒の約束
>>1
No.01 曇天下のバケモノへ
>>2 >>3 >>4 >>5
>>6 >>7 >>9 (一気読み>>2-9
No.02 朱に交じる亡霊は
>>10 >>16 >>17 >>19
>>20 >>21 >>22 >>24>>10-24
No.03 哀を求めて蚊帳の外
>>27 >>28 >>29 >>30 >>32
>>33 >>34 >>35 >>36>>27-36
No.04 白昼夢は泡沫の如し
>>37 >>38 >>41 >>42 >>43 >>46
>>47 >>48 >>49 >>50 >>51>>37-51
No.05 静寂に告ぐ藍晶石
>>53 >>54 >>56 >>57 >>58 >>59
>>61 >>62 >>63 >>66 >>67>>53-67
No.06 薄暮は世迷い事を
>>69 >>70 >>71 >>72 >>73 >>76
>>80 >>81 >>82 >>83>>69-83
No.07 翠に眠る走馬灯
>>84 >>86 >>87 >>88 >>89 >>90
>>84-90

Twitterアカウント→@tsugiba

〈なんか作者が描いてみた〉
・ジン>>8>>92 ・クラウス>>15>>90
・トゥール>>18
・祝★2017年冬大会>>39
・祝★参照6666記念>>56
・なんか動画作ってみた>>60
・祝★参照7777記念>>63
・祝★2019年夏大会>>85
〈頂き物〉
>>23 >>31 >>40 >>55

〈お客さま〉
銀竹様、凡丙@tablet様、小夜 鳴子様、透様
日向様、サメノ様、友桃様

〈その他〉
・AnotherBarcode -アナザーバーコード-(URLより)
継ぎ接ぎバーコードとは別の、もう1つの話。番外編集のようなものです。投稿頂いたオリキャラ(一応まだリク依頼板で募集中)や本編で語られることの無い登場人物の話や、ふざけて書いたifストーリー等。
・まあ座れ話はそれからだ(複雑ファジー)
主人公以外の4つの視点から主人公を見ていくよーみたいな。私はコメディのつもりで書いてる高校生達の青春なんとか。
・ ジャックは死んだのだ【短編集】(複雑ファジー)
趣味を詰め込んで書いてる、よく題名の変わる短編集。息抜き程度に書くのが楽しい。

2016年 5月6日 執筆開始
2018年 1月7日 冬大会金賞受賞
2018年 3月3日 No.00修正
2018年 8月31日 キャラ絵新調しましま!
2018年 9月2日 No.01修正
2019年 4月14日 No.02修正
2019年 6月1日 No.03修正
2019年 9月22日 夏大会金賞受賞

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Re: 忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編No.00 ( No.91 )
日時: 2020/03/05 19:32
名前: ヨモツカミ

>>>忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード<<<

こんにちは皆様。No.07の途中ですが、継ぎ接ぎバーコードという作品、大体20万文字を超えまして、お陰様で長続きしております。
そこで、継ぎ接ぎバーコードってどんな話だっけ? と思う人も多いと思ったので、忙しくて本編読み返してる暇のない方や、この量を読むのは面倒だけど、つぎばがどんな話か気になる人のために、あらすじのようなものを書かせていただきました。

これから週一くらいでNo.06までのあらすじを投稿させていただきます。本編早く読みたい人はお待たせしてしまって申し訳ないです。

また、これを期にNo.01のタイトルを少し変えます。爬虫類→バケモノに変えました。
それでは忙しくあなたのためのつぎば、お楽しみください。


【No.00 懺悔と黒の約束】
プロローグです。
白くて細い廊下で死体が積み重なっているところに、血塗れの少年が立ちすくんでいるとこで始まる。
少年が悲鳴を聞いて、部屋の入り口へ移動。
部屋では桜色の髪の少女と怯える男が向かい合っていたが、次の瞬間少年の目の前で男が不可解な死に方をする。
振り返った少女と少年は言葉を交わす。
「……約束だからね。例え何年掛けようと。必ず殺し続けるの。終わりのその時まで、ね」
「約束だ」
懺悔、罰、贖罪。終わりなんてこないのに、終わりを目指して誓う、彼らの「約束」とはなんなのか。

Re: 忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編 ( No.92 )
日時: 2020/03/07 12:35
名前: ヨモツカミ
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=1457.png

>>>忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード<<<

文字通り、忙しいあなたのためのつぎばです。
これからつぎばを読みたいけど、本編読むのは面倒って人に、ストーリーだけわかるように要約しました。お楽しみください。
URLは挿絵になります。


【No.01 曇天下のバケモノへ】
満身創痍の少年と、それを見つめる女の姿。容赦のない出血多量。殆ど死んでもおかしくない少年は、どうにかその女から逃げ果せるが……。

場面は切り替わって、曇り空の下、屋上から半壊した街を見下ろす蜥蜴のような姿の男と灰色の髪の顔のいい青年。2人はとある噂話をしていた。
“血染めの赤き衣を纏い、狩りにくる。振り返る暇さえ与えずに、背を裂かれ、四肢を削がれ、その姿を見る頃には喉を掻き切られ、悲鳴をあげる間もなく無に還る。死神は、生きとし生けるものの命を奪いにやってくる。”と。
そんな会話をしていると、2人の前に満身創痍の少年が現れる。
「助けて」その言葉とその姿に同情した灰色髪の青年、もとい「クラウス」が彼を助けようとする。少年の体の至るところに縫合痕が見つかった。タイトル回収。その縫合痕で、少年もバーコードであると知ったクラウスと蜥蜴男、もとい「トゥール」は取り敢えず少年の手当をする。
助けられた少年は「ジン」と名乗った。動けるようになるとすぐ、ジンはトゥールとクラウスと別れようとするが、彼らに止められてしまう。
2人に説得されたジンは「僕を助けたことを後悔しないでね」というような発言をするも、クラウスは「お前を見捨てたら、多分オレはもっと後悔したと思うぜ」と、にこやかに告げる。

雨が降ってきたため、彼らは室内に移動。そこでバーコードと〈能力〉の説明が入る。
人間とは別の特異な〈能力〉を持っているヒト達をバーコードと呼ぶ。研究で人間から作り変えられた存在であり、人間ではないのでバケモノ扱いされている。バーコードにも種類があって、成功品として社会の役に立つのではと人間にも期待を持たれている“群青バーコード”。失敗作として処分や駆除の対象であり、様々な欠陥を抱える“翡翠バーコード”。そして原因不明の殺人衝動により、無差別にヒトや生き物を殺す、とても危険な存在“紅蓮バーコード”。
殺人衝動を持つ紅蓮バーコードは、人間達からはもちろん、バーコード達にとっても危険な存在とされていて、ジンはもし2人が紅蓮バーコードならすぐに殺すと言い出すが、クラウスとトゥールは翡翠バーコードだった。ちなみに人間とバーコードが交わると必ず翡翠バーコードの子供が生まれる。トゥールは人間の母親とバーコードの父親を持つ翡翠バーコードだった。

バーコードは人間にはない〈能力〉を持つため、クラウスが互いの〈能力〉を教え合おうと言い出す。透明人間になる〈能力〉、トゥールは蜥蜴男になる〈能力〉、ジンは黒いナイフを操る〈能力〉。
「お前はずっと爬虫類のままなんだね。〈能力〉、解かないの?」と、ジンがトゥールに訊ねる。
「……解けないんだ。生まれつき、な」
翡翠バーコードは、必ず何かしら欠陥を抱えている。トゥールの欠陥は〈能力〉が解けないこと。生まれたときから蜥蜴のような姿をしていたのだ。

少し雑談をした後、就寝。
就寝後、同室で寝ていたトゥールがジンを呼ぶ。
狸寝入りをするジンに、トゥールはもう一度声をかける。「起きてるか、“死神”」
それを聞いた瞬間、ジンはクスッと笑った。「なぁんだ、知ってたんだね」と。

噂の“死神”とは、ジンのことだった?
トゥールは隣室で眠るクラウスを起こしたくないと言って、ジンを屋上に誘う。2人が屋上に来ると、酷い雨が降っていた。
雨の中、トゥールは語る。
「俺はお前の事知ってたんだ。話に聞いた見た目と名前で、直ぐに分かった。6年前に聞いたんだ。名前は最後まで教えてくれなかった。桜色の髪の……不思議な少女だった」
No.00にて、少年──と約束を買わしていたあの少女だ。トゥールは彼女と話したことがあった。

ジンが少女のことで思い耽っているとトゥールが神妙に言う。自分を殺してくれないかと。
「俺はお前に殺されるために、お前を助けたんだ。だから“お前のバーコード”のことも、見ないふりをした」
そう、意味深な発言をする。トゥールはジンの心臓に刻まれたバーコードは、紅蓮ではないか。それと、ある“もう1つの確認”をした。

しばらくの静寂。お互い無言になったあと、トゥールは言う。
「俺を殺したら、クラウスを見逃してやってくれないか」
その言葉が、ジンがかつて聞いた言葉と重なる。
──僕が死んだら、彼女を見逃して下さい。
自己犠牲、とでも言うのか。自分の命の引き換えに何かを守ろうとする行為。ジンはそれが許せなかった。
ジンがトゥールを否定すると彼は言い募る。
自分は生まれた瞬間から、生きててはいけなかった。しかし、クラウスは違う。生きて、幸せになってよかったはずなんだ、と。
ジンは、幸せなんて言葉も、大嫌いだった。怒りに任せて、ジンはトゥールに掴みかかる。
バーコードとして生まれたら、幸せなんて願うな。バーコードとして生きるなら、不幸を受け入れろ、と叫ぶ。
「それでも、俺はクラウスに死んでほしくない。あいつの幸福を願いたい。そう、思うんだ」
トゥールの発言を聞いて、ジンはなんだか泣きそうな声で言う。
「だったら、お前も生きろ」と。
呆然とするトゥール。ジンも自分の発言に戸惑う様子。ジンは訳あってバーコードを殺して回っているという、死神のはずだ。その発言は矛盾している。それでもジンはなにかを抱えていて、トゥールにそう伝えるに至った。
生きろ、と。
「いつか、必ずお前を……お前達を殺す。でも、今はお前に死ぬ権利なんかない」
それだけ伝えて、雨の中、ふたりは黙って見つめ合っていた。

その話をこっそり盗み聞きするクラウスがいた。雨の当たらないところに隠れていたのだ。
会話の内容を断片的に聞き、動揺して階段から転げ落ちながらも、クラウスは部屋に戻っていく。

To Be Continued

Re: 忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編 ( No.93 )
日時: 2020/03/12 19:07
名前: ヨモツカミ
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=1501.png

>>>忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード<<<
これはコロナの影響で暇を持て余しているそこのあなた向けの、まだつぎばを読んだことない君に向けるあらすじである。
URLに毎回おまけのようなものをつけるので、それも楽しみにしていただけると嬉しいです。
今回はトゥールのイラストです。


【No.02  朱に交じる亡霊は】

暗がりの中、男たちの罵声が響いている。「また“失敗作”が消えた」「構うな。どうせ生きていても死んでいても変わらないやつだ」と。
男たちを見て、少年はここはどこ、お母さんはどこ、帰りたい、と思う。
男たちは続けて言う。「どうせ廃棄処分待ちの翡翠バーコードだ。死んでも構わない」と。
男たちに少年の姿は見えていないようで、少年は必死に叫ぶ。ぼくはここにいる、消えてなんかないと。だけど声は届かなくて、まるで幽霊になったみたいだ。

今朝、ソファで眠っていたはクラウスが目を覚ます。昨日のトゥールとジンの会話を思い出して、あれが夢なら良かったと思うが、階段から落ちた痛みが現実であると証明する。クラウスは1人、考え込んでいたが、自分の中で解決することはできないと考え、トゥールとジンの部屋に駆け込む。
しかし、部屋にいたのはベッドで眠るジンだけであった。
不眠症気味で殆ど眠れないクラウスだが、夢を見ていた間に起きたトゥールが、外へ行ってしまったのだろう。
死んだ母親のことについてクラウスが考え込んでいると、ジンが目を覚ます。しかし、ジンはクラウスが目の前にいるのに気付いてない素振りを見せた。
実際見えてなかった。クラウスの翡翠バーコードとしての欠陥は、能力である〈チェシャー〉が勝手に発動すること、いつの間にか透明人間になっていることだった。
ジンに触れると姿が戻るので、そうやってクラウスはジンを驚かす。ジンが動揺している間に、クラウスの様子がおかしくなる。
──ジンは、オレたちを殺すんだって。怖い。怖くて仕方ない。ああ。ああ、そうだ!
──殺される前に、殺せばいいんだ。
クラウスが明らかな殺気を放っていると気付いて、ジンも臨戦態勢に入ろうとしたが遅かった。クラウスに喉元を掴まれ、ベッドに押し倒される。クラウスは笑いながらわけのわからない言葉を喚いた。
その豹変する現象を、ジンは知っていた。まさかクラウスが、と思っても力で敵わないジンはどうすることもできず、そのまま首の骨を折られて、死んでしまう。主人公が死ぬとかいう前代未聞の事態。
正気に戻ったクラウスは、ジンの死体に驚いてベッドから転がり落ちる。
ああ、まただ、と思った。
自分が殺したことを自覚して、うわ言のようにごめんなさいごめんなさい、と謝り続ける。しかし殺してしまったものは蘇らない。クラウスの罪だって消えはしない。
と、思うじゃん?

なんと、確かに死んだはずのジンが息を吹き返したのだ。首が折れたため、まだ痛むのか、声は掠れていたが、ジンはピンピンしていた。よくもやったな、とか言ってくるしまつ。
わざと殺したのではないと知っているジンは怒鳴ったりはせず、クラウスのバーコードを確認した。彼の心臓の上には鮮やかな緑のバーコードがあるが、左上のところから半分くらいまで、赤いグラデーションになっている。翡翠バーコードなのに、紅蓮バーコードのように半分赤かったのだ。

群青バーコードにも翡翠バーコードにも、稀にバーコードが赤く色づき始めるヒトがいる。その現象を“クリムゾン”と呼ぶ。紅蓮バーコードほど殺気衝動はないが、さっきのように時折ヒトが変わったように殺人をしてしまう状態だ。クラウスは、自分がクリムゾンであったことをジンに隠していた。ジンが「紅蓮バーコードは殺す」と口にしていたからだ。

クラウスが、オレを殺すのかと、ジンに控えめに訊ねる。バーコードに赤色が混じっているから、ではなく、昨晩盗み聞きした話について。バーコードは皆殺すという発言について問いただしていた。
「バーコードが世界に何人いると思ってるんだ。皆殺しなんて不可能じゃん」とクラウスは笑う。しかしジンは「僕が死ぬまで不可能とは限らない」と言った。
“死ぬまで”。その発言にクラウスは違和感を覚えた。先程殺害したのに生き返ったのも、おかしかった。だから、クラウスはジンに問う。
お前は何者なのかと。
「さあ? 僕って何なんだろうね……?」
そう言ってジンは〈シュナイダー〉で黒いナイフを持つと、突然自分の喉元を掻き切って、自殺する。
飛び散った血を浴びて、クラウスが呆然としていると、部屋にトゥールが入ってきた。

クラウスたちが目を覚ました頃、トゥールは屋上で物思いに耽っていた。
トゥールは過去に桜色の髪の少女に会って、殺されようとしたが、そうしてもらえなかった。代わりにジンを探すように言われ、ようやく出会えたのにまた死にそびれた。
少女に会ったのも6年前だが、トゥールとクラウスの出会いも6年前だった。
死にたかったのに死ねなかった鬱トゥールは、そろそろ部屋に戻るか、と屋上をあとにする。
部屋に戻ると、血の臭がした。寝室に入ると、ジンの死体と血まみれのクラウスがいた。
クラウスはトゥールと目が合うと、気が動転したように殺したのは自分ではないと喚いた。
彼を落ち着かせ、トゥールが話を聞いていると、不意に飛び散った血が浮かび上がって、ジンの元に吸い寄せらせていった。そうして全ての血が戻ると、ジンは生き返った。

そう、ジンは不老不死であった。トゥールは桜色ガールに聞いていたので驚かなかった。
しかし、ジンの心臓を見て驚くことになる。彼の心臓に刻まれていたバーコードは、群青、翡翠、紅蓮、全てと異なる黒色だったから。
「“漆黒バーコード”。それが、世界に2つだけの、不老不死の呪いだ」
2人が驚いているのを無視してジンが言う。そういえばクラウスの質問に答えてなかったね。お前を殺すのかってさ。と。

場面は切り替わって、3人はボロマンションの階段を下っていた。
その数分前、ジンとクラウスは話していた。
「クリムゾンとして生きる覚悟があるのか」と。
クリムゾンである限り、殺人鬼であることに変わらない。クラウスは殺人することに怯えている。それを抱えて生きる覚悟はあるか、と。
クラウスは、わからないと答えた。殺すことは怖いけれど、それ以上に死ぬのが怖いと言う。
そんな自分は最低だろう? とクラウスが問うが、ジンはそれは人間らしいと告げる。
「バーコードも人間も、そんなに変わらないさ。〈能力〉が有るか無いか。その程度だよ」
だから生きてみろ、クラウス。とジンは言った。

マンションの階段を下りながらクラウスはトゥールに言う。「オレ、生きてていいのかな」トゥールは答えなかった。

地上に降りてくると、血まみれの服を着た女に出会う。それは紅蓮バーコードであった。No.01の冒頭で少年をギタギタにした女である。
(本編に書いてないけど、実はクラウスが噂になっていると言っていたバーコードの正体、この街の死神とはこの女であった。)
女の能力は〈ウェルテクス〉。五指が鉤爪に変わり、異常な機動力を得るチカラ。イメージとしては鎌鼬だ。
トゥールが、彼女と一対一で戦闘をする。
離れて見守るクラウスがジンに言う。
「トゥールは、殺すのが好きなんだ。過去に研究施設で、不用品の翡翠バーコードや被験体として使用できない人間、脱走を企てたバーコードを殺す仕事をしていた」のだと。

トゥールは喉を掻き切られるなど、重症を負いながら女を倒した。女は死に際、探しているヒトかいる、会いたいと溢したが、
「死ねば会えるだろう」と、トゥールはとどめを刺した。

ジンは何処かに2人を連れて行こうとしていた。それに何も疑わずついていくトゥールを、クラウスは止める。しかし、この街に長居をすることはできないと言われる。
カイヤナイトが、この街にバーコードが多く住んでいることを嗅ぎつけるだろうと。
カイヤナイトとは、人間に使役される群青バーコードで構成された対バーコード組織だ。奴らに見つかれば、翡翠バーコードである2人は殺されるだろう。
とにかく移動するということで納得したクラウスはトゥールと共にジンについていくことにした。

その3人をこっそり見守る人影があった。
マリアナ、と呼ばれる海色の髪と瞳を持つ女性。隊長とかニックと呼ばれる、金色の髪の男。彼らはジンのことを追っていたようだ。
マリアナはジンに仲間を殺されたと話す。
ニックは必ず復讐してやると零す。そんな彼らの目的とは……?

To Be Continued

Re: 忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編 ( No.94 )
日時: 2020/03/19 12:38
名前: ヨモツカミ
参照: https://nana-music.com/sounds/054971a0

>>>忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード<<<
毎回おまけ要素も付けていくこのコーナー、いつもは私のイラストくらいしか無いんですが、今回のおまけはなんと、No.03にて登場するサイコパス女研究員メルフラルのCVを縁珠さんという方がやってくださったので、それを載せさせて頂きます。メルフラルはそれなりに人気あるキャラなので、興味ある方はURLからどうぞ。


【No.03 哀を求めて蚊帳の外】

汽車の最後尾。3人は〈チェシャー〉で透明化しながら乗車していた。透明化するには、クラウスに触れていなければならないため、3人は団子になっている。

その数時間前、荒廃した街を抜けて、3人は田舎に来てきた。そこで猫と戯れようとしたり、しなかったり。ジンの年齢が100歳を超えていることが判明したり。

目的の街、アモルエについた頃には日が傾いていた。
アモルエは昔バーコード研究施設が多く存在したためか、バーコードの出没率が高い。そのため、ハイアリンク(対バーコードように作られた人間の軍のようなもの。その中にカイヤナイトという群青バーコードで構成された組織が属している)がよく巡回している。彼らに合わぬよう気をつけて、クラウスとトゥールは透明化したまま歩いていく。
人気の少ないやや寂れたアモルエを進んでいくと、路地裏にある一軒の家にたどり着く。
呼び鈴を押し、ジンが声を掛けると、ドアを激しく開け放ち、ジンに飛びついて登場する白衣の女性。彼女は研究員のメルフラルだった。
クラウスは人間が好きではなくて、警戒する。
ジンが2人をメルフラルに合わせた理由は、バーコードの研究員なら“クリムゾン”を抑える方法を知っているからだった。
しかし、それをするにはクラウスと2人きりで会話をしたいとメルフラルが言い出す。クラウスと2人きりなんて危険だ、とジンは反対した。ひと悶着あって、クラウスがメルフラルに危害を与えたらトゥールを殺すと脅し、2人きりでの会話を許可した。

別室で待たされたトゥールとジン。ジンは日が傾き始めて青みを帯びてきた空を見て、思い出す。ニックやマリアナはどうしているだろう、と。
思い立ったようにジンはトゥールに“タンザナイト”について何か知っているかと問う。トゥールには聞き覚えのない単語だったため、話は流される。

メルフラルは、桜色ガールとジンの死ねない呪い、漆黒バーコードを壊す鍵になっていた。そのことについては、ジンはトゥールに話さなかった。

沈黙が続くと、トゥールが「オレを殺すのか」と呟く。先程クラウスを威したときのことを言っているのだろう。そんなに死にたいのかとジンが問うと、「今度、死にたいと。殺してくれと言えば、お前は殺してくれるのか?」と返される。
そんな彼にジンは濃硫酸のはいったビーカーを差し出し、飲めと言う。
なかなか受け取らないトゥールにビーカーの中身をぶっかける。それは濃硫酸などではなく、ただの水だった。
ビーカーを受け取らなかったことでジンは確信する。「トゥールは死ぬことも殺すことも、本当は恐れているのだろう」と。
「安心、してたんでしょ。相手を殺せば自分が生きられる。死体を見てる時、相手が動かなくなる時、すごく安心する。生きている実感が得られる。違う?」
「君はあの雨の中、クラウスに生きてほしいって言った。それって、少なからず生きることに希望を持ってるってことでしょう? 本当は君だって生きたいんじゃないの」
ジンの言葉に対して、トゥールは「だから俺を殺さないのか」と訊ねる。
どうなんだろうね、とジンは返すだけだった。

ジンたちが話している間、メルフラルとクラウスは薬品臭い部屋で椅子に腰掛けて向かい合っていた。
警戒しきっているクラウスに、メルフラルは自分の過去の話をする。

自分がバーコードの研究員を志すきっかけになったとあるバーコードと、そのバーコードが暴走したときの話。彼は暴走したときに研究員を1人殺した。そのバーコードの管理を任されていたメルフラルは、アモルエの今の研究施設に飛ばされてしまった。それからずっとひとりで仕事を続けているという。
暴走し、処分されたバーコードのことで病んでいたメルフラルの元に、桜色の髪の少女が現れたのは、今から8年前ある日のことだ。
『貴女の力が必要なの。私達のために使われて下さい』
魔法のような言葉だった。少女はメルフラルに拒否権なんて与えていなかった。
その後、ジンにも会った。
『僕らは訳あってバーコードや研究員を殺して回っている。断ればお前も殺す。だから協力しろ』
そんな第一声と共に。
それから彼らの素性を聞いた。漆黒バーコードのチカラで不老不死であること、彼らは過去に大量の研究員やバーコードを殺してきたこと。

メルフラルはそこで話をぶった切る。過去の話はおしまい。他に聞きたいことがあるならジンのこと何でも聞かせてあげる。身長体重血液型誕生日、何でも知ってるわ、と。
ジンに対する歪んだ愛情、発言や行動の気持ち悪さ。クラウスはメルフラルと会話を重ねるうちに、彼女がヒトの嫌がることを好む最悪な人間だと知って、更に嫌悪する。
一通りジンへの愛を語ったメルフラルは、そろそろ自分の話を聞かせてくれる気になったか、とクラウスに問う。
クラウスが話す気がないようなので、資料を開き、翡翠バーコードであること、〈チェシャー〉という透明化の能力について言い当てる。
「なんでッ、オレの〈能力〉知ってんだよ!?」
「資料に残ってるもの。ねぇ、168番君?」
番号で呼ばれ、クラウスの記憶が蘇る。6年前、研究員に酷い暴力を振られていた過去。あの日から研究員に対する恨みが生まれた。
クラウスの様子がおかしくなる。その記憶のせいで、クリムゾンに呑まれかけていた。抑えつけようとするのに、メルフラルはあえて煽るような真似をする。
「殺したいなら、殺せばいいのに」
人間が憎いのだろう、と。クラウスをバーコードに作り変えたのは人間だ。アタシたちが憎いでしょ? と。
瞬間、クラウスの姿が消える。クラウスはメルフラルを椅子ごと倒した。クリムゾンに呑まれたのだ。

その頃、ジンとトゥールは。
何故か室内にいるカタツムリを見て、トゥールが「妖精」と言った。
クラウスがもっと小さい頃、嬉しそうにカタツムリは妖精だとか話していたのだ。彼にとって雲は綿菓子でできているし、幽霊は実在する。
ジンはそれを馬鹿にした。あいつ18歳だろと。しかし、クラウスにとってはそれが母親との大切な思い出なのだ。
ジンは自分の母親のことを思い出す。長い桜色の髪をした女性であった。

思い耽っていると、突然隣の部屋から大きな音がする。クラウスが暴れているのだ。
2人はすぐに駆けつけたが、鍵がかかっていて手こずる。トゥールが扉に体当りしてなんとか壊そうとしていた。

中にいるメルフラルにも、扉をどうにかしようとする2人の様子が伝わってくる。しかし、クラウスは止まらない。ボールペンを腕に突き立てられ、メルフラルは怪我をした。
今度は顔に振り下ろされる、と思った瞬間らボールペンはクラウスの腕に突き刺さっていた。クラウスが自分を自制しようとしているのだ。
正気に戻ったクラウスは、メルフラルに懇願する。
「なあ、助けてくれよ。いつか、本当にトゥールを殺すかもしれない。怖いんだ。誰も殺したく……ないよ」
うん、とメルフラルが返すと、扉が破壊され、トゥールたちが入ってくる。

ジンがメルフラルの無事を確認して、安心していると、クラウスが窓の外の星空を見て言う。
「昨日の紅蓮バーコードはどこに輝いているのだろう」と。あの〈ウェルテクス〉の女のことだ。クラウスは真面目な顔で「ヒトは死んだら星になるんだろう?」と言う。その言葉に、メルフラルだけが笑った。誰に聞いたのかと問われると、クラウスの母からだと答える。
そんな子供じみたことも、クラウスにとっては死んだ母との大切な記憶なのだ。
「そうね、死んだらあの空の光の1つになるのだわ」とメルフラルは返した。
メルフラルに頭を撫でられても、クラウスは振り払わなかった。

To Be Continued

Re: 忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード編 ( No.95 )
日時: 2020/03/28 18:38
名前: ヨモツカミ
参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=article&id=1548

>>>忙しい人向け継ぎ接ぎバーコード<<<

4回目にもなると、オマケのイラストも何描いていいかわからなくなりますね。今回は5000文字くらいあります。

【No.04 白昼夢は泡沫の如し】

夜の森の川辺にて、継ぎ接ぎの少年は水面を見つめていた。彼は全身を負傷していて、仲間たちに言われ、傷を洗いに川に来ていたのだ。
死ねば治るのに。不死身の彼だからそんなことを考えるが、少年の仲間たちは彼が不死身であることは知らない。教えれば簡単に信じるだろうが、だからこそ彼はそれを隠していた。
海色の髪と瞳を持つ女が少年──ジンに声を掛ける。彼女はマリアナ。ジンの傷を手当しに来たと言う。
不要だとジンが突っぱねると、更に水色のショートカットの女と、フードで顔を隠した紅色の髪の少女がやってくる。アイリスとアケだ。アイリスはアケにやたらと構う。今回もアイリスがアケを連れてきたのだろう。理由は、アケの紅い髪だ。アイリスが1年前に死に別れた友と姿が重なるのだろう。
マリアナが他の仲間たちはどうしてるかとアイリスに問う。彼女は、ローザとカルカサがイチャついていて、困ったからこちらに来たのだと語った。

この“タンザナイト”はニックという青年が隊長で、マリアナが副隊長を務めている。ローザとカルカサは隊員だ。元々皆カイヤナイトの一員だったが、人間に使役されるのに嫌気が差して抜け出してきたのだ。脱走は重罪であり、ニック、マリアナ、アケ、ローザ、カルカサは処刑の対象として指名手配されていた。ジンとアイリスはカイヤナイトとは関係なく、訳あって2人で旅をしていたところ、途中で仲間に加わったのだ。
アケが、カルカサは嫌がっていたと付け加える。
彼女の大きな深緑の瞳の下には横に一筋、縫い跡がある。他にも、体中にジンと同じような縫合痕が。これはバーコードの細胞を移植して複数の〈能力〉を発現させようという手術の痕であった。死亡確率がかなり高く、現在ではほぼ廃止されているので、アケは数少ない成功例なのだ。
あれは照れ隠しだ、とアケにアイリスが伝える。カルカサは女性が苦手なので、本気で嫌がっていたのだろうが。
「それならジンくんが手当いやがるのもてれかくし?」
アケに言われて、ジンは否定する。
「美人のマリアナに手当されるからって、デレデレしやがって!」的なことをアイリスに言われ、ジンとアイリス小競り合いをする。それをマリアナにたしなめられる。
アケはジンが傷つくと、自分の心も痛むと言い出して、ジンはマリアナの手当を渋々受けることにした。

ジンの怪我は、夕刻に紅蓮バーコードに襲われたとき、1人で立ち向かったせいでできたものだった。傷の惨状を見て、マリアナが自分も加勢すれば良かったと呟く。
「いいって。君が傷つくより、僕が傷つくほうがマシなんだから」
そう発言してから、ジンにとって、タンザナイトの仲間たちがそれほど大切な存在になっていたことに気付く。ジンはバーコードを殺す使命を持っているのだ。何れマリアナのことだって殺すというのに。ジンは彼女らを正しく殺せるか、と不安を覚える。
手当が終わると、マリアナは語りだす。今は辛い毎日だが、いつの日か笑って過ごせる日が来るだろうと。
花の美しい街を見に行きたいのだとか。海で皆ではしゃぎ回りたいのだとか。
「いつか、皆で戦いとは縁のない生活をしたいの。そのときはジンも一緒だよ。約束」
ジンには叶わない約束だとわかっていたが、それでも互いの小指を絡めた。
それを壊すのは自分自身だと、知りながら。

朝、メルフラルの家にて。ジンは1年前のタンザナイトとして生活した日々を思い出していた。同時に、桜色ガールに言われたことも思い出す。
“勘違いしてはいけない。愛することは罪なのだ”
“失う苦しみは愛してしまった罰である”
『ジンは誰かを愛さずにはいられないのね』と。
「馬鹿だなぁ。僕は、殺し続けなければならないのにね……」
ポツリと呟くと、同じ部屋で眠っていたトゥールが目を覚ます。独り言を聞かれていたようで、先程の発言について言及されるが、ジンは関係ないだろと言って、部屋を出ていく。
廊下に出て、鏡に写った自分の姿に、今度は父親を思い出す。白衣姿に、ひょろっとしたシルエットの男。
“僕を憎んでいるだろう? でも……愛しているよ、ジン。愛しているんだ”そう口にしていたのを思い出し、ジンは「嘘つき」と呟いた。

同刻。別室で眠っていたクラウスはメルフラルの部屋に来ていた。
メルフラルの挨拶を無視して、怪我の具合を訊く。クラウスなりに心配していたのだ。
メルフラルはクラウスのためにココアを淹れて、無理やり渡す。渋々受け取り、口を付けたクラウスは、その熱さに噎せそうになる。子供の頃に飲んだココアは熱くなかった。そこで、母親が冷ましてから渡してくれたのだと気付く。
母を思い出してしまうから、これ以上飲めないと、ココアを机に置いた。
それから机の上のボールペンを見つけたクラウスは、昨日凶器にしたものだ、と思い、昨日のことを思い返す。「昨日殺そうとしてきたやつが近くにいて怖くないのか」とメルフラル訊ねた。
「……死を恐れるのは、生きたいヒトだけでしょう」
メルフラルはそう返した。死にたかった彼女だからこその発言である。
「それにボールペンは凶器ではなくて、書くための道具よ。字も書けないあなたにはわからないでしょうけど」
クラウスは文字の読み書きができなかった。図星をつかれ、むっとしたクラウスが、唯一書けるが読めない文字を書いてみせる。
書いたのは「クオリア」。クラウスの母の名であった。読み方を初めて知ったクラウスは、その名前を書いた書類を畳んでポケットにしまった。
その後、起きてきたジンとトゥールが部屋に入ってきた。

メルフラルが3人の予定を訊く。ジンは知り合いの女性に会いに行くと答えるが、クラウスとトゥールは暇ということで、クラウスにお使いを頼む。最初は嫌がるクラウスだが、ジンと共に行くということで、結局街に出るのだった。

買い物が終わったクラウスに、ジンは何故トゥールと共にいるのか訊ねる。
「一人じゃ何もできないから。トゥールがいなければとっくに死んでいる。勝手に透明化してしまう〈能力〉の欠陥があるから、人間のフリして生きることはできないし、殺しが怖いからバーコードとしても生きられないんだ」
そう語ったクラウスに対し、「命を奪うことになんて、慣れなくていいよ。“殺し慣れ”なんてしたら、本当のバケモノになる。その恐怖は、忘れないでいい」とジンは告げる。

歩いていたクラウスが、ハイアリンク(バーコード討伐組織)の集団を見つけた。人間も何人かいるが、カイヤナイト(人間に使役される群青バーコード)の姿もある。それを見てクラウスは逃げ出す。
追いついたジンが、逆に目立つ行動だと咎めると、後ろから声がかけられる。1人の女だった。
ジンには面識があった。彼女はオーテップと言う。右脚が義足のカイヤナイトだ。彼女に戦意は無いらしく、情報収集に来たと言う。
1ヶ月前からアモルエを騒がせている“鉤爪”と呼ばれる紅蓮バーコードについて。それと、“タンザナイト”と名乗る脱走兵達について。
ジンがタンザナイトと関わりがあることは知られていた。
「……今は、どうしてるか知らない。確かにちょっとの間、僕は彼らと関わりがあったよ。でも、タンザナイトの奴らを庇う気なんか、無い。仲間ごっこは終わったんだ」
それを聞くと、オーテップはまたね、と言い残して去って行った。
それからジンはクラウスに独りで帰るように言って、最初の目的であった、会いたい女性の元へ行く。

彼女の家の扉をノックすると、返事はなく、鍵が開いていた。ヒトの気配はするので勝手に開けて入るジン。
しかし、廊下を進んでいると、突然現れた男に床に抑え込まれる。茶髪で前髪が長くて目元の見えない男だった。
「もー、休日出勤なんて聞いてないよー」
彼がそう言うと部屋の奥から女性が現れる。目元には爪で抉られたような傷があって、殆ど目が空いてない。男を「アーくん」と呼んでいた。彼女がジンの目当ての女性、トトだった。
トトも来たのがジンだと気付くと、アーくんと呼んだ男に放すように言う。彼の名はアイフィと言うらしい。2人はハイアリンクの人間だが、今日は休暇を取っているという。
ジンがトトに戸締まりをちゃんとしたほうがいいと話すと、「ジンみたいなボケたおじいちゃんが不法侵入してくることもあるもんねぇ」と茶化す。トトはジンの不老不死のことや年齢のことを知っているので、こうして歳のことで馬鹿にする。
「扉を閉めないのはわざと」と、トトが言う。本当に不法侵入してくる可能性があるのはバーコードだけだとわかっているから、ハイアリンクてして敢えて迎え撃とう、という考えらしい。

どんなに訓練を積んだ人間だとしても、所詮は人間だ。特異な〈能力〉も無いし、バーコードの高い身体能力や治癒力には敵わない。そこでジンは、人間がどうやってバーコードに対抗しているのかと訊ねる。
「元は同じ人間だったのだから、急所は同じだし、ちゃんと感情があるのだから、それを利用して仲間を捕らえたりすれば、簡単に片が付く」と、トト。
非人道的な発言に「そんなふうに育てた覚え無いんだけどな」とジンは呟く。

20年ほど前、トトが10歳にも満たなかった頃。トトの家族はカイヤナイト絡みのバーコードに襲われ、両親は亡くなった。そのときの事故で彼女は目を怪我した。親を失ったトトを訳あってジンが保護していた時期があった。見た目13歳のジンが親の真似事というのもおかしな光景だったし、教えたことといえばハイアリンクとして生きる方法。ナイフの扱いや命の奪い方。ジンがトトをハイアリンクに育てたのだ。つまりお父さんじゃん。

「うん。わたしがハイアリンクとして育つ中で覚えたことだもん。バーコードの仲間意識とかを利用すると効率よく仕事が終わるよ」
トトの発言にジンは君達は辛くないのか、と返す。
「僕はそんなに残忍になれないよ。例えばさ、僕が殺そうとしたバーコードが、命を賭して他のバーコードを庇う、とかさ。そういうのを見ると、苦しくて仕方ないんだ。自分がどうなるかなんて考えもせず、ただ大切だから身を挺して守るんだよ。……少なくともそいつが大事にしてた命を、僕が狩るんだ」死んだバーコードが命を賭して守りたかったものを狩ることが、ジンは辛いと言う。
アイフィはそれをバーコードなのにそんなこと思うのは変だと言う。一々気にしていては身が持たないと。そうだね、と返すだけのジン。
それを聞いたトトが、ハイアリンクはみんな狂ってるのだと言った。バーコードの方が人間らしいと感じることもある、と。
「ねえ、バケモノはどっちかな?」トトがジンに問う。どちらでもいい。それでも殺すべきはバーコードなのだから。彼女が迷ってしまわぬよう、ジンは言い切る。

その頃、迷子のクラウスはオーテップと出くわしていた。クラウスがカイヤナイトの青い首輪について触れると、それは爆弾なのだと教えられる。人間の命令に背けば文字通り首が飛ぶのだ。自分で取ることはできない。
クラウスが迷子と聞くと、オーテップはジンの元へ連れて行ってあげると言い出す。なぜそんな親切にするのか。クラウスが問うと、ジンに借りがあるのだと言う。
トトの家に案内され、辿り着くと去り際にクラウスが訊く。
「生きたいから、が殆どだろうね。私達は生きるために、他人の命を踏み台にするしかないんだ。戦えなくなったら、私達の命に、価値が無くなるから」
オーテップはそう答えて去って行った。
クラウスはトトの家の外でジンたちの会話を盗み聞きした。

中ではトトが脱走兵であるタンザナイト達の話をジンに聞かせていた。早く彼らを仕留めないと、とジンは思う。
タンザナイトの中で行方不明になっている女がいると、トトが話す。ジンも会ったことの無い、漆黒の瞳の女。彼女は翡翠バーコードだが、能力を買われてカイヤナイトにいたという。この世界に黒い虹彩のヒトは存在しないので、その色が翡翠バーコードの欠陥であるらしい。
脱走兵達は『人間に使役される奴隷のような存在ではなく、自由に生きる群青バーコードの集団』を目指し、自分たちを“タンザナイト”と呼んだ。タンザナイトの石言葉が“誇り高きヒト”と言うので、それが名前の由来だとニックが話していた。
トトは明日はアモルエで仕事だと言うので、労って、ジンは彼女と別れる。

クラウスとジン、再開。盗み聞きしたことで、ジンに対する気持ちが少し変わったクラウス。
帰り道、クラウスは夕陽を見ると不安になると話した。「トゥールは安心するらしいけど」それは、今日が死ぬからじゃないかと答えるジン。
「今日は明日に殺されて、流した血の赤が夕日の色。夜は今日の死骸。だから、死を意味する夕陽が忌々しく見えるんだ」
クラウスには理解されなかった。

家につくとメルフラルとトゥールが夕飯の用意をしていた。2人も手伝わないかと聞かれて、ジンは思い出が増えるのが嫌だ、と返す。
思い出は必ず、互いにとって残酷なものしか残さない。幸福を実感したとき、それはいつか苦痛となり、心を蝕む。ならば、最初から情けなどかけずに殺せばよいのに、そうできないのは。
何故だろう。

To Be Continued

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