二次創作小説(新・総合)

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【オリキュア】メモリアルプリキュア!
日時: 2017/08/01 23:00
名前: 愛

初めましてかこんにちは!愛です!
本日からはメモリアルプリキュアというオリキュア小説を書きたいと思っています。
基本テンションとノリに任せて書くのでグダグダすると思いますが、楽しんでいただけると幸いです。
それでは、よろしくお願いします。

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Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.274 )
日時: 2018/04/20 22:56
名前: 愛

第42話「奪われた誕生日会!?星華と月乃!姉妹の絆!」5

<月乃視点>

 イライラする。
 腹の奥底から湧き上がってくる苛立ちに、私は舌打ちをして目元を手で覆った。

 勝手に家に上がり込み、家にあった材料で料理を作り、突然私の誕生日会を開いた。
 所業そのものの理由が理解出来ない。
 盗みを働くわけでもなければ、荒らすわけでもない。
 しかし、我が家にとって、食料は大事な資源だ。
 それを見知らぬ人間によって消費されたのは、かなり腹立たしい。

 おまけに、一人は私の妹を名乗り始めた。
 ……わけがわからない。
 私は生まれてから、ずっと一人だ。
 幼い頃に母が亡くなり、父は再婚など考えていない。
 だから、二人目が生まれてくるわけもないのだ。

 そこまで考えて、気になる点が浮かんだ。
 ほんの少しの疑問。
 だが、その小さな疑問は徐々に大きくなり、私の胸の中で膨らんでいく。

 私ってどうやってお母さんの死から立ち直ったんだっけ?

 父は、母が死んでから私を支える為に仕事に明け暮れ、まともにアフターケアをしたりする余裕など無かった。
 では、私が立ち直れた理由って……何だっけ……?
 一人で勝手に立ち直った?
 いや、あの時は私もかなりショックだった。
 でも、割とすぐに立ち直った気がするんだけど……。

「……お姉ちゃん……」

 その時、忌々しい声がした。
 帰ったと思っていたのに、まだ帰っていなかったのか。
 湧き上がる怒りを噛み殺しながら、私は顔を上げた。

「さっさと帰ってって……」

 そこまで言って、私は固まった。
 ……お母さん……?
 目の前にいる人が一瞬、幼い頃に見た母の面影に重なった。

 しかし、母の面影のさらに奥。
 昔見た別の面影に……重なった。

 しばらく見て、目の前に立っているのが、母の服を着た不法侵入者であることには気付いた。
 気付いたが……追い返す気持ちも、怒りも湧き上がってこなかった。
 彼女の華奢な体に、母の服は大きい様子で、少し丈が余っている。
 けど、彼女が小さいという印象よりも……前より大きくなったという感情が、湧き上がって来たのだ。

「お姉ちゃん……覚えてないと思うけど、その……お母さんが死んだ時、私がこうやってお母さんの服を着たんだよ」
「……違う……」
「違わないよ。それでね、こうやって……」

 そう言いながら、少女は、私の頭を抱えるようにして抱きしめた。
 ソファに座ったままだった私は、私より背が低い彼女に抱きしめられる。
 抱きしめられた瞬間、母に抱かれているような優しさに包み込まれた。

 直後、私の中で、何かが弾けた。
 一気に胸の中から何かが湧き上がり、それが涙になって溢れだす。
 貴重な母の服が濡れるのも忘れ、私は妹の体を抱きしめた。

「星華……ごめん……ごめんね……」
「ううん。良いんだよ、お姉ちゃん」

 そう言って私の背中に腕を回す星華に、私は嗚咽を噛み殺しながら、彼女の体を強く抱きしめた。

---

「ヒグッ……お母さん……お母さん……」

 母が死んだショックから、私は、部屋に籠って泣いていた。
 これからどうすれば良いのだろう。
 お父さんと星華の三人暮らし?
 星華にはまだお母さんが必要なハズだ。お父さんだってお母さんを愛していた。
 私がちゃんとしなくちゃ。私がお母さんの代わりにならないといけない。
 それは分かっているが、気持ちの整理をつけることなど出来なかった。

「お姉ちゃん」

 その時、部屋の扉の方から星華の掠れた声がした。
 私はそれに、パッと顔を上げた。
 星華だって不安なんだ。私がしっかりしないと。

「星華……! ……?」

 悲しんでいるであろう星華を慰めようとした私は、目の前にいる妹を見て固まった。
 そこには、その幼い体には大きい母の服を着た星華が、泣きそうな笑顔を浮かべて立っていた。

「お姉ちゃん、泣かないで。私がママになるよ」
「せいか……」

 名前を呼んだ瞬間、星華に頭を抱きかかえられた。
 それから、ダボダボの袖越しに、頭を撫でられた。

「よしよし……お姉ちゃんはいいこだね……いいこ、いいこ……」
「……せい、か……」
「……だから……泣かないで……私がママになるから……代わりになるから……泣いちゃダメ……」

 そう言う星華の大きな両目から、ボロボロと涙が零れる。
 私はそれに、妹に無理をさせてしまったことに気付き、恥ずかしくなった。
 すぐに立ち上がり、星華の体を抱きしめた。

「おねえちゃ……だめ、私がママ、だから……!」
「星華……無理しないで……私がお姉ちゃんだから、いっぱい甘えていいんだよ」
「……うわあああああああん」

 私の言葉に、星華は大きな声で泣きじゃくった。
 それから私は、決意した。
 私が星華を守るんだ。私が星華の母になるんだ。
 だって、私は星華の姉なのだから。

---

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.275 )
日時: 2018/04/30 21:57
名前: 愛

第42話「奪われた誕生日会!?星華と月乃!姉妹の絆!」6

<星華視点>

 抱きしめていたお姉ちゃんは、しばらく嗚咽を漏らして泣いていたが、やがて泣きつかれたのか、そのまま眠ってしまった。
 私は彼女の頭を一撫でして、ソッとソファに寝かせた。
 直後、世界が白黒に染まり、停止した。

「あらら、意外と簡単に看破されちゃいましたね」

 そんな声がしたかと思えば、リビングの窓ガラスが吹き飛んだ。
 粉々のガラスが巻き散る中、私は咄嗟にお姉ちゃんの前に立った。
 床に散ったガラスを踏みしめながら、セフトが入って来る。

「……やっぱり、セフトが……」
「フッ……お姉さんのメモリアを一部、心の奥に閉じ込めさせて頂いたよ。とはいえ、思いのほかアッサリと台無しになってしまいましたが」
「……アンタのせいで、お姉ちゃんが……」

 ギュッと強く握り締めた拳が、痛んだ。
 噛みしめた唇から、今にも血が滲みそうだった。
 湧き上がってくる怒りを押し殺し、私は口を開いた。

「……なんで、お姉ちゃんを……」
「さぁ? 聞くまでも無いと思いますが」
「……貴様ッ……」

 怒りに身を任せ殴りかかろうとした時、その腕を掴まれた。
 見るとそれは、瑞樹さんだった。

「瑞樹さん……」
「星華ちゃん。ここでセフトを殴っても……」

 私を挟む形で立った杏奈さんの言葉に歯ぎしりをしつつ、拳を静かに緩めた。
 瑞樹さんが手を離すと、ダランと、力なく腕が垂れた。
 すると、セフトがそれを見て鼻で笑った。

「さぁ……戦いの始まりだ」

 そう言って指を鳴らした瞬間、外で何かが蠢いた。
 セフトが割った窓の外で、ワスレールが町を破壊しようとしていた。

「ッ……杏奈さん! 瑞樹さん!」
「うん!」
「おお!」

 私の言葉に二人は頷き、それぞれラブメモリーウォッチを構える。
 同じように私も胸元のラブメモリーウォッチを構え、三人同時に叫んだ。

「「「プリキュア! メモリアルコンバージョンッ!」」」
「今を輝く、一つの光! キュアアデッソ!」
「過去を束ねる、一つの夢! キュアパースト!」
「未来を照らす、一つの希望! キュアフューチャー!」
「「「取り戻せ! 愛のメモリー!」」」
「「「メモリアルプリキュア!」」」

 名乗りを終えると、私達は、すぐに家を飛び出してワスレールに向かう。
 ワスレールはこちらに気付くと、腕を振り下ろしてきた。
 私はそれをギリギリで躱し、一気に駆け寄った。

「よくも……お姉ちゃんの……誕生日を……!」

 呟きながら、私は拳を握り締める。
 ワスレールの懐に潜り込み、右拳を振り上げた。

「お姉ちゃんの誕生日を……! 返せッ!」

 叫び、私はその拳を全力でぶつけた。
 手首までめり込んだ拳を戻し、蹴りを放つ。
 足もめり込み、ギシギシと音を立てた。

「お姉ちゃんの……十四歳の誕生日は……一度きりなんだからぁぁぁぁッ!」

 吠えるように言いながら、私はワスレールを蹴り飛ばした。
 ワスレールは地面を跳ね、遠くまで弾んでいく。
 それを見届けながら、私は、胸元にあるラブメモリーウォッチを構えた。

「一気に……決める!」

 そう言いながらラブメモリーウォッチのネジを引っ張る。
 すると針が高速回転を始め、光を放つ。
 私は胸元のラブメモリーウォッチに右手を添え、その光を手に纏わせる。

「未来を照らせ! プリキュア! フューチャーホープ!」

 掛け声を言いながら、右手で星を描く。
 そして星の真ん中に手を当て、力を込める。
 すると、星に光が溜まっていく。
 そこに左手を添え、一気に力を込める。
 星は強く瞬き、ワスレールに向かって飛んでいく。
 やがて、星はワスレールにぶつかり、浄化していった。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.276 )
日時: 2018/05/03 23:01
名前: 愛

第42話「奪われた誕生日会!?星華と月乃!姉妹の絆!」7

 あの後、結局セフトには逃げられてしまった。
 本当は懲らしめたかったが、逃げられたものは仕方がない。
 ひとまず、今はお姉ちゃん優先だ。
 世界が動き出すと、私はすぐにお姉ちゃんを起こした。

「お姉ちゃん! 起きて! お姉ちゃん!」

 体を揺すると、お姉ちゃんは「んぅ……」と声を漏らして、起き上がる。
 それからぼんやりとした目で、私を見ていた。

「星華……」
「良かった……何とも無さそうで……ッ!?」

 安心したのも束の間、突然、お姉ちゃんが私の体を抱きしめた。
 強く。苦しくなるくらい、強く。
 それに驚いていると、お姉ちゃんは体を離し、私の頬に手を添えた。

「ごめんね星華……酷いこと言ったりして、ホントごめん」
「お姉ちゃん……大丈夫だよ。お姉ちゃんは悪く無いんだから」
「でも……」
「ホントに気にしてないから! それに、今日はお姉ちゃんの誕生日だよ? そんなことでウジウジしてたら勿体ないって!」

 私はそう言いながら立ち上がり、プレゼントの箱を拾う。
 そして、お姉ちゃんに向かって差し出した。

「改めて……お姉ちゃん。お誕生日おめでとう!」
「ん……ありがとう」

 お姉ちゃんは笑いながらそう言って、プレゼントの箱を受け取った。
 それを膝の上に置いて、私を見る。

「ね、開けて良い?」
「良いよ。開けて」
「ありがと」

 短くそう言って、お姉ちゃんはラッピングを丁寧に開け始める。
 私は彼女の隣に腰かけ、その手元を覗き込んだ。
 ラッピングを取ると、お姉ちゃんは箱を開けた。
 そして、パァッと笑った。

「これ……マフラー?」
「うん。……奮発しちゃった」

 私の言葉にお姉ちゃんは笑いながら、マフラーを手に取る。
 黄色とオレンジの、横縞模様のマフラー。
 お姉ちゃんは早速それを首に巻き、私を見てヘラッと笑った。

「どう? 似合う?」
「ん……凄く似合う。てか、お姉ちゃんに似合うのを選んだんだから、当たり前でしょ?」
「お? 言うねぇ」
「伊達にモデルやってません!」

 腰に手を当てて胸を張りながら、私は言って見せた。
 するとお姉ちゃんは「そうですか」と言って笑い、マフラーに顔を埋めた。

「何これ……超モフモフ」
「良い奴だからね。……これから寒くなるから、風邪引かないようにって」

 私の言葉に、お姉ちゃんは嬉しそうにはにかんだ。
 その時、杏奈さんと瑞樹さんが料理を持ってリビングに戻って来た。

「セッチーツッキー。諸々の料理、温め直してきたよ」
「あ……ごめんね。二人はお客さんなのに」
「良いってば。星華ちゃんも言ってたけど、今日の主役は月乃ちゃんなんだから」

 そう言って料理を並べて行く杏奈さん。
 彼女の言葉に、お姉ちゃんは恥ずかしそうに笑った。

「ありがとう、皆。……大好きっ!」
「急に何言ってんの。ホラ、早く誕生日会しよ!」

 瑞樹さんの言葉に頷き、お姉ちゃんはマフラーを箱にしまった。
 それからコップにジュースを注いで、私達はそれを持った。

「「「「かんぱーい!」」」」

 声を揃えて言い、私達は乾杯した。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.277 )
日時: 2018/05/04 21:19
名前: 愛

第43話「夢を追え!奏でろ兄弟の二重奏!」1

<瑞樹視点>

「瑞樹、またピアノコンクールに出てみないか?」

 ある日、いつものようにピアノを弾いていると、兄貴がそう言って来た。
 彼の言葉に私は手を止め、兄貴の顔を見た。

「ピアノコンクール? なんで、また?」
「今度あるんだよ。それで実はそのコンクールには、有名なピアニストの人も来るみたいなんだ。もし上手くいったら、プロデビュー出来るかもしれないよ」
「プロデビュー……!」

 その単語が輝いて見えて、私は目を輝かせた。
 私なんかの実力でプロになれるとは思わない。
 しかし、試してみる価値はあるかもしれない。
 私は拳を握り直し、頷いた。

「うん! やるよ!」

---

<セフト視点>

 つい、貧乏ゆすりをしてしまう。
 プリキュアの底力……想像以上だ。
 とはいえ、途中までは上手くいっていたハズ。
 家族からの拒絶は、奴等の心に大きなショックを与えるハズだ。
 キュアフューチャーがダメなら、次は……キュアパースト……前原瑞樹……!

 俺は目を瞑り、前原紫音のメモリアにアクセスする。
 現在、紫音は瑞樹と何かを話している様子だった。
 ……ピアノコンクール……?

 俺は瞼を開き、ほくそ笑んだ。
 プロのピアニストになることは、前原瑞樹にとっての夢。
 そして、前原紫音はその夢を後押ししている存在。
 肉親であり、前原瑞樹にとってかなり強大な存在であろう。

 もし……その夢を、実の兄に否定されたらどう思う?

 ニマァ、と、口角が吊り上がった。
 前原紫音。
 君は本当に、面白い立場の人間だ。
 最高だよ。君と友達になって、本当に良かった。
 そこまで考えて、俺は、とあることに気付いた。

 もしも前原瑞樹が夢を諦めたら……前原紫音は、どう思うか。

 彼は、妹の夢が叶うことを望んでいる。
 前原瑞樹の夢は、イコールで、前原紫音の夢でもあるのだ。
 もしも妹が夢を諦めたら……彼は……。

「チッ!」

 強く舌打ちをして、俺は首を横に振った。
 何を考えているんだ。
 アイツは敵だ。敵の身内だ。
 利用できるものは利用しなければならない。
 その為にアイツに近付いたんだ。その為にアイツと仲良くなったんだ。

 貧乏ゆすりが大きくなる。
 気付いたら、俺は親指の爪を噛んでいた。

 今まで色々なプリキュアと戦ってきたが、ここまで心を乱される相手は初めてだ。
 俺のメモリアの八割が、今行杏奈のものであることも関係しているのかもしれない。
 あそこまで追い詰められたこと自体が初めてだ。

「……絶対に倒してやる……プリキュア……ッ!」

 小さく呟き、俺は、爪を噛み千切った。

Re: 【オリキュア】メモリアルプリキュア! ( No.278 )
日時: 2018/09/04 23:27
名前: 愛

第43話「夢を追え!奏でろ兄弟の二重奏!」2

<瑞樹視点>

 あれから、私は死ぬ気で課題曲の練習をした。
 杏やセッチーやツッキー……それに、兄貴。
 皆に応援され、私は頑張った。
 皆の期待に応えたい。その一心で。

 そして、コンクール当日になった。
 ……練習はしてきた。
 今回の課題曲には、私の十八番である子犬のワルツも入っている。
 緊張を押し殺しながら、私はドレスが入った鞄を抱え、見に来てくれた皆に親指を立てる。

「それじゃ……行ってくる!」
「うん! 瑞樹ちゃん頑張って!」

 笑顔で言う杏に、私は頷いた。
 大丈夫。今まで通り、楽しく弾けば良い。
 楽しむことが大事だって、私は知ったから。
 私は若干軽い足取りで、更衣室に向かった。

<紫音視点>

「それじゃあ、皆は先に観客席に行っておいてくれ」

 僕の言葉に、杏奈ちゃんは不思議そうな顔でこちらを振り向いた。
 それから、キョトンと首を傾げる。

「紫音さんも一緒に行かないんですか?」
「あぁ……僕は、少し外の風に当たって来るよ。気にしないで」

 笑いながら言うと、杏奈ちゃんは「そうですか」と言って微笑む。
 それから、彼女達が観客席に向かったのを見て、僕も外に向かう。
 瑞樹の実力も大分伸びて来た。
 今回のコンクールは、きっと良い所まで行くだろう。

「……凄いなぁ……」

 一人呟きながら、コンクール会場のロビーに備え付けられたピアノの鍵盤に指を乗せる。
 すると、ポーン……と、綺麗な音が辺りに響いた。
 瑞樹の才能が僕よりあることは分かっているし、今更そのことについてとやかく言うつもりはない。
 でも……やっぱり、少し悔しいかな……。

「悔しいですか?」

 その時、どこからか声がした。
 ハッ、と顔を上げると、そこにはセフトとか言う男が立っていた。
 彼は僕を見て、その目を細めた。

「なっ……君は……」
「妹に才能で圧倒されて……悔しいんでしょう?」

 不敵な微笑を浮かべながら、セフトは少しずつ近付いて来る。
 反射的に、僕は後ずさった。
 な、何だコイツは……とにかく、逃げなくちゃ……。
 そう思っていた時だった。

「妹に……前原瑞樹に……嫉妬していたんでしょう?」

 ドクンッ……と、心臓の音が頭の中に響いた。
 認めたくなかった事実。
 僕は……瑞樹に嫉妬している。
 固まった僕を見て、セフトはニヤリと微笑む。
 それから、ゆっくりと僕の前まで近付いてきて、突然、僕の体を抱きしめた。

「ッ……!?」
「辛かったでしょう? 大切な妹に嫉妬してしまう自分と向き合うことは。でももう、大丈夫。苦しまなくても良いんですよ」
「……苦しま、なくても……良い……?」

 掠れた声で、僕は呟く。
 何だろう……凄く、安心する……。
 体から力が抜けるような……意識が、抜け落ちていくような……。
 瞼が重くなり、意識が遠退いて行く。
 倒れ込みそうになる体を、セフトが優しく抱き止めてくる。
 彼に体重を預けながら、僕は、襲い来る気怠さに身を委ねた。


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