複雑・ファジー小説

一二三妖【3-10 更新 02/05分】
日時: 2018/02/05 18:39
名前: 塩糖

――数えて百鬼、誰もかれもが悩みを、願いを、持ち生きる
ああならば世界はきっと、無常なりて



*****

 初めまして、塩糖(えんとう)と申す者なり
皆さんの小説を読んでいて自分もやってみたくなり投稿させていただきました。
今回のジャンルといたしましては「妖怪もの」となっております、戦闘などの要素もありますが何分素人ですので期待はせず、読者さんの暇つぶしの一作になれたら幸いです。
ちなみに感想を書き込まれると作者が狂喜乱舞します

誤字訂正報告いただけると感謝感激してすぐに直します

****
目次
・第零音目 【「」】 >>1(改)
・第一音目 【一から始まる妖道】 -1 >>2(改) -2 >>4(改) -3 >>6(改) -4>>7(改)
           -5 >>9(改) -6 >>11(改) -7 >>12(改) -8 >>13(改) -9 >>14(改)
・第二音目 【碌でもない奴ら珍道中】-1 >>15(改) -2 >>16(改) -3 >>17(改) -4 >>18(改) -5 >>19 -6 >>20 -7 >>21 -8 >>22 -9 >>23 -10 >>26 -11 >>29 -12 >>31 -13 >>32 -14 >>33 -15 >>34 -16 >>37 -17 >>39 -18 >>40 -19 >>41 -20 >>43  -21 >>44 -22 >>45 -23 >>46
・第三音目  【果てぬ意欲は水の中】-1 >>47 -2 >>48 -3 >>49 -4 >>50
 -5 >>51 -6 >>52 -7 >>53 -8 >>54 -9 >>55 -10 >>56(2/5 18:38更新)

・進捗
2/5
 管理人賞とかいうクッソ嬉しいものに輝きました。腰を養生しつつ頑張っていきます。


****
キャラの簡単な紹介(随時更新-軽いネタバレ含みます)
・幸(ゆき)
 主人公の妹、皆とピクニックに出かけた際、草むらの中に動物がいると言って姿を消した。

・始(はじめ)
 一尾の妖怪、元は狐ということもあり、黄色い尻尾と耳がトレードマークだそう。狐火を扱うことができる、ちょろい。
変化と憑依も使えるが本来は実用には程遠い程度
尾獣堂の新米妖怪。ついに全快したのだが、今のところ彼の成果は間違いで人を燃やしたことと風呂沸かしぐらいである。

・???
 人間、結構その場の感情に身を任せ行動することあり。けれど普段は理性的思考をしていると考えているため少したちが悪い。
調子に乗ってとんでもないことになって焦ることしばしば、他の読者さんからは年齢と心の中の言葉がかみ合ってないと指摘された。
 羊羹が地味に好きだが、いかされることはないだろう。

・祢子(ねこ)
 ろくろ首、何かと男勝りな性質で一見勘違いされそうでもあるが本人はとてもやさしいため少し話せば大体みな慕う。紫陽花の意匠の着物がお気に入り。首がどこまで伸びるかは彼女しか知らない、ちなみに腕は伸びない。
彼女を怒らせるべからず、そして飯テロ(物理)をよくする。

・黒斗(くろと)
 あほう
町の治安維持の仕事をしているらしいが、締まらない
何かとマイペースではなすので、一部の人と話すときはよく急かされる。
唐揚げもいいよね

・碌郎
 ろくろ首、祢子の旦那で昔はそこそこの男だったらしいが今はてんでだめ、一度服を質に入れたせいで祢子の管理の元、安い気物しか着させてもらえない。
畑仕事から離れたためか、体力は強い人間並み。
彼は今、やりがいと断頭台に立たされた二つの気分を味わいながら鍬を振る。

・???
 君は誰かって?僕かも俺かも私かも、そんな想像を楽しんでほしい
そう書置きが残されている。

・アマメ
 なまはげ、きっと悪戯が大好きな人。祢子さんとの付き合いがあり、男勝り同士気が合うのだろうか。その髄力は成人男性なんて目ではない、がこれといって武人キャラではない。

****
・近況報告
 ぎっくり腰になりまして長時間の執筆が不可能になっていました。
腰を鍛え直していますがしばし無理です。

・企画
オリキャラ募集 無事4人の妖怪が集まりました!参加いただいた方々感謝が尽きません。


*****
お客さん一覧
・マルキ・ド・サドさん
・ダモクレイトスさん
・ヨモツカミさん
・銀竹さん
・月白鳥さん
・ももたさん
・透さん

お便り待ってます!

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一二三妖【3-5 更新 9/17分】 ( No.52 )
日時: 2017/09/24 09:36
名前: 塩糖

【果てぬ意欲は水の中】-6



 火達磨、うん一言で表せばそうなるし、実際にそうとしか言いようがない。なんともまあ、藁というのはよく燃えるものらしい。

「あああぁぁぁ!!」
「ま、まずいです。ど、どなたかお水を!」
「屋根に防火水槽があるからそっちから汲んできて!」

地べたを転がるなまはげと、それを見て慌てる始、首を伸ばして的確に指示をする祢子さん。
一連の流れに、俺はただ立ち尽くす。が、彼女の指示を把握できると慌てて扉の隅にあった桶を始に手渡した。
それを受け取ると彼は軽くしゃがみ、飛び跳ねる。そうして家の屋根にしがみつき、上り切れなかった下半身を上手く乗せた。

「いきますっ」
「ああぁつっ――冷たっ!? ……ぁぁぁあああ!!」
「もっと!」

しばらくすると屋根の方から水が、道端で転がっているなまはげに向かって降り注いだ。しかし、一回程度では彼の身を包む火は消えない。
数回、それが繰り返されることでようやく火は落ち着くのであった。
後には、纏っていた藁がすっかり黒く焦げ、煤にまみれたなまはげがずぶ濡れになり地面にうずくまっているだけであった。
どうして、こうなったんだろうか。



 少し前、あのなまはげ、大声を出してこちらを脅してきたのだが、すぐに彼は非礼を詫びて握手を求めてきた。
その代わり様に少し驚いたが、彼なりの、なまはげジョークというやつなのだろう。そう判断してこちらも苦笑いを浮かべつつも応じようとした。

「させない、一二三妖――妖術、狐火!」

 俺から見て左、そちらから拳大ほどもない火の玉が飛んできた。それはごく自然なこと、まだ家からそんなに離れてなかった始は、俺の悲鳴を聞きつけ迅速にやってきたのだ。
それも、彼唯一の攻撃手段を使うほどの重大事件だと考えてだ。彼からすれば、なまはげが俺に襲い掛かっているようにしか見えなかったのだ。
結果、とても小さく熱量も少ないらしい狐火でも、藁を纏い警戒もしていなかった彼を火達磨にすることになった。

「大丈夫ですか一さん!? この妖怪は……」
「――何の騒ぎだい!」
「ね、祢子さん。えっと始、この人?はなまはげで、今俺を驚かそうと」
「あああぁぁぁぁ!消して、消してぇぇ!!」

そのまま俺を庇い、手で制す始。なまはげを警戒し、俺に事情聴いてくる。
 そして、元々始の近くにいたらしい祢子さんが遅れてやってくる。とりあえず燃え盛り悲鳴を上げるなまはげの、その名を始に告げると顔を青くした。
そうして、今に至った。別に皆悪いわけではない。全員が全員、するべきことを……いや、よく考えたらなまはげが脅かしたのが全部悪い。
つまり彼が悪戯心を持たなければ、幸せな交流になるはずであったというのに。子供を泣かせる行事に出てくるだけはある。


「はー、酷い目にあった……」
「まったく、なんで尾獣堂の人を脅かすのアマメ……」

呆れながらアマメと呼ばれたなまはげ、彼に手拭いを渡す祢子さん。やはり知り合いなようだが……ふと疑問がわく。
昨日は祢子さんは「彼女」となまはげを表していた気がするが、ここにいるアマメは完全に男の声だ。ろくろ夫妻のように、なまはげも二人いるのだろうか。

「いやー、なんかすっごい怖がってくれるから気合入っちゃって」
「その、すみませんでした」
「始君が謝ることじゃないわ、アマメが態々こんなことをしたのが悪いんだから。一君もびっくりさせちゃってごめんね」
「いや、それはいいんですけど……この方が昨日の? 女性だと聞いてたんですが」

火で焦げた後ろ髪を手で溶かしながら、アマメは笑い声を出す。やはり悪戯が好きな人物の様だ。だが、笑いながらも表情が一切変わらないのがとても怖い。
始は頭を下げて謝ろうとするが、祢子さんがそれを止める。
俺は、二人の人間関係、上位にあるのは祢子さんとその様子から受け取った。

「? そう、だけどなにか……ってあー……アマメ」
「ああそっか、これつけてたっけ」

 そう言って、アマメは自身の頭に手を伸ばして……顎の関節部分に指を差し込み、「顔」を外した。
あれほど険しかったその表情は、どうやら作り物のお面だったらしい。こちらが一切気が付かないほどに、それは精巧にできていた。それを外して、貰った手拭いで拭き始めるなまはげは、確かに女性だ。
寝癖、というか髪の毛が濡れたまま梳かさずに寝てしまったような、かなり盛り上がったり向いている方向がばらばらだったり、とにかく荒れている髪の毛。
面の層を越し煤で汚された顔は、こちらを見て笑っている。

「と、言うわけで……なまはげのアマメ、今日からよろしく!」

不思議なことに、面を外した彼女の声はいまだ力強いものの、確かに女性の者に変化していた。握手を求めてきた彼女の笑顔を見ると、先ほどの恐怖が幻だったのように消える。
安心して、俺はその手を取る……が、その前にアマメは慌てて手をひっこめた。
なんだ、と首を傾げた後、ようやく彼女の手がびしょ濡れ且つ、煤で汚れていたということを思い出して納得した。

「ああごめんごめん、握手はまた後で」
「そうだね、一先ず洗わないと……流石に防火水槽の水をこれ以上使うわけにはいかないし」
「な、ならばうちのお風呂をお使いください。燃やしてしまったのも僕ですし」
「そう? ならお言葉に甘えて……」

とりあえず、彼女のためにお風呂を沸かすこととなった。この家にも木で出来たお風呂場がある。早く沸かしてしまおうと始と祢子さんがあわただしく動き出した。
それを手伝おうにも、二人の作業が早すぎてついていけない。まだ不調である人間では、好調になった妖怪二人には到底追いつけるわけはなかった。
なので、手もち無沙汰になってしまっ俺は超食の準備を再開させた。
残念なことに、米は始が駆けつける際に行方不明。漬物だけのわびしい朝食である。
それを、アマメさんに差し入れるような形で出す。そして自分でもつまむ。

「どうぞ」
「あぁこれはどうも。やー、中々漬かってて美味しいね」
(ごはん、食べたいけど……)

今米を食べる、準備をしようとすれば直ぐに祢子さんに目をつけられる。既にアマメさんよりも、祢子さんの逆兵糧攻めが恐ろしかった。


*****
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次話 >>53

Re: 一二三妖【3-6 更新 9/19分】 ( No.53 )
日時: 2017/10/18 15:14
名前: 塩糖

【果てぬ意欲は水の中】-7


そうこうしているうちに、お風呂が沸いた。とても短い時間に思えたが、実際は水を手に入れるために始が奮闘したおかげである。
 肩で息をする始の横に座り、切った漬物を差し出す。やはり汗をかいたからか、塩味を求めていたようだ、喜んで口に入れている。

「ふー、やっぱり久々に体を思いっきり動かすと疲れますね」
「そっか、そういえばそうか……」

 そうだった、ドチとの戦闘の後は俺に憑依したりこそしたものの、そもそも外に出ることさえ今日は久しぶりだった。
 少しストレス発散はできたのか、その表情は疲れてこそいるが晴れやかでいる。
 風呂場のほうで、水音がする。アマメさんが体を洗っている最中だ。祢子さんはアマメさんの着替えを取りに行っため、二人のみだ。
 この隙に、少し浮かんだ疑問を解消してしまおう。

「あ、そういえば始って妖怪とかにある程度詳しいのか? ちょっと聞きたいことがあるんだけど」
「はい、なんでしょう」
「その、なまはげってどんな妖怪なんだ?」

 なまはげとは、なんなのか。包丁みたいなものを振り回して、子供を泣かせに来る。そもそも何故あのような恰好をし、民家に押し入ってまで子供たちを泣かせる必要があるのかとすら思う。
 考えがそれたので戻すが、始がなまはげについて尋ねなかったということはやはり、なまはげもこの妖界にきちんと存在する妖怪。
 どんな妖術を使うのか、どんな成り立ち……生態、あまりよい言葉が見つからないが聞いておきたい。
 しばし顎に手を当てて悩む、どうやら説明しずらいらしい。

「なんといいますか、元は神の使いなんですよ」
「神?」
「えぇ、妖怪とはまた違う存在でして。僕も聞いただけなんですけど、大分昔存在していたもので、それはそれは凄い力を持っていたそうです。とはいえ、もういないんらしいですが。
……あぁそれでなまはげなんですけど、子供の成長を確かめに来る妖怪なんですよ」
「神……っあぁ、そこは一緒なんだな」

 新しい単語が出てきてしばし気を取られたが、とにかく子供のための妖怪というのは変わりないらしい。

「えぇ、師匠は幼い頃よく脅かされていたそうなんですが……」
「――そうそう、昔はみんな驚いてくれたから子供が生まれたって聞いたらよく脅かしに行ったよ」
「昔は、ってことは今は?」
「それが、あまり今の子には怖くないみたいで、一回向かって確かめたらだいたいそれっきりかなぁ」

 なるほど、なまはげも世代間の差というものに苦しめられているようだ。だからこそ、俺の怯えが彼女のなまはげ魂に火をつけたということか。
 
「いや、本当に良い驚きっぷりだったよ。なまはげ冥利に尽きるよあれは!」
「本当ですよ、一さんに何があったのかと肝を冷やしました……」
「いや、流石に突然あんなのがきたら驚くって……え?」

 いつのまにか、隣あって座っていた俺たちの後ろにアマメさんが立っていた。慌てて彼女に向きなおる。
 まだ湯から上がってそう時間がたってないのか、彼女の肌はしっとりと濡れている。
 服はしっかりきているが、それも少し濡れているような……そもそもまだ祢子さんが帰ってきていないはず。

「わ、濡れた服着ちゃったんですか。囲炉裏に火をつけますからそちらで乾かしてください」
「あ、はは……長風呂は苦手なもんでつい上がってきちっゃた。服も乾きやすい素材だし、着てればそのうち乾くよ」
「そういう問題じゃないと思います……」

 豪快、というべきか。いやこの場合は粗雑だろうか。せっかくあったまった体をわざわざ濡れた服で冷やすのは、少々引いてしまう。
 アマメさんは始に願われ、狐火でつけられた囲炉裏に当たりに行く。

「ふぅ……、ああ本当にお風呂ありがとう。流石は尾獣堂、子供二人暮らしの家の中にあんな立派なお風呂があるとは」
「それはよかったです」
(確かに、家の広さもあれだが風呂もなかなかしっかりしてたな。まだ掃除しかした覚えないけど)

 せっかくの快癒祝いの白米が遠のいてしまったのだから、今晩はしっかり湯を沸かして入ろうと心に決める。
 それでふと、彼女のほうからミカンのようないい香りがするものだから、それを直ぐにかき消す始の獣臭さに顔をしかめた。

「始、お前入って来いよ」
「えっ、あ、はい? 別にいいんですが……そんなに臭いですか? 一応私も手拭いで拭いたんですが」
「うん、ちょっと。多分さっき汗かいたからそれも関係あると思う」

 申し訳なさそうにそう言えば、彼は頭の耳をぺたんと畳んで悲しさを示す。彼はその後、直ぐにタンスから着替えを取り出し、風呂場へと駆け足で向かっていった。
 部屋の中には俺とアマメさんだけになる。彼女は背中をこちに向けて囲炉裏に当たっており、別段向かい合っているわけではない。
 が、無言は避けるべきであろうと思い何か話題を探す。

「あの、アマメさん。勉強について何でですが、今回はどこまでやるーとか、そう言う目標ってありますか?」
「ん、あー……とりあえず尾獣堂の子をいつまでも縛るわけにはいかないからね。祢子に言われたぐらいまでかな」

 ああよかった、彼女はどうやら本来よりも少なめにして解放してくれる気らしい。流石は教師、子供のことを思いやれる妖怪だ。
 安心する俺を尻目に、彼女は近くに置いてあった新聞を手に取る。相変わらず、それは全くもって読むことはできない。

「これが全部読めるくらいまでかなぁ」
「無理だと思います」

 スパルタだなぁ、流石は子供を泣かせる妖怪。とにかく無理なことは無理と言えるヒューマンでありたい、そう願いつつもハードルの更なる低下を望んだ。




*****
前話 >>52
次話 >>54

Re: 一二三妖【3-7 更新 9/24分】 ( No.54 )
日時: 2017/10/18 15:09
名前: 塩糖
参照: http://最近引っ越しとかいろいろ忙しかったで済まぬすまぬ

【果てぬ意欲は水の中】-8

 
「じゃあ一先ず47音全部……って流石にこれは言えるか」
「え、50音じゃ、っていえナンデモナイデス」

 アマメさんは、どこからともなく取り出した指し棒片手で、壁に掛けた47音表をべしべしと叩いている。
 彼女にとっては軽くだろうが、女性だというのに建築関係の男性を思わせるほどのたくましい腕のせいか、少し家が揺れている気がする。

(そうか、こっちだとあいうえお順のあれじゃないのか。危ない危ない)
「50……人界だとそうらしいけどよく知ってたね。数十年前だと地域とかによって微妙に文字が違ってたりしたんだけど、とにかく今は47音。それだけ覚えればいいから、じゃあまずはこれ!」
「え、えっと……い?」
「そーぅ! じゃあ次は……」

 指し棒で記された文字を一時ずつ、地道だが確かな方法だ。だが、それは別に問題なく読めるのだ。
 伊達に小学生はしていない。問題は、それが連なって、文章になった時にやたら省略などがされるため読めなくなることだ。
 それをどうにかせねばいけないのである。

「――せ、す」
「うーん? ひらがなはちゃんと読めるんだ」

 当然、とはいうが途中ゑとかが出てきて少し戸惑ったのは事実だ。
 続いては簡単な漢字、仁だとか安を出されたがそれもこの年にしたら簡単なものだ。あまり苦戦もせず解いていく。
 その光景が彼女には少し不思議なようだ。

「あれれ、一君もその年にしてはかなも漢字も強い……、けどこっちは読めないんだ。
 となると、難敵は崩し文字、だねっ!」

 そう言って彼女が新聞を指さす所、文頭より後ろに見られる大量の崩れた文字。
 確かに、これさえ解決できれば読むのはだいぶ楽になるだろう。だが、どうやって読めばいいのだろうか。

「んー、んー? あ、あけがた……?」
「―― 一さん、ただいま上がりましたー」
「あぁ、お帰り始」
「お、始君も帰ってきたね?」

 どうにか似たような形の文字を当てはめて読んでいれば、少しばかり肌が赤くなった始が風呂から上がってきた。
 かなり気分がよかったらしい、まだ少し濡れている尻尾や耳が楽しそうに振られ……水滴が俺に降りかかっている。

(アマネさんが濡れた服を着てたことに突っ込むのに、尻尾とかのことは気にしないんだな……不思議だ)

 犬の様にぶるぶると、体を振ってないだけましなのだろうか。びっくりこそしたが、苛立つほどではない。
 アマネさんは、始のまだ濡れている髪の毛をガシガシと撫でてもみくちゃにする。

「わふっ、ちょっ、ちょっと待ってください……!」
「ふふふ、ごめんごめん。さてと一君、そろそろ寺子屋が始まる時間だから……」

 彼女はそう言って、始と俺の腕をつかんだ。
 非常に嫌な予感がする、が彼女の腕力をどうにかすることなどできない。
 されがまま、俺たちの体は引っ張られて宙を浮く。そう後、重力に従って落ちて、彼女の背中の上に落とされた。

「うわっ、てぐぉ」
「えっ、あの何を……あ! ごめんなさい一さん!」

 反射的にしがみついたが、それとほぼ同時に始が俺の首をつかんでぶら下がる。
 そのために非常に重く、苦しい。せめて、せめて首じゃなくて肩をつかんでほしい。そう提言し、直してもらってようやく息ができるようになる。

「ふー、ふー……」
「本当にすいません……、ところであの、アマネさん? これって、まさか」

 そう、気が付けば二重抱っこの状態。そしてなにやらおぶっている本人は急いでいる……となれば、次に何が起きるかなんて予想がついてしまった。二人で顔を見合わせる。
 最悪を想定し、それを否定してもらう、そんな一抹の希望を持ってアマネさんに話しかける。
 だが、

「あ、あのもしかしてこれって」
「――しっかり捉まっててね!」
「やはりですか!?」

 瞬間、体が腕、それも手のあたりを中心に前へと引っ張られる。それと同時に体が若干浮く、なんてことはない……アマネさんは俺たち二人を背中に、寺子屋とやら目指して走り出したのであった。

 


 
 数分ほどして強烈なひっぱりと浮遊感はなくなる、それと同時に俺の握力も消え失せ地に落ちる。
 力が無いと罵られるかもしれないが、むしろ妖に前から後ろからと引かれ元気な10歳はいないだろう。
 ちなみに始は余裕綽々だった。なので帰りは彼におぶって……冗談でも言わないほうがよさそうだ。

「さぁーてついたよ、ここが『寺子屋』さ!」
「……ぁぃ」
「おぉ……ここが、僕も噂だけは耳にしていましたが、実物を見るのは初めてです」

 ぐらぐらとする頭を起こして見れば、俺たちが今住んでいる家と同程度の建物がそこにある。
 無論木造で、屋根には黒に近い青の瓦が見え、入り口思わしき場所には「てらこや」と書かれた立て看板一つ。実にわかりやすい。
 昔町に来た時のことでも思い出しているのか、少し浮かれている始。それを横目に立ち上がり、服についてしまった土ぼこりをはたいて落とす。

「さぁさ、もう授業が始まるから入って入って!楽しいお友達がいっぱいだよ」

 そう彼女に背中を押され入り口へ、格子状に紙が貼られた引き戸に近づく。すると確かに、戸の向こうで誰かが話しているのがわかる、和気あいあいとしててとても楽しそうな雰囲気だ。
 始は耳がいいからそれがもっと正確にわかるのだろう、一切の警戒心が見て取れない。
 
(少なくとも安全面については問題ないだろうし、勉強する環境としても悪くなさそうだな)

 なるべく早くここを出ることを考えているが、それくらい気にしてもいいだろう。
 とにかく、新しい学び舎のみんなに挨拶はしっかりしないとと文言を考える。
 はじめまして、尾獣堂の方からやってきた一って言います……、やはり面白いことも言わなければならないだろうか。
 微妙にずれた心配事を抱きつつ、戸を開けた。

 ――瞬間閉めたくなった、それはもう勢いよく。
 そうだった、ここは学び舎で、来るのは当然妖怪の子供たちで……骨やカラスやらろくろ首やら鬼やら、今まで見てきたようなのも当然いる。
 だがあまりにも、多種多様。蛇のような人であったり、大きな顔だけの妖怪であったり、赤子の服をまとっいる謎の脂肪の塊であったり、はたまた刃物が独りでに宙を浮いていたり。
 それらの視線が一斉にこちらを向いたものであるから、少し覚悟が薄れた時にであったことでとてつもない衝撃が走る。

「一さん」

 始の声が後ろから聞こえる、そうだ、ここでひるんではいられない。今更妖怪を見た程度、どうってことはないだろう。言い聞かせて、足を一歩建物内に入れる。
 初めが肝心だ、舐められてはいけない。何て言おうか吹き飛んでしまった頭で思いついたことはただ一つ、

「……一です、よろしくおねがいします!」

 シンプルに挨拶することであった。



*****
前話 >>53
次話 >>?

Re: 一二三妖【3-8 更新 10/18分】 ( No.55 )
日時: 2017/12/04 16:47
名前: 塩糖
参照: http://滅べぎっくり腰

【果てぬ意欲は水の中】-9


「えーと、一尾の始です。勉強は好きですが遊びも好きなので仲良くお願いいたします! ……あ、火を出せます!」
「はい、始君も挨拶が終わったことだし皆これから……ってあれ?」

 見事に滑った俺の挨拶、そして無難にすませた始。壇上に立ち、二人で恥ずかし気に立っていた。なんと言えばよかったのだろうか、こういう場に慣れることは無いだろうと思うほど辛い。
 すると、アマネさんが何かに気が付いたようで首を傾げている。

「いち、にー、さん……今日は4人もお休み? 誰か何か聞いてる?」

 その言葉に他の生徒たちは否定を返した。
どうやら4人全員が理由不明での欠席をしているらしい。妖怪の世界にも不登校の波が到来しているのだろうか。
 とはいえ、周りが何も知らないというのも少し不自然かもしれない。

「うーん、ごめんね少しだけでかけてきます。しっかりお願いね」

 流石に心配になったのか、こちらを何度もちらちらと見た後、クラスの中で一番年長と思わしき子に声をかけ、アマネさんは寺子屋から離れていった。
 教官を任された子は少し、慌てながらも教法を取り出して授業を始めてくれた。

「と、いうわけで引き算した後の答えを用いて元の数を」

 思いの外、授業は普通であった。
 畳の床に、木でできた机に教本を置いて、皆で読みあったり、紙に筆で書き取りをしたり。
 難易度自体もさほど高くなかった。
 が、

「あ、足がしびれた……!」
「一さん、まだ10分しかたってないですよ?」
「普段はこんなに正座しないんだって!」

「わっ、墨が!」
「わきゃっ!? もう、尻尾が黒くなっちゃいました」
「ご、ごめん……擦るときに手を滑らしちゃって」

 日本で10歳の子供に正座をしろといわれて十分持てばそこそこ良いのではないか。
 感覚の消えた足をさすりながら周りを見やる。人型の妖怪は大体正座をしているが、他は思い思いの座り方をしている。少し恨めしい。
 そして筆を使うために墨を使うのだが、当然擦って使う様だ。今のうちに擦っておけば、後で楽ができると頑張って、途中で硯が飛んだ。
 始のクリーム色に漆黒が混ざり、なんだかかっこよくなったような気もする。
 いや冗談。

「それで、これからどうするんですか一さん。さっき聞いた目標までは正直時間が」
「うん、アマネさん説得するの難しそうだしな……」

 授業中こっそり始に、新聞をしっかりと読めるように、なんて目標を掲げられてしまったことを伝えた。当然彼は険しい顔をした。
 正直あの崩し文字を読めるようになるにはかなりの努力を要しそうだ。それに授業の時以外の時間は妹の行方を探したい、まったくと言っていいほど時間はない。

「……そうだ、崩し文字の方だったら始に憑依して教えてもらえれば多少は」
「とは言っても、僕も少し読めない部分があるのでやはりそこを勉強しなくては」
「あーそうか……」
「ん、どうしたの何か質問?」
「あ、いや別に!」

 少し声が大きくなっていたらしく、他の生徒に指摘され慌てて口を慎む。そして「正太郎くんが1個1文の柿7個を買い所持金が4文になりました。さて元々正太郎君はいくら持っていたでしょうか」という問題をはじめとした算術に取り組むフリをした。
 流石に、文字さえ読めれば足し算引き算なんて簡単すぎる。
 ちなみに、今の問題を解くよう指されたのっぺらぼうの井野(いの)くんは「目がないので分かりません」と恍けていた。
 じゃあ口もないのにどうやって喋ってるんだお前といったところだ。

「まったく、それじゃあ次の問題は……一君!」
「は、はい。11文です」
「よーし、じゃあ次は……」
「――みんな!」
「あ、アマネ先生おかえりなさい」

 そうこうしているうちに、アマネさんが息を切らして戻ってきた。
 最初は皆普通に先生の帰りを歓迎したが、彼女の様子が尋常ではないことに気が付き徐々に静かになっていく。

「と、とりあえず皆一度お家に帰ろうか」
「えー、なんで」
「まだ昨日の復習もしてないよー」
「ごめんね、理由は後でちゃんと説明するから……始君、一君、3手に分かれてみんなの帰りを助けてくれないかな?」

 突然指名された俺と始は顔を見合わせ、周りの生徒たちと同じように質問しようとした。
 けれどアマネさんは急ぐばかり、精々「子供たちの安全を確保するため」としかわからなかった。

「……とりあえず言われたとおりにしますか」
「そうだな」
「ありがとう、よしそれじゃあ皆帰り道の方向が近い子で集まって!」

 皆納得していなかったが、先生の言うことだからと大人しく従い、いくつかの集団を作る。
 その後こちらの方で調整して、3つの班が出来上がった。それぞれに俺、始、アマネさんが班長としてつく。

「二人とも、皆を家に帰した後は外出しないように言っておいて欲しい」
「いいですけど……流石にこれ終わった後に少しは説明を」
「じゃあ終わったらまたここで! ほら皆行かないとたべちゃうぞー」

 アマネさんに分けられた子たち、どちらか言えば年少の子が多かったのか、彼女が冗談交じりに先導するとみんな楽しそうについていった。
 その光景を見て、俺も始に別れを告げて出発する。始は少し心配そうにしていたが、流石に子供を送り届けるだけだからと許してくれた。
 ちなみに井野君はこっちの班だった。


*****
前話 >>54
次話 >>?

Re: 一二三妖【3-9 更新 12/04分】 ( No.56 )
日時: 2018/02/05 18:37
名前: 塩糖

【果てぬ意欲は水の中】-10

「じゃーん、けーん、ぽい」
「……どの手だ?」
「この手だー!」
「どれだ」

 蜘蛛の子編み出す6拳法、2本ずつぐーちょきぱーを出すため絶対負けない。なお必ずあいこだから勝てる道理もない。
 そもそもよく考えてみれば、人間にも手は二つあるが決して両方は出さない。

「そこの角を右に曲がってー」
「えらく道細いがこれ人の家の敷地じゃ……」

 我ら妖怪探検隊、突撃隣のガーデンへ。見つかれば雷親父が飛んでくる。叱られるは当然、年長者である俺。
 そこまでしてやることは少しの短縮のみ、道理に合わない。

「マコトー、尾獣堂ってどんなところなんだ?」
「え、えーととにかく狐とか狸とか尻尾の生えた妖怪とかがいっぱいいる……らしい」
「らしい?」
「いや! いるいる!」

 予想以上に、小さい子を連れての帰り道は辛いものがあった。彼らの帰り道を知らない俺は聞くしかないのだが、どうやら俺に任されたこの子たち、遊びたがり盛りなのかなかなか素直に教えてくれない。
 やれじゃんけんだ近道だとぶんぶん振り回されこちらはへとへとである。
 漸く気を引いたかと思っても、来るのは尾獣堂に関しての質問であったりとかなり苦しい展開であった。
 主に井野くんがそのことに関して興味津々であったらしく、いくらはぐらかしても直球をなげてくる強肩がこちらに迫っていた。

「なんか妖術見せて、すっごいやつ!」
「あの、井野君……び、尾獣堂はそんな簡単に妖術を見せたりは――」
「ハジメはさっきみんなに見せてたよ?」
(始ーッ! 助けてー!)

 今はここにいない、頼れるものへの叫び。始が自分の班を誘導する際に見せていた狐火のようなものを期待されても俺にはどうにもできない。
 手品、親指が消えるマジックでもしようか。そんなことしたら白い目で見られることは明白だ。

「そうだ! みんなはどんな妖術使えるんだ!? 俺はみんなのすごいのを見てみたいなぁ!」

 無理やりにでも話題をそらす、そんな意志を内包した強引な言葉。いつのまにか冷や汗一つかいていたことに気が付く。
 無論こんなものは時間稼ぎに過ぎない、すぐに話を逸らすなと言われて――

「えー、みたいの? いーよ!」
「あ、井野だけずりぃ。俺も!」
「僕も―」

 前言撤回、妖怪の子供たちはちょろい。例えるのなら憧れのスポーツ選手にプレイを見せて欲しいと言われたようなものだろうか。のっぺらぼうも鬼らしき子も蜘蛛の子も皆こぞって自分の妖術を見せようとしてきた。
 後は歩きながら適当に相槌でも打っていれば家につくだろう。
 ところでさっきから気になっていたのだが、蜘蛛の子は見た目的に女の子のはずなのに一人称が僕なのはなんでだろうか。

「それじゃ俺から……」

 しかしトップバッターの井野君、突然黙ったかと思えば次の瞬間には道のど真ん中で立ち止まってしまった。
 それに慌てて辺りの人、いや妖の往来を気にしつつ井野君の手を引き道の端による。その間もずっと、井野君は口を閉ざしている。のっぺらぼうなので口は無いのだが。
 一体どうしたのだろうか。

「い、井野君……?」
「しーだよマコトにーちゃん。こいつ集中するとか言って時間かけないと使えないんだ」
「あぁ、そういうものなの……」
「まだまだ努力が足りないんだよねぇ」

 驚きとともに、すとんと合点のいく情報だ。確かに生まれたばかりの妖怪がいきなり火を出せるはずもない。
 彼ら妖怪が妖術を習得、もしくは使いこなすためにはそれなりの努力が必要である。
 始は変化、狐火、憑依と確か三種類の妖術が使えたはずだ。それがどれだけすごいことなのか、改めて尾獣堂の教育と彼の努力を感じた。
 それから数十秒経つと、井野君の纏う雰囲気が少し変わった気がした。準備ができたのだろうか。
 
「むむむ……妖術、変化」
「おぉこれは……えーと」
「マコトにーちゃんじゃない? 顔ないけど!」
「そりゃ俺のっぺらぼうだし」

 煙とボフンという音を立て、一旦井野君の姿が見えなくなる。数秒ではれはするが、そこに立っていたのは……黒い髪をした少年、なんだろうか。
 目も鼻も口もない、服装も変わっていない。なんというかマネキンの骨格が少し変わってカツラをかぶせた様な、そんな感じである。
 いや、始の変化も確か服装が変わるだけだとかその程度だったはずだ。骨格が変わるだけ凄いのだろう。だがいまいち、なんとリアクションを取っていいのかわからない。
 とりあえず、誉めないと機嫌を損ねることだけは確かだ。

「すごいな! 髪型とか長さもそっくりだし、あと……身長とかも計ったわけじゃないのにぴったりだ」
「へへーん、そうだろ……っあ!」

弟たちを褒める時のことを思い出しつつ、髪を撫でたり身長が同じことをジェスチャーでも表してみたり。少しオーバーかと思われるくらいに評価する。すると少し嬉しそうな声で喜んで……変身が解けてしまった。
 微妙な空気が場を支配する。

「井野はやっぱ持続できないからダメだねー」
「ねー?」
「……」

 それを蜘蛛の子と鬼の子がぶち壊す。容赦がなさすぎる。
 井野君がまた黙ってしまったが、今度は集中するためではなく恥ずかしさからだろうか。近くの壁に寄りかかり、うつむいている。
 とにかく、励まさないといけないのだろう。
 
「や、けど今のも十分凄いって!」
「……」
「これから練習していけばもっと上手くなれるよ!ほら怪談とかでよくある、屋台の蕎麦屋のおじさんに化けておいて、『こんな顔ですか?』って驚かすようなこともできるようになるんだろ?」
「……マコトもやってみてよ」
「え」
「やんないのは出来ないからだろ! やってみせてよ!」

 結局ここに戻ってきてしまった。更には井野君が少し怒り気味ということもあり、手品で納得してくれる確率は0に等しくなったと言ってもいい。
 蜘蛛の子、鬼の子も妖術を見せてくれる流れであったが、こちらが妖術をするのならばと順番を譲ってくれた。なんとも迷惑な優しさだ。

(ど、どうすればいい……)

 やらねば彼らは納得しない。納得しなければその不満が彼らの親、あるいは友人に伝わる。疑いの目がいずれ向けられることに……、非常にまずい。
 だが当たり前ではあるが妖術なんて使ったこともない、そもそも妖怪ではないのだか原動力であるはずの妖力自体がない。

――本当に?

(あれ、なんだろこれ……)

 不意に、体の心の臓よりも少し下。その辺りになにかが漂っている……そんな感覚がした。
 ぐるぐると周るそれは、認識した瞬間にはまるで欠陥を通っているように、全身を駆け巡り始める。
 なんだこれは……いや、確かに知っているはずだ。
 口が、自然と動き出す。

「一(ひー)」

 一度目はドチと対峙し始に憑依してもらった時、その時体に這っていたあの奇妙な力。 

「二(ふー)」

 二度目は宿儺との勝負を始める合図、線香に火を付けるために狐火を出した時。ゆっくりと、緊張していたからこそその力の流れに確かに気が付けた。

「三(みー)」

 三回目は、ああ思い出して今気が付いた。お守りの光が消えたとき、あの時ナニカが自分の体に流れ込んでいた。
 ならばきっと、この力は――

「妖」

 今なら出来る、何故だが自信に満ち溢れている。すっと左手の人差し指を上に向け、己の鼻の先にまで近づける。
 その指先へ、力を注ぎこむ。形作るのは火、効力はいい……ただ魅せるだけの代物を。

「妖術、狐火」

 ライターの代わりになるかどうかもわからない火力、けれど青白く美しい火が人差し指の先に灯った。


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