二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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Fate/OS -繰り広げられる新たな聖杯戦争-
日時: 2017/11/16 12:29
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

時は西暦2×××年…
日本の冬木市で行われた聖杯戦争の聖杯はとある魔術師によって解体された。
…それから数年後、同じような聖杯がアメリカのとある都市…
クロック・グロウ(C.G)と言う都市に聖杯が出現した。その聖杯は後に『新聖杯』と呼ばれることになる。
…新聖杯に選ばれ、令呪が宿った魔術師達はC.Gの最も大きな教会である『アルト教会』に集められる。
アルト教会の神父シス・アルトは新聖杯戦争のために聖堂教会や魔術協会とは別の集団、『新杯教会』というものを立ち上げた。
シス神父は集めたマスター達をその場で召喚させ、新聖杯戦争の開始を高らかに宣言したのだった…。

…こちらでは新しい小説、Fate/OSを書かせていただきます。
この物語は私の創作により書かれたもので、原作の設定などを無視や勝手に創作している場合があります。サーヴァントもマスター達も完全オリジナルです。
そのあたりは暖かい目で見守っていただけるとありがたいです。
…ちょこちょこともしオリジナルサーヴァントがカルデアに召喚されたら…とかやるかも知れません。
…では、どうぞお楽しみください…。

───────────────────

【0日目】

第1話 召喚(監督役&ランサー陣営初登場)

>>1

第2話 開戦前夜(セイバー陣営初登場&セイバー真名判明)

>>2

第3話 夜に咲く1輪のはな(バーサーカー陣営初登場)

>>4

第4話 凛とする兄弟(ライダー&キャスター陣営初登場)

>>5

【1日目】

第5話 2人の暗殺者(アーチャーvsアサシン&アーチャー陣営、アサシン初登場)

>>6

第6話 最優秀と落ちこぼれ(セイバーvsランサー&ランサー真名判明)

>>8

第7話 燃え上がる信念(バーサーカーvsライダー)

>>9

第8話 死神と災厄(キャスターvsアーチャー&アーチャー真名判明)

>>11

【2日目】

第9話 二つの道(日常1)

>>12

第10話 同盟(剣狂陣営顔合わせ)

>>13

第11話 侵略王 前半(ランサーvsライダー&ライダー真名判明)

>>14

第11話 侵略王 後半(ランサーvsライダー)

>>15

【3日目】

第12話 山の翁(アサシンのマスター初登場&アサシン真名判明)

>>16

第13話 銃手(日常2)

>>18

第14話 対戦前(日常3)

>>19

第15話 雪夜の狙撃手(セイバーvsアーチャー)

>>20

第16話 炎の支配者(セイバー&バーサーカーvsアーチャー)

>>21

【4日目】

第17話 仕事(アサシンの過去)

>>22

第18話 策略(日常4)

>>23

第19話 紫電(日常5)

>>24

第20話 雷切(アサシン&バーサーカー 臨戦態勢)

>>25


第21話 氷結使い(アサシンのマスターvsアーチャーのマスター)

>>27

第22話 制裁者(日常6&ルーラー初登場)

>>28

第23話 幼い大人(日常7)

>>29

第24話 作戦準備(ルーラー真名判明)

>>30

第25話 謀反(バーサーカー真名判明)

>>31

第26話 共同戦線(アサシンvsセイバー、バーサーカー、ランサー、ライダー)

>>32

【外伝】

外伝1

>>3

外伝2

>>17

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第22話 制裁者 ( No.28 )
日時: 2017/10/18 13:42
名前: kuzan (ID: 1T0V/L.3)

蓮はセイバーとともにまた街に出ていた。
その目的はセイバーの偵察という名の街巡りだ。
大方、偵察3割、街巡り7割だろう。その証拠に手には様々な食べ物が手に握られている。道行く人には驚いた顔で二度見され、噂話などをされる。
その内容は様々で「あの人すごい美人」「あんなに食べて太らないのかな?」等だ。とにかくセイバーは目立つ。とても目立つ。
蓮はその視線が少し痛いようで不機嫌そうにしており

「…セイバー、もういいだろ、帰ろう…。」

などとブツブツ漏らしているがセイバーは

「まあ待て蓮!
今度はこのクレープとやらが食べたい。
…え?偵察?やってるさ、ちゃんとな。」

と若干目を逸らしながら言う。
…訂正だ。偵察1割、街巡り9割だ。

「あのな、セイバー。
遊びじゃないんだぞ。そろそろ勘弁してくれよ…。」

「…私はお前に仕える。
お前は私にその料金として私の欲しいものを買う。ギブアンドテイクだよ、分かるか、蓮?」

にまにまといい笑顔で蓮に詰め寄る。
蓮は顔から顔を逸らしながら

「ちょ、近い、セイバー!
もうちょっと離れても…」

と、蓮が言ってセイバーの方を一度見る。
その横顔は綺麗で美しいと彼は思う。
しかし、同時になぜセイバーは顔を自分ではない方向に向けているか、と言う疑問を浮かべた。そう、先程まで自分をからかっていたのにどうして急にそれをやめて別の方向を見ているのか、だ。
その理由はすぐにわかった。それは街の住人の1人が叫び、明確となった。

「…山火事だ!!」

と。
周りがざわつき、軽くパニックになってる中、セイバーだけは冷静だった。
そして突然口を開き

「…バーサーカー、君なのか…?」

と呟き、山の方に走り出そうとした。
しかし、その行動は老人の伸ばした腕によって静止された。

「待たれよ、若い者。
そちらは危険だ。そう焦るな。」

という言葉と共に。その老人は十字架の装飾が施された赤い修道服を来ており、さらに首から十字架をぶら下げた老人だった。

「…新杯教会の者か…!
…いや違う…!?まさか…!?」

「…その通り。私は制裁者のサーヴァント、ルーラー。人だかりが多い故、真名の開帳は控えさせていただく。遅れながらも参上した。
…私が召喚されたということはこの聖杯戦争、何かがおかしい。しかし、まずはこの騒ぎを収めるのが先。
この先は私に任せよ、呪いの剣の担ぎ手のセイバーよ。」

その老人、ルーラーはセイバーと蓮を一度見た後、山の方に歩いて行く。
野次馬たちが止めようとするが、それはすべて失敗に終わり、ルーラーを山の方に歩かせる。
そしてルーラーが完全に見えなくなったことを確認し、セイバーは口を開く。

「…ルーラーはこういっていたな…。
『この聖杯戦争、何かがおかしい』、と。確かにそうだ。ルーラーが召喚されるなんて、聖杯戦争が特殊な形か世界に異常を起こす可能性がある場合だけだからな。
…この聖杯戦争、どうなっている…?」

と、普段見せない深刻そうな顔で言葉を紡いだ。

第23話 幼い大人 ( No.29 )
日時: 2017/10/20 15:40
名前: kuzan (ID: f5yb.dIk)

「…どうする、セイバー。」

騒ぎがある程度おさまった後、2人は街の公園のベンチに座っていた。
そこは静かな場所でもあり、山の方が見やすいため、そこを選んだ。山からは煙が立ち上っている。
新杯教会はこれを煙草のポイ捨てによる火災ということで処理したようだ。

「…どうすると言われても、あとはルーラーに任せればいいだろ。私の出る幕は無いさ。」

と少し不機嫌そうに答える。
そんな顔を見た蓮は少し笑みを浮かべ

「…もしかして活躍したかった?」

と聞く。するとセイバーは珍しく慌てた様子で

「そ、そんな分けないだろう!全く…」

と、目を瞑り、少し頬を赤色に染めていう。

「…さて、果たしてどうかな…?」

と公園の入口の方をふと見る。そして次に自分の腕時計を見て

「…セイバー、今は、6時くらい、だよな?」

と確認をとる。
セイバーは少し顔を顰め

「はぁ…?
君のその時計が時間を示してるだろう?
6時で間違いないはずだ。」

と不機嫌な声色で言う。そして蓮は「そうだよな…」と呟き、もう1度入り口の方を見る。
そこには白の長い髪を持ち、黒のゴスロリドレスを着た少女が立っており、彼女は年相応の笑みを浮かべている。

「…子供、か。
おぉい、君、もうこんな時間だ、外も暗い。早く帰らないと親が心配するぞ!」

と言いながら少女に近寄る。
それを今まで不機嫌だったセイバーが顔色を一瞬で変え、蓮の前に立つ。

「…蓮、それは子供、なんて優しいもんじゃない。
そいつはサーヴァントだ。」

と険しい顔で言う。
蓮もそれを聞けば止まり、少女の方を見る。

「…今まで対峙したサーヴァントはアーチャー、ランサー、バーサーカー。そしてバーサーカーはライダーに会ったと言っていた。キャスターかアサシンか。」

「そう。私はキャスター。
拠点から抜けてきちゃった。」

人懐っこい笑みを浮かべればセイバーの方に近づいていき

「…あの火事、サーヴァント同士の戦闘が原因なの。
敵対したサーヴァントはバーサーカーとアサシン。
アサシンのマスターは新杯教会の一員、フィマ・グランディス。
聖杯戦争を統括してる組織がマスターを派遣して参加するとはね…私ダメなことだと思うの。」

とセイバーに語りかける。
セイバーはそれに対し冷静な表情で

「何が言いたいキャスター。
なにか目的があるはずだ。」

と問いかける。
するとキャスターはふわりとした笑みを浮かべ

「…新杯教会を潰さない?
今教会の中でアサシンとアーチャーのマスター。そして森の中でアサシンとバーサーカーが戦闘を行っている。行くなら今だと思うの。それでね、それでね!また聖杯戦争を再開するの!ライダーとランサー陣営はこの作戦に既に賛成している。
悪い話ではないと思うよ。報酬は用意出来ないけどね。」

と言う。セイバーは困惑した様子で蓮の方を見て

「どうする、マスター。私はお前の判断に任せる。」

と真顔で言う。

「…お前の判断に任せると言われてもなぁ…!
…確かに、新杯教会は魔術協会や聖堂教会を敵に回してるし、俺達もこの組織を敵に回したくはない。ならここで縁を切るのもありか。」

と呟き、頷く。

「分かった。だが、殺生はなしだ。いいな。」

と言ってキャスターをみる。
するとキャスターは満面の笑みを浮かべ

「流石だね、作戦実行は23時から。
セイバーとそのマスターは正面突破ね。ランサーも同行すると思うわ。ライダーと私はまた別の動きをする。23時になったと同時に行動を開始してね、頼んだよ。」

と笑みを浮かべればキャスターは霊体化をした。

第24話 作戦準備 ( No.30 )
日時: 2017/10/25 14:11
名前: kuzan (ID: xZ7jEDGP)

バーサーカーとアサシンはひとりの老人の乱入によって対峙をやめていた。
互いに老人越しに睨み合っているだけだ。
もちろん彼らに老人は攻撃できない。
それは聖杯が召喚したエクストラクラス、ルーラーだということがわかっているからだ。
ルーラーは2つずつ各陣営に使える令呪を持っている。それに攻撃しても特に意味が無いからだ。

「まさか、ルーラーが出てくるとはなァ。驚いたぜ、俺ァ。
何のようだ、テメェの出る枠はねェぜ、裁定者ァ!!」

アサシンが声を荒らげる。
それに対しバーサーカーは冷静にいつもの笑みを浮かべ

「ルーラー、と言いましたね。
薄々と感じていましたがやはりこの聖杯戦争は何かがおかしい、ということですね。」

「その通りだとも、狂戦士。
何がおかしいのかは私にも分からん。
しかし、やはり私が召喚されたということはこの聖杯戦争、世界に何らかの異常をを起こす可能性があるのだろう。」

と顔を少し顰めながらルーラーは答える。

「…失礼、名乗るのが遅くなった。
私はミラのニコラオス。聖人、と讃えられておるが私はただのニコラオスだ。
しかし、ルーラーとして呼ばれたのであればしっかりとその役目を果たそう。」

「…ミラのニコラオス…だとォ…!?
聖ニコラオスか…!!」

「様々な種類の聖人として讃えられている人物。
一説ではサンタクロースの起源となった人でもある…
しかし最も有名な逸話は一つ…」

「三人の無実のヤツが処刑されそうになっていた時、彼奴はその場に割って入り、無実ということを証明した…。
畜生、なんてヤローが召喚されてンだ…!?」

と、アサシンが呟くとアサシンはマスターに念話を飛ばす。

『…マスター、ルーラーが召喚された。オレらの戦いも彼奴のせいで止まってしまった。
恐らくルーラーは納めた後にそちらにも抑えに行くだろう。その前に辞めとけ。そしてシスのヤツにこのことを報告しておけ。』

『分かったわ。でもバーサーカーは見張っておいて。彼女は危険よ。』

『分かってらァ。
この戦いで身にしみてわかったぜ。奴は戦いなれしてやがる…
奴は見てお…
…ッ…!?』

アサシンがバーサーカーの方を見るとバーサーカーはその場にいなかった。
突然どこかに行ってしまったのだ。

『アサシン…?どうしたのアサシン。』

『悪ィ、奴さんを、逃がしちまったようだ…オレが念話に集中してる隙に…!』

『何ですって…!?』

そう、バーサーカーは既に撤退していたのだ。
バーサーカーは同じタイミングで念話をマスターから受け取っており、その指示で撤退を始めた。

「…と、今日で集まった情報がこちらになります、ヒャッチ様。」

そして森の麓でマスター、ヒャッチと落ち合っていたのだ。

「そうか。
念話でも言ったようにアサシン以外の残っている陣営で新杯教会を叩く事になっている。
そして聖堂教会の監督役が派遣されることになった。令呪のある、な。
そして聖杯戦争をやり直す。そして聖杯は俺が回収する。絶対にだ。」

「…そうですか。」

そういったバーサーカーの右手には刀が握られていた。
そして彼女は不敵な笑みを浮かべていた。

「ではそろそろ、私のもう一つの宝具の使い所、ですね。」

と、呟いて。

第25話 謀反 ( No.31 )
日時: 2017/10/26 17:41
名前: kuzan (ID: XOD8NPcM)

午後22時30分、蓮とセイバーはキャスターに言われた通り教会を襲撃しようと山へと向かっていた。

「…しかし、まさか全陣営で新杯教会を潰しに行くとはな…。
…教会はあと30分程で到着する計算、出会ってるか、マスター。」

セイバーは蓮に確認と言うように歩きながら前を向きながら尋ねる。
それに対し蓮は頷き

「ああ。初日も30分ほど歩いて到着した。ならこの計算であってるはずだ。」

確かな確信のようで頷く。
相手は見ていないが、どうやらその様子がわかったようで満足そうにし

「なら大丈夫だろう。
問題はアサシンのやつだな。気配遮断のせいでどこに潜んでいるかわからん。慎重に行くぞ。」

そう言いながらセイバーは先を進む。
もちろん昼間の彼女とは違い鎧姿だ。

「…この先が登山道、つまり山の麓だ。ここからは敵陣というわけだ、セイバー。」

「なるほど、アサシンが出る可能性が高い、というわけか。
…ん…?」

セイバーは目を凝らし、そして次の瞬間真剣な顔をして腕を横に伸ばす。蓮を守るように。

「どうした、セイバー。なにか見つけたか。」

「…ああ。誰か倒れている。
…アサシンにやられたか?」

と言いながらゆっくりとそちらへと近づく。それに合わせ蓮もゆっくりと近づいていく。

「…こいつは…!?」

そしてセイバーは顔を顰める。
蓮も後ろから確認するように見る。

「…な…ッ!?」

それはセイバー陣営の同盟相手、そしてバーサーカーのマスターである『ヒャッチ・ディグソン』だった。

「…心臓を一突き。
…後ろまで貫通してる。
情報によるとアサシンの短刀じゃ心臓を貫通できるほどの長さはないし、そもそもアサシンの仕業なら傷口はもっと大きいはず。だがそれに比べ傷口が小さい。
…まさか…!?」

「俺達はそんな武器を使う奴を1人知っている。
…そう、それは…」

ふたり揃って顔をしかめる。
そう、2人は犯人に気がついた。

「…バーサーカー…貴様か…!!」

セイバーは叫ぶ。
そう、これくらいの長さの殺傷道具といえば刀であり、それを使うバーサーカーこそ犯人、と。

「ええ、その通りでございます、セイバー。
もはや隠すつもりはありません。私の真名。
…我こそは織田信長の重臣の1人、更に我が君主に対して謀反を起こした日の本最大の謀反人、明智光秀である……!」

いつもの不気味な笑顔を浮かべ、バーサーカー、明智光秀は木の上から蓮達を見下ろす。

「ああ、それと、前主との契約、ええと、自己強制証明、でしたっけ?あれは私の宝具『敵は本能寺にあり』により無効にさせていただきました。つまりあなた方は、私の敵となりましたので、ご周知の方お願い致します。」

【『敵は本能寺にあり』
ランク:B 種別: 対人宝具
レンジ:1〜10 最大補足:1

相手と結んだ契約を無条件に突然破棄することが出来る。
しかし、令呪による強制命令には逆らうことが出来ない。
だが、この宝具を武器に付与し、それをサーヴァントに打ち付けると他マスターとの契約破棄を可能とする。】

「…なんだって…!?」

セイバーはイラつきを隠しきれないようで表情を険しくしていく。
バーサーカーはその様子を見てより一層笑みを浮かべ

「ああしかし今日は戦うつもりはありません。
本日は教会を潰すのでしょう?私もそれに加勢いたします。
なので、今日まで味方、ということですよ。さあ、急ぎましょう。あと20分しかありませんよ。」

と言いながら背中を見せ、山を先に登っていく。
セイバーと蓮は顔を見合わせた後、前と後ろに注意して山を登り始めた。

第26話 共同戦線 ( No.32 )
日時: 2017/11/16 12:15
名前: kuzan (ID: EP9rvI.Z)

山を進む蓮達は教会までの道中一切話をすることは無かった。
それは警戒のためであり、バーサーカーもそれを理解してか、時々後ろを向き、ただただいつもの不気味な笑みを浮かべるだけだった。
それに対し二人は顔を顰め、どうすることも出来ない。
しかし、そんな中、セイバーか突如立ち止まる。

「…セイバー?」

蓮は不振に思い、少し先からセイバーに声をかける。
もちろんバーサーカーもその場で立ち止まり「…どうされました?」と首を傾げる。
そして次の瞬間、セイバーは蓮の首根っこをつかみ、自分の後ろに下げ、剣を抜き、防御するように構える。
するとその場にはアサシンがおり、手に短刀を持って蓮のいた場所に突き刺そうとしていた。

「…アサシン…!!」

蓮は後ろに下げられた反動で地面に尻餅をつき、見上げるようにアサシンの姿を確認した。
そしてバーサーカーもしばらく呆然としていたが、剣を手に現界させ、構えた。

「…チィ、行けると思ったンだけどなァ。
セイバーテメェ、直感でも持ってやがるな?」

アサシンは一度後ろに下がり、忌々しそうに舌打ちをした。
そしてセイバーはもう一つの剣も構え

「そうだ、お前のその攻撃、スキルによって読ませて貰った!
私のマスターに手を出したということは、覚悟ができているということだな…!」

片方の剣をアサシンの方に向け、宣戦布告と言わんばかりに言う。
アサシンは苛立ちを隠せないようで更に顔が険しくなる。

「…覚悟ォ?
出来てるわけねェだろ…ココでテメェらは俺に殺されるんだからなァ!」

バチバチ、と青白い電撃がアサシンの周りに走る。
法具、『妄想電身ザバーニーヤ』を発動したのだ。

【『妄想電身ザバーニーヤ
ランク: C種別: 対人宝具
レンジ: 3〜9最大捕捉:1人

電撃の塊と言える肉体そのものが彼の宝具。爪・肌・体液にすら電撃が含まれている。
その電撃は強靭な幻想種ですら殺しうる程。人間の魔術師であればどれほどの護符や魔術があろうと彼に触れるだけで死亡する。
しかも、犠牲者の体にまで残留し、遺体に触れた者にも被害を及ぼす凶悪なもの。
なお、この全身の電撃は彼の意志で制御することが不可能で、触れた者に無差別に作用してしまう。
実は、生前はこれほど強力ではなく、電撃も低出力で、彼が英霊となったことで昇華された結果である。生前の使い方は、ただ相手を麻痺させ、触れ手戦闘不能にさせ、短刀で突き刺すという手間が必要だった。】

「我が身の真名はとっくの昔に捨てた、名もねェ暗殺者。
我が魂の真名、紫電のハサン…!
先に逝く前に我が存在、テメェらの霊基たましいに叩き込みやがれ…!」

バチ、バチと音を立てながらその電撃はより強力に、大きくなる。
そんな様子を見てセイバーは確信した。

(…先ほどコイツは覚悟はできてないと言っていたな…
だが、これほどの宝具の出力…これは…最後の覚悟だな…ならば、私も全力を出さねばならない…!)

「アサシン、貴公の覚悟はよく分かった。敬意を払って私も名乗ろう。
私こそ呪いの剣の担ぎ手にして最優の騎士…双剣の騎士、ベイリンである…!」

と呪いの剣を相手の方に向け、その後もう一つの剣を鞘に収め、両手で剣を構える。

「…マスター、悪いが宝具を開帳する。
バーサーカー、少し援護しろ。」

「…仕方がありません。恐らく宝具発動に時間がかかり、その間無防備になるのでしょう。助けたいのは山々でございます。しかし私一人のみでこの雷撃を捌ききれるとは思いませんねぇ。」

と、アサシンの雷撃を切り伏せ、クスクスと笑いながら答える。

「そんな…!」

蓮がそうつぶやく。
これでは無防備となったセイバーに攻撃が届き、セイバーがやられてしまう可能性がある、と考えたからだ。

「せめてあと一人サーヴァントがこの場にいれば防げると思ったのですがねぇ。」

バーサーカーが無理にすべての攻撃を防ぎながら呟く。その証拠に彼女の頬にアサシンの投げた短剣が掠った。状況としてはとても不利な状況だった。しかし

「話は聞かせていただきました。
ではその役割、私達も受け持ちましょう。」

という声とともにランサー、ライダーが現れた。

「ランサーに負わされた傷が痛むところだが、こればかりは仕方あるまい。
この儂の力、存分に震わせてもらうぞ!」

「ランサーと…ライダーか!
助かる、済まない!」

蓮はサーヴァント2騎に軽く頭を下げ、感謝を表す。
ランサーは蓮の方を向き

「貴方は優しいお方ですね。
しかし今回限りの助太刀です。終われば敵同士ということを理解しておいてください、セイバーのマスター。」

とほほ笑みを浮かべながら呟く。そしてそのままアサシンの攻撃を防ぐべく動く。
サーヴァント4騎の一時的な共同戦線はとても強力なものであり、セイバーの方に攻撃が流れることは無かった。
その影響からか、アサシンの雷撃も少し弱まっていた。
そして呪いの剣の刃に黒いオーラのような物がまとわりついていた。

「…放出準備完了!
この剣は最優の騎士のみに抜くことを許される剣。
この剣は愛する者を殺す呪いの剣。
呪いの力、今、汝に示そう…!
『最優の騎士こそ扱えし呪いの剣』(ソード・オブ…カァァァァァス)!!」

【『最優の騎士こそ扱えし呪いのソード・オブ・カース
ランク: B+ 種別: 対軍宝具
レンジ:1〜50 最大補足:500

この世で最も優れた騎士にしか抜けない剣と言われる剣をベイリン卿は、見事に剣を抜くことに成功した。「自分の最も愛するものを殺害する」という呪いがかかっている。
また、湖の乙女を殺した剣でもある。
この逸話からこの剣は妖精・精霊属性には不治の傷を与える特攻効果を、生前騎士として生きてきた者には対峙した際に筋力、耐久、敏捷がワンランクアップする特攻効果を得る。
そしてこの宝具は「魔力放出」スキルの応用編であり、真名解放時に呪いの剣のみを構えた時に発動することが出来る。この剣の呪いを魔力という形で剣に叩きこみ、増幅させて打ち放っている。
呪いが刃に集まるまで少し時間がかかり、そのあいだ彼女は無防備となるデメリットも持つ。】

セイバーは構えていた剣を一度右下に振りかぶり、勢いよくアサシンの方に振り上げる。
すると剣から黒の光線のようなものがアサシンに放出される。
攻撃を足止めしていた4騎はその瞬間四方八方に散り、攻撃に巻き込まれないように防御態勢をとった。

「クソッタレがァァァァァ!!」

アサシンはそう叫びながら最大出力の電撃を光線に向け、抵抗しようとした。
しかし、すぐに押し込まれてしまい、アサシンの方に光線は向かっていく。

「…そうか、そうだよな。俺見たいなやつが山の翁になれる訳がなかったんだ。
面目ねぇ、歴代の山の翁に合わせる顔がねぇよ…。
そして、悪いな、フィマ。俺はここまでらしい。」

と光線に巻き込まれる間際にそう呟き、どこかに微笑みをみせた。

光線が消えると、そこにアサシンの姿はなく、青白い光がその場から立ち上がっていた。近くの木の枝を見れば黒い帽子がゆらゆらと風に揺れていた。
そしてその帽子がアサシンの立っていたところに落ちた。

「…貴公は立派な暗殺者だった。
敬意を払うよ。」

と帽子を見下ろしながらセイバーは呟く。
そして先に進んだ。


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