複雑・ファジー小説

ルージュファイター
日時: 2017/04/19 14:38
名前: 梶原明生  

あらすじ

髪型はミディアムひし形カールボブ、時計はカルティエ、服はソア・リーク、コスメ口紅はシャネルを好み、バッグ小物はクロエにプラダ、靴はジミーチュウ。出没スポットは銀座、表参道、代官山、恵比寿。…そんな今時キレイめ女子な彼女の趣味は何と陸上自衛隊。中学時代にマニアとなり、高校時代におしゃれに目覚めても変わらなかった。そして大学時代には予備自衛官補となる。そんな彼女が卒業してスカウトされた職場は…警視庁公安部外事課新設班「R・D・A」だったのだ。「え、何で彼女が。」と思うのも無理はない。実は彼女には人に言えない秘密があり、また防衛省職員だった父の失踪の真実を聞かされた事も原因だった。若きやり手イケメン捜査員と老練な主任と共に外国人テロ事件などに立ち向かう。一方プライベートでは母と双子の妹には、大手広告代理店入社と偽る。恋に仕事に国家テロにと慌ただしい毎日。コードネーム「ルージュファイター」桃瀬桜の活躍は始まった。

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Re: ルージュファイター ( No.44 )
日時: 2018/03/01 17:52
名前: 梶原明生  

…「やめてっ。」抵抗空しく注射器で腕に自白材を打たれる桜。「さぁ、答えてもらおう。お前がR・D・Aの人間であることに間違いはない。だがお前自身がどこの誰なのか答えてもらおうか。」桜はすぐに意識朦朧となり、口を開きはじめた。「私は…桃…。」言いかけたところで部屋にスタングレネードが投げこまれ、爆発と共に特殊作戦群が突入してきて金田の部下達を掃討した。P8拳銃を構えながら入ってきた今田が桜に近づいた。「大丈夫かファイター、ファイター。おい、…衛生班。」彼女は特殊作戦群のバンに乗せられ、自衛隊病院に搬送された。金田と鳥山はその場で逮捕されて尋問室に送られる。自衛隊病院に田川、宇佐美が駆けつけた。「おい、今田またか。説明しろ。」「はい。鳥山を探るために居酒屋へ行ったまでは前回話した通り。その後どうやら桃瀬は睡眠薬入りの酒を飲まされたらしく…」「おい、待てよ。それは万屋が対抗薬を桃瀬に飲ませたはずだろ。」その万屋が弁解する。「確かに飲ませました。」「なら何で拉致された。裏口からも出てないんだろ。」「そこは目下調査中です。睡眠薬に関してはよほど強いものだったかと。」「しかしよくアジトを見つけ出したな。桂が調べたからか。」「そこなんですが実は… 」今田が出し渋るように言う。「匿名のたれ込みがあったんですよ。暁の使者とか書いてた紙で俺の車のワイパーに挟んでまして。」「暁だと…」「何かご存知で。」「いや、何でもない。」田川はすぐに否定した。「桃瀬、あなた大丈夫なの。」治療室から出てきた桜を宇佐美が心配する。「大丈夫です。もうすっかり自白材は抜けましたから。それより金田と鳥山は。」「うん、今二人共に逮捕してR・D・A本部の尋問室にいる。Xの行方や密入国ルートのあぶり出しも時間の問題。」「良かった。それから宇佐美主任、奴らが言っていたんですが、やはりこれまでのイスラムテログループ密入国やテロ計画に北朝鮮が絡んでいたと私に告げてました。恐らく始末するつもりだから口にしたんでしょう。しかしこれで家宅捜索は公然とできます。」「明日早速サムゲタン事務所にガサ入れするわよ。」「はい。」…続く。

Re: ルージュファイター ( No.45 )
日時: 2018/03/21 19:38
名前: 梶原明生  

…翌日朝早くから桃瀬を始めとするR・D・A捜査員20名が一斉に家宅捜索に入る。「株式会社サムゲタンの方々ですね。あーっそのままそのまま。一切触らない動かないで。私達は国税局の者です。この会社に脱税疑惑が浮上しています。よって令状により、家宅捜索をおこないます。逆らえば公務執行妨害で有罪になりますよ。いいですね。」宇佐美が宣言した途端、社長夫人らしき女性が例の金庫目掛けて走り出した。「待てっ。」桜は即反応してデスクに飛び乗って追いかけた。追いつかれることを悟った夫人は回転後ろ蹴りをお見舞いした。腹を凹ませてショックを軽減する桜。「て…テコンドー。」「このチョッパリ女め。国税局じゃないな。この蹴りをかわせるはずない。」「あんたに答える義務はない。」言ってる間にチラリとバインダー棚を見る女。回し蹴りで棚ごと蹴り飛ばす。桜はそれを払いのけ、前蹴り回し蹴りの連続足技で叩き込んでくるのを受けながら、後ろ回し蹴りで来る女の脚を掛け蹴りで膝裏を合わせて捻り倒した。女の体の上を回転して後頭部に肘うち。腕を取って、腕ひしぎ十字固めを決めた。「悪いねテコンドーさん。こっちはクラブマガ関節技のマスターなもんで。ほら足掻いても無駄だって。抵抗すると肩関節抜けるよ…て抜けちゃったかな。」「ギャーッ」あまりの痛みに悲鳴を上げる女。「大丈夫か。」今田と桂が駆けつける。「大丈夫です。このご婦人を公務執行妨害で拘束してください。」「わかった。」起き上がると例の置物を動かす桜。「あった。でもどうしよう。」「俺に任せて。15分以内に開けられたらカプチーノ奢れよ。」「ハイボールがいいんじゃないですか。」「こいつ。」軽口叩きながら金庫に挑む桂。「開いた。」「わお、新記録。5分と3秒。」「言ったろ。カプチーノにハイボールだぞ。15分どころか10分と経ってない。」「はいはい仰せのままに。」言いながら金庫を開ける桜。「ゆ、USB…」「ファイター。ひょっとして中身になにか重大な秘密が…早速調べて見るよ。」桂は一目散にスカイラインに向かう。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.46 )
日時: 2018/04/11 21:36
名前: 梶原明生  

…「どうです。」「ダメだ。暗号化されてて、ここでは解読不可能だ。本部に戻らないと。」がっかりする桜。「でも、よくやった。ここまでお宝にありつければ上出来だ。命を張った価値はあるよ。」「役立ちますか。」「ああ、役立つとも。」桂は桜の肩を軽く叩いた。再びガサ入れに戻ろうとした所、後ろから声をかけられた。「桃園さん。あなたこれは…」「き、桐谷さん。どうしてここへ。」「鳥山さんが逮捕されたって聞いたから、鳥山さんの叔父さんて聞いてたサムゲタン社長に相談に来たの。これって家宅捜索よね。あなた一体なんなの。いきなり派遣辞めたって山岡課長から聞いたし、てっきりあなたと駆け落ちしたかと思ったじゃない。なのにあなたが家宅捜索…騙したのね。」「いや、桐谷さん。これには色々あって、その。」説明に躊躇していたら、宇佐美主任が現れた。「その件に関しては私が説明しましょう。」彼女は桜に目配せして車に向かう。その頃、田川のスマホが鳴りはじめる。「何だと。鳥山が護送中に逃げ出しただと。万屋本当か。」「申し訳ありません。隙を突かれまして。目下捜索中です。」「探しだせ。」イラついてスマホを切る田川主任。「今田、桃瀬は万屋のサポートを。桂は暗号解読だ。急げ。」「了解。」一斉に動きだす桜達。その頃説明を受けていた美智子に電話が入る。「ちょっと失礼します。…嘘。うん、うん、わかった。すぐ行くね。…すみません。ご説明傷み入ります。仕事の件で急用ができましたので私はこれで。また後日伺います。」慌てる風に不可解もあったが、強制するわけにもいかず、そのまま帰す宇佐美主任。しかし後にこれが問題を引き起こすとはまだ知り得なかった。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.47 )
日時: 2018/04/16 22:00
名前: 梶原明生  

…一方、桜達は万屋と合流。周辺をR・D・A職員と特殊作戦群のヘリを導入して捜索していた。「ファイター。聞こえるか。」「はい、こちらファイター。ミライどうぞ。」「たった今入った情報だ。例の桐谷って鳥山の女。宇佐美派遣事務所に行くって山岡課長に告げて外出したまま帰っていないらしい。宇佐美主任に電話があったんだ。桐谷が帰ってこないって。彼女は白と見て間違いないが、恐らく鳥山に拐かされて落ち合う気だ。彼女が危ない。」青ざめた桜は走り出した。「そんな…すぐに向かいます。」「行く宛はあるのか。」「二人が落ち合う場所はただ一つ。」そう言って日産マーチに乗り込み、アクセルを踏み込んだ。その頃、美智子はドリームポート2000に来ていた。二人がデートした最初の場所。「あ、雅人さん。」「美智子。」「会いたかった。ねぇ、雅人さんが麻薬の密輸犯なんて嘘よね。」「誰がそんなことを。」「警察の人よ。私信じてるから。」「勿論だとも。なぁ美智子、お金下ろしてきたか。」「うん、私に預けてくれた通帳の100万円、この通り。」「良かった。さぁ、俺と一緒に海外に逃げよう。無実が晴れるまで。」「うん。雅人さんとならどこへでも。」「ありがとう美智子。さぁ、車に乗って。」美智子は何も知らず車に乗る。「運転頼む。シートベルトはしたな。」「うん。」「俺のためならどこへでも行くんだよな。」「ええ、でも何故二度聞くの。」「なら俺のためにお前だけあの世に行ってくれ。」助手席側から皮の手袋をした両手で美智子の首を絞めはじめた。「雅…どう…して…うぐぐ…」「お前は失恋の末、車で入水自殺だ。」意識が遠のく手前で万屋のP8拳銃の銃弾が後ろからフロントガラスへ突き抜ける。「あの万屋が外した。」P8拳銃を構えながら桜は驚いた。「糞っ何でここが…」助手席からアクセルを踏んでハンドルを握った鳥山は逃亡を図ろうとした。「待てーっ。」今度は桜が外さない。ダブルタップで鳥山の背中にP8拳銃の銃弾が撃ち込まれる。「パンパン」30メートル走った所で街灯にぶつかった。「ファン ファン ファン」車の防犯ブザーが誤作動して鳴り響く。「いやーっ雅人っ雅人っ。」半狂乱になる彼女を桜と今田が引きずりだす。「人殺しーっ返して雅人を返してっ。」「落ち着いてお願い。いい、彼あなたを殺そうとした犯罪者よ。だからやむを得なったのよ。あなたを守るためだった。」「あはーあああっー」美智子は嗚咽し泣き叫んだ。…続く。

Re: ルージュファイター ( No.48 )
日時: 2018/04/19 15:15
名前: 梶原明生  

…その夜、警視庁の刑事に美智子を引き渡した後、宇佐美、田川を除く四人が集まり、よく行くイタリアン居酒屋で飲んでいた。今田がビールジョッキを空けながら桜を宥める。「気にするな桃瀬。飲んで忘れろ。彼女に取って大事な人。しかし国家の反逆者だ。それに撃たないと彼女は死んでた。これで良かったんだ。」「彼女は一生そうは思わないんでしょうね。」桂がハイボールを空けながら言う。「かもな。でもそれを一つ一つ背負っていくのも僕達の務めさ。」「そうですね。」桜は一気にビールを空けた。「桃瀬、あんたは少し無神経なのさ。その無神経さで乗り越えな。」「それ褒めてんの貶してんの。」「両方かな。」今田と桂が爆笑する。「さてと、僕は帰ってやるこてがある。例の暗号解読だ。」「あまり根を詰めすぎるなよ。」「今田さんにしては珍しいお言葉で。」「こいつ。」またもや笑う二人。「じゃあな桃瀬。ハイボールご馳走様。」「お疲れ様です。」明るく振る舞っても、美智子のことが頭から離れない桜。飲み会が終わって自宅マンションに戻ってからも彼女の行く末を考えていた。「飲んできちゃったの。」母、梅乃が起きてきた。「ああ、お母さん。ごめんなさい起こしちゃった。」「ううん、いいのよ。何かつらいことでもあった。」「え、…ああその、同僚の婚約者が事故で亡くなったらしくって。どう接したらいいかなって。」「あらまぁ、そんなことあったの。辛いわね。でもね、あなたに解決できることはないのよ桜。」「そうよね。…」「そうだ桜、正木さんからいいお酒頂いたのよ。飲む。」「ええ、あいつ…いや、正木さんが…うん、飲む飲む。」冷や汗かきながらも笑顔で答える桜。グラスを傾けながら映った自分を見つめた。…次回「愛した男の子供」に続く。

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