二次創作小説(新・総合)
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- ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇 であります
- 日時: 2020/03/21 16:15
- 名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)
ケロロ軍曹のキャラ達がなんやかんやで銀魂の世界に飛ばされてしまう物語です。
毎週土曜日と日曜日の間に2話か3話ずつアップする予定です。ですが、諸事情により、1ヶ月程空く場合があるかもしれないので、そこの所はご了承下さい。
注(キャラ崩壊、捏造等か若干あるかもしれません。)
〈大長篇〉
『真選組の赤い悪魔篇』>>17-33
- 第40話 二人きりな時程気まずい物は無い であります ( No.47 )
- 日時: 2019/03/03 19:16
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
ここは万事屋。一見、至って普通な感じはするが、室内では………。
「………………。」
「………………。」
「(…………何この状況…………。)」
室内には、真選組の隊服を着た赤い天人とメガネの天人が、机を挟んで座っていた。そこからは、とてもと言っていい程、プラスな雰囲気は漂ってはいなかった。
「………………。」
実は20分前………。
「あれ?神楽ちゃんどっか行くの?」
「おう!貯めに貯めた給料で酢こんぶ爆買いしてくるアル!」
「いってらっしゃ〜い。」
そう言い、神楽は定春と共に万事屋を出て行った。
「おい新八。いい加減こいつ何とかしてくれねぇかな?」
ぶっきらぼうに銀時がそう言う理由は、銀時の天然パーマで遊ぶトキキにあった。この世界に来た時からずっと、銀時の天然パーマをおもちゃの様に扱うものだから、銀時はずっと鬱陶しく感じていた。
「アハハ!このモジャモジャ楽しー!!」
「俺の天パのどこに面白みを感じてんだよこいつは。お前いい加減離れろよ。」
「だったら銀さん。そんなに嫌なら、刈ってしまいましょうよ。」
「……え?」
新八の発案に銀時は動きを止めた。
「トキキ君は銀さんの天然パーマが好きなんですよ。なら、それを無くせばいいんですよ。つまり、丸刈りにすればいいんじゃ?」
「冗談言うんじゃねぇよ。刈ったら元に戻らねぇだろ。」
「確かにそうですけど、その髪質も元に戻らないかもしれませんよ?天然パーマから解放されるかもしれませんよ?」
すると、銀時はすぐさま立ち上がり、財布を手に取った。
「ちっと床屋行ってくる。」
そう言い、髪に引っ付いているトキキと共に万事屋を出て行った。
「(あんな嘘信じるなんて、どんだけ天パから解放されたいんだよ……。
というか……、僕一人だけになっちゃった……。)」
新八は、自分しかいない室内を見渡した。いつもは銀時と神楽の口喧嘩でやかましかった室内も、しーんと静まり返っていた。
ケロロはタママと共にファミレスに行き、冬樹は桃華に遊びに誘われ、夏美は小雪とショッピングに出掛けた。その為、今は新八たった一人だけだった。
たまには一人も悪くない、と思い、お茶を飲もうとすると、インターホンが鳴った。
「はぁーい。」
依頼人かと思って、新八は玄関の戸を開けると、そこにはギロロが立っていた。
「あれ?あなたって……。」
「君は確か…………、そこら辺にいたメガネの天人。」
「僕ちゃんとした人間です。何ですか〝そこら辺のメガネの天人″って。」
「それより、ケロロはいるか?」
「ケロロさんなら……、朝から出掛けましたけど……、ケロロさんに何か用でも?」
「まあな。」
「……良かったら、帰ってくるまで待ちますか?」
「……そうさせてもらうよ。今日は特に仕事も無いからな。」
そう言い、ギロロは万事屋の中へ入っていった。
そして現在に至る……。
「………………。」
「………………。💧」
あれから20分は経つが、室内に響くのは、外からの雀の鳴き声と時計の秒針が動く音のみだった。
こんなに喋らないのはいつ振りだろうか。
新八は別にコミュニケーション力が無い訳ではない。人並みに話はするし、交友関係もそこそこある。
なのだが…………。
「(……話し掛けづらすぎる……。この人と一体どーゆー話をすればいいのか……。駄目だ、全く分からない。ていうか、何で『帰ってくるまで待ちますか』なんて言ったの?ケロロさんがいつ帰ってくるかなんて分かりもしないのに…。流石に20分も沈黙は耐えられない…何か話題を……。)」
流石に耐えかねたのか、勇気を振り絞って、新八は20分振りに口を開いた。
「あ、あのぉー。」
「ん?どうした?」
「……だ、だんまりもあれなんで、テレビでも付けましょうか?」
そう言い、新八はそそくさとリモコンを取り、テレビを付けた。テレビ番組で何か話題が生まれるかもしれない、という考えからなのだろうか。だが……。
『えー、今日は全体的に晴れる模様でしょう。』
今はまだ午前。これと言って面白い番組もなく、どのチャンネルもニュース番組や天気予報ばかり。それでも新八はめげなかった。
「……し、しばらく晴れの日が続くみたいですね……。」
「…………そうみたいだな。」
「………………。」
再び辺りは静まり返った。
「(余計に空気悪くしちゃったァァ!!何だよ『しばらく晴れの日が続くみたいですね』って!そんなの今知って何になるんだよ!駄目だ!!何も会話が思いつかない!!………!!そうだ!!)」
何か話題が思い付いたのか、新八は再び口を開いた。
「……真選組でのお仕事……どうですか?」
「………結構やりがいはあるよ。
元の世界では軍人だったから、その知識を活かして活躍することはかなりあったよ。」
「ケロロさん達とは同じ小隊で仲間なんですよね?」
「ああ。中でもケロロとドロロは子供の時からの付き合いだ。だからあの二人の事はよく分かる。知ってるか?ドロロはかつて、宇宙一のアサシンだったんだぞ。」
「ド、ドロロさんが!?すぐトラウマモードになるあの青い人が!?」
「その覚え方はどうかと思うが、そうだ。ドロロは小隊一の実力者だが、トラウマモードになると最弱になる、まあギャップが激しい奴だ。」
「初耳です……。」
「………というか、随分と饒舌になったな。」
「えっ!?あ、確かに……。(無自覚に普通に会話してた…これはいいかも……!)
あー、実は、このままだんまりなのはどうかな、と思って……。感じませんでしたか?25分前から凄い気まずい空気になってたの。」
すると、ギロロはふふっと不意に笑った。
「?」
「ふふっ……。まさか、俺と全く同じ考えをしていたなんてな。」
「え?ギロロさんもですか!?」
「ああ。俺もこの空気には耐えられなくてな。俺も何か話そうとは思ったが、いかんせん話題が何一つ無くて…。」
「やっぱ、そうですよね。二人きり程気まずい物は無いですよね。」
「だよな……ははは…!」
「そうですよねぇ…あははは…!」
しばらく二人は笑い続けた。
何故二人は笑っているのだろうか。沈黙から解き放たれたのがそんなに嬉しいのだろうか。はたまた、気まずい空気を変えれたのが嬉しいのだろうか。
「はははは………!……………。」
「……………。」
だが、笑っているのもそう長く続くはずもなく、再び気まずい沈黙の時間が始まってしまった。
「(……そんな予感はしたけど……どうしよう?)」
「(また気まずい空気になってしまった……。)」
顔を下に向けたまま、同じ様な事を考えている二人は、お互いの顔を見合わせた。
「……………。💧」
「……………。💧」
「……そういえば、ケロロさんに用って、一体何の用なんですか?」
またあの時の流れを掴もうと、新八は再び口を開いた。
「実は、三日前から俺の携帯電話が行方不明でな。心当たりがある所は全て探したが、全く見つからない。ケロロなら何か知ってるのでは、と思ってここに訪ねたんだ。」
「…………そういえばケロロさん、数日前から誰かとコソコソ連絡を取っていたような……。
何か、『明日には必ず届ける』とか言ってたような気が……。
でも、その件とはあんまり関係ないかもしれません。」
「……確かに、無縁かもしれないな…。」
すると、玄関の戸が開く音がした。同時に、聞き覚えのある声も聞こえてきた。
「ただいまでありま〜す!」
どうやらケロロが帰って来たみたいだ。
「あり?新八殿!何してるんであり……ゲッ!ギ、ギロロ!?」
「ゲッてどういうことだ貴様。」
「いやいやいや、何でもないでありますよ!」
慌てふためいた様子で、ケロロはそう言った。この時、既に新八は大体の事は悟っていた。
「そ、それよりギロロ、我輩に何か用でありますか?」
「ああ、そうだった。俺の携帯電話を見なかったか?三日前に無くなってな。何か知ってるか?」
「え…………。」
するとケロロは、そーっと左手を後ろに隠した。
「…………?お、おい。どうした?何か知ってるのか?」
「…え!?い、いや知らないでありますなー。ギロロの携帯なんて知らないでありますなー。どっかに落として誰かに拾われたんじゃないでありますかー?」
「……何でそんなに棒読みなんだ?💧」
鈍感なギロロは、まだ何も分かっていないが、もう読者の皆様は大体察しがついているだろう。
「というかケロロ、俺に何か隠してるのか?」
「いやいやそーゆー訳では無いでありますよぉ!」
すると、ケロロの左手から何かが落ちた。チャリンと音を出して、それは床に落ちた。ストラップの様な物だった。
「これって………携帯用のストラッ」
新八が言い終わる前に、後ろから銃声が聞こえ、弾がケロロの股を通り抜けた。
「ゲ、ゲロォ………!」
「これ……俺が携帯に付けていたストラップだよな……違うか?それを何で貴様が持ってるんだ?えぇ?」
鋭い目を光らせて、ギロロが銃を持ったまま、ケロロへと近付いていった。完全にご立腹状態だった。
「ち、違う違う違う!誤解であります!我輩もギロロとお揃いのを買ったんでありますよぉ!」
「ほぉ……なら、どうして携帯に付けていないんだ?何でさっき頑なに左手を隠していたんだ?何か理由でもあったのか?」
「ゲロォ………!!!💧」
「……俺の携帯を返してもらおうか……!!」
「ち、違うんでありますギロロ!!沖田殿に頼まれたんであります!!『最近うるせぇから何かあいつの弱みを握りたい』って言うから仕方なく…!!もし断ったら我輩が酷い目に遭う羽目にな」
ケロロが言い終わらないうちに、万事屋から爆発音が響き渡った。そして、丸焦げになった何かがどこかへ吹っ飛んでいったのが江戸の皆には見えた。
「……………ふぅ。」
「………あの……ギロロさん……。」
「……玄関をめちゃくちゃにしてすまないな。修理費は俺の方から出しておく。邪魔したな。」
そう言い、ギロロは万事屋から出て行った。再び一人になった新八は、爆発によってめちゃくちゃになった玄関を見つめ、へなへなとその場に腰を下ろした。
「……………何で運動もしてないのに、こんなに疲れてるんだろう………。」
新八は顔を上げて、青く澄み渡った空を見つめた。疲れたせいか、立つ気力すら無かった。
「ゲ……ゲロォ……ギロロの奴ぅ……!よくもやってくれたでありますなぁ……!」
一方、ギロロに吹っ飛ばされたケロロは、とある道路に倒れていた。
「仕方ないじゃん、沖田殿の頼みなんだからさぁ……!逆らったら何されるか分かんないんだからさぁ……!」
まあまあ、軍曹も伍長の携帯盗んだんですから、沖田さんも悪いし軍曹も悪い!しっかり反省して下さいよ!
「この借りは……絶対返すで、ゲロォォォォ!!!」
軍曹ぉ!!道路にいつまでも倒れてたら、そりゃ轢かれますよ!!
「これで吹っ飛ばされるの二回目〜〜!!」
軍曹ぉ〜〜!!
《作者からのメッセージ》
「ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇」「スーパーマリオアドベンチャー 〜SEVEN BRAVERS〜」作者の若大将です。
用事が長引いてしまい、予定日の2/23に投稿出来ませんでした。申し訳ございません。
今日からいつも通り投稿していきますので、今後もよろしくお願いします。
- 超重大なお知らせ であります ( No.52 )
- 日時: 2019/04/30 21:38
- 名前: 若大将 (ID: cbnYew9V)
作者の若大将です。
この度、この平成最後の投稿を節目に、『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』を休載致します。
決してネタ切れという訳ではありません。
実を言うと、私は高校三年生で、受験に向けて本格的に勉強しなければならない時期なのです。
その為、この投稿を最後に、約一年間の休載を決断致しました。受験が終わり、大学に入学した頃に、再び投稿の方を再開したいと思っております。
その間、忘れている人もいるかもしれません。
ですが、ここまで御愛読いただき、誠にありがとうごさいました。
- 投稿再開について であります ( No.53 )
- 日時: 2020/03/21 16:56
- 名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)
ここは、とあるスタジオの様な所。
と言っても、そこには横に長いテーブルと、二脚の椅子が置かれていた。さらに、それらに向かい合う様に、ビデオカメラが置かれていた。
しばらくすると、照明が点き、何者かがビデオカメラの電源をオンにした。どうやら、ビデオ中継を始める様だ。
すると、黒スーツを着た一人の男と、カエルの様な異星人が舞台裏から出てきた。そして、深々と礼をした。
そして、異星人がテーブルに置かれていたマイクを手に取った。
「えー、どうも。『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』の主人公である、ケロロ軍曹です。」
それに続くかの様に、男もマイクを持って、
「同じく、『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』の主人公、坂田銀時です。本日は、私共の為に、このような場を設けて頂き、誠にありがとうございます。」
「新型コロナウイルスの影響で、ビデオ中継という形で会見を行う訳ですが、何卒よろしくお願いします。」
再び、二人は礼をし、着席した。
「今回、このような場を設けて貰ったのは、他でもありません。」
「若大将が2018年から投稿をスタートした、『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』。2019年4月30日をもって、長い間休載をしておりました。」
「受験勉強という理由で、約11ヶ月程投稿を一時中断しておりましたが、今日2020年3月21日をもって、投稿を再開致します。」
「11ヶ月もの休載だった為、もう忘れている人がほとんどかも知れません。正直、作者自身も作品の存在自体、忘れかけていた所でした。」
「ですが、やはり一度始めた事は、最後までしっかりとやろう、と思い、作者は今日をもって再開する決断を下しました。」
「今後とも、沢山の読者様に読んで頂ける事を、心から願っております。」
「大変短いですが、以上をもって、会見を終了させて頂きます。ありがとうございました。」
「ありがとうございました。」
二人は立ち上がり、深々と礼をした。
どうも、若大将です。
この通り、今日から投稿の方を再開致します。今後とも宜しくお願いします。
- 第41話 主人公について であります ( No.54 )
- 日時: 2020/03/22 00:25
- 名前: 若大将 (ID: pakyHNO3)
さぁて、約11ヶ月振りとなるこの小説、私も張り切っていっちゃいますよ〜…って、あれ?……何か……とてもと言っていい程、そんな空気じゃ無い感じが……。
ここは万事屋。いつもなら、トキキが暴れて騒がしくなっているのだが、何故か今日に限って、中は静まり返っていた。
中にいるのは、ここの社長でもある銀時と社員の新八と神楽、ついでにペットの定春。そして、現在居候の身であるケロロと冬樹と夏美。さらに、ケロロ小隊員のタママとギロロとクルルとドロロであった。
「……………………。」
「……………………。」
ケロロと銀時が向かい合って座っている。それを他の者達が黙って見つめている。
「………そろそろ時間の10時だな……。」
「……始めるでありますか……。」
「ねぇ……始めるって、何を?」
実は夏美達は、「10時までには万事屋に来い。」としか言われておらず、何の為に呼び出されたのかが全く分からないのである。
しばらくすると、10時を知らせる時計の音が聞こえた。そして、ケロロと銀時が立ち上がり、
「これより緊急会議を行う!」
「途中退席は認めないであります!」
「か、会議?一体何のですか?」
「……逆に聞くでありますよ、新八殿?今まで、疑問に思わなかったんでありますか?」
「ぎ、疑問?」
何がなんだかさっぱりわからない。一体何に対して疑問に思わなければ?
「いい加減気付くべきだぞ?本当に疑問に思わなかったのか?」
「一体何をですぅ?」
「拙者も、皆目見当が……。」
他の一同も、全く分からない様子だ。
「………なら、仕方がない。」
そう言うと、二人は足を机の上に置いて、
「今日集まって貰ったのは他でもない!!」
「この『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』の主人公は一体どっちなのかを、はっきりさせようじゃないか!!」
「はーいかいぎしゅーりょー。」
「おつかれしたー。」
「「ちょちょっちょっちょっちょっと待ってお兄さぁん!!」」
出て行こうとした一同を、二人は食い止めた。
「何かと思ったら、んな事アルか。ペッ!」
「これこそ、本当の時間の無駄と言うやつだな。くっく〜。」
「全くだ。」
呆れた顔で一同は二人を見た。
「いやいやいやいや!ちょ待つでありますよ!!」
「何がそんな事だよ!!この小説の運命を左右する重要な事だろ!!」
「いや大して差し支えないだろ、どっちが主人公になったとしても。
つーかさっきのツッコミ古いんだよ。」
「いや、そこ触れる?」
「長い間休載してたから、色んな所から新しくしてかないと駄目アル。今は2020年アル。さっきのツッコミだって、否定しないツッコミじゃなきゃ、何にも新しくないアル。」
「確かにそれもそうだな。俺達も2020年でのやり方でやっていかないとだな。」
「だったら、2020年版のやり方は何なのかを考える会議をするのはどうでござる?」
「ドロロ先輩ナイスアイデアですぅ!」
「それじゃ、今から『2020年版のやり方を考えようの会』を始め」
「るんじゃねぇよぉぉ!!」
「何我輩達の事無視してくれるんでありますか!?」
「主人公の件は、そっちでフワ〜っと解決してください。」
「何『フワ〜っと』って!!完全に『適当に解決して下さい』って言ってる様なもんじゃねぇか!!」
「……じゃあこの際言わせてもらうけどな!!貴様らみたいなぐうたらで、ろくでなしで、リーダーシップの欠片もないバカタレ共に、こっちは主人公になって欲しく無いんだよ!!」
尖っている目をさらに尖らせて、ギロロは不満をぶつけた。
「一度、脇役の気持ちになってみたらどうですぅ?」
「はっきり言って、主人公としての自覚がないのでは?」
「くっくっく〜。自称・主人公感が凄ぇ。」
「ジャンプの主人公見習って下さいよ。恥ずかしい。」
それに追い討ちをかけるかの様に、タママ、夏美、クルル、新八が次々とダメ出しを放つ。ケロロと銀時に、ショックと言う名の矢が次々と突き刺さった。そしてトドメの一撃として、
「……というか、主人公降板しろヨ。」
神楽が特大の矢を放ち、二人を貫いた。精神的にトドメを刺され、二人は倒れ込んで、真っ白になった。
「聞いたかい軍曹君……俺達…自称・主人公だってよ……。」
「そいつは傑作でありますな……。我輩達実際、モブの中のモブでありましたからな……。」
囁かな細い笑い声が部屋中に響いた。
これを見兼ねた一同は、二人を抱えて、ソファーに座らせた。そして、二人に生気を戻すと、
「だったら、今日を境に、主人公とは何なのかを僕達が教えます!!」
「これで少しは主人公としての自覚を取り戻して下さい!」
いつの間になったのか、新八と夏美がスーツ姿になって立っていた。そして、二人の後ろのホワイトボードには、『主人公講座』と書かれていた。
「主人公講座?」
「僕達が今まで見てきた歴代の主人公の特徴を今から教えます!貴方達にはそれを頭に入れてもらいます!いいですね!?」
「もし、この講座を真面目に受けなかったら……。」
「う、受けなかったら……?」
「軽ーいお仕置きを受けてもらいまぁす♡」
夏美はニッコリとこう言ったものの、その後ろには、大量の重兵器を装備したギロロの姿があった。
「何が軽ーいお仕置きだよ。がっつり殺る気じゃねぇか。」
「主人公以前に、我輩達皆から恨まれてるの?」
「………まぁ、あながち間違ってないかもしれないわね。」
夏美の辛辣極まりない一言に、二人は本気で絶望しそうになったが、これも主人公としての第一歩を踏むチャンスだと思い、
「新八先生!夏美先生!」
「よろしくお願いしますであります!」
と言って、頭を下げた。
- 第42話 主人公を語ろう であります ( No.55 )
- 日時: 2020/04/19 23:08
- 名前: 若大将 (ID: CVAOp98G)
「いいですか?まず、あなた達両方に足りない物!何だか分かりますか?」
問い詰める様に夏美は二人に指を指した。
「りょ、両方?」
「えぇっと……。」
10秒程考え込むと、銀時が手を挙げた。
「小さい器!」
「それあったらこんな講座開かないわよ。」
すると、何がおかしかったのか、銀時は鼻で笑った。
「何言ってやがる?俺にはちゃんと大きい器があるんだぞ?
社員がミスをしても、寛大なる心でフォローし、正しい方向へと社員を導く。まさに、器の大きい理想の社長じゃねぇか。
これでも俺の事を器の小さい人間だなんて言えんのかぁ?
それにお前ら、大長篇見てねぇのか?最後はビシッと俺が敵にトドメを刺す、数々の名シーンを!
やる時はしっかりとやる!それがこの俺、坂田銀時なんだよ!」
また夏美に論破されるかと思いきや、(ケロロを除く)『ケロロ軍曹』メンバーは、少々納得気味だった。
「……確かに、銀さんの戦闘シーンは迫力あって面白かったわ…。」
「あながち、言ってる事は間違ってねぇな。くっく〜。」
「えっ!?ちょっと皆!何で納得しちゃってんの!?」
「(勝った!!)」
焦るケロロを見下ろし、銀時は不敵な笑みを浮かべた。
すると、座っている銀時の後ろから、新八と神楽の声と定春の吠えが聞こえた。
「確かに思い出してみれば、ちゃんと主人公らしい事はしてましたね。」
「私が今万事屋にいられるのも、全部銀ちゃんのおかげアル。ねぇ定春?」
「わん!」
こんな事を言われたものだから、思わず銀時は笑みが溢れた。
「お前ら……。そんなに俺のこ」
銀時が言い終わる前に、後ろから銃声が聞こえた。しかも弾は銀時の頬を擦り、机にめり込んでいた。突然の事で、その場にいたほとんどの者がフリーズ状態だった。
「…………え?」
銀時がゆっくりと後ろを振り向くと、満面の笑みを浮かべた新八と神楽と定春が立っていた。ただ、明らかに異様だったのが、神楽は銃口を、新八は木刀を銀時に向けていて、定春は牙を剥き出しにしている、という所だった。
「そんなに器の大きい社長、かつ主人公だったら……。」
「連載開始から払ってなかった給料も、今ここで払えますよね?社長。」
「…………えーっと………。」
さっきまで不敵な笑みを浮かべた銀時の顔は、一気に青くなり、汗だらけになった。
「そ、その件なんだけどよぉ……。ほら、一気に返すのもあれだから、少しずつ返す事にするよ…。ほ、ほら……まずこれ位……。」
震えた声で銀時はそう言うと、財布を取り出して、新八と神楽に手渡した。重さ1gの硬貨6個を。
「「…ふざけんのも大概にしろぉ!!」」
新八は木刀を振り下ろし、神楽は銃を連射した。さらに追い討ちをかける様に、定春が銀時目掛けて噛みつこうと襲い掛かってきた。
「ちょ待てって!!『ちょっとずつ』っつったろうが!!一気になんて無理だ!!」
「『ちょっとずつ』にも程度があんだろうが!!何だ6円って!!小学生のお小遣いより少ないじゃねぇかヨ!!」
「毎日6円ずつなんて、1年たっても2136円じゃねぇか!!1年かかってバイト2日分の給料しか貰えないってどういう事だコラァ!!」
「分かった分かった!!6円は無しにするよ!!つーか定春!オメェは何も関係ねぇだろーが!!何で俺の事襲おうとしてんだよ!!」
「襲おうとしてると言うより、もう襲われてますけど…。」
冬樹達の目線の先には、定春に頭を噛まれて、血だらけになっている銀時の姿があった。
「何にも関係ない?冗談じゃないネ!この前、定春にチョコレート食べさせようとしたくせに!!」
「チョコレートって、ペットにやっちゃいけない食べ物の定番じゃない!」
「しょうがねぇだろ!ドッグフードもねぇ!お茶もねぇ!あったのは俺が食べてた板チョコだけだったんだから!何も食わねぇよりはいいと思った俺の優しさだよ!!」
さらに苛立ちを覚えたのか、定春は噛むのを強めた。
「グルルルル……!!💢」
「……『死んだら何も意味ねぇだろ』だってよ。くっく〜。」
「(何で分かるの……?)」
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」
クルルに対する疑問をかき消すかの様に、銀時の悲鳴が部屋中に木霊した。
「結局、プラマイゼロじゃねぇかよ。」
モアの手当てを受けながら、不服そうに銀時はそう言った。
「「で、給料は?」」
新八と神楽は銀時に睨みを効かせてそう言った。
「分かった分かった。ちゃんと返すから。」
「この人が言うと、さらに信憑性が無いと思うのは僕だけですか?」
他の一同も頷いた。
「というか、大分話がズレてる気がするんでありますけどぉ。」
ケロロが主人公について話題を戻す為に、話を切り出した。
「えー、という事で、話を戻しますと、あなた方二人に足りないのは、ずばり」
「『責任感の無さ』でありますよね?」
新八が言い終わる前に、まるで分かっているかの様に、ケロロが発言した。
「へ?」
新八と夏美だけでなく、他の一同もきょとんとした。
「いやね、よくよく考えてみたんでありますよぉ。散々我輩と銀時殿が『主人公に向いてない』『降板しろ』と言われて…。そこまで言われるのには明確な理由がある、そう我輩は考えたんであります。
何がそんなに駄目なのか、思い返してみたでありますよ。すると、我輩にも、銀時殿にも共通する『欠点』。それは『責任感の無さ』なのではないか、という考えに至った訳でありますよ。違うでありますか?」
間違ってない。
確かに新八は、二人の『責任感の無さ』について言おうとした。
だが何故だろう。ケロロに対して、こんなに違和感を感じたのは。それは新八と夏美だけでなく、他の一同もそうだった。無論銀時もそうだった。
「隊長、社長という立場にありながら、我輩達の日頃の振る舞いといったら、何て体たらく!今思うと、とても恥ずかしいでありますよ。
でも、今日でそれもお終いであります。我輩は変わる。皆から敬われる隊長、かつ主人公へと変わるのでありますよ!!」
急変したケロロに呆気に取られた一同。だが、例外が一人。
「……ん?ギ、ギロロ殿?」
「ぐすっ……!!くっ……!ケロロ……!俺は……俺は猛烈に感動した!!」
「えっギロロ!?」
涙を流しながら、ギロロはケロロの手を掴んだ。
「ケロロ!分かってくれればいいんだ…!流石俺達の隊長だ!見直した!お前こそ、この小説の主人公に相応しい!俺はそう思うぞ!!」
「ギロロ伍長……!」
ケロロもうっすらと涙を浮かべた。
「おじ様……!今までの自分の失態を全て受け止めて、これからの道へと進もうとしているのですね……!
モア、涙を隠し切れません!てゆーか、感慨無量?」
「それでこそ軍曹さんですぅ!!自分の悪い所を認めたんですね!!」
「感無量でござる隊長殿、いやケロロ君!!」
「軍曹…やっぱり軍曹は……凄いよ…!」
「みんな……!!」
辺りは感動で埋め尽くされていた。そして、一同の心情はこうだった。
ケロロ軍曹。貴方こそ、この小説の主人公に相応しい。
一同からの拍手に包まれて、ケロロは泣きそうだった。
「みんなぁ……我輩に対してそんな有難い言葉を……!嬉しすぎるであります……!!」
「おい緑。」
声を掛けたのは銀時だった。
「もういいよ。お前が主人公で。お前がそんなにいい奴だとは思わなかったよ。俺は脇役で事足りるよ。」
「銀時殿……みんな……。
……トイレ行ってきていい?」
空気の読めない発言に、一同はガックシしようになったが、そんなのはどうでもいい位、辺りの空気は祝福ムードだった。
「早く行ってこいよんなもん。」
笑いながら銀時はそう言った。そして、ケロロは席を外し、トイレへと行った。
便座に座ると、ケロロは下を向いていた。
あれ?ひょっとして軍曹、号泣してるんですか?号泣したいのはこっちですよぉ!まさかあなたがあそこまでいい人だっ
「くくくく………!」
…ん?
ナレーターがよーくケロロの顔を見ると、ケロロは手を口に当てて、顔を赤くしていた。
ま、まさか……!
ケロロは感動などしておらず、ただ笑いを堪えていただけだった。
「くくくく……プフフフフ!!ww
(何て単純な奴らでありますか!w笑いで泣きそうでありましたよ!w
よくあんな薄っぺらい演技で感動出来るでありますな!w特にギロロ…!!wあの泣き顔、どうなってんでありますか!w顔しわっしわでありましたよ!!w
夏美殿にまた論破されて終わりかと思ったでありますが、まんまと騙されてやーんの!w
これで主人公の座は完全に我輩の物!銀時殿も完全に納得してるであります!後は適当な事言って、我輩の祝福パーティーでも開くとするでありますよ…!!ゲ〜ロゲロゲロゲロゲロゲロ……!)」
水を流して、トイレから出ようとすると、何故かトイレのドアが開かない。
「ん?あれ?こんなに建て付け悪かったっけ…?」
どんなに力任せに押しても開かない。体全体を使っても開かない。
「んん?しょうがない。誰かに開けてもらうでありますか…。
おーい!銀時殿!ドアを開けて欲しいでありますよぉ!」
だが、返事は聞こえず、それどころか、誰かが近付いてくる感じもなかった。
聞こえていない、とは考えられない。あれだけの大声を出し、リビングからはさほど遠くない。
焦りを覚えたのか、ケロロは自力でドアをこじ開けようとした。だがやはり、結果は同じ。びくともしない。
「えっ?どうなってんの?
……まさか……!!」
ケロロは顔を緑からドロロと同じ青色に変えた。
「(いやいやいや!そんなはずない!もし最初からバレてたなら、演技であんな涙を流すはずがない!!それに、全員が我輩を称賛……して…た?全員?)」
先程までのやり取りを思い出してみると、全員が称賛している後ろで、冷ややかな目でこちらを見つめていた人物が一人いた。
「(まさかぁ……!!!)」
「……く〜くっくっく〜。
どうよ?昨日出来た俺様の発明品の最新型セキュリティー南京錠『パーフェクト・エターナル・パドロック』略して『PEP(ペップ)』。
これをドアに取り付ければ、完全なる無音!永遠の静寂!完全に永久にロック!どう足掻いても、部屋から出られない奴だよー。ちなみに、解除する方法はたった一つ。契約者本人の承諾が無い限り、永遠にロックされたまんま。これで犯罪も激減間違いなぁし。こいつは売れるぜぇ〜。
しっかし、隊長の為を思うと……。」
クルルの目線には、怒り心頭の一同がトイレのドアの前に立っている姿があった。何やらブツブツ何かを言っている様だったが、あまりにもおぞましい言葉なので、ここで表現するのはやめておこう。
「とっさにコイツを隊長に取り付けて正解だったぜ。」
クルルの手には、小さいアンテナみたいな物があった。
「これも俺様が昨日開発した『心中だだ漏れ本人冷や汗アンテナ』。これは単純。取り付けられた本人の心の声がだだ漏れしちまう、本人にとっては都合の悪ぃやーつー。しかもめちゃくちゃ小さいから本人気付かないやーつー。
そしてぇ、それのおかげで全員怒り心頭なやーつー。」
どうやら、クルル以外は、本気で騙されていたみたいだった。
「おいおいおい。俺も忘れんなよ。」
…えっ!?銀時さん!?あなた、気付いてたんですか!?
「たりめぇだろ。まさかほとんど騙されるとは思ってなかったから、咄嗟に演技せざるを得なかったんだよ。」
「それよりもよぉ、どうすんだ?」
「何がだよ?」
「主人公。」
「あぁ……。何か、もう疲れたわ。というか、何かそんな雰囲気じゃねぇし。」
二人の目線には、殺意の権化と化した一同の姿があった。あの純粋無垢なモアでさえも、あんな感じだ。
「……まぁ、取り敢えずは、ダブル主人公を続けていくって事で。」
「変な蟠り生む位なら、それが一番かもな。」
「ってな訳で、しばらくはダブル主人公で、この小説は続いていくんで!」
「大分長くなったから、ここらで締めるかぁ。くっく〜。」
何はともあれ、再び帰って来た『ケロロ軍曹VS銀魂 次元を超えたコラボ篇』を宜しくお願いします!
「………ごめんなさぁい………。」
あんたは多分、反省しても許してくれません…。