二次創作小説(新・総合)
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- ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE
- 日時: 2016/06/13 05:42
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)
ヴァイスシュヴァルツ、第2シーズン突入!
再び李里香達がヴァイスシュヴァルツでカードバトル!
ただし、今度の話はヴァイスシュヴァルツの世界にモンスターエンパイア、更に原作に存在しないオリジナルカードまで!?
この一癖も二癖もあるカード達にWSCFCは?!
色々盛りだくさんのヴァイスシュヴァルツ第2幕、公開!
◎:色々
用語>>1 >>44
キャラ紹介>>2 >>3
★:本編
1話『新たなる始まりの予感』>>4-8
2話『銃と槍と剣』>>9-12
3話『協奏、奏であい――』>>13-18
4話『絶体絶命!?トーナメントへの道筋』>>23-27
5話『出会いと別れ。獅子王と殲滅者』>>28-31
6話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):前編』>>40-43
7話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):後編』>>47-51
8話『武装解禁!ジャイアントキリング!』>>54-60
9話『フロニャルドでの再会』>>61-64
10話『フロニャルド奪還作戦!』>>69-75
11話『フロニャルド最終決戦!:前編』>>78-82
12話『フロニャルド最終決戦!:後編』>>83-86
†番外編
『テイルズ掛け合い集』>>34-37
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.87 )
- 日時: 2017/10/08 22:17
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: rBo/LDwv)
生存報告を兼ねてのスレ。
まず一言。1年以上も待たせてすいませんでしたOTL。
次々とヴァイスシュヴァルツでは参戦作品などが多く登場していますが、今は逃走中の更新に精を出したいと思っています。ですが、なのはjokerのようにいつの間にか過去スレにされないようと思い、ちまちま更新していこうと思っています。
それでは。
あ、笑ってはいけないの移動をお願いすんの忘れてた。←今気づいた。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.88 )
- 日時: 2018/01/20 21:31
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: rBo/LDwv)
フィールドを一陣の黒い風が駆け抜ける。
その風を避けようと2人の少女は翼を翻して空へと逃げるも、追いかけるように上に向かった風に切り裂かれた。そして風の刃が相手プレイヤーを覆うバリアを破壊。クロックに7枚目のカードが置かれ、勝負が決着した。
「よし、勝った!」
『カードを貰ったらすぐに次に行くぞ』
「ちょ、ちょっと。少し休んだらどうなのさ?」
『そんな暇あるわけないだろ!』
一陣の風を起こした正体――キリトは鶴来がカードを貰うと次のファイターを探そうと動く。それを鶴来が引き留めようとするが、キリトは聞く耳を持たずに反論する。踵を返して次のファイターを探そうとしたところ、ぐらりと体のバランスを崩して倒れそうになるのを鶴来が受け止めた。
「おっと!やっぱ無理しすぎだよ。そうだな……あっちで休んでこう」
「――すまん」
†
Wサイドヒューマエリア ラビットハウス店内
「で、そっちは見つかったのか?」
「全然。キリト君も戦闘のしすぎでさっきだってふらついてたし」
『――おい』
『それはキリト君だけじゃないよ。そこの弓矢さんも君と一緒の症状だよ』
『余計なお世話よ』
『――おい』
『で、そっちはどうだった?』
『それが全然。手がかりになりそうなものすら見つからないわ』
『おい!』
カフェでくつろいでいた一向にキリトが怒声を上げる。他の全員が彼に注目する中、キリトが怒りをぶちまけるように続けた。
『なんでったってお前らそう呑気に構えてられるんだよ!!仲間や大切な人が攫われてんだぞ!!こんなところでコーヒー飲んでる場合じゃないのが普通だろ!!』
「確かにそうだけど、当てもなく探すっていうの?」
『ナツ、あなたもなんで皐月達みたいに大人しくしてるわけ?いつもなら噴火した火山の如く暴れてるんじゃない?』
れいの指摘はナツに飛んだ。理由はやけに冷静であり、いつものように暴れたりしていないのだ。炎てんこ盛りメニューを片っ端から暴飲暴食している点は変わりないが。
『ん?ああ、イグニールはあんな程度じゃやられない。それに、こっちに戻る前にハッピーに頼んでおいたんだ。そろそろ……』
ナツが説明していると冬雅のデッキケースがカタカタ動き出す。何事かと冬雅がデッキケースを開けると一枚のカードが飛び出し、空中でカードを中心に魔法陣が展開。その中から、青い毛並みの猫が、純白の翼を生やした姿で現れた。
『ナツー!』
『ハッピー!どうだった!?』
『あい!もう大収穫!色々教えたいけど今はWSキングダムにいこう!』
何やら興奮冷めやらぬ様子でしゃべる猫に猫とナツを除くWSキャラ全員が呆然と口を開いたまま固まっていた。改めて我に返ったキリトが猫に尋ねた。
『おい、誰だそいつ……?』
『あ、冬雅以外はオイラに会うの初めてだよね?オイラハッピー!ナツの相棒!』
『それより何でここに行こうって言い出すんだよ?』
『ええぇーッ!?もう来てたの!?』
色々話が飲めないようだが、慌ただしくハッピーはラビットハウスから出ていき、一行も代金を払って後を追っていった。
†
Wサイド 北エリア
『待てよハッピー!』
ようやく追いついたナツはハッピーを呼び止める。しかしここまで走ってきた所為でナツと冬雅、れい以外はダウン寸前であり、肩で息をしていて返答できそうにない。
『ごめんごめん。実はオイラ、誘拐騒ぎの直後に色々調べてたんだ。そしたらイグニールらしい影がここで見かけたって情報があったんだよ!』
『本当か!?おい、それっていつの情報だ!?確かなのか!?ハッピー!』
育ての親の情報を聞いたナツも思わずハッピーをつかんで更に聞き出そうとする。
『ちょ、ちょっと落ち着いてよ!オイラだって解ってるのはそこまでなんだって!』
「落ち着け!焦っていては見つかるものも見つからんぞ!」
『――るせぇッ!』
落ち着かせようとした冬雅を薙ぎ払い、更にハッピーに詰めかけるナツ。キリトやれいもナツを落ち着かせようとするが、逆に薙ぎ払われて取り付くしまもない程暴れまわる。
「ど、どうするの!このままじゃここら一帯を破壊しかねないし、ハッピーも危ないよ!?」
「……致し方ない。ナツ!」
『あ゛ァ゛ッ!?(ごすっ!)――ぽげらっ!?』
呼びかけられて振り返ったと同時に鳩尾と心臓の位置に猫の手の形にした掌低が打ち付けられる。2つの衝撃をまともに受けてしまったナツはぐらりと、伐採される樹木よろしく倒れてしまった。
「双撃掌。直撃を受けたんだ、暫くは動けまい」
「荒療治を。だが荒れ狂う竜を鎮めるには丁度良いか。それでハッピーとか言ったな?態々北エリアに来たということはそのイグニールとやらがこのエリアのどこかにいるという事か?」
動かないナツを抱え上げる冬雅を尻目に、ログがナツから解放されたハッピーに尋ねる。当のハッピーはふらふらと目を回していたが、何とかログの質問に答える。
『あいぃ……この先のダンジョンを模した場所だって……がくっ』
力尽きたハッピーによくやった、とログは一言礼を言うと拾い上げ、ダンジョンへと向かって行った。場所はそう遠くなく、目的地までは5分足らずで到着したのだった。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.89 )
- 日時: 2018/01/20 21:48
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: rBo/LDwv)
そこはダンジョンに、ギリシャのパルテノン神殿のような建物の内部をそのまま地下室のようにした場所だった。暗くとも立派なつくりだ。燭台には火がかけられ、誰か住んでいるのだろうかと思う。
キリト、れい、鶴来、シロエ、ログ、冬雅の順でダンジョンを進んでいく一行は序列を崩さず奥へ奥へと進んでいく。そしてどれくらい経っただろうか、暫く進むと開けた場所に出た。
『こういう場所ならボスモンスターの1体や2体出てきてもおかしくないな』
キリトが一言。
『同感だよ』
シロエが同意し――、
『ゲームプレイヤーならではね』
れいが合いの手を入れた。
その直後――。
『お前達、いったい何しに来た!?』
広間の奥から怒鳴り声が響いた。見ると、部屋の奥から金髪に金色のひげを生やした中年の男が息を切らして一行に怒声を上げていた。いきなり怒鳴り散らす男はイグニールでもなければ当然この中にいる誰でも彼を知るものはおらず、理不尽な男に対しては疑問符を浮かべるだけ。
『あのー、誰かと間違えてませんか?』
たまらずキリトが剣を構えたまま中年の男に尋ねる。だが男は腹の周りにたっぷり付いたぜい肉を揺らしながら怒鳴り返す。
『間違えてるだと?ふざけるな!貴様らワシの元に予告状なんぞ叩きつけおって!』
「予告状?何のことだ?」
『ふん、あくまでシラを切るならこの場で読み上げてくれる!』
そう言って胸ポケットから一枚の紙を取り出す。そして、ただでさえ響く広間の中で大声を張り上げているような声で予告文を読み上げた。
『“世界に反逆セ氏愚か者亜るダープ殿。オ前ガフとこ口に隠した竜の木亥と、4ニんノ鍵。そして星の剣士ヲ丁頁キに参上するから覚小吾してオケ ~心の怪盗団~”とな!』
「随分凄い予告状ね。怪盗帝国か何かかしら?」
読み上げた内容に素直なリアクションをとる皐月。当然予告状の存在を知らない一行に対して怒りを爆発させていたアルダープが、更に怒りを爆発させてきた。
『これでもまだシラを切るというのか!?』
『シラも何も、僕達はついさっきここへ来たばかりでそちらの事情は知りませんよ』
『――いいだろう、ならば……』
当然身に覚えのない一行の代表として返答したシロエに対し、アルダープの傍に取り付けられていたレバーを下げる。次の瞬間――。
ガゴンッ!
アルダープの壇上を除いた広場の床が一瞬で開け放たれた。足元は暗く、底の見えない闇。そして感じてくる浮遊感。
『「うぅわあああああぁぁぁぁぁ―――――ッ!?!?」』
宙に浮いている感覚を覚えると同時に落下していく感覚に襲われ、そのまま抵抗する間もなく暗い闇の底へ落下していった。唯一飛べるハッピーも冬雅が思わず空いた手で尻尾をつかまれてしまい、必死にはばたくも人間2人分を支えることなど不可能。抵抗むなしく落下していった。
『そこで大人しくしているがいい、先に落ちた怪盗団や娘どもとな!』
落下していった一向に吐き捨てたアルダープは下卑た笑いを上げながらレバーを戻すと、広間の床も連動して穴を隠すように閉じた。
†
――ん。
―キ―――。
―リ―――ト――く―。
女性に呼び掛けられるような感覚で、キリトは目を覚ました。
落下したショックで床に強く打ち付けられ、気を失っていたのだろうか。ぼんやりとした視界がはっきりとしてくる。麻色の髪の、キリトより少し年上の少女の顔が心配そうに覗き込んでいた。
『――アスナッ!?』
ガンッ!
『『あだっ!!』』
起き上がった瞬間、少女と頭を打ち付ける。額からくる痛みに悶える2人が言葉を交わしたのはその痛みが引いた頃だった。
『アスナ、無事だったのか!?』
『え、ええ。心配をかけてごめんなさい。色々あったけどもう大丈夫』
『そうか。よかった……』
そのまましばらくお互い言葉が出なかった。色々言いたい事はあるのだが、言葉が出てこない。まるで初めてデートをすることになったのにお互い相手の主張を待っている初心な者同士のデートのようなやりとりである。
『お取込み中すまないが、そろそろこちらの事情も聴いてくれるか?』
申し訳なさそうな申し出の声に気付いて声のするほうに顔を向ける。そこには居た堪れないと顔――というか仮面――に書いてある狐面の和服の男と赤い猫の仮面に赤い尻尾付きのボディスーツの高校生らしい女性がいた。
『――おい、ひょっとして俺ら死んだのか?』
『安心しろ。あの男の罠にかかり気を失っていただけだ』
転落死したのかと錯覚するキリトに対し、落ち着かせるように仮面の男が宥め、自己紹介に入る。
『俺の名はフォックス。そちらがパンサー。俺達は仲間と共に、あるお宝を探していたんだ』
『お宝――ってことはあのおっさんに予告状を渡したのはあんたらか!』
心の怪盗団との思わぬ接触にキリトは先程の予告状の内容を思い出す。だがここにいるということは、彼らも自分らと同じように罠にかかってしまったのだろうか。
『自分から案内してくれるとは思わなかったがな』
『案内?じゃあわざと落ちたってのか?』
『真下にパレスがあるなんて、ナビやモルガナに言われるまで思わなかったし』
どうやら彼らはここに用があったのだが、アルダープの罠が逆に彼らをここに案内してくれたようだ。お宝というのは分からないが、自分達も脱出を試みるために彼らと同行したほうが良いと判断する。その直後、鶴来が起き上がった。
「あ痛たたたた……どこだここ?あれ?アスナ無事だったの?――って、うわぁ!!あんたら誰!?」
『……もういいよそのリアクション』
勝手に驚いている鶴来に、4人は冷ややかな目で呆れ返るのだった。
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.90 )
- 日時: 2018/01/20 22:12
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: rBo/LDwv)
そして10分後。鶴来にも事情を説明した後で心の怪盗団2人と同行することになった3人。パレスの内部はこれまで通り一本道。ダンジョンにつきもののモンスターも宝箱も罠も、全く見かけなかった。気配の無いダンジョンに逆に不気味さを感じていたキリトとアスナの前に、巨大な扉が立ちふさがっていた。押し開くと先程とは二回りほど狭まった広間に障害物のようにせりあがったブロックがいくつも点在する広間だった。銃撃戦でもやるつもりなのかとキリトが思う中、広間の中央に誰かがいるのをフォックスが見つける。
両頬にタトゥーを刻んだ長身痩躯のポニーテールの金眼の美女であり、年齢的にもアスナがあと3、4年したら彼女と同レベルに至るだろう。しかし、全員あの女性に見とれている暇なんてなかった。全員、彼女の美しさよりも彼女から感じる底知れぬ狂気のような感情に身をこわ張らせていたのだ。
『あなた、ここで何してるんですか?』
『あぁ?ちょっと頼まれ事で来ただけだよ』
対して女性は敵意も無く返答。鶴来も彼女に警戒する素振りもなく納得する。このまま素通りできれば助かるとキリトは思っていたが、そんな彼に女性が気付く。
『あら?――なるほど、そういう事……』
『どうした?』
『いいえ……頼まれ事がすぐに片付きそうって思っただけよ!』
言うが早いが、腰に差した拳銃をいきなり一向に向けて発砲してきた。咄嗟の攻撃に一行は瞬時に障害物の影に飛び込むように隠れる。鶴来もフォックスに引っ張られて銃弾の直撃を免れた。
『いきなり何するんだ!?』
『頭の禿げたメガネの男に頼まれたのよ。仮面の連中を消せってね!でも、こんな所でSAO生還者(SAOサバイバー)と命がけのゲームができるなんて最高じゃない!!』
「キリト君達の事を知ってる?――うわっ!」
SAO生還者の存在を認識した途端、聞く耳を持たない女性は空になった拳銃を捨て、ショットガンに切り替え再び発砲する。このままではハチの巣にされるのも時間の問題だ。その時、アスナが一枚のカードに気づいた途端、女性が銃を装填する隙を見計らって彼女に声をかける。
『ちょっと良いですか?どうせゲームをやるなら、ヴァイスシュヴァルツで決着ってのも悪くないんじゃないですか?』
『ヴァイスシュヴァルツ……?ちょっと待って。確かあの男が……あったあった。これの事ね』
アスナの出した提案に、女性もデッキを一つ取り出す。そして少し考えると、アスナのほうに振り替える。
『銃撃戦以外でゲームなんて初めてね。折角だしこれで勝負しようじゃない』
意外にも乗り気だったことに驚く一行だったが、乗り気だった事にキリトが障害物の影から身を乗り出そうとした途端、倒れそうになって剣を杖代わりにして踏みとどまる。
『キリト君!?』
「さっきの疲れがまだ取れていないんだ!やっぱり無理だよ!」
『そっちのSAO生還者と仮面連中は後で始末してやるよ!』
女性のほうはもうフィールドの配置を整え終わり、すぐにファイトしなければまた発砲しかねない。しかしメインの切り札であるキリトはこれ以上戦えるかどうかわからない。だが、その状況を打開するようにアスナが鶴来に持ち掛ける。
『鶴来君、私のデッキを使って』
『アスナ!?捕まっていたのに大丈夫なのか?!』
『大丈夫。私が大人しく捕まっているかどうか解ってるでしょ?』
確かに今のデッキこそキリト中心の青単色デッキにそれぞれ赤と緑のコンセプトを加えたものだが、アスナが連れ去らわれる前は青と黄色の混成デッキを使っていたのだ。それに、今使えないのはアスナが攫われていた所為でもある。解放された今なら使えるかもしれない。
『なるほど。俺達なら彼にとって付け焼刃かもしれんが、扱いなれた彼女のデッキならひょっとするかもしれんな』
『あの人も戦えばちょっとは落ち着くはずよ。お願い!』
『キリト君が私の為にどれだけ頑張ったか、私には解らない。けど、その想いは十分に伝わったよ。それに、ここでキリト君に任せたら私はあなたの傍にいる資格なんてない』
フォックスとパンサーもアスナの提案に賛成気味。アスナも一歩も引かないと言わんばかりの決意を鶴来に伝える。
「……うん。これ以上キリトに無理はさせられないからね」
アスナの強い決意にとうとう鶴来が折れると、アスナが光に包まれる。そして一枚一枚光のカードとなって輪郭が崩れていき、それらが鶴来の手の中に納まっていく。光の輪郭が消え、その全てが鶴来の手中にあるカードになると既にデッキの中に入っていた白紙のカードも元のイラストを取り戻していった。
早速それらを使いデッキを組みなおすと、フィールドにセットする。
ここで準備が整いつつある中、更に別の場所でもここと同様にファイトが行われようとしていた――。
†
「どうやら通してくれないみたいね……」
皐月のほうも同じく攫われていた4人と怪盗団のメンバー、モルガナとノワールに合流。同じような広間に到着すると奥から現れた銀髪の少女とのファイトを迫られていた。勿論断るはずもなく、戻ってきたわかばとひまわりが名乗り出てきたので彼女らを使ったデッキを用意して銀髪の少女とのファイトに挑む。
「れいは少し休んでて。わかばとひまわりのコンビなんて久しぶりに使うからね」
『解ったわ。その代わり――』
「言われなくても勝つわよ」
『…アダループ様の敵を、排除シマス……』
虚ろに言葉を発する少女を見て、サーチゴーグルを仮面代わりに着けた怪盗、ナビは何かの思惑を模索していた。
『あの子、まさか……』
- Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.91 )
- 日時: 2018/04/30 08:22
- 名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: JDzcbqJn)
ここまでは普通にファイトを進められるだろう。
――ここまでは。
問題はあとの2人、冬雅とログである――。
『ナツ~、しっかりしてよ~!』
『うぶっ……』
またある所にて。敵を前にして思いっきり乗り物酔いしてダウンしてしまったナツを介抱していた。だが一向に治る気配がない。
『なんだなんだぁ?敵さん前にしてぶっ倒れるなんざ根性が足りてねぇぞ!』
対して半裸のサングラス男は呆れたように言い放つ。そこにハッピーも彼に同意するように呆れていた。
『無理ないよ。連戦で疲れてる上にさっきモルガナの魔導四輪で乗せちゃうなんて、グロッキー状態になるなって方が無理だよ』
『あーなるほど――ってアレに乗ってたの10秒足らずじゃなかったか!?』
『滅竜魔導士はみんな乗り物に弱いからね』
実をいうとここに到着する前、手下のシャドウに追われている際にマスコットのような小動物の怪盗、モルガナが変身した乗り物に乗せて逃走。それが原因でダウンしてしまったのだ。
『おうおうおう!この部屋は俺を倒さなきゃアルダープの旦那の所へ行けなんだぜ?乗り物でげんなりしてるような野郎にこのカミナ様が倒されてたまっか!』
ハッピーと他のキャラではデッキを構築するには無理がある。このままでは半裸の男、カミナの言う通りにここで缶詰にされてしまうのだろうか……。
『いいや、ワガハイとジョーカーが残ってるぜ?』
「なんだと?」
『俺達がお前の相手になると言っている』
続けて仮面の怪盗、ジョーカーもファイトに名乗り出る。確かにこれならグロッキー状態のナツを動かせるより十分だ。
『なるほど。潰れてる奴よりお前らのほうが楽しめそうだな!』
「……ナツ、お前は下がっていろ。ハッピーはナツを頼む!」
『あいさー!』
『使え!』
ジョーカーが懐から取り出したデッキを冬雅に放り投げた。それを受け取った冬雅はデッキの準備を完了した。
そして、ログのいる広間。そこでは今まさに猛吹雪に見舞われていた。
『どうしてパレスのど真ん中で吹雪に見舞われなくちゃならねぇんだあああああああああああーーー!!!』
骸骨を模した仮面の怪盗、スカルの叫びが吹雪の中で轟く。勿論彼らが侵入したパレスは城や銀行、カジノや船などの建造物の中であり、爆発に巻き込まれるのはともかく猛吹雪のど真ん中に立たされるというのは経験が無い。
『どうして……どうして私に静寂をくれないの……?私は静かに暮らしたいのに……!』
『おのれ……我輩すら忘れるとはいったいどうしたというのだ!?』
『む、無理もありません!あの人はバニルさんの知ってるウィズって人じゃないんです!なんていうか、その……彼女の本性とか、本音みたいなものです!』
『だからって、パレスん中で吹雪に遭って凍死ってシャレにならねぇよ!?』
「おい!俺達はお前と戦うつもりはない!すぐにこの広間の扉を開けてくれ!」
ログが身を震わせながら叫ぶが、吹雪の所為もあってか声が届かない。その間にも仮面の男が言ったウィズという女性の姿が姿を変えていく。氷が腕甲、というかまるで何かの生物の腕のようになっていく。腕だけではない、頭も、身体も氷が鎧のように形成されていく。
『ヴヴヴァアアアアアアアアアアアーーー!!!!』
咆哮と共に吹雪をかき消した時、その姿は氷の身体で出来た悪魔に相応しい。
『潰しテやル……!私ノ静寂を奪ウ奴ラハ全員氷漬けニシてヤル!!』
『これがウィズの本性……!我輩すらここまでの本性を見抜けなかったとは!』
「吹雪が晴れたのは良いが……やるしか無いようだな」
凍死は免れたものの、ファイトは避けられそうにない状況にログは両手を擦り合わせて指先の感覚を多少取り戻すとデッキを取り出し、悴む手でファイトの準備を整えた。
『我は剣聖。千の斬撃、万の剣閃、億の刺突をもってあなたを倒す!セットアップ!』
「スターダスト・セイバー!」
『甦れ、次元の壁を超越せし魔弾の死神!セットアップ、甦りし死銃(リボーン・オブ・デスガン)!!』
「天と地、キズナの刃をもって悪を討つ!セットアップ、『天元理心抜刀術』!」
『モード・エクゼキューション、執行シマス。セットアップ、天界の執行人』
「今宵、お前の勝利を頂戴しよう!セットアップ、『ザ・ファントム』!」
『俺を、俺達を、誰だと思っていやがるッ!?セットアップ、『大グレン団!夜露死苦』ゥ!』
『さぁ行くぞ、地平線の彼方まで!セットアップ、記憶の地平線!!』
『始めよう、私の静寂を奪う者達の終焉を!セットアップ、終焉の豪吹雪!』
「「「「ヴァイスシュヴァルツ!」」」」
『『『『ステージオン!!』』』』
今ここに、4か所同時ファイトが始まった。
続く――。
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