複雑・ファジー小説

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炎の亡国
日時: 2020/08/10 19:40
名前: デルタカスタム (ID: s/G6V5Ad)

「不正は無かった」

管理者のその一言だけで、僕たちの王国を壊すのには充分な破壊力だった。

今まで僕らが信仰していた神話はまやかしだった。

崩れ去っていく日常。

始まる絶望の日々。

これは、僕たちの最後の戦いの日記だ。
登場人物


YUSK:主人公。三兄弟の三男。花卉皇国出身の勇者。脈動する肉体を愛し、大剣で敵を斬り伏せる。

BRSK:三兄弟の長男。松明を武器とし、炎を用いた戦法を得意とする。

KUSK:三兄弟の次男。手先が器用で銃を製作し、射撃戦を得意とする。

管理者:花卉皇国の国王。しかしその姿を見た者は誰もいない。果たしてその正体は?


用語


不正の神話:管理者が流布し花卉皇国民を勇気づけ、発展させた神話。物語冒頭はこの神話が破壊された後の皇国の様子から始まる。

Re: 不正神話 不正は無かった ( No.1 )
日時: 2020/08/10 06:30
名前: 摺蜂 (ID: Rjl67pny)

騒動と事の顛末はどうにか利用者に周知されたようです ことさらに嘲っていた人達は、明日はわが身と気づいたかも知れませんがどうでしょう
乱立はまだ必要でしょうか

Re: 不正神話 不正は無かった ( No.2 )
日時: 2020/08/10 19:42
名前: デルタカスタム (ID: s/G6V5Ad)

 皇国の神父は言った。神はここに居ます。頭の中、脳みその中に。私たちの頭の中には神が居て、座禅を組んで貴方に囁いている。そしてこんな世界を見てどうするか決めかねている、と。


一章


 花卉皇国の石畳の上にうつ伏せに倒れる少女の背中はパックリと斬られ、中の骨や内臓がテラテラと輝いている。その後ろには、手前の少女を背中から斬り伏せた青年が、手に剣を握ったまま絶命していた。その腹部はバッサリと横に切り裂かれ、臓物を道にぶちまけていた。
 彼らは同じ国民同士で殺し合ったのだ。いや、国民だったと言うべきか。現に花卉皇国はどの連合国からも承認されていなくなった、無政府状態の烏合の集に過ぎなかった。
 そんな連中を尻目に僕たちは、むせ返る程の血と汗と糞尿の匂いが渦巻く街を歩いていく。口元はスカーフで覆い、僕たちは各々の武器を手に歩いていく。目指すは叫び声と剣をぶつけ合う音が響いてくる皇国の中心街だ。そこではきっとここの国民だった「誰かさん達」が、何かを証明する為に殺し合っているのだろう。自身の優位性、即ち自己存在そのものを証明する為に相手と競い合う行為は動物にも見られるが、ここで起きているのはそれとは少し違った空気を感じた。激しい怒り、罵声大会、殺戮……どれを取っても実に無意味だ。

 そもそも、この国だった物がこうなってしまったのも「奴ら」がやって来てからだった。光の武器と完璧な防護を持った奴らは突然皇国に訪れ、そこにあった物を全て根こそぎ奪っていった。奴らが何処から来て、何処に去っていったのかは誰も知らない。ただ皇国の管理者が「不正があった」と国民に伝えた、ただそれだけだったのだ。
 それから花卉皇国は「不正の神話」によって栄えた。不正によって国民たちの心に希望が灯ったのだった。
 しかし、この惨状を見るに、それは長くは続かなかったようだ……
 不正を失った国民は暴徒と化し、正気を失って殺し合った。女も子供もその臓物をぶち撒けながら死んでいった。残された者達も籠城して戦い続けているようだが、いつまで保つ事やら。

Re: 炎の亡国 ( No.3 )
日時: 2020/08/11 12:13
名前: デルカス (ID: Fm9yu0yh)

続きは外部サイトにて連載します。


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