複雑・ファジー小説

ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

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Re: ルージュファイター ( No.50 )
日時: 2018/05/13 23:49
名前: 梶原明生  

…暗号解読によれば、猪狩がテロリスト養成の隠れ蓑であることを示唆している。しかし下手に接触すれば、捜査の手が迫ったと感ずかれることから、先ず由衣に接触を試みた。ましてや彼女が正木のホスト時代の彼女だったとは。しかし好都合だった。時を待たずして魚は餌に食いついた。「もしもし、テル…例の件だけど、転職考えようかなって思うんだけど。」「由衣、うれしいぜ。考えてくれたか。よし、事務所案内するから待ち合わせ場所指定してくれ。思い出のジャガーで迎えに行くからさ。」「やだ、まだ乗ってんの。」「当たり前よ、お前との大切な思い出が詰まってんだぜ。愛してるぜベイベー。」脇で聞いている桜が嫌悪感を示す。「気持ち悪…」「何か言ったか。」「いえ、何でも。では事務所で待機しますね。」「ああ、そうしてくれ。」早速動き出した。六本木で待ち合わせた由衣と正木は、宇佐美派遣会社の架空の事務所に入る。「ようこそおいで下さいました。宇佐美スタッフサービスの私、桃山桜ともうします。どうぞおかけ下さい。」開口一番桜が出迎えたが、万屋に桂もいた。「早速お話を進めたいと思います。あなたはYCコーポレーション社長、猪狩克氏のお気に入りだったそうですね。しかし彼には倖瑞穂という内縁の妻がいた。彼女は昔秘書課にいた時、猪狩社長の子供を身ごもり退社。あなたはそれを突き止めて今会社を辞めて彼を忘れようとしている。こんなところかしら。」「な、何これ。何なんですかそれ。どうしてそれを…」「色々調べさせてもらってた、あなたのこと。ここは派遣会社じゃないわ岸部さん。」「どういうこと…ねぇテル、これは一体…」「悪い。俺達は警視庁のとある部署の人間でね。」「け、警察…」「岸部さん、あなたの協力が必要なの。猪狩社長は北のテロリストに加担している疑いがあるの。私達に協力して、お願い。」「か、彼がテロリスト、ありえない。テル、あなた騙したのね。協力なんかしたくない。」由衣はその後頑なに協力を拒むばかりだった。「仕方ないわね。どうあっても断るなら。」桜は徐に一冊のファイルをテーブルに置いた。「見てくれる。」「え、…こ、これ…」それはヤクの売人から薬を買っている写真と捜査資料だった。「不定期で今みたいな状況になった時に手を出していたみたいね。これは厚生省から差し押さえた資料よ。もし差し止めを解けばいつでもあなた逮捕されるわね。そうなれば秘書課の仕事をなくすばかりか、社会的に職を失う。」…続く

Re: ルージュファイター ( No.51 )
日時: 2018/05/17 17:22
名前: 梶原明生

…目を皿にする由衣。「正直、俺はショックだったぜ。まさかお前がヤクに手を出してただなんて。」「テル…ごめんなさい。私ついこんなことに染まってた。」「女子高生の頃のあの悪いホストに引っかかってた頃か。」「うん。でも、なかなかヤクが抜けられなくて…因果応報ね。わかりました。協力します。」「そう、これで契約完了ね。」「ただしっ。」桜が言い終える直前に叫んだ。「猪狩社長は傷つけないと約束して。それが条件。」言われて桜は美智子へのトラウマがぶり返していた。「わかったわ。約束する。」こうして由衣をオフィスから帰した。翌日、仕事が終わると猪狩からのいつものサインが現れた。今夜は泊まりでデートだと。それは桜達にとってもチャンスだった。肌身離さないUSBメモリーのペンダントは、彼女との逢瀬の時だけは外してクローゼットの引き出しに入れるのがクセだったからだ。盗聴器を由衣に仕掛け、準備は万端。二人はレストランで食事をした後、六本木の高層マンションに入っていった。桂のスカイラインで待機する桜。ヘッドホンをつけて聞き逃さないよう意識を集中する。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.52 )
日時: 2018/05/22 17:00
名前: 梶原明生

…音からしていつも通り、USBメモリーをクローゼットの引き出しにしまう。やがて逢瀬は始まり、一時の愛する人に抱かれる由衣の吐息が辺りに充満した。それも終わりに来た時、由衣は動き出した。猪狩が眠っている隙にクローゼットから例のUSBメモリーを取り出し、スマホ端末を使ってコピーを取っていた。しかし完全にコピーできるまで一分。由衣には100時間に感じた。後10秒という時に唸り声で寝返りを打つ猪狩。心拍数がマックスになるが、気づいていない様子。ほっと一息ついた時には100%コピーできていた。端末をしまうと、クローゼットにUSBメモリーを戻す。と、同時に彼女の手首が何者かにより握られた。「はっ…」それは裸で睨む猪狩だった。「やはりお前そうだったか。公安から協力要請があったんだな。由衣…」恐怖におののく由衣。「いけない、救出に向かわないと…」「よせ、ファイター。助けない規則だろ、忘れたか。」「でも…」躊躇している時、ヘッドホンから猪狩の意外な声が聞こえてきた。「なぁ、公安さん。盗聴してるんだろ。なら聞いてくれ。私は彼女を傷つけるつもりはないし、あなた方と対立しようとも考えてない。ある条件さえ呑んでくれれば協力する。今すぐ会えないか。」スカイラインの桂と桜が互いに目を合わせた。「罠かもな。」「いえ、彼は本気です。私には分かるんです。」「どうして。桜、君はちょいちょいそんなことを言うが、根拠はなんだ。もしかしたら…」「とにかく行きます。バックアップお願いします。」遮るようにP8拳銃のスライドを引きながら車を出た。「おい、ファイター。」…続く。

Re: ルージュファイター ( No.53 )
日時: 2018/06/08 18:15
名前: 梶原明生  

…言った時には走り出していた桜。招かれるままマンションのエレベーターに乗る。やがて猪狩の部屋に到着。ハンドバッグに拳銃を忍ばせたまま中に入った。「ほう、君が公安か。てっきりゴツいスーツ姿の男を想像していたが。…さぁ入って。」言われるまま部屋に入る桜。「桃山さん…」ガウン姿の由衣がベッドに座っていた。「大丈夫、落ち着いて。それで、話とは。」猪狩に向き直る。「うむ。君達の目的はこのUSBだね。渡しても構わないし、奴らのことを話してもいい。その代わり身柄の保証と妻と娘の命の保証をしてもらいたい。それが条件だ。」チラッと由衣を見る猪狩。落ち着いているのが不思議だった。「驚かないのか。」「うん…以前から知ってた。瑞穂さんでしょ。」「そうだったのか。すまない隠していて。でも君に対する愛は変わりない。どうかわかってほしい。」無言になる由衣。桜は桂と田川主任に確認を取った。「今連絡しました。内縁のあなたと奥さんと娘さんを保護対象にすると。勿論由衣さんもね。それじゃ今すぐ支度してください。ここへは戻れないですよ。」「わかった。最後に聞かせてくれ。何故協力するって信じてくれたんだ。場合によっては罠かもしれなかったのに。」「まぁ、長年の勘ってやつです。」「ぷっ…」ドア外で待機していた桂が思わず吹き出した。「本当に…てっきり新人さんかと。」「え、あ、その、10代からやってますからハ、八年…かな。」思わずごまかす桜。「それより早く用意を。」「ああ、そうだった。」慌てる猪狩。やがてマンションの裏口から桂、今田の車に分乗してセイフハウスを目指した。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.54 )
日時: 2018/06/16 17:56
名前: 梶原明生

・・・そのセイフハウスには既に倖親子も到着していた。田川主任と宇佐美主任によって連れてこられていた。「パパ・・・」幼い娘が走り寄ってくる。「おお、無事だったか。よかった。」抱きしめる猪狩。「それでは猪狩さん、お話願えますか。」田川主任が口火を切る。「あなたは・・・」「申し遅れました。私、公安庁R・Ⅾ・Aで主任を勤めます田川と言うものです。協力次第で待遇もグンと違ってきますよ。先ずはセイフハウスへどうぞ。」促す田川主任。応接間で猪狩と数名のメンバーで話を聞く。「私は長年、資金洗浄と工作員の匿いや情報提供の手助けをしてきました。北朝鮮の軍諜報部にKクラブという極秘部署が置かれていまして、おもにそこから協力を依頼されていました。拉致の計画も。」言い出したところで桜は驚愕した。「待ってください。拉致って・・・もうないはずでは。」「あなたほどの人が知らないとは意外だな。たしかに表向きは・・・しかし、昔は巧みでない拉致ばかりしていた。そこで今はもっと巧妙な手口で拉致を行っている。北はそれを知られてはならないから必死だったんだ。その情報がこのUSBに。今の拉致は一般人より高官を狙った拉致が多い。特に防衛省や外務省職員等。」「防衛省・・・」思わず桜は口走った。まさか父の失踪もこれに関連しているのではないかと。「どうした桜。」「いえ、何でもありません。」その時、桂のセンサーに異変が起こった。手信号で田川、宇佐美に合図する。「馬鹿な。何故ここがわかった。」「どうしました。」「桜、拳銃の用意をしろ。後3分もなく武装した工作員がこちらに接近する。」「何ですって、そんな。」絶対にばれるはずのないセイフハウスが突き止められた。今田は自前のHK416アサルトライフルを取り出した。「俺と桂と正木で援護する。その間に猪狩さん達を。」「わかった。」すぐに動くものの、正木が奇声上げる。「えーんっ、俺戦闘苦手なのに。」「つべこべ言うなこの軟派野郎。」「うるせーこの筋肉脳味噌が。」互いに悪態突きながら構える。・・・続く。

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