複雑・ファジー小説

Primitives Schwarz
日時: 2018/06/15 21:50
名前: こあく

ー此れは漆黒なる創世神の物語―



粗筋
異形な容姿をした少年は駅のホームから落ちた。その先に待っていたのは、山羊であった。その出会いをきっかけに彼は新たな創造主として君臨する。
少年は世界を旅し、仲間を見つけていき、成長する物語。



初めまして、こあくと申します。久し振りにカキコで創作活動をします。ハイファンタジー系です。宜しくお願いします。オリジナル小説です。


とんでもない量の説明(というか忘れた時用)
スキルなどの解説集>>12 人物ステータス一覧>>17

一気読み用 (章ごとに区切っております。)
序章>>1-5 壱章>>6-11>>13 弐章>>14-16>>18 参章>>19-21


用語集
次元
最高地点。全ての源でもある。例えるなら、途轍もなく大きい袋。その中に沢山の袋が層のようになっている。次元はもともと1つしかなかったが、黒山羊の手によって新しい次元が造られた。普通は次元の主が創ることしか不可能。広さは無限。数々の世界の総称として用いられることもしばしば。

世界
この物語では次元の中にある層の事。次元と違い、広さは有限。また、次元に近ければ近いほど魔法や文明が発達しやすく、広くなる。地球みたいな惑星を世界とは言わない。作者自身も混同しちゃいますが……。

ステータス
ノワール達が向かった惑星特有の現象。ゲームでよくあるやつ。カンストしていると『?』と表示される。普通はありませんが。

スキル
魔法などを取得した時に得られるもの。誰でも得ることが可能なスキルです。進化、合成なども可能。スキルのLvの最高は15。カンストしてると表示されないです。

固有スキル
その種族、職業だけのスキル。強力なものが多いです。チート系もしばしば。

種族
種族は生まれた時からの固定。特殊な方法で他の種族に変わる事は出来ますが、Lvが1に戻ったり、死のリスクがあります。

職業
それぞれの職業に決められた基準を合格すると取得出来る。進化、合成が出来る。たまに特殊なのがありますが、世の中の大半は取得するタイプの職業です。

召喚
召喚の定義は『この世にいるもの』を呼び寄せること。夢想獣召喚の場合、想像したものを『あるもの』にすることができる。創造とはまた別です……多分。

ドロップ
ドロップの確率は10分の7ぐらい。お金は確定で出現する。レア度が高いほどより確率が低くなる。運上昇の職業だと確率はUPします。

レア度
星で表される。1から10まである。文字に書くと表せないですが……。

魔獣
モンスターと読む。骨馬ちゃんやらの総称。大体ダンジョンやらにいる。

ギルド
独立した機関。冒険者、商人、錬金術師、鍛治師などなどある。物を売ったりも出来るので、ギルド会員以外にも出入りが多い。大体酒場が併設されてます。

ランク
モンスターと冒険者に存在します。下の方からF、E、D、C、B、A、 S、SS、SSSまである。

魔法道具
マジックアイテムって読みます。魔法が付与されたものや、鍛治師によって加工された魔法石なんかを指します。大体相場がお高い。魔法道具はレアリティも高い。

魔法
スキルで獲得すると使えるようになる。火属性、水属性など沢山ある。大体のスキルは合成、進化が出来るので、強くなるために必須。固有スキルの魔法は強力です。

魔法石
魔力が込められている石。魔法道具の素材として使われる場合が多い。主に魔力溜まりというところから採取可能。

魔力
ステータスで言う、MPです。

ダンジョン
モンスターの巣窟。主に塔、館、地下廊があり、塔は上、館は部屋、地下廊は下を順に攻略していき、ボス部屋をクリアしていく。ラスボスを討伐すると、ダンジョンは壊れて新しい物が出来る。ダンジョンクリアの最後にはレアなアイテムをプレゼントしてもらえたりする。


主要人物紹介

ノワール=ディユ・ブラン
元々は別次元の人間だったが、誰かに駅のホームから突き落とされ、漆黒の次元に落ちる。日本人だった頃は白神 黒という名前だったが、黒山羊によってドイツ語に翻訳してもらい、現在ではそう名乗っている。チート級のステータスとスキルを持ってます。過去は結構グロテスク。風貌は白髪で、右側の一部だけ黒髪。右眼は黒、左眼は赤でどちらとも魔眼。結構童顔。


黒山羊
山羊の頭骨の頭をしてるやつ。漆黒の次元を創った本人。魔法などに関しての知識は豊富。元々、ノワールの次元にいたが、次元研究を成功させた為か追われる羽目に。ノワールと逢うまで漆黒の次元に篭っていた。現在はノワール専属の執事。ノワールの事なら軽く1000万年話せる。


死蛇
しだ、って読む。シダ植物ではないです。身体の殆どが骨で、継ぎ合わせるとこが筋肉。目が100個以上ある。体長は、キロメートルぐらい。ノワールの夢想獣。屍王など異名を持つ。口の悪さはピカイチ。普段はノワールのブレスレットになっている。ブレスレットの丸い石は全部死蛇の目。


雷子
黒の熾天使女王。元々はとある神々の熾天使だったが、ノワールに仲間にならないかと言われて、仲間になった。酒癖が酷い。本能のままに生きている。名前のダサさはノワールのネーミングセンス。金髪ロングの青目。天使の輪と稲妻のような羽根は黒色で、めちゃめちゃ美人。


ドラーク
元々はノワール達が旅をしている世界の神々の一角だった。龍王のダンジョンの管理者。ラスボスではない。裏ボス的な存在だった。ノワールと戦い敗北、その後に黒龍神王として黒の原初の仲間に。身長が高く、和服が似合うイケメン。髪と右眼は黒、左眼は魔眼で金色。ドラークはオランダ語で龍、て意味だよ。


誤字、脱字は見つけ次第修正致します。
閲覧数、200ありがとうございます!
6.15 題名を変えました。意味は同じです。ドイツ語になっただけです。
コメントや質問等は大歓迎です!

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黒き原初 ( No.20 )
日時: 2018/06/14 18:57
名前: こあく

龍神王

冒険者が出発するまで、あと一日。ノワール達はその前に龍王のダンジョンへ潜り込む。
「確かに龍王のダンジョンって言うだけあるわ。このままだと怪我人も多いんじゃないかしら。」
雷子がトカゲのようなモンスターを倒しながら言う。ドラゴンと言うだけあって、なかなか手強いと思われる。しかし、この面子だと基準が分からなくなるが。
『死人も出ますね。蘇生をすれば良い事ですが。』
黒山羊もサラッと言う。確かに死んだら蘇生、そう言う方法もあるだろう。しかし蘇生出来ない場合も勿論ある。魂が食べられた場合や肉体が無い場合、即死効果での死亡は蘇生出来ない。ノワール達の場合はまた別だが。
「ここら辺のドラゴン達は一掃しよう。トラップも簡単なのに付け替えて。スライム辺りを放とうか。」
ノワールが指示を出す。それにメンバー達は頷き行動を始める。


冒険者は到着して、着々と攻略をして行く。半分以上はノワール達のお陰だが。
「あ、ボス部屋に入って行くわよ。」
雷子が言う。ノワール達はお楽しみとばかりにボス部屋だけ散策しなかった。
「入ってみようか。」


ボス部屋に入ると、冒険者達は誰もいないと言っている。しかし無効化の魔法を使えば分かる。透明化している声の主が。
「良い男ね。強そうだし。」
雷子は目を光らせる。女子らしいといえば女子らしい。いや、合コン狙いのアラサーかもしれない。
『ノワール様には及びませんね。』
黒山羊は鑑定したようで、完全に下に見ている。ノワールも鑑定を使う。

隻眼の龍神王
Lv.16952
種族 龍神
職業 龍神王

固有スキル
龍神王の威厳
自分よりもレベルの低いものを威圧させる。龍神王固有のスキル。

龍神の鎧
ゴットドラゴニックメイルと読む。防御力を何倍にも引き上げる。また、全属性耐性、状態異常無効化も付いている。龍神系統種族固有のスキル。

龍神王の息吹
青い炎を吐く。その威力は世界を焼き尽くすほど。龍神王固有のスキル。

龍神化
龍の姿と人の姿に変身出来る。龍の姿の方がステータスが高い。龍神王固有のスキル。

龍神王の咆哮
龍達を呼び出し、従えることが出来る。龍神王固有のスキル。

龍の神託
左眼の魔眼は鑑定の役割があり、人のステータスを見ることが出来る。鑑定の条件は無い。隻眼の龍神王固有のスキル。

スキル
鑑定 剣術 全属性魔法 拳術

装備
龍神王の鎧 レア度・星8
龍神王に与えられた最強装備。全ての状態異常攻撃を無効化する。

龍獄刀 レア度・星9
龍の鍛治師達が作り上げた最高の刀。龍神の爪如く切り裂く。

称号
地界へと堕ちた龍神
神への冒涜者
魔眼の龍神
隻眼の龍神王
迫害されし者


称号を見るからに過去に何かあったのだろう。しかし、Lv的には雷子よりも上だ。スキルに関してはノワールよりもある。固有スキルはやはりノワールの方が多いが。
「あらあら、子羊達が倒れていくわー。可哀想。」
雷子の気持ちがこもっていない棒読みに苦笑してしまう。やはり強い男にしか興味が無いようだ。
「あ、ジョージ君じゃない。ノワール様、どうする?」
確かに沢山の冒険者が死んだようだ。もうそろそろ出ても良いだろう。ノワール達は勢い良く行く。


龍神の姿を改めて近くで見るとイケメンだな、と思う。彼は刀を使っている。日本人かな?と思ってしまった。
「何故当たらない?」
龍神王はノワールの身体を刺す。しかし、彼のスキル『死霧』により物理ダメージが無効化される。
「ねぇ、そろそろ良いかな?まぁ、戦いだから多少の本気は出さないとね。」
ノワールはそう言うと、魔法を放つ。無詠唱での発動に龍神は驚いていたが、刀でそれを断ち切る。
「やっぱり見込んだ通りだ。」
ノワールは相変わらずの笑顔である。龍神はそれが気に食わない。
「何故笑っていられる?そもそも貴様は人間だろう?」
龍神はまだ人間だと決めつけているようだ。ノワールはふふっ、と笑った。
「君の魔眼で調べてなよ。発見出来るかもよ?」
龍神は驚いていた。鑑定のスキルは確かにステータスを見ることが出来るが、それは相手より強くなくてはならない。
「……くっ。」
龍神は歯を食いしばった。ノワールは思った通り、と思う。渋々龍神は自分の左眼をドラゴニックメイルから開ける。光った気がする。
彼は絶句した。ノワールのステータスを見た瞬間に。黒山羊と雷子も頷く。馬鹿げたステータスなのだから。
「どう?これで人間じゃ無いことぐらい分かってくれたと思うんだけど。」
ノワールは余裕の笑みを浮かべ、逆に龍神は足を一歩引く。
「偽装か、はたまた本当か、それを判断するのは俺だ。貴様には関係無い。」
ノワールはそれも良し、と返事をする。
「じゃあ、手加減しないでね?逆にそうしないと命も吹っ飛ぶよ?」
ノワールはそう言い放った瞬間に動く。その速さは誰にも見えない。龍神も身構える。
「『死霧』」
死霧になり、形を変える。それが蔓延する。即死無効化でも吸えば死ぬ。しかしそれだけでは済まない。ノワールは次に魔法を放つ。
「『極地獄』」
唱えると火山噴火地帯になっていた。溶岩やマグマなどが煮えたぎっている。
「これ吸ったらね、死霧もあるけど硫化水素って言う害悪な気体が出てくるわけだよ。龍にどんな臓器があるかは知らないけど人間だったら即死だよ。」
龍は未だに空気を吸っていない。神だからなのだろうか、何処かに酸素供給機能があるのかもしれない。
「さて、君からの反撃は?」
ノワールは龍を挑発する。龍は動かない。なんだ、と思った瞬間龍も動き出す。刀を振りかざした。それを身体を捻り避ける。その攻防が続く。しかし空気を吸えば即死、最悪の状況。ノワールが優位なのは変わりない。
「言葉を発さないの?まぁそれが1番かも。」
ノワールは余裕の表情で避けている。その尋常じゃ無い速さは雷子達に保護されたジョージがよく分かった。
「うん?」
ノワールが創り上げた世界が少しずつ変わっていっている。ノワールは死霧を自身に収縮させ、空中に浮かぶ。
「『氷獄』」
龍神は唱えると火山地帯だった世界がいきなり吹雪の世界へと変わる。
「上書き……。」
ノワールの魔法は上書きされた。普通ならあり得ない。しかし此処は彼のダンジョンだ。ノワールははぁ、と溜息を吐く。
「ゲホッゲホッ!」
龍神は息を長い時間止めていたせいか、酷い咳をする。
「……流石は龍神王、生命力だけはある。」
ノワールは龍神を睨みつけた。魔法を上書きされた事が悔しいのだ。
「……ふん。此処は俺のダンジョンだ。貴様にどうこうされる義理は無い。」
龍神もさっきの状況が気に食わなかったようだ。2人の目線が火花を散らす。
「一対一では貴様には勝てない。ならばハンデ戦とでも行こうか。」
龍神は次の瞬間、咆哮をした。鼓膜が千切れそうなぐらいの大きさで。
その咆哮が鳴り響くと竜が大量にやってくる。
「雑魚処理で削ろうって話ね。『夢想獣召喚』」
それに対抗しようとノワールは死蛇以来の夢想獣召喚を使用する。その間に竜達はノワールを囲み襲いかかる。
『ノワール様に刃向かおうとは、下劣な生命が!』
ノワールでは無い声がした。その途端、目眩がするくらいの光が放たれる。襲いかかってきた竜達が床に倒れる。
「竜達は任せたよ。」
ノワールの隣には黒に鎧に包まれた人型の何かが立っていた。
『御意!……さて、竜達よ。かかってこい!』
黒い騎士はノワールに対して素晴らしい返事をした後、竜達に挑発をした。
「さて、これで一対一だ。」
ノワールはまたもや笑みを浮かべる。龍神は刀を向ける。
「貴様は武器が使えないようだな。スキルでしか対抗できない、それが弱点だ。」
ノワールは確かに、と頷く。龍神はそんな反応をされるとは思っていなかったようで少し驚く。
「でもね、剣術なんて此処で覚えれば済む話だよ。」
ノワールは無限保管庫から剣を出す。それは何よりも黒く、何よりも禍々しい剣だった。
「『黒災禍』」
ノワールは剣の名をしっかりと言葉にする。
「君の刀よりもレアリティが上かな?」
黒災禍は星10である。そもそもレアリティも何も強さ的には関係無いのだが。
「さてと、今度はこっちから行かせてもらうよ!」
ノワールが斬り付けに行く。初心者とは思えないほどの速さだ。当たりはしなかったものの、当たれば即死級なのは間違いない。
ノワールは手応えがあったようで、攻撃する度に精度が上がっていく。そして遂に龍神の鎧に攻撃が当たる。
「くっ!」
その衝動は鎧の上からでもしっかりと伝わった。鎧は黒災禍に触れたところから少しずつ溶けていく。龍神は鎧を脱ぎ捨てる。
露わになった腕には強固な鱗などがあり、勇ましいとはこの事だ。
「うん。やっぱり君強いよ。黒災禍の速度でも鱗までは届かなかったし。」
満足気な表情をするノワールに今度は怒るのでは無く、恐れを抱く。此処まで冷静沈着でいられるか、と。
「さて、此処からは降伏もよしとしよう。君に死んでもらっちゃあ困る。」
ノワールの笑みは獰猛になった。まるで獲物を見つけたかのように。
「……貴様の名前はなんと言う。」
龍神がノワールに対して聞く。ノワールは龍神の目を見る。そして、
「ノワール=ディユ・ブランだよ。」
赤い隻眼が彼を捉えた。

黒き原初 ( No.21 )
日時: 2018/06/14 19:02
名前: こあく

黒龍の誕生

赤い隻眼が龍神王を捉えた。彼は硬直する。その隙にノワールは龍神王を壁に叩けつけ、顔スレスレのところで壁に勢い良く剣を突き刺す。ノワールと龍神王の距離は息がかかるほど近い。
「どうする?逃げられるかな?」
龍神王にノワールは問いかける。彼は目を合わせないようにしている。
「降伏は、したくないんだよね。そうだな……黒災禍、よろしく。」
『分かりました。彼の血を少し頂くことにします。』
黒災禍が喋る。生きている剣、という単語を龍神王は聞いたことはあったが見たことは無かった。
ノワールは壁に刺さっている黒災禍を抜き、彼の心臓に容赦無く突き刺す。
「グァ!」
龍神王はその重量に耐え切れるはずもなく、悲鳴をあげた。ノワールはそれを平然と見ている。
「ねぇ、痛い?」
ノワールは狂気な笑みを浮かべて話しかける。龍神王はそれどころではないがノワールの威圧に負け、頷く。
「そっか、じゃあ二つの方法を提案してあげよう。黒災禍は殺しはしないが痛みを与え続ける。救われたいのであれば、黒の原初と共に生きるか、此処で死ぬか、どっちが良い?」
ノワールに二択を迫られる。龍神王は此処で死んでも良いと思った。敗北するぐらいなら、と。しかしこのままでは自分が守り続けていた龍の楽園は滅んでしまう。王として、それだけは嫌だった。
「……貴様の仲間になったらどうなる。」
龍神王が疑問を投げかける。ノワールは待ってましたとばかりに、にっこり笑顔で言った。
「この世界を存分に楽しむ。そして、黒の原初の仲間としてこの次元の龍神王になって秩序を維持する、とかかな?」
ノワールは言葉が上手くまとまらなかったようで苦笑しながら言う。
「……俺はこのダンジョンを守れるか。」
龍神王はそんな事を小さな声で呟いたがノワールは聞き逃さなかった。
「確実に君は強くなる。この黒の原初が保障しよう。」
龍神王はノワールの言葉を信用しようと思った。自分よりも強い存在に出会え、自分をより高め合うことができる、と。
「ならば……貴様と共に生きよう。」
龍神王は少し考えた後、結論を出す。ノワールは待ってましたとばかりに笑った。さっきまでの狂気な笑みとは違う。
ノワールは黒災禍を彼の身体から抜き、龍神王を全回復させる。
『見事でしたね。ノワール様がまた美しく、気高くなりました。』
何処からか黒山羊が登場する。雷子もジョージも出てきた。
「私の後輩一号ね!」
後輩が出来たことにより、雷子はこき使うつもりだろう。正直言えばレベル的には龍神王の方が上なのだが。
「雷子、こき使っちゃダメだよ。後、冒険者さん達を蘇生しておいてね。記憶を抜いて。」
ノワールが指示をするとアイアイさー、と返事が戻ってきた。適当だなぁ、と苦笑してしまう。まぁ、雷子はこんな性格だがやる時はやってくれる。
「ノワール、様。」
龍神王が様呼びをしてきた。結構無理をしているように見える。顔が怖い。
「良いよ、無理しないで。呼び捨てでいいから、ね?」
様呼びをされるのにはまだ抵抗がある。龍神王として生きてきたのだから、プライドもあるのだろう。
「いや、しかし……。」
「はい、ノワールって言ってみて!」
負けたからと言って引きずらないで欲しいのだ。彼は威厳溢れている人物であってほしい。
「ノ、ノワール。」
渋々言ってくれた。ノワールはよし!と鼻息を荒くしていた。嬉しかったのだろう。
「えっと、名前って無いんだよね。うーん、黒山羊、頼む!」
ノワールのネーミングセンスはナンセンスなので、黒山羊に頼む。黒山羊は快く受け入れてくれた。
『ノワール様の家臣として相応しい名前を考えてなければいけませんね。』
何故に俺基準なんだ、とノワールは思った。
『ドラーク、は如何でしょう?オランダ語で龍、と言う意味です。』
何故に君はオランダ語まで知っているんだ、とノワールは率直に思う。帰国子女なのかもしれない。
「分かった。」
龍神王に了承してもらえた。
「よし、ならば眷属化しなきゃね。」
ドラークの手をノワールは取る。そして、
「我が黒の原初、漆黒なる次元の名の下にドラークを龍神王とす。」
ノワールは詠唱をし終わると、彼のステータスを鑑定する。

ドラーク
Lv.16925
種族 黒龍神
職業 次元の黒龍神王

固有スキル
龍神王の威厳 龍神の鎧 龍神王の息吹 龍神化 龍神王の咆哮 龍の神託

黒き龍神王の破壊
破壊魔法が使えるようになる。黒龍神固有のスキル。

黒龍神の再生
蘇生の上位互換。怪我した部位を直ぐに再生出来る。

漆黒なる加護

スキル
鑑定 剣術 全属性魔法 拳術 眷属

装備
龍獄刀


称号
地界へと堕ちた龍神
神への冒涜者
魔眼の龍神
隻眼の龍神王
迫害されし者
黒き次元の龍神王

「なんか、やっぱりチートだよね。みんな。」
自分の仲間にはチートしかいないんじゃ無いだろうか。雷子は一番のチートはあんたよ!とツッコまれたが。
『では、ドラーク殿、よろしくお願いします。』
「ドラークちゃんね。分かったわ。」
「えっと改めまして宜しく。」
三人がドラークに宜しく、と言った。
「あぁ、宜しく。」
龍神王の笑顔を初めて見ることが出来た。


冒険者を蘇生させ、龍を倒したかのように見せかけ、ダンジョンの外に出す。ノワール達はダンジョンから出ようとした。するとノワールが召喚した夢想獣を雷子が指差す。
「にしても、そこの黒鎧って誰なのよ?」
黒騎士は一瞬ポカンとしていたがすぐに、
『は!私はノワール様にお仕えしております、黒騎士です!皆様、よろしくお願いします!』
ピシッとした姿勢を黒騎士がする。黒騎士はノワールが剣術を教えてもらおうと思った時に生み出したのだ。所謂、魔法剣士である。そこら辺の冒険者より圧倒的に強い。
「ふーん、ギルド登録しなきゃね。」
雷子は少し面倒だと思った。



ダンジョンから出て、街へ入る。門番にまた驚かれてしまった。体格の良いイケメンと全身黒の鎧を纏った人物が増えているのだから。
「えー、税金をお願いします。」
相変わらずの言葉だった。銀貨を払い、中へと入る。


ギルドに向かう。緊急依頼が終わり、賑わっていた。ノワール達はカウンターへ向かう。
「冒険者登録をお願い。」
受付嬢はまた?と驚いた顔をしていたが紙を持ってきてもらい、無事にパーティー登録まで終わった。
「ここの酒場で飲みましょう?」
雷子はご褒美にお酒、と言わんばかりだった。ドラークもお腹が空いているらしい。血を流した戦いだったからな、とノワールは思った。
席を取り、雷子は魔法道具の杯を出してお酒を飲み始める。黒山羊はメニューを頼んでいた。
「ねぇ、お酒って飲めるの?」
雷子が酔っ払いながら聞いてきた。話を聞いていたノワールとドラークは頷く。
「なら、飲み比べしましょうよ。」
はぁ、とノワールは溜息を吐く。ドラークは別に平気だ、と言う。
「あ、店員さん。酒の瓶、100本持ってきて。度数高いの。金貨1枚でいいかな?」
ノワールは店員に金貨を渡して、お酒を頼む。店員ははい、と返事をした後カウンターの奥へと入っていった。

お酒が来た後、周りには冒険者達が集まっていた。賭けをしているようだ。
「俺はあの体格のいいやつに銀貨5枚賭けるぜ。」
「いや、あの美女かも知れねぇぜ?」
そんな言葉が飛び交っている。しかしながら誰もノワールに入れようとはしない。
『では、飲み比べ、始め!』
黒山羊の合図によって、飲み比べが始まる。雷子もドラークも勢い良く飲んでいた。誰もノワールには注目しなかったが、黒山羊だけは見ていた。
「うーん、味的にはそこそこだね。」
ノワールは味の評価をした後、酒瓶を丸飲みしていた。
「はい、次。」
その後も酒瓶丸々飲み、いつのまにか60本平らげる。酒瓶が尽きるとノワールは2000、と言った。黒山羊は金貨を20枚払う。
「うーん、飽きるよね。はい次。」
雷子は酔い、ドラークは飲み過ぎで満腹になったようだが、ノワールはまだまだと言っていた。そもそもノワールには酔う、という定義はないし、満腹になる為には世界を100個ぐらい喰らわないといけないことになる。
「ご馳走さま。」
出てきた肉も食べながらも物足りない顔をしていた。しかし、これ以上お金をかける必要も無い。賭博をしていた冒険者達は賭けが失敗した為、黒山羊にお金を回収されていた。


ギルドを出て、宿屋に向かう。ドラーク分の部屋を取り、自分達の部屋へ向かおうとする。
「ねぇ、ドラーク。ちょっと来て。」
ノワールはドラークを自分の部屋に招き入れた。


部屋に入り、ドラークは椅子に、ノワールはベッドに腰掛ける。
「えっと鎧を溶かしてごめんね。」
黒災禍は触れたものすべてを溶かすことができる。星8の鎧を溶かしてしまったことを申し訳なく思っていた。
「いや、仕方のないことだ。ノワールの所為では無い。」
ドラークはフォローしてくれた。しかし、それでは装備が無い状態だ。ローブを羽織っているが、そこまでの防御力は無い。
「ドラークってさ、日本人顔なんだよね。」
イケメンなのには変わりないが、和風の顔をしている。
「だからさ、着物ってどうかな?」
無限保管庫から着物を出す。黒と青の着物である。体格のいい、と言っても細マッチョなのだが、そんなドラークに似合うはずだ。
「そうだね、着替えられる?」
変身魔法を使えば楽だが、頭の中でイメージできなければ変身は出来ない。
「このようなものは東の国に存在していた。」
え、マジで?とノワールは口に出した。日本のような国があるのかもしれない。今度、行ってみよう。
「多分、着替えられると思う。」
ドラークは着物を持ち、変身魔法を使う。きっちりと着こなせていた。着物に着替えたドラークはまさに武士そのものだ。ノワールは童顔なのでどうしても幼く見えてしまうため、使う機会が無かったのだが、良かった。
「うんうん、似合うよ!」
ドラークは褒められて嬉しかったのか少し顔を赤くしていた。
「後は、眼帯あげる。」
ドラークは鎧で魔眼を隠していたが、その鎧は無くなり、ローブで隠していても怪しまれるだろう。その為にノワールは黒い眼帯を作ったのだ。
「似合い過ぎて羨ましい。」
ノワールの口からは本音が出てきた。ドラークは正直困惑していたが、褒め言葉だと思って受け止めたようだ。
「装備としての性能も抜群だから、安心して。刀も二刀流な感じでもう一本あげるよ。」
仲間になったからには大盤振る舞いをするとノワールは決めていたのだ。魔法道具を沢山作っておいて良かったと思っている。

これがドラークが仲間になった日だった。

Primitives Schwarz ( No.22 )
日時: 2018/06/15 17:51
名前: こあく

肆章 日常
Eランク昇格と商人護衛

ノワール達は今日も討伐依頼を受けていた。今回はリザードマンらしい。Fランクじゃ物足りないので、Eランクの依頼を最近は受けている。
「うーん、こんだけ倒しちゃったから、ジェネラルとかキングとかもいないかも。」
雷子が呟く。リザードマンには上位種という存在がいる。ジェネラル、キング、キャスター、アーチャーなどだ。これらの種類は高値で取引され、モンスターランクも上である。尤も、この面子では雑魚に等しいが。
「お金も少ないし、素材も良くないから収穫は見込めないと思うよ。」
ノワールは言い放つ。ノワールのスキルであればこの世の全ての物質を創る事が可能だ。素材集めは必要ないと言っても過言ではない。しかし彼にはコンプリートする、という目的もある。見たこともない素材などを収集して図鑑を作ることも目標の一つだ。
「やはりリザードマンは威圧を放つと逃げてしまう。ノワール、一旦場所を変えた方が良いと思うが。」
ドラークはリザードマンに剣を突き刺しながら話しかける。ノワールはそうだね、と平然とした顔だ。慣れ、というものは怖い。
『目的は達成していますが、ノワール様、どういたしましょう?』
黒山羊が聞いてくる。一旦ギルドに戻るのもありだな、と思った。
「一旦ギルドに戻って情報を収集した後、討伐しに行こう。」
ノワールの提案に皆が頷く。


ノワール達はギルドに戻り、報酬を受け取る。
「ノワールさん達にご報告があります。」
受付嬢が話を切り出してきた。ノワール達は大体予測が付いていた。
「なんと、皆さん、驚かないでください。Eランク昇格です!」
受付嬢がはしゃいでいる姿を普通に見ているだけだった。受付嬢は冷たい目線に少しだけ冷や汗をかいていた。
「なんで喜ばないんですか?!昇格したのに!」
半ギレされた。ノワールは受付嬢に迫られる。もう大丈夫ですと手を前に出す。
「だって分かりきってる事じゃない。別にEランクだし。」
雷子がギルドカードを更新して欲しい為、無理矢理手渡す。それに乗じて、ノワール達も出す。
「も、もう分かりましたから。やりますよー。」
受付嬢は少し嘆きながらも更新してくれた。
『Dランクの依頼を調べて参りました。商人の運搬護衛です。近くの街に行くようですから、どうでしょうか。』
黒山羊が更新中に依頼を探してくれたようだ。ノワールはありがとうと一声かけ、その依頼を受付嬢に渡す。
「もう依頼を受けるんですか?まぁ、いいですけど。」
受付嬢はまだブーブーと言ってる。ノワールは苦笑してしまった。


商人の護衛は明後日からで、かなりの規模の商団らしいので、沢山の冒険者が集められる。
宿に戻る。明後日にはチェックアウトしてしまう。物は置かなかったのでしまうものは無い。
この部屋に愛着はある。この惑星に来て、初めての宿だったのだから。
ノワールはそう考えているとグー、とお腹が鳴った。お昼か、と思い食堂へ向かう。
「あ、ノワール!」
ジョージに声をかけられる。ドラークの一件以来、話していなかった。
「あぁ、この間の緊急依頼のことなんだが……。」
ジョージは申し訳なさそうに言い始める。ノワールは別にどうでも良かった。ドラークを仲間に出来たのだから。
「本当に凄かったな。やっぱり次元が違うっつうか、俺よりランクが低いのが不思議だよ。」
「しょうがないよ、昇格制なんだから。今日でEランクになれたんだし。」
ノワールは今日で1ランク上に上がれたのだ。1ヶ月で。これは最速記録と言っても過言ではない。
「早いな?!俺もEランクになるまで一年はかかったぜ。永遠のCランクだしな。」
冒険者でBランク以上になれるのは一握りらしい。Cランクになる時は三十代ぐらいだからだ。衰え、と言うものが感じられる。SSSランクはエルフなどの長寿種らしい、と言う噂も聞いたことがある。
「そのうち、SSSランクまでいくから、見ててね。」
ノワールが笑顔で話す。ジョージは流石だな、と真剣に返した。
「じゃあ、俺は黒の原初を信仰しようかな。強くなれそうだし。」
今度はノワールは苦笑してしまった。信仰、考えたこともなかったからだ。
「じゃあ、布教しといてよ。あ、ご飯食べ終わったから、行くね。」
冗談混じりに言う。ノワールは席を立ち、食堂から部屋へと向かった。


「ご利用、ありがとうございました。」
早朝、宿屋の女将さんにそう言われ、宿を出て行く。馬車達は預かってもらうが、部屋はチェックアウトしたのだ。
ノワール達は門へと向かう。冒険者パーティーが5団体ぐらいいた。
「此処ねー、強そうなやつ、いないわね。」
雷子には相変わらずデレカシーというものが無い。
『ノワール様、あちらの商人の方のようです。』
黒山羊が依頼主のところに案内をしてくれた。
「あぁ、貴方達がEランクパーティーの黒の者達ですか。今回の依頼主、エドワードと申します。」
「リーダーのノワールです。今回はよろしくお願いします。」
依頼主、エドワードが挨拶した後手を前に出してきた。ノワールも挨拶を交わした後、エドワードと握手をする。
握手が終わるとメンバーが自己紹介をし始める。
『黒山羊と申します。』
「雷子でーす。」
「ドラークと申す。」
個性的な挨拶だ。話し方で誰が誰だか良くわかる。
「今回は私の馬車の護衛を頼みます。
他の商人も冒険者を雇っていますので、団体での護衛となります。」
商人が丁寧に説明をしてくれた。道中では盗賊に襲われることが多く、冒険者に護衛を依頼する事が一般的になっているようだ。
「もうそろそろで出発します。荷台にお乗りください。」
荷台には荷物も積まれてたが、冒険者用にスペースを取っておいてくれたようだ。ノワールはありがとうございます、と一瞥して乗り込む。


荷台がガタンゴトンと音を立てながら揺れる。街を出発してから3時間ぐらい経った。今は森の中の道を進む。このようなところに盗賊が出没しやすいが、今のところはまだだった。
「ノワール様、何やってるの?」
作業中のノワールに雷子が質問する。ノワールは手元に置いてある黒災禍に魔力を流していた。
「黒災禍を強化中なんだよ。」
雷子の質問に答える。黒災禍は赤黒く光り始める。
『回路が増えました。全属性魔法を纏えるようになります。』
黒災禍が強化に成功した事を、自分の主人、ノワールに伝える。
ノワールは作業が終わった為、黒災禍を鞘に戻す。そして無限保管庫にしまう。
「自我を持つ剣、耳にした事はあるのだが、見た事は無かったな。」
ドラークが言葉を口にする。自我を持つ剣、それはこの世で最も珍しい魔剣である。その魔剣の大半は誰かの強い思いがその剣に乗り移ったようで、呪いだったりもする。
「欲しいの?作るけど。」
ノワールがに聞くがドラークは遠慮する、と答えた。
「じゃあさ、私に作ってくれない?武器をさ。自我は面倒だからなくていいや。」
雷子が武器をくれと強請ってきた。ノワールはいいよ、と返事をする。
「どんなのがいいの?」
まずは雷子の要望を聞く。雷子は、弓が良いわね、と言ってきた。
「弓ね、ちょっと待ってて。『漆黒創造』」
ノワールがスキル名を口にすると魔法陣が床に浮かびあがり、黒い光を放つ。それが消えていくと、雷のようなものがあった。
「これは、形の無い弓だよ。自由自在に操れる。魔力を込めれば矢も出現する。当たらないものはない、百発百中だよ。」
ノワールは雷子にやってみて、と言う。荷台の窓から外を見ると盗賊が1人、偵察に来ているようだった。
「よいしょ!」
弓を引き、放つと雷光の如く、矢が飛んでいき、見事なヘッドショットだった。
「『ドロップ回収』」
ノワールは呪文を唱え、雷子が倒した盗賊の手持ちを確認する。


銀貨67枚 金貨5枚
装備
盗賊のダガー レア度・星2


あまり良いものを持っていなかったようだ。
「やっぱり凄いわね、ノワール様作の武器は!」
雷子はキャッキャと喜んでいた。ノワールは雷子が倒した盗賊のダガーを溶かしてミスリル合金に作り直し、後で売ろうと思う。


ノワール達はのんびりとしていた。
「……盗賊の群れが近づいている。」
ドラークが物音に気付いたようで威圧を与える。
「雷子ちゃんアロー!」
暇潰しのように、雷子が適当な事を言いながら弓で射る。一回引いただけで億の矢が放たれる。それも確実に。20人ぐらいいた盗賊は一気に倒れる。ノワールはドロップ回収という作業に追われていた。他の商人のところは馬車から降りて戦っているらしい。
「手伝うか?それとも威圧で硬直させるか?」
ドラークがノワールに聞いてきた。手こずらせると後々面倒なので、お願い、と答える。
ドラークが威圧を放ち、盗賊達が硬直した。その隙に冒険者達が倒していく。それは直ぐに終わり、また、商人達が馬を走らせる。


深夜にやっと隣の街に着いた。門番にギルドカードを見せ、街の中へと入る。冒険者達は此処で解散である。
ノワール達は先ず、宿屋を見つけなければならない。
『この街にはダンジョンがあるようです。地下廊タイプのようで、現在は26階層まで辿り着いているみたいですね。』
深夜なのに賑わっている理由が良く分かった。少しの間、此処に滞在しようと黒山羊が提案してきたのでメンバー全員が頷く。


殆ど宿屋が満杯で、10軒目にしてやっと泊まれる。少し高めだったがしょうがないだろう。四つの部屋を借り、今日は自分の部屋に戻り睡眠を取る。巨魚亭より少し高い分、お風呂が豪華だった。
ノワールは風呂に入り終わり、ベッドに寝付く。

Primitives Schwarz ( No.23 )
日時: 2018/06/16 23:05
名前: こあく

ダンジョン依頼

この街にもギルドがあるようで、ダンジョン専用の依頼があるようだった。早朝からノワール達は屋台へ寄り道しながらもギルドへ向かう。
「ダンジョンで得点稼ぎして、早くCランクにはなりたいね。」
ノワールがパンにハムやレタスを挟んだものを食べながら言う。
『Cランクになればある程度の緊急依頼は受けることができますからね。』
黒山羊はノワールの口が汚れるたびにナプキンで彼の口元を拭いていた。
「だが、此処のダンジョンは邪神に通じている。厄介な事にならないと良いが……。」
ドラークは神々に巻き込まれる事を懸念していた。確かに、雷子とドラークを引き抜いてしまったのだから。
「それはそれで大丈夫でしょ。最強のノワール様がいるんですからー。」
最後の方は棒読みだった。雷子は相変わらずのテンションだ。
話しているうちにこの街、パルジャンのギルドに着いた。
ギルドのドアを開く。中はノワール達がいた街より大きい造りだった。冒険者達で溢れかえっている。
「依頼は……ダークシープの討伐とかか。」
ノワールは紙を取り、カウンターへ向かう。
「なんのご用件でしょうか。」
受付の人に依頼を渡す。ギルドカードを提示しながら。
「畏まりました。ダンジョンから3ヶ月出てこなかった場合、死亡とさせていただきますのでご注意下さい。」
確かにダンジョンの中に入って確認は出来ない。何故ならダンジョンの栄養分として蓄えられたり、アンデッドモンスターにされたりするのだから。
「分かりました。」
受付が終わり、ギルドからダンジョンへ向かおうとした矢先、
「おい、べっぴんさんよー、俺と遊ぼうぜ?」
雷子が変な奴に絡まれていた。雷子は気にしないで髪をくるくるとしていた。
「雷子、行くよ。」
ノワールが声をかけると、はーい、とだらしのない声が返ってくる。雷子がノワールのところへ行こうとすると、男に腕を掴まれた。
「なぁ、あんなひょろっちぃ男より、俺と一緒のパーティーに入んねぇか?」
雷子の顔が鬱陶しそうだった。睨みつけている。ドラークは隣にいたようで、男の手を掴む。
「我等の仲間に手を出すのはやめて頂こうか。」
雷子はドラークにそうよ、そうよ!と便乗していた。黒山羊は面倒ですね、殺しますか?と物騒な言葉を使ってきた。
「はぁ、面倒だなぁ。ドラーク、雷子、ほっといてあげて。黒山羊がキレてるから。」
2人とも頷きドラークは男の腕を離して戻ってきた。男の腕には跡がついていた。
「逃げんじゃねぇよ、お坊ちゃんよ。金で仲間を釣ってんだろ?」
男は挑発した。ノワールは気にしないつもりだったが、地雷を踏まれたようで、男の元へ静かに向かう。
男が殴ろうとしてきたのでノワールはその腕を掴み、壁へとぶち当てる。
「黙ってろよ、屑が。死にたいの?」
ノワールは低い声で言葉を口にする。オッドアイが目を見開き、殺意と化す。その目を合わせれば殺される、と生存本能が危険を察知したのか、
「ひっ!す、すいませんでしたー!」
男は勢い良く土下座をする。ノワールはすぐにその場を離れ、仲間の元に戻る。


ギルドを出た後、ノワールはスッキリしたように笑顔だった。
「……ノワール様って怖いのね。」
雷子がボソッと呟いた。ノワールはそうだった?と苦笑しながら言う。
「裏表が激しいのか、それとも素なのか……分からないのよねー。」
ノワールはそうかもね、と答えを曖昧に返すだけだった。雷子もそれ以上追跡しようとは思わなかった。


ダンジョンの入り口についた。兵士が入り口の前に立っていた。
「ギルドカードを提示してください。」
冒険者などしか入れないようだ。ノワール達はギルドカードを見せ、ダンジョンの中に潜っていく。


ダンジョンの中は迷宮だった。別れ道、行き止まりなどあり、ゲーム感覚で楽しめる。尤も、モンスターが出るので普通の冒険者には危険極まりないが。
「地図があると効率的だね。」
ノワールは地図を作っていた。そのようなスキルを持っている者がダンジョンの地図を売り出しているようだが、この世界では紙は貴重でコストがかかる。
「ダークシープは弱いわね。どうせならボスのところまで行きましょうよ。」
簡単に1階層は突破、今は5階層である。5階ごとにボス部屋が設置されており、確定で宝箱が出現する。
「そうだね、その後に1階層に転移しようか。」
行き着いた階層はその後、転移することができるようになる。例えば、1階層から5階層までの間を転移で移動できる。勿論、場所は階段の部屋だけという決まりはあるが。
「あっちにモンスタートラップがあるみたいだけど……どうする?」
モンスタートラップはモンスターが大量出現する部屋だ。ドロップアイテムも入手しやすく、経験値稼ぎも出来る。
「そうだな、腕試しに行ってみるのも悪くは無いな。」
ドラークは賛成してくれた。確かに四方八方からモンスターがやってくるという事は技術を高めることも出来る。
「よし、じゃあその後にボス部屋に行こうか。」
ノワールが意見をまとめ、モンスタートラップへと向かう。


「この部屋がモンスタートラップ?普通の部屋だけど……。」
モンスタートラップの部屋に入るが、至って普通の場所だった。しかし、中心部の足元にあるスイッチを雷子が踏むと、いきなり魔物が出てきた。
「ちょ、いきなり過ぎない?!」
雷子は自分が踏んだことに気が付いていないようだった。急いで雷子は弓をドラークも刀を持つ。黒山羊は何処からか死神が持ちそうな巨大な鎌を手にする。ノワールは愛用の黒災禍を握り、モンスターに攻撃を始める。
『『喰らい』』
黒山羊は自分のスキルなのだろうか、魔法を発動した。何処からか黒いものが発生しモンスターを飲み込んでいく。飲み込まれなかった奴等を鎌で斬る。
「『黒災禍ー獄炎』」
ノワールは黒災禍に黒き炎を纏わせ、モンスターを一気に突き刺す。密集していたモンスターに炎が移る。
「『黒雷滅』」
雷子は黒雷滅を放ちながら何万本もの矢を撃つ。それは見事なヘッドショットを決める。
「『破壊』」
ドラークも破壊魔法を使用しながら、黒破刀と龍獄刀で素早い斬撃をモンスターに食らわせる。


「ふー、良い運動になったなぁ。」
外の世界を透視で見る。まだ昼前だったので、ボス部屋に行けそうだ。
この世界には時計が高価な為、ダンジョンにいると時間がわからなくなる。だからこそ透視魔法が役に立つ。
「『ドロップ回収』」
ノワールは魔法を唱え、モンスターから出た大量のアイテムを回収する。
アイテムを見てみるが良いものは少なかった。
「ハズレか。」
ノワールは少し落ち込んだ。もう少しランクが高いモンスターと戦いたいな、とも思った。


モンスタートラップの部屋から出て、ボス部屋に向かう。冒険者達が並んでいた。
『ボス部屋には1つの団体ずつ入るようです。ボスは倒された後、新しく生成されますので心配無いからでしょう。』
成る程、と感嘆の声をあげる。その方が山分けをしなくてもすむ。
「ねぇ、あの男。朝あった奴だよね。」
雷子は顔を顰める。あまり会いたくはなかった。男はこちらに気付いたのか、ノワールの方に向かってきた。
「奇遇だなぁ。今朝は酷い目に遭わせやがって……!許す訳ねぇだろ?!」
掴みかかって来た。ノワールはそれを簡単に避ける。
「君さ、少しは学習しようよ。勝てないよ、そんなんじゃ。」
ノワールは笑顔を浮かべる。それに腹が立ったようで殴りかかってくる。
『ノワール様に手を出そうとは、良い度胸だな。』
黒山羊が入ってきた。今回の件は彼にとって許せなかったようだ。男の手をとんでもない握力で握る。
「あ、亜人が人間と一緒にいるのが胸糞悪いんだよ!さっさっと街を出て行けよ!」
男が大声で叫ぶ。周りにも冒険者がいるのにもかかわらず。
「では、このような提案はどうだ。貴様と我々でどちらが早くボスを倒せるか、賭けをしよう。」
ドラークが提案をしてきた。この場を騒がせたくなかったのだろう。
「ちっ、その提案に乗ってやる。だが、その坊主と俺での対決だ。部外者はその場で待っていろ。」
黒山羊は完璧にキレているようだ。ノワールの安全第一である彼にとって、この提案には乗れないようだ。
「いいよ。黒山羊、安心して。死ぬ訳ないから。」
ドラークが1番よくわかっていた。彼と剣を交え、その強さを証明しているのだから。
「よし、入るぞ。」
男の順番が来たらしく、ノワールと共にボス部屋の扉を開く。

Primitives Schwarz ( No.24 )
日時: 2018/06/21 20:41
名前: こあく

勝者

男と共にノワールはボス部屋に入る。その部屋の中心には、大きい牛がいた。角を生やしているようで、所謂闘牛というやつだろう。
「これは……!Dランクモンスターのタウロマキアじゃねえか!」
Dランクなのか、と少しノワールは興味を持った。ノワールは黒災禍を出し構える。
「俺がいただくぜ!」
男は背中に担いでいたクレイモアを手に取り、タウロマキアに斬りつける、というより叩きつける。しかし、ビクともしない。
「くっ、何だよこいつ、皮膚が異常に硬ぇ。」
何度も剣を叩きつけているが傷もつかない。ノワールは呟く。
「皮膚が異常に硬い、ね。メモメモっと。」
余裕そうな口ぶりに男はムカついた。
「てめぇ、モンスターに殺されるぞ?調子乗ってんじゃあねぇよ!」
ノワールは男の怒声も気にせずにメモをしていた。メモをし終わると、男の方を傍観する。
「ちっ、少しは手伝えよ!……もしや怖いのか?はは、坊ちゃんだもなぁ!」
ノワールはそう、と簡単な返事しかしない。男は高笑いをした後、モンスターに向かって行く。
剣を叩きつける。しかし、傷がつかない。男は何度も何度も叩きつける。
「魔法は使わないの?」
「使える訳ねぇだろ!俺は剣士だぞ!」
物理攻撃よりも魔法の方が効果覿面だと思うが、男は使えないようだ。魔導師はこの世界でも珍しいらしい。
「くっ、おい、お前、モンスターがきてるぞ!」
タウロマキアが体当たりの攻撃を仕掛けてくる。男は避けるがノワールは動こうとしない。
「……『閃光』」
ノワールはそう唱えると、眩しいほどの閃光がタウロマキアを突き刺す。タウロマキアは一瞬何が起こったのかわからないようだったが、気付く時には命の灯火が消えていた。
「これ、もらうね。」
タウロマキアのドロップアイテムをノワールは回収する。
「お、おう。」
男はノワールに絡もうともしなかった。ノワールは回収し終わり、最後に出現した宝箱を開ける。
「……いらないな。」
宝箱の中身は剣とペンダントだった。

灼熱の剣 レア度・星4
炎属性が宿る剣。この剣を装備すると火属性魔法が使えるようになる。

賢者のペンダント レア度・星6
魔力がupする。初級魔法までなら全属性使用可能となる。

鑑定した後、ノワールは宝箱を閉める。
「あげるよ。」
そのまま、ボス部屋から仲間のところへ戻っていってしまった。

仲間のところへ戻り、報告をする。
ノワールは一仕事終えると、ギルドへの転移魔法を起動させる。
「このまま、報酬を受け取りに行くで良いかな?」
一斉に頷く。ノワールは良かった、と一言呟き、転移させる。

バレると不味いので、ギルドの近くの人が少ない路地裏に転移した。そこから徒歩でギルドに向かう。


ギルドに着き、カウンターで報酬をもらう。
「凄い量ですね。」
暇つぶしで他のモンスターも狩っていたから、依頼対象外のものもある。
「これが今回の買取と報酬の金額です。」
金貨2枚と銀貨82枚だった。ここまでだと少し、受け取りにくかった。
「保管状態も考慮した結果です。受け取ってください。」
ありがとうと言い、宿に戻る。


「何なんだよ、アイツは……。」
男はまだダンジョンにいた。彼にとって、ノワールが放った魔法は見たことがなかった。魔法使いの仲間に見せてもらったことがあるが実力が違う。初級魔法なのにあの威力と速さ。魔法の威力は魔力量によって異なる。込める力が強ければ強いほど、その魔法は強くなる。
「……魔法、か。」
宝箱の中身を鑑定した後、彼はそれを自分に装着する。
「魔法で勝ってやるのも良いかもな!」
高笑いをする。装備により魔法が使えるようになる。これで魔法剣士の職業が解放されることであろう。魔力量の補正がかかる為、威力も底上げできる。だからこそ勝てると思っていたのだろう。一生無理だろうが。


あとがき
投稿が遅れて申し訳ありません。これからは余裕が出てきたので、一週間に何回か投稿出来そうです。イラストも投稿出来たらな、と思っております。これからもお願いします。

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