二次創作小説(新・総合)

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ポケットモンスター REALIZE
日時: 2019/09/23 13:26
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12355

◆現在のあらすじ◆

最後の決戦と呼ばれた戦いから半年。
深部の世界が変わろうとしている中、それは始まった。
「日本一」
その称号に、全国のポケモントレーナーは立ち上がった。ジェノサイド'だった'人間もその内の一人である。
史上初にして大規模のこの大会は、人々を、若者を、真夏を熱狂へと導く。

第一章『深部世界ディープワールド編』

第一編『写し鏡争奪』>>1-13
第二編『戦乱と裏切りの果てに見えるシン世界』>>14-68
第三編『深部消滅のカウントダウン』>>69-166
第四編『世界終末戦争アルマゲドン>>167-278

第二章『世界プロジェクト真相リアライズ編』

第一編『真夏の祭典』>>279-
Ep.1『戦いの果てに』>>280-291
Ep.2『旧友との再会』>>293-302
Ep.3『Pax-準備期間-』>>304-330
Ep.4『夏のはじまり』>>332-345
Ep.5『繋がり始めた点と線』>>347-
行間(時空の狭間)>>279,>>292,>>303,>>331,>>346

~物語全体のあらすじ~
2010年9月。
ポケットモンスター ブラック・ホワイトの発売を機に急速に普及したWiFiは最早'誰もが持っていても当たり前'のアイテムと化した。
そんな中、ポケモンが現代の世界に出現する所謂'実体化'が見られ始めていた。
混乱するヒトと社会、確かにそこに存在する生命。
人々は突然、ポケモンとの共存を強いられることとなるのであった……。

四年後、2014年。
ポケモンとは居て当たり前、仕事やバトルのパートナーという存在して当然という世界へと様変わりしていった。
その裏で、ポケモンを闇の道具へと利用する意味でも同様に。

そんな悪なる人間達<ダーク集団サイド>を滅ぼすべく設立された、必要悪の集団<深部集団ディープサイド>に所属する'ジェノサイド'と呼ばれる青年は己の目的と謎を解明する為に今日も走る。

分かっている事は、実体化しているポケモンとは'WiFiを一度でも繋いだ'、'個々のトレーナーが持つゲームのデータとリンクしている'、即ち'ゲームデータの一部'の顕現だと言う事……。




はじめまして、ガオケレナです。
小説カキコ初利用の新参者でございます。
その為、他の方々とは違う行動等する場合があるかもしれないので、何か気になる点があった場合はお教えして下さると助かります。

【追記】

※※感想、コメントは誠に勝手ながら、雑談掲示板内にある私のスレにて御願い致します。※※

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Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.397 )
日時: 2019/10/14 18:38
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


『いやぁ〜やっぱり高幡不動と言ったら団子ですよねぇ〜。もう甘くてなめらかで最高です!』

普段は全くと言っていいほど聴く機会のないラジオ。
これも恐らくジェノサイド……改め高野洋平が置いていった物の1つなのだろう、と思いながらミナミは何棟ものある広い団地の敷地内に置かれた錆びれたベンチに小さな丸テーブルを用意し、そこにラジオを置いて聴いていた。

すると、何処からか最早聞き慣れたロータリーサウンドが聞こえてくる。
音の方向からして、敷地内の駐車場からだ。

「ったく、リーダー様ってのも気楽でいいよなぁ?部下に命令下しといて自分は優雅にコーヒーブレイクときている」

「組織の長が自由気ままに動いていたらそれはそれで危ないからねぇ。優雅でのんびりしていると見るか、動けない自由の女神と見るか、それはあなた次第よ」

「てめっ……言い方が段々とジェノサイドに似てきていやがるな。気持ち悪い」

そう言いつつ、雨宮は車から降りてずっと手に持っていた数枚のコピー用紙をテーブルへと放り投げ、彼女の隣へと座る。

ミナミはと言うと、雨宮の置いた1枚目の用紙に視線を落とすも、大した興味も見せずに引き続き飲んでいたアイスコーヒーとラジオに意識を向けた。

「んで、オマエは何聴いてる訳だ?」

「ん?ラジオのこと?"FM田無"っていうローカル局だよ。ほら、大会DJのリッキーが出ているラジオ局」

「あー、通りで聞いたことがある調子のいい声だなと」

番組を聞く限りだと、リッキーは今高幡不動にいるようだ。
東京都田無市(現在でいう西東京市)を拠点に、都内の色々なスポットを回り、そこにあるものや場所の実況をするというのが彼の仕事らしかった。

「珍しい試みよね。ウチは西東京市ってお年寄りばかりが住んでるイメージだと思っていたけれど、若者向けの番組を作るなんてねぇ。意外だわ」

「……西東京市がどうとか俺はよく分かんねーがラジオがそもそもお年寄り向けのツールなんじゃねェの?」

「Twitterと連動してるんだよ。呟きとかをDJが読んでくれるの」

「……ヘェー」

それには全く興味がありませんと声色で伝える雨宮だったが、いつまで経ってもミナミが用紙を手に取ろうとしないので若干キレ気味に、

「ってかよォ……この俺が折角ソレ持ってきたってのにテメェは一切興味がねェってか!?あれをやれこれをやれ言う割にはそれはねェんじゃねェの?」

と言ってはみるも、

「でも、それに重要な事は書かれていなさそうかも」

「オマエは全然コイツのスゴさを分かってない。いいから読んでいけ」

強く催促される事でしぶしぶページを捲るミナミだったが、異変はすぐに目に付いた。

「議事録……?ねぇ、これってもしかして……」

「議会の資料だ。お前らにも馴染み深い立川議会場からかっぱらって来た」

「盗んで来たって言うの!?バレたらどうなるか分かってるわよねぇ!?」

「ンなモンバレなきゃいいんだよ。その為にもさっさと折り曲げてあるページを早く捲れ」

別に今から急いだところで何も変わる訳がないのだが、不思議とミナミの手が早まる。

そして、例のページへと辿り着くと、

「デッドラインの……協力……者?」

「そうだ。そこにあるのは議会の連中しか知り得ないモノ……決して外には出てはいけないモノだ。よく見て頭に叩き込んでおけ」

ミナミは、自分の声が震えているのが分かった。
声を発し、遅れて脳がその声1つひとつを理解しようとするため、総合すると若干のタイムラグがあったが。
そのせいか、内容が中々頭に入ってこない。
ゆっくりと、呼吸を整えながら文字を追っていく。

「もういいか?」

「……えぇ」

ページを捲った事で読み終えたことを確認すると、雨宮はその用紙の束を取り上げるとポケットからライターを取り出し、燃やし始めた。

「ちょっ……何するのよ!?」

「いつまでも持っていたら危険極まりねェ。内容は頭に入ってンだ。ならばもう、コイツは不要だ」

赤い炎は揺らめきながら静かに束を燃やし、その灰を風に運ばせる。
最後に、雨宮が持っていた紙片のみが残る。
彼はそれさえも迷いをみせずに投げ捨てた。

「デッドラインには協力者……と言うか設立の為に働いた者が居た」

「でも……その名前が本当なら、存在する意味が分からないわ……。デッドラインの真の正体が分からない限り何も」

「そういう事だ。デッドラインの鍵と呼ばれたヤツの存在も丸々無意味なものにも見えてくるが……どうする?捜査は続けるか?ここで止めるか?」

うーん、とミナミは唸りながら悩んだ。
状況と最新情報を整理しなければ次の行動に移せない。
もっとも、その作業にそれなりの時間が掛かりそうではあるのだが。

「塩谷利章……。杉山を排除して自ら下院議長となって、これまでに色々とウチらを助けて来た彼が……デッドライン設立の協力者ですって?」

Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.398 )
日時: 2019/10/18 12:44
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


日付をまたいで8月2日。
街ゆく人は相変わらずだと思うほどに暑く輝く真夏の日差し。

照らされて焼石となった砂利の上を、

「イエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエイ!!!!!!!」

と、叫んで水の中へと飛び込む者が1人。

「やべー、すっっげぇ気持ちいい!!」

「んじゃあ俺もー!」

と、大きな体と大きなしぶきを上げてそれは水の中へと沈んでいく。

彼ら、神東大学の旅行サークル"traveler"の面々は、大会会場のすぐ近くの多摩川河川敷でバーベキューに励んでいた。
その中で、いてもたってもいられなかった北川と吉川が川へと飛び込む。

食材を焼いている香流と高畠が元気の良さそうな子供に対して見ているような眼差しで2人のじゃれ合いを見つめていた。

「元気ねー、あいつら」

「ね。暑いから気持ちは分からんでもないけどねー」

木曜の話し合いの結果、"今季のお疲れ様会"と称したついでに、"香流チームとレンチーム予選突破おめでとう会"と称した打ち上げ紛いの集まりを行う事になったのだ。
そのためか、普段サークルにあまり来ていない後輩の子達や北川や岡田と言った珍しい人らもやって来ている。

「さて、私はポケモンをやってないからよく分からないけれどー?……予選突破おめでとう!香流、豊川!そして山背くん!お気持ちの方はどう?」

既に焼きあがった肉を皿に盛り付けたかと思うと一目散にベンチへと座ると高畠はそんな事を尋ねながら食べ始めた。

相変わらず食い意地だけはスゲェなと思っても言えない言葉を頭の中に思い浮かべてはすぐに消すと香流は、

「うーん……どうって言われてもねぇ……」

と、だけしか言えずにいると今度は豊川も乱入してきた。

「これからだからな。俺らは」

「でも僕2人の足を引っ張っていないかずっとヒヤヒヤしっ放しだったよ!……大丈夫?僕、やれてる?」

申し訳なさそうに言う山背をよそに、そんな事は全然無いという意味も含めて2人は大丈夫だと言う。
声色でそれははっきりと分かった。

「結局レンの奴来なかったな……」

高畠に代わり、岡田が野菜を焼き始めながらそんな事を言った。

「薄々感じてはいたけど来なかったねぇ。この前なんかこっちのウチにも来たし」

「は!?」

と、驚く素振りを見せたのは岡田でも吉川でもなく、石井だった。

「それっていつの話?」

「えっと……29日の……水曜日」

「今週のだよね?それって何で!?」

「何でって言われてもなぁ……理由はアレしかないよ」

香流は明確には言わない。
だが、それだけで互いに理解出来るものがあるからだ。

「来たのはレンだけじゃなかった。見た感じ高校生くらいの男子も一緒だったよ。話を聞く感じ先輩と後輩というか仲間同士って雰囲気だった」

「へぇ……そ、そうなんだ」

高校生というワードに違和感が残るものの、今の高野がまたよくない連中とつるんでいるらしい事はこの瞬間石井の中で確定した。

もっとも、メイやルークといった人たちもいたが彼らはあくまでも大会限定での交流というイメージだったのだ。

「ねぇ……レンってさ」

石井は特定の誰かに尋ねるような言い方ではなく、とりあえず今の気持ちを吐き出すかのような淡々とした雰囲気をあらわにした。
それにまず最初に反応したのは香流だった。

「香流との……前のバトルで約束したはずなんだよね?もう二度と……深部とは関わらないって。そのはずだよね?」

「勿論そうだよ!……そう、だと……信じたいけれど……」

だが、今回のような場合は?
仮に自分が、高野洋平という男が真面目にも香流との約束を守って深部とは一切の関わりを持たない状況において一方的にあちら側から仕掛けてきた場合は?

香流にも答えは分かりきってきた。
同じような悲劇を繰り返さない為にも、その道のプロに協力、依頼するはずだ。

それは、自分の仲間を守る以外の意味はない。
香流は、嬉しさ反面複雑な気分で満たされる。

焼きすぎた肉の焦げ付いた臭いが鼻を刺激した。

Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.399 )
日時: 2019/10/18 14:37
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


「こ、こんちは〜……」

「……あっ、こんにちは」

吉岡桔梗はただひたすらに緊張していた。
まさか本当に高野の友人を狙った犯人とオフ会する事になってしまって、今目の前にその人本人がいるという普通に考えれば普通でない事態に陥っているせいで。

一応の作戦は頭の中に入ってはいる。
その為にわざわざ金曜に皆で池袋に集合したからだ。

(あとは自然な流れでこの人を例の袋小路まで誘導しないと……でも、出来るのか!?僕に〜……)

「えっと〜……なんて呼べばいいですかねぇ?ハハハ……」

「そ、そうですね。じゃあヨシキって呼んでください。それか名無しさんで」

「わ〜かりました!では、ヨシキさんでっ!」

怪しまれないようにと元気そうな声で振る舞うも、いざ2人で歩こうとなると途端にこれでもかと言うほど周囲をキョロキョロ見だす。
相手を罠に誘うことばかり考えていたせいでオフ会そのものはノープランだった。

だから彼は緊張していたのだった。

「どんだけ口下手なのよ吉岡ァァァ!!……」

そんな2人の光景を建物の壁から顔をひょっこり出してはじーっと見つめ、思わずひそひそ声のまま叫んだ相沢は共に隠れて覗いている東堂に同意を求めた。

「つーかどうすんだアレ……まともに話そうともしないから相手ぜってぇ警戒してるぞ」

「吉岡じゃあダメだったのかな……」

2人からそれなりに離れているにも関わらず小さく話すとはこれ如何に。
しかし、最早ツッコミ要因が居ないため2人は引き続き出来の悪い漫才を続けていく。

「あの〜……ヨシキさんはジェノサイドに対してどんな作戦を……」

吉岡が言いかけた時、男は不自然に彼を睨んだ。
まるで、自分を騙そうとしているんじゃないかと思われる人に対面した時のような顔だ。

「えっ……!?あっ、えっと〜……」

吉岡が混乱して何を言えばいいのか上手く回らない頭を無理矢理回転させようとするも言葉が出てこない。

「静かに暗殺。これが1番やりやすいと思ってはいます」

「そ、そうですか〜」

作り笑いを浮かべながら吉岡はとりあえずペースだけは作ろうと彼より一足先に歩き始める。

今彼が居るのは池袋駅周辺。
周りの地理は金曜に来た時にある程度は確認済み。
作戦通り事を上手く運ばせるしかない。

「や、やっぱり試合を観戦している時にサックリやるのが良いんですかねぇ〜!?目立ちそうで案外目立たなさそうですね!?」

「いや、1人で歩いている所を狙います。ドームシティは広いです。ジェノサイドは深部の世界から離れて危機感が無くなっていると思われるので人気の無い所をやります」

「へ、へぇ〜……」

「と、言うかこの事も前にLINEで話し合いましたよね?忘れちゃいましたか?」

瞬間。

その言葉に吉岡の呼吸が止まった。

暑いのも相まって大量の汗が顔を覆うほどに流れ続ける。
街は騒がしいのに自分の心臓の鼓動が相手にも聴こえているのではないかと思うほど高らかに鳴り響く。

「わ……」

それでも、吉岡は言わなければならない。
ここで疑われて作戦が終いになるわけにはいかない。
とにかく、真実であるかのような嘘を言うしかない。

「忘れちゃいました〜あははっ!すいません〜……。僕、部活のLINEが毎日鳴りっぱなしになるから他の人のメッセージを放置したり内容をごっちゃにしちゃう時あるんですよ〜……いやぁホントすいません」

「大丈夫です」

冷ややかな眼差しは相変わらずだが口調が少し穏やかに聞こえた気がしたのは吉岡の希望的観測だったかもしれないが、とりあえずその場しのぎとしての誤魔化しは出来たようだった。

「あれっ、」

吉岡は突然前を歩く足を止めた。
男も不思議そうにどうかしたか尋ねてくる。

「あれぇ〜……おかしいな〜。サンシャインまでの近道こっちで合ってたはずなのにちょっと道間違えたかもしれないです」

周りに目をやると商業施設から少し離れた場所なのだろう。
人の影が明らかに少なかった。

「あの……ホントすいませんね〜……。グダグダなオフ会で……確かこっちだったはずだ!」

「大丈夫です。お気になさらずに」

吉岡の示した道を、ヨシキと名乗った男はついて行くように歩く。

傍から見ても吉岡の混乱ぶりは誰の目から見ても明らかだった。

Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.400 )
日時: 2019/10/18 17:13
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


「あ〜、やっぱりそうだ!こっちだこっちの道!ごめんなさいヨシキさん〜。僕、田舎者のせいで池袋とか慣れていなくて……」

「大丈夫です。お互い様ですよ」

目的地までの道順を思い出した吉岡は、記憶を頼りに見た事のある建物や地形を辿って前へと進む。
所々隠れた名店を思わせるような珍しい飲食店が目に付くも、2人はそれを華麗にスルーしていった。

「え〜っと……ヨシキさんでしたっけ?あの〜……ヨシキさんはサンシャインシティとか行ったことはありますか?」

突然、吉岡は後ろへ振り向いて彼に尋ねてみた。
何故か、先へは進もうとしない。

「え、えぇ。来た事は……ありますよ。それが何か?」

「実は〜……申し訳ない話また道をド忘れしてしまいまして……ここ曲がったら近道だということまでは覚えているんだけれど、そこから先がどうしても思い出せないんです〜……。なので、」

「道案内してくれってことですか?いいですよ」

と、ヨシキはペコペコと頭を下げる吉岡を横目に一歩前へ進んだ。

壁で遮られていたその先の道が見える。
数歩歩いて体の向きを変えたとき、異変は起こった。

「ん?」

ヨシキの目の前には、暗い石の壁が立っているのみだった。
つまりは、行き止まりだろうか。
ヨシキは少し気になりながらも、後ろに控えている吉岡へ質問をする。

「あの、本当に此処で合っているんでしょうか?行き止まりしか……」

そこで声が詰まった。

背後には誰も居なかったからだ。

「えっ?」

何が起きたのか再び壁のある方へ視界を戻したその直後、体が文字通り硬直してしまう。

「……うわっっ!!!?」

その原因は驚きにあった。
自分の目と鼻の先に鋭い眼をしたゾロアークが立っていたのだから。
まるで初見でビックリ系ホラーのFlashを見てしまった感覚。

身体から魂が抜けたような、一切の命令を効かないその一瞬をゾロアークは見逃さなかった。

ヨシキの意識と判断能力が戻った時には既にゾロアークに羽交い締めされたその時だった。

何が起きているのか分からない。
どうしてこうなった。

尚も頭が混乱している中、向かいから喜びでも表すかのような歓声が聞こえた。

「やったあぁぁ!!上手くいったかも!!」

「うおお!吉岡のヤツやるじゃねぇか!」

目の前には見知らぬ男女が2人。
1人はポケモンとは無縁そうな女子と、もう1人はこれまたポケモンなぞ知らんと言っていそうな、むしろスポーツでもやっていそうな男子。

そして、その後ろからは本物の詐欺師が現れる。

「まさか……騙したのか?俺を」

「こうでもしなきゃ……ダメかな〜と思って」

「ふっざけんなよ……」

力を緩んでくれないゾロアークのせいで身動きの取れないヨシキは本来であればガックリと項垂れたような表情を見せた。

「待てよ……?」

ヨシキの中で"嫌な予感"が駆け巡る。
何故自分を騙したのか。
ここに至るまで自分はどんな話をしたのかを。

「まさかお前ら……ジェノサイドのグルか……?言動の怪しい奴を片っ端から探し出して見つけ出してこうやって1人ひとり不穏分子を処理していくってか!?」

人間としてのジェノサイドは消えても威厳まではすぐには消えない。
昔の言論統制を行う国家のように、不満を言う国民を人づてに捕まえる。
そのやり口がヨシキの頭の中で駆け巡った。

と、なるとここまでする目的は何なのだろうか。
ジェノサイドがまだ存在しているという意味なのか。

しかし。

「半分正解だが半分間違いだ」

いつの日か、聴いた声をその耳が捉える。
かつて対峙した人物の声だ。

「ヨシキって聞いてまさかとは思ったが……お前だったとはなぁ?」

「じぇっ……ジェノサイド……!?」

拘束されたヨシキの眼前。
3人の高校生の影を縫って現れるは、ついこの前まで最強だった人間、ジェノサイド。
姿格好や雰囲気が大分違ってはいたが、本人に変わりはなかった。

「お前の仕業かっ!!」

「"元"シザーハンズのヨシキ……。いつの日か戦ったよなぁ?去年だったよな。お前も懲りねぇよな」

「何が目的だ!!お前はもう深部にはいらない存在……またお前はあの世界を滅茶苦茶にする気かよ!」

「じぇんじぇん違う。さっきよか正解から離れたぞー?。……俺はな、追っていただけだ」

高野の言葉にヨシキの体がぴくりと動く。
それを察知したゾロアークは、持ち手を変えるとヨシキをアスファルトに叩きつけた。

ご丁寧に顔と両手を縛り、全体重を乗せて殊更に身動きを封じる。

「ぐっ……がっ……」

「正直に答えろ。お前、両国で何をした」

「ぐっ……いだっ……痛てぇ……」

「お前に協力した人間は誰だ」

ヨシキは小さく呻くだけで何も喋らない。いや、喋れなかった。
それを半分分かった上で高野は続ける。

「お前の背後に……誰が居る?」

それでもヨシキは答えない。
目の前の憎い人間の存在に加え、自分の純粋な心を弄んで誑かした事に。それも、自分より歳下の高校生を使われた事に。

「答えろっ!!テメェの犯行動機と……仲間を言えっ!!」

高野はついに激昴した。
わずかに視認できたヨシキの服の襟を掴むと胸倉を掴む感覚で引っ張る。
しかし、それでも彼は答えない。

そろそろ相沢にゾロアークに対して命令しろとアイコンタクトを送ろうと真後ろへ目をやった。

その刹那。

高野の手から、ヨシキが離れた。
いや、無理矢理剥がされたといった方が正しかった。

反射的に高野はヨシキへ目をやる。
すると、何かしらの攻撃を受けたヨシキが後方、つまり壁のある方角へと体が飛び、その攻撃を察知した相沢のゾロアークはそれを受ける前に真上へと飛んだ。

彼が見たのはその瞬間の光景。

攻撃の正体は鋭い針のようだった。
目で確認できないスピードで打たれたそれは、ヨシキの掌と体へ突き刺さる。

(まさか……口封じ……!?)

高野にとって最悪の結末が頭を過ぎった。
せめて攻撃の主が誰なのか見ておきたい。
高野は改めて相沢や吉岡の立っている方へ首を動かす。

だが。

「そこまでだ。説明は私がしようか」

「お前は……?」

常に余裕を浮かべているかのようなあの声。
当然ながら聞き覚えがあった。

片平光曜。

そこには、紛れもなくスラッとしたスーツを着た議会の人間が、常にデッドラインの鍵と共に行動していた男が、自身のポケモンであるスピアーを連れて確かにそこに、彼の前に立っていた。

Re: ポケットモンスター REALIZE ( No.401 )
日時: 2019/10/20 16:00
名前: ガオケレナ
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no


その存在が、その登場が高野洋平にとってはあまり歓迎出来ないものだった。

むしろ、今1番会いたくない人間である。
そんな男が、何故今この場所で元ジェノサイドと元シザーハンズが接触していたのかを分かっているのか、理解が追い付かない。

「私が説明する。君たち全員私と一緒に来てくれ」

「いや、それは出来ねぇ」

否定したのは高野だった。

「お前について行くのだけはダメだ……。よりにもよって、デッドラインの鍵とずっと居るような奴なんか……」

「それも含めてすべて話すと言っているんだ」

片平は聞くのも無駄だと察してか彼の言葉を途中で遮る。

「コイツをどうにかしなきゃならねぇ……」

高野も同様に意思を変えまいと別の話題、ヨシキの元へ歩こうとした。

「"それ"は、もう少ししたら私の部下が回収にやってくる。"それ"と"それに関する疑念"には心配しなくていい」

「だとしても……っっ、お前だけは信用ならねぇ!」

「それは私も同じ事だ。だが……」

「そうよー?レン。ここは彼を……私たちを信じて」

何よりも耳を疑ったのは片平の言葉を遮ってまで聴こえてきた女の声。
飽きるほど聞き慣れた声だ。

そして、自分にとってとても密接な関係の人でしか呼ばない"レン"というあだ名。

「お前……メイ、なのか……?」

「向こうに車を用意しているわ。さぁ、行きましょう?」

ーーー

ご丁寧にも、8人乗りの車が駅のロータリーに用意されていた。
車のロゴを見るに、それは日産の車らしかった。

「乗ってくれ。話は道中でする。それから……君たち」

と、片平は3人の高校生に対して呼びかける。
これから一体何が起きるのかと若干怯えているようにも見えた。

「君たちも来てくれ。あまり関係ない話ではあるのかもしれないが……まぁ折角だ」

高野と片平、ポケモン部の3人に加え、メイを含むFirst Civilizationの人間が2人、そして車の運転手を合わせて8人。丁度であった。

疑いを向ける眼差しを向けながら乗っていく高野に片平は、

「大丈夫。乗った瞬間に爆発などしないさ」

と言うと、偶然聴いていた最後列に座っていた相沢と東堂が吹き出す。

助手席に片平が乗り、全員が乗った事を確認すると運転手へ合図を送ると車は走り出した。
2人の受け答えを聞く限り恐らく上司と部下のような関係だと高野は勝手に想像する。

何の変哲もないミニバンは都会の喧騒に揉まれながら徐々に徐々に、ゆっくりと摩天楼を抜けていく。

「これから何処へ向かうんだ?」

「別に変わった所じゃない。大会会場さ」

片平の答えに、高野は腑に落ちないようだった。
それをミラーに反射した彼の顔を見て片平は少しにやけながら言う。

「電車の方が楽だろって?普通はそうだろうね。まぁ、こうした方が議員としての立場を考えると1番楽なんだ。……それに、ここなら聞かれると困る会話も出来る」

「イマイチ分からないんだよな。何で池袋から辺鄙へんぴな会場まで行くのかが」

「それは君の勝手だろう?私たちの拠点が東京西部なだけで君が今日あそこに居ただけの話さ」

「んで?話ってなんだ?」

このままでは話は先に進まない。
高野は心の中では不満が残ったまま次へと移す。

「そうだな……どこから話せばいいかなぁ……」

片平は胸ポケットを探りながらそう言った。
中には煙草が入っているのだろう。
だが、状況が状況なのでポケットを弄ぶだけに留めた。

「あの場所に君が居た事を教えてくれたのは彼女たちだ」

片平は虚空を見つめた。
後ろの3人には理解できないことだったが、高野はすぐに意味を察した。
真隣にメイが居るからだ。

「そうだよ……何でお前がアイツと共に居たんだよ……」

「あはは〜……ごめん最後の最後まで隠してて。実は〜……」

「思えばお前は最っ初からおかしかったよなぁ?突然俺たちの前に現れたりいついかなる時も俺について来ていたり。やっぱりお前はアレか?自分の組織を潰した存在が憎くて復讐しようと機を伺ってた訳か?」

「違うわ、レン。その話は少し繋がってて……」

「言い訳は聞きたくねぇ。"はい"か"いいえ"だけで答えろ」

「静かにするんだ元ジェノサイド。此処に君の命を狙う輩は居ない。ならば急かされる必要も無い。子供じゃないんだ。黙って私の話を聴くだけでいい」

「続けろ」

小馬鹿にされた事で高野は小さく舌打ちした。

「彼女と彼女の仲間……名前は確か……」

「オサムっす」

「そうか、オサム君だ。とりあえず、元First Civilizationの2人が例の事故を独自に調査してくれていてね?」

「事故?……まさか香流のアレか」

「そうだ。今だから言えるが、私もアレには正直驚いた。こんなにも早い段階で来るなんてね。だが、君のいる手前じゃあ真実はまだ話せなかった。そこで、君に近しい人を用意して、出来るだけ君が深部の世界に入り込まないように独自に調べてくれていたんだが……」

「あなたも同様に事件を追っていた。しかも、犯人をネット上で捕まえてオフ会までするっていうとても回りくどい方法でね」

「そんな事が……いや、お前なら有り得そうだが……ん?ちょっと待てお前ら。今……」

「あなたは片平光曜を敵だと思っていたでしょ?でも、実は逆よ。どちらかと言うと仲間の部類」

「本人の前で言われても、私も少し照れるのだがな……」

いい歳したオッサンの照れるところなどに興味が沸かない高野は、意外には思うも顔には出さない。
ジェノサイドがそう簡単に本音を出してはならないからだ。

「あの事故にも……一応の意味はあったんだ」

「最強を倒した存在を自分が倒して最強になるってヤツだろ?深部ではよくある事だ」

「いや、違う。そんな単純なものじゃない。それに、最強という部分に拘わればそれは君の周囲でのみよくある事だ」

確かに、単純なものであればそもそも協力者など不要なものだ。
高野はそれに薄々気付いてはいたものの、詳細が分からない以上軽視していた。

「アレにはまた別の意味が含まれていた……。それは、大会にも関係する事なんだ」

「大会?それに香流がどう関係するってんだよ」

「あの大会を、開催する理由……目的があるって事さ」

目的。
高野は以前、メイと話したことを朧気ながらも思い出す。
表向きの目的とは違うものがあると。

「あの大会は確か……深部での人材確保ってところだろ?」

隣で聞いたメイはふふっと笑った。
自分との思い出を覚えていたことに。

「それも理由のひとつだが……。まだあるんだ。真の目的というのが」

「真の目的?」

「君だ」

「?」

「"元"ジェノサイドの高野洋平と彼を倒した香流慎司。この2人を深部の世界に招き入れる事。この2つの大きな戦力を、深部が、我々議会の管理下に置くこと。これに尽きるのさ」


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