二次創作小説(旧・映像)

【完結】風林火山プリキュア!
日時: 2017/08/01 13:12
名前: 愛
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=31539

初めまして!愛と言います!
今日からは、オリジナルのプリキュア、通称オリキュアの小説を書きたいと思います!
初の試みなのでグダグダとかになると思いますが、暖かい目で見てやって下さいw
よろしくお願いします!

追記:上記URLにて風林火山プリキュアの劇場版という名目の中編を載せています。良かったらそちらも見てやってください。

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Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.366 )
日時: 2017/11/25 22:31
名前: 愛

Ten years after 11
<朱莉視点>

「「「「……誰?」」」」

 互いの存在を把握した瞬間の第一声は、見事にハモった。
 それに、私達は何度か瞬きをしてから、首を傾げた。

「えっ……確か空から落ちてきたよね?」
「空っていうか……まぁ、うん……」

 試しに質問してみると、空色の髪の少女が肯定した。
 それに、私と蜜柑さんは二人が落ちて来た辺りの空間を見つめる。
 先ほどは空間が歪んだりしていたが、今では綺麗に閉じている。

「あの……二人はなぜここに……?」

 蜜柑さんの言葉に、二人はビクッと体を震わせた。
 少しして、深緑色の髪をした女性が腕に抱えた筒状の何かをソッと転がした。

「これは……巻物?」
「ハイ。本当はこれの他にもう一本あったのですが、それが紛失してしまい……そのせいで、今、私達の村は酷いことに……」

 そう言って俯く。
 彼女の言葉に、私と蜜柑さんは顔を見合わせた。

「えっと……悪いんだけど、今、私達も割と大変なことになってて……」
「大変なこと……?」
「うん。急に周りの人達が変な風になって……」
「変な風って……具体的には?」
「えっ……急に襲い掛かってきたり、殺されかけたり……」

 私の言葉に、蜜柑さんは何度も頷く。
 ちゃんと話聞かなかったけれど、恐らく蜜柑さんも同じような目に遭っていたのだろう。
 そんな私達を見て、今度は二人が顔を見合わせる番だった。

「ねぇ、皐月さん……これって……」
「えぇ……私達の村と同じ……」
「同じって……もしかして、お二人のいた所も?」

 蜜柑さんの問いに、二人は同時に頷いた。
 異世界で同じことが同時に……!?
 そんなことが起こりうるんだろうか?

「……キュアモンテ……」

 その時、蜜柑さんがそう言ってポツリと呟いた。
 キュア……モンテ……?

「え、何それ……?」
「ふぇ……? あ、えっと……私を見た時に、あの人達がそう言ってたんです……」
「キュア……そういえば、私はキュアウィングって言われたわ」
「……私は、キュアフォレスト、と……」

 蜜柑さんに続くように、空色の髪の女性と深緑色の髪の女性もそう言う。
 そして、全員が私に視線を向けて来た。

「……私も、キュアフレイム……って、言われた……」
「……私達の共通点は、キュア何とか、みたいな名前で呼ばれていることですか」

 その言葉に、私は頭をボリボリと掻く。
 すると、蜜柑さんが顎に手を当てて、俯いた。

「蜜柑さん?」
「……モンテは、イタリア語で山……フレイムは、英語で炎……ウィングは、英語で翼……フォレストは、英語で森……」
「……山……」

 蜜柑さんの言葉に、深緑色の髪の女性が何かに気付いた様子で地面に置いた巻物を見つめる。
 淡く、青、緑、赤、黄、橙に輝く巻物を、ジッと見つめる。

「えっと……?」
「……この書は、風の書、林の書、火の書、山の書、雷の書があります……」
「山って……モンテ!」

 私がそう言いつつ蜜柑さんを見ると、蜜柑さんは緊張した様子の表情で頷いた。
 すると皐月さんも頷き、別の巻物を見る。

「……炎は、云わば火の上位互換とも言えます」
「つまり、フレイムは火……!?」
「はい……そして、森も林の上位互換……」
「……翼は、風、とか……?」

 空色の髪の女性の言葉に、深緑色の髪の女性は「ありえますね」と言って顎に手を当てる。
 つまり、私達のこの事件とこの巻物に、何か関係があるということか?
 私の表情から何を考えているのか分かったのか、深緑色の髪の女性は重々しく頷いた。

「……この事件と、この巻物に……何の関係が……」

 地面に置いた巻物を見ながら、蜜柑さんは呟く。
 しかし、今はまだ情報が足りない。
 このままウダウダ考えていても、答えが見えるわけではない。

「とにかく、さ!」

 私は小さい声だが、出来るだけ声を張りながら立ち上がる。
 そんな私に、他の三人が視線を向けて来た。
 少し戸惑いつつも、私は口を開く。

「こうやってウジウジしていてもしょうがないよ! 二人がどういう理由でこの世界に来たのかは分からないけど、こうして一緒にいるんだしさ。もし二人の世界で起こっていることがこっちの世界で起こってることと関係しているなら、皆で協力して解決しようよ!」

 まくし立てるようにそう言って見ると、三人共しばらくポカンとした顔をした。
 やがて、蜜柑さんが「クスッ」と笑った。

「ん……そうですね」
「まぁ正論かな。……なんか分かんないけど、この感じ、どこか懐かしく感じる」

 空色の髪の女性の言葉に、深緑色の髪の女性は優しく微笑んだ。

「そうですね。もしかしたら、昔どこかで会ってたりして」
「いやぁ、それは無いでしょ。でも、まぁ、細かいことはどうでもいいじゃん」

 私の言葉に、空色の髪の女性は「流石にそれはザックリし過ぎじゃない?」と言いつつ笑う。
 それに「そうかなぁ」と言いながら、私も笑った。

「それじゃあとりあえず……そろそろ、二人の名前が聞きたいな?」

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.367 )
日時: 2017/11/27 20:57
名前: 愛

Ten years after 12
−−−

 まさか、風林火山プリキュアの奴等が集結するとは思わなかった。
 記憶は消したし、さっさと始末できると思っていたのに……。
 私は軽く舌打ちをし、瞼を閉じる。
 そして、私と同じ存在であるアウラシュリフトロレに命令する。
 プリキュアを……私の元に……。

−−−
<朱莉視点>

 異世界から来た二人は、空色の髪の女性は千速さん、深緑色の髪の女性は皐月さんって言うらしい。
 意外とこの世界にもありそうな名前だ。

「それじゃあ、これからどうしようか」
「そうね……ひとまず、何か情報が欲しいけれど」

 千速さんがそう言った時、突然アウラシュリフトロレが強く輝きだした。
 驚きの声を出す間もなく、瞬く間に目の前は強い光に包まれた。
 しばらくして目を開けると、そこには、不思議な空間が広がっていた。

「ここは……!?」
「全く……何なの、貴方達」

 そんな声が降って来て、私達は顔を上げる。
 見ると、そこには、黒い靄のようなものを身に纏わせながら空中で停止している黒髪の少女が一人いた。

「だ、誰……?」
「プリキュアとしての記憶、お互いに関する記憶、そしてそれらが無くても違和感のないように別の記憶による偽造。全部完璧だったハズなのに……なんで?」

 少女の言っている意味が分からない。
 不思議に思っていると、黒髪の少女は前髪を掻き上げ、ため息をついた。

「そっか……そうだよね。分からないよね。うん」
「ちょ、何の話……」
「今……思い出させてあげるから」

 そう言って少女は中指と親指を付け合わせ……パチンッ! と、音を立てた。
 ドクンッ! と私の中で何かが脈打ち、私はその場に膝をついた。
 次の瞬間、頭の中に様々な記憶が浮かぶ。
 グルグルと、全ての事象が頭の中で渦巻き、私は頭を抱えた。

「カハッ……ぁがッ……」

 頭が痛い。私は地面に額を擦り付け、苦痛を逃がすように体重を乗せる。
 しかしそれでも頭痛は収まらず、そして……全てを思い出した。
 記憶を取り戻した状態で顔を上げると、目の前に広がる光景が、全く別物に見えた。

「蜜柑! 千速! 皐月! 大丈夫!?」
「ッ……私は、大丈夫……!」
「同じく……まだ頭は痛いけど……」
「右に同じ、です……まさか、こんなことをされていたとは……」

 フラフラと立ち上がる三人に、私は安堵の息を漏らす。
 そして、私達は宙に浮いている少女を睨んだ。
 そんな私達を見て、少女は嘲笑を浮かべた。

「フフッ。面白かったでしょ? 長い人生なんだ。その中での、ちょっとした暇つぶしに……」
「ふざけるなッ! 陰のプリキュア!」
「……話は聞いてくれても良いのに」

 私の言葉に、そう言ってクスクスと笑う陰の書。
 全て思い出した。
 プリキュアのことも、蜜柑や千速達のことも、全部。
 だから分かる。目の前の少女が……オグルに見せられた幻の中で見た、陰のプリキュアであることを。
 あの時見たものではもう少し大人しそうな印象を受けていたが、今はむしろ、人を蹴落とすことにも躊躇しない残虐な少女であると感じた。

「面白かったでしょ? 貴方達の世界では、ショーって言うんだっけ?」
「ふざけないで! なんで私達の記憶を消したの!?」
「も〜話は最後まで聞いてよ〜」

 そう言いながら、ゆっくりと少女は降下していく。
 何をされるか分からないため、私達は目を離さない。

「……貴方達は友達がいれば、強さは無限大……なんだっけ? だから集まらないように、親しかった人達からもお互いの接点の記憶とかは消したのに……全く、なんでこうなったのか」

 そう言いながら少女は地面に足を付け、優しく微笑む。
 その笑みには威圧感が伴っており、その笑みだけで全身の肌が粟立つのを感じた。

「正攻法でもダメ。お互い記憶を消してもダメ。だったらもう……私が直接手を下すしかないかなって」

 彼女がそう言った瞬間、黒い靄が少女の体を包み込む。
 徐々にその姿が巨大化し、化け物と化していく。

「あ、朱莉ちゃん……これ……!」
「ん……かなりマズい状況……」

 咄嗟に蜜柑を背中に隠しつつ、私はそう呟く。
 その間に、少女の体が徐々に膨張していく。

「見ていてね……雷香ちゃん……この人達を倒して……貴方の仇を取るから……」

 そんな呟きと共に、闇が晴れる。
 そこには、巨大な獣のような生物が佇んでいた。
 獣と化した少女を見ながら、皐月は舌打ちをする。

「なるほど……確かに私達は怨気を晴らし、オグル達を消滅させました。しかし……彼女の怨念は、あんなものでは晴らせない根強く、陰のアウラシュリフトロレに残っていたようですね」
「……そしてアウラシュリフトロレの中でその怨気を膨らませ、復活した?」

 千速の問いに、皐月は頷く。

「それから、私達の記憶を消し、何かの力で他の人達を狂わせて、襲わせた?」
「えぇ……陰の書には人の感情を操作する能力があるみたいなので、恐らくその力ですね」
「フウマル達に影響が無かったのは、アウラシュリフトロレの力を使ったことがある私達と深く関わったから、かしら……多分、あの人の感情を操る力は、アウラシュリフトロレの力の残骸が残っている人には通用しないとか……」
「そんな感じでしょうね」
「……サッパリ分からん」

 私の言葉に、その他三人がガクッとずっこけた。
 それに首を傾げつつ、私はアウラシュリフトロレを構える。

「そんなことより、早くなんとかしよう! コイツを倒せば、変な風になっちゃった人達も助かるハズでしょ!?」
「相変わらず単純なことで……」
「朱莉ちゃんらしいね」
「あの頃から全然変わっていませんね、朱莉は」

 そんな風に言いつつも、三人もアウラシュリフトロレを構えた。
 私達は巨大な獣を睨み上げ、十年ぶりに叫んだ。

「「「「プリキュア! フォースオーラチェンジ!」」」」

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.368 )
日時: 2017/11/27 23:21
名前: 愛

Ten years after 13

「侵掠すること、火の如し! キュアフレイム!」
「疾きこと、風の如し! キュアウィング!」
「動かざること、山の如し! キュアモンテ」
「徐かなること、林の如し! キュアフォレスト!」
「風!」
「林!」
「火!」
「山!」
「「「「プリキュア!」」」」

 久々に変身を終えた瞬間、私以外の全員が顔を赤くした。

「流石に二十四歳にもなってこういうのって……」
「コスプレとか無理……」
「むしろあの頃の記憶は黒歴史ですね……消してもらっていた方が楽でした」
「え、なんで?」

 私の問いに、全員が信じられないと言いたげな表情で私を見た。
 しかし、すぐにモンテがハッとした表情で俯き、額に手を当てて俯いた。

「あぁ、そっか……朱莉ちゃんはそういう子だった……」
「え、何?」
「よく考えたら、今日の撮影の衣装もこの年齢でセーラー服だったもんね」
「それは、今日やる役が女子高生の役だったから……」

 しかし、確かにこの年齢でこの恰好に抵抗が無いのはある意味マズい状況なのかもしれない。
 そんな風に話していた時、獣が動くのが分かった。
 私達を攻撃しようと、腕が振るわれる。
 咄嗟に私達は後ろに跳び、その攻撃をかわす。

「ッ……闇雲に動いたらダメ! 計画を立てて動かないと!」
「でもどうやっ……」
「危ない!」

 ウィングの言葉に聞き返そうとした時、モンテが私の言葉を遮った。
 何があったのか考えるより前に、体を突き飛ばされる。
 それと同時に、私の目の前を何かが通り過ぎた。

「ッ……!? モンテッ!」

 私が叫ぶと同時に、黒い靄のようなものを纏ったモンテが地面に倒れる。
 咄嗟に駆け寄り、モンテの体を起こす。

「モンテ! モンテッ!」
「朱莉……ちゃん……逃げ……」

 そこまで言った時、モンテが突然蹴りを放ってきた。
 咄嗟に私は避け、モンテの顔を見る。
 すると、そこには紫色に輝く目で真っ直ぐ私を見つめるモンテがいた。

「モンテ……!」
「朱莉ちゃ……逃げ……!」
「幼馴染を放っておけるわけないでしょうがぁぁぁぁッ!」

 叫びながら、私はモンテの肩を掴み、頭突きを喰らわせた。
 鈍い痛みが走り、モンテの顔が仰け反る。
 私はすぐに彼女の体を抱きしめ、叫んだ。

「侵掠の火よ! 我に集い、力と成れ!」

 次の瞬間、私達の体を炎が包み込む。
 モンテの体を纏う黒い靄もそれで一緒に燃やされ、消えていく。
 やがて炎が止むと、モンテは脱力し、私に体を預けてくる。
 私はそれを抱き止め、獣を睨んだ。

「私に通用したからって、そんな何度も同じ手が通じると思った?」
「おー。やっぱり経験者は違うね」
「人は成長するものですね」
「そこうっさい!」

 暢気に感想を漏らすウィングとフォレストについツッコんだ時、腕の中から「んぅ……」と声がした。
 見ると、モンテがゆっくりと目を覚ますところだった。

「モンテ! おはよう!」
「ふぇ……? 朱莉、ちゃん……あっ……」

 現状を知った瞬間、彼女は顔を赤らめて私から距離を取る。
 そんな私達を見て、獣は怒りを露わにし、雄叫びをあげた。
 切り札の一つだったのかもしれない。それをアッサリ破られて、怒っているのか。
 私はそれに不敵に笑って見せ、右手を上空に向かって掲げた。

「私達だって成長してる! 一度勝てた相手に負けるほど、弱くないよ!」
「ガァァァァァッ!」

 雄叫びをあげながら、獣が突進してくる。
 私はモンテを咄嗟に抱きしめ、地面を転がってそれを避ける。
 しかし、すぐに獣は方向を変え、突進してくる。

「いつまでもやられてばかりでいられますかっての!」

 私はすぐにモンテを離し、獣の突進を受け止める。
 ザザッと音を立てて少し下がるが、私はすぐにその動きを停止させ、獣を睨む。

「ッ……らぁぁぁぁあああああッ!」

 叫びながら私は体を捻り、獣の体を投げ飛ばす。
 地響きをあげながら倒れる獣に、私はフンッと息をつく。

「満足っ」
「流石にこれで気絶は……無いよね」
「うん……どうする?」
「一応雷の書からオールターンオフイリュージョンは放てそうですし……行きますか?」

 フォレストの言葉に、私達は頷く。
 そして、地面に倒れ伏した獣を全員で睨んだ。
 全員で円を描くように並び、中央に向かって手を掲げ、叫んだ。

「「「「今、大いなる伝説よ! 我等に力を貸し給え!」」」」

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.369 )
日時: 2017/11/29 22:28
名前: 愛

Ten years after 14

「「「「今、大いなる伝説よ! 我等に力を貸し給え!」」」」

 そう叫んだ瞬間、バチィッ!という音とともに、橙のアウラシュリフトロレが弾けた。
 黄金の輝きを放つそれから光が飛んできて、三人の手首と私の手首に絡まり、懐かしのサンダーブレスと化す。
 それを見ながら、私たちは次の言葉を叫んでいく。

「侵掠の業火よ!」
「疾き烈風よ!」
「不動の豪山よ!」
「徐かなる森林よ!」
「「「「今、四つの力よ! 我等に集い、力と成れ!」」」」

 すると、アウラシュリフトロレが開いて中から巨大な手裏剣が出てきて、私達はそれに乗って飛んでいく。
 やがて、獣の頭上に行くと、私達は叫んだ。

「「「「プリキュア! オールターンオフイリュージョン!」」」」

 そう叫んでから手裏剣から離れると、それはゆっくりと落下していく。
 私達はそれに背を向けて着地し、胸の前で指を組む。

「「「「忍ッ!」」」」

 そう叫んだ瞬間、背後から爆発音が聴こえた。
 私達はすぐに振り向き、巻き上がる砂煙を手で払いながら目を凝らす。
 そこには……ボロボロになった服でその場に倒れる、黒髪の少女がいた。

「なんで……なんでなの! こんな、体になって……雷香ちゃんだって殺して……もう、この世界ごと死にたいのにッ! なんでッ!」
「……貴方に何があったのかは、分からない……」

 私の言葉に、少女はキッとこちらを睨んでくる。
 しかし、ここで反撃しても、同じことだと判断したのだろうか。
 少女は目を伏せ、悔しそうに顔を歪めた。

「……でもさ、もし貴方の行動理由が復讐なら、それは……間違ってるんじゃないかな」
「……貴方達に私の何が分かるのよッ!」
「分からないから、気軽に言えるんだよ。……ねぇ、貴方は世界の全ての人間が憎いの?」
「何が言いたいの?」

 私の言葉に、訝しみながら聞いてくる少女。
 それに私は微笑み、両手を広げて見せた。

「私達は初対面でしょう? だから、貴方がそこまで私達を倒したがる理由って、無いんじゃないかなって」
「違う……私は、この世界を滅ぼさないと……雷香ちゃんを殺したこの世界を滅ぼして……私も、死ななくちゃ……」
「ねぇ、これ絶対ヤバい奴だよ」

 ボソッと零したウィングの言葉に、すぐにフォレストが人差し指を口に当てて制した。
 するとウィングは不服そうに顔をしかめ、俯く。
 私は気にせずに続けた。

「ねぇ、その……雷香ちゃんが死んだのって、いつ頃のお話?」
「それは……な、何百年も前だから……」
「じゃあ、もうその頃に生きていた人達は、死んでるんじゃないかな? そうなると、雷香ちゃんの仇は……もうこの世界には……」

 私の言葉に、少女の顔が徐々に青ざめていくのが分かった。
 目に涙が浮かび、その表情が悲痛に歪む……ところで、私は彼女の肩を掴んだ。

「だから、敵討ちのことばかりじゃダメなんだよ! 貴方も前に進まなくちゃ!」
「でも……私は人間じゃない……この体だって……人の恨みや憎悪だけで出来て……」
「……じゃあ、私達の村に来れば良いよ」

 ウィングの言葉に、少女はハッと顔を上げた。
 すると、フォレストがウィングの言葉の意味を理解し、優しく微笑んだ。

「なるほど。畑作業などを手伝ってもらう……ということですか」
「そういうこと。まぁ、やっぱり貴方がやったことは許されないことだし……でも、だからって、殺したりとかそういうことはしたくない。だから、私達の村でさ、農作業とか手伝えば……少しは、村の人達への贖罪になるじゃない?」
「なるほど……うん。それ良いと思うよ!」
「私も。それが一番、皆が納得すると思う」

 ウィングの案に、私とモンテも賛同する。
 それから少女を見て、「どうかな?」と聞いてみる。

「で、でも……私、そんなことで、許されるわけ……」
「だから、許されるように努力するんじゃないかな?」
「はい。私達も、貴方も村の人達も納得するように支えて見せます。だから貴方も、私達の村で、一生懸命頑張ってみませんか」

 フォレストはそう言って微笑み、手を差し出す。
 すると、少女はその手を取ろうとして、少し迷い……でも、しっかりとフォレストの手を握った。
 それを見て、フォレストは優しく微笑んだ。

「では、村に行ったらたくさん働いてもらいますからね? 休む間も無く泣いても喚いても構わず畑を延々と耕し続けてもらいましょう」
「いや、フォレスト。流石にそれはやり過ぎじゃ……」
「フフッ。冗談ですよ?」
「……冗談に聴こえないよ」
「皐月ちゃん目が本気だったよ……」

 そんな私達のやり取りを見て、少女は泣き笑いのような表情を浮かべた。
 満面の笑み……とは行かないが、それでもしっかりと笑っていた。

Re: 【完結】風林火山プリキュア! ( No.370 )
日時: 2017/11/30 18:49
名前: 愛

Ten years after 15

「それにしても、久々の再会だって言うのに、慌ただしい感じだったね」

 少女もとい影津の力で不思議な空間を出た後、変身を解いた蜜柑がそう言った。
 彼女の言葉に、千速も困ったような表情を浮かべながら「そうね」と答えた。
 すると、皐月がクスッと笑った。

「でも、これが無ければそもそも私達は再会すらできませんでしたから……影津さんには感謝しないとダメですね」
「前から思っていたけど、皆危機感無さ過ぎ。下手したら死んでたのにさ」

 影津の言葉に、私達は顔を見合わせた。
 まぁ、確かに死にかけたと言えば死にかけた。でも……。

「最終的に無事だったわけだし、良いかなって」

 私の言葉に、三人も頷く。
 すると、影津はずっこけるような動作をした。

「はぁ……なんでアンタ達みたいなのに連敗してるんだろう……」
「もうその連敗記録が更新されないと良いですね」

 皐月が笑顔で言った言葉に、影津はムッとした表情をした。
 しかしその時、皐月がハッとした表情をした。

「あぁ……早く戻らないと、あの、魔法陣が……」
「え、あ……そっか」
「ねぇちょっと待って。今かなりファンタジーな単語が聴こえたんだけど」

 私の言葉を無視して、皐月はアウラシュリフトロレを構える。
 しかしそこでふと表情を緩め、私と蜜柑を見つめた。

「あの……もし上手くいけば、この世界に自由に来れるようになるかもしれません」
「えっ……」
「もしも、の話ですが……上手く行ったらその時は……また一緒に、遊びましょう?」

 そう言ってはにかむ皐月。
 すると千速がフッと笑って、皐月の手を握る。

「私からもお願い。そうだ、朱莉。もし次会った時には、久しぶりに海で勝負でもしようか」
「ははっ……うん。そうだね。一緒に色々勝負しよう」
「私は、柚希さんのミカンを久しぶりに食べてみたいですね。また四人で行きましょう?」
「ん……お姉ちゃんに連絡しておかなくちゃ」

 久々の再会。話したいことはたくさんある。
 でも、ここでグダグダと引き留めてもカッコ悪い。
 私は切り出すように「それじゃ」と言って、小指を差し出す。

「絶対にまた会う。私達の、約束」
「……うん。私達四人の……」

 そう言って、蜜柑が私の小指に自分の小指を付け合わせた。

「そうね。また会いましょう」

 千速もそう言って微笑み、私の小指に自分の小指を付ける。
 その様子に、皐月が優しく笑った。

「言ったでしょう? 私達の絆は永遠だって。……絶対に、また会えます」

 そう言って、皐月も小指を付け合わせた。
 私達は顔を見合わせて笑い合い、同時に口ずさんだ。

「「「「ゆーびきーりげんまんうそついたらはりせんぼんのーますっゆーびきった」」」」

 二十四歳にもなってやるには、幼稚かもしれない。
 子供がする約束事に過ぎないかもしれない。
 でも、これが私達にとって、一番の約束だ。

 See you later.

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