二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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デジタルモンスター D:Evo
日時: 2014/02/23 21:56
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

”読者の皆様へ”

はい、どうも読者の皆様、自分はタクと申します。どこかで、見かけた事があるかもしれませんね。二次で、ポケモンとか、デュエマの小説を書いていました。
まだポケモンの小説が終わっていないにも拘らず、新スレを立てるという暴挙に至ったのは、自分がデジモンフォーチュンに嵌ってしまったこと、ということです。これでまた更新が遅れてしまうかもしれませんが、ポケモンの方のストーリーは、もう頭の中ではまとまってしまっているため、後は描いてしまうだけ、というわけです。丁度ストーリー的に一段落したところだったので。

さて今作、クロスウォーズに登場したデジモンも敵方としてリメイクし、登場させる予定です。進化レベルを勝手に追加しているかもしれませんが、デジモンでは設定がころころ変わるのは最早お約束なので・・・・・・。
ちなみに、タイトルのD:Evoはディー・エヴォと読んでいただければ幸いです。まぁ、何かの略語ということだけ認識しておいてください。
というわけで、応援よろしくお願いします!!

電脳世界と現実世界、次元を超えた究極の冒険が今此処に!!飛び込め、仮想電脳空間(デジタルワールド)へ!!

登場人物 >>8
用語解説 >>10

目次

序章(プロローグ)
>>1

ファイル1:デジタルワールド
>>2 >>3 >>4 >>5 >>6

ファイル2:デジクロス
>>7 >>12 >>13 >>14 >>15

ファイル3:見えてきた強敵

Page:1 2 3



Re: デジタルモンスター D:Evo ( No.11 )
日時: 2014/02/01 23:13
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

白黒さん

コメントありがとうございます。
自分は、アニメはセイバーズとクロスウォーズ(前半は殆ど見ていない。見始めたのは時をかけるハンター達から)ですかね。超進化の設定も、クロスウォーズから流用しています。

ロストエヴォリューションとはあまり関係ありませんが、進化ツリーの破壊という共通点がありますね。まあ、これはオリジナルデジモンを出す理由作りとして出した設定ですね。
というわけで、この作品での超進化もアーマー進化同様独立した形態ということで問題ありません。

主人公の名前が「た」で始まっていないのは、単なる自分のネタ切れです。描き始めた後に思いついたのは、いい思い出です。

ドルモン系統にしたのは、最近出たリ:デジタイズ デコードでX抗体編があったからですね。X抗体との関連にも触れていくつもりです。

グレイモンを最初の敵にしてみたかったのは、やはりクロスウォーズでリメイクされたこいつを使ってみたかったのがあります。デザイン的に、グレイモンはクロスウォーズのほうが好きですね。

また、エヴォリューションエナジーはソーシャルゲームのデジモンフォーチュンから、オメガモンズワルトはデジモンジントリックスからの流用です。

それでは、更新をお楽しみに。そろそろ、ポケモンのほうにも手をつけなくては。それでは、また。

(2) ( No.12 )
日時: 2014/02/02 19:33
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「おぉ〜ッ!! すっげぇ〜!!」

 外観からもすごかったが、大都市内には多くのデジモンがいた。小さな幼年期クラスから巨大な成熟期クラスまで。
 
「あれ? 思いの他怖がりじゃないんですね」
「はっ、バカ言うな。俺が苦手なものは、ゴーストとファントム、それだけだ」
「電車の中でいちゃつくバカップル」
「ぎゃあああ!! 何だそりゃあ!! 人間のすることじゃねえ!!」
「あるんじゃないですか」

 それにしても近代的を通り越して未来的な街だった。しかし、交通機関は発達していない。それは、デジモン自身の移動力で事足りるからだろう。

「そうだよな……平気で空飛んでる奴もいるし」
「プロトコル大陸自体が新しいからですね。ここには、オメガモンズワルトによるウイルスの影響を恐れて逃げてきたデジモンたちの集落となっているんです」
「へぇ」

 やはり、脅威だったのだろう。例のウイルスは。
 進化が出来なくなることは、デジモンにとって蝶に例えて羽根をもがれるのと同じだからである。
 デジモンは、進化することで姿形を変え、さらに大きな力を手に入れる。長い年月をかけて。
 しかし、オメガモンズワルトのウイルスはその進化の力を成長期までに留めてしまった。ドルモンも例外ではない。

「このドルモンは、私が元々住んでいた島に存在する”セグメント遺跡”に封印されていたデジタマから孵ったものです。貴方と会うまでは幼年期のドドモンでしたがね」
「お前も別のところから来たのか」
「はい。現実世界の、とある組織は、この事態を収束に導くために多くのテイマーを呼んでいたんです。つまり、この大陸に来ている人間は貴方だけではないというわけです」
「んじゃあ、数多くのテイマーの中でも何で俺にドルモンを? 英雄の力を引いているんなら、他に強い奴に渡せばいいんじゃねえか?」
「それは‐‐‐‐‐‐貴方がドルモンの適性テイマーだったからです」

 適性、という言葉が引っかかる。

「どういうことだ?」
「はい、デジモンには絶対に波長の合う人間が居て、その人間と組むことで初めて100%の力を発揮できるんです」
「波長ねぇ。確かに俺とコイツは似たもの同士だってことだ」
「うっせぇやい、ほっとけ!」

 ガブリ。
 頭に刃が刺さるのを感じたが、それはドルモンの歯だと直感する。
 思わず、ドルモンを掴んで叫んだ。

「いてぇ、いてぇじゃねえかこの野郎!!」
「勘違いすんじゃねえぞ、アラシ! 俺はまだ、お前を認めたわけじゃないからな!!」
「何を!?」

「ガッタガタじゃねえか」

 声が聞こえた。少年が数名、集まってくる。馬鹿にしたかのような笑みで。恐らく、彼らが自分以外のテイマーだろう。
 すかさず啖呵を切る新志。今の言葉は気に食わない。

「に、人間? ああ、そうか。こいつらもテイマーか」
「シスタモンに直々に連れてこられたテイマーなんだ。どれほどの腕前か、見てみたくてな」
「直々に?」
「そうともさ。何せ、俺達は数多くの試験をクリアして選ばれたテイマーだからな。なのに、お前は何の試験もクリアせずに来てやがった」
「そいつぁ、不幸だったな」
「ああ?」

 少年の顔が、怒りで歪む。どうやら、バカにされたと思っているらしい。勿論、今の新志の言葉が明らかな皮肉だったからだろう。

「つまりお前は、【SAVER(セイヴァー)】に認められた正式なテイマーじゃねえと来た! しかも、パートナーとの仲もガッタガタ! だから気に食わねえんだよ!」

 吐き出すように叫ぶ少年。後ろの少年に合図を送ると、デジヴァイスを構える。

「リロード、ガジモン!」
「リロード、コカブテリモン!」
「リロード、ギザモン!」

 少年三名は、それぞれの相棒と思われるデジモンを繰り出す。
 ガジモンは、鋭い鍵爪を持つ目つきの鋭い獣型、コカブテリモンは、人間の子供程度の大きさの二足歩行のカブトムシ型、そしてギザモンは黄色の体毛を持つカモノハシのようだが、口は普通の獣のような哺乳類型のデジモンだった。
 つまり、気に食わないからここで倒すつもりだろう。

「おいブラン。ここに来てるテイマーって、皆あんなのばかりか?」

 こんな不良のような連中と絡んでいれば、身が持たない。

「試験といってますが、ハッキングの腕さえ良ければクリアできるものですからね。あんなのもいるんですよ。後、抽選で選ばれた中からさらに、ということを忘れないでください。デジモンのことは、公にはされていないんです」
「それにしても、三対一たぁ随分と姑息じゃねえか」

 嘲笑ってやった。テイマーと言っても、大したことのない部類か。

「うっせぇ、勝てば良いんだよ勝てば! エヴォリューションエナジーVer.1セット! ガジモン進化! サイクロモン!」

 恥というものを持っていないのか、この男は。

「コカブテリモン進化! カブテリモン!」
「ギザモン進化! タスクモン!」

 見るからに凶悪そうなデジモンが三匹。それがさらに進化した。成熟期へと。
 サイクロモンは、単眼にヘルメットをつけた竜人型デジモン。グレイモンに似ている気もするが、右腕が異常に発達している。
 一方、カブテリモンは不気味な昆虫型のデジモンだった。頭部は金属になっており、非常に硬そうだ。
 そして、タスクモンは四足歩行の恐竜のようなデジモンで、どくろのマークが描いてあった。

「仕方がありませんね……新志さん! ここは退いた方が」
「バカいってんじゃねえ! 喧嘩上等、ここでぶっ潰す! ドルモン、超進化!!」

『エヴォリューションエナジーVer.EX起動、ドルモン超進化』

 応えるように、ドルモンは吼えた。

「うおおおお!!」

 ドルモンの体が再構築されていく。体が崩れ落ちて、パズルのように組み立てられていった。
 
「ドルモン、超進化。アームズドルモンッ!!」

「はっ、三対一で勝てるわけねえだろ!! サイクロモン必殺プログラム起動!」

 ‐‐‐‐‐‐必殺プログラム「ハイパーヒート」!

 サイクロモンは口からたぎる灼熱の炎を吐き出した。一気に、アームズドルモンの体が包み込まれる。
 生物とは、摂氏2000℃で溶けるらしいから、今頃奴はどろどろに溶けて飴玉の如く張り付いているところだろう。

「残念だったな! ギャハハハハハハ!」

「いつまでバカみてえな笑い声上げてるつもりだ?」

 低い獣の声が聞こえた。次の瞬間、炎は吹っ飛ばされる。そして、どろどろに溶けた熔鉄が再び再構築されて、アームズドルモンの体を完成させた。

 
 ‐‐‐‐‐‐防御プログラム「メトロンの鎧」!

「アームズドルモンは、存在自体が鋼みたいなもんだ。たとえ、溶けてもデジコアさえ護れればいい。そのまま復活できる。」

「さて」と再び切り出した新志の顔はとても怖かった。

 ‐‐‐‐‐‐攻撃プログラム「バーニングゲイザー」!

 アームズドルモンの口から放たれたのは、一兆度の火球。いや、正確に言えばどろどろに溶けた鉄だった。

「ま、待て、それを喰らったら」

「問答無用ォー!!」

 火球はどんどん大きくなり、破裂してサイクロモンたちに降りかかる。

 そして、次の瞬間辺りは火の海に包まれた。

(3) ( No.13 )
日時: 2014/02/02 22:43
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

「えーっと、ブラン。何で俺は逃げているんだ?」
「アームズドルモンの必殺技が燃え移ったデジモン達が怒って追いかけてきてるからですよ、バカ!」
「応戦できないのは、何でだっけ」
「ドルモンが超進化の反動で疲れて動けないからです!」

 御堂新志一行は逃げていた。敵を片付けたまでは良かったが、どうも運が悪かったらしい。近くにいたデジモンに炎が燃え移り、さらにそれが運悪く巨鳥型デジモン、コカトリモンだったため驚いて暴れだし、嘴が当たったデジモンに……といった具合に連鎖していった結果。

「うおおおあああ!」

 バックには大量のデジモン。それらが容赦なく追いかけてくるという、不測の事態に。
 この状態を脱するには、とにかくドルモンが目覚めるまで耐え、目覚めた瞬間超進化してアームズドルモンに飛び乗る、という方向に切り替えた。
 だが、もう走り続けて早五分。もう限界が近づいてきた。そして、ドルモンが超進化することはなかったのである。何故ならば、彼はぐったりしている間に抱えられていたため、酔ってしまったのだ。
 そのため、新志が走っている間もリバースしていたのだから仕方が無い。まぁ、汚物を踏んで滑ったデジモンも居るため、足止めにはなったのだが、汚い上に根本的な問題の解決に至っていない。

「はぁ、はぁ、私もう無理」

「マジかよ」と言いそうになった。

「ブランは断崖絶壁のような胸を押さえ、肩で息をしている」
「だぁ〜れの胸が断崖絶壁ですかぁー!!」

 よし。作戦成功。彼女は怒って新志を追いかけ始めた。これで、もうしばらくは持つだろう。
 が、流石に疲れてきた。新志は所詮、ただの中学生であって陸上選手ではないため、これ以上の逃走を続けるのが苦になってくる。
 

「リロード、ブロッサモン。ツカイモン」


 次の瞬間、茨が辺りに生い茂ってくる。そして、追いかけてきたデジモン達は絡まって動けなくなってしまい、必死でもがいている。
 茜色の日本人ばなれした髪、アニメから出てきたかのような可愛らしい顔立ち。幼さが残る体つきだが、体型は女性的だった。つまりを言うと、スリーサイズがブランと対照的だといえば分かりやすいだろう。

「へーえ、さっすがブロッサモンだね、ティコ」

 紫色の哺乳類型デジモン、ツカイモンが意地悪な笑みを浮かべてキシシ、と声を立てた。ツカイモンは、耳の部分が大きな羽根になっており、これを羽ばたかせてふわふわ浮いていた。
 可愛らしいつぶらな瞳は、今こそ、意地悪く光っていた。

  ”デジモンデータNo5 ツカイモン ウイルス種 成長期
 パタモンの亜種で紺色をしている。性格はパタモンと正反対で悪戯好きである。必殺技は、「バッドメッセージ」。得意技は「フレンドリーファイア」。”

「なーんせ、あたしのデジモンだよ? 司程甘くは無いからね。じゃあ、後はあいつらからアレを奪うだけ。あなたがね?」

 ツカイモンを撫でてやるティコ。ツカイモンの目がハートに変わる。相当、主のテイマーを溺愛しているのか。

「わーい、ティコー! だーいすきー!」
「まあ、待ってよ。ハグなら後で幾らでもしてあげるよ? それより、あいつらからね」
「ところでさ、何で”アイツ”で捕らえないの? てゆーか、捕まえた後に縛り上げないの?」

 ニコニコ笑顔でとんでもないどS発言を発するツカイモンを見て、苦笑いしつつ彼女は続ける。

「自分のデジモンにあの汚物が付いたら嫌だし。てか汚ッ!」
「ああ、そうか! だから空中からぶん盗るんだね!」
「そゆこと。それじゃ、進化行くわよ!」

 それを聞くと、ツカイモンはあからさまに嫌な顔をした。

「えー、やだよー! ぼくの可愛い顔が」

「 エヴォリューションエナジーVer.1セット!」
 
 ツカイモンの悲願むなしく、ティコはデジヴァイスに
 次の瞬間、ツカイモンの体が崩れ落ち、再構築されていく。

『ツカイモン、進化! ソウルモンッ!』

 その姿はお化けのようなものだった。白い、ベタなお化けだった。それが、目が隠れる程度に帽子をかぶっている。牙は剥き出しになっており、お世辞にも可愛いとはいえない。
 ツカイモンは、自分の容姿に自信を持っている。そのため、自分の容姿が変化する進化を嫌っているのは目に見えた。

「じゃあ、あいつらちょっと驚かしてきてよ。お菓子上げるからさ」
「もーう、しっかたないなぁ〜」

 そういうと、新志達めがけてソウルモンは飛んでいった。


 ***

「完全に、この茨のようなもので動きを封じられているみたいです。」
「デジモンの仕業か?」

 こくり、とブランは頷く。新志も、どうしたものかと顎に手を当てた。その背後に揺らめく影。
 そして‐‐


「う〜ら〜め〜しぃ〜やぁ〜!!!!」


 大音量の呪詛音を放ったのはソウルモン。御堂新志が霊などの実体の無いものに恐怖を抱いているのは、彼の能力で心を見通した時点で分かりきっていた。
 分かりきっていた、が。

「あぁ、あっちの裏に飯屋があるんすか、どうも丁寧にご苦労さんっす」

(何か、裏に飯屋があるって教えてくれたいい人(デジモン)になってるぅ〜!?)

 それを見ていたティコは頭を抱えた。
 どんなタイミングで突っ込んでいるんだ、あの馬鹿は! アホ! アホ! お化けの癖に脅かすのドヘタか!! どんだけあたしの自慢の胸にうずくまりたいんだアイツは!!
 外国人国籍と思われる彼女だが、突込みが上手いあたり、日本の影響を強く受けていると思われる。あと少しナルシスト気味であるのは、パートナーに似たのかそれとも。

「ちょと待て、てめぇこらぁー!! 怖いの苦手じゃないんか!? お化けが苦手じゃないんか!?」
「割り切った」
「何をどう!?」
「だからさァ、この世界は電脳世界だぜ? お化けとかが出ても所詮はデジモンだって割り切ってしまえば怖くねえよ。」

 つまり、新志が怖いのは正体が分からないものであって、目の前に居るのがデジモンと分かっているなら怖くないのである。

「うわあああ!! そんなバカなぁー!!」

 頭を抱えるソウルモン。その光景を見たティコはため息をついた。


「もういいわ。天才ハッカー、ティレス・コルサンスの実力見せてあげる!!」

 
 そういうと、デジヴァイスを取り出して、カチカチと画面をタッチする。

 次の瞬間、地面が割れる。新志は思わず前方を見た。そこには、大きな花を咲かせており、雌しべの部分に顔面の付いた奇妙なデジモンが地面から今姿を現しているところだった。

「あのデジモンは……!!」

 ブランの顔が青くなる。そのデジモンはとても巨大だった。

(4) ( No.14 )
日時: 2014/02/03 23:20
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

 ”デジモンデータNo5 ソウルモン ウイルス種 成熟期
 黒い大きな帽子がトレードマークの、謎につつまれたゴースト型デジモン。呪われたウィルスプログラムで構成されており、帽子の影からのぞく大きな目と、開いた口がとても不気味だ。ファンタジーなどの“魔法使い”のデータを取り込んでいるため、呪いや魔術が得意だ。頭の帽子には魔力を上げる力がある。必殺技は、死者の魂を引き込む「ネクロマジック」。”

 ”デジモンデータNo6 ブロッサモン データ種 完全体
 巨大な花の姿をして、身体からは何本もの触手を生やした植物型デジモンの完全体。見た目の奇怪さとは裏腹に非常におとなしく、中々人前には姿を現さない性格。必殺技は触手の先に付いている小型の花を手裏剣のように飛ばす「スパイラルフラワー」。この花の花びらはどんなに硬いものでも切り裂いてしまう。”

「ぎゃあああ!」

 一行(ソウルモン含む)は絶叫する。何故ならば、地面から突然出てきたのがこれだから無理は無い。
 だが、一緒に絶叫しているソウルモンを見てティコは「何でお前も驚いてるんじゃあああ!!」と突っ込みそうになった。

「ぎゃあああ……あふぅ」
「うわあああ、大丈夫か裏飯屋の人ォ!!」

 ソウルモンは、驚きのあまり口から泡を吹き出して倒れてしまった。 というか、オバケが驚いて気絶とかどういうことだ。
 というか、仲間のデジモンに驚くとはどういうことだ。
 このソウルモンというデジモンは、驚かす側にも拘らず、相当な小心者らしかった。
 
「もういい、デジクロス行くわよ! デジヴァイス、クロスメモリーセットオン!」

『デジモンクロス、ブロッサモン&ソウルモン』

 次の瞬間、ソウルモンとブロッサモンの体が一気に引き寄せられる。そして、眩い光とともに融合した。

「なっ、何が起こってるんだ!!」
「わかりませぇん!! うわあああ!!」

 爆風が起きる。思わず腕で顔を覆ってしまった。一体、何が起こっているのかわからない。そして、何かの声が聞こえた。

『クロスアップ、ジャックランタモン!!』

 次の瞬間、そこにいたのはカボチャから茨が生えたような容姿のデジモンだった。ハロウィンのカボチャを連想させるが、カボチャに茨は生えていないだろう。
 普通は。
 
 だが、デジモンならばありうる。

「ジャックランタモン!! デジクロスでのみその姿を現す、クロス体のデジモンです!!」
「何だ、そのデジクロスっつーのは!!」
「デジモン同士の合体です! 似たような現象に、ジョグレス進化というものがありますが、こっちは進化レベルの違うデジモン同士でも可能な上に、負担はかかりますが三体以上でも合体可能なんです!」

 デジモンというのは、合体も可能なのか。何でもありだなと感心している間もなく、茨が降ってきた。
 土煙が舞う。

 刹那、人が降り立つ音がした。


「それ、あたしに頂戴?」


 土煙が晴れれば、そこには美少女が新志の目に飛び込んでくる。
 
「な、何だお前は!!」

 あえて、敵意を剥き出していった。見るからに、あのデジモンの所有者は彼女と見て間違いないだろう。
 どこか踊った目で、新志を見るとにこにこと物腰柔らかく彼女は切り出した。

「ティレス・コンタンス。ティコでいいわ。【SAVER(セイヴァー)】のS級ハッカーだよ?」
「【SAVER(セイヴァー)】?」

 さっきの連中から、その言葉は聞いたばかりだった。

「そう。ホントはいけないけど、君はこの世界に足を突っ込んでるから話しておくよ? ネットワーク犯罪それはネットの発展と同時に進行してるの」

 彼女は、再び続ける。
 ようするに、こういうことだった。デジタルワールドは、突如ネットワーク上に出来た空間で、多くの国で監視と研究がされている。最近は、外部からの干渉も可能になり、デジモンの現実世界での実態化も可能になった。
 しかし、デジタルワールドが人間界に及ぼす危険性は想像以上のものだった。まして、今はネットワーク犯罪が横行している。下手をすれば、十年前の【大感染】のような事態が起きかねない。
 そこで、政府はハッキングの素質のある子供達を集めた。デジモンを使役するテイマーとして。
 
「私たちは、その中でも重要な立ち居地に居るの。いわば”選ばれし子供達”といったところかな?」

 そして、【SAVER(セイヴァー)】はことの元凶がオメガモンズワルトの仕業であることを探り出した。
 にも拘らず、まだ奴の居場所があぶりだせないで居る。

「つまり、あんたらがこの世界にテイマーたちを送り込んでいたわけだな」
「そう。奴の居場所を探るためにね。最初、あたし達は突然デジタルワールドに出てきた貴方を敵のハッカーだと思って、ガオスモン達を送り込んだ。ま、送り込んだのは司なんだけど」
「じゃ、俺達とは利害が一致してる。共闘……って訳にはいかないみてえだな」

 まだ、何かを隠していたみたいだ。
 ティコは指をはじく。
 そういえば、さっきからブランの姿が見当たらない。


「きゃああああ!! 新志さん、助けてくださーい!!」


 見れば、ジャックランタモンが茨をブランに巻きつけてたかいたかいをしていた。茨が食い込み、血が出ているのが分かる。

「ごめんなさいね? うちのジャックランタモン、ドSだからSMプレイでも触手でも、何でもやっちゃうかもね?」

 主に、ツカイモンの影響だろうか。

「このヤロォ、何が目的だ!!」
「あんたのエヴォリューションエナジーだよ! 欲しいの、あんたの持ってるそれが! それに。力づくで奪うことにあたしは遣り甲斐を感じるの」

 パートナー共々、ドSらしい。
 可愛い顔をしてえげつないことを言う彼女に、ドン引き気味である。

「それに、あたしは戦うことが大好きなの!」
「よーするに、俺と極限のバトルを楽しみたいってか」
「戦闘狂(バトルマニア)と呼んでくれてもいいよ?」
「結構」

 ブランが囚われている以上、彼女の誘いに乗らないわけには行かない。

「ドルモン、行くぞ!!」

『エヴォリューションエナジーVer.EX起動。ドルモン、超進化!』

 酔ってふらふらになり、倒れていたドルモンの体が崩れ落ちて、再び再構築される。


「超進化、アームズドルモン! ……おぇ」

 やっぱり、まだ酔ってるらしい。口に手を当てている。

「どんだけ揺れに弱いんだよ!!」
「っせぇ、とっととあのデカブツぶっ倒して、ブランを助けるんだい!」

 その姿を見て、ティコは意地悪な笑みを浮かべて呟いた。


「そう、上手くいけばいいけどね」

(5) ( No.15 )
日時: 2014/02/11 17:22
名前: タク ◆K8cyYJxmSM (ID: 0.DI8Vns)

”デジモンデータNo7 ジャックランタモン ウイルス種 クロス体
 巨大なカボチャのオバケのデジモン。茨の蔓が所々から生え出している。非常に気性は荒く、他のデジモンの生命エネルギーを自身に取り込んでパワーアップする性質があるため、恐れられている。必殺技は、相手に茨の蔓を巻きつけて生命エネルギーを搾り取る技、「エナジードレイン」。”

 見上げれば、10メートル程はあろうかと思うほどの巨体。
 ティコことティレス・コンタンスはその上に佇んでいた。
 ブランは完全に縛られて動けない状態だ。

「ブランに手ェ出すなァー!!」

 アームズドルモンの猛攻が始まった。
 ドリルを勢い良く回転させて、ジャックランタモンのボディを一気に削る。
 しかし、化け物は堪えていない。
 何故ならば、硬い表皮に覆われた化け物の体は、アームズドルモンのドリルを直撃したにも拘らず表面が砕けた程度にしか損害は無かった。
 
「面白い……! これが超進化ね!」
「ごちゃごちゃうっせぇー!! アームズドルモン、アレ行くぞ!」

 ---------攻撃プログラム「魔愚真(マグマ)・滅天悪(メテオ)」!

 鉄の塊が、高温でどくどくビートを刻みながら、突然現れた。
 
 高い高い上空に。

 そして、落下音とともに落ちてくる。


 ズドォン


 爆音とともに、原子雲の傘が広がったのが見えた。
 蔓には当たっていない。
 だが、本体だけは破壊できたはずだ。
 どろどろの熔鉄は、あらゆる敵を溶かしてしまう。

「やったか!?」

 
 が、植物とは以外にしぶといものである。

-----------防御プログラム「プラントウォール」!

「マジかよ」

 思わずそう漏れた。
 草木がジャックランタモンの体を覆っていた。
 しかし、既に黒焦げになっている。
 だが、一度咆哮を上げれば焦げて飴のようになった草木は全て吹き飛んでしまったのである。

「ダメだよ? 油断しちゃ」
「バカか。油断してなんかいねえよ」

 --------てめぇがトロトロしてる間に
 
「おおおおおおお!!」

 アームズドルモンは、ティコの真上にいた。まさか、今の間に本体を駆け上がってこれたとは誰も思うまい。
 そして、ドリルの先端を向けた。
 金属が煌く。

「おい小娘よォ、ブランを放せ。じゃねえと、てめぇの喉元がオイラのドリルで風穴が開くぜ?」
「く、ぐっ……! 卑怯よ!」

「卑怯だ? お前は何を抜かしてやがるんだ?」

 新志はジャックランタモンに近づいて上に向かって叫ぶ。

「てめーが人質取った時点で、これはキレーなバトルでも何でもねえ。ルール無制限、レギュレーションなしのフリーダムなバトルだぜ?」
「くっ、アンタねえ!」

 

「そこまでだ、バカ共」

 上空から更に声が聞こえた。見れば、空間が裂けている。
 そこから、紅い恐竜とそれに乗ったデジモンが降ってきたのである。
 地面に降り立った恐竜は、その重みで土煙と地響きが起こったが、新志はその姿に釘付けになっていた。
 冷たいほど冷酷な目つき。
 目的のためならば何でも捨てる狡猾さを表しているかのようだった。

「俺に恥を掻かせるつもりか、ティコ」
「つ、司ァー! アンタ邪魔しないでよ!」

「新志さん、やばいですよ! あの人たちから見れば、私達は違法ハッカー、たぶんガオスモンに狙われたのも、そのせいです!」
「おいおい、また面倒なことになってきたぞ?」

 次の瞬間、ジャックランタモンの体に1つの穴が開いた。
 そこから、恐竜が飛び出してくる。
 苦しんだかのような断末魔を上げると、ジャックランタモンの体は再びソウルモンとブロッサモンに分裂したのだった。
 まるでドットがどんどん崩れ落ちるかのように。
 咄嗟にブロッサモンに飛び乗ってティコは無事に着地。
 しかし、自分のデジモンは全員ダウンしてしまっている。
 そして、アームズドルモンは頑丈な体が功を制したのかブランを救出したまま地面に降り立ったのだった。

「ティラノモン、御苦労」

”デジモンデータNo8 ティラノモン データ種 成熟期
 人に懐きやすく、メジャーな恐竜型デジモン。発達した2本の腕と巨大な尾で全ての物をなぎ倒す。
知性もあり、おとなしい性格のため、とても手なづけやすい。
そのため、初級テイマーからは重宝がられ、だいじに育てられることが多い。 必殺技は深紅の炎を吐き出す『ファイアーブレス』。 ”

「ゴシュジンサマ、例ノガオスモン達殺ッタ連中」

 片言だったが、ティラノモンは確かにそういった。

「知っている。だが、長官からは手を出すなといわれている」
「へーえ、お前がこの間ガオスモンを差し向けた奴か」

 挑発的な目で新志は司のほうを向いた。

「貴様は【SAVER】の管理リストに載っていない。そんな奴を警戒して攻撃することが何故悪い?」
「もうちょい温厚に出来なかったもんかねぇ、これが」
「心配無用だ。ガオスモン如きの実験体(サンプル)が何匹死のうが、俺には関係ない。俺は俺の任務をこなすだけだ」

 冷たい。
 凍りつくような眼差しだ。

「どうした? 俺を非難するのか?」
「俺には、そんな権利はねえよ。だけど、」

 ------ただ、俺はお前を人目見たときから気に食わねえ、それだけだ。
 ------同感だな。俺もお前のようなテンションの高いバカは気に入らない。


「「何なら、此処で決着(ケリ)つけるか?」」


 両者の目が会った。
 激しく火花を散らす。
 次の瞬間だった。

 咆哮。

 森の奥から、鳥型デジモンが飛び立っていくのが分かる。
 そして、何かが聳え立った。

「ダイダラモン……!」

 目を見開いた司の表情は、少なからず興奮していた。

「以前取り逃したが、まさか此処で又出会うとはな!」

「い、一体何だってんだ、あいつは!」

 新志は眼を凝らして見せた。
 とても大きい。
 
 だが、同時にとても禍々しい気配も感じてしまったのである。


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