複雑・ファジー小説

【合作】三千世界のヴァルキュリア【完結】ーそして“伝説”へー
日時: 2019/05/10 17:09
名前: <革命軍>
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=931

皆さん初めまして!
当スレは他の作家さんのオリキャラと一緒に冒険するクロスオーバー企画から生まれたスレです!
☆※2019/03/24 完結しました。今までご愛読誠にありがとうございました!

★あらすじ...(>>202
 突如出現したワームホールにより、未知のエリアー"異世界"に飛ばされたオリキャラ達。
 次元を超えたその先はー
 恐ろしい絶望の天使"ヴァルキュリア"達が侵略する、近未来の激戦区だった...(詳細は>>202

★用語集
●【異世界】
 次元の歪み=ワームホールから行くことが出来る未知の世界。そこは科学が発展し、最新のテクノロジーによって発展した近未来の世界だった。
 しかし未知の侵略者"ヴァルキュリア"の侵攻によって平和な時代は終わりを告げ、終わりの見えない激戦が繰り広げられている世界になってしまった。

●【協力者】
 青いオーラをまとって召喚された正義のオリキャラ達。そのオーラはオリキャラへ「創造」の力を与え、前世の武器や能力を全て使える。元の世界に戻るべく、ヴァルキュリアに立ち向かう。
この世界の物理法則に囚われない協力者は、「圧倒的 不確定要素」として侵略者達を圧倒していく。

●【ヴァルキュリア】
 人のような姿をした別の存在。それは人間でもロボットでもないとされている。とある理由から人間を駆逐し、自分たちの管理社会を作ろうとしている。

●【レジスタンス】
 ヴァルキュリアに対抗する民間軍事企業。街の防衛や協力者の召喚を行い、ヴァルキュリアに対抗している人々。正規の軍隊である連合軍と共同戦線を張っている。

●【上位者】
 何者かがこの宇宙に仕込んだ"ウィルス的存在"、黒幕。今作のラスボスで、いわゆる"神"。

★執筆者一覧
・スレ主 ・四季さん ・ハガ音さん ・流沢藍蓮さん ・ryuuuさん
・モンブラン博士さん ・ゼラチンさん ・amtさん ・彩都さん ・金平灯さん
・水滝契さん ・ルイージさん


★協力的 登場人物(>>80) ★敵対的 登場人物(>>17

★目次(時間軸順)
☆一章「ザ・ファースト・ブラッド」(>>151

☆二章「オールド・キングダム」(>>296

☆三章「フェイク・ドーン」(>>340)

☆X章「アトリエ・ザ・ファースト」(>>351)

☆禁断の章「フォービトン」(>>352)終

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Re: 【合作】センヴァル!【次回 最終話】 ( No.353 )
日時: 2019/03/24 21:55
名前: 名無しのアキラ

夜の旧市街ーー地面に降りて動かなくなったフレスヴェルグの上には、辺りを真昼の如く照らす白い球体が現れていた。その周辺にはレジスタンスや連合軍、そしてヴァルキュリア達が集まって、その光景を見守っている。
ソル達5人が消えて、およそ2時間が経過しようとしている時だ。
地上ではレジスタンスのリーダー格であるラヴォンとアミラが人間側の軍の指揮をとり、ヴァルキュリア側は居なくなってしまった指揮官のソルに変わり、副隊長のイクリプスが味方へ指示を出す。
フレスヴェルグを包囲し、その頭上に現れた太陽の様に輝く球体の解析に追われる。あの5人はどこへ消えたのか、フレスヴェルグは本当に死んだのか、そもそもこの世界の成り立ちと奴ら、“上位者”の正体とは一体なんなのか......

そしてある時、突然白い球体が輝きながら大きく弾け、そして辺りに白い光の粒子を撒き散らしながら消滅する。衝撃波が街を吹き抜け、それはまさに星の爆発の様な、けれどもどこか美しい光景だった。
その様子を下で見ていた異界人のヴェルゼと、ヴァルキュリアのユキカゼは、フレスヴェルグの異変に真っ先に気づいた。

「ユキカゼ見ろ! フレスヴェルグが!」

ヴェルゼが指差す先。そこには完全に機能が停止したのか、崩れ落ちて行くフレスヴェルグの巨体があった。ボロボロと土塊の様に崩壊し、そして、地面に倒れていった。山の様に大きな巨体だ、それ相応の振動と衝撃波が再び街を駆け巡る。
勝鬨上げる余裕もない、ただただ呆気にとられる人々。

だがしかし、そのフレスヴェルグの手前に現れた“4人”の人影を見るや、人々の表情に一気に明るさが戻る。
白い礼装の青年、黒いドレスの少女、巌の様な肉体の大男、そして白と黒の対比が美しい小さなメイド......


『おおおおおおおおお!』


一斉に上がる勝鬨、そして駆け寄ってくる人の群れーー
そこには多くの人間、異界人、そしてヴァルキュリア達の姿があった。
真っ先に駆け寄った大きな影、金髪碧眼紳士のスターは、不動仁王の肩に手を回しながら叫ぶ。更に他のスター流のヒーロー達の姿もあった。

「無事だったか不動くん! 見たまえ、“我々の”勝利だよ! 君が、いや、君達がこれをやったんだ!」

スターが広げた腕の先では、種族や世界の壁を超え、互いに1つの目的の為に沢山の人々が集まり、皆同じ歓声を上げていたのだ。

「あ、ああ......」

「ーーあれ? 不動さん、どうしたんですか?」

同じくスター流のヒーローの1人、忍者装束の少女、美琴は不動の顔を覗き込むように尋ねる。
しかし今の熱狂の中心にいる不動達は皆、どこか浮かれない様な表情をしていた。
レジスタンスのリーダーのラヴォン達もまた、付き合いの長かったエリアスとグラエキアの元へ駆け寄った。

「おう! 生きてたのかエリアス、グラエキア! 後で一杯やろうぜ!」

「ラヴォン......貴方も、ご無事で何よりですね......よかった」

そしてラヴォンもすぐにエリアスの少し暗い表情に気づく。
そこへ、ヴァルキュリアの一団もやってくる。真っ先に飛んで来たのは、桃色の髪を両サイドで纏めたヴァルキュリアの少女、フェイルノートだ。

「エリアスくん、グラ子ちゃん!ーーあれ、“センパイ”は?」

「......」

手を上げて喜んだフェイルノートだったが、すぐに彼女のセンパイーー“ヴァルキュリア・ソル”をキョロキョロと探し始める......しかし見当たらない......
エリアスの表情から、一部の面子は何かを察し始めるが......
その時、フェイルノートのすぐ後ろにいたヴァルキュリア部隊の副隊長、イクリプスは、何かを感じ取ってふと顔を上げた。
それに吊られて他の面子も同じ方向を見るーー

ーー落ちたフレスヴェルグの残骸の丁度天辺、そこにはーー銀色の髪を風になびかせ、白い竿状の物を手にした少女の姿があった。
誰かが声を上げるよりも真っ先に早く、イクリプスは駆け出し、あっという間に高い残骸を駆け上って少女の前に立つ。
ーー長い銀髪を後頭部で束ねた、赤い瞳の少女。白を基調としピンクのラインが入った戦闘服を着た少女の手には、イクリプスが見慣れた聖槍が握られていた。
「グングニル」。その槍のオリジナルは神界に存在するとされ、この世界ではそのコ ピーしか存在しないとされるが......彼女の手にするそれは......

「ーーソルちゃん? ソルちゃんなの?」

虚ろな瞳の少女は形こそ無二の盟友であるソル・ヴァルキュリアだが、只ならぬ雰囲気に言葉をかける。
少女ーーソル(?)は顔を上げた、イクリプスを目に捉えるとーー

「ーーあれ......イクリプス? わたし、どうして......」

ソルは、片手を額に当てながら、槍を杖にする様に前のめりになる。それをそっとイクリプスが受け止めようとした、その時だった。


『質問に回答する』


ーーと、その声はソルの足元、そこに転がっている、まん丸い、3つの穴が空いた“石ころ”からした。否、声と言うよりはテレパシーの様に、一同の脳に直接メッセージを送る様なものだった。
そして、その白いまん丸い石ころを見つけたソル、エリアス、グラエキア、不動仁王、そして佐治嘉元の5人は、表情が一瞬強張るとーー


『ぎゃあああああああああ!?』


全員が一斉に発狂しそうな悲鳴を上げる。ソルは飛びのいて、イクリプスの方へ逃げた。

「何故お前がここに!?」

『ーー“質問に回答する前に”質問に回答する。
最初に言った通り、“最初の古工房”が破壊されれば、当然そこに居た者は外の世界へ弾き出される。私も君達と同じ原理でここへ来た』

指差すエリアスの質問にあっさりと返事をする石ころ。
熱狂は一部収まり、周辺に居た人々は皆ソルと石ころ達へ注目していた。

『ヴァルキュリア・ソル、君の質問へ回答する』

あっちの世界では角ばっていた石ころは、今は完全な球体型になっており、3つ空いた穴から流れ出ていた黒い液体の流出は止まっており、代わりにLEDの様に七色の光をピコピコと光らせていた。

『ーーヴァルキュリア・ソルは元はと言えば最初の古工房の産物であり、そこが破壊されれば彼女自身もこの世から消滅する筈だったーー』

石ころは語る度に自身に空いた穴からもれる光を点滅させる。

『しかし君はこのループ世界で多くの異界人達と戦い、傷つき、そして「この現実に存在する物質」を取り込んで肉体と精神を再生し続けた。
結果、工房による生命維持の必要性が徐々に減っていき、遂には“完全なヴァルキュリア”として独立するまでに至ったのだ』

Re: 【合作】センヴァル!【次回 最終話】 ( No.354 )
日時: 2019/03/24 21:56
名前: 名無しのアキラ

そして、地平線に光が灯るーーそう、「夜明け」だ。上位者が死んだことにより、この世界には「朝」が訪れたのだ!人々は皆それを指差しんがら喜びの歓声をあげる。

石ころの言葉に、イクリプスは怪訝に目を細める。洞察力に優れるイクリプスは、僅かな情報であっても直ぐに事の真相を見抜いてしまう。そしてイクリプスはソルのことをま直ぐ見つめて捉えた。

「ーーソルちゃん? “この人”がどなたか知りませんけど......その聖槍といい、また1人で“危ない事”したようですわね?」

「ああー......はい......」

いつもソルに怒られてるイクリプスだが、今回は立場が逆な様だ。ちょっとたじろぐソルにーー

「ダメじゃないですの! 勝手に1人で突撃して、“また”怪我したらどうするんですの!」

「あ、すいません......」

檄を飛ばすイクリプス。
聖槍を抱えながら、ぺこりとお辞儀をするソル。滅多に見られない光景だ。ソルは自身が前に出て作戦をこなす事が多く、危険な目に何度もあっており、その度にいつもこうなる。
イクリプスもムッとした様な顔で目を釣り上げていたがーーすぐにまた何時もの余裕のある笑みを浮かべてくれた。

「でも......本当に無事で良かったですわ......」

そして軽く抱き合い、その後ソルの手を引くイクリプス。

「さあ、行こうソルちゃん。みんなが待ってますわ。それとーー」

イクリプスの視線は、ソルの足元に移る。

「“あなた”も行きますこと? まあ、ずっとここに居て下さっても結構ですけど」

『君達の存在は、即ち私の存在意義である。そうして貰えると助かる』

イクリプスは「あらあら」と少し皮肉も込めた返事を返すと、ひょいと石ころを片手で抱えてあげる。
そして2人はフレスヴェルグの残骸の上から飛び立ち、スラスターを吹かせながら下へと滑空していった。

「おおー! ヴァルキュリアだー!」

「人とヴァルキュリアが力を合わせて勝ったんだー!」

「“石ころぉ”も、ええぞ」

大勢の熱狂の中に降り立つソルとイクリプス。そこにはエリアスやグラエキア、嘉元と不動仁王の姿もあった。
と、グラエキアがずいと前に出てくるとーー

「ーーこれ、返しますわよ」

パシっとソルへ何かを投げる。受け取ったそれは、自分が選別に渡した、自分のピンクのリボンだった。

「ーーなんと言えば......お恥ずかしいながら、只今戻りました」

「はいはい、よく戻りましたわね。このわたくしへの借りは、高く付きますことよ?」

グラエキアからリボンを返してもらったソルは、再び綺麗にお辞儀を返した。
そしてその熱狂の中、イクリプスに抱っこされた石ころが再び光りながら喋り出した。


『ーーだがしかし、“君たち”とは、もうお別れだ』


「え?ーーあっ!」


石ころの言葉に、ソルは何かに気づき声を上げる。その先には、エリアス達の姿があったがーー
その異変に、レジスタンスの副将のアミラや、ヴァルキュリアのフェイルノートも直ぐに気づいた。

「ーー!? ちょっと、皆さん!?」

「あれ! どうしたんすか!? 身体がーー!」

注目の先にあるエリアス達。見るとーー身体が少しずつ半透明になっていくのだ。それは彼らの下半身、足先から顕著になって現れている。
それでエリアスは、その事を思い出した。

「ーーああ、すみません皆さん。すっかり忘れていましたが、私達はこの後の“パーティ”には参加できそうにありませんね」

「なんだって!? どういうーー」

「ーー“歴史は修正される”でしたわね」

レジスタンスのリーダー、ラヴォンの言葉を遮る様に、グラエキアが石ころに言われた事を告げた。

「ーー“ここまで”か......」

「まあ、仕方ないね」

喜びもつかの間、「夢の終わり」を悟ったように、不動と嘉元は夜明けを見上げたーー

Re: 【合作】センヴァル!【次回 最終話】 ( No.355 )
日時: 2019/03/24 21:57
名前: 名無しのアキラ

旧市街の大通りでは、大勢の人間が勝鬨と熱狂の渦を作っている。そこから少し離れた路地に彼らは集合していた。異世界からやってきたヒーローの一団、“スター流”の同志達だ。
元の世界では常に悪と対峙し続けて来た彼ら、この世界に来て未知の脅威と遭遇するも、遂に生き残り、人間軍を勝利に導いたのだ。

そのスター流の創始者である金髪碧眼の“スター”本人と、更にその師匠である黒ずくめの青年“闇野髑髏”は、円陣の中心に立ち、“最後の”スピーチをしていたーー
そう、彼らもまた、この異世界の鎖から解き放たれ、今まさに元の世界に帰るーーつまり、この世界から消滅しようとしていたーー

「時間がないから簡潔に済まそう。まず、君達、今回は本当に良く頑張ってくれた」

スター流だけでなく、別宇宙ではヒーローの頂点の座に着く闇野からの労いの言葉に、同志達にも感慨深い思いがこみ上げる。
そしてーー

「ーー君達の助けが無かったら、恐らくこの戦いには勝てなかっただろう」

「闇野様、それは......!」

スターが思わず声を漏らすも、闇野は続ける。

「ーーこの“宇宙”には私達スター流の同志がまだ知らぬ、未知なる恐ろしい【悪】がまだ居る。
奴らは必ず、また我々の前に姿を現わすだろう......」

闇野はこの世界に居た、否、【まだ居るであろう】“上位者”の事を言っていた。既存の“概念”に囚われない、正に“未知”の敵。

「我々スター流はヒーローの名に恥じることなく、元の世界に戻っても初心と鍛錬を忘れず、再び来るべき悪と対峙する事を忘れてはならない」

「ーー心得ております」

「当然です、日々の鍛錬は己を裏切らない。私もこの世界での教訓を生かします!」

闇野の言葉を頷きながら聞いていたシャドーとカイザーも誓いを立てる。

「この世界でも上位者相手に勝ったんです!次も必ず生き残れますよ!」

「相変わらず楽観的だなあ美琴さんは......ま、君のそういう所も嫌いじゃないけどね」

美琴の言葉に、ヨハネスが呆れながら相槌を打つ。
お互いに言葉を交わすスター流の同志達。そしてスターが闇野へ一歩近づいた。

「そろそろ“時間”ですな......闇野様はこの後どうなされるのです?」

「ーーしばらく“旅”をする。“ヒーロー”とはある日突然現れ、平和な世界が訪れれば消えるものだ。だが再び“巨大な悪”が君達の前に現れたのならーー」

闇野はそっと右手を一同の前に差し出してーー


「また“共に”戦おう! 我々スター流は、必ず生き残るんだ!」


『ーーはい!』


一同は円陣を組み、皆差し出された闇野の右手に、己の手を重ねて声を上げたーー


刹那ーー


ーー彼らの姿はもう路地には無かった。





旧市街の石橋の上で2人の少年が腰を下ろし、瓶に入った黒い液体を飲んでいた。
彼らは異世界からやって来た魔術師、リクセスと時雨だ。
リクセスはいつも表情に余裕がる、自信に満ち溢れたイメージの少年で、時雨は肩まである黒い髪と水干のような服を着込んだ、ちょっぴり陰があるイメージの子だ。
時雨の方は黒い液体を口に入れるとーー

「ーーそれにしても、随分変わった飲み物だね、これは。だが美味い」

「“コーラ”って言うらしいよ、本当に“変わった世界”だったね」

2人は語り合いながら瓶を傾け、そしてこの“異世界”の夜明けを見届けていたーー

「ーーでも、僕たちヴァルキュリアだけじゃない、あんな巨大な神様まがいすらも倒したんだ。セラン戻っても、きっと生き残れるよね」

「ーーうーん、ちなみにそういうのって、この世界では“死亡フラグ”って言うらしいよ」

リクセスの言葉に、時雨は思わずクスリと笑ってしまう。彼が滅多に見せない表情だ。

「おいおい、リクセス。なんだいそれは、只のこの世界の“いい伝え”みたいなものだろう?」

その問いにリクセスは自信ありげな笑みでーー

「ーー当たり前さ、次も僕たちが勝つに決まってるーーじゃ、あっちに戻っても宜しく!」

「ああ、じゃあまた“向こう”で!」


ーーそして、拳をコツンとぶつけた、2人の少年の姿が消える。
その橋の上には、空になった瓶が二本、並んで置かれてるだけだった......

Re: 【合作】センヴァル!【次回 最終話】 ( No.356 )
日時: 2019/03/24 21:59
名前: 名無しのアキラ

旧市街の教会の屋上ではヴァルキュリアのユキカゼと、アンダルシアからやって来た異界人のヴェルゼが別れを惜しんでいた。
夜明けを背景に立つ2人はほぼ最初期に遭遇した者同士であり、そして最後まで共に戦って生き残ったのだった。
既にヴェルゼの身体も半透明になっており、この世界にも後少ししか残れない状態だった......

「ここまで来てくれたのに、何も報酬を渡せなくて、すまなかったな......ヴェルゼ君」

「まあ、仕方ない。もしも“次”会う時があったら、その時にでも頼む」

いつもは辛口だが、今回のヴェルゼはとても紳士的だった。ひょっとしたら彼は報酬よりも大切な何かをもう見つけたのかもしれない......どんどん薄くなっていくヴェルゼの影、そして、ユキカゼはーー

「ーーヴェルゼくん、代わりに......これを受け取ってくれ」

「ユキカゼ、これは......」

なんと、帯刀していた自分の刀を鞘ごとヴェルゼへ、両手で丁寧に差し出した。

「もう私には、いや“この世界には”必要がない。この刀は私が今まで使って来た中でも最高の武器だ、君ならきっと扱える。だからーー」

ユキカゼはヴェルゼに刀を受け渡しーー

「“生き残って”くれ」

「......わかった」

ヴェルゼも両手でしっかりと刀を受け取る。
そして、彼はそっと右手を差し出した。

「それじゃあ、元気でな。ユキカゼ」

「ああ、君も達者でな」

そして握手を交わした、刹那ーー
ヴェルゼの身体は消え、この世から消滅していた。ユキカゼの刀もしっかりと持ってーー
その後ユキカゼは日が昇る地平線に向かって敬礼する。





旧市街の中心部の広場では、ラヴォンとソルの前に4人の異界人が並んでいたーー
1人はエリアス、白い制服に身を包んだエンジェリカ王国の天使の青年だ。優れた槍術と頑丈な天使の身体でみんなを護衛してくれていた。
そしてその隣に居るのは、黒いドレスを着こなした艶のある黒髪の持ち主の少女、グラエキアだ。
2人は最初期にこの世界に召喚されて出会い、その後行動を共にして来た。ヴァルキュリアと戦いながらもこの街まで辿り着き、ついに人間軍を勝利まで導いた。

「ーーお別れ、ですね......短い間でしたが、お世話になりました。ありがとう」

「あらエリアス、お世話していたのは、わたくし達の方ではなくて?」

グラエキアの言葉にエリアスは「それはお互い様ですよ」とニコリと笑みを返した。

その横には巌の如し鍛え上げられた上半身の大男のヒーロー、不動仁王と、背丈が小さくメイド服を着ている黒髪の少女、嘉元がいた。
不動仁王も最初期にこの世界に召喚されてからは様々な激戦を繰り広げた。嘉元はその後に召喚されて、色々あって只の人間からヴァルキュリア化まで果たし、共に最後まで戦ってくれたのだ。

「......頼もしい“戦士”だったぞ、お前達はーーだが......可能ならば、もっと“別の形”で出逢いたかった......」

「あーあ、元の世界に戻ったら、またつまんない学校に通う日々だよ」

とても意外な事に、不動からは賛美と別れを惜しむ言葉が漏れた。
そして嘉元も悲しみを紛らわすように言葉をかける......
その手前に立つソルとラヴォン。

「皆さん......すみません、なにもお礼を渡せなくて......」

「ーー俺に関しては気にする必要はない。ヒーローには、報酬よりも大切なものがある」

「確かに、このままじゃ働き損だねえ。今度アンタに“コーヒー”でもおごってもらおうじゃないか」

申し訳なさそうなソルに、不動も嘉元も笑みを返す。
グラエキアとエリアスも同じく最高に上々だった。

「この借りは高くつきましてよ? ま、それを私に返すまで、精々頑張って生き残りなさいな。ふふっ」

「私も気にして居ませんよ。“皆さんに出会えて良かったです”ーー」

そしてーーエリアスが右手を差し伸べるーー
消えかかる4人の影......もう最後に出来る事はこれぐらいしか無かった。もはや「言葉」もいらなかった。5人は円になり、互いに自身の右手を重ねていった。


ーーまた会おう


最早、その別れの言葉までは聞き取れなかった。けれども、その意思はしっかりと伝わった。それはーー世界と種族を超えた「結束」が叶った瞬間だったーー
そして風が吹き、朝日が昇るとーー4人の戦士の姿は消えて居た。
旧市街、否、世界の中心にぽつんと取り残されたソルは、ふと空を仰ぎ、何かに思い耽る......

そして手にした聖槍を掲げ、それに願ったーー





ーーさようなら“伝説の戦士”、ありがとう、みんなーー






ーー終わったよ。




合作!!三千世界のヴァルキュリア!!(完結)

執筆期間:2017/08/26〜2019/03/24

執筆者:13名
●名無し(スレ主)
●四季さん
●ハガ音さん
●流沢藍蓮さん
●モンブラン博士さん
●ゼラチンさん
●amtさん
●彩都さん
●金平灯さん
●ryuuuさん
●水滝契さん
●ルイージさん
●MRKさん

Re: 【合作】三千世界のヴァルキュリア【完結】ーそして“伝説”へー ( No.357 )
日時: 2019/05/10 17:13
名前: 名無し

こんにちは。些細な事ですがご報告です。

>>0の整理を実施し、またステータスを「募集中→完結」へと正式に変更致しました。
以降こちらの企画は本日をもってサービス終了とさせていただきます。沢山のご応募・応援誠に有難うございました!

今後の新企画をお楽しみに(^^)

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