二次創作小説(新・総合)

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題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編)
日時: 2019/03/27 15:43
名前: 燈火  ◆UJcOcbdIPw

 どうもよろしくお願いします。既に完結した漫画や1作品で完結しているゲームなど視覚的効果を中心とした作品を対象に淡々と展開を追って文章を付け加えていくスタイルで小説を執筆していこうと思い立ち、このスレを立ち上げた次第です。

 パクリと思うかもしれませんがよろしくお願いします。
 基本的には、1つの作品を練習曲エチュードという単位にして、その作品の終了までを完結として物語を書いていきたいと思います。

 ~目録インデックス

練習曲エチュードNo1 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
序幕プロローグ誕生バース

>>1

第1章「少年期編」第1話「サンタローズにて」

>>4 >>6 >>7 >>8 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16
 
第1章「少年期編」第2話「凋落城レヌール亡霊レブナント

>>17 >>18 >>19 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26


 ~他情報インフォメーション

>>2 >>20

 ~お客様カスタマー

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注意アテンション
・公序良俗にもとる表現が対象とする作品によっては入るかもしれません。ご了承願います。できる限り軽めにはする所存です。
・ステマや荒しは徹底的な無視を願います。発見次第最優先で削除依頼します。
・誤字脱字、文章のミスなどのご指摘は大歓迎です。ドシドシお願いします。



――――トリップを忘れたので変更しました(苦笑

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Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.22 )
日時: 2019/02/20 21:44
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

 サンチョとの修行が始まってすでに2日が過ぎた。当然ながら、読み書きをすぐにマスターできるはずもなく。算術に関してもそれは同じ。ビアンカは退屈で悶々とした時間を過ごしていた。アベルたちが滞在できる期間は恐らく、あと5日。パパスが5日間ずっと病床に就いているとも限らない。
 不謹慎だがパパスの病気が長引けばいいなどと思ってしまう。普通の風邪ではないとのことだが、彼ほどの力の持ち主なら余程の病気でも死なないだろう。むろん、彼の病気が長引きこちらで長時間滞在するということモあり得る。だがその確率は死ぬと同じ位低い。
 今は休憩時間。丁度アベルは父のところへ見舞いに行っているのでいない。つまりサンチョと2人きりだ。こうなったら本心を打ち明けてみよう。それで駄目ならアベルを夜中に巻き込む。ビアンカは気の早い結論を導き出す。

「はぁ……上手くいかないなぁ」

 わざとらしい口調で彼女は言う。
 
「おや、困り顔ですな。坊ちゃまのペースに合わせ過ぎで学ぶべきことがない、という感じでしょうか?」

 サンチョは少し怪訝な表情を浮かべながら問いかけた。ビアンカの本心がそうではないことを見抜いているようだ。

「あのね叔父様。聞いて……」

 ビアンカは3日前のあらましを話す。変わった猫が近所の悪ガキたちに虐めあれていたこと。その猫を助けるために譲り受けることにしたのだが、その条件としてレヌールの亡霊を倒してみせろといわれたことも。包み隠さず言うビアンカの口調は興奮気味だったが、むろんサンチョは難色を示す。

「成程。魔物を倒す力を得たいがため、私の授業を受けることを考えたと。レヌールの亡霊。実際に存在するようですな。霊的な性質を持ったモンスターの軍勢。しかし、彼らはその場から動くこともなく、無害とのことで討伐をしない方向になっています」
「つまり何が言いたいの叔父様?」

 額に手を当てながらサンチョは溜息を吐く。討伐する必要がないから無視する。相手が本格的に周辺区域に進出するようなら駆除対象とするということは、この世界で言えば下手に手を出せば危険であるということだ。この大陸を統べるラインハット王国の斥候せっこうによれば、少なくとも亡霊城に巣食う魔族の主犯格は将軍クラスの実力らしい。
 その階位の魔物がいるとなれば、国家が軍を引き連れて挑む案件だ。本来ならば近くにあった友好国であるレヌールが滅んだ瞬間に、魔族への報復として殲滅すべきである。しかし将軍級が居座ったことで、それもそう簡単にいかないという状況なのだ。

「半端な力を持った子供が1人、自殺に行くことを止めないのは大人の義務に反しますな」

 威厳に満ちた声でサンチョは告げる。少し前に自分が敬愛する存在がそれをしかけたばかりだ。今回は何が何でも止めなければならない。普段の優しい顔は鬼のような形相ぎょうそうをしていた。ビアンカは息をのむ。そして自分の賭けがいかに愚かであったかを思い知った。そして何も言わず、走って部屋を飛び出した。途中で父の見舞いから戻ったアベルに会う。

「アベル……」
「なんで、泣いてるの?」

 滝のように涙を流すビアンカを見詰めながらアベルは問いかける。

「サンチョ叔父様に無謀な自殺はやめろって、怒られた」

 アベルはやはりそうかと胸中でつぶやく。

「……ねぇ、ヒックスとロマーオって言ったっけ? あの子たち。相変わらずあの猫を虐めて遊んでたよ。前より明らかに怪我、酷かった」

 どうやらアベルは見舞いだけではなく、猫の状況確認にも行っていたらしい。道理でいつもより戻ってくるのが遅いと思った。そのおかげでサンチョとの会話を聞かれずに済んだのは幸いだと思う。一方であの子供たちはやはり飽きてなどおらず、このままいけばあの猫は殺さあれる。その実情も分かった。

「じゃぁ、助けないと……」

 そう言ってもどうやって。理性が警鐘を鳴らす。
 
「でもねビアンカ。あの猫さんは本当は、ベビーパンサーっていう魔物なんだって」

 そんなビアンカの迷いを表情の翳りで見抜いたのか。アベルはさらに畳みかける。それは見舞いの最中、パパスから聞いたことだ。

「……それでもかわいそうよ……」

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.23 )
日時: 2019/02/23 07:46
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

 分ってる。サンチョの言っていたことは正しい。もしレヌールに憑りついた悪意が弱いと認識されていたら、すぐにラインハットが武力が掃滅していただろう。それをしないということは、危険度が低いということ以上に、魔物の勢力を脅威と判断したということ。
 そんな強大な勢力が集うであろうレヌール城に、少し魔物に対する知識をもった程度の子供が挑む。これを無謀といわずしてなんという。しかも助けようとしている対象は魔物らしい。ならばなぜ子供たちに対して無抵抗なのか。優しい魔物だっているかもしれない。そんなことを口にしても大人は聞いてくれないだろう。そんな魔物を助けるために動いてくれる誰かなど居るはずがない。それでも――――

「それでもかわいそうよ……」

 憔悴の滲む声でビアンカは言う。偽りのない本音だ。その一時の感情が、大きな厄災を導くかもしれない。小さいうちは従順でも、大きくなれば狂暴になる魔物だっている。獣や虫、植物のような生物的な要素の強い魔族には顕著にみられる傾向だ。
 魔物使いという稀有な才能を持った人間がこの世には存在するらしいが、ヒックスたちのどちらかがそうだったのだろうか。そんな無意味なことを考える。いっそのこと嘘をついてみようか。すぐにばれるだろう。レヌール城の状況などすぐに確認できる。いっそ強引に子供たちから奪ってしまおうか。

「ビアンカ、僕は付き合うよ」

 その言葉はビアンカにとって、青天の霹靂へきれきだった。彼もまた自分が行おうとしていることに対して反対なのだろうと思っていたからだ。あの黄色い毛並みの猫が魔物だと分かってなお、危険な場所へ赴こうとしている。本来ならば唾棄だきすべき蛮行であり、止めるべき行為。それに自分も加担しようといっているのだ。ビアンカは怪訝けげんに思い眉根をひそめる。

「えっ、どうして?」

 本気でアベルの言っていることが分からず、ビアンカは問う。

「お父さんがね、やってみろって……」

 アベルの言葉に二度目の驚倒。到底信じられない。父とはパパスのことだ。サンタローズの洞窟での一件から1週間も経っていないのに。パパスが何かを考えているのかも知れない。アベルの嘘の可能性もある。むしろ後者の方が高いと思う。馬鹿な子供が2人、無謀なことをして亡くなった。そんな噂話が語り継がれることになる可能性のほうが高い。

「……だが、その話、俺も同行させて貰う」
 
 逡巡するビアンカの後ろから、厳めしい声が響いた。パパスの声だ。

題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.24 )
日時: 2019/03/26 16:04
名前: 燈火

「……だが、その話、俺も同行させて貰う」

 アベルの後ろに立つパパスは、先ほどまで病臥びょうがしていたとは思えない威風をただよわす。こうなることを知っていたのだろうアベルは、一切驚いていない。しかし偉丈夫いじょうふであるパパスと相対してビアンカは小さく呻く。

「あのもう大丈夫なんですか?」

 おずおずと問う。それに対してパパスは「完治した」と短く答えた。更に彼は朗々ろうろうとした口調で続ける。

「そろそろあの城の王様気取りに引導を渡してやって良いころだとは思っていたしな」
「でもサンチョさんはレヌールの亡霊を治める首魁しゅかいは凄く強いって……」
 
 対しビアンカはサンチョの言葉を思い出す。子供が何人入り込んでも自殺になるだけだと釘を刺された。あの朗らかなサンチョが鬼のような形相で止めたのだ。事実なのだろう。そんな怪物が統治する幽霊城なら、幽霊系の強者が幾人もいるのではないか。いかにパパスがいるとはいえ無理なのではないかと思ってしまう。
 そんな場所に子猫、それも魔物を助けるためにアベルとたった2人で行く気に先ほどなっていたのだが。無謀という外ないような気がする。やりたいことは沢山ある。こんな年で死にたくなどない。でもあの子供たちに虐められるベビーパンサーという子猫がどうしてもかわいそうに感じたのだ。

「いや、それは嘘だ。恐らくラインハット城には既に魔族が入り込んでいる。そやつが手引きして彼らを生かしているのだ」
「どういうこと……?」

 ビアンカはパパスの言葉にどんぐり眼を瞬かせる。理解が追い付いていないビアンカに彼はアベルとの旅の中で入手した情報を紐解いていく。レヌール城には魔族にとって都合のよくない宝物があったということ。それは人類にとって、魔族を打ち破る切り札にさえなりうるものらしいということも伝える。
 更にその霊宝ともいえる品は、魔族では幽霊系の素養を持つ者たち以外には劇毒であるらしい。故にその情報を知ったラインハットの間者は、一計を図った。それはレヌールが魔族に襲われてもラインハットが助ける理由はないという、交友関係の不和を生むというものだ。
 魔族の間者はレヌールとの関係に亀裂が入るように多くのことを行ったらしい。刃傷にんじょう沙汰ざたを直接起こす。レヌール産の商品に毒物を混入する。更には幻術を駆使しラインハット国民を拉致らちさせ、処刑にさせた。戦争の機運が高まり、爆発寸前になったころを見計らって夜陰やいんに幽霊族の魔族を召喚。
 
「本来ならわかったはずだ。直接的な軍事力に欠けるからこそレヌールはラインハットと懇意にしていたのだから。そんな国が新しい取引先がいるわけでもないのに、友好国同士の戦争を起こそうなどとするはずがない、と」

 そう呟きながらパパスは天井を見上げる。狡猾な魔族に躍らせる多くの民たちの末路を見てきた。人々は心の片隅では分っていても憤り弄ばれてしまう。あの冷血で悪意に満ちた知能犯たちに。今のラインハットは伏魔殿ふくまでんだ。もはやどこまで魔族の手が回っているかわからない。
 レヌールの亡霊を生かしている理由は、征伐できないなどというものではないのは確かだろう。レヌールの至宝を守護すること及び、いつでも動かせる魔族兵を常駐させることにあると考えられる。レヌールの亡霊がこの地で囁かれるようになって3年。
 そこに巣食う魔族が廃城から動かないのも説明はつく。幽霊族の魔物は晦冥かいめいなる場所で本領を発揮する。それは広く知られることだが、もう1つ特徴があるのだ。それは自らたちが打ち滅ぼした地域に定住し続けることで、強烈な力を引き出すということ。人の血肉をすするよりはるかに、そこにあった憎悪や絶望の想念をむさぼるほうが力を得られるということだ。

「それって、叔父様。いくら軍事力を持たない国だからって、国を攻め落とした魔物がさらに力をつけているということじゃない……」

 

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.25 )
日時: 2019/03/26 16:31
名前: 燈火

 ビアンカの明敏な指摘にパパスは首を横に振る。

「レヌールのエリック王とは親交がある。敏く平和を愛する男だ。しかし人を信じすぎる人物でもあったよ」
「つまり何?」 
 
 人を信じることの何がいけないのかとビアンカは頬を膨らます。虐めという汚い行為が嫌だから、それを正そうと血に染まる道を進む。そんな覚悟で戦おうとしているのに、美しいものを馬鹿にされるのは心がささくれ立つ。そんな彼女の様子を見て取ったパパスは言う。

「エリック王は人徳に溢れていたが、君主の器ではなかった」

 そうぱっさりと切り捨て男は言葉を続ける。人を信じることは尊い。しかし誰もが手を取り笑いあえるわけではないのだ。何者にも事情と居場所はあり都合がある。決して相いれないことも生まれてしまう。何よりもそれなりの距離が離れているのに、自国は平和の体現を語り一切の武力を放棄し他国に軍事を委託する姿勢。
 さらにレヌールは武器さえ売られていない。職業の傭兵もいなければ、兵士すらいない。魔術の習得についても厳しい規則が課せられていた。つまり外的と戦う手段がないに等しい。人間同士でも分かり合えないことは多いのに、氷河のごとく冷厳とした悪の眷属にとっては鴨もいいところだ。
 つまるところそんなレヌールが長い年月魔族からの侵略を逃れていたのは、弱すぎていつでも落とせるからなのだろう。そして間者がレヌール門をくぐる機会があり、偶然秘宝の情報を察知。ついには攻撃の対象となったということだ。
 平和法典がある限りレヌールは侵略を受けない。そんな神話を背に武力放棄を続けてきた国はたやすく侵略された。無残なものだったろう。戦う力もなく、蹂躙されていったのが目に浮かぶ。そしてパパスはレヌール国民たちでも最低限の痛苦を味わえる程度に弱い者たちが選定されたのではないかと考察する。
 それは嗜虐的な魔族の性と、苦しんだ魂の味こそ幽霊系の徒輩にとって最大の栄養であることから考えられることだ。恐らくラインハットが吹聴ふいちょうする上級戦士などは存在せず、弱卒たちで構成されていただろう。長く険しい道の果て多くの滅んだ町々を見た。生き証人の話も耳を傾けてきた。その末の結論だ。

「だが俺はそんなエリック王に死んで欲しくなかった」

 しかしだからといって友が死んだことを悔やまないわけではない。サンタローズに住んで1年後程度の出来事。あの凄惨な事件がアベルと旅をする契機にもなったのだ。恐らくはラインハットを当てにはできない。それを理解できたことも久々に帰郷した理由の一つなのだから。




 

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.26 )
日時: 2019/03/27 15:42
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

「叔父様? 泣いてるの?」
「……あぁ、どうやらそのようだ。俺もだいぶ涙もろくなったな。これは……エリックへの手向たむけだ」

 ビアンカに指摘されてそれに気づく。頬を熱い何かが流れている。この戦いが終わり勝利するまで見せまいとしていた、熱い血潮が決河したのだ。旅路の果て多くの人々と触れ合い、それに等しい別れも経験してきた。大切なものが増えるほど、戦う意思は沸き立ち強くなってきたように思う。
 もう戻ってこない尊ぶべき者たちに涙を流せるようになったのも、強さだと思っている。しかし魔族への復讐を果たすときは、それが完遂するまでは流すまいと言い聞かせてきた。瞋恚しんいの炎がそれ以上に熱いのに蒸発しない心の洪水で沈下してしまうかもしれないからだ。
 しかし傍と気づく。目の前の少女は涙を流す自分を見て、晴れがましい表情をしている。それは興醒めからくる冷笑ではない。寄り添い共感する気持ち。それは彼女も亡くなった人たちのために戦うという意思の表れだ。少なくともパパスにはそう思えて、涙を流したことでさらに強固な意志が芽生えた。理想のために自分を律し続けただろう、偉大なる王エリックへの鎮魂歌を捧げよう。

「サンチョ。もう、嘘をつく必要もないぞ。お前も来い」
「はっ。旦那様の仰せのままに」

 どうやら盗み聞きしていたようだ。どうやらサンチョ自身ラインハットとレヌールの事情は把握していたのだろう。パパスから聞いたのか独自に調査したのかは定かではない。ビアンカたちに無謀な特攻をさせないために、あえて世間一般の論を述べたのだろう。
 かしづくサンチョの目は、普段の優しさではなく怨念が滲み出ていた。サンチョもまた人格者であったエリックの死を悼む1人なのだろう。彼自身レヌールに巣食う亡霊どもには煮え湯を飲んでいたのだ。普段の昼行燈然とした雰囲気はなく、矍鑠とした雰囲気をかもす。

「さて、では今日から本気で鍛えさせてもらうぞビアンカ嬢。流石に今の君たちを連れて行くのは厳しいからな」

 手薬煉てぐすねをひきながらパパスは告げる。それと同時に彼は歩き出し、寝室に置かれた愛剣を掴む。そしてアベルがデッケンで買った銅の剣とビアンカのために裏で買っておいた皮の鞭を手に取った。
 


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