二次創作小説(新・総合)

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題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編)
日時: 2019/02/23 07:46
名前: 燈火  ◆UJcOcbdIPw

 どうもよろしくお願いします。既に完結した漫画や1作品で完結しているゲームなど視覚的効果を中心とした作品を対象に淡々と展開を追って文章を付け加えていくスタイルで小説を執筆していこうと思い立ち、このスレを立ち上げた次第です。

 パクリと思うかもしれませんがよろしくお願いします。
 基本的には、1つの作品を練習曲エチュードという単位にして、その作品の終了までを完結として物語を書いていきたいと思います。

 ~目録インデックス

練習曲エチュードNo1 ドラゴンクエスト5 天空の花嫁
序幕プロローグ誕生バース

>>1

第1章「少年期編」第1話「サンタローズにて」

>>4 >>6 >>7 >>8 >>10 >>11 >>12 >>13 >>14 >>15 >>16

第1章「少年期編」第2話「凋落城レヌール亡霊レブナント

>>17 >>18 >>19 >>21 >>22 >>23


 ~他情報インフォメーション

>>2 >>20

 ~お客様カスタマー

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注意アテンション
・公序良俗にもとる表現が対象とする作品によっては入るかもしれません。ご了承願います。できる限り軽めにはする所存です。
・ステマや荒しは徹底的な無視を願います。発見次第最優先で削除依頼します。
・誤字脱字、文章のミスなどのご指摘は大歓迎です。ドシドシお願いします。



――――トリップを忘れたので変更しました(苦笑

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Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.19 )
日時: 2019/02/15 19:04
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

 ビアンカの父であるダンカンの病は持病の発作ほっさではなく、ただの風邪だったららしい。風見鶏の宿にしばらく居住しアルカパに滞在する予定――アルカパでもパパスは有名なので、アルカパの人たちに帰還の挨拶などをするため――だ。1週間程度と見積もっているらしい。

「サンチョ、お父さんは?」
「どうやら、風邪のようですな……」

 が、結果としてはこの様だ。父パパスはダンカンと付きっ切りだったせいもあってか、ただ運が悪かったのか風邪を引いてしまった。いかに強い父でも病気には勝てない。アベルもパパスが病気にかかるのを見るのはこれが初めてではない。何よりアベル自身もパパスと旅した2年間で何回も風邪などにはかかった。

「坊主、すまんな。わしのが伝線したみてぇだ」

 病弱という割には恰幅の良い、髭面の男が頭を下げる。サンチョは頭をふるう。

「そう気を落とさず。人が病に罹るのは自然のことわりなれば。誰もダンカン殿を叱りはしませんよ」
「しかし、パパスは息子を少しでも鍛えたいと……」

 ダンカンはサンチョの優しさに当惑して、言い淀む。

「アベル坊ちゃまを鍛えることは私にもできます。最も私の場合は武術は旦那様と比べるべくもないので、座学が中心ですが」

 それに対してサンチョは少し茶目っ気のある笑顔で受け返す。

「サンチョが教師さんなの?」
「えぇ、旦那様からもそう指示されています。最も算術や筆記、基本戦術のような体を動かさないお勉強が中心ですが」

 体を動かすことが好きな自分としてはなかなかに苦しいことだ。アベルは深い溜息を吐く。算術については全く分からないし、字を書くのも難しそうだ。基本戦術くらいしか興味がわかない。強くなるにあたって計算などが役に立つとは思えない。
 モンスターの知識や武器の使い方などは覚えないといけないとサンタローズの一軒で学んだ。しかし道具の値段を現す数字さえ読めれば算術は必要ないだろうし、自分の名前と年齢、性別くらいを書ければ文字に関しても十分だろう。

「坊ちゃま。ある国では強さとは強かさなのだそうですよ。知識があるほど、賢い立ち回りができるのです」

 アベルの考えを見透かしたようにサンチョがたしなめる。単純な剣や魔法の力とそれらに関する知識だけでは、近い将来躓つまづく。それを嫌というほど理解しているのだろう。魔物と戦うにあたって、人間社会で苦労していては心労が多いばかりで、心に余裕もなくなり戦いも雑になる。何より高度な戦闘には高度な計算も必要になるし、魔法と文章を書くことは少なからぬ関係がある。魔術師と呼ばれる者たちなどは、その魔法のロジックを強固なものにするために、魔法を習得するとその方程式を文字にするのだ。そんな話をサンチョは語る。

「……強くなるって大変なんだね」
「えぇ、そうでなければ、世の中強い人で溢れていますよ。あっ、強い人ばかりならそういう言葉自体がなくなるのでしょうか?」

 この先多くの苦労があるのだろうなと悟ったアベル。そんな彼に対してサンチョは呆けて見せる。その余裕に満ちた態度は頼り甲斐があって、それでいて包容力を感じた。そんな2人の様子を眺めていたダンカンは、自分は邪魔だと判断したのかその場を後にする。

「では、早速、読み書きの勉強を始めましょう」

 サンチョはそう言って、ふところから書類を出す。薄めの本だ。おそらく初心者ようなのだろう。一部の文字はアベルにも読めるものだった。

「ねぇ、サンチョさん! そのお勉強、私も一緒に参加して良い?」

 

 

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.20 )
日時: 2019/02/16 03:19
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

―――――――オリジナル用語集

 魔素:魔族の力の根源。魔力に近いものだが、よりどす黒い要素を持っているらしい。魔族全般が体内に貯蓄していて、絶命時にこれは大気中に放出される。それを浴びることにより、人間たちは自らのレベルを上げることができる。

 加護:神に愛された証。美声の加護や炎熱の加護など多数の加護が確認されている。同じ加護でも才能や熟練度で、効果の程度や範囲が違う。中には、複数の加護を備える者もいる。パパスの妻であるマーサは複数の加護を高レベルで保持していたようだ。

 武器屋デッケン:サンタローズ唯一の武器屋。ベンとセルカというサンタローズにおける最高クラスの戦力が経営している店。

 風見鶏の宿:宿場町として名のあるアルカパで宿屋を束ねる世界的にも有名な宿屋。常に世界の宿やランキングベスト3に入っているようだ。

 随時更新

 

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.21 )
日時: 2019/02/19 14:32
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

「ねぇ、サンチョさん! そのお勉強、私も一緒に参加して良い?」

 少し高めの凛とした声が響く。ビアンカだ。どうやらダンカンと入れ違いに部屋に入ったらしい。

「おや、勉強熱心なことはいいことですな。勿論よろしいですとも」

 サンチョは昨日の一幕を知らない。単純にサンチョに勉強を教えてほしいと思ったようだ。しかしアベルは不安を感じた。子供たちとかわした契約は、町の外、つまりは魔物のテリトリーへと足を運ばなければならない。ビアンカは魔物と戦う術を得るために彼の指導を受けるつもりだ。そう確信できた。

「ではビアンカ嬢、どの程度の読み書きができるか教えていただけますかな?」
「第1言語と自分の名前を第2言語で書けるくらいだあわ」

 サンチョの質問にビアンカは素直に答える。内心はそんなことより魔物との戦い方を教えてくれと痛哭を叫んでいるが、そんなことを言って打ち切りになっては元も子もない。恐らく魔物と戦いたいなどという本心を言っては、彼は全力で拒否するだろう。

「成程。分かりました。となると最初のうちは読み書きは退屈でしょうな……」

 何事も基礎固めは大事だ、そう言いながら、サンチョは参考書を開く。そして第1言語の項目を開き、大きめの紙に書きだす。その時間はビアンカにとって本当に退屈な時間だった。当然だ。第1言語の書き方、発音、書き順。全てビアンカは理解している。
 40分程度が経過してアベルが身動みじろぎはじめる。どうやら集中力が切れたようだ。それをサンチョは察し本を閉じた。そして柏手を打ち、10分程度の休憩を挟む。あと1時間半も過ぎれば、正午を知らせる金がなるだろう。


 
 

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.22 )
日時: 2019/02/20 21:44
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

 サンチョとの修行が始まってすでに2日が過ぎた。当然ながら、読み書きをすぐにマスターできるはずもなく。算術に関してもそれは同じ。ビアンカは退屈で悶々とした時間を過ごしていた。アベルたちが滞在できる期間は恐らく、あと5日。パパスが5日間ずっと病床に就いているとも限らない。
 不謹慎だがパパスの病気が長引けばいいなどと思ってしまう。普通の風邪ではないとのことだが、彼ほどの力の持ち主なら余程の病気でも死なないだろう。むろん、彼の病気が長引きこちらで長時間滞在するということモあり得る。だがその確率は死ぬと同じ位低い。
 今は休憩時間。丁度アベルは父のところへ見舞いに行っているのでいない。つまりサンチョと2人きりだ。こうなったら本心を打ち明けてみよう。それで駄目ならアベルを夜中に巻き込む。ビアンカは気の早い結論を導き出す。

「はぁ……上手くいかないなぁ」

 わざとらしい口調で彼女は言う。
 
「おや、困り顔ですな。坊ちゃまのペースに合わせ過ぎで学ぶべきことがない、という感じでしょうか?」

 サンチョは少し怪訝な表情を浮かべながら問いかけた。ビアンカの本心がそうではないことを見抜いているようだ。

「あのね叔父様。聞いて……」

 ビアンカは3日前のあらましを話す。変わった猫が近所の悪ガキたちに虐めあれていたこと。その猫を助けるために譲り受けることにしたのだが、その条件としてレヌールの亡霊を倒してみせろといわれたことも。包み隠さず言うビアンカの口調は興奮気味だったが、むろんサンチョは難色を示す。

「成程。魔物を倒す力を得たいがため、私の授業を受けることを考えたと。レヌールの亡霊。実際に存在するようですな。霊的な性質を持ったモンスターの軍勢。しかし、彼らはその場から動くこともなく、無害とのことで討伐をしない方向になっています」
「つまり何が言いたいの叔父様?」

 額に手を当てながらサンチョは溜息を吐く。討伐する必要がないから無視する。相手が本格的に周辺区域に進出するようなら駆除対象とするということは、この世界で言えば下手に手を出せば危険であるということだ。この大陸を統べるラインハット王国の斥候せっこうによれば、少なくとも亡霊城に巣食う魔族の主犯格は将軍クラスの実力らしい。
 その階位の魔物がいるとなれば、国家が軍を引き連れて挑む案件だ。本来ならば近くにあった友好国であるレヌールが滅んだ瞬間に、魔族への報復として殲滅すべきである。しかし将軍級が居座ったことで、それもそう簡単にいかないという状況なのだ。

「半端な力を持った子供が1人、自殺に行くことを止めないのは大人の義務に反しますな」

 威厳に満ちた声でサンチョは告げる。少し前に自分が敬愛する存在がそれをしかけたばかりだ。今回は何が何でも止めなければならない。普段の優しい顔は鬼のような形相ぎょうそうをしていた。ビアンカは息をのむ。そして自分の賭けがいかに愚かであったかを思い知った。そして何も言わず、走って部屋を飛び出した。途中で父の見舞いから戻ったアベルに会う。

「アベル……」
「なんで、泣いてるの?」

 滝のように涙を流すビアンカを見詰めながらアベルは問いかける。

「サンチョ叔父様に無謀な自殺はやめろって、怒られた」

 アベルはやはりそうかと胸中でつぶやく。

「……ねぇ、ヒックスとロマーオって言ったっけ? あの子たち。相変わらずあの猫を虐めて遊んでたよ。前より明らかに怪我、酷かった」

 どうやらアベルは見舞いだけではなく、猫の状況確認にも行っていたらしい。道理でいつもより戻ってくるのが遅いと思った。そのおかげでサンチョとの会話を聞かれずに済んだのは幸いだと思う。一方であの子供たちはやはり飽きてなどおらず、このままいけばあの猫は殺さあれる。その実情も分かった。

「じゃぁ、助けないと……」

 そう言ってもどうやって。理性が警鐘を鳴らす。
 
「でもねビアンカ。あの猫さんは本当は、ベビーパンサーっていう魔物なんだって」

 そんなビアンカの迷いを表情の翳りで見抜いたのか。アベルはさらに畳みかける。それは見舞いの最中、パパスから聞いたことだ。

「……それでもかわいそうよ……」

Re: 題本のあるエチュード(ドラクエⅤ編) ( No.23 )
日時: 2019/02/23 07:46
名前: 燈火  ◆flGHwFrcyA

 分ってる。サンチョの言っていたことは正しい。もしレヌールに憑りついた悪意が弱いと認識されていたら、すぐにラインハットが武力が掃滅していただろう。それをしないということは、危険度が低いということ以上に、魔物の勢力を脅威と判断したということ。
 そんな強大な勢力が集うであろうレヌール城に、少し魔物に対する知識をもった程度の子供が挑む。これを無謀といわずしてなんという。しかも助けようとしている対象は魔物らしい。ならばなぜ子供たちに対して無抵抗なのか。優しい魔物だっているかもしれない。そんなことを口にしても大人は聞いてくれないだろう。そんな魔物を助けるために動いてくれる誰かなど居るはずがない。それでも――――

「それでもかわいそうよ……」

 憔悴の滲む声でビアンカは言う。偽りのない本音だ。その一時の感情が、大きな厄災を導くかもしれない。小さいうちは従順でも、大きくなれば狂暴になる魔物だっている。獣や虫、植物のような生物的な要素の強い魔族には顕著にみられる傾向だ。
 魔物使いという稀有な才能を持った人間がこの世には存在するらしいが、ヒックスたちのどちらかがそうだったのだろうか。そんな無意味なことを考える。いっそのこと嘘をついてみようか。すぐにばれるだろう。レヌール城の状況などすぐに確認できる。いっそ強引に子供たちから奪ってしまおうか。

「ビアンカ、僕は付き合うよ」

 その言葉はビアンカにとって、青天の霹靂へきれきだった。彼もまた自分が行おうとしていることに対して反対なのだろうと思っていたからだ。あの黄色い毛並みの猫が魔物だと分かってなお、危険な場所へ赴こうとしている。本来ならば唾棄だきすべき蛮行であり、止めるべき行為。それに自分も加担しようといっているのだ。ビアンカは怪訝けげんに思い眉根をひそめる。

「えっ、どうして?」

 本気でアベルの言っていることが分からず、ビアンカは問う。

「お父さんがね、やってみろって……」

 アベルの言葉に二度目の驚倒。到底信じられない。父とはパパスのことだ。サンタローズの洞窟での一件から1週間も経っていないのに。パパスが何かを考えているのかも知れない。アベルの嘘の可能性もある。むしろ後者の方が高いと思う。馬鹿な子供が2人、無謀なことをして亡くなった。そんな噂話が語り継がれることになる可能性のほうが高い。

「……だが、その話、俺も同行させて貰う」
 
 逡巡するビアンカの後ろから、厳めしい声が響いた。パパスの声だ。


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