複雑・ファジー小説
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- 月と時計
- 日時: 2019/02/18 02:09
- 名前: IMUSA (ID: LpK9Mb2W)
・・・第0話 始まり・・・
人っ子一人いない、真っ暗闇の中に・・・彼はいた。
寝静まった世界の中に、彼はいた。
手の内には、どこからか持ってきたであろうという、一つのきらびやかな時計が月に照らされ
て、淡く輝いていた。
「もうすぐ、夜明けがくる・・・」
怯えた声でつぶやくと、彼は、その一部始終を見ていた”誰か”に気付くことなく足早にそこを
立ち去って行った・・・。
「・・凄いなぁ、お兄ちゃん」
その”誰か”は彼に存在を悟られる事無く、
「任務完了・・・引き続き彼を監視します」
そう、一言だけ連絡をすると、彼の後を追った・・・。
彼を「お兄ちゃん」と呼んだ女の首と腕には、鎖のような装飾が施されていた。
まるで、操り人形の紐のような鎖だった。
僅かな月明かりだけを頼りに、見つかったらそこで終了の終われない鬼ごっこが始まった。
自分の吐く白い息さえも、彼にとっては恐怖でしかなかった。
見つかりはしないか、とそんな考えしか彼の頭には浮かばなかった。
「・・・あと10分・・・」
ふと時計を見て、彼は呟いた。
その声には、少し喜びが滲みでていた。
・・・が、
「・・・あ、れ・・・?」
彼の顔は、瞬く間に驚愕や絶望の色に染まっていった。
「・・太陽が、ない・・・」
さっきまでは顔を出していた月さえも今は姿を隠し、世界からは光が消え、闇に包まれようと
していた。
とき
「時間が、止まった・・・」
もう、鬼から逃げる体力も気力もない彼は、その場にうずくまった。
「・・・・・」
うずくまる彼に対する、氷よりも冷たい眼差し・・・。
だが・・・。
「見〜つけた!!」
少し、ゾッとするような笑顔で楽しそうに叫んだ。
「でも、良かったね・・・」
「・・・え?」
「もう、夜が明けたから」
寂しそうな顔を一瞬したが、
「・・・また、明日!!」
そら
太陽に照らされた女は、瞬く間に天空に消えた・・・。
不気味な笑い声を、彼に残して…。
慌てて彼が自分の時計を見ると、夜明けの4時30分は、もう既に過ぎていた。
ふと天空を見上げると、丁度太陽が雲の間から姿を見せようとしていた。
- Re: 月と時計 ( No.1 )
- 日時: 2019/02/21 17:56
- 名前: 死神を名乗る者 (ID: LpK9Mb2W)
・・・第2話・・・
「・・・起きなさ〜い。学校、遅刻するわよ〜」
母親のそんな声が聞こえて、彼は目を覚ました。
「ん〜、今起きた〜・・・」
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