二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 失わなきゃ気づけないたからもの 風丸×円堂
- 日時: 2012/10/27 21:45
- 名前: かぜゆまる# (ID: lV5SbBSQ)
大好きな風丸と、その親友の円堂の友情を描いた作品になります。
では、どうぞ(`・∀・´)
コメ、評価、待ってます。
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- いなずま! 風丸・円堂 大好きな友に・・・ ( No.1 )
- 日時: 2012/10/12 21:47
- 名前: かぜゆまる (ID: GX8mvGbi)
「かっぜまるー!」
あいつは、うるさいぐらい、よくしゃべる。
まあ、そこがいいところ、だった。
俺が落ち着いた返事をしても、少しも静かにはならない。
でも、俺は知った。
こんな、大好きなやつと一緒にいる時間を、
奇跡ということ。
こんな時間のことを、
幸せということ。
「今日は、お見舞い、いいの?」
いつも円堂の見舞いに行っている俺が、ずっと家にいるのを見て、妹に心配そうに声をかけられた。
「・・・ああ。」
あんなにうるさかった円堂が
・・・・・重い病気、か・・。
昨日、いつものように、見舞いに行くと、円堂が言った。
「俺、もうダメかもしれないんだって。もう長くはないって・・・。」
どんなに負けそうな試合でも、絶対諦めないのが、円堂だった。
「何言ってんだよ。また、一緒にサッカーやるって、約束しただろ?」
ふいにとった円堂の手は、冷たかった。
「お前・・・手・・・。」
俺は、ただただ涙を流す円堂の手を、
どうしてもあっためたくて、ずっと握りしめていた。
元気のない円堂なんて、見たくない。
だから、なんとなく見舞いに行く気になれない。
風丸、今日は来ないのかな。
俺なんかのために、まいにち二時間かけて見舞いに来てくれているなんて優しすぎるよな。
なのに俺・・・・・
あんなこと言って。
来ないなんて、当たり前。
もし、明日も来なかったら?
明日の明日は?
明日の明日の明日は?
俺、風丸がいなくても、頑張れるのかな。
今まで、風丸がいたから・・・頑張れた。
風丸に支えられてきた。最高の、親友に。
- いなずま! 風丸・円堂 大好きな友に・・・ ( No.2 )
- 日時: 2012/10/12 21:49
- 名前: かぜゆまる (ID: GX8mvGbi)
円堂、元気かな・・・。
見舞いに行かなくなって、一週間が過ぎようとしている。
・・・・・会いたい。
いま会ったら、また笑顔を向けてくれるのかな?
俺・・・なにやってんだろ。
風丸、やっぱり来ないな・・・。
もう二度と会えなかったら?会えないまま・・
・・・死んじゃったら?
「・・・・っ・・・・。」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
着信音が鳴る。円堂の母さんだ。
「・・・はい。風丸です。」
「あ、風丸くん?・・・・今すぐ来てくれないかな。」
「・・・え?」
「守が・・・倒れちゃって・・・」
「・・・・・・はい。分かりました。」
円堂が・・・・・倒れた?
あのバカが?
「んどうっ・・・・・円堂!!」
「・・・・ん・・・・?」
目を覚ますと、目に涙をためた風丸が立っていた。
何してたんだっけ。
急に心臓が痛くなって・・・
それからの記憶がない。
「・・・・っ・・・なに倒れてるんだよっ!!・・・心配しただろ・・・?」
風丸・・・。
来てくれたんだ。
「ありがとな!」
やっぱり風丸がいないと、
・・・笑えないな。
「・・・べっ、別に俺は・・・ッ・・・」
風丸は少し照れたあと、
「元気で良かったよ。」
と、優しく言った。
「じゃ、頑張れよ!」
って、
ハイタッチして帰ってった。
「・・・・・守。話があるの。」
このままでは、もう長くはない。
生きるには、手術しかない。
母ちゃんに、そう言われた。
トントンッ
ノックする音が聞こえた。
「どうぞ?」
「あっ、円堂さん?」
風丸の陸上部の後輩である、宮坂だ。
「なんだ?」
「風丸さんから、円堂さんのこと聞いて・・・えと、風丸さん、すごく心配してて・・・」
「そうなのか?わざわざありがとな!」
「・・・いえ。では失礼します!」
風丸が・・俺の事、すごく心配している・・・?
なら、俺、元気にならなきゃ、ダメじゃん・・・
でも、手術したとしても・・・・
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
円堂からのメールらしい。
((俺、手術することになった。二日後。))
手術・・・・?
二日後・・・?
次の日、俺はまた円堂の所に行った。
円堂のは、廊下にいた。
時々、苦しそうに止まったり、また歩き出したり・・・
動くなと言われていたのに。
しかもユニフォームを着て、さらにはサッカーボールも持っている。
「・・・・おいっ!」
「・・・かぜ、まる・・・・?」
「なにやってんだよっ!動くなって言われてるだろ!」
「・・・俺、もう一回、風丸とサッカーする。」
円堂はハッキリ言った。
「手術したら、本当に動いちゃいけなくなる。だったら・・・」
そして続ける。
「だったら、サッカーやりきって死んだ方がいいだろ?」
サッカーができないまま生きるより、サッカーしきって死んだほうがいい、ということか・・・。
「でも、俺は・・・お前の方が大事なんだよ。お前が死んだら・・・・俺は・・・どうなるんだよっっっ!!」
いつも冷静でいようと思っているのに、涙が溢れてくる。
「ごめん・・・でも・・・もう一回だけ、サッカーしてくれないか?」
「・・・うん・・・。」
円堂は、河川敷グラウンドに入ったとたん、病人とは思えないほど元気になった。
どんな時も諦めない、がむしゃらな円堂のサッカーが、俺は大好きだ。
「ありがとな!風丸!お前とサッカーやれて良かったよ。」
「・・・ああ!」
「じゃあ、最後にもう一回PKやろうぜ!」
ゴール前にいる円堂は、いつも幸せそうだ。
「うおおおおおおっ!!」
俺の蹴ったボールを、
円堂が止めた。
そして、倒れた。
苦しそうに呼吸をしながら。
「円堂っっっ!!」
円堂の返事はない。
「円堂っっっっ!!えんどぉっっっっ!!」
叫び続けていると、目を開けた。
「かぜまる・・・
俺、お前に出逢えて良かった。
最期までお前と一緒にいられて良かった。
お前の優しさに、
ずっと支えられてきた。
俺、お前さえいれば、
幸せだった。
病院なんかより、グラウンドで笑いあいたかった。」
「それで、サッカーしようって・・・?」
「・・・じゃあな・・一郎太・・・。」
名前で呼ばれるなんて久しぶり・・・
円堂はまた目を閉じた。
- いなずま! 風丸・円堂 大好きな友に・・・ ( No.3 )
- 日時: 2012/10/12 21:55
- 名前: かぜゆまる (ID: GX8mvGbi)
「守…?守!!…」
もう、どんなに叫んでも、円堂が目を覚ますことはなかった。
さっきから握っていた冷たい円堂の手は、もっと冷たくなっていた。
「…お願いだから…返事しろよ…お願いだから…っ…。
俺、お前がいなくなったら…また一人ぼっちだよ…?」
あの時の思い出がよみがえる。
…まだ幼稚園児だった時。
俺は内気で、誰とも話せず、いつも一人ぼっちだった。
でも、本当はみんなと遊びたくて、いつも木の影で、うずくまっていた。
…その時。
ボールが自分に当たった。
「いたぁっ…。」
思わず涙をこぼした時、円堂はあらわれた。
「ごめんっ!!いちろうたくん、だよね!」
「いちろうた、でいいよ。」
「だいじょうぶ?」
「うん!」
「そっかぁ、よかったぁ!」
円堂の眩しい笑顔を見た時、俺はまた涙があふれた。
その時、円堂は隣に座って、ずっと心配そうに俺の顔をのぞきこんでいた。
円堂、あの時のこと、覚えてたかな…。
俺は…円堂の笑顔を一生忘れないだろう。
それから、2年がたち、小学校1年生になった。
まだ内気であった俺は、ずっと円堂にくっついていた。いつも一緒だった。
それから、6年がたち、中学校1年生になった。
急に大人になった俺達は、少し距離が遠くなった。
今まで、円堂は俺を「一郎太」と呼んでいたのに、急に「風丸」と呼び始めた。
目が合っても、そらすことも多かった。いつも、恥ずかしくて、顔が真っ赤になっていた。
中学生になると、部活が始まった。
円堂は、サッカー部に入ると決めていて、俺は、陸上部に入ると決めていて…バラバラの部活に入った。
正直に言えば、寂しかったが、俺は陸上の選手を目指していたので、ひたすら頑張っていた。
しかし、サッカー部は廃部寸前。円堂にサッカー部に誘われ、悩んだあげく、入部した。
俺が入部して少しすると、もうサッカー部員が多くなった。
キャプテンの円堂は、チームの事で精一杯で…俺と過ごす時間もずっと少なくなった。
サッカー部のみんなも大好きだし、俺1人のわがままを言ってはいけないのは分かっているけれど…俺は、円堂に捨てられたような気分だった。
ついに限界が来て…ダークエンペラーズに入ってしまった。
みんなを裏切ってしまった。
円堂には、見放されて当然なのに…
俺にずっと叫び続けてくれた。
こんなの、間違っている…と。
そのあと…転校を決めた。
「ごめん…俺…転校するから…。」
「バカ!!何言ってんだよ!なんでそんな事で転校すんだよ!!」
「…もう、…俺のこと、嫌いだろ…?」
「んなわけないだろ!…大好きだよ…っ!!」
顔を真っ赤にして答えてくれた円堂。
それが嬉しくて、勢いで抱きついたら、もっと真っ赤な顔をした円堂。
大好きだった…今も…、ずっと…。恋愛感情ではないけれど、愛しくてたまらなかった…。
俺…、
お前より好きなやつに…
出会えるのかな。
大好きだった、眩しい笑顔も…もう見れないね。
冷たくなった円堂を、
涙ごしに見守っていた。
また笑ってくれないかな…って、はかない期待を抱きながら。
「…ありがとう…。」
口にする言葉は、これだけだった。
…もう、何年たったかな。
円堂…?
俺は、今、憧れのサッカー選手になりました。
お前の分まで、サッカー続けたからな。
また、いつか会えるよな。
また会ったら…
眩しい笑顔を見せてほしいんだ。
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