二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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九条天のお気に入り
日時: 2016/01/29 06:26
名前: 結縁 ◆4sm6BVQPVk (ID: yxDSzo5A)

あの日の出会いが必然だったなら、私は——

*挨拶
閲覧有難うございます
こちらはアイドリッシュセブンの二次小説となっております
メインはTRIGGERであり、恋愛ものです
IDOLiSH7のメンバーも勿論、登場します

原作ストーリー+ラビチャ+漫画+小説+オリジナル
な構成になる予定ですので、ネタバレNGな方は閲覧を控える様にお願いします

※キャラ崩壊、設定崩壊あるかもなので了承下さい

以上になりますが、問題なかった方は先へお進み下さい

《目次》
【ヒロイン設定】>>1
Episode1【出会いは突然に】>>2
Episode2【勧誘】>>3

Page:1



Re: 九条天のお気に入り ( No.1 )
日時: 2016/01/26 19:30
名前: 結縁 ◆4sm6BVQPVk (ID: VJEgN8CS)

【ヒロイン設定】

【名前】神咲律/かんざきりつ
【年齢】19歳

【容姿】黒髪ミディアムでゆるふわ天パ。小顔で可愛らしくスタイルもいい
色白で服装も清楚な感じ。身長は155cm

【性格】大人しく人と面と向かって話すのが苦手
歌うことと作詞が好き。集中力は凄まじく一度決めたら融通が利かない
芸能界には憧れていたが自分には縁のない場所だと思っている
TRIGGER……九条天のファン

【神咲家】

超人が産まれる家系で、律の両親も才能に恵まれている
ただ、あまりに多才なせいか、忙しく家に帰ることはほぼない。律は一人暮らしの様な状態
律も作詞作曲、歌唱力など音楽にまつわるの才能があるのだが、無自覚

【TRIGGERとの関係】

九条天……律の音楽に対する才能を見つけ興味を持つ

早乙女楽……律の作詞や歌唱力など能力は認める

十龍之介……律と多分、一番普通に話せる。よき相談役?


現時点での設定です
変更等の可能性大です

Re: 九条天のお気に入り ( No.2 )
日時: 2016/01/26 22:08
名前: 結縁 ◆4sm6BVQPVk (ID: VJEgN8CS)

Episode1【出会いは突然に】

「あの……大丈夫、ですから」
「ダーメ、そんなに体冷やしてるのに何言ってんの」

そう言って、手触りのいいお日様の香りのするタオルを、手渡してくる九条さん。それを突き返すことも出来ず、結局受け取る私。

ああ、どうしてこんな状況になったんだっけ?



今から遡ること30分前。
私はよく行く近所の公園に来ていた。特に用はないけれど、気紛れに訪れては、一人ベンチに座りながら空を見上げてた。

……雲で星も月も見えないや。

暗く静かな公園で、少し肌寒さを感じながらも、空を見ていると、ポツリと冷たい雫が頬を濡らした。

「雨……」

呟いた時にはもう遅く、全身を打ちつけるように、降りしきる雨粒が体をを濡らした。傘……持ってきて無い。

一瞬そう思ったものの、たまには雨に打たれるというのもありかも知れない。考えがそこに至った時、ふと歌いたいなと、思った。

考えに突き動かされるように、誰もいない公園で、雨に打たれながら思いのままに言葉を紡いでいく。

「〜♪」

どのくらいそうしていたのか、髪も服も……全身がずぶ濡れになった頃。
歌うのが楽しくなってきて、ここが人目に付く公園である事も忘れてしまっていた。

だから、声を掛けられるまで気が付かなかった。

「……楽しそうに歌うんだね」

ずっと見られていたことに。

「っ……!」

人が居た事に驚き、声が出なくなる。
驚きのままに、声の方を向いて——呼吸ができなくなりそうになった。

夢かなにかかと思ったし、何より外灯に照らされたその顔を私は知っていた。
今世間を騒がしている、男性アイドルグループ《TRIGGER》、その中でメインボーカルを務めている人。その人が今、私の目の前にいた。

「ああ、驚かしてごめんね。邪魔をする気はなかったんだけど……って聞いてる?」

ズイっと顔を近付けてくる彼——九条天に私は慌てて相槌を打つ。
すると彼は満足そうに微笑む。
至近距離で見る彼の笑顔は、破壊力抜群で……とても心臓に悪い。
そんなふうに考えているのを知ってか知らずか、九条さんは話を続ける。

「ボクも声を掛ける気はなかったんだけど、こんな時間に雨に打たれながら歌ってる子がいたら不審に思うでしょ? それで近づいてみたらあまりに楽しそうだったから……」

目の前で淡々と語る九条さんは、何ていうかテレビで見る時よりもずっと辛口で、雰囲気の違う様子に驚きを隠せなかった。
黙々と聞いていたせいか、真面目に聞いていないと思われたらしく、九条さんが溜息混じりに呟く。

「はぁ……やっぱり聞いてないでしょ君。そんなにボクが珍しい?」

そう言った彼と目が合った瞬間、顔が熱くなったのが直ぐに分かった。
私の反応で何かに気づいたらしく、九条さんは少しトーンの落ち着いた声音で話す。

「もしかして……ボクのファンだったりした?」

質問に答える代わりに頷くと、九条さんは何かをボソッと呟いてから私の腕を引いた。

「え、あのっ」
「冷たっ……こんなになるまで歌ってるとか、君バカでしょ」
「?!」

バカって言われた……確かに自分でもちょっとは思ったけども。それを九条さんに指摘されると凹んでしまう。
正論に言葉が出ず、俯く私に九条さんはあくまで淡々と話を進める。

「ついてきて、君がボクのファンだって言うなら放置なんて出来ないから」

言うなり返事も待たずに歩き出す九条さん。誰かに見られたら? そう思ったものの言い出す間もなく、九条さんは立ち止まる。

連れてこられた場所は、彼の住むビルだった。

Re: 九条天のお気に入り ( No.3 )
日時: 2016/01/28 22:32
名前: 結縁 ◆4sm6BVQPVk (ID: yxDSzo5A)

Episode2【勧誘】

そうして今に至るんだけど……。
思い返してみても、未だに状況が信じられない自分がいる。今をトキメク九条さんのお宅にお邪魔して、こうして話してるだなんて。
夢でないと言うなら、なんだと言うのだろうか。

「よし、大分髪は乾いたかな? 後は……着替えも必要だよね」

思考錯誤している間に、髪を拭き終えた九条さんが呟いて、そのまま濡れたタオルを手に、立ち上がる。
そのまま部屋の片隅にある、クローゼットに近づくと白いセーターを一着取り出した。

「これに着替えて。ボクは温かい飲み物を用意するから」

言うなりキッチンの方へ向かいそうになる九条さんを、私は慌てて呼び止めた。

「いえ、大丈夫ですので! それにもう帰らないと……」

タオルを借りただけでも悪いと思っているのに、まして衣類を借りるなんて、とてもじゃないけど出来ない。
ファンの方に知られたら九条さんの評判にも関わるだろうし……。
そう考えて遠慮したのだけど。

「帰るって、そんな透け透けの服で外歩くつもり?」

指摘されて自分の格好を改めて確認して……下着がくっきりと透けていた事に、ようやく気づいた。

「それはその……」

こんな姿を見られていたのかと思うと、羞恥心で可笑しくなってしまいそうだった。

「歩けないでしょ? そのままじゃ。だから大人しくボクの言うとおりにして」

黙り込む私に、九条さんは改めてズイっとセーターを突き出すと、言葉を続けた。

「ボクは向こうで待ってるから。着替えたら声掛けて、送って行くから」

それだけ言うと、部屋に私を残して九条さんは出て行ってしまった。
こうなってしまっては断ることも出来ないし、ここに長居するのもよくない。
私は覚悟を決めて、貸していただいたセーターへと袖を通す。ふんわりとした肌触りが心地よく、優しい香りがした。

「……お待たせしました」

着替える間、待っていてくれた九条さんに声を掛ける。すると短い返事の後、名前を聞かれた。

「そういえば、名前聞いてなかった」
「……神咲律です」
「律、ね。それじゃ行こうか」

名前を呼ばれた瞬間、時が止まったみたいな錯覚に襲われた。
こんなふうに呼ばれる日が来るなんて考えた事もなかったから、無意識に立ち止まってしまう。
そんな私に九条さんは嫌な顔一つせず、

「ほら、帰るんでしょ?」

そう言って笑った。

「はい……」

笑顔を見て、顔が熱くなるのを感じながらも、2人並んで外へ出た。



2人で暫く歩いて、公園の近くまで戻った辺りで、私は立ち止まる。

「あの、ここで大丈夫ですので」

口ではそう言ったものの、ここで別れるのを寂しく思ったりする。
けれど、話せた事だけでも奇跡的だったし、しっかりと考えなければならない事も出来たから。

「そう? それじゃ、いい返事待ってるから……」
「はい……考えてみます」

私の言葉を最後に九条さんは背を向けて歩き出す。その姿を見ながら帰りに九条さんから、持ち掛けられた内容を思い出していた。
勧誘の内容は……八乙女事務所に正式に所属してTRIGGERの曲を作って欲しいというものだった。

突然だったし、何故私にそんな事を頼むのか理解ができなかった。だから、深く考える事もせず、断ろうとしたんだけど。
その前に、「返事は急がないから、考えてみて」と言われて……連絡先まで交換してしまったという訳。

「どうしよう……」

あまりに突拍子の無い出来事に困惑しっぱなしで、簡単に答えが出るとは思えなかった。

「TRIGGERの曲を私が……?」

考えるだけでドキドキするし、そうなったら素敵だなと思う自分もいる。
だけど、同じくらいに私なんかの曲で本当にいいのかと思う自分もいて。

「……今度のTRIGGERのライブを見に行って、それで考えてみよう」

借りた服も返さなければならないし。何より、改めて彼等の歌を聞けば何かが分かる気がした。
そう考えて、今日は休もうと決める。だけど、こんな特別な事があった日に眠れるわけもなく……結局気がつけば朝になっていた。

Re: 九条天のお気に入り ( No.4 )
日時: 2016/02/09 11:36
名前: 結縁 ◆4sm6BVQPVk (ID: Ya3klDgh)

Episode3【特別な日】

九条さんと公園で会ってから、早一週間が過ぎて、TRIGGERのライブを明日に控えた今日、私は初めて九条さんにラビチャを送ることにした。

「チケット当選した事と、返事の事と事前に言っておかなくちゃ」

緊張気味に画面を開いて、簡潔に用件を書き込んでおく。時刻は昼の1時過ぎで、運がよければ休憩中かもしれない。
仕事中に携帯が鳴ったら迷惑だもんね。九条さんの事だから、マナーモードにするか、電源を切ってそうではあるけど。
そんな事を考えながらそわそわと、画面を見ていると、既読の文字が目に付く。

『了解です、ライブ楽しんで』

たった一文。それが自分でも驚くくらいに嬉しくて、ギュッと携帯を握りしめた。

*翌日

「凄い人……」

まだ開演まで時間はあるのに、本当に九条さんと話せたことが、どれほど凄いことか思い知らされる。
TRIGGERのライブ、来るのは久しぶりだけど……楽しめたらいいな。
それに、この間の話もしっかり考えて返事をしないと。

何度も考えた事を脳裏に浮かべながら、ライブが始まるまで周辺を見て回ることにした。

『九条天Said』

お昼すぎに届いたチャットを見て、身が引き締まる思いがした。
彼女が明日見に来る。それだけで気持ちが上向くのが自分でも分かる。

「……明日のライブは、絶対最高のステージにするから」

だから、ボクは寝込んでいる場合じゃない。

彼女と出会ってから一週間。体調管理の甘さが祟って、風邪をひいてしまっていた。
だけど、ボクの都合でライブを楽しみに待っていてくれるファンの皆を、ガッカリさせる事だけはあってはならない。
特に、明日は——

薬を飲んで早めに休むことに決めて、そっと目を閉じた。

*

入場開始時間になって、私も自分の当選した席に行く。真ん中より少し右寄りの席だったけど、ステージには思ったよりも近く、3人の表情はよく見えるだろうなと思った。
私のすぐ後ろの席には、TRIGGERファンには珍しい7人の男性と女の子が1人、緊張したお持ちでステージを眺めていた。
あの人達、なんだが気になるな……。そんな思いが一瞬掠めたものの、消え始める照明に慌ててペンライトを取り出す。

「ペンライトは……と」

用意をしているうちに、曲が流れ始める。
そして——大きな歓声に出迎えられる様にしてTRIGGERがステージ中央に登場した。
そこからは圧巻だった。会場の空気がTRIGGERに染められて一つになる。揃う手拍子に、踊るように紡がれる歌声。
どれもが洗練とされていて、鳥肌が立つ。そんな中で、九条さんとほんの瞬き一回分くらいの、短い時間目が合った気がした。

「っ」

気のせいかもしれない出来事に、五月蝿いくらい胸は高なって。それ以降、あまりステージを直視できなかったのは言うまでもない。

「終わっちゃった……」

一瞬にも永遠にも感じる一時を終えて、ほうっと声が漏れる。
自身を落ち着かせるように深呼吸を数度繰り返して、事前に言われた九条さんとの約束の場所——TRIGGERの控室へと足を運んだ。


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