二次創作小説(新・総合)
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- IS 〜if story:セシリアオルコット〜
- 日時: 2017/11/26 01:40
- 名前: やうゆ (ID: j24nS2D/)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12071
「一夏さん! 早く、こっちですわ!」
今年の台風もひとしきり過ぎ去り、冷たい風が吹き付ける。
俺、織斑一夏はこたつでぬくぬくしているところを半ば誘拐気味に外へと連れ出された。
「はぁ〜。やっぱり寒いこの季節はこたつでみかんだな」
人間をダメにする兵器、こたつ。
秋休みを利用して帰省してひと通りの家事を終わらせ、のんびりお茶とみかんをつまんでいた。
時刻は12時前。昼飯時で腹が減ってきたが、やる気が出ない。完全にこの兵器の虜となっている。
空腹と魅了とで葛藤している最中、インターホンが響いた。
「千冬姉かな?」
流石の来客には兵器も歯が立たず、一夏はインターホンへと向かった。
インターホンのモニタには、姉ではなく、見慣れた顔がカジュアルだがお洒落な格好で写っている。
「セシリアか? こんな寒い日にどうしたんだ?」
「い、いい一夏さん。ちょ、ちょっと近くを通りましたので、お顔を見ようかと思いまして」
いつも教室では腰に手を当てて自信を持ち、堂々としているセシリアがなにやらモジモジした様子でこちらを覗き込んでいる。
「とりあえず寒いだろ。家に入れよ」
「あったかいですわぁ〜。何ですのこの箱ぉ〜」
また一人この兵器の虜になってしまった。
腕までこたつに突っ込み、だらしなく頰を天板に押し付けている。ただ、一番だらしなくなっているのは顔だった。
「セシリア。紅茶で良かったか?」
「ひゃうっ」
背後から突然話しかけられ、完全に油断した顔と態度をすぐに正したせいで膝を打ってしまった。
痛みに耐えながら声の主に精一杯の笑顔で応えると小さく咳払いをして改めて姿勢を正した。
「別にそんなに緊張しなくても崩して良いんだぜ?」
「い、いえ。別に緊張なんて。。。。」
「そう言えば、俺まだ飯食ってないんだよ。セシリアはもう食べたか?」
「ちょ、ちょうど私もお腹が空いたところですわ!」
完全に目的を忘れていたセシリアは、目を輝かせて立ち上がった。
「お、おう。じゃあ何か作」
「一夏さん! 何かご馳走しますわ!」
セシリアはそう言うと一夏の背中を無理矢理押して外へと連れ出した。
- Re: IS 〜if story:セシリアオルコット〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/11/26 01:33
- 名前: やうゆ (ID: j24nS2D/)
「寒っ。。。。へっくしょん!」
もう一度言うが、冷たい風が吹き付ける秋冷に無理矢理外へと連れ出された一夏は、自分の腕を抱きながら縮こまっている。
「一夏さん。寒いでしょうからこちらを。。。。」
セシリアはどこから出したのか、一つの袋を一夏に手渡した。
受け取った袋の中を覗くと暖かそうな服が入っている。
「セシリア、サンキュ。めちゃくちゃ寒いから助かるぜ」
袋から引っ張り出し、急いで服を羽織るとセシリアは満足げに手を合わせて微笑んでいる。
「一夏さんさすがですわ。絶対にお似合いになると思ってましたの」
店の窓に映った自分の姿を見るといつもの自分とはかなり違う自分になっていた。
ブラックデニムとグレーのタートルネックだけの薄着からセシリアに渡された濃いキャメル色のロングコートと長めの紺のストール。
普段は制服か適当な私服で済ませるせいか、今の格好はまるで雑誌の中の誰かを見ているようなそんな感じがした。
「い〜ち〜か〜さんっ」
突然腕に抱きつきてきたセシリアは、何やら凄く満足気な笑顔でこちらを見上げてきた。
よく見るとセシリアも同じ色のコートを着ている。
いつもはもっとザ・お嬢様といった格好をしている印象だが、これはこれで良い。
「い、一夏さん。どうかなさいましたの」
「いやぁ、いつもと雰囲気が違うなぁと思って」
「今日は一夏さんとペアルッ。。。。じゃなくて、たまにはこういうお洋服も良いかと思いまして。に、似合っているでしょか」
「あぁ、なんだかいつもよりとっつきやすいと言うか。。。。くれたこのコートとそっくりだな」
「たっ、たまたま! そう、たまたま似たようなコートだっただけなんですの。それよりも一夏さん、早くお昼に行きましょう」
セシリアは抱きついた腕をそのまま引っ張るように一夏を連れて行った。
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