二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ノックの音
- 日時: 2016/11/18 19:10
- 名前: 胡桃バター (ID: ???)
二次創作の方では初めまして。
胡桃バターと申します。
今回は、ハチさんのボカロ曲「clock lock works」を
イメージ、リスペクトした小説を書こうと思い、作成致しました。
自己解釈、曲に見られない描写などで綴られますので
不快感を感じる方は、別の素晴らしい小説を
お読みになって下さい。
最後に1つ…私めは多忙ですので更新に時間が掛かる、
又は更新が停止し自然消滅する、等が見受けられるかと思います。
ですが、そこをどうにか広い心で受け止めて下されば幸いです。
さて、前置きが長くなりましたが興味を持って頂いた方は
そのまま、お進み下さい。
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- Re: ノックの音 ( No.1 )
- 日時: 2016/11/18 19:20
- 名前: 胡桃バター (ID: ???)
ノックの音が聞こえる。
軽く木の扉を叩いて、乾いたノック音をわたしの居る暗い部屋へと響かせた。
「こんばんは、おはようございます」
扉の向こうで誰かが言う。
「嗚呼、またか」とさえ思った。
いつもいつも、わたしに何を求めるのだろうと。わたしに恨みでもあるのだろうかと。
どうか、わたしをこの暗い部屋に、静かに沈ませてくれないだろうか。
窮屈で暗い、おもちゃ箱にしまわれた兵隊さんのお人形の様に。
暗くて狭い、路地裏に住み着いた野良猫の様に。
部屋の暗い隅に溜まった、真っ黒いチリクズの様に。
「……」
私は、「こんばんは、おはようございます」などふざけた挨拶を交わすわけもなく、ただ隅にじっと座っていた。
いつか声の主が。
その木製の扉を開いてくれるのでは無いか……期待を胸の中で静かに膨らませながら。
私はまた、体育座りで眠りについてしまった。
- Re: ノックの音 ( No.2 )
- 日時: 2016/11/18 19:43
- 名前: 胡桃バター (ID: ???)
わたしは、夢を見ていた。
いや、「夢」なのかすら、わたしには分からず仕舞いだ。
けれども、部屋に響く時計の音…時計の針に急かされる様に起きたわたしは、すっかりその夢らしからぬ夢を忘れてしまっていた。
………外はもうすっかり夕暮れだ。
オレンジの光が窓から入ってきてはわたしを眩しいくらいに照らす。
わたしはそんな太陽の光から目を背けるみたいに、「鬱陶しい」と追い払ってしまうみたいにカーテンを閉じた。
………これでスッキリ。
やぁ、いつものわたしの薄暗い部屋。
「今日はどんな気分だった?」
「明日からまた仕事に行かなくちゃ。」
「今日くらいは外出して、遊園地にでも行きたかったな。」
……なんて、また部屋の隅に座り直して自分で自分に問い掛ける。
「ギター……」
わたしは呟いた。
もう数年弾いてないギター。
わたしと同じ、部屋の隅に立てられたギター。
弦は錆び付いていて、もうギターらしい音は出ない。
「まるで、わたしの様だな」と鼻で笑ってやった。
わたしは不思議と、「また弾きたい」……なんてちっとも思わなかった。
冷たい人間になってしまった。
そう思ったわたしは、そんな自分の惨めさから自ら逃げる為に、再びまぶたを綴じた。
逃げるだけでは、棺の中で働いて、死ぬまで人は変わらないなんて当たり前の事なのに。
わたしはまだ、それに少しも気付けはしなかった。
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