複雑・ファジー小説

ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

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Re: ルージュファイター ( No.72 )
日時: 2019/03/26 23:57
名前: 梶原明生  

…「あ、Macshakeで。」注文しつつ二階席を階段越しに見る桜。席に着くと開口一番に小山の声が聞こえてきた。「ごめん。すごくうれしいんだけど、明後日まで返事は待って。そうしたら仕事が片付くから。」「仕事…明後日…」その言葉に桜は食らいついた。「至善一尉、聞こえましたか。」「ばっちり聞こえた。高校生が仕事なんて単語不自然だ。おまけに日付まで。間違いない、テロは明日だ。桃瀬、予定変更だ。急を要する、妹さんが別れてから確保だ。すぐに俺達も向かう。」「わかりました。」もはやゆっくり探る余裕はなくなったようだ。三人はMacを出て、桜は尾行を開始した。小山が閑静な住宅街に差し掛かった時、待機していた至善、今田、石鍋が路地を歩いてくる。動物的な勘を働かせた小山は、白いイヤホンを耳から取った。「まさかあいつら…」反対方向に戻ろうとしたら、その先には桜、沢本、鈴木の3人も立ちはだかる。窮鼠猫を噛むとはこのことか。バッグの中から拳銃を出そうとした。しかし構える間もなく今田や桜達のP8拳銃を構えるのが速かった。「とととっ、バカな考えは命取りだ。ゆっくりバッグを下に置け。早く。」悔しがりながらバッグを足元に置いて両手を挙げた。「お…お姉ちゃんこれどういうこと。」「え、…」聞き慣れた声に思わず背中が凍りついた。「ドッキリじゃ…ないよね…これ…」いつの間にいたのか、そこには紅葉と楓の姿が。不覚とはまさにこれか。「あ、あんた達なんでここに。…」鈴木二尉が叫ぶ。「ファイター、仕方ない。彼女達にも来てもらう。」そう言われた時にはすでに今田達により小山は手錠をかけられていた。「説明してお姉ちゃん。これ何なのっ。」P8拳銃を下げながらただ茫然と妹達を見つめていた。…次回 「奇襲」に続く。


Re: ルージュファイター ( No.73 )
日時: 2019/04/05 16:56
名前: 梶原明生  

「奇襲」……

防衛省関連施設の地下にある取り調べ室で、隣り合わせの部屋で尋問を受ける小山と桜の妹達。「無駄ですよ。 パソコンもスマホも解析したって何も出ないし僕自身も喋りはしない。心も読めない。」言われて桜はドキッとした。確かに霧がかかったように心を読むことができないでいた。一方マジックミラー越しに紅葉、楓が殺風景な銀色ステンレスの机と壁の部屋で座らされていた。「ごめんなさい、説明がまだだったね。」慌ただしく鈴木ニ尉が入ってくる。「ここはどこですか。あなた方は警察ですか。」楓がお姉さんらしく最初に口火をきった。「いいえ。ある意味似たようなものかしらね。ある国家機関の公務員て点では同じかも知れないけど。残念ながらそれ以上は言えないわね。」「お姉ちゃんは何なんですか。あんな拳銃持ってるなんて…それに何で小山先輩が捕まってるんですか。」「いい、これから言うことをよく聞いて。彼はとあるテログループに加担している疑いがあるの。だから拘束したのよ。それにあなた達には偶然お姉さんの素性を見られてしまった。あなた達にも守秘義務が課せられることになったのよ。」「もしかしたら公安捜査官…ですか。」少しドキッとしたが、鈴木ニ尉は落ち着いて話す。「そうね。大まかに言えばそうなるわね。」「すっごーい、お姉ちゃん映画かドラマみたいっ。西島さんかトムクルーズみたいな…」「紅葉ちゃんっ。」楓は紅葉を叱りつけた。隣ではマジックミラー越しにワザと楓紅葉を見せながら今田が尋問する。「なぁ、彼女達を何故明日のテロ計画に利用しなかった。カップルを装えば怪しまれないだろうに。…お前、まだ人の心があるんじゃないか。いや、恋心がある。違うか。」「違う、彼女達は関係はない、離してやれよ。」「そうムキになるところからして怪しいな。お前次第だ。解放するか死なせるか。」「今田さん…」思わず小声を漏らす桜。「うるせーっ、お前らに何がわかるんだよ。あの子達を解放しろ。それにあの人はな、この国を心から救おうとしたんだ。」「あの人、桃瀬のことか。」「うっ、く、…」押し黙る小山。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.74 )
日時: 2019/04/24 15:50
名前: 梶原明生  

…「話してもらおうか。君と桃瀬一尉の間柄を。」至善一尉が腕組みしながら小山に問いかける。「いいのか。我々が非情なのは知ってるな。…ファイター、しばらく部屋を出てろ。」「はぁ、ど、どういうことですか。私がいたほうが…」「いいから出てろ。」「わ、わかりました。」不服そうにしながら桜は尋問室を出た。「さて、話の続きだ。よく見ろ、あの二人。可愛いよな。それにお前は桃瀬一尉の娘と知っていた。恐らく彼女達に近づいたのも、双子の監視と保護を仰せつかったからだろ。しかし、同じ境遇だし、可愛いしでいつしか本気になった。愛する人を亡くすのは辛いよな。俺にも経験がある。」ダンッといきなりステンレスの机を両手で叩く。「あんた、気は確かか。あの二人は何の罪もないん…」「ああ、明日殺される一般人もなっ。恋人だっているかも知れない、家族だっているかも知れない。そんな人々の命を奪う。ならこの場で彼女達の命を奪うとしても同じだろーっ。」激高する至善一尉に今田が水を差す。「しかし、いくらなんでもあの子達は…」「わかってる。俺も本意じゃない。だが国民と引き換えにはできん。…鈴木ニ尉、プランCだ。」内線電話を取った至善一尉。いきなり立ち上がった彼女は、紅葉の首根っこを抑えながら腕を締め上げて連行の技でマジックミラーに顔をつけた。「紅葉ちゃんっ、糞、あんたなんか人間じゃない。」「それはどっちだ。答えろ、パスワードと桃瀬一尉の居場所を。」彼はすでに知っていた。小山の本命は紅葉だったことを。「糞、糞、クソーッ。」…10分後、第ニ広報課は色めき立った。「小山が口を割った。明日、全国の主要都市である札幌、仙台、名古屋、大阪、京都、広島、博多、そして東京で同時多発テロを敢行する予定だ。敵は自動小銃をはじめ、ロケットランチャー、爆発物を使い大規模に無差別殺戮をする。その前に奴らの拠点を叩く。明日07:00時早朝、特殊作戦群並びに博多広島は西部方面隊特殊部隊に委ねる。各自準備と作戦錬成に訓練をしておくように。それから桃瀬、お前は俺達α班と来い。君の父、秀隆氏の捜索だ。」彼女は感動を抑えながら了解した。思えばこの時をどれだけ待ちわびたことか。「今日は徹夜になるぞ。覚悟しとけ。」「はいっ。」…続く

Re: ルージュファイター ( No.75 )
日時: 2019/05/20 18:21
名前: 梶原明生  

…全員が一斉に返事する中、桃瀬のマンションではどこをすり抜けてきたのか、秀隆が妻である梅乃の前に姿を現した。「ちょっと…これは夢じゃないわよね。嘘っ。」両手で口を押さえて驚愕する梅乃。「長い間留守にして悪かったな。ある任務のためにやむなく死んだことにせざるおえなかった。許してくれ梅乃。」「あなた…」秀隆は強く抱きしめた。夜は更けていき、やがては朝を迎える。「夢だったのかしら…」ベッドにまだぬくもりがあるのをなぞりながら、今はもういないかつての主人の面影を追う。…07:00時。博多駅でテロを起こそうとしていたKクラブアジトでは、今から外に出ようとしていたメンバーが互いに気合いを入れていた。「スタングレネードだっ」気付いた時は既に時遅し。ガスマスクした陸自西部方面隊が89式小銃片手に突入していた。ライトの先にKクラブメンバーを射殺していき、投降した者はインシュロックで拘束していった。広島、大阪、京都、名古屋、仙台、札幌でも同時刻に突入し、全テロリストを殲滅した。日本に潜伏していたパクは慌てて電話した。「桃瀬、今どこだ。仲間のアジトは全滅だ。我々だけでも国会議事堂や霞ヶ関を襲うぞ。」「断る。」「何、どういうことだ。中国国家安全部の同志もいるんだぞ。今更断るとはなんだ。」「俺はこの時を待っていた。真珠湾攻撃の時も、9.11の時も、Kクラブの幹部はいつも一定の場所に避難していた。そして今も…この時のために俺は今まで耐え難きを耐え、忍び難きを忍んだきたんだ。目的は達成させてもらう。日本の獅子身中の虫を根絶やしにするために。向かっても無駄だ。間に合わん。じゃあな、偽りの同志諸君。」スマホを叩きつけて捨てる秀隆。「しまった。チョン行くぞ。」「はっ。」二人は行き先を変更する。一方、突入作戦に成功していた今田達は歓喜に満ちていた。「お父さんがいない。」現場を見て桜は愕然とした。「もしかしたら、父にはなにか別の目的が…もしもこちら側だったとしたら、目的はKクラブ幹部のあぶり出し。…瞳子ちゃん、政治家や官僚で霞ヶ関に行く予定をいきなり朝に変更した人物はいないか調べられる。」「OKっ、任せて。」自前のノートパソコンで早々とサーバーに入り込む。「鳩田幹事長と香山議員。それに福川大臣と側近数名がいきなり予定変更してる。」「それだっ。」桜達は陸自UH−60ヘリで現場に急行した。「あれは、パク・ジョンホ。…」…続く。

Re: ルージュファイター ( No.76 )
日時: 2019/05/23 21:50
名前: 梶原明生  

…至善が望遠鏡越しに車で向かっているパクを目撃した。「悪いが桃瀬、予定変更だ。俺達はパク達の進行方向手前で降りる。今田と共にお前は鳩田幹事長達がいるビルに向かえ。事が済んだら我々も行く。」「了解しました。」ヘリは一旦ホバリングし、至善達をリペリングで降ろしてから再び飛んだ。ビル屋上まで到達すると、今田と桜は1メートル下の床に飛び降りた。今田は陸自迷彩服にHK416小銃。桜はスーツパンツにプレートキャリア。手にはP8拳銃を握っていた。その頃秀隆は89式小銃で一階から鳩田幹事長の配下と銃撃戦となり、手薄だったため次々と射殺される配下達。「大丈夫だ鳩田。私と、テイラーと、ヨロズヤついてる。安心しなさい。」ビルを移動しながらウィリアム・ミラーが答える。頷く万屋。やはり彼女はKクラブメンバーにしてR・D・Aの裏切り者だったのだ。「屋上にヘリがある。」「どうしてあいつが裏切った。これはミラーさん、あんたの失態ですぞ。」「シャラップッ、死にたく なかたら黙れ。」グロック拳銃を鳩田の首筋に当てるミラー。非常階段を急ぐ彼らの前に現れたのは桜達だった。「ウィリアム・ミラーにマイケル・テイラー。銃を捨てろっドンムーブッ。」聞く相手ではない。「万屋、あんた。」鳩田達と共に行動していた意外な人物に面食らった。「じゃあ裏切り者は彼女だった。」「危ない。」今田はボサッとした桜を引っ張った。ミラーと万屋の銃弾が紙一重に飛んでくる。「俺だって驚きだ。だが今は考えるな。撃つんなら迷わず撃て、いいな。」「は、はい。」気を持ち直し、非常階段からオフィス側へ逃げた鳩田達を追った。一方反対側からは秀隆が迫っている。挟み撃ちとなったが、秀隆は既に田川主任からプレゼントされたかつての拳銃、「シグP230」のみとなっている。弾切れだ。「パンパンパンッ。」ミラーとテイラーが撃たれて倒れた。万屋まで撃とうとしたが桜が間に合った。「お父さん、撃たないで。」「桜、お前。」その躊躇を逃さなかった万屋が秀隆を撃つ。「やめてーっ」桜は迷うことなく万屋を撃ち抜く。 「パンパンッ。」「動くな。」すぐに小銃を向けた今田が鳩田達を制した。「お父さんっ嫌、嫌、こんな…私のせいで…」抱きかかえながら涙する桜。「いいんだ桜。元々私は死んでいたんだ。お前のせいじゃない。…これでいいんだ。後は…頼んだぞ。我が娘よ、頼もしくなったな。」「お父さんっ…」叫んでも父の反応はなかった。…続く。

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