複雑・ファジー小説

【合作!!】千ヴァル!!【最終章】
日時: 2018/09/15 19:27
名前: <革命軍>
参照: http://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=931

皆さん初めまして!
当スレは他の作家さんのオリキャラと一緒に冒険するクロスオーバー企画から生まれたスレです!
詳しくはURLのリク依頼掲示板のスレから是非参加してください!
誰でも参加でき、またルールは一切ありません!貴方のオリキャラの参加を待っております!


★あらすじ...(>>202
 突如出現したワームホールにより、未知のエリアー"異世界"に飛ばされたオリキャラ達。
 次元を超えたその先はー
 恐ろしい絶望の天使"ヴァルキュリア"達が侵略する、近未来の激戦区だった...(詳細は>>202


★用語集

●【異世界】
 次元の歪み=ワームホールから行くことが出来る未知の世界。そこは科学が発展し、最新のテクノロジーによって発展した近未来の世界だった。
 しかし未知の侵略者"ヴァルキュリア"の侵攻によって平和な時代は終わりを告げ、終わりの見えない激戦が繰り広げられている世界になってしまった。

●【協力者】
 青いオーラをまとって召喚された正義のオリキャラ達。そのオーラはオリキャラへ「創造」の力を与え、前世の武器や能力を全て使える。元の世界に戻るべく、ヴァルキュリアに立ち向かう。
この世界の物理法則に囚われない協力者は、「圧倒的 不確定要素」として侵略者達を圧倒していく。

●【ヴァルキュリア】
 人のような姿をした別の存在。それは人間でもロボットでもないとされている。とある理由から人間を駆逐し、自分たちの管理社会を作ろうとしている。

●【レジスタンス】
 ヴァルキュリアに対抗する民間軍事企業。街の防衛や協力者の召喚を行い、ヴァルキュリアに対抗している人々。正規の軍隊である連合軍と共同戦線を張っている。

●【上位者】
 何者かがこの宇宙に仕込んだ"ウィルス的存在"、黒幕。今作のラスボスで、いわゆる"神"。

●【ドラグーン・システム】
 ※ネタバレ注意(>>230)


★執筆者一覧
・スレ主 ・四季さん ・ハガ音さん ・流沢藍蓮さん ・ryuuuさん
・モンブラン博士さん ・ゼラチンさん ・amtさん ・彩都さん ・金平灯さん
・水滝契さん ・ルイージさん


★協力的 登場人物(>>80) ★敵対的 登場人物(>>17


★目次(時間軸順)


☆一章「ザ・ファースト・ブラッド」(>>151

☆二章「オールド・キングダム」(>>296


★三章「偽りの夜明け」

「最後のヴァルキュリア」編
>>297

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Re: 【合作!!】千ヴァル!! ( No.297 )
日時: 2018/09/15 19:22
名前: 彩華 ◆40kNVwyVY6

朝日が昇る。優しい光が廃墟と化した街を包み込み始める。こんな瓦礫の山と化した街でさえ、鳥のさえずりは聞こえてくるものなのか。
ーーけれども、そしてそんな穏やかな朝を引き裂くように響きわたるスカートアーマーのスラスター音で、ラヴォン達はその正体をすぐに察知した。



砕けた教会の外に横一列に並ぶ人影......白い装甲を身にまとった少女達、ヴァルキュリアだ。全員がほぼ無傷であったが、その内一機は装甲が大きく破損しており、左腕も三角筋と当て木で固定してる状態だった。
そいつら相対するようにラヴォン達は前に出る。その横には黒衣を纏い大鎌を背負う死神のような少年ヴェルゼと、人間達によって生み出された人造のヴァルキュリアの少女、ユキカゼ。そして火が灯ったカンテラを片手にぶら下げ、黒いローブに身を包んだホムンクルスの女性、フィア。
3人がヴァルキュリア達に対して身体を斜めに構えて臨戦態勢である中、フィアだけはきょとんとした表情で棒立ちのまま、向こう側に並ぶ見たことのない種族の少女達を眺めていた。
ヴァルキュリアは人類の天敵であるのだが、なぜか彼女達はラヴォンへ襲ってこない。その理由は、彼の後ろにいる少女、アイギスのせいだった。
この赤毛の少女アイギスもヴァルキュリアであり、しかもあっちの面子の仲間だ。けれども色々あってラヴォンへ協力し、今こうやって再び本来の仲間たちと再会することになったのである。

ラヴォンが数歩前に出てくる。

「大人しく来た事は褒めてやる。それで、なんだ?一応要件は聞いておくぞ」

「......フフッ、フフフフッ......余はこれまでに数多の協力者を葬ってきた......」

頭に天文時計が組み込まれた帽子を被る、小柄なヴァルキュリア、インデックスが静かに笑いながら呟く。
その様子にラヴォン達は眉をひそめる。

「ーー次は、貴公らの番になったのだ」

「ああ?馬鹿かお前ら!もうお前らに大した戦力が残ってないのは分かってるぞ!諦めろ、ヴァルキュリア!」

ラヴォンの飛ばした叱責を突きかえすかのように、インデックスは再び口を開こうとするが...

「ーーお言葉ですが、インデックス様。あの人間の言ってる事は事実です。要撃となる軽歩兵団や機甲師団、更に他のヴァルキュリア部隊が全滅した今、もはや我々だけでこの盤上を覆すのは困難かと......これは実質ーー」

そう言うのは、インデックスに次ぐ地位を持つヴァルキュリア「ソル」だった。束ねても太ももの辺りまで届く銀髪が特徴的な彼女は、このヴァルキュリア部隊の参謀役だ。
ソルの言葉に、インデックスの余裕の表上が一瞬崩れた。

「ーーで? だから何だね、ソル君? “ヴァルキュリアの敗北”と言いたいのかな?
正規戦を継続できないなら、ゲリラ戦に切り替えればいいだけだろう」

それでもインデックスは「まだイクリプスも、それに“私”が残ってるじゃないか」と、ソルの言葉を突き返す。しかしもはや彼女達に勝ち目がないのは、誰にでも目が見えていた。今のインデックスは意地とかそう言うレベルではなく、本当に頭が狂ってるのかと疑うぐらい、人間の殺戮へ執着していた。もはや戦争の勝ち負けなんかどうでもいい、とにかく目の前の人間を葬ることしか考えていないようだった。
総大将にあるまじき態度に、ソルや他のヴァルキュリアも動揺を隠せない...

Re: 【合作!!】千ヴァル!!【最終章】 ( No.298 )
日時: 2018/09/15 19:26
名前: 彩華 ◆40kNVwyVY6

ーー丘の上に現れた恒星の如し輝きの光。
そして、そこから放たれた稲妻の束が、カイザーの背中を貫いたーー弾ける黄金の光と鮮血......そして直後、イクリプスの矛先がカイザーの、脇腹を貫いた。交差するように突き出されたカイザーの拳は、イクリプスの左肩の装甲を粉砕して吹き飛ばす......
一瞬の出来事にイクリプスは一瞬槍を突き出したまま停止するが、カイザーの返り血を&#38960;に浴びて我に帰ると、バックステップを取って一旦距離を取る。
改めて見ると、カイザーの巨体には風穴が二つ空いていたのだ。一つはイクリプスの刺突によるもの、そしてもう一つは......背後からの“狙撃”によるものだった。

「ーーえっ、なに!?“不意打ち”!?そんなーー」

美琴は丘の方とカイザーを交互に見た。

「ーーあら......これは、なんて事でしょう。すみません、“うちの子”が出てきちゃいましたかーー」


『なーーなにしてんだ“お前ら”はあああああ!!!』


イクリプスの言葉を、ヨハネスが放った怒号が&#25620;き消した。そして美琴の制止を振り切り、ヨハネスは1人飛び出していくーー





溶岩の海から少し離れた高台に、“彼女”は居た。癖のある長髪を両サイドでまとめた少女「フェイルノート」は右腕の装甲を変形させ、中指と人差し指を溶岩で赤く染まった大地へ向けて居た。手からは白煙が上がっており、何かを放った後であることが伺える。その青く大きな瞳で捉えた“それ”を自身の能力で貫いた事を確認した彼女は、口元にニヤリと笑みを浮かべる。


『ーースキル“万物貫通”!』


彼女が呟くと、その後ろの暗闇からも複数の白い影が出てきた。その中でも一際小さいのが前に出てくると、眼下の灼熱の大地を眺めるようにフェイルノート横に並んだ。頭に被った天文時計が組み込まれた帽子がトレードマークのヴァルキュリア「インデックス」だ。一応、現在はヴァルキュリア達の頭目でもある。

「ほほう?流石に当てるか」

インデックスは、まるでピクニックに来て景色を眺めるように呟く。
そんな彼女の後ろに続くは、太ももまで届く銀の長髪のヴァルキュリア「ソル」と、奇妙な箱型の防具を被った「ファランクス」だ。

「ーーまあ、このまま戦わせてみて、どっちが死ぬか楽しみでもあったのだがな」

「ーーっ!」

インデックスの言葉にソルは何か言おうとするも、それを堪えた。そんな彼女を尻目にインデックスは腰のスラスターを吹かせて、マグマの大地へ飛び立った。

「......行きますよ、ファランクス、ふぇーたん」

「あのガキ......」

「いつか、殺してやるっす......!」

インデックスの背中に殺意を向けた3機も後に続く。

Re: 【合作!!】千ヴァル!!【最終章】 ( No.299 )
日時: 2018/09/15 19:36
名前: 彩華 ◆40kNVwyVY6

深夜2時。レジスタンスの拠点では、武器商人のミヤギが持ち込んだ「ユキカゼの遺体」について、夜にも関わらず凄まじい勢いで物議を醸していた。
背丈の小さい黒衣の少女、グラエキアは、その優雅な見た目と性格がぶっ飛ぶ程動揺し、思わずジェスチャーも混ぜながら声を荒げていた。

「そもそも!なんですのこれは!?石化してるじゃありませんの!」

グラエキアが指差す遺体は、正に石ころと化していた。これの元が、金属のフレームからなるケイ素生命体だとは想像し難い有様だ。
ユキカゼのようなヴァルキュリアは、死亡すると皮膚のテクスチャが次第に乖離して行き、人間の皮が剥がれ尽くすと、正に人型のフレームを持つロボットのような姿になるのだ。それがさらに周囲の地層と一体化し、化石になるには相当の長い年月が必要なはずだが......

「うーん、そうだよねー。どうやったらこうなるんだろ......けれども、作り物にも見えないしなぁ」

その隣、グラエキアの言葉に続けて独り言のように呟く魔法使いの少年、リクセス。彼も少し顔を近づけながら、変わり果てたユキカゼを見ていた。

そこへ、一階から複数の人間が階段を上がってくる足音が近づいてきた。3人程だろうか。しかもレジスタンスの子分達のどよめく声も混じって聞こえてくる。

「あっ、こら!」

「なんだ、あんた達は!」

そして会議室の入り口のレジスタンス達を押しのけて、3人の人影が立ち並んだ。
1人は茶色の高級そうなスーツ姿の紳士だ。身長は優に180センチはあるだろうか。スーツの上からでもはっきり分かる、筋骨隆々とした肉体の持ち主だ。けれどもその眼差しはとても優しく、
2人目は癖のある黒い髪をバンドで束ねた青年......いや少年だろうか、白を基調とした上着の両袖には、黒い螺旋模様が、まるで蛇のように巻きついている。黒いブーツとグローブも身につけており、肌の露出がほとんどない。そして首からは大きくひし形にカットされた青い宝石のネックレスをぶら下げており、まるで水の波紋のような光を放っていた。
そして最期の3人目は......白いビニールを頭から被った人間なのだろうか......しかし傘状に広がり、縁には波にような模様のあるそれは、でっかいクラゲにも見えなくもない。表面に浮かび上がった顔は非常に整っており、鼻も高い。しかし正直、この中で一番関わりたくないのはどいつだ?と尋ねたら、ぶっちぎりの人気を誇りそうでもある。

急に現れた3人に、部屋の空気は一瞬凍りついた。天使のエリアスは黒衣の少女グラエキアを守るように一歩前に出て、武器商人のミヤギは思わず傍のスーツケースを抱えて盾にしながら二、三歩下がってる距離を取る。
レジスタンスの実質副長であるアミラは武器であるチャクラムを手に取り、そして最期の緑を基調とした服に身を包み、壁に寄りかかりながらその様子を見ていた少年はーー

「ーーうーん、なんでもいいだけどさ。“あいさつ”ぐらいしたらどうだい?」

首からぶら下げた魔法の触媒である金色のルービックが特徴の少年ーーリクセスは、余裕ありげにあくびをしながら呟いた。
その言葉に、スーツ姿の巨体が最初に動いた。

「これは失敬!あいさつが遅れてしまったね。わたしはスター=アナツメルツ、私も異界人なんだ。今宵は突然押しかけてすまなかったね」

スーツの大男「スター」は右手を胸に当てながら、反対側の左手でジェスチャーも混ぜながら軽く会釈した。見た目に反して、とても紳士的な振る舞いだった。

「......ふん、まあこうでもしなきゃ、ここには入れないだろうしな......“こいつ”が居るからな」

「なんと!ここに入れてもらえなかったのは、私のせいですと!?」

スターに引き続き、黒髪の少年も、隣にいる白いクラゲみたいなのを横目で見ながら喋り出す。ちなみにこのクラゲみたいなのは、声や喋り方から、中年の男性なのだろうか。
まあ前の2人だけならまだしも、このでっかいクラゲみたいなのがドアの前に居たら、誰だって中に入れたくはなくなるだろう。
黒髪の少年が「そりゃ、そうだろうな...」と冷たく言い放つ中、スターがもう一歩前に出てきて、アミラと正対する。とりあえず敵意が無いことを確認したアミラは、手にしたチャクラムを腰のホルスターに戻した。

「まあ察するにさ、お目当は“これ”だよね?」

壁に寄りかかっていたリクセスが、テーブルの上にある棺を指差しながらスターに尋ねた。

「まったくその通り!いやぁ先に言わせて申し訳ないね。それで今の話、是非ともわたし達にも聞かせてくれないかな?」

スターは本当に馬鹿が付くほどの紳士的な人だった。一体どんな世界から来た異界人なのだろうか、職業からなにから、見た目からは予想できない。

「ーーって事だけど、どうするの?アミラちゃん?まあ、隠した所でお互いに何もメリットは無いし、もう一度ミヤギさんに説明して貰ったら?」

リクセスが今の指揮官であるアミラへ視線を送った。それに合わせて、部屋中の視線が彼女に集まった。スターと黒髪の少年、そしてクラゲみたいなのもそうだ。3人とも、まるで「彼女がリーダーなのか?」と言わんばかりの表情だ。
アミラは「え、えっと......そうですね......」と呟くも、即答はしなかった。彼女も元はラヴォンの右腕であり、その指揮能力は本物だ。リーダーとしての気質もある。思考を巡らせて状況を整理し、最適の答えを出す......とはいえ、その答えにたどり着くにはそこまで時間は掛からなかった。あらゆるリスクを想定しても、とりあえずこの新入り3人をこの拠点に入れ、しかも今の状況を話した所で、戦線にはなんの問題もないと答えが出たのだ。

「......よし、では、ミヤギさん。もう一度、今のお話をスターさん達にもして頂けませんか?」

「ーーええ、まあ貴方が言うなら、そうしますけど」

ミヤギは盾にしていたスーツケースを床に置き、ネクタイを少し緩めながら、3人を不審そうに見つめながら返事をした。まさに「大丈夫なのか、こいつら?」と言わんばかりの目つきだ。
同じく異界人のミヤギには特別な能力などは無いものの、ビジネスマンとしての才能は本物だ。ていうか、召喚させる世界さえ違ってれば、間違いなく巨額の富を得てるような大物である。人を見る目や取引、計画性において、彼の右に出る者は居ない。彼が敵側に付かなかったのは、本当に幸いだった。

Re: 【合作!!】千ヴァル!!【最終章】 ( No.300 )
日時: 2018/09/15 19:36
名前: 彩華 ◆40kNVwyVY6

パサリと資料を机に置く音が部屋に響く。室内は大勢の人間がいるにも関わらず、とても静かだった。

「ーーと、まあこんな所でしょうか。前にも説明した通り、他にも“らしい”遺体は採掘されており、誰のものなのか現在遺伝子解析を進めさせている所ですが......まあロクな結果は出そうにありませんね」

一息つくミヤギ。

「ありがとうございます。僕からも特に補足もないかな......」

ミヤギの説明を聞いてたリクセスも、先程の説明から一切の抜けがない事を確認していた。その後「じゃあ、質問タイムとでも行こうか?」とでも言うように、新入り3人へ視線を送る。3人とも棺の中の遺体を囲んで、ミヤギの説明を聞きながらそれに見入っていたようだった。
そして最初に顔を上げたのは、黒髪の少年「デスタムーア」だ。

「ーー悪いが、荒唐無稽で馬鹿げた話だな、なにかの間違いに決まっている。“この世の時間を全て巻き戻せる存在”がいる訳が無かろう。しかもそいつはヴァルキュリアや異界人を撃破しうるなにかって事か?」

デスタムーアはこれらの現象に否定的だった。遺跡から、この世界に1機しか居ない筈のヴァルキュリアの遺体が採掘され、しかもその人物が今も尚レジスタンスや異界人と共に作戦を継続してる事自体がまず有り得ない。だとするなら、この世界の時間軸に何らかの異常が起こってると考えるのが妥当だが、まさかそれが【何者か】の意思によるものだなって、確かに彼の言う通りますますありえない話になってくる。

「ふむ、確かに私にも解せない所はあるね......ただ仮にそんな存在が実在したとしたら、どうだね?デスタムーア君、我々の元来た世界には存在しない、この異世界にしかいない“未知の敵”がいるとしたらーー」

スターがデスタムーアに問う。お互い元の世界でいくつもの修羅場をくぐり抜けて来た猛者であるが、形が似ている物もあったとはいえ、ここまで未知の敵には出会った事もなかった。

「まず“人”では無いだろうな、そしてヴァルキュリアでも無いだろう」

「ーー?何故ヴァルキュリアでは無いと分かるんですの?」

デスタムーアの言葉に、グラエキアが反応した。

「ーーあのな、ヴァルキュリアにそこまでの力があるのなら、今頃は人間側がもっとボコボコにされてるとは思わないか?」

デスタムーアの意見はとても冷静かつ的を射ていた。外部の情報を素早く分析し、それに合った最適解をすぐに出せる。「そんな事も分からんのか」と言うように息を吐くデスタムーアに、グラエキアも「成る程......」と大人しく納得した。

「まあ俺から言わせればな......ヴァルキュリアなんぞ、どいつも見掛け倒しで、実際には大した能力も無い。天使を名乗る、動く木偶に過ぎん」

「それはなんと、大した自信ですね」

ヴァルキュリア達と数多の激戦を繰り広げて来た天使「エリアス」が、デスタムーアの言葉に反応する。レジスタンスや連合軍、そして異界人達が力を合わせ、多くの犠牲者を出しながらも何とか抑え込んでるヴァルキュリアを「大したことない」の一言でぶった切るとは。今のデスタムーアの言葉は他のメンバーにとっても衝撃的だっただろうーー1人を除いては。

「ーー成る程!つまりは、ヴァルキュリアとは『喋るお人形さん』だったってことですかな?」

「なっ!お前、バ......いや、言葉の例えだろ......」

「えっ?そうなの?えっ?」

「ーーははは、まあ確かに、ヴァルキュリア達は、お人形さんみたいに可愛い姿をしているね」

その後にプルティの発言はもっと衝撃的だった。今まで冷静かつ強気の態度だったデスタムーアも、横の白いやつの言葉に度肝を抜かれ、一瞬肩を大きく震わせて飛び退くようにそちらへ身体を向けていた。プルティは、どうやら今までの話を明後日の方向に解釈をしていたようだ。
スターだけは良い感じに話の腰をシフトさせてフォローしてくれていたが、他の面子にはそんな余裕はなかった。
リクセスやアミラ、ミヤギ、エリアスもかなりドン引きというか、驚愕の表情を浮かべていたが、その後部屋には彼らの腹の底から出てきたため息がこだましていた。
額に手をやり、大きくため息をついたデスタムーアが、「付き合いきれん、失礼する」と言うように踵を消して部屋の入り口に向かった時だった。
下の拠点の入り口がまた騒がしくなる......どうやら、また来客のようだ。

Re: 【合作!!】千ヴァル!!【最終章】 ( No.301 )
日時: 2018/09/15 19:37
名前: 彩華 ◆40kNVwyVY6

アミラ達が階段を降りていくと、レジスタンスの拠点の正面入り口には既に人だかりができていた。そして医療キットを持ってきた隊員の姿が彼らの前を通ったことにより、負傷者の存在に気づく。現リーダーであるアミラの登場に道を開けた隊員達の向こうには、ボロボロになった3人の異界人がいた。優に2メートルを超える大男を、2人の少年と少女が肩を貸して支えていた。
金髪を後ろで束ねた大男はコックコート姿だが、上半身の布は弾け飛んでおり、その岩山のような肉体が露わになっていた。そして残ったコートの部分も煤と彼の血で赤黒く染まっている。
インバネスコート姿の金髪の少年も、衣類はボロボロ。そして全身の深い傷からは血が滴り落ちていた。白い忍者装束の少女も同じだ。その傷も、まるで獣に襲われて出来たような物ばかりだった。
そして、その姿を見たスターが形相を変えて飛び出していった。

「カイザー君!ヨハネス君、それに美琴ちゃんまで......これは一体なにが......」

「はぁ......はぁ......くっそ、“あの女”......バケモノか......」

カイザーの巨体を支えきれなくなり、前に倒れそうになった2人を、エリアスとリクセスが支える。
そしてインバネスコートの少年、ヨハネスの口から、事の真相が語られた。



コックコートの大男、カイザーは意識が朦朧になりながらも、受け答えはなんとか出来る状態だった。しかし3人の中では一番重症だった為、直ぐに地下の集中治療室へ送られる。
ヨハネスと美琴も裂傷や骨折の数々があったものの、拠点の入り口で応急処置を施すと、見る見るうちに傷口の出血が止まり、傷にも薄い膜が出来始めていた。人間離れした回復力だ。
そしてヨハネスがスターへ戦局を伝えると、彼の表情から余裕の笑みが消え去った。


「スター流が......全滅? 何かの間違いじゃないのかね?」

表情に曇りが拭えないスター。

「はい......“ヴァルキュリア・イクリプス”によって、スター流は全滅。
更に......イクリプスは“ヴァルキュリア・ファランクス”と“ヴァルキュリア・フェイルノート”も撃破。現在は旧市街に向け、周辺の異界人を撃破しながら侵攻中です......」

それは衝撃的な事実だったのだが、ヨハネスの後の方の言葉に、その場にいた全員に大きな疑問が生まれる。


『は?』


その疑問にいち早く食いついたのは、黒いドレスの少女、グラエキアと、緑衣の魔法使いリクセスだった。

「ファランクス......わたくしがこの世界に来て、初めて出会ったヴァルキュリアですわ。こまい“はぐれファランクス”を大量に押し付けて、散々わたくしとエリアスに喧嘩を売ってきた方です。でも撃破って......どういう、まさか“同士討ち”をしたって事?」

「僕もフェイルノートは見た事あるな、物凄い威力の光弾を放つヴァルキュリアだよね。
それで......そのイクリプスって奴はスター流だけじゃなく、自分の味方も全滅させたのかい?」

「うん......理由は不明だけど、でも何か相当おかしくなってる様子だった。
そして何より......“わけがわからないぐらい強かった”。僕や美琴さんだけじゃない、カイザー隊長や他の異界人も、ヴァルキュリアも......全員倒してしまった......化け物だよ、“アレ”は」

ヨハネスはコートで身を包みながら呟いた。
“イクリプスの暴走”......予期せぬ最悪の事態を前に、作戦会議室の面子は言葉を失う。しかし1人だけ、ポーカーフェイスを貫いている少年が口を開いた。


『“くだらん”、なにが化け物だ。お前たち、ちょっとビビりすぎだ。もっと事は明快だろーー』


黒衣の異界人の少年、「デスタムーア」の放った言葉に、作戦会議室中の視線が集まった。




『“イクリプスを倒せば”【終わり】じゃないか』

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