複雑・ファジー小説

UNK専門探偵事務所【不定期更新】
日時: 2018/06/06 00:02
名前: 北見之栖

【連絡】
・スピンオフの項目を追加致しました。
・登場人物に辻浦玲華を追加致しました。
・ビクビクしながら北見之栖という名前でTwitterを始めてみました。何卒よろしくお願い致します。
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これは話だ。一人ではない人の。人間の、彼奴らの、彼等の。
気楽な貴方、気掛かりなあの子も全てを包んで消えた都市は微睡む。
何もなくて何でもあるそんな都市の話だ。喜劇も悲劇も飲み込んで。何もかも、消えて無くなる。無くなるって?待て、それはーー

「さぁ、全て忘れて嗤おうじゃないか。」



=================================


■目次■

■登場人物
随時更新
>>1

■用語解説
随時更新
>>2

■都市案内
随時更新
>>6

■異能力について
随時更新
>>3

■序章 第0都市「先駆け」
・探偵事務所にて>>7
・天海家にて>>8
・喫茶レジーナにて>>9
・喫茶レジーナにて2>>10

================================

■本編

*第1都市
・1区「依代様」>>11-19
・2区「いい考えがある」>>20-24
・3区「気にくわないな」>>25-27
・4区「それは」>>28-36
・5区「なんか…」>>37
*第2都市
・1区「忘れ物」>>39-45
・2区「そんなのって」>>46-48
・3区「お前の所為だ」>>49-53
・4区「リョウシン」>>54-60
・5区「涙と苛立ち」>>63-64
*第3都市(短め)
・1区「五感」>>65-70
・2区「妹」>>71-73 >>75-76
・3区「魚だなんて信じない」>>77
・4区「」>>
・5区「」>>
*第4都市
・1区「」>>
・2区「」>>
・3区「」>>
・4区「」>>
・5区「」>>
*第5都市
・1区「」>>
・2区「」>>
・3区「」>>
・4区「」>>
・5区「」>>

■スピンオフ「第0都市」
・「子供」>>74
・「」>>
・「」>>
・「」>>
・「」>>

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Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.74 )
日時: 2018/06/04 00:01
名前: 北見之栖 ◆4yl6Iu6TuQ

※今回は本編を一旦中断してスピンオフを更新させていただきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーこれはいつか、確かにあった彼らの話。

【子供】

■5区 キャバクラの帰り道

5区は探偵事務所のある大通りから少し外れたところにキャバクラやホストクラブが多い事で有名でいつも賑わっている。西野は今夜もそこで遊んでいる。泥酔しながらも、隣を歩いている帰宅途中のキャバ嬢に絡む。

「えぇー、ゆりちゃんそんなに可愛いのに彼氏いないん?ほんまにー?」

西野はゆりちゃんと言う名前の女性の肩に自分の手を置く。

「えぇ、居ないんですよ」

彼女は西野の手を払う。迷惑そうな顔をしている。

「なぁなぁ、わいと付き合えへん?」

「結構です」

女性はよほど嫌なのだろう、即答だ。

「えー、ちょっとくらいええやん。けちぃー」

「私西野さんみたいな人タイプじゃないんですよー。では、このへんで失礼します」

女性は若干小走りで逃げるように立ち去る。

「なんや、つれない」

西野はムスッとしている。

ー仕方ない、今夜はもう帰るか。もう朝になりそうだし

西野はフラフラしながら事務所へ向かう。

「あー、かぎ…かぎ…どこやぁ…」

事務所に着き入ろうとするも鍵が見当たらない。

「かぎ…かぎぃ…ない」

ーチャリン

「ん?」

音がした方を西野が見る。するとそこにはまだ生まれて間もないのだろうか?赤子が鍵を触って遊んでいた。

「あぁ、こらこら駄目だよ。ほら、鍵返してくれ」

西野はいつものエセ関西弁ではなく、標準語になり子供から鍵を取り返す。

「ふっ…う…うぁぁぁ!!」

子供は西野に鍵を取られると泣き出した。西野は焦る。

「え、ちょ、待て、待て!そんなに泣かれると…親は一体どうしたんだ?」

西野は泣いている子供を抱くと辺りを見回す。辺りには誰もいない。子供は西野に抱かれると少し落ち着いてきたのか泣くのをやめた。

「置いてかれた…のか?」

西野は子供を見る。子供はよく分かっていないのか西野に抱かれながらキャッキャと笑っている。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
■5区 UNK専門探偵事務所

朝9時、仁が啓と一緒に事務所に入ってきた。啓はまだ眠い目を擦りながらうとうとしている。

「オハヨーゴザイマス…」

「おぉ、おはようさん」

西野はいつも通り事務所の椅子に座りながら子供を抱いている。

ーん?いつも通り?

啓が子供を抱いている西野をじっと見る。

「なぁ、兄さんなんか西野が子供抱いてないか?これは夢の続きなのか?」

啓は目を擦りながら仁に聞くが仁は固まっている。

「夢やないで」

西野が苦笑いしながら言う。

「つまり、これは…西野の子供?」

「いや、ワイの子供やない。うちに置き去りにされてたんや」

「へぇ、置き去りに…はぁ!?」

啓はあまりの衝撃に眠気が吹き飛んだらしく目を見開く。

「置いてかれたってどう言う事だよ?」

「明け方に居るのを発見して保護したんや。少し離れたところにベビーキャリーと、その中にこの子は異能者です、保護してあげてくださいって紙があった。うちに置き去りにされたんやろ」

Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.75 )
日時: 2018/06/04 00:07
名前: 北見之栖 ◆4yl6Iu6TuQ

■電車内 啓と仁の帰り道

「なぁ、なんでお前は仁の事嫌いなんだ?」

電車の中で隣に座っている仁に啓は気になっていた事を聞いてみる。

「…聞きたいのか?」

仁がチラリと啓の方を見て聞く。啓は頷く。

「あぁ、聞きたいからきいてるんだ」

「そうか、絶対笑うなよ?」

「笑わない」

仁はそれを聞くと安心したのか話しはじめる。

「元々あいつが嫌いなだけって事もあるんだが…僕は、あいつが怖い」

「怖い?どこが」

啓は仁の言葉に首をかしげる。どこが怖いと言うのだろうか。

「この前、ファミレスに行く前に言った要の言葉が怖かったんだ。あの、正しい事は全て何だって正しい筈だ。俺は正しい事の為なら正しいことをやりきるって言葉が」

「それのどこが怖かったんだ?」

「あいつは本気で言ってたんだ。なんつーか…本当に正義の為だったらなんでもしそうな奴だった。あいつは多分正義に執着してるんだ」

啓は首を傾げたままだ。

「悪い、よくわからないな」

「あいつは、正義の為なら何でもやりそうだと思った。前に要がお前の異能に疑問を抱いてるって話はしたよな?」

「あぁ、そういえばしたな」

「あの時は言うのが不安で言わなかったが、あいつ僕達の過去を全部調べ上げてたぜ」

仁はファミレスでの出来事を思い出し若干苛立っている。

「どこからだ?」

「僕達が孤児院に入る前からだ。親と親戚の事を全部調べたみたいだ」

それを聞き啓が青ざめた。

「あの事は…知られてないんだよな?」

「安心しろ、知られてない」

啓は相当焦ったのだろう。冷や汗をかいている。

「…そうか」

啓はそれだけ言うと何かを考え無表情で、一言。

「あいつは俺達の敵になるかもな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■4区 要の家 リビング

リビングの机に要と玲華は向かい合って座っており、二人はずっと黙ったままだ。

ーき、気まずい…

この雰囲気をなんとかしようと要は話を切り出す。

「き、今日はいい天気だな」

「あら、お兄様。今は外は曇りで真っ暗ですわよ」

ーし、しまったァァア!!外今曇ってて星ひとつ見えないし、いい天気でもなんでもなかった!

「そんな事よりも早く話したい事をおっしゃってくださる?」

「なんて言うか…俺の事、なんで嫌うのかなーって思ってさ。しっかり話した事なかったから話したいなーなんて…」

ヘラリと笑いながら要は言う。

「そんなの、お兄様のせいですわ」

玲華が俯きながら言う。

「やっぱ俺のせいか…俺なんかした?」

「……」

玲華は俯き黙ったままだ。

「あのさ、玲華。俺馬鹿だからちゃんと言わなきゃわかんねぇよ。頼む、教えてくれないか?」

玲華は暫く黙っていたが、ようやく口を開く。

「お兄様はきっと、頭がおかしいんですわ」

「頭がおかしい…?お前、馬鹿にして」

「ないですわ」

玲華に頭がおかしいと言われその発言にイラッときた要が怒鳴りそうになるが、玲華は淡々とした口調で言う。馬鹿にしていない、つまり玲華は本当に要の事をおかしいと思っている。

ー一体どう言う事だ?

要は考える。頭がおかしいと思われる要素など何処にあるのだろう。

Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.76 )
日時: 2018/06/05 00:00
名前: 北見之栖 ◆4yl6Iu6TuQ

■4区 要の家 リビング

「俺のどこがおかしいんだ?」

「正義に異常に執着しているところですわ」

玲華にそう言われると要は首を傾げ無表情で聞く。

「俺の正義がおかしい…?なんでだよ…正義はいつだっていい事だろ?正義は絶対に裏切らない。正義は絶対だ」

「そういうところが嫌なんですわ!!」

玲華はそう叫ぶと机を思い切り叩く。

「いつも正義正義正義!!お兄様のソレは本当に正義なんですの?いいえ、お兄様の正義は自分勝手な誰かを傷つける独りよがりな正義ですわ!!」

「そんな事ない。俺の正義を否定するのはやめろ…これは絶対に正しいんだ」

要はじっと玲華のことを見て言う。玲華はそれを見て「本当にそう思っているの?」と聞くと要は力強く頷いた。

「…もういいですわ。お兄様とは話なんてできない。話をしようとした私が馬鹿だった」

玲華は強く拳を握り、小さく震えながらそう言う。

「お兄様なんて大ッ嫌いですわ!!」

玲華にそう言われて要は固まる。なんでそう言われたのか要にはわからない。玲華は自分の部屋として使っている要の書斎に戻ると必要最低限の荷物だけを纏めてでていこうとする。

そこで要はハッとして玲華の手を掴み声をかける。

「待ってくれ!まだ話は終わー」

要が言い終わらないうちに玲華は要の手を振りほどきドアを開けて出て行った。

「なんで…」

残された要は呟く。

「俺の正義が間違ってるとでもいうのか…いや、絶対にそんな事はない。正義が間違ってるなんて事はない」

要はふらりと廊下に倒れこみ顔を両手で覆う。

ーなんでだ?なんで…俺は正しいことをしようと決めたんだ。正しいことを正しいと言って間違ってることを間違えていると言うことの何が悪いんだ。俺は間違ってない間違ってない間違ってない…そうだ。あぁ、そうだ

「正義は絶対、だ」

要はそう、確かめるように口に出す。その目はかつて自身が正義を信じるきっかけになった何かを見ていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■5区 グレイス

「なぁ兄さん、やっぱあいつは今のうちに関係切るかバレる前にどっか逃げたほうがいいって!」

啓は少し考えるが首を横に振りながら言う。

「いや、あいつがアレを知ってからどうするかにもよるぜ兄さん。それに逃げるってどこへ逃げるんだ?」

「それは考えてないけど…もし事態が深刻化したらどうすんだ?」

「それは…あとで考えればいいだろ」

「本当にそれでいいのか?なんか…勘なのかな、分からないけど悪いことが起きる気がしてならないんだ」

「それは考えすぎだ」

啓もこの時確かに人と同じように悪い予感のようなものはしていた、だがどうしても啓としてはここを離れたくない、離れられない理由があった。

「なぁ、お前。なんか離れられない理由でもあんのか?」

「まさか」

啓は表情を一切崩さずにそう答える。

ー普通に答えられたよな?でも、バレてるか…ったく、家族ってのは恐ろしいもんだな。

Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.77 )
日時: 2018/06/06 00:01
名前: 北見之栖 ◆4yl6Iu6TuQ

【魚だなんて信じない】

■5区 グレイス

「起きろ兄さん、もう朝だぞ」

仁の部屋のベッドの横で啓が仁王立ちで腕を組み立っている。仁はそれを見て珍しいものを見てしまったと言う顔をする。

「なぁ兄さん、なんで今日そんなに朝早いんだ?槍が降る…いや、そんなもんじゃない。人類が滅亡でもするんじゃないのか?」

「随分な言いようだな弟」

啓は口をへの字にしてムスッとしている。

「そりゃあ、いつもあんだけ起こしても全く起きない弟が6時に起きてたら驚くさ。あと、何か恐ろしいことでも起こるんじゃないかと思う」

「朝食も作ったぞ」

「本当に人類滅亡しそうだな。てか、それ食べても大丈夫なものなのか?」

啓の言葉を聞き仁が信じられないという表情をする。本当に信じられない。

「失礼だなお前。柚子ちゃんも美味しいって言いながら食べてるぞ」

「こんな朝はやくからあいつ来てんのか。美味しいって本当かよ?」

仁は疑いながらリビングを覗いた。するとそこには美味しそうに何かを食べる柚子がいた。

「な?兄さん」

「あぁ、本当だ。驚きだよ兄さん。でもあいつは一体何を食べてんだ?」

「レバーのチョコレートがけ」

ー……。あぁ、聞き間違えたかな?レバーのなにがけ?あんかけ?あんかけは美味しそうだな。でもレバーにあんかけかぁ…相性的にはどうなんだろうなぁ

「悪い、もう一度言ってもらっても?」

「レバーのチョコレートがけ」

「へー…チョコレートがけ…」

仁が頭を抱える。頭を抱えながら仁は柚子に聞く。

「なぁ、お前本当にそれ美味いと思って食べてんのか?」

柚子は振り向き笑顔で言う。

「すっごく美味しい!」

ーそーかそーかー…そんなに満面の笑みで言っちゃったか。まぁ、好きなら好きでいいんだろうけど…けどさぁ、もっとなんかこう…食べ物の相性というかなんと言うか…おかしくないかなぁ?

「仁も食べー」

「パス」

仁は即答した。

ーしまったつい即答してしまった。でも僕はこんなもの食べられない。なんだこいつら味覚ぶっ壊れてんのか?ぶっ壊れてんだな。

「少しは食べろよ」

「悪いな兄さん、俺はそれを食べて美味しい!って満面の笑みで言えるほど味覚はおかしくない」

「レバーにチョコレートかけただけだろ?」

「それの相性が悪いってなんでわからないかなぁ!!」

仁はため息をつく。

「あ、そういえばさっき西野から連絡があって、今日は9時じゃなくて7時30分にこいだってよ。難しい依頼が入ったんだと」

「あー、それで起きたのかお前。普通に起こしても起きないのに電話かかってくると飛び起きるよな」

仁は棚から食パンを出してジャムを塗りながら言う。

「なんか電話かかってくると起きれるんだよなぁ…不思議なことに…よし、できた」

啓は鏡を見て髪を整えている。仁はそれを見て微妙な顔をして言う。

「お前さてはまだ寝ぼけてんな」

「それじゃあ僕と前髪の分け目が逆だろ」と付け足す。啓は鏡を見てハッとする。

「あ、本当だ」

啓は前髪をなおす。仁は朝食お食べ終わり、着替えようと服を脱ぎ始めたところを啓が止める。

「ちょっと待て」

「なんだよ?」

「今、ここには柚子ちゃんがいる。着替えるなら部屋行け部屋!柚子ちゃんにとって悪影響になるかもしれないだろ」

啓は柚子の目を塞ぎながら言う。

「わかったよ、部屋で着替えて来ればいいんだろ」

仁はため息をつくと部屋に戻る。

「ただいまー」

仁が戻って来た。啓は仁の格好を見て絶句する。

「な…」

「いやー、今日は暑いからな。この格好がいいかと思って」

仁は下着のみで部屋から出て来た。

「なんで下着だけなんだよ!?馬鹿なのかお前!!」

「知ってるか?男のパンツ一丁は公然猥褻にならないんだぜ?」

仁はドヤ顔で言う。啓は頭を抱えてため息をつく。柚子は自分の目を手で隠している。

「そう言う問題じゃない!!早く服を着てこい!!」

啓の怒号がグレイスに響いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■5区 UNK専門探偵事務所

「オハヨーゴザイマス」

「西野おじさんおはようございます!」

「どうもー」

「みんなおはようさん。早速で悪いんやけど今回は急ぎの依頼や。早く終わらせるで」

「俺達依頼内容聞いてないんですけど、依頼内容は?」

「あー…ペットの魚探し」

西野が苦笑いをしながら言う。

Re: UNK専門探偵事務所【不定期更新】 ( No.78 )
日時: 2018/06/07 00:17
名前: 北見之栖 ◆4yl6Iu6TuQ

■UNK専門探偵事務所

「はぁ?ペットの魚探し?」

「そう、魚が逃げ出したらしくてな」

「川に?」

「いや…道路…」

「それはもう生きてないと思うんだが?」

啓が言うが西野は首を横に降る。

「それがなぁ、生きてるんや」

「水がないと魚は生きられないよ…どういうこと?」

柚子が首を傾げた。

「なんでもこれが普通の魚じゃないらしいんや」

「普通の魚じゃない?」

「unknownで何故か最近多くなった変異種や」

「変異種って言ってもせいぜい色や形が多少変わるくらいじゃないのか?」

「いや、違うらしい。なんでもその飼われてる場所の大きさによって瞬時に大きくなったり小さくなったり自在に変化するらしいで。そんで、巨大化すぎると人を襲うとー」

西野の言葉は事務所の窓ガラスが割れたことによって途中で遮られた。割れた窓からギョロリと巨大な目玉が覗いている。啓は窓からこちらを覗いている目を指差して「これ?」と聞く。西野は首をぶんぶんと縦に振り、仁と柚子は必死に口元に指をたててしーっ!静かに!というジェスチャーをしている。

「これ、変異種とは言え本当に魚なのか?なんか魚にカエルみたいな手足が生えてるんだが…」

「僕もこんなのが魚だなんて信じてないよ!」

仁はそう言った後ハッとして口を両手で塞ぐ。しかし遅かった、ギョロ目がこちらを向く。ほぼ全員がこれはヤバい、と思う中啓が淡々と言った。

「よし、一旦窓を塞ごう。あとこいつ捕まえよう」

啓が窓を影で塞ぎながら言った。

「捕まえるって阿保か!?こんな馬鹿でかい魚みたいなのどうやって」

「影で縛ればどうにかなる…とも思ったが俺の影だと明らかに面積が足りない。こいつを縛れるだけの影が近くにはない。さて、どうしたものか」

ー異能を知られたら利用されかねない危険人物の西野と柚子ちゃんがいる前で別の異能を使うわけにもいかないし…

「向こうの方に高層ビルがあるよな?そこまでおびき寄せるっちゅーのはどうや?」

西野が言う。

「それは無理だ。高層ビルに着くまでにunknownの市民に何人の犠牲がでる?それに捕まえたとしてもあいつが入るだけの水はどこから持って来ー…そうか」

「なんか思いついたんか?」

「あぁ、悪いが何か小さな入れ物を持ってきてくれないか?」

「小さい入れ物…これでええ?」

西野がゴミ箱からゼリーの空容器を取り出し、軽く洗ってから啓に渡した。

「あぁ、これでいい。あとはあのデカイのをどうここに入れるかだ。なぁ、金魚の餌って食べると思うか?」

「こんなにデカくなると金魚の餌食べるか疑問やな…人間襲うんやし人間が囮になった方が…」

「よし、囮は頼んだぜ仁」

「マジかよなんで僕」

「西野は市民の避難、俺はビルでスタンバイ、仁は囮」

「こいつはどうなんだよ」

「子供にやらせようとすんな阿保。なぁ、兄さん、囮になってくれるよな?凄く重要な役なんだ仁にならきっとできるって信じてるぜ?」

啓は笑顔で仁に言う。

「っ…仕方ねぇなぁ!!啓がそこまで言うんだったらやってやんよ」

仁は胸を張ってそう言った。

「おー、期待してるぜ仁。ご褒美に好きなところへ連れて言ってやろう」

ーチョロいな。

啓はニンマリと笑みを浮かべた。

「任せとけ!」

仁は頷くが直後にハッとする。

ー自分は啓にいいように丸め込まれているだけだ。

「どうしたんだ仁?」

「あっ、いやなんでもない」

ーま、いっか

啓にいいように丸め込まれていようが仁は別にどうでもよかったのであった。

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