二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE
- 日時: 2016/06/13 05:42
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
ヴァイスシュヴァルツ、第2シーズン突入!
再び李里香達がヴァイスシュヴァルツでカードバトル!
ただし、今度の話はヴァイスシュヴァルツの世界にモンスターエンパイア、更に原作に存在しないオリジナルカードまで!?
この一癖も二癖もあるカード達にWSCFCは?!
色々盛りだくさんのヴァイスシュヴァルツ第2幕、公開!
◎:色々
用語>>1 >>44
キャラ紹介>>2 >>3
★:本編
1話『新たなる始まりの予感』>>4-8
2話『銃と槍と剣』>>9-12
3話『協奏、奏であい——』>>13-18
4話『絶体絶命!?トーナメントへの道筋』>>23-27
5話『出会いと別れ。獅子王と殲滅者』>>28-31
6話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):前編』>>40-43
7話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):後編』>>47-51
8話『武装解禁!ジャイアントキリング!』>>54-60
9話『フロニャルドでの再会』>>61-64
10話『フロニャルド奪還作戦!』>>69-75
11話『フロニャルド最終決戦!:前編』>>78-82
12話『フロニャルド最終決戦!:後編』>>83-86
†番外編
『テイルズ掛け合い集』>>34-37
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- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.82 )
- 日時: 2016/06/12 22:07
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
「それでおしまいか?なら、とっととトドメを刺してやろう!」
すかさずトドメを刺そうと手札を引き、中央にミルヒを移動させ、左右前列にサーバント・サーペントをコールし、効果でストックを増やす。
「更に、クライマックスに『次元裁断!ブレイディング・ディボールト!』!1枚引き、全てのキャラにパワー+1千&ソウル+1!」
右サーバント・サーペント 3千>4千 ソウル1>2
左サーバント・サーペント 2千5百>3千5百 ソウル1>2
魔剣士ミルヒ 1万4千>1万5千 ソウル 2>3
「ストック2を払い、能力発動!」
「……」
「おい」
「……!」
能力を発動したが、ミルヒは聞いていなかったように動かない。レッドムーンが右手を何かを握る様に動かすと、胸を押さえながら我に返り、攻撃に移る。
数歩走った所でミルヒが突如姿を消す。突然消えたミルヒに彼女を探すなのはだったが、次の瞬間李里香が何かに斬られたようなアタックを受けた。
「李里香!?」
「な、何が起きた!?」
突然の事態に斬られた李里香だけでなく、レオやなのは、シュテルやガウルやナナミまでもが驚いた。
それを滑稽と言わんばかりに、翠樹が語る。
「彼女はクライマックスを発動すると、2つの能力のどちらかを得られる。今発動したのは正面のキャラを無視してダイレクトアタックを決められる効果だ」
「正面のキャラを無視してダイレクトアタック!?それじゃ防ぎようが無いでしょ!?」
思わぬ効果に仰天の声を上げるナナミ。幸いトリガーはなかったが、ダメージ4を受ける。
李里香、レベル3にアップ。 レベル置き場に置いたカード:“サポート役”シャマル
現在クロック2。
「サーペント共も続け!」
続けて2体のサーペントが李里香に鋭利な牙を突き立てる。その直後になのはとナナミに倒されるも、ダメージの成立が残っている。
「ダメージチェック、まずは左側……トリガーなし、ダメージ成立……」
「まずい、このままじゃ……!」
続けて右側。1枚目2枚目共にクライマックスは無い。そして、最後の1枚。これで外したら、フロニャルドは翠樹らの物になってしまう。
(お願い、来て……!ここで負けたらフロニャルドが……!)
李里香だけでなく、なのは、ガウル、レオ、シュテル、ナナミも必死にクライマックスが着てくれと願う。そして運命の1枚は……!
「!!クライマックス『空海の決闘』!」
「何ッ!?」
この土壇場で何とかキャンセルして生き残れた。翠樹もこれには予想していなかったらしく、思わず声を上げる。
「だ、だが!もう君に逆転の手口は無い!この陣形を突破する手段なんて無い!ターンエンドだ!」
「だ、だが!もう君に逆転の手口は無い!この陣形を突破する手段なんて無い!ターンエンドだ!」
完全に手を尽くした翠樹が苦し紛れにターンエンドする。何とか首の皮1枚繋がった李里香が山札からドローしようとした時、隣にいたミルヒ達の異変に気付く。
「ねぇ、姫様。正直に答えてくれる?本当にこのままでいいと思ってるの?」
「…?」
「何かさ、貴方を見てると必死に自分を押し殺してる気がしてるの」
どうにも納得してないように李里香が尋ねる。そこにナナミも口元に手を当てて同意する。
「確かに。もうプレダティオルがフロニャルドを守ってやるなんて嘘だって解ったから、もうこいつらの言いなりになる必要は無いよね?」
「……だが」
「え?」
少しの沈黙の後、ミルヒが重々しく口を開く。
「だが、もし人間がここに攻め入ったらどうする?人間に何もかもを奪われ、フロニャルドは衰退する……勇者や他の皆が消えてしまう……そんな悪夢、私は数え切れないほど見てきた……」
噛み締めるように零れたミルヒの本音を聞き、レオもここでようやく理解した。
「なるほど。それがお前がこいつらに縋る理由か」
「レオ様?」
「『本当に起こるかもしれない』。あの映像を見た後、ミルヒは恐怖心に駆られて戻るに戻れなっている。ビスコッティの勇者やタレミミ、チビ学士が自分の前から消えるのを畏れているのだ」
「そんな……!」
レオから下された言葉に李里香が悲痛な声を上げる。そんな中レオは『だが…』と言葉を続ける。
「だが李里香、お前ならミルヒを救えるかもしれない。いや頼む、ミルヒを救ってくれ……!」
「ぅぐっ!あああぁぁぁーーー!!!」
レオからの返答をより早く、絹を裂くようなミルヒの悲鳴。驚いてその方向を見ると、ミルヒが胸を抑えて苦しんでいた。
「ミルヒ!?」
「この役立たずが!勝手にべらべら喋りおって!貴様はもう我らの道具でしかないのを忘れたのか!」
「がっ…!あぁ……!」
どうやら心臓の魔物を操作して締め付けているらしい。レッドムーンも怒りを露に拳を握りしめ、今にも心臓を握りつぶせと命令を下しそうな形相だ。
しかし、それでもミルヒは激痛に耐えて李里香に問うように尋ねる。
「…お願い……もし、本当に……救えるのなら……助けて……!」
「……助けるよ。もうこの城に来てから、絶対助けるって決めたから!」
後編へ…。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.83 )
- 日時: 2016/06/12 22:13
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
※急遽行う前回のあらすじ。
WSアイランドトーナメントに出場していた李里香は参加中、嘗ての敵翠樹と遭遇。彼を追いかけているととある屋敷に辿りつく。導かれるようにその中の扉の奥に足を踏み入れると、そこはプレダティオル国に制圧されたフロニャルドだった。そこで李里香はレオとシュテルに再会。
事情を聞いた李里香は彼女らに同行し、そして今、フロニャルドを賭けた戦いに入っていた。
†
「ドロー!クロック&2ドロー!」
絶対に助ける決意と共に、残された最後のチャンスを引く。そのカードを見て、確信する。
「来たよ。シュテル」
「いよいよこの力を試す時ですね」
「頼んだぞ」
その言葉と共にシュテルとレオの姿が消える。そして、前列を移動させてミルヒの正面になのはを立たせると、引いた1枚を高く掲げる。
「燃え盛れ、灼熱の炎!熱き炎で、蔓延る魔物を焼き尽くせ!“炎の砲撃魔導師”シュテル!今、舞台にステージアップ!」
交代により“突貫”ザフィーラの黒子トークンが舞台から降りた直後、灼熱の炎の火柱が立つ。その火柱から火の玉が2つ上空で円を描く。その円の中央から炎が灯り、地面に落下、地面に当たると炎は爆ぜ、その中心部でバリアジャケットを身に纏い、まるでエクセリオンモードのような形状となったルシフェリオンを手にシュテルが現れた。それと同時に空いた左手を前に翳す。
「応援により、レベル1以上のキャラにパワー+1千。更に特徴に《魔法》を持つキャラ2人以上で能力発動!ガウル殿下に能力を与えます!」
「更に、魔の者蔓延る故郷の地を取り戻すべく、剣を取れ!猛き姫!“獅子王”レオをコール!」
「レオ様、後は頼んだよ!」
ナナミの声援を受け、レオもまた左前列に呼び出される。ストックは現在2。そして3枚のうち1枚を発動させる……!
「クライマックス、『星破獣皇爆炎陣』!!全てのキャラにパワー+1千!ガウ様、お願い!」
「おう!同時にクライマックスコンボ発動!」
そう言った直後、英雄結晶を発動。青年の姿になり、両腕に輝力を爪状に纏わせる。
「対象は俺となのはだ。これでパワー+1千5百と助太刀封じを与える。覚悟しやがれ!」
好戦的ガウル 9千5百>1万5百>1万2千
エクセリオンバスターなのは 9千5百>1万1千5百>1万2千5百>1万4千
突然の宣戦布告レオ 1万>1万1千
李里香ストック 6>3>2
「バカが。今更助太刀を封じようともガウルの正面はがら空きだぞ?」
「狙いはダメージじゃないわ!」
「何ッ!?」
英雄結晶を発動させたガウルが相手前列エリアに踏み込む。そしてそのまま後列のレッドムーンへと一足飛びで迫る。そして輝力を込めた一撃が炸裂し、レッドムーンを城の壁へと吹き飛ばした。
「なんだと!?」
「これが私の新たな力!登場した時、他の《魔法》のキャラが2人以上いるなら自分のキャラに後列への指定アタック能力を与えます!」
「ぐっ!レッドムーンがリバース状態になると、紅き月も力を……!」
レッドムーンが倒されると同時、紅い月も光を急速に弱まった。どうやらあのイベントカードは、レッドムーンのリバース状態に連動して効果が消えるらしい。
「続けてなのはちゃんでミルヒにフロントアタック!」
「攻撃力1万4千に助太刀封じ……!だが、そのキャラのソウルは2!さっきダメージ2を受けたが、まだ勝算はある!さっきのクライマックスでソウルを得られなかった理由は知らないが「クライマックスコンボ発動!」何!?何故同一のクライマックスで別のクライマックスコンボが発動する!?」
突然クライマックスコンボ宣言をした李里香に翠樹が信じられないと言ったような表情で叫ぶ。本来クライマックスは場に1枚しか置く事が出来ない。それ故クライマックスコンボも1種類しか使えないはず。
「このクライマックス、『星破獣皇爆炎陣』は作品名に『DOGDAYS』か『リリカルなのは』とあった時、控え室のクライマックス効果を無効にしてこれの上に重ねて発動できる特殊なカードよ。ソウルを追加できない代わりに、複数のクライマックスコンボを発動できる!」
「バカな……!」
「能力発動!ダメージ1与えてパワー+3千!」
BGM:Bright Stream
続けてなのはが魔力を溜め、足元にミッド式の魔法陣が刻まれる。レイジングハートに2対の天使の翼が出現する。
「エクセリオンバスターACS……」
「「ドライブッ!!」」
発動と同時に、流星の如く突き進む。すかさず剣に輝力を流して盾代わりにしてACSドライブを防ぐ。
その力の衝突は凄まじく、ぶつかった時の衝撃波がテラスいっぱいに広がる。
「…〜〜ッッッ!!!」
「…ッ……ぐぅ……!!」
何とか攻撃を逸らしたミルヒだが、まだなのはの攻撃は終わっていない。再びなのはが接近し、今度は砲撃を複数放つ。
それをミルヒは宝剣による時空を切り裂く能力で時空の狭間の中に砲撃を消し去り、直後にその砲撃をそのままなのはに返す。しかしなのはもそれを防御魔法で防いだ。その一瞬を見越してか、その隙にミルヒは時空の裂け目に入り、なのはの頭上に迫る。最上段からの斬り降ろしになのはは咄嗟にレイジングハートの魔力刃の穂先を向ける。それに気付いたミルヒも咄嗟に剣を盾に攻撃を防ぐ。
「と…ど……ッ……けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
魔力刃の先端に魔力を更に込める。その時、剣の刀身に亀裂が走る。それを勝機と取ったなのはが、刃の穂先に魔力を集中させる。それが膨れ上がり、砲撃の重い一撃を放つ……!
「ブレイク……シューーーーート!!!」
膨れ上がった魔力を一気に砲撃として放つ。ゼロ距離の砲撃は、ミルヒに回避や防御を取る間も無く彼女を飲み込む。
ミルヒの心臓に巻き付いている、ムカデ型の魔物も大量の魔力の奔流をまともに受け、肉体が崩れ去り、そして塵も残らずに消滅した。
そして、爆煙の中から弾き飛ばされるようにミルヒが落下する。
「姫様!」
咄嗟に李里香が落下地点に向かい、落下するミルヒを受け止め、落下の勢い余って尻餅を付く。そして彼女の容態を確かめる。幸いにも意識を失っているだけで、大した外傷は無い。レイジングハートが予め非殺傷機能を起動させていたのだろう。無事だった事に安堵する李里香だった。その次の瞬間、落ちてきたプレダティオルの宝剣が李里香の傍に突き刺さる。
「おのれ……!赤星李里香……!よくも僕らの計画を……!」
「これでダメージ5。レオ様、お願い!」
「よくもおおおおぉぉぉぉぉ!!!」
「アタック!!!」
最後のアタック宣言がされると同時、レオがグランヴェールを振り翳し、全身の輝力を宝剣に蓄える。そして目の前の標的を、確かな怒りを宿した目で見据える。
「覚悟は出来ておろうな?人々を恐怖に落しいれ、大陸を食い潰し、混乱を巻き起こし、なにより……友を悲しませた罪は重いぞ!!」
「ひっ……!」
レオの背後に紋章が現れる。いや、彼女だけではない。上空を見るとなのはとシュテルがそれぞれ塵の様に細かくなった輝力をかき集め、一つの巨大な魔力光を生成する。
「星破!」
「獣皇……!!」
「爆炎じぃぃぃぃぃぃん!!!」
2発の特大魔力砲と、獅子王炎陣大爆破に匹敵する紋章砲が炸裂。悲鳴を上げる間も無く翠樹を飲み込み、デッキから2枚のカードがクロックに置かれた……。
GAME,END.WINNER AKAHOSHI RIRIKA!
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.84 )
- 日時: 2016/06/12 22:16
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
ファイトが終わると同時に、空に昇っていた紅き月がガラスの如く砕け散る。同時に凶暴化していたプレダティオル兵も急に力を失っていく。
「バカな……!この僕が2度もお前なんかに……!」
「もうファイトは終わったわ。もうフロニャルドから出て行って!」
「黙れ!僕は認めない!」
膝をつく翠樹に対し、いい加減諦めろと李里香が諭す。しかし翠樹は未だ敗北を受け入れきれないでいた。
「レッドムーン……!」
「解っている!今すぐこの小娘を葬ってくれるわぁ!」
怒りを露に鞭を振るい、李里香に襲い掛かる。ファイトの勝利に油断しており、李里香を庇おうにも間に合わない……!
ビシィッ!
鞭が当たる乾いた音が響く。しかし、その攻撃は李里香に当たったわけでは無い。
恐る恐る目を開けると、いつの間にか目を覚ましたミルヒが身体を張って李里香の壁になっていた。
「姫様!?」
「貴様、まだ逆らう気か!!」
「……これで、フロニャルドを悲しませた罪が消えるとは思いません……けど、もう私に出来る事はこれ位しか……!」
「なら、気の済むまで滅多打ちにされるがいい!」
レッドムーンは標的を李里香からミルヒに代え、鞭の集中攻撃を見舞わせる。激しい攻撃に一度は膝を折りそうになるも、死に体に鞭打つかの如く必死に自らを李里香の盾にする。
「ちっ……ならば……!」
猛攻に耐え抜くミルヒに痺れを切らした翠樹が突き刺さったフェンリルを引き抜く。そしてそれをくるりと切っ先を地面に向ける。
「このフェンリルの力で、お前達全員時空の狭間に落としてやる!」
止める間も無く宝剣を突き刺した。直後に床の時空が引き裂かれ、円形に時空の狭間が侵食していく。このままなのは達も飲み込まれてしまう……と、思われた。
グラッ
「な、なんだ!?」
「おい待て!フェンリルよ、なぜ我らを……!?」
時空の侵食がレッドムーンを捕らえたところで停まり、裂け目の中に翠樹とレッドムーンが引きずり込まれていく。そして、そのまま悲鳴を上げる2人を飲み込むと裂け目を閉じた。
「……どうやら宝剣に、いや、国そのものに裏切られたようだな。フロニャルドを支配せんとした者に相応しい末路だったな」
「じゃあ、つまり……」
「ああ。終わったのだ」
†
李里香side.
あの後、あたし達はすぐにプレダティオル城の放送機材を使って事の巻末を放送した。ミルヒ姫様を取り返した事。翠樹とレッドムーンは自らの宝剣で時空の狭間に消えた事。そして、戦いに勝利した事——。
それを聞いた兵士達はクモの子を散らす様に逃げ出し、城に残っていたゲートを使い、フロニャルドを出て行った。これで一件落着かと思っていたけど、直後に姫様が代表放送を開いたの。
3国連盟と、ガレットを支えてくれたハルヴァーに向けての放送の内容は、姫様の謝罪と自分のこれまでの経緯。嘘偽りするつもりも無く、まるで懺悔するかのように全てを告発した。
「この世界を護りたいというのは事実です。しかし、大陸を救うという名目で侵略者に加担したのも動かし難い真実。皆さんを悲しみに陥れた事、深く謝罪します。私が犯した罪は大きく、どうやって償うか正直迷っています。ですが……これからは一国の主としてこの罪を償い、ビスコッティの皆さんと一緒に歩んで行きたいと思います」
その言葉に、報道陣だけでなく、3国の住民や勇者達、あたし達も勿論拍手で答えた。その意味を捉えたかのように、ミルヒは涙を堪えて一言、「ありがとう」と言って会見は終了したのでした。
†
その翌日。
あたしは国の復興に手を貸しつつ、フロニャルドを見回る事になったの。
「もう活気が戻ってきてるの?まだ1日ちょっとしか経ってないじゃない」
「レオ様達が復興に協力しているし、ビスコッティも落ち込んでた分活気を取り戻そうって張り切ってるからね」
荷物運びと建物の修復を行ってる大工さん達用にお弁当作りを手伝っているあたしとレベッカは料理を作りながら今の復興状況を話していた。
けど、楽しい会話も束の間、あたしがある事を切り出したらレベッカの表情が暗くなる。
「で、姫様の容態はどうだったの?」
「身体の負荷と心労が限界をとっくに超えていたみたい。幸い命に別状は無いけど、まだ眠ってるみたい。今は医療スタッフが診てるから大丈夫だと思うけど……」
「そっか……」
今朝、姫様が自室で倒れていた事を知った時は本当に大騒ぎだったわ。ユキカゼとシンクは慌てふためき、クー様とリコは泣きじゃくり、エクレは医者に鬼気迫る勢いで問い詰めたりとそれはもう。
そんな会話をしながら料理をてきぱき作りつつ、箱に詰めていく。途中からレベッカが「何か作るスピード早くない?」と言われたけど、一人暮らし+2人居候状態だもんね。自然と手際がよくなるのよ。
†
なのはside.
こちらはフィリアンノ城。私はナナミさんと一緒に復興している方達への差し入れを持ってきました。皆さん差し入れに喜んでくれて何よりです。
「アメリアさん、こちらの復興はどうですか?」
「順調よ。殆ど無人だったから、メイド隊が掃除に専念してる事だけだけど。ただ、問題は……」
そこからアメリアさんは言葉を濁す。あれ?あっちの方角って……。
「あの風穴の修復は割と無視できないわ。すぐに修復を——あら?」
「どしたの?あれ?なのは?」
この時、私はすぐに逃げ出した。あの大穴、私が明けた事を打ち明けられずに逃げ出した。
夢中になって走っていると、風月庵にまで来てしまった。どこまで逃げてきたの。と、自分で自分を呆れてたらイスカさんに声を掛けられた。どうやら伝説の勇者パーティで何か話していたみたいです。
「なんだ?いきなりこんな所に来て」
今更逃げてきたなんて言えない。適当に言葉を濁していると、シュテルと鉢合わせした。
好都合と言わんばかりに、シュテルの話に合わせてお邪魔することに。
「それで、あの剣はどうなったんですか?」
「ああ、あれか。あの宝剣、どうやら禍太刀(まがたち)に近いものだったらしい」
「それって、刺された動物や精霊を魔物にしてしまう物ですよね。それで、ユキカゼさんやダルキアン卿はそれの封印で諸国を旅してる……」
「その通り。しかし、あれは拙者らの知る物とは違っていたでござる。どうやら人為的に作られたものかと」
ダルキアン卿の言葉に私達は言葉を失った。少しの間誰も口が閉じなかったが、やがてヴァレリアさんが悪寒を感じているように言い出した。
「末恐ろしいな……相手は禍太刀すら造り上げちまうほど強大な存在だって事か?」
「そのようですね。あの宝剣は既に力を失っていて、ただの剣となっているようですが」
一瞬、風月庵の居間に重い空気が纏っているように感じる。とても話を切り出せないと私が思っていたら、アデルさんが何か思い出したように私達に尋ねてきた。
「そういえば、お二人はゲートを潜ってきたんですよね?」
「はい。割とこの辺りのゲートが不安定だったので。勝手に……あ」
「どうしたの?」
「いえ。そろそろ帰ろうと思っています」
アデルさんからの質問にシュテルも何かを思い出したようで、すぐに私を連れて風月庵を後にしました。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.85 )
- 日時: 2016/06/12 22:22
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
Side,out.
その日の夕方。フィリアンノ城のとある一室。
「え?もう帰るの?」
李里香がシュテルからの言葉に素っ頓狂な声を上げる。
対してシュテルは、傍から見ればさほど変わっていない真剣な表情で2人に言う。
「貴方達も恐らく私と同じ類のゲートをくぐったのでしょう。恐らく明日には消滅しているはずです」
「でも、シュテルもゲートをくぐってこっちに来たんでしょ?それなら——」
「いえ。向こうはもう閉じてるでしょう。とにかく一刻の猶予もありません」
なのはの推測をバッサリ斬り捨て、すぐに2人を連れて李里香の言う場所へと向かう為に、飛行魔法を全力にしてガレットへと向かっていった。
そして、その建物に着いた時、既に夕日は沈みきっていた。シュテルが率先して中を覗くと、珍しく声に焦りを交えて状況を話す。
「ゲートが不安定になっています。急がないと二度と人間界に戻れません」
「うえぇ?!じゃあ早くしないと——」
「どこに行く気ですか?」
すぐに建物の中に入ろうとした時、建物の影から眠っているはずのミルヒが姿を現した。
ここにいないはずの人物の登場に李里香は仰天する。
「姫様!?寝てたんじゃなかったの!?」
「つい先ほど目を覚ましたんです。貴方に一言お礼を言いたくて……その時に聞こえてしまったんです」
「それで僕がトルネイダーでここにつれて来たって訳」
続きを言いながら、シンクも建物の影から姿を現した。いや、2人だけじゃない。その間にぞろぞろと3国の領主や勇者、リーフや騎士団長達までも待ち伏せていたかのように姿を現す。
「全く、何も言わずに去るとは大した奴だな」
「李里香にお礼を言いたいのは皆同じだよ。勝手に帰ったらそれこそバチが当たるんじゃないかな?」
「ナナミ…」
「私達も感謝しているんだよ。私達が成し遂げられなかった事を、たった1日で解決しちゃったんだから」
「レベッカ…」
「今更私がこんなことを言うのも難ですが……」
そこまで言うと、全員が片膝を付き、まるで王に忠誠を誓う騎士の様に頭を下げた。
「国を、大陸を、世界を救った事、心より感謝します」
「この大恩、我らは一生涯忘れませぬ」
「皆……あ、でもフロニャルドが平和になったんだから、レオ様との契約ももう……」
突然の事についていくのが精一杯な李里香が我に返り、デッキを取り出そうとする。彼女と契約を交わしたのは事実だが、こちらの事を尊重したのだろう。しかし、レオは頭を上げて待ったを掛ける。
「いや、会う機会が少なくなるだけだ。契約はそのままで構わん」
「そうだよ。ヴァイスシュヴァルツの舞台に立てばまた会えるんだし」
「それに、もしお主が本当の意味でワシらの力が必要な時が来たのなら、その時は力を貸そう」
「皆……ありがとうございます!」
「李里香ちゃん急いで〜!」
「もうゲートの崩壊が始まってます!」
レオとナナミの言葉に李里香は心から感謝の言葉を述べる。その時、なのはとシュテルが建物の中から大声を上げる。
それに気付き、慌ててゲートへと戻る彼女にシンクが呼び止める。
「待って!これをッ!」
「受け取って!」
すぐにシンクとレベッカが何かを李里香に投げつける。それを反射的に受け取るも、中身を確認する前にレオ達にありがとうと一言言ってゲートへと走り去って行った。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.86 )
- 日時: 2016/06/12 22:23
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
†
「とーちゃーく!」
駆け込むと同時に後ろから凄まじい音が響く。振り返ると壁にあの扉がめり込んでいるような形で埋まっていた。
「帰って……これたんだよね……?」
試しに空を見てみると、フロニャルドで見えた浮遊島が無いし、空も青い。改めて戻ってきたと実感する李里香だった。
「そういえば、シンク達が渡したのって……」
その事を思い出した李里香は受け取ったそれを確認する。それは小さなデッキケースのような箱であり、開けるとカードの束が入っていた。
『これは、デッキ?しかもビスコッティとパスティヤージュの単色の……』
「こっちには紙があるわ。手紙みたいだけど……ゴメン、シュテルお願い」
見ると、ヴァイスシュヴァルツのデッキだった。内容はそれぞれビスコッティ、パスティヤージュをイメージしたデッキであり、パスティヤージュデッキが入っていたデッキケースの中に1枚の紙を見つける。しかし、見たことの無い文字で何かの文章が綴られているらしいしか解らず、すかさずシュテルに託す。
『……『赤星李里香へ。この手紙と共に渡したデッキは私達の力の欠片を込めた物です。殆ど人間界のカードと同じ様に使えます。それと、あの宝剣も私が使っていた事は事実。李里香になら託せると思いました。あなたに助けられたのに、これだけがお礼なんてちょっとずうずうしいかもしれませんが、私達も貴方達を忘れません。フロニャルド代表、ミルヒオーレ・F・ビスコッティ』姫様の手紙ですね』
『!李里香ちゃん、この絵を見て!』
手紙を読み終えると同時になのはが呼びかける。彼女の視線はフロニャルドに行く前に見た絵を見ており、李里香もそれを見る。
どうやらフロニャルドに行く前に見た絵らしいが、内容が少し違っている。
——桃色の狼と白いライオンと栗色のリスとが喧嘩していると、そこに赤い髪の星の女神様が、2人の星の天使をつれてきて、3人に尋ねました。
『あなた達はどうして喧嘩しているの?』星の女神様が尋ねました。桃色の狼は黒い国の人が言った事をそのまま伝えました。すると星の女神様は、『黒い国の人は故郷が無いから、この世界が欲しかったのでしょう』
それを知った桃色の狼は、騙された事も知ってしまい、涙ながらにライオンとリスに謝りました。そして星の女神は、黒い国の為に空の彼方に彼らだけの世界を作りました。黒い国の人たちは喜んでそこに住む事になりました。
こうして平和になった3つの国は、末永く平和に暮らしました。
「絵の物語が変わってる……?」
『きっと、李里香ちゃんが来てフロニャルドを救ったから物語が変わったんだよ』
絵の内容を見て、安堵の息を吐く李里香。それと同時に、彼女の中にある決意が生まれる。
「もう、姫様の様に苦しむ人を出したくない。この大海の主催者がこの事件の黒幕なら、絶対に止めてみせる。2人とも、協力してくれる?」
『うん!』
『これからは私も共に戦います…!』
続く…。
†
「おまけ」
李里香「フロニャルド編完結!今回一押しのカードは姫様とあたしのもう一人の相棒、シュテル!そしてあのファイトの立役者でもある2枚のカードを紹介!」
次元両断剣フェンリル LV2 コスト1 赤 イベント
あなたの場のレベル2以上のカード名に『ミルヒ』を持つキャラを1枚選び、控え室に置く。その後、あなたの手札、山札、控え室から『時空断つ剣士フェンリル』か『魔剣士ミルヒ』を1枚選び、キャラのいない舞台に置く。
“魔剣士”ミルヒ LV3 コスト2 赤 トリガー有
パワー1万
ソウル2
《動物》《武器》
『自』:②:この能力は、1ターンにつき1回まで発動できるあなたのクライマックス置き場に『次元裁断!ブレイディング・ディボールト!』が置かれた時、コストを払ってよい。払ったら、そのターン中、このカードは次の2つのどちらかを選び、能力を得る。『【自】このカードの正面に相手のキャラがいても、このカードはダイレクトアタックできる』。『【自】このカードのバトル終了時、このカードが【リバース】していないなら、相手の前列と後列のキャラをそれぞれ1枚まで選び、山札の下に置く』。
Nフレーバー:もう、貴方達の知るミルヒは存在しない……。
SPフレーバー:もう、戻るなんて選択肢は捨てた!
“炎の砲撃魔術師”シュテル LV2 コスト1 青 トリガー有
パワー5千
《魔法》《マテリアル》《動物》
『自』:応援:このキャラの前のLV1以上のキャラ全てにパワー+1千。
『自』:このキャラが登場したとき、あなたの場に《魔法》のキャラが2枚以上いるなら、あなたのキャラ1枚を選び、次の効果を与える。『【永】 このカードがアタックする時、あなたはかわりに相手の後列のキャラを1枚選び、このカードはそのキャラを防御キャラとしてフロントアタックしてよい。』
『星破獣皇爆炎陣』 クライマックス トリガー有(Wソウル)
『永』このカードはデッキに1枚しか入れられない。
『永』あなたのキャラすべてに、パワーを+1千。
『起』0:あなたの前列のキャラがアタックした時、そのキャラの作品名に『DOGDAYS』か『リリカルなのは』があるなら、コストを払って良い。払ったら、あなたの控え室からクライマックスを1枚選び、このカードの上に重ねてよい。(この効果で重ねたクライマックスの効果は無効化され、このクライマックスと同じになる。『0』は発動を宣言すればコストを払った物として扱う)
フレーバー:レオ「これがッ!」シュテル「私達のッ!」なのは「紋章砲だあああああああああ!!」
李里香「……よくよく見たら、姫様だけ能力がヤバくない?ターン制約があるとはいえ、下手したら全滅じゃない;」
シュテル「私の方も、後列向きとして強化されて嬉しいですε(・ω・´)」
なのは「さて、次回はどうなるのでしょうか?お楽しみに!」
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