二次創作小説(旧・映像)

【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72



Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.353 )
日時: 2017/09/20 18:54
名前: 愛

あとがき

風林火山プリキュア外伝、いかがだったでしょうか。
いやぁ、初めてこんな鬱展開書いた気がします。
元々は「雷×陰の百合良くね!?」的なノリだったんです。
なぜこうなった()

まぁ、本編ですでに影津ちゃんの運命は決まっていたようなものですからね。
バッドエンド不可避だったとは思います。
しかしここまで鬱展開になるなんて思わなかった。

あと、本編の方はやはり『プリキュア』という枠に当てはめられた世界なので、私にも手加減というものはありました。
例えば、出血描写をしないようにするとか、死ぬ・殺すなどの野蛮な言葉は使わないだとか、プリキュアの設定を忠実に再現するように気をつけていました。
しかし外伝になった瞬間弾けましたよね。
なんでかは分かりませんが、「これは外伝だからプリキュア関係ない! 自由に書いてやるぜ!」ってなりました。

でも今思うと、最近こうしてオリキュアとかハッピーエンドの作品ばかり書いていたので忘れていましたが、私の本領はシリアスなんですよね。一応。
元々文章の参考にしている小説が救いようのないバッドエンドですし。
だからって……これは無いよ……。
風林火山プリキュアをpixivにまとめる時はタグに「子供向け」のタグを使っているのですが、流石に今回は外したいと思います。いや、これを子供に読ませたらいけない……。
代わりに「ヤンデレ」と「百合」のタグを付けたいと思います。

あと弾けたと言えば、百合もかなり弾けました。
なんでですかね(^ω^)
私の中でのイメージは、「雷香ちゃんは影津ちゃんがいなくなるまで恋心に気付いていないけど、いなくなった途端気付くレズ」「影津ちゃんは生粋のレズ」って設定考えて遊んでました。
いや、まぁ……流石に今回の外伝はガチレズすぎますよね。反省はしません。

あと、この外伝で、私は風林火山プリキュアから手を引きたいと考えています。
完結作品にずっと構っているのもなんだかアレですし。
確かにこの作品は初のオリキュア小説。そして初の金賞受賞作ということで思い入れはあります。それこそ、我が子のように。
しかし、いつまでも過去に構ってはいられません。
朱莉ちゃん達のように、私も先に進みたいと思います。

では皆さん。またどこかで会いましょう。

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.354 )
日時: 2017/11/04 20:33
名前: 愛
参照: http://www.pixiv.net/series.php?id=828454

最近pixivに上げている方の風林火山プリキュアを優遇してるなぁと感じたのでこちらでも宣伝させて頂きます。
一応主な優遇内容としては

・風林火山プリキュア第一話の大幅改編
・全体的な誤字脱字などの改善
・pixiv限定の話あり(どこぞの馬鹿作者が『風林火山プリキュアから手引きます』とか言ったせいでこっちに上げづらかったため)

ちなみにpixiv限定の話とは、主にNLとGLの番外編的なものです。
現在上げているものだと、

・幽鬼軍がもし生きていたらというIF小説
・朱莉×蜜柑&千速×皐月のハロウィン百合小説(R−15)

です。読むかどうかは自己責任です(特に後者)
では!

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.355 )
日時: 2017/11/17 23:19
名前: 愛

Ten years after 1
<朱莉視点>
「はい、完璧」

 その言葉に、私はゆっくりと瞼を開いた。
 目の前にある鏡に映り込むのは、見知らぬ女の子だった。
 いや、この顔は見覚えがある。
 最近人気の若手女優だ。
 しかし残念なことに……私は本人ではない。

「ありがとうございます。相変わらずすごいメイク技術だなぁ……」

 そう呟きながら、私は自分の顔を触る。
 すると、私のメイクを施した女性、大川真美さんが微笑んだ。

「いえいえ。にしても、朱莉ちゃんは顔が整ってるし肌綺麗だから、メイクのし甲斐があるわ〜」
「いやぁ、照れますなぁ……」
「ううん、ホントに綺麗。これで演技力があれば、人気アクション女優間違いなしなのに」

 真美さんの言葉に、私が苦笑いを浮かべる。
 これから映画の撮影で、私は今顔を借りている女優のスタントマンをすることになるのだ。
 アクション俳優をしている父に憧れて、その道に進んだ。

 勉強は本当に大変だった。
 しかし、中学二年生の頃に、臨時教師として学校に来た小栗先生のおかげで、私は勉強が好きになったのだ。
 あれから何度か会ったりしていたが、いつからか、全く会わなくなった。
 それから入れ替わりになるように出会ったとある人に勉強を教えてもらい、難易度の高い高校に入学。
 高校卒業後は俳優などの専門学校に進み、無事、アクション俳優としての道を進む……ハズだった。

 しかし、単純馬鹿と揶揄されるだけあって、私の演技力は底辺を這うレベルだった。
 けど、運動は好きだったしアクションなんかは出来るので、スタントマンとして活躍している。
 まぁ、私くらいの年頃でここまでアクションができる女の子っていうのは中々いないので、割と色々な事務所から引っ張りだこにされたりしてる。

「演技力は良いんです〜。お父さんに教えてもらうから」
「緋呂樹さんは有名な俳優ですもんね〜。そのお父さんの直伝となると……実は黄金の卵だったりして?」
「ふっふっふ……鳩が鷹を産む様をしかと見るが良い!」
「それを言うなら、鳶が鷹を産む、ね」
「……」
「この様子だと、逆のパターンになりそうだけど」

 黒髪ボブのウィッグの位置を確認しながら言われた言葉に、私は頬を膨らませた。
 それから、ふと手持ち無沙汰になったので、私は手近に置いてあった脚本を手に取り読んでみた。

 今日やるのは、とある映画の撮影だ。
 内容としては、主人公の女の子とその幼馴染の女の子との友情物語。
 恋や勉強だとか、色々な困難などを二人で乗り越えながら、友情を深め合っていく話。

 設定では、主人公とその幼馴染は三歳からの関係なんだって。
 良いねぇ、そういうの。私もそんな風に仲の良い幼馴染が欲しいよ。

 そんな風に考えていると撮影の時間になったので、私達は外に出た。

「わぁ! 私そっくり!」

 外に出て来た私を見て、人気女優の鮎川有紗は目を丸くした。
 真美さんの技術は一流だ。
 おかげで、私の顔は傍から見ても彼女とほとんど同じに見えているハズだ。
 尤も、よく見れば目の色が違ったりするんだけどね。

「良いねぇ。じゃあ早速行ってみようか」

 監督の言葉に私は頷き、本日の撮影場所に入る。
 場所は廃墟となった工場。そこを根城としている不良に掴まった友達を助けるために、大多数の不良を相手に大乱闘を巻き起こすのだ。

 まぁ、大乱闘と言っても、どんな風に戦うのかとかは大体決まってるんだけどね。
 一応リハーサルも何度も繰り返して練習したし、抜かりはない。
 私は近くに落ちていた鉄パイプを拾い、不良役の人達に向ける。

「よーい……アクションッ!」

 その言葉に私は深呼吸をして、叫ぶ。

「返してもらえないなら……私にも考えがあるからッ!」

 そう叫び、私は鉄パイプを構えた。
 すると、不良役の人達が一斉に襲い掛かって来る。
 私はリハーサル通りに動き、振るわれる武器や拳を避けながら、一人ずつを倒す、フリをする。

 これが中々難しいところ。
 全力でやり過ぎるわけにもいかないし、かといって全力でやらないと臨場感が無い。
 だから、精一杯やりつつもギリギリで力をセーブする。
 大変だけど……やりがいがある。

「ッ……!?」

 しかしその時、鉄パイプが超全力で振るわれた。
 私は咄嗟に身を翻し、自分の持っていた鉄パイプで受け止める。
 ガキィンッ! と金属音が響き渡り、手が痺れる。
 こんな動き予定にないッ!

「……キュアフレイム……」

 その時、声が降って来た。
 顔を上げるとそこには……忌々しそうな目で私を見つめる男の顔があった。

「……ヤット……見ツケタ……」
「……!?」

 明らかに異常な声に、私はついその鉄パイプを振り払い、後ずさった。
 監督に怒られるとか、そんなこと関係ない。
 ていうか……キュアフレイム……? 何の話だ……?

 不思議に思いつつ顔を上げた時、私はさらに気味の悪いものを見てしまった。
 先ほどまでごく普通に撮影をしていたハズの俳優さんや女優さん、スタッフさん、監督さん。
 皆が皆、常軌を逸した目で、私を見ていたのだ。

「何、これ……何この状況……」

 腰が抜けそうになる。
 しかし、ここでへたり込んだりしたら、すぐに捕まるのが目に見えている。
 だから私は、震える膝をなんとか立て直し、踵を返して工場の奥に駆け出した。

 とにかく、どこか隠れる場所!
 私は咄嗟に、目に見れる木箱やら機材やらを飛び越え、入り組んだ場所に入っていく。
 闇雲に逃げていたからか、いずれは誰も追いかけて来なくなった。
 しばらくしたら来るかもしれないが、多少の時間差はあるはず。
 ようやく強張っていた体から力が抜け、私はその場にへたり込んだ。

 何だったんだ……あれは……。
 突然の出来事の連続すぎて、頭の処理が追い付かない。
 私はウィッグやらカラコンやらを外し、さらに衣装のボタンなども少し緩め、緊張を解していく。
 とにかく、助けを呼ばないと……。
 そう思って私はポケットに手を突っ込み、スマホを取り出した。

 誰を呼べば良い……?
 警察? こんな話、信じてくれるハズがない。
 じゃあ、誰……?

 迷ったのは一瞬だった。
 私はすぐに震える指で、電話帳に登録されたとある名前を押し、スマホを耳に押し当てた。
 やけに長く響くコール音。
 自分の鼓動が耳につく中、私は、震える声で呟いた。

「助けてよ……おぐる……」

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.356 )
日時: 2017/11/18 11:28
名前: 愛

Ten years after 2
<蜜柑視点>

「起立、気を付け。ありがとうございました」

 学級委員長の号令に合わせて、生徒達が「ありがとうございました〜」と挨拶をする。
 私はそれに一緒に挨拶をして、教材などを纏める。
 今から昼休憩。生徒達は弁当を食べる時間。
 私達教員は、担任の教師は一緒に食べたりするが、それ以外は基本職員室での食事になる。
 さっさと教室を出ようとした時に、「遠山先生」と名前を呼ばれた。

「さっきの授業で分からなかった箇所があるんですけど」

 そう言ってノートを見せてくるのは、このクラスの水沢真由美という生徒だった。
 彼女の言葉に、私は「なぁに?」と返事をしつつ、彼女のノートを覗き込んだ。

「ここ……この時の主人公の心情がよく分からなくて」
「あぁ、ここはね……」

 私が出来るだけ分かりやすく教えてあげると、真由美ちゃんはパッと笑顔になった。

「ありがとうございます!」
「いえいえ。また分からないところがあったら遠慮なく聞いてね?」
「ハイ!」

 真由美ちゃんは笑顔で頷くと、友達の方に歩いて行った。
 その後ろ姿を見送り教室を出て、職員室に向かって歩き出す。
 その時、隣のクラスから鬼川先生が出てくるのが分かった。

「鬼川先生っ」

 私が名前を呼ぶと、鬼川先生はこちらに振り向いた。
 そして、端正に整ったその顔を綻ばせた。
 鬼川おぐる先生。私と同時期にこの学校に来た先生で、年齢は私より四歳上。
 しかし、綺麗な顔立ちと優しい性格、分かりやすい教え方から、生徒―――主に女生徒から、人気があるのだ。

「遠山先生。今から職員室に戻る所ですか?」
「ハイ。鬼川先生も?」
「えぇ。一緒に行きましょうか」

 鬼川先生の言葉に私は甘えることにした。
 隣り合って並んだ時、どこからか黄色の悲鳴が上がった。
 あ、そっか……。

「鬼川先生、女の子達に人気ありますから……嫉妬とかされないかな」

 私の呟きに、鬼川先生はしばらくキョトンとした。
 やがて、「プハッ」と息を吐くような感じで笑った。

「あははッ! そんなわけないじゃないですか」
「もう! 先生は自分の人気を自覚していないんですよ!」
「いやいや……それはそっくりそのまま返しますよ」
「へ?」

 つい聞き返すと、鬼川先生はクスクスと笑った。

「遠山先生、僕と同じくらいかそれ以上に人気じゃないですか。女の子達的には、僕と遠山先生に付き合ってほしいって願望を持っている子が多いみたいですよ?」
「な、何ですかそれ!?」

 私と鬼川先生が付き合う!?
 そんなこと、絶対にありえない!
 おまけに、私が鬼川先生以上に人気があるなんて信じられないし……。
 動揺した私の顔を見て、鬼川先生はクスクスと笑う。
 まさか……。

「からかってますか?」
「いやぁ、言ったことは全部事実なんだけど……遠山先生の反応が面白くて」
「もう、趣味悪いですよ?」

 私の言葉に、鬼川先生は笑いを堪えながら「ごめんごめん」と笑った。
 全く……。

「こんな人にも彼女が出来るんですから、世も末ですね」

 つい零すと、鬼川先生は「酷いなぁ」と言う。
 そう、この鬼川先生には彼女がいるのだ。
 相手は、映画やドラマでスタントマンをしてる人だって。
 スタントマンなのであまり有名ではないが、それでも、そういう撮影とかの方では引っ張りだこにされているらしい。
 今日もここから車で十分くらいの場所にある廃工場で撮影を行っているのだとか。
 年齢は私と同い年らしいから……二十四歳か。

 出会ったのは彼女が中学二年生の時だと話していたので、今から十年前くらい。
 今は同棲しているらしく、結婚は秒読みだと職員室での噂されている。
 そして……それを生徒は知らない。

「ははっ……でも、そう言う遠山先生にも、彼氏、いるんですよね?」
「……」

 つい視線を逸らすと、鬼川先生は「やっぱり」と言ってクスクス笑う。
 一応彼氏はいる。中学生の時に生徒会長をしていた岩室君だ。
 あれから同じ高校に進み、そこでも一緒に学級委員長だとかをする機会があり、意気投合して付き合うことになった。
 彼は、今は若手警察官として働いている。

「……でも、私と違って、鬼川先生は生徒から人気がありますし……早めにネタ晴らしした方が良いんじゃないですか?」
「それは、お互い様だけどね。……遠山先生だって、男子から絶大な人気を誇っているじゃないですか」
「ありえないです!」

 そんな話をしつつ、職員室に入る。
 持っていた教材をテーブルに置いていた時、隣の机にある鬼川先生の携帯電話がバイブレーションを鳴らしていた。

「鬼川先生。電話来てますよ」
「え、あ……ホントだ」
「おや、彼女さんかい?」

 携帯電話を手に取った鬼川先生を見て、近くの机に座って作業をしていた古宮徹先生が茶化すように言った。
 古宮先生は今年で五十歳になる先生で、ふくよかな体型だが、温和な顔立ちと人を楽しませる話し方のおかげで、生徒からはまた、人気がある。
 鬼川先生がこの学校のアイドルなら、古宮先生はお父さん的な立場だ。

「えぇ、まぁ……」
「……あれ? 確か、今は撮影中なんじゃ……」
「あぁ……急ぎの用事かもしれないし、少し席を外します」
「はいよ」
「了解しました」

 私達の返事を聞いた鬼川先生は、安堵の表情を浮かべた。
 そして職員室の隅で電話を始める。

「しっかし、鬼川君と言い遠山さんと言い……若いってのは良いねぇ」
「古宮先生ってば……古宮先生にだって、奥さんがいるじゃないですか」
「ウチの鬼嫁はダメだ。厳しい。今二十代に戻れるなら遠山先生と結婚したいねぇ」
「もう、古宮先生ってば」

 私が笑うと、古宮先生も「はっはっは」と快活に笑う。
 こんなことを言ってはいるが、古宮先生は奥さんのことが大好きだ。
 ちょうど来週が結婚記念日らしく、何を買おうか他の先生に聞いたりしているのを見た。
 私は聞かれなかったが、古宮先生曰く、私は若いし性格は奥さんと真逆だから参考にならないんだって。

「そういえば、結婚記念日って何を買うのか決まっ……」

 そう言いつつ古宮先生を見た時だった。
 突然、ボールペンを突き出されたのは。

「なッ!?」

 咄嗟に身を捩ってその一撃を躱す。
 すぐに床を転がって顔を上げると、そこには、あきらかに異常な目で私を見ている古宮先生の姿があった。

「ふ、古宮先生……?」
「……キュアモンテ……ヤット、見ツケタ……」
「は……?」

 キュアモンテ……やっと、見つけた……?
 古宮先生の言葉に首を傾げていた時だった。

「な……それは本当か!?」

 鬼川先生の言葉に、私は首を動かして鬼川先生の方を見る。
 彼は焦燥した顔で携帯を耳に押し当て、「すぐに行くから!」と言って電話を切った。
 それから顔を上げた時、サッと顔を青ざめさせた。
 なんとなく状況を察しつつも、私は鬼川先生と同じように顔を上げた。

「何、これ……」

 すると、職員室にいた先生は皆、常軌を逸した顔でフラフラと私の方に視線を向けた。
 先ほどの私の呟きが聴こえたのか、鬼川先生は私を見た。

「遠山先生……!」
「鬼川先生、これは一体……」

 私が聞くより先に、鬼川先生は私の手を取って走り出す。
 引きずられるように走りつつ後ろを振り向くと、そこには、こちらを追いかけてくる先生達の姿があった。

「お、鬼川せんせッ……これは、一体……!」
「分からない! とにかく、俺の車があるから!」

 そう言って玄関から飛び出し、職員駐車場に出る。
 鬼川先生は近くにあった黒い車の鍵を開け、私を押し込み、運転席に乗り込んだ。

「ハァッ……ハァッ……」
「ハァ……鬼川、さん……ハァ……この状況は、一体……?」
「分からない……でも、朱莉の所でも、同じような状況になっているらしい……ゲホッ……」

 朱莉……恐らく、彼女さんの名前だろう。
 朱莉の所、とは、今撮影している場所のことか。
 鬼川先生はエンジンをかけながら、荒くなった呼吸を強引に整える。

「とにかく、朱莉の所に向かおう。人数が多い方が、色々と安全だ」
「そう、ですね……」

 鬼川先生の言葉に肯定した時だった。
 目の前に、大量の生徒が現れたのは。

「なッ!?」
「くッ……のんびりしすぎたか」

 忌々しそうに呟く鬼川先生。
 すでに車は大量の生徒達で埋め尽くされ、車は走り出せない。
 このままでは……!

「……遠山先生は、車の免許はありますか?」
「え、はい……」
「……僕が時間稼ぎをするので、その間に、朱莉の元に……」
「ちょ……!」

 私が止めるより先に、鬼川先生は車から飛び出した。
 そして生徒達を掻き分け、どんどん遠くに走っていく。
 すぐに生徒達は鬼川先生を追いかけて、車から離れていく。

「鬼川先生……!」

 つい名前を呼んだ。
 しかし、今私がすべきことはそんなことではないということを思い出す。
 私はすぐにアクセルを踏み、学校を飛び出した。
 向かうべき場所は、この近くの廃工場。
 まずはそこで、朱莉さんと合流しなくては……。

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.357 )
日時: 2017/11/19 21:19
名前: 愛

Ten years after 3
<千速視点>

「とうッ」

 私は枝から枝に飛び移り、手に持った鉈で自分が乗っている枝を切り落とす。
 落下する枝を蹴り飛ばし別の枝に飛び移ると、頭上にあった枝を切り落とした。
 乗っている枝に手を掛け、私は宙吊りになる。
 地面の方向を確認すると、私は手に持っていた枝を切り、しっかりと地面に着地した。

「千速ちゃんは身軽ねぇ」

 そう言って微笑む老婆、美智子さんの言葉に、私は「いえいえ」と応答する。
 最近美智子さんの家の近くの枝が何本か伸びっぱなしになり、日陰になっているせいで洗濯物が乾かないと嘆いていたのだ。
 なので、村でも一番の身軽さを誇る私が鉈を片手に美智子さんの家に押しかけ、こうして枝を切ったのだ。
 地面に落ちている枝を拾っていると、それを見ていたフウマルに苦笑された。

「身軽さを披露するのも良いけど、せめて怪我は無いようにな? 大体、この鉈はどこで手に入れた」
「それは……」
「あぁ、それは俺が貸したんだよ」

 そう言って家の中から顔を覗かせたのは、美智子さんのお孫さんの健一だった。
 私より二歳年上の彼は、フウマルに「悪い悪い」と謝りつつ鉈を受け取った。

 ちなみに余談だが、健一よりフウマルは断然年上だ。
 しかし、この村の妖精は一定年齢に達すると、人間態の時の見た目年齢を好きな年齢で止めることが出来るようになるのだ。
 というわけで、フウマルは私や健一と同年代くらいの見た目年齢にしている。

「……千速が怪我をしたらどうする」
「いやぁ、千速ちゃん昔からこんくらいヤンチャだし、変わらなくない? あと、婆ちゃんがそこの枝に迷惑していたのは事実だし」
「お前が枝を切れば良い」
「俺はあんなに身軽じゃないから」

 ヘラヘラと笑いながら言う健一の言葉に、フウマルの顔がさらに険しく歪んでいくのが分かった。
 彼の様子に、私はため息をついた。
 フウマルは昔から過保護だけれど、大人になってからもそれは変わらなかった。
 普通妖精は育てている子供が二十歳になったら離れるものらしいけど、フウマル曰く、私は危なっかしいので目が離せないらしい。

『せめてまともな男と結婚するまでは……』

 いつだったか、そんな風に言い訳のようなことを言っていたのを思い出す。
 しかし、私が村の男の人と話すのを見る度に顔をしかめ、男友達自体がかなり少ない状況にある。
 そもそも、この村には若い人間が少ない。
 では少子化問題などが起こるのではないか、という話になるのだが、それは無い。

 なぜなら、大体の村人は自分を育てた妖精と結婚したりするからだ。
 お世話の妖精はなぜか自分の異性に当たる可能性が高く、大抵がそのままその妖精と結婚する。
 過保護なフウマルを見ていると……私も、いずれはそうなるのかもしれない。
 でも、別に嫌では無かった。
 フウマルのことは好きだし、もし変な男を好きになって騙されるくらいなら、フウマルと結婚しても良いとは思う。

「全く……フウマル。健一とそんな言い合いする時間があるなら、枝拾うの手伝ってよ」

 健一とのあほらしい喧嘩が長いので、ついそう言った。
 すると、フウマルは「え、あ、あぁ……」と返事をして、私の元に駆け寄って来る。
 腰を曲げ、手近にあった枝を拾おうとする。
 その時、背後に気配を感じた。

「キュアウィング……ヤット、見ツケタ……」
「千速ッ!」

 すぐにフウマルが私の腕を引く。
 直後、私がいた所に、鉈が深々と刺さった。
 フウマルに抱かれながら、私は彼に体重を預ける。

「なんで……健一……」

 私の問いに、健一は答えない。
 明らかに常軌を逸した目で私を見据えている。
 助けを求めようと美智子さんに視線を向ける。
 しかし、そこにいた美智子さんも同じような目で私を見ており、今にも立ちあがろうとしている。

「フ、フウマル……!」
「クッ……とにかく逃げるぞ!」

 フウマルはそう叫ぶと共に近くに落ちていた鎌を拾い、私の腕を引いて走り出す。
 私も足が速いため、フウマルの手を振り払い、彼について行くように共に走った。
 すると、目の前に複数の村人が集まっているのが見え、私達は足を止める。
 踵を返し来た道を戻ろうとするが、すでにそこも何人かの村人によって塞がれていた。

「ぐッ……千速、そこの塀を上って、敷地に入れ!」
「でも、フウマルが……!」
「俺はなんとかする! 良いから早く!」

 フウマルの言葉に、私は唇を噛みしめる。
 しかし、いよいよ辺りを囲まれ、このままでは二人ともやられることが目に見えていた。

「フウマル……ごめんなさい!」

 私はそう叫び、塀に手を掛けた。
 なんとか塀を乗り越えると同時に、取っ組み合いのような音が聴こえた。
 フウマル、ごめん……!
 心の中でもう一度謝り、私は顔を上げた。

 そこは、村長の家だった。
 私が十四歳の頃だったか。理由はよく覚えていないが、この家が一度跡形もなく破壊したことがあった。
 多分気象災害か何かだろう。村の復興なども色々あり、それが落ち着いた頃にこうして村長邸を建て直したのだ。

 そうだ、村長様なら何か分かるかもしれない。
 四年前に、村長は代替わりした。
 村のことを一番に考える優しい人だし、知性に富んでいて、冷静で落ち着いている。
 余談だけど、その娘さんは私と同い年らしい。
 いや、そんなことは関係ない。とにかく助けを呼ばなければ。
 そう思い、私は村長邸に向かって駆けだした。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


E-Mail


URL


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大7000文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。