複雑・ファジー小説

まあ座れ話はそれからだ
日時: 2019/02/09 18:52
名前: ヨモツカミ

 題名を見た時、あなたはコレをどういう話だと思ったでしょう。
 実はホラー? いやいやギャグかもしれない。もしやラブコメ。まさかのファンタジーか。
 どう思っても構いませんが、まあ、まずは座って下さい。お茶でも飲みながらのんびりと。椅子がないなら床に座って。床がないならいっそ空気椅子でもどうぞ!

 立っていても歩いていても見えないものは、案外座ってみたら見えるのかもしれない。だからまあ、座れ。話はそれからだ。

………………………………


こんにちは、ヨモツカミです。気に食わなかったのでまた書き直しつつ。もうすっかり冬ですね。寒い日が続くと、指先がかじかんで執筆もできなくなります。そんな日は暖房の聞いた部屋でぬくぬくアイス食べたい。




#読む前に
・百合的な描写苦手な人はごめんなさい。
・流血描写注意。
・更新が遅いです。
・気に食わないとこがあると、加筆や修正を加えます。
・コメントはご自由にどうぞ。
・誤字脱字も多々あると思うので、気付いたら教えいただけると嬉しいです。



#目次
一気読みしたい方用>>1-

登場人物>>1
一席目 羽ばたき方の参考書>>2 >>
二席目

Page:1



Re: まあ座れ話はそれからだ ( No.1 )
日時: 2019/02/08 21:09
名前: ヨモツカミ

 わたしの 中から、 出 ていけ。

 ワタシは、物心ついたときから、わたしの中にいました。気づいたのはいつのことでしょう。二年ほど前でしょうか。もしかするともう少し前。いいえ、わたしが気が付かないだけで、気が遠くなるほどずっと前から、それはソコにいたのかもしれません。

 わ たしの 中から、出てい け。

 わたしは、わたしだ、ワタシじゃない、ワタシじゃない、ワタシじゃない。
 だから出ていけ。
 わたしは明かりも灯らない部屋の中で、月明かりさえも恐れて布団に包まったままガタガタと震えていました。耳を塞いでも、目を瞑っても、それはずっと側に感じられたのです。音もない暗闇の中で、足音だってない。気配も無いはずなのに、ソレは確かにいるのだと思いました。けれど、近づいてくるわけでもなく、遠ざかるわけでもなく、音のない時間は過ぎていきます。

 ワタ シの ものに、 な れ。

 そもそもおかしかったのです。静か過ぎたのでした。わたしの心臓の音は、わたしの呼吸の音は。一体どうして聞こえないのでしょう? それから、よく考えてみれば、わたしは目を閉じてなどいませんでした。だって、閉じることができなかったのですから。
 だから。わたし、気付いてしまったのです。

 わたしはもう、ワタシになっているのでしょう。
 ワタシは神様。わたしは神様になったのでした。



#登場人物

唐洲 世津那(カラス セツナ)
坂ノ下高校二年三組、十六歳。身長158センチ。
部活無し。委員会は図書委員。顔が良くて運動も勉強もできる奴、たまにいるよね。

小豆澤 燕(アズキサワ ツバメ)
一人称私。坂ノ下高校二年三組、十七歳。
身長168センチ。部活は紙飛行機同好会。委員会は図書委員。とても空気が読めない。脳筋。

木村 散帝亜(キムラ チルティア)
一人称わたし。坂ノ下高校一年一組、十五歳。
身長154センチ。部活は手芸部。メンヘラみたいな女。顔は良いのに友達少ない。

高砂 篝(タカサゴ カガリ)
一人称俺。比良坂高校二年、十八歳。
身長176センチ。部活は元陸上部。ネトゲとかでイキってる。危険人物。

四方田 朝(ヨモダ アサ)
一人称僕。坂ノ下高校二年五組、十七歳。
身長166センチ。部活は紙飛行機同好会。教室の植物に絶対水やりする人。運動出来ない。

御神 黄泉(ミカミ ヨミ)
坂ノ下高校一年一組、十六歳。身長152センチ。
部活はオカルト部(非公式)。四方田に仲良しだと思われている。人見知りが激しい。

百舌 石蕗(モズ ツワブキ)
比良坂高校三年、十七歳。身長175センチ。
部活は文芸部。人間観察が趣味。金剛の幼馴染。アホっぽく見えるが成績はかなり良い。

Re: まあ座れ話はそれからだ ( No.2 )
日時: 2019/02/09 18:51
名前: ヨモツカミ

一席目 羽ばたき方の参考書

【小豆澤 燕(アズキサワ ツバメ)】

 私が彼女に抱く感情に、名前を付けて良いものか。

 床を跳ねる適度な質量感と、反響。記憶を蝕む音が、ダアン、ダアンと何度も。何度も。鼓動のように床を叩いては、酷い息苦しさに、決壊しそうになる。
 忘れたいと願った。消し去りたいと祈った。目を閉じれば何度でもフラッシュバックする光景とノイズ。篭った空気とスパイクの底が擦れる甲高い音。照明が反射してべっ甲色に光を照り返す床。
 掌を離れたボールがゴールの縁に当たってガコン、と音を立て、地に落ちた鳥みたいに床に叩き抜けられる。また心音のようにダアン、ダアンと弾んだ。まるで断頭台から転がり落ちた頭部が、床を跳ねまわるみたい。だとすれば、執行人はやっぱりあなたなのだろう。記憶に染み付いた微笑はもう、取り返しのつかないもの。
 ああ、どうして信じたのだろう。
 それをかき消すように抱いたドス黒く胸中を渦巻く感情の名前は。きっと鴉が教えてくれる。
 私は、鳥になれるのだと。

 ホームルームを終え、教室に規則正しく並べられていた生徒たちは廊下へと溢れていった。勿論、まだダラダラと教室に残り、駄弁る者もいるし、自分の席を立たずに誰かを待つ者もいるが、大体は部活とかバイトとか、放課後のそれぞれの予定のために、何処かへ向かって廊下を進んでゆく。
 そんな中、私はぼんやりと教室の窓の外を眺めていた。小さな風が吹くたびに鮮やかに色付いた葉を散らす校庭の木々を見て、何を思うわけでもなく。強いて言えば秋だなぁと、本当にどうでもいい感想が出るくらい。
 教室中央、前から数えて三番目の席で頬杖を付きながら私はスマホを確認する。十月六日金曜日、四時四十五分。私も例外でなく、待ち合わせ相手が来るまでは暇を持て余している。緑アイコンのメッセージアプリに、彼からの連絡は無し。
 他校の人間である彼が、そんなすぐに来れるわけもないか。ぼんやりとそう考えながら席を立ち、スクールバッグを右肩に掛けると、私は二年三組の教室を後にした。
 なんか、自販機で買って、一つ飲みきる頃には来るだろ、と思って。

 自動販売機があるのは、一階の下駄箱の側。朝、登校した生徒たちは大体自販機の前に群がる。教室が三階とか五階にある二年生や一年生達は、朝のうちに買いに来なければ、後でわざわざ一階まで降りて来る羽目になる。それはクソめんどくさい。そういう意味では早く三年生になりたいと思わなくもないが、元運動部である私が階段の上り下りを面倒くさがる日がくるなんて思わなかった。
 自販機の前は放課後にも生徒の姿がちらほら。これから部活の運動部などが買っていったのか、スポーツドリンクは売り切れの赤いランプが点灯していた。
 さて、何にするかと三台の自動販売機を眺めていると、隣に見知った顔の男がやってきて、突然歌い出した。

「カッフェオーレがー飲みったいのー、と言いつつココアもいーけどー、ソルティーライチも魅ー力的っ! でも……白黒つっけないカッフェオーレ!」

 と、とあるCMソングを改変して歌いながら、彼はボタンを押した。が、出てきたのは紫色の缶。中にゼリーが入ってるので、開ける前に振って下さいとか書いてあるグレープゼリーソーダだった。

「いや、カフェオレじゃないんかーい!」
「あはは、これ好きなんだよねー、ナタデココも入ってるんだよ」

 思わずツッコミを入れてしまった私に、取り出した缶をシャカシャカと振りながらそう聞いてくる笑顔の生徒。変な登場の仕方をしたが、彼は四方田 朝(ヨモダ アサ)という、隣のクラスの男子だった。
 愉快な奴、と呼べばいいのか、頭のおかしい奴と言うべきか。日頃から妙にテンションが高く、常に楽しそうな人。パーリーピーポー。通称パリピとか陽キャと呼ぶべき部類の人間のようで、私は少し苦手かもしれない。嫌いなわけではなくて、いつも元気だからこそ、ずっと話していると疲れてしまうことがある。けど、気さくで話しやすいし、楽しい人なので、どちらかといえば好きではある。
 未だに紫色の缶をシャカシャカと振りながら「ツバメもなんか飲む?」と空いてる方の手に百円玉を乗せて話しかけてくる。パリピ特有の羽振りの良さ。奢ってくれるらしい。
 そういえば今更気がついたが、アサクンは何故か『本日の主役』と書かれた、白地に赤で縁取られたタスキを肩にかけている。パリピ特有のツッコミ待ちなのかもしれない。私は敢えてスルーを選択。
 アサクンには元気よくお礼を言って、先程可哀想な扱いを受けたのでカフェオレをチョイスした。

「どのカフェオレ? 沢山あるよ」

 三台の自動販売機の中、中央がパックのドリンクで統一されており、両端の飲み物たちはどういう基準で並んでるのかよく知らない。私は真ん中の自販機を指差した。

「んー、じゃあパックのやつ」
「パックですら2種類あるよー」
「下。下のやつ」
「オッケー、ミックスオーレ!!」
「なんでーっ!?」

 アサクンは高らかに叫んで、マジでカフェオレの隣にあったミックスオレのボタン押しやがった。ピッ、ガコンという音が忌々しく響く。
 アサクンは一瞬固まって、でもすぐに両手を合わせて謝罪してきた。

「あっ、ごめん! ミックスオレって言いながらカフェオレ押そうと思ったらホントにミックスオレ押しちゃった……」
「なにしてんのもー、アホでしょ。いいよ、奢って貰う立場だし、私ミックスオレ好きだし」
「自分でもビックリした。今度から気をつけるね」
「今度も奢ってくれる予定あんの? 良い財布じゃん」
「わ……もう奢んない」

 そう言いながら彼が、ミックスオレと書かれたオレンジ色のパックを差し出してきたので、受け取る。

「あはは嘘嘘。ありがとね」

 そもそも奢ってくれたのだから、大嫌いなトマトジュースでも渡されない限りは何でもいい。

「ところで部室のことなんだけどさ」

 アサクンが缶を開けるプシュ、という音を立てながら切り出す。私とアサクンは同じ部活に所属していた。といっても、あんなものを部活と呼べるのかわからないが。部室だって、放課後ダラダラするのに使うだけだし。この前の部活の際は中間テストの勉強室代わりに使用した。
 ちなみに部活があるのは月曜日と水曜日の週二回のみ。そして今日は金曜日。

「今日部活無くない?」
「無いけど、なんかそろそろ掃除しないと過ごしにくいなって思ってさ。一緒にやんない?」
「えー次の部活のときにやりゃいいじゃん」

 面倒臭いことは嫌がる私に、アサクンは今やりたい気分なんだ、と主張する。
 スマホを確認しても、待ち人からのメッセージはまだきていない。暇潰しにはなるだろう。軽く嘆息しながらも、私は頷いた。

「んじゃ、他校の人待ってるから、その人来るまでね」

 私がそう言うと、彼はやったーと元気よく笑った。

 私の通う坂ノ下高校……皆、坂校と呼ぶのでそっちのほうが耳馴染みがあるが、うちの高校の部活は、いくつかおかしいものがある。生徒に好きな事に全力で取り組んでほしいとか、そういった理由だったと思うが、その一つとして存在する私の部活に関しては、所属する私すらも無くてもいいんじゃないか、と思ってしまう。
 四階。音楽室や視聴覚室、パソコン室に理科室等、授業に使う空き教室が多く存在するそのフロアの端っこ。普通の教室の半分程度の大きさしかない、狭い教室の横開きドアに黄ばんだA4サイズの張り紙がされている。
 そこに黒のマジックで書かれた『紙飛行機同好会』の文字。アサクンはこの謎部活の部長だった。

>>1
次回>>3

Page:1



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。