複雑・ファジー小説

午前零時に君は死ぬ。
日時: 2018/04/27 18:32
名前: 狐憑き ◆R1q13vozjY
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12213

「君に一つ、助言をしてあげよう。回れ右をして、そのまま来た道を返すんだ」



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 初めましての方は初めまして。そうでない方はこんにちはこんばんは。
 狐憑き(こづき)と言います。
 珍しく推敲してから更新する小説です。定期的な更新ではありません。不定期更新なので更新催促はなるべく避けて頂けると嬉しいです(無論、コメントは大歓迎です)。なるべく早めに最新のものを読みたいと言う方は上のリンクにてプロフィールを貼り付けてありますので、お手数ですがそちらからTwitterへと飛んでくだされば大丈夫かと思います。
 作者の謎の性癖による拘りが見え隠れするかもしれませんが、宜しくお願い致します。
 これ以上語る事も無いので切り上げます。

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目次〔>>1

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目次 ( No.1 )
日時: 2018/04/29 02:43
名前: 狐憑き ◆R1q13vozjY

《目次》

1.午後、二十三時五十九分、五十九秒【>>2

午後、二十三時五十九分、五十九秒 ( No.2 )
日時: 2018/05/01 20:58
名前: 狐憑き ◆R1q13vozjY

【午後、二十三時五十九分、五十九秒〜目次】
プロローグ>>3

《一章:連続殺人事件犯行目撃》
一話>>4-

Re: 午前零時に君は死ぬ。 ( No.3 )
日時: 2018/05/04 13:53
名前: 狐憑き ◆R1q13vozjY

「ひィぃ.....っっっ!!」

 暗黒の中、無気味に光る球が浮かんでいた。それだけだと言うのに。スクープの予感がしたのに。そう言わんばかりに、涙を流す記者。記者の前に堂々と微動だにせず立ち尽くす男。
 記者は必死に許しを乞う。記者はごめんなさいごめんなさいとひたすらに繰り返し、大事な大事なカメラでさえも放り投げていた。本来ならば逃げなければいけないのに。今すぐにでも上に知らせなきゃいけないのに。嗚咽を吐き出すだけで、記者はへなりとその場に座り込んだまま動かない。記者はまさしく、有声ポンプさながらであった。
 男は返り血を浴びていた。男の背後数メートルには男が殺したのであろう人間が、無様に横たわっている。男は刃物も何も持ち合わせていなかった。ただ、男は丸く光る球体を――手に持っていただけだ。

「さようなら。愛しき人間よ」

 男はゆっくりとしゃがみ、記者の耳元に自らの口を寄せる。男が憎々しそうに、それでいて愛しそうに。うっとりとしてしまいそうな甘い声で記者に囁く。
 刹那、硝子が割れる音と記者のもがき苦しむ声がその場に不自然に響く。記者の耳を塞ぎたくなるような嘔吐の声と断末魔にも似た苦しみの声が、絶え間無く織り奏でる。数メートル先に横たわる人間同様、記者は力なくずっさりと倒れた。
 タイミングを見計らったように、また一人その場に足を踏み入れた。女性だ。男を知っている様子で、パチパチと感嘆の拍手を送っている。女は男から少し距離を取った場所に立ち止まる。とはいえ、両者が片腕を広げればぶつかるほどの距離だが。

「......流石だ。全く、師匠の私でも惚れ惚れしてしまうよ。......コルベン」
「ん。俺は貴女の弟子になったつもりは有りませんけど。何の用ですか、レフ・フォーカルさん」

 互いに名前で呼びあった。男の名をコルベン、女の名をレフ・フォーカルと互いは呼んだ。女の名前はレフとしよう。
 レフは中性的な顔立ちと、その顔立ちのイメージ通りな中性的な声が特徴だ。声はどちらかと言えば男寄りで所謂少年ボイスに近い。少年ボイスをもう少し大人びた感じにした感じだが。又、最大の特徴は首からデジタルカメラを提げていることだろう。
 一方、コルベンは真面目な男性を具現化したような風貌である。常に顔は顰めっ面であり、今もそうだ。声は限りなく低く威圧を孕ませている。又、彼は返り血の浴びた白衣を常々身につけていることが特徴だ。
 コルベンはレフを嫌っているのか否か、何処か嫌そうな面で頭を掻いた。レフはコルベンを自慢の弟子だと言うように、嬉しそうにニタリと笑うように頬を上げる。甘美で狂気を含ませたような、不安になる笑みだ。コルベンはその笑みを気持ち悪いと思いながら、舌打ちをする。とっくに見慣れているに相違ない反応である。

「殺さずに彼等を見逃してあげることも出来たんじゃないか?」

 レフはその笑みとコルベンに対する好意的な反応とは裏腹に、コルベンの行為に対して毒づく。
 ざっざっざと大して水も与えられていない草を踏みしめながら、レフは先程まで泣いていた記者に近付いた。レフは記者がもう息もしていないことを確認する。コルベンはレフが「死んだ者は冷たいな」と呟きながら、カメラのフラッシュを焚くのを見届けた。
 彼女のカメラによって暗闇に一瞬だけ光がもたらされた直後には、記者の遺体は既に赤く燃え上がっていた。微かな光しか持ち合わせていなかったその場は、一気に赤く彩られる。その様はキャンプファイアの様である。

「俺は貴女の仕事を増やすことが仕事なので」
「......そうかい。コッチの身にもなってほしいな、そろそろ」

 コルベンはレフの背後にある死体の末を見つめながらに言った。レフはようやくその笑みを崩し、困ったように笑いを溢した。心なしかレフのカメラもレフの言うことに頷いているように、コルベンは思う。
 部外者にとってみれば血に血を塗るような行為に恐ろしくもなるだろう。だが、彼等にとっては日常茶飯事同然なのだ。死体を燃やすなど、泥を顔に塗るまでもないのだろう。レフの赤く長いストレートの髪がいつものように風に靡いた。


    ◆◇◆


 翌日。残虐性極まりない惨い殺人に、報道関係は勿論のこと全世界が足を竦めた。普通の殺人ならば日本だけに留まるが、あまりの虐げのレベルに度肝を抜かれたに違いない。日本政府はその恐ろしさを共有するために、全世界へと報じることを命じた。
 日本を混乱に陥れたのは、言わずもなが。昨日の夜、レフとコルベンが起こしたあの殺人のことだ。

 死者の数は三人。どれも焼き付くされ、殆どが骨の状態になっていたそうだ。雀の涙程度に一部肉や内臓が残っていたらしいが、生焼けのようになっていたらしい。そこがこの事件の惨たらしさを余計に物語っている。又、不思議なのは草むらに白骨死体が放置されていたにも関わらず、周りの草には燃えた気配すら見せていないこと。この事件の証拠物となったのは、あの記者のカメラだそうだ。警察はそのカメラを含め、慎重に事件の調査を進めるらしい。
 又それは。今回の事件に似た事件も最近では頻繁に相次いでいた。それを警察はひた隠しにしてこっそりと調査を進めていたらしい。だが、警察の偉いさんがあまりにも立て続けに起きることで「これは可笑しい」と感じたのか今回で全てを公表する事にしたと言うのだ。

「んー、へへっ。レフちゃんがしたのかなぁ? スートちゃんこの事件気になる〜」

 その事件を報道するところを観ていた小柄な女性。彼女の一人称の通り、彼女はスートと言う。スートはレフと知り合いか、又は一方的に知っているのか。一般人であればきゃっきゃと喜べも楽しめもしない事件に、スートは一人興奮していた。


 同時刻、場所は夢沢家。
 ここでも同じく、白骨殺人事件について取り上げられていた。画面の向こうでニュースキャスターと弁護士らしい人が掛け合っている。いつになく真剣な表情で、弁護士はこの事件に対する緻密な自身の考えと事件によって発生するお金とやらについて話している。
 一人を除いて、夢沢一家はその話に食い入るようにテレビに吸い込まれていた。

「母さん。今日から学校休みだってさ。部活もない」

 彼女、夢沢 波月(ゆめさわ はつき)は心底怠そうな声でそう言う。
 波月は自分の携帯をぼんやりと眺める。その目は明らかに眠そうで今にも閉じてしまいそうだ。只でさえ、先程も彼女は返信を知らせるバイブ音でハッとしていた。
 彼女の画面には、冷たく返す波月の言葉とテンションが高めの現代言葉だらけの相手の言葉が並んでいる。JK漫喫してますとでも言葉に表してるような、彼女のチャット相手。アカウントの名前は純奈(すみな)。
 波月は、母の返事を聞き流しながら了解の旨を知らせる返事を純奈に送信した。

一話 ( No.4 )
日時: 2018/05/03 11:30
名前: 狐憑き ◆R1q13vozjY

 彼女は増見 純奈(ますみ すみな)。
 小柄で、とても可愛らしい女の子だ。耳より下で二つに纏まっているキャラメル色の髪の毛は、兎の尻尾みたいにとても短い。その幼く感じられるヘアスタイルもあってか、余計に彼女は幼気な少女に見える。
 かなり急いで来たのだろう純奈は、はぁはぁと息を切らしながら「ごめん、待った?」と私に問いかけて来た。純奈は肩で息をしながら、項垂れた。体力を使い過ぎたのだろう。私を見るなり、私に近づいて凭れ掛かってきた程だ。純奈に気づかれない様、こっそりと携帯のロック画面を見る。
 現在の時刻は午後二時ぐらい。約束の時間より幾らか過ぎている。純奈ってば、毎回自分から誘う癖に大体遅れてくる。本当に私と付き合う気が有るのかさえ分からない。言えば、彼女は時間にルーズ過ぎる。ルーズなところ以外は、気遣いも出来て可愛くて、人懐っこくて世渡りも上手い方なのに。
 ほんっと、純奈のそういうところが嫌い。時間にルーズなとこ。

「全然待ってないよ」

 さっと携帯を鞄に突っ込む。携帯を片手に口を尖らせている私なんて純奈に見られたく無い。人付き合いが苦手な私が、純奈に対してはこうやって仲を深めることが出来ているのだから。貴重な友達を逃がすことなんて出来ないんだ。
 私は咄嗟の作り笑顔を浮かべて、ううんと左右に首を振った。本当は二十分ぐらい待ったけど、そんなこと言えるわけない。彼女に罪悪感を背負わせる訳にはいかないから。
 純奈はそんな私を見て、「良かった」とほっとしたように言った。純奈は胸をなでおろす様な仕草をしながら、いつものような人懐っこい笑みを浮かべる。その笑みを見てしまったら、尚更「待ったよ」なんて言い出せそうにない。一生涯彼女には言うつもりもないけど。彼女の輝かしい笑みを傷つけるのは、私がやっぱり嫌だ。

「いつも遅れてるから、今回はもう居ないかと思った〜......」

 あ。自分でも遅れてるっていう自覚はあるんだ。
 未だに私に凭れながら彼女は安心しきっている声色で言う。多分、私が友達に恵まれていたら確実に居ないだろうね。私がそう思っていることも知らずに、純奈は「良かった」なんてまだ呟いていた。いやまぁ、純奈に私の中身を見透かされていたら怖いけどね。
 ずっと掴まれている右腕が引っ張られていて痛くなってくる。純奈の方が何センチか身長が低いからか、私の袖には何個か深い皺が出来ていた。うわぁ、大丈夫かなこれ。後で袖が伸びてたりしないだろうか。伸びていたら左右で長さが違うから、アンバランスで好きじゃないんだよね。

「あ、ねぇねぇ。波月はご飯食べてきた?」
「いや、食べてないよ。純奈がLiNeで一緒にご飯食べよって送ってきたから」

 そう思ってると、純奈から話題が振られてきた。私の右腕から離れて、私を見つめてくる。相変わらず大きな目だ。もう、全身からお転婆娘っぽいのが滲み出ている。
 でも、純奈の質問は明け透けな鎌かけみたいで変だ。だって、わざわざLiNeで昼食を誘って来たのに。食べてるか食べてないかを確認するなんてよっぽどの変人ぐらいしかしないんじゃないの? まぁ、純奈は変人というより天然の方に近いと思うし、もっと砕けるなら心配故に、だろうけど。
 私は純奈に純奈とのチャット画面を見せる。遊びに行くまでに至る道のりだ。純奈はそれを見てふふっと上品に笑った。「そうだったね。じゃ、行こ」と純奈は言って、上目遣いで私を見ながら私の手を引く。純奈の手は、暑いこの季節に合わず冷たくベタついていなかった。
 カラカラカラと、ショッピングモールには珍しい音が鳴り始める。客が出入りした証だ。


 外は相変わらず暑い。太陽が眩しい。数十分外に居るだけだと言うのに、既に汗が滲んできている。
 足並み揃えて歩道を歩いている途中、純奈と私のオススメの店を出し合って、食べに行こうっていう話になった。本当は昼食を食べてさようならする予定だったが、結局は昼飯だけに留まらずスイーツも食べることになった。私がお昼ご飯担当で、純奈がスイーツ担当らしい。何だそれ。
 私、そんなに外食もしないから何が美味しいかなんてあんまり分からないのに。
 でも、純奈はインスタとかツイッターなんかにそういった写真を上げてそうだ。だから結構店に詳しそう。やけに可愛くてオシャレ的な店知ってそうだよね? というより純奈が仮に上げてなかったとしても、インスタ映えとかが似合う女だろう。私とは全く違うからちょっと羨ましい。私なんて、精々頑張ってツイッター映えだ。私は純奈ほど華やかじゃないから。
 あと、純奈の提案で、プレゼンする人(純奈が考えた)はプレゼンされる人(純奈が考えた)に何処に連れて行くかは内緒にすると言うことになった。面倒臭い。純奈と二人だけだからマシだしまだなんとかなるだろう。だけど、これが大人数ってもんなら地獄絵図に違いない。絶対文句言う奴いそう。ていうか居る、絶対。もし私がその中に居たら文句言ってるかもしれない。
 心の中でぐちぐちと駄弁ってたら、いつの間にか目的地に着いていた。とある有名なハンバーグ専門店。ドンキホーテだ。外まで美味しそうな匂いが漏れてきている。
 「着いたよ」と目の前のドンキホーテを見上げる。実は此処のドンキホーテ、行ったことが無い。携帯アプリの地図を開いたら出てきただけで。見た目は穴場的な感じで、隠れ家にも近い。それでもドンキホーテとでかでかと書かれた例の看板があるから、隠れ家も糞も無いけれど。
 所で、純奈の反応が無い。純奈はドンキホーテ、あんまり好きじゃないのか。それとも、ハンバーグ自体が嫌いなのか。
 私が純奈の方向を見ると同時に、クエスチョンマークを瞳に浮かべた純奈と目が合った。お前、私がそっちの方向を見るまでずっとこっち見てたのか。

「......え、何でドンキホーテ?」
「ハンバーグが好きだから」

 彼女がようやく吐き出した言葉は疑問だった。本当に不思議そうにしているものの、私の選択に異論は無いらしく文句は言ってこない。
 それでもだ。私がボソッと言った理由にはコテンと彼女も首を傾げた。いやそれ理由になってるの、と無言の視線が突き刺さる。痛い。一人にしか攻撃されていない筈なのに。
 純奈は多分、お洒落だったり隠れ家だったり的なのを想像していたんだろう。純奈の顔に想像と違うってでかでかと書かれているもん。私がそんな洒落た店を選ぶ訳が無い。そんなに気を遣えも出来ない。純奈ほどより店は知らないだろうから、純奈の期待外れなのは当然だろう。
 微妙な顔のまま、私の隣に立つ彼女はぼんやりと看板を眺めているように見える。私は「まぁいいじゃん、入ろうよ」と純奈の手を引いた。なんだか、こうして私が人を誘導したりするのは珍しい気がする。純奈と私でも、私が流されることの方が多いし。

 店内はハンバーグの匂いが充満している。もう既にハンバーグを食べているのではという気になりそうにさえなる程だ。外にまで匂いがあふれ出ていたのだから、当たり前っちゃ当たり前か。
 新人っぽい若いお兄さんが、私達を席へと誘導しながら「二名入りましたー!」と大きな声で言っている。私達の席は店の隅の壁際だ。窓が遠くて、外の様子を窺うことは出来ない。
 若いお兄さんはサッとメニュー表を置いて、スッと何処かに行ってしまった。店内を少し見渡してみれば、先程の若いお兄さんはキマった営業スマイルで注文を承けているようだった。接客業って、大変だな。忙しないや。
 メニュー表を机の真ん中に置く。ちょっと眺めてみれば『期間限定』だのなんだのと、客を煽る気満々の有名文句が鬩ぎ合うようにひしめき合っている。

「純奈は何にするの?」

 「私はこれね」とパイナップルが上に乗っかっているハンバーグを指す。迷うことなく決まる私と対照的に、純奈はどれにしようかなと楽しそうにメニューに見入っている。暇だ。こういう感じに迷う奴って大体数分かかるじゃん。幾らでも待つけれど、さ。何回も服屋に連れて行かれるカップルの内の男はこんな気持ちなのかもしれない。めちゃくちゃ杞憂だね、折角のデートなのに。そう考えると私達って申し訳ないことしてる。まぁ彼氏居たことないからさっきのくだりも偏見だけど。
 結果からすると、純奈はごくごく普通のハンバーグを選んだ。上にデミグラスソースがかかっているだけで、他は家庭のものと何ら変わりはないようなやつ。そんなる普遍的で良いのかと確認してみたけど、純奈は笑って私の質問を軽く捌いた。本当に良いんだな? 私のパインはあげないぞ? とも茶目っ気があるみたいに言ってみたけどそれも軽くあしらわれた。なんか今日は釣れないぞ、純奈ちゃん。……いや、私が舞い上がり過ぎてるのかな。
 机の端にちょこんと置かれている呼び出しボタンに目をやった。

 ピンポーン

「畏まりましたーごゆっくりなさってください」

 やってきたのは年を食った女の人。決まり文句を読み上げるかのような、模範的な口。サッとメニューを取り上げる様はまさにベテランそのものだった。
 ふと純奈の方を見ると、当たり前のように携帯を持っていた。何の躊躇いもなく触っているから、すっかり馴染んでいる。流石に私は飲食店の中ではいじらないけれど。衛生的に悪そうだし。暇だし、純奈でも観察してようかな。

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