複雑・ファジー小説

ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



Re: ルージュファイター ( No.52 )
日時: 2018/05/22 17:00
名前: 梶原明生

…音からしていつも通り、USBメモリーをクローゼットの引き出しにしまう。やがて逢瀬は始まり、一時の愛する人に抱かれる由衣の吐息が辺りに充満した。それも終わりに来た時、由衣は動き出した。猪狩が眠っている隙にクローゼットから例のUSBメモリーを取り出し、スマホ端末を使ってコピーを取っていた。しかし完全にコピーできるまで一分。由衣には100時間に感じた。後10秒という時に唸り声で寝返りを打つ猪狩。心拍数がマックスになるが、気づいていない様子。ほっと一息ついた時には100%コピーできていた。端末をしまうと、クローゼットにUSBメモリーを戻す。と、同時に彼女の手首が何者かにより握られた。「はっ…」それは裸で睨む猪狩だった。「やはりお前そうだったか。公安から協力要請があったんだな。由衣…」恐怖におののく由衣。「いけない、救出に向かわないと…」「よせ、ファイター。助けない規則だろ、忘れたか。」「でも…」躊躇している時、ヘッドホンから猪狩の意外な声が聞こえてきた。「なぁ、公安さん。盗聴してるんだろ。なら聞いてくれ。私は彼女を傷つけるつもりはないし、あなた方と対立しようとも考えてない。ある条件さえ呑んでくれれば協力する。今すぐ会えないか。」スカイラインの桂と桜が互いに目を合わせた。「罠かもな。」「いえ、彼は本気です。私には分かるんです。」「どうして。桜、君はちょいちょいそんなことを言うが、根拠はなんだ。もしかしたら…」「とにかく行きます。バックアップお願いします。」遮るようにP8拳銃のスライドを引きながら車を出た。「おい、ファイター。」…続く。

Re: ルージュファイター ( No.53 )
日時: 2018/06/08 18:15
名前: 梶原明生  

…言った時には走り出していた桜。招かれるままマンションのエレベーターに乗る。やがて猪狩の部屋に到着。ハンドバッグに拳銃を忍ばせたまま中に入った。「ほう、君が公安か。てっきりゴツいスーツ姿の男を想像していたが。…さぁ入って。」言われるまま部屋に入る桜。「桃山さん…」ガウン姿の由衣がベッドに座っていた。「大丈夫、落ち着いて。それで、話とは。」猪狩に向き直る。「うむ。君達の目的はこのUSBだね。渡しても構わないし、奴らのことを話してもいい。その代わり身柄の保証と妻と娘の命の保証をしてもらいたい。それが条件だ。」チラッと由衣を見る猪狩。落ち着いているのが不思議だった。「驚かないのか。」「うん…以前から知ってた。瑞穂さんでしょ。」「そうだったのか。すまない隠していて。でも君に対する愛は変わりない。どうかわかってほしい。」無言になる由衣。桜は桂と田川主任に確認を取った。「今連絡しました。内縁のあなたと奥さんと娘さんを保護対象にすると。勿論由衣さんもね。それじゃ今すぐ支度してください。ここへは戻れないですよ。」「わかった。最後に聞かせてくれ。何故協力するって信じてくれたんだ。場合によっては罠かもしれなかったのに。」「まぁ、長年の勘ってやつです。」「ぷっ…」ドア外で待機していた桂が思わず吹き出した。「本当に…てっきり新人さんかと。」「え、あ、その、10代からやってますからハ、八年…かな。」思わずごまかす桜。「それより早く用意を。」「ああ、そうだった。」慌てる猪狩。やがてマンションの裏口から桂、今田の車に分乗してセイフハウスを目指した。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.54 )
日時: 2018/06/16 17:56
名前: 梶原明生

・・・そのセイフハウスには既に倖親子も到着していた。田川主任と宇佐美主任によって連れてこられていた。「パパ・・・」幼い娘が走り寄ってくる。「おお、無事だったか。よかった。」抱きしめる猪狩。「それでは猪狩さん、お話願えますか。」田川主任が口火を切る。「あなたは・・・」「申し遅れました。私、公安庁R・Ⅾ・Aで主任を勤めます田川と言うものです。協力次第で待遇もグンと違ってきますよ。先ずはセイフハウスへどうぞ。」促す田川主任。応接間で猪狩と数名のメンバーで話を聞く。「私は長年、資金洗浄と工作員の匿いや情報提供の手助けをしてきました。北朝鮮の軍諜報部にKクラブという極秘部署が置かれていまして、おもにそこから協力を依頼されていました。拉致の計画も。」言い出したところで桜は驚愕した。「待ってください。拉致って・・・もうないはずでは。」「あなたほどの人が知らないとは意外だな。たしかに表向きは・・・しかし、昔は巧みでない拉致ばかりしていた。そこで今はもっと巧妙な手口で拉致を行っている。北はそれを知られてはならないから必死だったんだ。その情報がこのUSBに。今の拉致は一般人より高官を狙った拉致が多い。特に防衛省や外務省職員等。」「防衛省・・・」思わず桜は口走った。まさか父の失踪もこれに関連しているのではないかと。「どうした桜。」「いえ、何でもありません。」その時、桂のセンサーに異変が起こった。手信号で田川、宇佐美に合図する。「馬鹿な。何故ここがわかった。」「どうしました。」「桜、拳銃の用意をしろ。後3分もなく武装した工作員がこちらに接近する。」「何ですって、そんな。」絶対にばれるはずのないセイフハウスが突き止められた。今田は自前のHK416アサルトライフルを取り出した。「俺と桂と正木で援護する。その間に猪狩さん達を。」「わかった。」すぐに動くものの、正木が奇声上げる。「えーんっ、俺戦闘苦手なのに。」「つべこべ言うなこの軟派野郎。」「うるせーこの筋肉脳味噌が。」互いに悪態突きながら構える。・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.55 )
日時: 2018/07/29 15:09
名前: 梶原明生

・・・そうこうしてる間に桂が浴室のシャワーを強めに出しっぱなしにして戻ってきた。「明かり消したほうがいいんじゃないか。」正木が呟く。「バカ。それじゃ何かあるって思われて警戒されるだろ。」「なーるほど。」鼻の下を伸ばして小ばかにする正木。そうしてる間に突入してきた工作員達。ak47などで撃ちまくるが誰もいない。「しまった罠か。」思ったが最後。今田のhk416小銃が火を吹いた。桂もp8拳銃で工作員を射殺していく。「パン、パン、パンッ。」撃ち合いになるものの、劣勢となった工作員達は車に乗り込み逃走した。「よせ、深追いするな。ファイター達を追うぞ。」「了解、暇だ隊長殿。」「バカ、正木ふざけるな、今田だ。今度ふざけたら本気で殴るぞ。」「おお怖・・・
」肩をすくめながら車に乗る。クラウンの助手席に座る桜は、必死に田川主任の心を読もうとした。しかしどうしても田川の心は万屋同然に読めなかった。「セイフハウスがそうそうばれるはずがない。この人は父の失踪を知っていた。なのに濁して真相を語りたがらない。おまけに一番疑われない役職にいる人物。情報を流していても疑われない。やはりこの人が怪しい・・・」彼女はそう思っていた。「うむ、田川だ。そうか、なら公安出動第4項は発令したか。・・・わかった。後は掃除屋に任せよう。」・・・続く。

Re: ルージュファイター ( No.56 )
日時: 2018/10/19 12:37
名前: 梶原明生

…電話を切ると再び運転に集中する田川主任。一方、桜は自分の車を停めてある駐車場に近づいてると悟って、ある大胆な行動に出る。「田川主任、車を止めてください。何かおかしいんです。」「何、また奴らが…」「わかりません、とにかく止めてください、私見てきます。」わかった。今田と行け。」田川主任は今田に無線で知らせて路肩に全車両を停めさせた。桜と今田がドアを開けて出てくる。「動くなっ、さぁ、猪狩さん達、由衣さん、全員降りて。」何と田川主任や今田達に銃口を向けて構えだしたのだ。「お前どうした血迷ったか。」田川主任が驚愕するも、今田は見抜いた。「待ってください主任。万屋、桂、銃口を降ろせ。何があったファイター。お前らしくないぞ。訳を言え。」「いえ、訳はここでは話せません。一刻を争うんです早く。」「わかった。だが猪狩夫妻達をどうする気だ。」「私が責任を持って預かります。こちらから連絡しますからどうか黙って見過ごしてください。」今田は田川にバックミラー越しに相槌を打った。「良かろう。この田川が許す。ただし…絶対守れよこの四人を。」「了解しました。必ず。」やりとりの最中にも銃口を向ける万屋。「何してるマークス。下げろ。」桂が万屋のP8拳銃を抑える。それを無言で目撃する宇佐美主任。やがて銃口を向けたままの桜は後退りしながらもう片方の手で車のリモコンキーを取り出し、日産マーチに乗り込みながら猪狩達を乗せて一路とある場所へと向かった。遠退くエンジン音に取り残される面々。宇佐美主任が呟く。「あの子のことよ。きっと大丈夫。」その頃、成田空港から一人の韓国人ビジネスマンが到着していた。勿論偽装に偽名の人物だが。キムソンジン大佐。北朝鮮特殊軍団団長にしてKクラブトップである。「これはキム同士。お待ちしておりました。」「パクジョンホにチョンウンジョンか。チョン、君は相変わらず美しいな。「いえ、恐縮です。」「恐縮すべきは何故私が祖国からわざわざこの犬の国に呼び出されたかだ。そうは思わんかねチョン少尉。」パクが弁解に入る。「いえ、それがことのほかど素人の日本人が意外にも手強い相手でして…」「言い訳はいい。早速私の指示通り動け。」「は。」三人は颯爽と成田空港を後にした。 次回「暗雲」に続く。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。