二次創作小説(旧・映像)

東方崩壊譚
日時: 2018/03/28 22:03
名前: 彩都

 少年は博霊神社で目覚め、何を思い、幻想卿を崩壊させるか──

 始めましての方は始めまして、何度も彩都の作品を読んでいる方は有難う御座います。
 彩都(サイト)と申します。
 もう九作目ですよ、九作目! まぁ、一ヶ月一回更新が多いですねぇ……
 まぁ、今回は『東方PROJECT』という原作者『ZUN』さんの三次創作となっております。
 何故二次創作じゃないかって? それは秘密です☆
 そんな話は置いといて、今回の物語は『幻想入りした少年が幻想卿諸共破壊する迄のお話』で御座います。
 基本的に口調や喋り方は原作通りですが、間違っている部分があれば普通にコメントで説明してくれれば幸いです。
 自分も原作(体験版のみですが)は少しだけ経験していますが、それでも新発見は多いです。
 とまぁ、ここら辺でお話は止めまして、それでは、本編どうぞ!

 目次
『東方崩壊譚』第一章 第一話
本編
>>1-15
後書
>>16

『東方崩壊譚』第二章 第二話
本編
>>16-46
後書
>>47

『東方崩壊譚』第三章 第三話
本編
>>48-62
後書
>>63

『東方崩壊譚』第四章 第四話
本編
>>64-78
後書
>>79

『東方崩壊譚』第五章 第五話
本編
>>80-94
後書
>>95

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Re: 東方崩壊譚 ( No.99 )
日時: 2018/04/25 22:19
名前: 彩都  

「……さて、休憩も致しましたし、夕方の部、配布しましょう!」
「夕方の部? 何それ?」
 文の発言に首を傾げる自分、すると文が言う。
「新聞には、朝と夕方、一日二回新聞を配るんです、だから今から夕方の新聞を配るんです」
「成程……」
 自分は新聞の話を聞いて、静かに納得する。
「それじゃあ、配りに家に戻りますよ」
「はーい」
 自分は文にそう言われ、仕方なく、文の家に戻る事にする──団子……団子……──

「はい、到着しました、それじゃあ、新聞を取ってくるので、少しばかり、待っていて下さい」
「はーい」
 自分と文は文の家に移動し、自分は文の家の前で待機する事にした、すると一人の少女、はたてが現れた。
「あっ、はたてだ」
「あっ、ガキだ」
「僕は華扇だ」
「はいはい、知っていますよっと、それで? 今日はどうだった?」
「全然? たった二人しか契約出来なかった……」
「ありゃま? まぁ、でも、初心者にしては上手く行ったんじゃない? それで? 人前で脱いだりした?」
「脱ぐ訳ないだろ」
 変な事を言うはたてにツッコミを入れる自分、全く、何て変な事を聞くのだろうか? 自分がそう思っていると、玄関から文が現れる。
「はぁい? お待たせしましたーって、どうして貴女が居るんですか?」
「居ちゃ悪い? 私はこんなに可愛い少年、華扇と会話しにきただけだしぃ?」
「失礼だけど、華扇は私のモノだ、基、博麗の巫女、幻想郷の賢者のモノかもしれませんが? 今は私のモノだ」
「あら? 何時か、何時か奪われる時が来るわよ? いや、『逆に奪われる』可能性もあるわね?」
「……はたて、喧嘩を売りに来たんですか?」
「売っても良いけれど……文、アンタの実力じゃ、私には勝てないんじゃない?」
「ほう? 何と面白い事を? じゃあ、勝った方が負けた奴を記事にするっていうのはどうでしょう? その方が燃えるでしょう?」
「確かに燃える、でも、それじゃあ、つまらない、もう一つ付けても良い?」
「えぇ、良いですよ? 何でも言って下さいよ?」
「そう? じゃあ、言うわね──」
 文とはたての言い合いに入れない自分、するとはたてはとんでもない事を自分に言う。
「じゃあ、言うわね──『私が勝ったら、華扇を私に頂戴してくれ』る? それで良いわね?」
「……それじゃあ私が意味がない、そうだなぁ……もしも『私が勝ったら、私の新聞を貴女の購読者に配布して下さい』よ? それなら五分五分です」
「ちょ、ちょっと!? はたてもはたてだよ!? 何で僕が賭けの対象に!?」
 二人の発言に自分がツッコミを入れると、二人は冷酷な目で自分に言う。
「華扇は黙ってて」
「華扇くん、シャラップ!」
「え、えぇっ……?」
 自分は二人の姿を見て、はぁ、と溜息を吐いた──

「それじゃあ、先に弾幕に被弾したモノの負け、でいい?」
「えぇ、いいですよ」
「私もいいわよ」
「よし、じゃあ、試合開始……」
「おりゃああ!!」
「負けないわよぉ!」
 僕は文とはたての弾幕勝負(ごっこ)に溜息を吐きながら、審判となった、そして自分は隠れて、視界良好な場所で弾幕を確認していた。
「……二人共凄いなぁ、僕も弾幕を撃ってみたいぜ……どうやって撃つんだろうか?」
 自分はそう思いながら、指先を見ながら、玉を出す感じで弾幕を出そうとするが、そもそも弾幕を出す事が出来なかった。
「…………悲しいぜ」
 自分はそう呟いて、面倒になったので、目の前を確認し、勝敗を考える。
 その前に新聞配達をしなきゃいけないんじゃなかったっけ? 自分はそう思いながら、その場で頭を掻いて、早く弾幕勝負が終わらないか、を待つ、だが、中々弾幕勝負は終わらない、そして自分が息を吸った時だった、『きゃあ!』と、可愛い声がした、一体誰が被弾したのか? 自分が顔を上げると、被弾した相手は『文』だった。
「はい、私ぐらいのレベルになると、これ位簡単よ!」
「う、うぐぐ……」
 文はそう言って、地面に膝を突き、静かにはたてを睨んでいた、ま、まさかはたてが勝つなんて……いや、逆に文が負けるなんて、想定していなかった、自分はそう思いながら、文を見る。
「あ、文……」
「あ、あややややや……少しだけ、少しだけ弱気で行ってしまいましたねぇ?」
 文はそう言って、口の端を歪ませ、弾幕を一個、はたてに向かって放つ、まさかの弾幕攻撃にはたては避ける事が出来ずに顔面で受ける。
「あでっ! て、てめぇ!? 文!? 勝負は着いたんだから、弾幕を放つのはアウト!」
「あーっはっはっ! 『足下を掬われる』っていうのはこう言う事ですよ、はたて!」
 その場で笑う文に対し、はたては『巫山戯んなー!』と叫んで、弾幕を放つ、文は右へ左へと弾幕を避けていく。
 ……はぁ、コイツ等ぁ? 自分はそう思いながら、溜息を吐いて、二人を見た──本当、コイツ等は言い合いして、険悪なムード出しているけど、本当は仲良しなんじゃないか? 自分はそう思いながら、鼻で笑った──そして自分は『今日の僕の所有者は一体どっちになるんだろう?』と考える──

Re: 東方崩壊譚 ( No.100 )
日時: 2018/04/25 22:19
名前: 彩都  

「はーっはっはー! これで華扇も私のモノ! これで私の新聞も商売上がったりよー!」
「そ、それはどうでしょうねぇ!? 私だけでもまだ二人! だからまだまだですよ!?」
「分かってますよーっだ! それでも、私の新聞だから大丈夫!」
「だ、大丈夫ですかねぇ……?」
 焦る文を見ながら、自分は文に言う。
「ねぇ、文?」
「はい? どうかしたんですか?」
「どうかしたのもどうかしているけれど、その前の問題、『今日の僕の所有者は誰になる』のさ? それを明確に聞いておきたくて……」
「…………」
 文はその場で無言になり、目線を自分から逸らす、文? 自分はそう思いながら、文を見つめる、するとはたてが言う。
「んー? 所有者問題? 大丈夫よ、今日は文のモノ、だけど明日から私のモノ、OK?」
「え、えぇっ……?」
 結構面倒な内容だった、自分はそう思いながら、溜息を吐く。
「な、何だよその面倒な内容は?」
「何処が面倒よ? どこも面倒じゃないわよ?」
「いや、僕からしたら面倒なんだけど?」
「そう感じるだけよ、相手が天狗だからじゃない?」
「あぁ、その手があるね、いや、ねぇわ! お前等が天狗であっても、天狗じゃなくても、面倒だわ! 何だこの不毛な会話は!?」
「あっはっはっー、天狗って、相当面倒な妖怪ってのが分かったかしらー?」
「あぁ、ある程度はな! それじゃあ、文! さっさと新聞を運びに行こうぜ? ってか、さっさと晩御飯が食べたい」
「えぇー? 私は食べたくないですよぉ? だって、お腹一杯ですしぃ? 食べるなら、一人で食べて──」
「元はといえば、団子を三串も食べたお前が原因だぁ!?」
「まぁ、そりゃそうでしょうね」
「おいこら犯人……という事で、今から新聞を運びに行くよはたて? それじゃあ、また明日」
「えぇ、また明日……華扇、アンタ相当文に振り回されてるわね……」
 自分ははたてと分かれて、文と一緒に人里へ向かう──その時にはたてが小声で何か言ったが、自分には聞き取れなかった、妖怪用語? もしくは天狗専用の言語か? それは分からない──

「……はぁ、面倒だった……」
 自分は文とはたての弾幕勝負を見ながら、思った感想を文に述べた。
「アハハ……見て、撃つには楽しいかもしれませんが、他人──特に弾幕を放てない華扇くん──には楽しめない場合がありますもんね?」
「そりゃそうだよ? ってか、弾幕をどうやって出すのかも分からないから、撃ち方も出し方も分からないし、楽しめない」
「あぁ、確かに華扇くんは弾幕を撃っていませんねぇ? 撃てないんですか?」
「多分撃てない……どれだけ手に集中しても、何か出る雰囲気さえない」
「おぅ……それは中々に大変ですねぇ、後で少しだけ弾幕の放ち方を教えましょう」
「有難う、文」
 自分はそう言って、感謝する、これで弾幕を放つ事も出来る……! 自分はそう思いながら、安堵する──
 そして自分は人里に到着し、文は団子屋に来た時と同じ格好をし、新聞片手に歩き始める。
「えーと、まず、一件目は『橋崎(はしざき)』さんのお宅」
 そう言って、文は橋崎さんとやらに新聞を投函する。
「二件目は『辿呂井(たどろい)』さんのお宅、辿呂井さんのお宅は投函する場所がないから、家の入り口に挟んで下さい」
「はーい」
「それで、次、三件目は『科海(かかい)』さんのお宅、戸に呼び鈴があるので、呼び鈴を押して、『新聞屋でーす!』と叫んで下さい」
「はい」
「科海さーん! 新聞でーす!」
「あーい」
 小さな声で男性の声がし、少し待つ、すると大きな体を持った男性が現れ、戸を開ける。
「はぁい、あっ、射命丸さんだぁ」
「こんにちわです、科海さん!」
「アハハ、射命丸さんは今日も元気だなぁ? あれっ? この小さいのは?」
「あぁ、博麗の方の子です、私が今、一時的に引き取っているんです」
「成程、親代わりみたいなもんか」
「ばっ! バカな事を言わないで下さい! 私はまだ少女! 親代わりになれませんって!」
「あ、あの……華扇、と申します……」
 自分は二人の会話を切って、自己紹介をする、すると科海さんは自信の頭を撫でて、『よしよし』と言う。
「私は科海、科海、学陸(かかい がくりく)と言う、覚えてくれたまえ、因みに私は妖怪、『音を聞き分ける程度の能力』を持つ弱い妖怪だ、だけれど、一般の人間よりかは力がある、華扇『君』?」
「……えっ? 華扇……『君』?」
 自分は一発で性別が看破された事に驚愕する。
「おいおい? 今さっき言ったろ? 『音を聞き分ける程度の能力』って? 男と女の『音の違い』を『聞き分けた』だけだ、おっと、そう言えば君は博麗の巫女だったな? どうも私の事は話さないでおくれよ? 別段人間と戦いたい訳じゃないからね?」
「あっ、はい、分かりました」
「それじゃあ、科海さん、私達はこれ位で、次の所に向かいますね」
「あぁ、頑張ってくれよ、射命丸さん?」
 自分と文はそう言って、頭を下げる、科海さんもにこにこ笑顔で見送ってくれた。

「さぁ、後少しの新聞配達、頑張りましょう!」
「あぁ、そうだなぁ……」
 自分は文の発言に返答し、ゆっくりと人里を歩いて、他の家に新聞を届ける──

Re: 東方崩壊譚 ( No.101 )
日時: 2018/05/02 22:02
名前: 彩都  

東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第六章 第六話 新聞屋、華扇

CHAPTER 2 はたての華麗なる朝

 自分と文はまだ夕方の新聞を投函していた、案外人里は広いので、歩いて投函するのは少々骨が折れた。
「……はぁ、人里って広いなぁ」
「まぁ、未だに華扇くんみたいな外来人が来ている訳ですし──正確には無意識の『幻想入り』、ですが──そりゃ、人が増えますよぉ? この前なんかは『サッカー』が流行りましたし?」
「『サッカー』? サッカーって、あのサッカー? 白黒の玉を蹴り合うあれ?」
「そうですそうです、人里の子達はもう、皆夢中になっておりましたよ?」
「へぇ……」
 そうなのか、それはそれで、面白い事を知った、自分はそう思いながら、『それで? 次に投函する場所は?』と言う。
「次、ですか? 次はもう少し先に『果前(はてまえ)』さんという家があります、そこに投函です」
「そうか……そう言えば、後何件投函するの?」
「えっ? あぁ、後数件位ですかねぇ?」
「ほう? 案外簡単に終わりそうだね?」
「えぇ、後少しですしね?」
 文は自分に微笑んで、先に走って、『果前』さんの家に新聞を投函する──さぁ、自分ももう少し頑張らないとなぁ? 自分はそう思いながら、文の後を追う──

「ふぅ! これで完了完璧コンプリートです!!」
 文はそう言って、両手を上げて、息を漏らす、自分は『おめでとう』と呟く。
「いやぁ、今日も頑張りましたぁ! さぁ、華扇くん、さっさと帰ってご飯ですよ?」
「あっ、はい」
 自分はやっとご飯が食べられる、と思い、安堵する、団子一本三個だけでは腹の足しにはならないからだ、自分はさぁ、今日はどんなご飯を食べようか? と思いながら、人里を出、文に捕まって、移動した──

「さぁ、到着っと」
 文と自分は天狗の料理屋の前に降り立つ、そして入店すると目の前に、自分と文を襲ったあの白浪天狗が立っていた。
「あっ」
「あっ」
 お互い同じ声調、同じ発音をし、その場で固まる。
「んー? どうかしたんですかぁ? ……って、あっ、あの白浪天狗!? どうして此処に!?」
 そう言って、文が驚く、これで三人──文と白浪天狗を『人』と数えてもいいかは別として──が驚いた、そしてゆっくりと白浪天狗が言う。
「お前……!? あの時は恥をかいた! でも、今は違う! 今は『周りに仲間がいない』! だからお前を後で痛めつける!」
 そう言って、白浪天狗は料理を注文する。
「…………」
「…………」
 自分と文はその場で無言で立ち続けていた──そして我に返って、動き始める──

「さぁ、どうしますか?」
「さっさと飯を食って逃げる」
 自分は文にそう言う、今は料理を注文し、イスに座って、待機している所だった。
「それがいいですよねぇ? 戦うより安全ですし」
「そうだそうだ」
「でも、相手がそれで喜びますか? 『敵前逃亡だぁ!』とか言われそうですしねぇ?」
「そっそっ、そう言う事、だから、どうしよう?」
 自分が首を傾げ、考えていると、『あっ、華扇に文じゃん?』と言って、はたてが現れる。
「およよ? はたてじゃんか? どうしたの? 僕の手助け?」
「はぁ? アンタ、何を言っているの?」
「え、えと、実は……白浪天狗に喧嘩を売られて……どう対処しようかなぁ? っていう作戦会議」
「アンタの能力で倒せば?」
「生憎僕は弾幕を使えない、だから勝つ方法は低い」
「あんな能力を持っておいて?」
「うん、一応、『危険な時に使う』能力だからね、基本的には使わない」
「いや、使いなさいよ? 攻撃されたら、使うんでしょ?」
「正解」
 自分はそう言って、はたてに溜息を吐く。
「出来るだけ戦いたくないんだ、だって、此処は『君達天狗の本拠地』だ、つまり僕はアウェーなんだ、だからこそ、『威圧され負ける』可能性もある」
「……知らない、アンタの勝手にするしかないわ」
「そう、か……」
 自分ははたてにそう言われ、首を垂れる、こういう意見もあるのか……そう思いながら、どうしようか、そう考えていると、文と自分を呼ぶ声が聞こえた、さぁ、さっさとご飯を食べよう、そう思いながら文と共に料理を受け取りに行く──

「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
 自分、文、はたて、白浪天狗の四人──僕以外は妖怪、天狗なので、一人と三体が正しいかもしれない──は四人が座れる席で四人で座っていた、いや、席の使い方は正しいかもしれないが! どうして『敵と一緒にご飯を食べている』んだよ!? 自分は内心ツッコんで、溜息を吐く。
 いや、『自分が逃げないように』って話だけど、逃げる訳ないだろ? 家に籠もるだけだし? 自分は溜息を吐いて、自分以外のお皿を見る。
 白浪天狗はおかずばっか食べ、ご飯はあまり食べていない、その逆、文はご飯ばっか食べ、おかずはあまり食べていない、はたてはご飯、おかずをバランスよく食べている、自分は適当に食べているので、毎食毎食違う。
 ……それにしても、何とのんびりな食事風景なのだ? もしも他の天狗が見たら、四人仲良くご飯を食べている、と思われるのだろうか? 自分はそう思いながら、頬を掻いた──

Re: 東方崩壊譚 ( No.102 )
日時: 2018/05/09 22:19
名前: 彩都  

「おい、何だよ? じろじろ見やがって?」
 そう言って、白狼天狗が自分を睨む。
「い、いや? 何でも?」
 自分はそう言って、急いでご飯の器に目をやる、な、何と食べづらい空気なのだろう? なのに、何で文とはたては暢気に食べられるんだよ!? 自分はそう思いながら、『メンタルが強いのか……?』と思う、そして幾らか時間が過ぎ去り、四人共ご飯を食べ、休憩していた。
「はぁ……食べ終わったぁ……」
「おいこら巫女よ! 飯が食い終わったんなら、バトルだ! 戦闘だ! 弾幕ごっこだ! さぁ、急げ!」
「え、えぇっ……? い、いや流石にきついっす? だって、すぐに動いたら吐きそうになる……」
 自分は自身の腕を掴む白狼天狗に向かって、もう片方の手で口を隠し、吐きそうなポーズを訴える。
「あぁっ!? ……ったく、しゃねぇなぁ? 何で人間の肉体はこんなに弱いんだ?」
「それは妖怪より脆弱で、微弱で、最弱だからです」
 自分と白狼天狗の間に入る文、文は人差し指を立てて説明する。
「まず、妖怪が『存在』出来るのは、『人間』が居るからなんですよ? 白狼天狗?」
「はい? それはどう言う事です? 弱い人間なんだから、駆逐しても良いじゃないっすか? だって、此処は『妖怪の森』、普通一般の人間は入ってはいけないんですから?」
「じゃあ、人間である守谷神社の巫女はどうなるんです?」
 鋭い正論に白狼天狗は口の端を歪ませ、反論する。
「そ、そもそもその巫女は『人間ではない』んですよ! だって、アイツは『現人神』と呼ばれる『神』なんですから!」
「でも、『元々は人間でした』よね? そもそも『現人神』と呼ばれたのは、この『幻想郷に来てから』、ですし? だから『人間時代はそんな事を言われていません』よ?」
「そ、それは……!?」
 焦る白狼天狗、自分が『諦めなよ』と言おうとした時だった、はたてが白狼天狗の肩を掴んで微笑む。
「だめだめ? 文に反論し、論破しよう、だなんて? アイツは案外口が回るのよ? 論破なんて『ほぼほぼ不可能』と考えておきなさい? 白狼風情が?」
「ひっ!?」
 いきなり声が低くなり、恐怖を覚える白狼天狗に自身も少し恐れてしまう、すると静かに文が言う。
「はぁい? これが『畏れ』です、妖怪は人間が『畏れる』事で生きる事が出来ます、そして人間が『お前なんか怖くない!』と『精神的に否定』する事で妖怪はその『存在意義』が揺れます、そしてその『存在意義』を失った時、『妖怪の死』です、つまり、『妖怪が人間を恐怖の渦に沈めておかないと、妖怪は死んでしまう』という事ですね?」
「お、おぅ……」
「な、成程……」
 自分と白狼天狗はそう言って、内心驚く、まさか妖怪がそんなに脆い存在だったとは……これからもう少し優しく生きなければな、と思う、すると文がもっと分かりやすく言う。
「まぁ、簡単に言えば、『妖怪の心は壁によって守られています』が、その壁は『人間の恐怖心』から出来ている物、なのでもしも『人間の恐怖心』がなくなったら、『妖怪の心を守っている壁が消滅し、むき出しになって』しまう、そしてそのむき出しの心がずっと晒されていると、心を消費してしまい、何時の間にか妖怪としての存在が消えてしまうのです……逆に私達は『人間に畏れられている』からこそ、『此処に存在している』のですよ、分かりましたか? 白狼天狗さん?」
「は、はい……」
「関係ないけど、案外為になったな……」
「えっ? いや、華扇くんには説明していないんですがねぇ……まぁ、いいですか、妖怪について、まだまだ素人ですし……」
「えへへ……まぁ、レミリアやフランドールを倒しても、まだまだ知らない事は多いんだなぁ」
「は、はぁ……何か、初歩的な話をされた気分だ……」
 白狼天狗はそう言って、その場で溜息を吐く、そして自分の首根っこを掴んで、言葉を発す。
「おい? 話を聞いて、時間を食ったろ? これで時間を消費した、さぁ、さっさと戦おうぜ?」
「え、えぇっ……? いや、もう少しゆっくりしろよ? せっかちだなぁ?」
「なっ!? せっかちだと!? せっかちなのは人間の方だろ!? 少ない寿命で色々な事をし過ぎだっつーの!」
「なっ!? それは仕方ないだろ!? 限られた生命の時間の中で何をするか、何をすればいいのか、それを考えたり、行動したりする時間が必要だ! だからせっかちに動いているんだ!! 妖怪は人間より長生きだろ!? だから僕を急かすなよ!?」
「何だと!? それが分かっているのなら、さっさと戦って、勝敗を喫しよう!」
「だから少しは休憩しろって言ってんだろ!?」
「それじゃあ、お前の発言に矛盾するぞ!?」
「矛盾とかどうでも良いだろ!?」
「あーはいはい、それじゃあ十分後に戦おう? それでいいな二人共?」
 そう言うはたてに対し、自分と白狼天狗が『勝手に決めるなよ!?』と同時に叫ぶ。
 すると文が、『お前らいい加減にしろ!』と怒鳴り、自分と白狼天狗の頭に拳骨を落とす、そして自分と白狼天狗の首根っこを掴んで、店の外に引きずる。
 そんな様子を見ながら、はたては『流石幻想郷最速……手が出るのも『最速』……』と小声で呟いた──

Re: 東方崩壊譚 ( No.103 )
日時: 2018/05/16 21:27
名前: 彩都  

「あ、頭が痛い……」
 自分はそう呟いて、頭を擦る、背中には土の冷たい感覚が分かる、その隣に白狼天狗もいた。
「わ、私も痛いよ……」
「店の中で喧嘩するからでしょう? 他の天狗の迷惑も考えなさいよ?」
 そう言って自分と白狼天狗の顔を覗く文、そしてはたてが店から出てきて、自分達に言う。
「そこで寝転がっている間にもう十分が過ぎたわ、戦うなら、急ぎなさいよ?」
「はぁ、もう十分か……」
「へへっ、やっと戦える! あの時の屈辱、晴らしてやるぜ!」
 白狼天狗はそう言って、勢いよく立ち上がり、地面の自分を指指す、あーあー、元気な妖怪だ、自分はそう思いながら、頭を擦り、ゆっくりと立ち上がる。
「それじゃあ、大まかなルールとして、『相手に『参った』と言わせた者の勝利』とする、良いわね二人共?」
「あぁ、いいぜ? 他にルールは?」
「他のルールはない、『相手に『参った』と言わせた者の勝利』のみ、がルールよ」
「OK、分かった」
「私も分かったぜ? それじゃあ、私が勝つ!」
「いや、今度も僕だ!」
 自分と白狼天狗はそう言って、お互いを睨み合う、そして自分は右手に集中して、白狼天狗の動きを知ろうとする。
「それでは……試合開始!」
 はたての発言を受けて、一気に白狼天狗が動き始める、だが、自分は白狼天狗の動きを目で追う事は出来なかった。
「遅い!」
 白狼天狗がそう言って、自分に弾幕を放つ、自分はその弾幕を何とか下に下げて避けるが、目の前に白狼天狗が現れ、足先で自分の顎を蹴り上げる。
 そして自分の体は大きく反ったような姿になる、その姿を見て、白狼天狗は胴体に何発も攻撃を仕掛け、全部命中させる、自分はあまりの威力に、後方に飛ばされ、木の幹に背中をぶつける。
「いっつー……」
 自分は手の甲で口を拭い、静かに立ち上がって、息を荒くする。
「な、中々に強いなぁ、白狼天狗よ? だけど……此処は僕が勝たなきゃ、意味がない!」
 自分はそう言って、右手で痛い所に触れて、痛みを『元に戻』し、何事もなかった事にする。
「……厄介な能力だな、その右手……」
「へへっ! いい能力だろ? この能力で色々な人を守れた、色々な妖怪も守れた、特別な右手だ、だから、そう簡単には手放せない右手だな?」
「……だから何だ? 私にとっては、ただの目障りな人間が持っている、ただの右手だ──能力が発動出来る、な?」
「……誉めているのか、貶しているのか、分からないなぁ、君の発言は?」
 自分はそう言って、息を漏らし、口の端を歪ませる、まさか今さっきの弾幕は『目眩まし』の弾幕だったか……弾幕を放ち、視界を遮って、弾幕の後ろに移動して、避けたと思ったら、本体の攻撃が……ってか? あーあ、中々に考えられているなぁ? 結構困るなぁ? 自分はそう思いながら、弾幕は避けずに、右手で消すしかないな、と判断する。
「……ふむ、それでは試合再開」
 はたてがそう言って、再度白狼天狗が動き出す、そして大きく足を上げて、大きく足を戻す、すると足と地面が擦れ、少しだけ煙幕っぽいのが出来る、それを何度も繰り返す事で、自分の目の前に完全な砂埃の舞が起きる。
 まさか、目眩ましの続きか……と思っていると、『砂埃の舞の中から弾幕が現れ』た、まさか、弾幕を!? 自分はそう思いながら横に避ける、すると、『ふふふ』と聞こえ、自分の首を腕で締め上げる。
「ぐあぁ!?」
 まさかの行動に自分は呻き声を上げる事しか出来なかった。
「ふふふ……これで人間共々終了だ!」
「ぐ、ぐぅ……」
「……はたて? これは記事になるチャンスでは?」
「お前は鬼か?」
「天狗です」
「う、うん……」
 自分の事を見ながら会話をするはたてと文、何だろう? この会話、凄く腹が立つ。
「ほぅ? 中々に気絶しないな? 人間の力より我ら妖怪の力が強い、というのに?」
「……だから何だよ? これ位の苦しみは、何度も経験している……」
 自分はそう言って、『動ける右手』を動かし、自分の首を絞めている白狼天狗の腕に触れ、能力を発動する。
「これで回避だ!」
 自分はそう言って、『首を絞められる』前迄『元に戻』し、振り返って、白狼天狗を見る。
「く、くそっ……」
 苛つきを見せる白狼天狗に対し、自分は走って、白狼天狗の顔面を右手で掴み、地面に押し倒し、発言する。
「もしも……もしもだ、僕の能力が『記憶』に迄、使用出来たら、どうする?」
「は、はぁ? どう言う事だよ? 意味が分からないぞ?」
「そんなの簡単だよ? 『僕が能力を発動する、すると君は『記憶を元に戻されて、僕と出会っていない』記憶迄元に戻される』って事だ、つまり、『今の記憶が消滅する』って事だな?」
「は、はぁっ!? ふ、巫山戯るな!? そんな事をするんじゃない!」
「いや? もう遅い?」
 自分はそう言って、右手の能力を使用する、暴れる白狼天狗を頭を押さえながら、制止させるのは、案外面倒だな、自分はそう思いながら、右手の能力を使用しながら、白狼天狗の頭を押さえつける──

「……ん? 此処は?」
 白狼天狗が目覚める、そして起き上がって、談笑している三人組、自分、文、はたての三人に言う。
「あの……すいません? 私、どうして寝ていたんですか?」
「さぁ? どうしてでしょうねぇ? 私達、此処で雑談していただけですし? ってか、今さっき、室内から室外に出たばっかなので、貴方が倒れていた事を知りません」
「あっ、そうなんですか、それは失礼しました」
 白狼天狗はそう言って、宙に浮いて、移動を開始する──そして白狼天狗が去ったのを確認して、文とはたてが自分の両手を上げて、発言する。
「勝利ー」
「かおー」
「い、いえーい?」
 自分は『どういう状況だ?』と思いながら、少し顔を赤らめて、『有難う……』と呟いた──

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